JPWO2011155222A1 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

誘導加熱調理器 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2011155222A1
JPWO2011155222A1 JP2012519285A JP2012519285A JPWO2011155222A1 JP WO2011155222 A1 JPWO2011155222 A1 JP WO2011155222A1 JP 2012519285 A JP2012519285 A JP 2012519285A JP 2012519285 A JP2012519285 A JP 2012519285A JP WO2011155222 A1 JPWO2011155222 A1 JP WO2011155222A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reference value
change amount
capacitance
induction heating
detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2012519285A
Other languages
English (en)
Inventor
武平 高志
高志 武平
小笠原 史太佳
史太佳 小笠原
雅志 木下
雅志 木下
祐史 山本
祐史 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2011155222A1 publication Critical patent/JPWO2011155222A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B6/00Heating by electric, magnetic or electromagnetic fields
    • H05B6/02Induction heating
    • H05B6/10Induction heating apparatus, other than furnaces, for specific applications
    • H05B6/12Cooking devices
    • H05B6/1209Cooking devices induction cooking plates or the like and devices to be used in combination with them
    • H05B6/1245Cooking devices induction cooking plates or the like and devices to be used in combination with them with special coil arrangements
    • H05B6/1272Cooking devices induction cooking plates or the like and devices to be used in combination with them with special coil arrangements with more than one coil or coil segment per heating zone
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B6/00Heating by electric, magnetic or electromagnetic fields
    • H05B6/02Induction heating
    • H05B6/06Control, e.g. of temperature, of power
    • H05B6/062Control, e.g. of temperature, of power for cooking plates or the like
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B40/00Technologies aiming at improving the efficiency of home appliances, e.g. induction cooking or efficient technologies for refrigerators, freezers or dish washers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Induction Heating Cooking Devices (AREA)

Abstract

誘導加熱調理器は、静電容量信号が基準値からの変化量が基準値更新変化量以上のときタイマーカウントを開始し、カウント開始から第1の所定時間の間、変化量が継続して基準値更新変化量以上でありふきこぼれ確定変化量以下の変化範囲内の場合、予め設定した最大カウント時間経過するまでカウントを継続し、タイマーが最大カウント時間までカウントしたとき、基準値更新処理を再開するよう構成されている。

Description

本発明は、誘導加熱調理器に関するものであり、特に、加熱調理時において鍋などの加熱容器からのふきこぼれを検知するふきこぼれ検知機能を有する誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器において、ふきこぼれ検知は、例えば、日本の特開2008−159494号公報(特許文献1)に記載されているように、加熱コイルの外周に複数の電極を設け、これらの電極の静電容量の変化に基づいて行われていた。
図5は特許文献1に記載されている従来の誘導加熱調理器の構成を示す図である。図6は特許文献1に記載されているふきこぼれ検知を行うための電極における静電容量の変化を示すグラフである。
図5に示すように、従来の誘導加熱調理器は、小さい円板状の複数の電極103が加熱コイル104の外周に同心円状に分散配置されている。分散配置された各電極103は、静電容量測定回路106に接続されており、各電極103とその周囲の誘電体など、例えば空気や加熱容器などとの間の静電容量が検出されている。このように構成された、従来の誘導加熱調理器は、複数の電極103を加熱コイル104の外周に分散配置する構成であるため、加熱コイル104の上にトッププレート(天板)を介して載置された鍋などの加熱容器の周縁部分から液体がふきこぼれたとき、いずれかの電極103の上または近傍にふきこぼれた液体が存在することになる。この結果、ふきこぼれた液体によりいずれかの電極103の静電容量が変化することにより、ふきこぼれを検知しようとするものである。加熱時の加熱容器においてふきこぼれがない状態では、電極103と加熱容器との間にはトッププレートの他に比誘電率が1である空気が主として存在している。しかし、ふきこぼれが発生すると、電極103と加熱容器との間には水分が介在することになり、静電容量は急激に増加する。したがって、上記のように電極103の静電容量を検知することによりふきこぼれを検知することは可能である。
従来の誘導加熱調理器においては、電極103の静電容量が急増したことを検出したとき(図6参照)、制御回路105はふきこぼれと判断して、交流電源101からの電力が入力されて高周波電力を形成する駆動回路102の動作を停止するか、若しくは加熱コイル104に流す電流を低減している。
特開2008−159494号公報
上記のように、加熱コイル104の外周に分散配置された電極103を用いて、その静電容量を検知することによりふきこぼれを検知することは可能であるが、ふきこぼれるメニュー・鍋の形状・火力によっては勢いが少なく、時間をかけてゆっくりこぼれるパターンもあり、静電容量が急激に変化せず、ふきこぼれ検知が精度よく検出できない場合があった。また、静電容量の変化量の閾値を小さく設定するとトッププレート触りなどによる誤検知が多発し、飛沫がトッププレートに付着する状態でもふきこぼれ検知を行い加熱が停止してしまう。このため、静電容量の変化量の閾値を小さく設定するだけでは、使用者にとっては使い勝手の悪い調理器となっていた。
誘導加熱調理器においては、表面が滑らかで凹凸のないトッププレートが調理面として設けられており、ふきこぼれなどにより生じた汚れを容易に拭き取ることができるよう構成されている。しかし、ふきこぼれが発生してもそのまま放置すると、ふきこぼれが大量に発生した場合には安全性の問題があり、またふきこぼれが少量の場合であってもトッププレート上で乾燥して、こびり着いてしまい、拭き取りが困難になるという問題がある。したがって、ふきこぼれが発生した場合には、使用者に直ぐに報知するとともに、加熱動作を停止若しくは加熱を低減することは重要である。しかしながら、ふきこぼれの状態、ふきこぼれの生じる調理メニュー、鍋の形状、火力によっては一度にこぼれるふきこぼれ量が少なく、ふきこぼれ検知ができない場合がある。さらに、一度のこぼれ量は少なくても、時間をかけてこぼれ続ける場合、最終的にはトッププレート一面に大きく広がるほどのこぼれ量となり、商品性能としては満足できるものではなく、使用者の手入れ(管理)の負担が増えるという大きな問題となる。
本発明は、加熱調理時に生じる加熱容器における少量のふきこぼれ方が継続する場合に、ふきこぼれの発生を確実に検出することができる信頼性及び安全性の高い誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の観点の誘導加熱調理器は、
加熱容器を載置するトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、
前記加熱コイルの周囲近傍で前記トッププレート裏面に設けられた電極と、
前記電極に高周波電流を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、
前記静電容量の変化量の測定をするための基準値を記憶する記憶部と、
前記インバータの出力が出力設定部で設定された第1設定値になるように制御し、タイマーを有する制御部と、
前記基準値に対する前記静電容量の変化量がふきこぼれ確定変化量以上となった後に、加熱動作を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1設定値より低い第2設定値に低減するふきこぼれ検知部と、を備え、
前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量より小さい基準値更新変化量未満である状態が所定期間継続すると、前記所定期間に検知した前記静電容量を前記基準値と置き換えて前記記憶部に記憶する基準値更新処理を行い、
前記変化量が前記基準値更新変化量以上のとき、前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止するとともに、前記タイマーは、カウントを開始して、カウント開始から第1の所定時間の間、前記変化量が継続して前記基準値更新変化量以上であり前記ふきこぼれ確定変化量以下の変化範囲内又は前記変化範囲より狭い変化範囲内にある場合、前記第1の所定時間より長い予め設定した最大カウント時間経過するまでカウントを継続し、
前記ふきこぼれ検知部は、前記タイマーが前記最大カウント時間までカウントすると、前記基準値更新処理を再開するよう構成されている。
上記のように構成された第1の観点の誘導加熱調理器は、加熱調理時に生じる加熱容器における少量のふきこぼれ方が継続する場合に、ふきこぼれの発生を確実に検出することができる信頼性及び安全性の高い調理器となる
本発明に係る第2の観点の誘導加熱調理器において、前記の第1の観点における前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量以上の場合になってから第2の所定時間経過した後、加熱を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1の設定値より低い第2の設定値に設定するよう構成されている。上記のように構成された第2の観点の誘導加熱調理器は、少量のふきこぼれ方が継続する場合においても、確実にふきこぼれを検知し、加熱出力の低下、若しくは停止することができる。
本発明に係る第3の観点の誘導加熱調理器において、前記の第1の観点又は第2の観点における前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止してから前記変化量が前記基準値更新変化量未満になると、前記基準値更新処理を再開するよう構成されている。上記のように構成された第3の観点の誘導加熱調理器は、調理時に起こりうる静電容量の変動によるふきこぼれの誤検知を確実に防ぎ、使用者が継続して調理を行うことができる。
本発明によれば、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれを精度高く検知することができ、且つふきこぼれの誤検出を大幅に低減することができる誘導加熱調理器を提供することができる。
本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレートに形成された各種電極などを示す平面図 実施の形態1の誘導加熱調理器において検出された静電容量検知信号(a)と、インバータから出力された加熱出力の一例(b)を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 従来の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 従来の誘導加熱調理器におけるふきこぼれ検知における静電容量の変化を示すグラフ
以下、本発明の誘導加熱調理器に係る具体的な実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に記載した具体的な構成に限定されるものではなく、実施の形態において説明する技術的思想と同様の技術的思想及び当技術分野における技術常識に基づいて構成されるものを含むものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図1において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、加熱容器(例えば鍋など)1が載置されるトッププレート(天板)2と、加熱容器1を誘導加熱するための加熱コイル3と、加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ4と、インバータ4に整流器5を介して電力を供給する交流電源6と、交流電源6から整流器5を介して供給される入力電流及びインバータ4から加熱コイル3に供給される出力電流を検知する電流検知部7と、電流検知部7からの入出力電流検知信号などに基づきインバータ4を駆動制御し、タイマーを有する制御部8と、トッププレート2の裏面(図1において、加熱容器1が載置されている面を表面として、その反対側の面)にパターン印刷された複数の電極9と、各電極9の静電容量を検知する静電容量検知部10と、静電容量検知部10において検知された静電容量検知信号及び電流検知部7において検知された入出力電流検知信号などを記憶する記憶部12と、静電容量検知信号及び入出力電流検知信号などに基づいて加熱容器1のふきこぼれ状態を検知するふきこぼれ検知部11と、を有して構成されている。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱容器1におけるふきこぼれ状態を検知するための構成及び機能を主として説明するものであり、その他の状態を検知するための機能及び構成、例えば加熱容器1におけるずらし、浮かし、焦げ付き、及び小物負荷がトッププレート2に載せられた場合の検知、などのふきこぼれ状態以外の状態検知機能などについての説明は省略しており、図1のブロック図においてもふきこぼれ状態以外の構成は省略している。
図2は、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレート2に導電性フィルムを用いてパターン印刷により形成された各種電極などを示すトッププレート2の平面図である。図2に示すトッププレート2は、耐熱性のガラス、例えば結晶化ガラスで形成されている。トッププレート2には、被加熱物である加熱容器(例えば、鍋など)1が載置される加熱位置を表示する2つのサークルパターン2a、2bが描かれており、例えば最大出力が3kWの加熱コイル3に対応する位置を示している。なお、実施の形態1においては2つの加熱コイル3を有する構成について説明するが、加熱コイル3の数は2個に限定されるものではなく、1個、3個、4個などいくつ加熱コイル3を用いても良く、その加熱コイル3の数に応じてサークルパターン及び電極が形成される。
図2に示すように、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレート2においては、使用者が当該誘導加熱調理器の動作を設定するための操作スイッチとなる複数の操作電極16が設けられている。操作電極16が設けられている位置は、トッププレート2におけるサークルパターン2a、2bより使用者側に近い領域である。以下の説明において、トッププレート2における使用者側を手前側と称し、その反対を奥側と称する。また、図2に示す図面上の位置おいて、トッププレート2の左側及び右側と称してトッププレート2における位置を特定する。
サークルパターン2a、2bの外周部分には複数の電極9(ふきこうぼれ検知電極9a〜9g)が形成されている。こられの電極9がふきこぼれ状態などを検知するための状態検知電極となる。
図2に示すトッププレート2における左側のサークルパターン2aの外周部分において、左側の奥側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左後電極9a、左側の手前側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左前電極9b、及び中央側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左中央電極9cが形成されている。これらの左後電極9a、左前電極9b及び左中央電極9cにより、左側のサークルパターン2aの外周を取り囲むよう構成されている。また、左後電極9a、左前電極9b及び左中央電極9cの各電極の一方の端部には接続端子19a、19b、19cがそれぞれ形成されている。これらの接続端子19a、19b、19cはふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
同様に、右側のサークルパターン2bの外周部分においても、右側の奥側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右後電極9d、右側の手前側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右前電極9e、及び中央側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右中央電極9fが形成されている。これらの右後電極9d、右前電極9e及び右中央電極9fにより、右側のサークルパターン2bの外周を取り囲むよう構成されている。また、右後電極9d、右前電極9e及び右中央電極9fの各電極の一方の端部には接続端子19d、19e、19fがそれぞれ形成されている。これらの接続端子19d、19e、19fはふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
トッププレート2の中央には保護電極9gが設けられており、左中央電極9cと右中央電極9fとの間であり、左後電極9aから接続端子19aに導出する配線パターンと右後電極9dから接続端子19dに導出する配線パターンの間の領域、及びトッププレート2の中央部分の手前側に操作電極16の並びに平行な領域に配置されている。保護電極9gにおいても、その端部に接続端子19gが形成されており、他の電極と同様にふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器には、加熱容器1の温度を検出するための温度センサである温度検知部17、及び使用者が当該誘導加熱調理器の加熱条件などを設定するための操作部18が設けられている。温度検知部17からの加熱容器1の温度信号及び操作部18からの設定信号は制御部8に入力されて、インバータ4を駆動制御するよう構成されている。さらに、実施の形態1の誘導加熱調理器には、表示部20が設けられており、使用者が設定した加熱条件、当該誘導加熱調理器の動作状態などが表示されるよう構成されている。
図1に示すように、静電容量検知部10は、各電極9に高周波信号を供給する高周波信号発生部13と、各電極9からの高周波電流を整流する整流部14と、整流部14において整流された直流電圧を検知する電圧検知部15とを有して構成されている。前述の各電極9(9a〜9g)における各接続端子(19a〜19g)は、静電容量検知部10の高周波信号発生部13からの高周波信号が供給されるとともに、各電極9(9a〜9g)の静電容量を検出するために整流部14に電気的に接続されている。
上記のように構成された実施の形態1の誘導加熱調理器において、加熱容器1である鍋などがサークルパターン2a、2bで示された位置に載置されて、使用者が操作部18において加熱条件などを設定して、誘導加熱動作が開始される。誘導加熱動作が開始された加熱初期段階においては、ふきこぼれが無い状態であり、電極9と加熱容器1との間には主として比誘電率が1の空気が存在している。その後、誘導加熱動作が継続することにより、加熱された加熱容器1内の内容物が沸騰状態となり、ふきこぼれが発生可能な状態となる。そして、ふきこぼれが発生すると、電極9の周りに比誘電率80の水を多く含んだ内容物の一部が電極9の周りに存在することになる。この結果、電極9における静電容量は急増する。ふきこぼれ状態が続けば、静電容量の増加状態は、そのときの状態に応じてある程度まで継続される。
上記のように、加熱動作において、加熱容器1の内容物が沸騰可能温度(内容物が沸騰可能な温度)に到達するまでは、ふきこぼれ状態を検知する必要はないが、一定時間が経過して、内容物が沸騰可能温度に到達した場合には、ふきこぼれが発生する可能性があるため、常にふきこぼれ状態を検知する必要がある。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、内容物が加熱開始から沸騰可能温度となるまでの一定時間として5秒間を設定して、この5秒間はふきこぼれ検知動作を行わないよう構成されている。なお、もし、加熱開始から5秒間の間に温度検知部17により加熱容器1などの温度が沸騰可能温度に到達した場合には、異常と判断して加熱動作は停止される。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれ状態の検知を、静電容量検知部10からの静電容量検知信号、及び電流検知部7からの入出力電流信号などに基づいてふきこぼれ検知部11において行っている。
図3は実施の形態1の誘導加熱調理器において検出された静電容量検知信号(図3の(a))と、インバータ4から出力された加熱出力(図3の(b))の一例を示している。図3の(a)は、静電容量検知部10からふきこぼれ検知部11に入力される静電容量検知信号(Vd)の一例を示す波形図であり、図3の(a)において、縦軸が電圧検知部15から出力された静電容量検知信号(電圧信号)を示し、横軸に経過時間を示す。図3の(b)は、図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)が検知されたときのインバータ4からの加熱出力(P)を示している。
図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)においては、加熱容器1からのふきこぼれが発生していずれかの電極9の静電容量が急増したことにより、電圧検知部15から出力された電圧信号である静電容量検知信号(Vd)が急激に減少している場合を示している。
[勢いの少ないふきこぼれ検知動作]
以下、図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)の状態におけるふきこぼれ検知動作について説明する。
まず、加熱容器1に対する加熱開始の誘導加熱動作の初期段階(図3の(a)においては図示無し)においては、加熱容器1の内容物が沸騰温度に達していないため、ふきこぼれはなく、静電容量検知部10の電圧検知部15により検知された静電容量検知電圧においては急激な変化はない。前述のように、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、誘導加熱動作の開始から一定時間(例えば、5秒間)である検知データ無効期間はふきこぼれ検知動作を行わないよう構成されている。実際的には、下記に説明するふきこぼれ検知動作において算出された検知データ(変化量:ΔV)を無効とする処理を行っている。
誘導加熱動作開始から一定時間(例えば、5秒間)が経過して、ふきこぼれ検知動作が開始されると、各電極9から入力される検出信号は整流部14で整流されて電圧検知部15に入力される。電圧検知部15において検出された静電容量検知信号(電圧信号:Vd)は、時間経過とともに常に変化している。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器の誘導加熱動作においては、電圧検知部15は常時、ふきこぼれ検知部11に各電極9からの静電容量検知信号(Vd)を出力している。
ふきこぼれ検知部11においては、静電容量検知部10の電圧検知部15から入力された各電極9の静電容量を示す静電容量検知信号(Vd)を一定時間毎に検出している。ふきこぼれ検知部11においては、例えば、20msごとに検出された電圧信号(電圧値)から、所定回数毎(例えば、8回)の平均値を算出して、その算出された平均値をその検知期間(第1所定期間:例えば、1秒)における静電容量信号(Vc)としている。上記のように算出された静電容量信号(Vc)がふきこぼれ検知部11において演算処理されふきこぼれ状態の有無が判断される。
なお、図3の(a)に示すグラフは、電圧検知部15から出力された静電容量検知信号(Vd)を示しているが、この静電容量検知信号(Vd)がふきこぼれ検知部11において用いる静電容量信号(Vc)と実質的に同じように推移する信号であるため、以後の説明においては静電容量信号(Vc)を図3の(a)に示すグラフを用いて説明する。
[静電容量信号(Vc)の変化量が第1変化量:基準値更新変化量(ΔV1)以下の場合]
ふきこぼれ検知部11においては、ふきこぼれ検知動作の最初に検知された静電容量信号(Vc(1))が基準値(Vo)として記憶部12に登録される。なお、最初の基準値(Vo)に関しては、予め設定した値を用いてもよい。そして、2回目に検知された静電容量信号(Vc(2))は、登録された基準値(Vo)と比較され、基準値(Vo)からの変化量(ΔV(2))が検出される。検出された変化量(ΔV(2))が、予め設定された基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1;例えば、3digit)未満であれば、そのときの静電容量信号(Vc(2))が基準値(Vo)として記憶部12に登録される。このように、静電容量信号(Vc(n))と前回検出された静電容量信号(Vc(n−1))である基準値(電圧信号)とが比較されて、その変化量(ΔV(n))が検出され、閾値としての基準値更新変化量である第1変化量と比較されている。ここで、「Vc(n)」は現時点において検出された静電容量信号を示す。
したがって、現時点の静電容量信号(Vc(n))の変化量(ΔV(n))が、第1変化量(ΔV1)未満であれば、その時の静電容量信号(Vc(n))が基準値(Vo)として記憶部12に登録され、次回に検出された静電容量信号(Vc(n+1))と比較される。このように、静電容量信号(Vc)が徐々に変化している期間においては、最新の基準値(Vo)が常に記憶部12に順次記憶されている。ふきこぼれ検知動作においては、上記の基準値更新動作が順次行われていくが、もし、変化量(ΔV(n))が第1変化量(ΔV1)以上となったとき、制御部8においてタイマーによるカウントを開始する。変化量(ΔV(n))がカウント開始から5秒間の間に第1変化範囲(CL1)の範囲内に留まった場合、タイマーカウント開始時の基準値(Vo)を記憶部12に記憶し、タイマーは継続してカウントし、基準値更新動作を停止する。
実施の形態1の誘導加熱調理器において、基準値(Vo)として更新登録するか否かの判定を行う第1変化範囲(CL1)は、図3の(a)に示すように、第1変化量(ΔV1)の基準値更新変化量の最大値以上であり、後述するふきこぼれ判定変化量である第2変化量(ΔV2)の最大値(ΔV)までの範囲である。実施の形態1において、第1変化範囲(CL1)の具体的な範囲としては、「3〜12digit」である。ここで、「digit」は、8bit(255digit)分解能のことを示し、1bitは0.0195Vとなる。
上記のように、異常状態が発生していない通常の誘導加熱動作、すなわち、電極9の静電容量が急激に変化しない状態においては、現時点の静電容量信号(Vc(n))と前回検出された静電容量信号(Vc(n−1))である基準値(Vo)とが比較され、その変化量は第1変化量(ΔV1:例えば、3digit)未満(境界点を含まず)であるため、その時検出された静電容量信号(Vc(n))が基準値(Vo)として新たに登録され、記憶部12に記録される。また、変化量がタイマーカウント開始から5秒間の間に第1変化範囲(CL1)内に留まった場合にも同様に、基準値(Vo)は新たに登録され、タイマーのカウントをクリアする。このように、実施の形態1の誘導加熱調理器において、通常の誘導加熱動作においては、検出された静電容量信号(Vc)が検知期間(例えば、1秒)毎に最新の基準値(Vo)と比較される。
[タイマーカウントが継続し、静電容量信号(Vc)の変化量がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)を越えた場合]
次に、ふきこぼれ検知部11においては、静電容量信号(Vc(n))がタイマーカウント開始時の点Aの記憶された基準値(Vo)と比較してふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上に変化している場合の動作について説明する。
図3の(a)のグラフにおいて、静電容量検知信号(Vd)、即ち静電容量信号(Vc)が点Bで示すふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)を越えた時点において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、ふきこぼれ確定待機期間に入り、加熱を継続したまま2秒間(第2の所定時間)の待機を行う。点Bにおいて検出された静電容量信号(Vc(n))が基準値である点Aの記憶された基準値(Vo)と比較して第3変化量(ΔV3)以上であるため、タイマーカウント開始時の静電容量信号(点A)がそのまま基準値(Vo)として登録され続ける。図3の(a)においては、点Aにおける基準値(Vo)が基準値として固定される。このように、基準値更新停止期間においては基準値(Vo)が固定されて、その固定された基準値(Vo)に対する変化量が算出される。実施の形態1において、ふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)は「15digit」としている。
なお、静電容量信号(Vc)の変化量(ΔV(n))が第1変化量(ΔV1)を越えた基準値更新停止期間になった場合においても、次に検出された静電容量信号(Vc(n+1))が以前に記憶された基準値(Vo)に比べて、第1変化量(ΔV1)以内に戻った場合には、基準値更新停止期間が解除されて、タイマーカウントもクリアし、再度タイマーカウント条件が満たされるまで、基準値は記憶されることなく更新される。
[ふきこぼれ確定待機期間を経過した場合]
ふきこぼれ確定待機期間において、静電容量信号(Vc)がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上になった場合、2秒間所定の加熱を継続し、2秒後に加熱を停止させ、ふきこぼれ検知の報知を行う。
実施形態1の誘導加熱調理器においては、検出された静電容量信号(Vc(n))がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上となったふきこぼれ検出期間において、インバータ4の加熱出力を、誘導加熱動作の条件設定時に登録された第1設定値(P1:例えば、3kW)から第2設定値(P2:例えば、0W)に加熱停止させている。
上記のように、実施の形態1の誘導加熱調理器は、静電容量信号(Vc)の変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1)を越えたときから第1の所定時間(5秒間)経過後に始まるふきこぼれ判定期間において、ふきこぼれ発生の検知が確定したとき誘導加熱動作を停止若しくは低下させるよう構成されている。この状態が、図3の(a)及び(b)に示されている。図3の(a)及び(b)に示すように、静電容量信号(Vc)の基準値(Vo)からの変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1)以上のとき、タイマーカウントを開始し、第1変化範囲(CL1)内であり、且つタイマーカウントが第1の所定時間経過のとき、基準値更新期間が終了して、基準値更新停止期間に入る。第1変化範囲(CL1)は、タイマーカウント継続判定期間であり、基準値更新変化量である第1変化量ΔV1の最大値以上であり、ふきこぼれ判定変化量である第2変化量ΔV2(例えば、12digit)の最大値以下の範囲である。
基準値更新停止期間においては、タイマーカウント開始時において検出された静電容量信号(図3の(a)における点Aの静電容量電圧)が基準値(Vo)として記憶し用いられる。この記憶された基準値(Vo)において、検出された静電容量信号(Vc)が第3変化量(ΔV3)を超えたときから、第2の所定時間(2秒)を経てふきこぼれ判定が確定し、加熱出力は停止される。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、検知された静電容量の変化量が基準値更新変化量(ΔV1)以上のとき、ふきこぼれ検知部11は、基準値更新処理を禁止するとともに、タイマーは、カウントを開始して、カウント開始から第1の所定時間(例えば、5秒)の間、検知された変化量が継続して基準値更新変化量(ΔV1)以上であり前記ふきこぼれ確定変化量(ΔV3)以下の変化範囲内、若しくはこの変化範囲より狭い基準値更新変化量(ΔV1)以上でありふきこぼれ判定変化量(ΔV2)以下の変化範囲内にある場合、カウントを継続して、第1の所定時間より長い予め設定した最大カウント時間(例えば、60秒)経過するまでカウントを継続する。ふきこぼれ検知部11は、タイマーが最大カウント時間までカウントしたとき、基準値更新処理を再開する。
[メニュー表示]
図4Aから図4Eは、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18及び表示部20のメニュー表示部の状態を示しており、ふきこぼれ検知動作を設定する手順を示している。
図4Aは、実施の形態1の誘導加熱調理器が誘導加熱動作前である、使用者が加熱条件を設定するときの操作部18及び表示部20におけるメニュー表示部の表示状態図である。図4Aに示すように、メニュー表示部には「メニュー」の操作スイッチのみが表示されている。使用者が「メニュー」マークを選択(押圧)すると、図4Bに示すように、「メニュー」の他に、「加熱」、「鍋マーク」、「揚げ物」、「焼き物」、「やかんマーク」、「こげつき」及び「切/スタート」のマークが表示される。このとき、「加熱」のマークのみが点滅表示される。
図4Bに示す状態において、「切/スタート」マークを選択(押圧)すると、誘導加熱動作が開始されるとともに、こげつき検知動作が開始される。こげつき検知動作とは、加熱容器1の内容物のこげつきを検知するものであり、温度検知部17において急激な温度上昇などの情報に基づいて検知される。この誘導加熱動作のときには、こげつき検知動作のみが作動して、ふきこぼれ検知動作は開始されていない。
図4Bに示す状態において、「メニュー」マークを選択(押圧)すると、図4Cに示すようにメニュー表示部が表示される。図4Cに示すように、図4Bに示すメニュー表示部から、あらたに「ふきこぼれ」のマークが表示されるとともに、「加熱」及び「鍋マーク」が点滅表示される。すなわち、この状態において使用者が「切/スタート」マークを選択(押圧)することにより、誘導加熱動作が開始されるとともに、こげつき検知動作及びふきこぼれ検知動作が開始されることを示している。図4Dは誘導加熱動作中のメニュー表示部の表示状態を示している。図4Dに示すように、誘導加熱動作中は「加熱」、「鍋マーク」、「メニュー」及び「切/スタート」が表示されており、誘導加熱動作中において使用者はいつでもメニュー変更、若しくは誘導加熱動作を停止することが可能である。
上記のように、ふきこぼれ検知動作が設定された誘導加熱動作中において、前述のふきこぼれ検知動作の結果、ふきこぼれ判定が確定してふきこぼれ発生を検知すると、図4Eに示すように、メニュー表示部には「ふきこぼれ」が点滅表示される。なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれを検知するとメニュー表示部に「ふきこぼれ」が点滅表示される構成であるが、「ふきこぼれ」が点滅表示されるとともにふきこぼれ状態であることを音声にて報知する構成としてもよい。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるメニュー表示部では、「メニュー」のマークを押圧して選択するたびに、「加熱」次に、「揚げ物」、「焼き物」、「やかんマーク」、そして「加熱」が順次点滅して、被加熱物の選択を行うよう構成されている。なお、「やかんマーク」は湯沸かし動作を示している。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18には、加熱ヒータの選択、温度設定(火力調整)、タイマー設定などの誘導加熱調理器において必要とされる操作スイッチ(左右の移動を示す矢印マーク、増減(+、−)を示すマークなど)が設けられている。
上記のように、本発明の誘導加熱調理器は、実施の形態において具体的に例示したように、加熱コイルの周囲近傍でトッププレート裏面に設けられた複数の円弧状の電極からの信号に基づいて、電極に生じた静電容量の変化量を精度高く検出して、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれの誤検出を大幅に低減するとともに、ふきこぼれの発生を確実に検出することができ、信頼性及び安全性の高い誘導加熱調理器となる。
本発明によれば、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれを精度高く検知することができ、且つふきこぼれの誤検出を大幅に低減することができる誘導加熱調理器を提供することができる。
また、本発明の誘導加熱調理器は、勢いのないふきこぼれ検知の精度を向上させることができ、鍋の種類、調理メニュー、火力に関係なく、確実にふきこぼれを検知することができる。さらに、本発明の誘導加熱調理器は、小さい変化量での検出でも、2段階検知にすることにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができ、ふきこぼれの発生に関しては確実に検出することができる。
本発明の誘導加熱調理器は、加熱容器を載置するトッププレートと、トッププレートの下方に設けられ、加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、加熱コイルの周囲近傍でトッププレート裏面に設けられた複数の電極と、電極に高周波信号を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、検知された静電容量を基準値として記憶可能な記憶部と、インバータの加熱出力が誘導加熱開始時に設定された第1設定値(P1:例えば、3kW以下)になるように制御する制御部と、静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1:例えば、3digit)あった場合にタイマーをスタートさせ、変化量が第1変化範囲(CL1:例えば、3〜12digit)内で所定時間継続した場合に、タイマーを所定時間継続してカウントし、またそのときの基準値を記憶部にタイマーカウント終了まで記憶すると共に、記憶基準値からふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3:例えば、15digit)以上の場合、予め設定された第2設定値(P2:例えば、0W)に加熱を停止するふきこぼれ検知部と、を備えている。
また、本発明の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれ検知部が、タイマー継続条件として第1変化範囲(CL1)内(境界点含まず)に第1の所定時間(例えば、5秒間)の間、留まった場合にタイマーカウントを継続させ、第1の所定時間内に第1変化範囲外(境界点含む)になった場合、タイマーカウントをクリアして、基準値を更新させる。このとき、継続してタイマーカウントが条件になった場合には、タイマーカウント終了(例えば、60秒)までに、第3変化量(ΔV3)以上になった時、加熱を停止若しくは低下させて、ふきこぼれ検知の報知を行うよう構成している。
このように構成された本発明の誘導加熱調理器は、勢いのないふきこぼれに対しても時間をかけて検知することができ、ふきこぼれ検知の精度を向上することができる。
また、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知を、第1変化範囲(CL1)の最大値(ΔV:12digit)が第3変化量(ΔV3)の閾値(最大値:15digit)と同等又は小さくなるように設定するとすることにより、鍋ずらしなどの誤検知に対し、1回のずらしでは誤検知が発生し難いような構成としてもよい。
また、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知部が、第1変化範囲内で第1の所定時間の条件を満たした場合、タイマーカウントを所定時間(例えば、最大カウント時間60秒間)継続する。その間、タイマーカウント開始時を静電容量の基準値(Vo)として記憶し、基準値からの変化量によりふきこぼれ判定を実行する。このとき、タイマーカウントが所定時間(例えば、最大カウント時間60秒)カウントまでするが、カウント終了でタイマーをクリアし、記憶基準値の更新を許可することにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができる。
さらに、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知部が、記憶基準値近辺まで現在値が近づいた場合、タイマーをクリアし、基準値の更新を行うことにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができる。
本発明によれば、勢いのないふきこぼれ検知の精度を向上することができ、鍋の種類、調理メニュー、火力に関係なく、確実に検知することができる。また、小さい変化量での検出でも、2段階検知にすることにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができ、ふきこぼれの発生に関しては確実に検出することができ、信頼性の高い誘導加熱調理器を提供することができる。
誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれ検知の精度を向上でき、また誤検出を大幅に低減することができる信頼性の高い誘導加熱調理器を市場に提供することができる。
1 加熱容器
2 トッププレート
4 インバータ
8 制御部
9 電極
10 静電容量検知部
11 ふきこぼれ検知部
12 記憶部
13 高周波信号発生器
14 整流部
15 電圧検知部
18 操作部
20 表示部
本発明は、誘導加熱調理器に関するものであり、特に、加熱調理時において鍋などの加熱容器からのふきこぼれを検知するふきこぼれ検知機能を有する誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器において、ふきこぼれ検知は、例えば、日本の特開2008−159494号公報(特許文献1)に記載されているように、加熱コイルの外周に複数の電極を設け、これらの電極の静電容量の変化に基づいて行われていた。
図5は特許文献1に記載されている従来の誘導加熱調理器の構成を示す図である。図6は特許文献1に記載されているふきこぼれ検知を行うための電極における静電容量の変化を示すグラフである。
図5に示すように、従来の誘導加熱調理器は、小さい円板状の複数の電極103が加熱コイル104の外周に同心円状に分散配置されている。分散配置された各電極103は、静電容量測定回路106に接続されており、各電極103とその周囲の誘電体など、例えば空気や加熱容器などとの間の静電容量が検出されている。このように構成された、従来の誘導加熱調理器は、複数の電極103を加熱コイル104の外周に分散配置する構成であるため、加熱コイル104の上にトッププレート(天板)を介して載置された鍋などの加熱容器の周縁部分から液体がふきこぼれたとき、いずれかの電極103の上または近傍にふきこぼれた液体が存在することになる。この結果、ふきこぼれた液体によりいずれかの電極103の静電容量が変化することにより、ふきこぼれを検知しようとするものである。加熱時の加熱容器においてふきこぼれがない状態では、電極103と加熱容器との間にはトッププレートの他に比誘電率が1である空気が主として存在している。しかし、ふきこぼれが発生すると、電極103と加熱容器との間には水分が介在することになり、静電容量は急激に増加する。したがって、上記のように電極103の静電容量を検知することによりふきこぼれを検知することは可能である。
従来の誘導加熱調理器においては、電極103の静電容量が急増したことを検出したとき(図6参照)、制御回路105はふきこぼれと判断して、交流電源101からの電力が入力されて高周波電力を形成する駆動回路102の動作を停止するか、若しくは加熱コイル104に流す電流を低減している。
特開2008−159494号公報
上記のように、加熱コイル104の外周に分散配置された電極103を用いて、その静電容量を検知することによりふきこぼれを検知することは可能であるが、ふきこぼれるメニュー・鍋の形状・火力によっては勢いが少なく、時間をかけてゆっくりこぼれるパターンもあり、静電容量が急激に変化せず、ふきこぼれ検知が精度よく検出できない場合があった。また、静電容量の変化量の閾値を小さく設定するとトッププレート触りなどによる誤検知が多発し、飛沫がトッププレートに付着する状態でもふきこぼれ検知を行い加熱が停止してしまう。このため、静電容量の変化量の閾値を小さく設定するだけでは、使用者にとっては使い勝手の悪い調理器となっていた。
誘導加熱調理器においては、表面が滑らかで凹凸のないトッププレートが調理面として設けられており、ふきこぼれなどにより生じた汚れを容易に拭き取ることができるよう構成されている。しかし、ふきこぼれが発生してもそのまま放置すると、ふきこぼれが大量に発生した場合には安全性の問題があり、またふきこぼれが少量の場合であってもトッププレート上で乾燥して、こびり着いてしまい、拭き取りが困難になるという問題がある。したがって、ふきこぼれが発生した場合には、使用者に直ぐに報知するとともに、加熱動作を停止若しくは加熱を低減することは重要である。しかしながら、ふきこぼれの状態、ふきこぼれの生じる調理メニュー、鍋の形状、火力によっては一度にこぼれるふきこぼれ量が少なく、ふきこぼれ検知ができない場合がある。さらに、一度のこぼれ量は少なくても、時間をかけてこぼれ続ける場合、最終的にはトッププレート一面に大きく広がるほどのこぼれ量となり、商品性能としては満足できるものではなく、使用者の手入れ(管理)の負担が増えるという大きな問題となる。
本発明は、加熱調理時に生じる加熱容器における少量のふきこぼれ方が継続する場合に、ふきこぼれの発生を確実に検出することができる信頼性及び安全性の高い誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の観点の誘導加熱調理器は、
加熱容器を載置するトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、
前記加熱コイルの周囲近傍で前記トッププレート裏面に設けられた電極と、
前記電極に高周波電流を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、
前記静電容量の変化量の測定をするための基準値を記憶する記憶部と、
前記インバータの出力が出力設定部で設定された第1設定値になるように制御し、タイマーを有する制御部と、
前記基準値に対する前記静電容量の変化量がふきこぼれ確定変化量以上となった後に、加熱動作を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1設定値より低い第2設定値に低減するふきこぼれ検知部と、を備え、
前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量より小さい基準値更新変化量未満である状態が所定期間継続すると、前記所定期間に検知した前記静電容量を前記基準値と置き換えて前記記憶部に記憶する基準値更新処理を行い、
前記変化量が前記基準値更新変化量以上のとき、前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止するとともに、前記タイマーは、カウントを開始して、カウント開始から第1の所定時間の間、前記変化量が継続して前記基準値更新変化量以上であり前記ふきこぼれ確定変化量以下の変化範囲内又は前記変化範囲より狭い変化範囲内にある場合、前記第1の所定時間より長い予め設定した最大カウント時間経過するまでカウントを継続し、
前記ふきこぼれ検知部は、前記タイマーが前記最大カウント時間までカウントすると、前記基準値更新処理を再開するよう構成されている。
上記のように構成された第1の観点の誘導加熱調理器は、加熱調理時に生じる加熱容器における少量のふきこぼれ方が継続する場合に、ふきこぼれの発生を確実に検出することができる信頼性及び安全性の高い調理器となる。
本発明に係る第2の観点の誘導加熱調理器において、前記の第1の観点における前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量以上の場合になってから第2の所定時間経過した後、加熱を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1の設定値より低い第2の設定値に設定するよう構成されている。上記のように構成された第2の観点の誘導加熱調理器は、少量のふきこぼれ方が継続する場合においても、確実にふきこぼれを検知し、加熱出力の低下、若しくは停止することができる。
本発明に係る第3の観点の誘導加熱調理器において、前記の第1の観点又は第2の観点における前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止してから前記変化量が前記基準値更新変化量未満になると、前記基準値更新処理を再開するよう構成されている。上記のように構成された第3の観点の誘導加熱調理器は、調理時に起こりうる静電容量の変動によるふきこぼれの誤検知を確実に防ぎ、使用者が継続して調理を行うことができる。
本発明によれば、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれを精度高く検知することができ、且つふきこぼれの誤検出を大幅に低減することができる誘導加熱調理器を提供することができる。
本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレートに形成された各種電極などを示す平面図 実施の形態1の誘導加熱調理器において検出された静電容量検知信号(a)と、インバータから出力された加熱出力の一例(b)を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部及び表示部のメニュー表示部の状態を示す図であり、ふきこぼれ検知動作の設定手順を示す図 従来の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 従来の誘導加熱調理器におけるふきこぼれ検知における静電容量の変化を示すグラフ
以下、本発明の誘導加熱調理器に係る具体的な実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に記載した具体的な構成に限定されるものではなく、実施の形態において説明する技術的思想と同様の技術的思想及び当技術分野における技術常識に基づいて構成されるものを含むものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図1において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、加熱容器(例えば鍋など)1が載置されるトッププレート(天板)2と、加熱容器1を誘導加熱するための加熱コイル3と、加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ4と、インバータ4に整流器5を介して電力を供給する交流電源6と、交流電源6から整流器5を介して供給される入力電流及びインバータ4から加熱コイル3に供給される出力電流を検知する電流検知部7と、電流検知部7からの入出力電流検知信号などに基づきインバータ4を駆動制御し、タイマーを有する制御部8と、トッププレート2の裏面(図1において、加熱容器1が載置されている面を表面として、その反対側の面)にパターン印刷された複数の電極9と、各電極9の静電容量を検知する静電容量検知部10と、静電容量検知部10において検知された静電容量検知信号及び電流検知部7において検知された入出力電流検知信号などを記憶する記憶部12と、静電容量検知信号及び入出力電流検知信号などに基づいて加熱容器1のふきこぼれ状態を検知するふきこぼれ検知部11と、を有して構成されている。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱容器1におけるふきこぼれ状態を検知するための構成及び機能を主として説明するものであり、その他の状態を検知するための機能及び構成、例えば加熱容器1におけるずらし、浮かし、焦げ付き、及び小物負荷がトッププレート2に載せられた場合の検知、などのふきこぼれ状態以外の状態検知機能などについての説明は省略しており、図1のブロック図においてもふきこぼれ状態以外の構成は省略している。
図2は、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレート2に導電性フィルムを用いてパターン印刷により形成された各種電極などを示すトッププレート2の平面図である。図2に示すトッププレート2は、耐熱性のガラス、例えば結晶化ガラスで形成されている。トッププレート2には、被加熱物である加熱容器(例えば、鍋など)1が載置される加熱位置を表示する2つのサークルパターン2a、2bが描かれており、例えば最大出力が3kWの加熱コイル3に対応する位置を示している。なお、実施の形態1においては2つの加熱コイル3を有する構成について説明するが、加熱コイル3の数は2個に限定されるものではなく、1個、3個、4個などいくつ加熱コイル3を用いても良く、その加熱コイル3の数に応じてサークルパターン及び電極が形成される。
図2に示すように、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるトッププレート2においては、使用者が当該誘導加熱調理器の動作を設定するための操作スイッチとなる複数の操作電極16が設けられている。操作電極16が設けられている位置は、トッププレート2におけるサークルパターン2a、2bより使用者側に近い領域である。以下の説明において、トッププレート2における使用者側を手前側と称し、その反対を奥側と称する。また、図2に示す図面上の位置おいて、トッププレート2の左側及び右側と称してトッププレート2における位置を特定する。
サークルパターン2a、2bの外周部分には複数の電極9(ふきこうぼれ検知電極9a〜9g)が形成されている。こられの電極9がふきこぼれ状態などを検知するための状態検知電極となる。
図2に示すトッププレート2における左側のサークルパターン2aの外周部分において、左側の奥側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左後電極9a、左側の手前側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左前電極9b、及び中央側にはサークルパターン2aの円環形状に沿った円弧状の左中央電極9cが形成されている。これらの左後電極9a、左前電極9b及び左中央電極9cにより、左側のサークルパターン2aの外周を取り囲むよう構成されている。また、左後電極9a、左前電極9b及び左中央電極9cの各電極の一方の端部には接続端子19a、19b、19cがそれぞれ形成されている。これらの接続端子19a、19b、19cはふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
同様に、右側のサークルパターン2bの外周部分においても、右側の奥側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右後電極9d、右側の手前側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右前電極9e、及び中央側にはサークルパターン2bの円環形状に沿った円弧状の右中央電極9fが形成されている。これらの右後電極9d、右前電極9e及び右中央電極9fにより、右側のサークルパターン2bの外周を取り囲むよう構成されている。また、右後電極9d、右前電極9e及び右中央電極9fの各電極の一方の端部には接続端子19d、19e、19fがそれぞれ形成されている。これらの接続端子19d、19e、19fはふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
トッププレート2の中央には保護電極9gが設けられており、左中央電極9cと右中央電極9fとの間であり、左後電極9aから接続端子19aに導出する配線パターンと右後電極9dから接続端子19dに導出する配線パターンの間の領域、及びトッププレート2の中央部分の手前側に操作電極16の並びに平行な領域に配置されている。保護電極9gにおいても、その端部に接続端子19gが形成されており、他の電極と同様にふきこぼれ状態を検出するための検出端子の機能を有している。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器には、加熱容器1の温度を検出するための温度センサである温度検知部17、及び使用者が当該誘導加熱調理器の加熱条件などを設定するための操作部18が設けられている。温度検知部17からの加熱容器1の温度信号及び操作部18からの設定信号は制御部8に入力されて、インバータ4を駆動制御するよう構成されている。さらに、実施の形態1の誘導加熱調理器には、表示部20が設けられており、使用者が設定した加熱条件、当該誘導加熱調理器の動作状態などが表示されるよう構成されている。
図1に示すように、静電容量検知部10は、各電極9に高周波信号を供給する高周波信号発生部13と、各電極9からの高周波電流を整流する整流部14と、整流部14において整流された直流電圧を検知する電圧検知部15とを有して構成されている。前述の各電極9(9a〜9g)における各接続端子(19a〜19g)は、静電容量検知部10の高周波信号発生部13からの高周波信号が供給されるとともに、各電極9(9a〜9g)の静電容量を検出するために整流部14に電気的に接続されている。
上記のように構成された実施の形態1の誘導加熱調理器において、加熱容器1である鍋などがサークルパターン2a、2bで示された位置に載置されて、使用者が操作部18において加熱条件などを設定して、誘導加熱動作が開始される。誘導加熱動作が開始された加熱初期段階においては、ふきこぼれが無い状態であり、電極9と加熱容器1との間には主として比誘電率が1の空気が存在している。その後、誘導加熱動作が継続することにより、加熱された加熱容器1内の内容物が沸騰状態となり、ふきこぼれが発生可能な状態となる。そして、ふきこぼれが発生すると、電極9の周りに比誘電率80の水を多く含んだ内容物の一部が電極9の周りに存在することになる。この結果、電極9における静電容量は急増する。ふきこぼれ状態が続けば、静電容量の増加状態は、そのときの状態に応じてある程度まで継続される。
上記のように、加熱動作において、加熱容器1の内容物が沸騰可能温度(内容物が沸騰可能な温度)に到達するまでは、ふきこぼれ状態を検知する必要はないが、一定時間が経過して、内容物が沸騰可能温度に到達した場合には、ふきこぼれが発生する可能性があるため、常にふきこぼれ状態を検知する必要がある。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、内容物が加熱開始から沸騰可能温度となるまでの一定時間として5秒間を設定して、この5秒間はふきこぼれ検知動作を行わないよう構成されている。なお、もし、加熱開始から5秒間の間に温度検知部17により加熱容器1などの温度が沸騰可能温度に到達した場合には、異常と判断して加熱動作は停止される。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれ状態の検知を、静電容量検知部10からの静電容量検知信号、及び電流検知部7からの入出力電流信号などに基づいてふきこぼれ検知部11において行っている。
図3は実施の形態1の誘導加熱調理器において検出された静電容量検知信号(図3の(a))と、インバータ4から出力された加熱出力(図3の(b))の一例を示している。図3の(a)は、静電容量検知部10からふきこぼれ検知部11に入力される静電容量検知信号(Vd)の一例を示す波形図であり、図3の(a)において、縦軸が電圧検知部15から出力された静電容量検知信号(電圧信号)を示し、横軸に経過時間を示す。図3の(b)は、図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)が検知されたときのインバータ4からの加熱出力(P)を示している。
図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)においては、加熱容器1からのふきこぼれが発生していずれかの電極9の静電容量が急増したことにより、電圧検知部15から出力された電圧信号である静電容量検知信号(Vd)が急激に減少している場合を示している。
[勢いの少ないふきこぼれ検知動作]
以下、図3の(a)に示す静電容量検知信号(Vd)の状態におけるふきこぼれ検知動作について説明する。
まず、加熱容器1に対する加熱開始の誘導加熱動作の初期段階(図3の(a)においては図示無し)においては、加熱容器1の内容物が沸騰温度に達していないため、ふきこぼれはなく、静電容量検知部10の電圧検知部15により検知された静電容量検知電圧においては急激な変化はない。前述のように、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、誘導加熱動作の開始から一定時間(例えば、5秒間)である検知データ無効期間はふきこぼれ検知動作を行わないよう構成されている。実際的には、下記に説明するふきこぼれ検知動作において算出された検知データ(変化量:ΔV)を無効とする処理を行っている。
誘導加熱動作開始から一定時間(例えば、5秒間)が経過して、ふきこぼれ検知動作が開始されると、各電極9から入力される検出信号は整流部14で整流されて電圧検知部15に入力される。電圧検知部15において検出された静電容量検知信号(電圧信号:Vd)は、時間経過とともに常に変化している。このため、実施の形態1の誘導加熱調理器の誘導加熱動作においては、電圧検知部15は常時、ふきこぼれ検知部11に各電極9からの静電容量検知信号(Vd)を出力している。
ふきこぼれ検知部11においては、静電容量検知部10の電圧検知部15から入力された各電極9の静電容量を示す静電容量検知信号(Vd)を一定時間毎に検出している。ふきこぼれ検知部11においては、例えば、20msごとに検出された電圧信号(電圧値)から、所定回数毎(例えば、8回)の平均値を算出して、その算出された平均値をその検知期間(第1所定期間:例えば、1秒)における静電容量信号(Vc)としている。上記のように算出された静電容量信号(Vc)がふきこぼれ検知部11において演算処理されふきこぼれ状態の有無が判断される。
なお、図3の(a)に示すグラフは、電圧検知部15から出力された静電容量検知信号(Vd)を示しているが、この静電容量検知信号(Vd)がふきこぼれ検知部11において用いる静電容量信号(Vc)と実質的に同じように推移する信号であるため、以後の説明においては静電容量信号(Vc)を図3の(a)に示すグラフを用いて説明する。
[静電容量信号(Vc)の変化量が第1変化量:基準値更新変化量(ΔV1)以下の場合]
ふきこぼれ検知部11においては、ふきこぼれ検知動作の最初に検知された静電容量信号(Vc(1))が基準値(Vo)として記憶部12に登録される。なお、最初の基準値(Vo)に関しては、予め設定した値を用いてもよい。そして、2回目に検知された静電容量信号(Vc(2))は、登録された基準値(Vo)と比較され、基準値(Vo)からの変化量(ΔV(2))が検出される。検出された変化量(ΔV(2))が、予め設定された基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1;例えば、3digit)未満であれば、そのときの静電容量信号(Vc(2))が基準値(Vo)として記憶部12に登録される。このように、静電容量信号(Vc(n))と前回検出された静電容量信号(Vc(n−1))である基準値(電圧信号)とが比較されて、その変化量(ΔV(n))が検出され、閾値としての基準値更新変化量である第1変化量と比較されている。ここで、「Vc(n)」は現時点において検出された静電容量信号を示す。
したがって、現時点の静電容量信号(Vc(n))の変化量(ΔV(n))が、第1変化量(ΔV1)未満であれば、その時の静電容量信号(Vc(n))が基準値(Vo)として記憶部12に登録され、次回に検出された静電容量信号(Vc(n+1))と比較される。このように、静電容量信号(Vc)が徐々に変化している期間においては、最新の基準値(Vo)が常に記憶部12に順次記憶されている。ふきこぼれ検知動作においては、上記の基準値更新動作が順次行われていくが、もし、変化量(ΔV(n))が第1変化量(ΔV1)以上となったとき、制御部8においてタイマーによるカウントを開始する。変化量(ΔV(n))がカウント開始から5秒間の間に第1変化範囲(CL1)の範囲内に留まった場合、タイマーカウント開始時の基準値(Vo)を記憶部12に記憶し、タイマーは継続してカウントし、基準値更新動作を停止する。
実施の形態1の誘導加熱調理器において、基準値(Vo)として更新登録するか否かの判定を行う第1変化範囲(CL1)は、図3の(a)に示すように、第1変化量(ΔV1)の基準値更新変化量の最大値以上であり、後述するふきこぼれ判定変化量である第2変化量(ΔV2)の最大値(ΔV)までの範囲である。実施の形態1において、第1変化範囲(CL1)の具体的な範囲としては、「3〜12digit」である。ここで、「digit」は、8bit(255digit)分解能のことを示し、1bitは0.0195Vとなる。
上記のように、異常状態が発生していない通常の誘導加熱動作、すなわち、電極9の静電容量が急激に変化しない状態においては、現時点の静電容量信号(Vc(n))と前回検出された静電容量信号(Vc(n−1))である基準値(Vo)とが比較され、その変化量は第1変化量(ΔV1:例えば、3digit)未満(境界点を含まず)であるため、その時検出された静電容量信号(Vc(n))が基準値(Vo)として新たに登録され、記憶部12に記録される。また、変化量がタイマーカウント開始から5秒間の間に第1変化範囲(CL1)内に留まった場合にも同様に、基準値(Vo)は新たに登録され、タイマーのカウントをクリアする。このように、実施の形態1の誘導加熱調理器において、通常の誘導加熱動作においては、検出された静電容量信号(Vc)が検知期間(例えば、1秒)毎に最新の基準値(Vo)と比較される。
[タイマーカウントが継続し、静電容量信号(Vc)の変化量がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)を越えた場合]
次に、ふきこぼれ検知部11においては、静電容量信号(Vc(n))がタイマーカウント開始時の点Aの記憶された基準値(Vo)と比較してふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上に変化している場合の動作について説明する。
図3の(a)のグラフにおいて、静電容量検知信号(Vd)、即ち静電容量信号(Vc)が点Bで示すふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)を越えた時点において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、ふきこぼれ確定待機期間に入り、加熱を継続したまま2秒間(第2の所定時間)の待機を行う。点Bにおいて検出された静電容量信号(Vc(n))が基準値である点Aの記憶された基準値(Vo)と比較して第3変化量(ΔV3)以上であるため、タイマーカウント開始時の静電容量信号(点A)がそのまま基準値(Vo)として登録され続ける。図3の(a)においては、点Aにおける基準値(Vo)が基準値として固定される。このように、基準値更新停止期間においては基準値(Vo)が固定されて、その固定された基準値(Vo)に対する変化量が算出される。実施の形態1において、ふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)は「15digit」としている。
なお、静電容量信号(Vc)の変化量(ΔV(n))が第1変化量(ΔV1)を越えた基準値更新停止期間になった場合においても、次に検出された静電容量信号(Vc(n+1))が以前に記憶された基準値(Vo)に比べて、第1変化量(ΔV1)以内に戻った場合には、基準値更新停止期間が解除されて、タイマーカウントもクリアし、再度タイマーカウント条件が満たされるまで、基準値は記憶されることなく更新される。
[ふきこぼれ確定待機期間を経過した場合]
ふきこぼれ確定待機期間において、静電容量信号(Vc)がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上になった場合、2秒間所定の加熱を継続し、2秒後に加熱を停止させ、ふきこぼれ検知の報知を行う。
実施形態1の誘導加熱調理器においては、検出された静電容量信号(Vc(n))がふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3)以上となったふきこぼれ検出期間において、インバータ4の加熱出力を、誘導加熱動作の条件設定時に登録された第1設定値(P1:例えば、3kW)から第2設定値(P2:例えば、0W)に加熱停止させている。
上記のように、実施の形態1の誘導加熱調理器は、静電容量信号(Vc)の変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1)を越えたときから第1の所定時間(5秒間)経過後に始まるふきこぼれ判定期間において、ふきこぼれ発生の検知が確定したとき誘導加熱動作を停止若しくは低下させるよう構成されている。この状態が、図3の(a)及び(b)に示されている。図3の(a)及び(b)に示すように、静電容量信号(Vc)の基準値(Vo)からの変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1)以上のとき、タイマーカウントを開始し、第1変化範囲(CL1)内であり、且つタイマーカウントが第1の所定時間経過のとき、基準値更新期間が終了して、基準値更新停止期間に入る。第1変化範囲(CL1)は、タイマーカウント継続判定期間であり、基準値更新変化量である第1変化量ΔV1の最大値以上であり、ふきこぼれ判定変化量である第2変化量ΔV2(例えば、12digit)の最大値以下の範囲である。
基準値更新停止期間においては、タイマーカウント開始時において検出された静電容量信号(図3の(a)における点Aの静電容量電圧)が基準値(Vo)として記憶し用いられる。この記憶された基準値(Vo)において、検出された静電容量信号(Vc)が第3変化量(ΔV3)を超えたときから、第2の所定時間(2秒)を経てふきこぼれ判定が確定し、加熱出力は停止される。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、検知された静電容量の変化量が基準値更新変化量(ΔV1)以上のとき、ふきこぼれ検知部11は、基準値更新処理を禁止するとともに、タイマーは、カウントを開始して、カウント開始から第1の所定時間(例えば、5秒)の間、検知された変化量が継続して基準値更新変化量(ΔV1)以上であり前記ふきこぼれ確定変化量(ΔV3)以下の変化範囲内、若しくはこの変化範囲より狭い基準値更新変化量(ΔV1)以上でありふきこぼれ判定変化量(ΔV2)以下の変化範囲内にある場合、カウントを継続して、第1の所定時間より長い予め設定した最大カウント時間(例えば、60秒)経過するまでカウントを継続する。ふきこぼれ検知部11は、タイマーが最大カウント時間までカウントしたとき、基準値更新処理を再開する。
[メニュー表示]
図4Aから図4Eは、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18及び表示部20のメニュー表示部の状態を示しており、ふきこぼれ検知動作を設定する手順を示している。
図4Aは、実施の形態1の誘導加熱調理器が誘導加熱動作前である、使用者が加熱条件を設定するときの操作部18及び表示部20におけるメニュー表示部の表示状態図である。図4Aに示すように、メニュー表示部には「メニュー」の操作スイッチのみが表示されている。使用者が「メニュー」マークを選択(押圧)すると、図4Bに示すように、「メニュー」の他に、「加熱」、「鍋マーク」、「揚げ物」、「焼き物」、「やかんマーク」、「こげつき」及び「切/スタート」のマークが表示される。このとき、「加熱」のマークのみが点滅表示される。
図4Bに示す状態において、「切/スタート」マークを選択(押圧)すると、誘導加熱動作が開始されるとともに、こげつき検知動作が開始される。こげつき検知動作とは、加熱容器1の内容物のこげつきを検知するものであり、温度検知部17において急激な温度上昇などの情報に基づいて検知される。この誘導加熱動作のときには、こげつき検知動作のみが作動して、ふきこぼれ検知動作は開始されていない。
図4Bに示す状態において、「メニュー」マークを選択(押圧)すると、図4Cに示すようにメニュー表示部が表示される。図4Cに示すように、図4Bに示すメニュー表示部から、あらたに「ふきこぼれ」のマークが表示されるとともに、「加熱」及び「鍋マーク」が点滅表示される。すなわち、この状態において使用者が「切/スタート」マークを選択(押圧)することにより、誘導加熱動作が開始されるとともに、こげつき検知動作及びふきこぼれ検知動作が開始されることを示している。図4Dは誘導加熱動作中のメニュー表示部の表示状態を示している。図4Dに示すように、誘導加熱動作中は「加熱」、「鍋マーク」、「メニュー」及び「切/スタート」が表示されており、誘導加熱動作中において使用者はいつでもメニュー変更、若しくは誘導加熱動作を停止することが可能である。
上記のように、ふきこぼれ検知動作が設定された誘導加熱動作中において、前述のふきこぼれ検知動作の結果、ふきこぼれ判定が確定してふきこぼれ発生を検知すると、図4Eに示すように、メニュー表示部には「ふきこぼれ」が点滅表示される。なお、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれを検知するとメニュー表示部に「ふきこぼれ」が点滅表示される構成であるが、「ふきこぼれ」が点滅表示されるとともにふきこぼれ状態であることを音声にて報知する構成としてもよい。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器におけるメニュー表示部では、「メニュー」のマークを押圧して選択するたびに、「加熱」次に、「揚げ物」、「焼き物」、「やかんマーク」、そして「加熱」が順次点滅して、被加熱物の選択を行うよう構成されている。なお、「やかんマーク」は湯沸かし動作を示している。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18には、加熱ヒータの選択、温度設定(火力調整)、タイマー設定などの誘導加熱調理器において必要とされる操作スイッチ(左右の移動を示す矢印マーク、増減(+、−)を示すマークなど)が設けられている。
上記のように、本発明の誘導加熱調理器は、実施の形態において具体的に例示したように、加熱コイルの周囲近傍でトッププレート裏面に設けられた複数の円弧状の電極からの信号に基づいて、電極に生じた静電容量の変化量を精度高く検出して、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれの誤検出を大幅に低減するとともに、ふきこぼれの発生を確実に検出することができ、信頼性及び安全性の高い誘導加熱調理器となる。
本発明によれば、誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれを精度高く検知することができ、且つふきこぼれの誤検出を大幅に低減することができる誘導加熱調理器を提供することができる。
また、本発明の誘導加熱調理器は、勢いのないふきこぼれ検知の精度を向上させることができ、鍋の種類、調理メニュー、火力に関係なく、確実にふきこぼれを検知することができる。さらに、本発明の誘導加熱調理器は、小さい変化量での検出でも、2段階検知にすることにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができ、ふきこぼれの発生に関しては確実に検出することができる。
本発明の誘導加熱調理器は、加熱容器を載置するトッププレートと、トッププレートの下方に設けられ、加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、加熱コイルの周囲近傍でトッププレート裏面に設けられた複数の電極と、電極に高周波信号を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、検知された静電容量を基準値として記憶可能な記憶部と、インバータの加熱出力が誘導加熱開始時に設定された第1設定値(P1:例えば、3kW以下)になるように制御する制御部と、静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が基準値更新変化量である第1変化量(ΔV1:例えば、3digit)あった場合にタイマーをスタートさせ、変化量が第1変化範囲(CL1:例えば、3〜12digit)内で所定時間継続した場合に、タイマーを所定時間継続してカウントし、またそのときの基準値を記憶部にタイマーカウント終了まで記憶すると共に、記憶基準値からふきこぼれ確定変化量である第3変化量(ΔV3:例えば、15digit)以上の場合、予め設定された第2設定値(P2:例えば、0W)に加熱を停止するふきこぼれ検知部と、を備えている。
また、本発明の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれ検知部が、タイマー継続条件として第1変化範囲(CL1)内(境界点含まず)に第1の所定時間(例えば、5秒間)の間、留まった場合にタイマーカウントを継続させ、第1の所定時間内に第1変化範囲外(境界点含む)になった場合、タイマーカウントをクリアして、基準値を更新させる。このとき、継続してタイマーカウントが条件になった場合には、タイマーカウント終了(例えば、60秒)までに、第3変化量(ΔV3)以上になった時、加熱を停止若しくは低下させて、ふきこぼれ検知の報知を行うよう構成している。
このように構成された本発明の誘導加熱調理器は、勢いのないふきこぼれに対しても時間をかけて検知することができ、ふきこぼれ検知の精度を向上することができる。
また、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知を、第1変化範囲(CL1)の最大値(ΔV:12digit)が第3変化量(ΔV3)の閾値(最大値:15digit)と同等又は小さくなるように設定するとすることにより、鍋ずらしなどの誤検知に対し、1回のずらしでは誤検知が発生し難いような構成としてもよい。
また、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知部が、第1変化範囲内で第1の所定時間の条件を満たした場合、タイマーカウントを所定時間(例えば、最大カウント時間60秒間)継続する。その間、タイマーカウント開始時を静電容量の基準値(Vo)として記憶し、基準値からの変化量によりふきこぼれ判定を実行する。このとき、タイマーカウントが所定時間(例えば、最大カウント時間60秒)カウントまでするが、カウント終了でタイマーをクリアし、記憶基準値の更新を許可することにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができる。
さらに、本発明の誘導加熱調理器は、特に、ふきこぼれ検知部が、記憶基準値近辺まで現在値が近づいた場合、タイマーをクリアし、基準値の更新を行うことにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができる。
本発明によれば、勢いのないふきこぼれ検知の精度を向上することができ、鍋の種類、調理メニュー、火力に関係なく、確実に検知することができる。また、小さい変化量での検出でも、2段階検知にすることにより、ふきこぼれの誤検知の発生頻度を抑えることができ、ふきこぼれの発生に関しては確実に検出することができ、信頼性の高い誘導加熱調理器を提供することができる。
誘導加熱動作時に生じる加熱容器におけるふきこぼれ検知の精度を向上でき、また誤検出を大幅に低減することができる信頼性の高い誘導加熱調理器を市場に提供することができる。
1 加熱容器
2 トッププレート
4 インバータ
8 制御部
9 電極
10 静電容量検知部
11 ふきこぼれ検知部
12 記憶部
13 高周波信号発生器
14 整流部
15 電圧検知部
18 操作部
20 表示部

Claims (3)

  1. 加熱容器を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に設けられ、前記加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、
    前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、
    前記加熱コイルの周囲近傍で前記トッププレート裏面に設けられた電極と、
    前記電極に高周波電流を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、
    前記静電容量の変化量の測定をするための基準値記憶する記憶部と、
    前記インバータの出力が出力設定部で設定された第1設定値になるように制御し、タイマーを有する制御部と、
    前記基準値に対する前記静電容量の変化量がふきこぼれ確定変化量以上となった後に、加熱動作を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1設定値より低い第2設定値に低減するふきこぼれ検知部と、を備え、
    前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量より小さい基準値更新変化量未満である状態が所定期間継続すると、前記所定期間に検知した前記静電容量を前記基準値と置き換えて前記記憶部に記憶する基準値更新処理を行い、
    前記変化量が前記基準値更新変化量以上のとき、前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止するとともに、前記タイマーは、カウントを開始して、カウント開始から第1の所定時間の間、前記変化量が継続して前記基準値更新変化量以上であり前記ふきこぼれ確定変化量以下の変化範囲内又は前記変化範囲より狭い変化範囲内にある場合、前記第1の所定時間より長い予め設定した最大カウント時間経過するまでカウントを継続し、
    前記ふきこぼれ検知部は、前記タイマーが前記最大カウント時間までカウントすると、前記基準値更新処理を再開するよう構成された誘導加熱調理器。
  2. 前記ふきこぼれ検知部は、前記変化量が前記ふきこぼれ確定変化量以上の場合になってから第2の所定時間経過した後、加熱を停止するか又は前記インバータの出力を前記第1の設定値より低い第2の設定値に設定するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記ふきこぼれ検知部は、前記基準値更新処理を禁止してから前記変化量が前記基準値更新変化量未満になると、前記基準値更新処理を再開するよう構成された請求項1又は2に記載の誘導加熱調理器。
JP2012519285A 2010-06-10 2011-06-10 誘導加熱調理器 Withdrawn JPWO2011155222A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010132673 2010-06-10
JP2010132673 2010-06-10
PCT/JP2011/003308 WO2011155222A1 (ja) 2010-06-10 2011-06-10 誘導加熱調理器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2011155222A1 true JPWO2011155222A1 (ja) 2013-08-01

Family

ID=45097837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012519285A Withdrawn JPWO2011155222A1 (ja) 2010-06-10 2011-06-10 誘導加熱調理器

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2011155222A1 (ja)
WO (1) WO2011155222A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6157159B2 (ja) * 2013-03-14 2017-07-05 三菱電機株式会社 飛沫水検知装置及びそれを備えた空気調和装置並びにそれを備えた空気調和システム
CN107198433B (zh) * 2016-03-18 2023-04-18 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 一种功能菜单显示方法、装置及电烹饪器

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4578463B2 (ja) * 2006-12-26 2010-11-10 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器

Also Published As

Publication number Publication date
WO2011155222A1 (ja) 2011-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5830690B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5838364B2 (ja) 誘導加熱調理器
WO2010079583A1 (ja) 誘導加熱装置
EP2827679B1 (en) Induction heat cooker
US9462639B2 (en) Induction heating cooker
WO2011155222A1 (ja) 誘導加熱調理器
JP4893014B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5747178B2 (ja) 誘導加熱調理器およびそのプログラム
JP5830665B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5527042B2 (ja) 加熱調理器
JP5830664B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5295285B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5828083B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP5675657B2 (ja) 誘導加熱調理器及びその制御方法
JP5828082B2 (ja) 誘導加熱調理器

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20140902