JP5830664B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
加熱容器(1)を載置する天板(2)と、
前記天板の下方に設けられ、前記加熱容器(1)を誘導加熱する加熱コイル(3)と、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ(4)と、
前記加熱コイルの周囲近傍で前記天板裏面に設けられた電極(9)と、
前記電極に高周波信号を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部(10)と、
検知された静電容量を基準値として記憶可能な記憶部(12)と、
前記インバータの加熱出力が設定された第1設定値(例えば、3kW以下)になるように制御する制御部(8)と、
前記電極の静電容量が所定条件を満たすとき、当該静電容量を基準値として前記記憶部に記憶させる基準値更新処理を実行し、前記静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が出力低減閾値(例えば、14digit)以上となってから以降において、前記インバータの加熱出力を予め設定された第2設定値(例えば、0.3kW)に低減するか又は加熱動作を停止する出力抑制動作を行うふきこぼれ検知部(11)と、を備え、
前記ふきこぼれ検知部(11)は、第1所定時間(例えば、1秒)内において検知された静電容量の基準値に対する変化量が、前記出力低減閾値より小さい基準値更新停止閾値(例えば、3digit)未満の場合、当該第1所定時間内に検知された静電容量を基準値として更新して前記記憶部に記憶させる基準値更新処理を実行し、前記第1所定時間(例えば、1秒)内において検知された静電容量の基準値に対する変化量が前記基準値更新停止閾値以上である場合、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させる基準値更新停止処理を実行するよう構成された誘導加熱調理器。このように構成された第1の観点の誘導加熱調理器は、加熱時に生じる加熱容器におけるふきこぼれの誤検出を大幅に低減することができる。
図1Aは、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。図1Bは、実施の形態1の誘導加熱調理器における静電容量検知部の構成を示す回路図である。図1Aにおいて、実施の形態1の誘導加熱調理器は、加熱容器(例えば、鉄製の鍋など)1が載置される天板(トッププレート)2と、天板2の下方に設けられ、高周波電流が供給されると高周波磁界を発生して対向して配置された加熱容器1の底面を誘導加熱する加熱コイル3と、IGBTなど1つ以上のスイッチング素子4aを含み加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ4と、交流電源6を整流してインバータ4に直流電流を供給する整流器5と、加熱コイル3に流れる加熱コイル電流をモニターするカレントトランス7aaと、インバータ4の加熱出力に対応する加熱コイル電流(高周波電流)を検知し負荷移動検知部として機能する加熱コイル電流検知部7aと、インバータ4の入力電流をモニターするカレントトランス7bbと、カレントトランス7bbの出力信号を入力してインバータ4の加熱出力に対応する入力電流(低周波電流)を検知し負荷移動検知部として機能する入力電流検知部7bと、スイッチング素子4aのオン時間をモニターするオン時間検知部7cと、加熱コイル電流検知部7aから出力される加熱コイル電流検知信号及び入力電流検知部7bから出力される入力電流検知信号に基づきインバータ4の加熱出力を可変するように駆動制御する制御部8と、天板2の裏面(図1Aにおいて、加熱容器1が載置されている面を表面として、その反対側の面)に導電性の良い材料で帯状にパターン印刷された複数の電極9と、各電極9の静電容量を検知する静電容量検知部10と、静電容量検知部10において検知された静電容量の大きさ、所定の期間毎に検知した加熱コイル電流検知部7aで検知された加熱コイル電流の大きさ及び所定の期間毎に入力電流検知部7bにおいて検知された入力電流の大きさを記憶する記憶部12と、静電容量検知信号及び加熱出力検知信号(加熱コイル電流検知信号または入力電流検知信号を含む)などに基づいて加熱容器1のふきこぼれ状態を検知するふきこぼれ検知部11と、を有して構成されている。なお「電極の静電容量を検知する」とは、「電極と所定の電位(例えば、静電容量検知部10のコモン電位または、アース電位など)と電極間の静電容量の大きさの大小を検知する」ことをいう。また、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、加熱容器1におけるふきこぼれ状態を検知するための構成及び機能を主として説明するものであり、その他の状態を検知するための機能及び構成、例えば加熱容器1におけるずらし、浮かし、焦げ付き、及びナイフやフォークなどの小物負荷が天板2に載せられた場合の検知、などのふきこぼれ状態以外の状態検知機能などについての説明は省略しており、図1Aのブロック図においても、ふきこぼれ状態を検知する構成を説明するために必要な構成以外は省略している。
実施の形態1の誘導加熱調理器においては、ふきこぼれ状態の検知を、静電容量検知部10からの静電容量検知信号(Vd)、及び加熱コイル電流検知部7aから出力される加熱コイル電流検知信号と入力電流検知部7bから出力される入力電流検知信号などに基づいてふきこぼれ検知部11において行っている。
以下、図3の(a)に示す状態におけるふきこぼれ検知動作について説明する。
まず、加熱容器1に対する加熱開始の誘導加熱動作の初期段階(図3の(a)においては図示無し)においては、加熱容器1の内容物のふきこぼれはなく、静電容量検知部10の電圧検知部15により検知された静電容量検知信号(Vd)のふきこぼれによる変化はない。前述のように、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、誘導加熱動作の開始から一定の待機期間(例えば、5秒間)はふきこぼれ検知動作による加熱動作の停止または加熱出力の抑制動作を行わないよう構成されている。すなわち、待機時間が経過後において、ふきこぼれが起こっていると判断したときのみ、ふきこぼれ検知部11の検知結果に応じた加熱動作の停止または加熱出力の抑制動作を行う。
ふきこぼれ検知部11においては、ふきこぼれ検知動作の最初に検知された基準値検知期間(T0)における静電容量信号(Vc(1))が基準値(V0)として記憶部12に登録される。なお、最初の基準値(V0)に関しては、予め設定した値を用いてもよい。そして、2回目に検知された静電容量信号(Vc(2))は、登録された基準値(V0)と比較され、その変化量(ΔV(2))が検出される。検出された変化量(ΔV(2))が、予め設定された第1変化量(基準値更新停止閾値:ΔV1)未満であれば、そのときの静電容量信号(Vc(2))が基準値(V0)として記憶部12に登録される。このように、静電容量信号(Vc(n))と前回検出された静電容量信号(Vc(n−1))である基準値(電圧信号)とが比較されて、その変化量(ΔV)が検出され、閾値である第1変化量と比較されている。ここで、「Vc(n)」は現時点において検出された静電容量信号を示す。
次に、ふきこぼれ検知部11において、静電容量信号(Vc(n))が基準値(V0)と比較して第1変化量(基準値更新停止閾値:ΔV1)以上に変化している場合の動作について説明する。
図3の(a)のグラフにおいて、静電容量検知信号(Vd)すなわち静電容量信号(Vc)が点Bで示す第1変化量(ΔV1)を越えた時点(時点t2)において、実施の形態1の誘導加熱調理器は、基準値更新停止期間に入り、前述の基準値更新処理を禁止する基準値更新停止処理を実行する。すなわち、検出された静電容量信号(Vc(n))が基準値である前回の静電容量信号(Vc(n−1))に比して第1変化量(ΔV1)以上であるため、前回の静電容量信号(Vc(n−1))がそのまま基準値(V0)として登録され続ける。図3の(a)においては、点Aにおける基準値(V0)が基準値として固定される。このため、次回の静電容量信号(Vc(n+1))は、基準値(V0)として登録されている前回の静電容量信号(Vc(n−1))と比較されて、変化量(ΔV(n+1))が算出される。このように、基準値更新停止期間においては基準値(V0)が固定されて、その固定された基準値(V0)に対する変化量が算出される。本実施の形態1においては基準値更新停止期間を例えば約3秒とする。
基準値更新停止状態(基準値更新停止期間)において、検出された現時点の静電容量信号(Vc(n))が以前に登録された基準値(V0)に比べて、第1変化量(ΔV1)を越え、さらに第2変化量(出力低減閾値:ΔV2)以上となった場合(Cで示す時点t3)には、実施の形態1の誘導加熱調理器においては基準値更新停止期間が終了するまでの期間であるふきこぼれ検出期間に入る。実施の形態1の誘導加熱調理器において、ふきこぼれ検出期間とするか否かの閾値となる第2変化量(ΔV2)である出力低減閾値は、例えば、「14digit」としている。ここで、「14digit」とは約0.27Vを示している。なお、「1digit」とはデジタル表示の最小単位を示している。検出された現時点の静電容量信号(Vc(n))が基準値(V0)に比べて第1変化量(出力低減閾値:ΔV1)を越えた時からふきこぼれ判定期間終了後(時点t4)にふきこぼれの判定が確定するよう設定されている。
図4Aから図4Eは、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18及び表示部20のメニュー表示部の状態を示しており、ふきこぼれ検知動作を設定する手順を示している。
図4Aは、実施の形態1の誘導加熱調理器が誘導加熱動作前である、使用者が加熱条件を設定するときの操作部18及び表示部20におけるメニュー表示部の表示状態図である。図4Aに示すように、メニュー表示部には「メニュー」の操作スイッチのみが表示されている。使用者が「メニュー」マークを選択(押圧)すると、図4Bに示すように、「メニュー」の他に、「加熱」、「鍋マーク」、「揚げ物」、「焼き物」、「やかんマーク」、「こげつき」及び「切/スタート」のマークが表示される。このとき、「加熱」のマークのみが点滅表示される。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器における操作部18には、加熱ヒータの選択、温度設定(火力調整)、タイマー設定などの誘導加熱調理器において必要とされる操作スイッチ(左右の移動を示す矢印マーク、増減(+,−)を示すマークなど)が設けられている。
3 加熱コイル
4 インバータ
5 整流器
6 交流電源
7a 加熱コイル電流検知部(負荷移動検知部)
7b 入力電流検知部(負荷移動検知部)
7c オン時間検知部(負荷移動検知部)
8 制御部
9 電極
9a〜9f 電極
10 静電容量検知部
11 ふきこぼれ検知部
12 記憶部
13 高周波信号発生器
14 整流部
15 電圧検知部
18 操作部
20 表示部
Claims (11)
- 加熱容器を載置する天板と、
前記天板の下方に設けられ、前記加熱容器を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータと、
前記加熱コイルの周囲近傍で前記天板裏面に設けられた電極と、
前記電極に高周波信号を供給して前記電極の静電容量を検知する静電容量検知部と、
検知された静電容量を基準値として記憶可能な記憶部と、
前記インバータの加熱出力が設定された第1設定値になるように制御する制御部と、
前記電極の静電容量が所定条件を満たすとき、当該静電容量を基準値として前記記憶部に記憶させる基準値更新処理を実行し、前記静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が出力低減閾値以上となってから以降において、前記インバータの加熱出力を予め設定された第2設定値に低減するか又は加熱動作を停止する出力抑制動作を行うふきこぼれ検知部と、を備え、
前記ふきこぼれ検知部は、第1所定時間内において検知された静電容量の基準値に対する変化量が、前記出力低減閾値より小さい基準値更新停止閾値未満の場合、当該第1所定時間内に検知された静電容量を基準値として更新して前記記憶部に記憶させる基準値更新処理を実行し、前記第1所定時間内において検知された静電容量の基準値に対する変化量が前記基準値更新停止閾値以上である場合、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させる基準値更新停止処理を実行するよう構成された誘導加熱調理器。 - 前記ふきこぼれ検知部は、前記第1所定時間内において前記電極の静電容量を複数回検知し、検知された複数の静電容量の平均値の基準値に対する変化量が前記基準値更新停止閾値未満の場合、当該第1所定時間内において検知された複数の静電容量の平均値を新たな基準値として更新するよう前記記憶部に記憶させるよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記第1所定時間内において前記電極の静電容量を複数回検知し、検知された複数の静電容量の平均値の基準値に対する変化量が前記基準値更新停止閾値以上である場合、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させるよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記第1所定時間内において前記電極の静電容量を複数回検知し、複数回検知された最終回の静電容量の基準値に対する変化量が基準値更新停止閾値未満の場合、当該第1所定時間内において検知された最終回の静電容量を基準値として更新するよう前記記憶部に記憶させるよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記第1所定時間内において前記電極の静電容量を複数回検知し、複数回検知された最終回の静電容量の基準値に対する変化量が基準値更新停止閾値以上である場合、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させるよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記第1所定時間内において前記電極の静電容量を複数回検知し、複数回検知された複数の静電容量における基準値に対する変化量が基準値更新停止閾値以上となったとき、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させるとともに、新たに第1所定時間の計測を開始して、前記記憶部に対して基準値更新処理を実行させるよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、誘導加熱動作の開始、若しくは誘導加熱動作に対する前記第1設定値を変更してから一定時間の間、前記静電容量検知部において検知された静電容量と基準値とを比較して変化量を算出するふきこぼれ検知動作を停止するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 複数の前記電極を備え、前記ふきこぼれ検知部は、いずれか1つの電極における静電容量の基準値に対する変化量が前記出力低減閾値より大きい場合、前記インバータの加熱出力を前記第2設定値に低減するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記記憶部に対する基準値の更新を停止させる基準値更新停止期間において、検出された静電容量が前記基準値更新停止期間における最小の静電容量に対して所定値以上に増大したとき、前記記憶部に前記基準値更新停止期間を解除して、検知された静電容量を基準値として更新して前記記憶部に記憶させる基準値更新期間とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が出力低減閾値以上となった時点から所定の遅延期間を設けて、前記出力抑制動作を行うと共に、前記遅延期間内においてふきこぼれでないと判断すると前記出力抑制動作を行わないよう構成した請求項1乃至9のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記ふきこぼれ検知部は、前記静電容量検知部において検知された静電容量における基準値に対する変化量が前記出力低減閾値以上となった時点を含む所定期間内の前記インバータにおける高周波電流若しくは高周波電圧、入力電流又は前記インバータのスイッチング素子の導通期間の変化が所定値以内であれば前記出力抑制動作を行うよう構成された請求項10に記載の誘導加熱調理器。
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