JP5323636B2 - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、車両用ブレーキ液圧制御装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。
この車両用ブレーキ液圧制御装置では、主に、マスタシリンダ側から車輪ブレーキのホイールシリンダ(以下、単に車輪ブレーキと称することがある)へのブレーキ液圧の伝達を許容する入口弁と、車輪ブレーキ内の液圧を逃がす出口弁と、出口弁の開放により逃がされたブレーキ液圧を吸収するリザーバ等を主に備えており、ポンプを有さない液圧回路となっている。そして、この車両用ブレーキ液圧制御装置では、ブレーキレバーを操作して車輪ブレーキにブレーキ液圧が作用している状態において、車輪がロックしそうになると、アンチロックブレーキ制御が行われる。
そして、アンチロックブレーキ制御において、ブレーキ液圧を減圧させる減圧制御が実行されると、入口弁が閉弁し、出口弁が開弁する。このようにすると、入口弁よりも車輪ブレーキ側にあるブレーキ液がリザーバに流入することになるので、車輪ブレーキに作用していたブレーキ液圧が減圧することになる。
ところで、車両用ブレーキ液圧制御装置では、最低必要な制動力を確保するというフェールセーフ機能を実現できるように、リザーバの容量が少量に設定されていた。このため、減圧制御時の制御時間を長くとることが難しかった。
この点、出口弁の開放により逃がされたブレーキ液を、マスタシリンダのリザーバタンクで吸収するようにした車両用ブレーキ液圧制御装置が開示されている(特許文献2参照)。
この車両用ブレーキ液圧制御装置では、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時に、出口弁から逃がされたブレーキ液をマスタシリンダのリザーバタンクに流入させることができ、減圧制御時の制御時間を長くとることが可能である。
特開平9−207739号公報 特表2007−520391号公報
しかしながら、前記した特許文献2の車両用ブレーキ液圧制御装置では、通常のブレーキ時に出口弁からブレーキ液が流出するような事態が万一生じると、出口弁から流出したブレーキ液がマスタシリンダのリザーバタンクに流入するおそれがあるので、最低必要な制動力を確保するというフェールセーフ機能をより高めておく必要がある。
本発明は、減圧制御時の制御時間を長くとることができるとともに、フェールセーフ機能の確実性を高めることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために創案された本発明は、マスタシリンダと車輪ブレーキのホイールシリンダとの間に配置され、常開型電磁弁および常閉型電磁弁を有し、アンチロックブレーキ制御を実行可能な車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記マスタシリンダに設けられた大気開放型のタンクと前記常閉型電磁弁との間を接続し、前記常閉型電磁弁を通じて逃がされた作動液を前記タンクに戻す開放路と、前記開放路に設けられ、前記マスタシリンダのブレーキ液圧と前記ホイールシリンダのブレーキ液圧との差圧を利用して作動し、前記開放路を遮断または開放する開放路用弁と、を具備し、前記開放路用弁は、常閉型の弁であり、シリンダと、前記シリンダ内に直列に配置された弁体およびピストンと、を備え、前記弁体は、前記開放路を遮断する第1の位置と、前記開放路を開放する第2の位置に移動可能であるとともに、第1の付勢手段によって前記第1の位置に向けて付勢されており、前記ピストンは、前記マスタシリンダのブレーキ液圧と前記ホイールシリンダのブレーキ液圧との間に差圧が生じると、差圧を利用した推力で前記弁体に向けて摺動し、前記第1の付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を前記第1の位置から前記第2の位置に押動することを特徴とする。
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、開放路には、マスタシリンダのブレーキ液圧とホイールシリンダのブレーキ液圧との差圧を利用して作動する開放路用弁が設けられているので、例えば、マスタシリンダのブレーキ液圧とホイールシリンダのブレーキ液圧との差圧が発生した場合に、開放路用弁を開弁させて開放路を開放することができ、差圧がなくなった場合に開放路用弁を閉弁させて開放路を遮断することができる。
これによって、例えば、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時には、マスタシリンダのブレーキ液圧と、減圧されたホイールシリンダのブレーキ液圧との間に生じる差圧で、開放路用弁を開弁し、常閉型電磁弁を通じて逃がされた作動液を、開放路を通じてマスタシリンダに戻すことができる。したがって、従来のように、リザーバにブレーキ液を流入させることのみによって、ブレーキ液圧の減圧を行っていた場合に比べて、減圧制御時の制御時間を長くとることができる。これによって、制御の自由度を高めることができる。
また、通常のブレーキ時には、マスタシリンダのブレーキ液圧とホイールシリンダのブレーキ液圧とが同圧になって差圧がなくなるので、開放路用弁を閉弁して開放路を閉塞することができる。
したがって、通常のブレーキ時において、万が一に、常閉型電磁弁から開放路に作動液が流出するような事態が生じたとしても、閉弁した開放路用弁によって開放路の通流が遮断され、マスタシリンダに作動液が戻ることを阻止することができる。
これによって、フェールセーフ機能の確実性を高めることができる。
また、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時に、マスタシリンダのブレーキ液圧とホイールシリンダのブレーキ液圧との間に差圧が生じてこれが開弁圧になると、ピストンは、差圧を利用した推力で弁体に向けて摺動し、第1の付勢手段の付勢力に抗して弁体を第1の位置から第2の位置に押動する。これによって、開放路が開放される。
したがって、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時に、常閉型電磁弁を通じて逃がされた作動液が、開放路を通じてマスタシリンダに戻されることとなり、従来のように、リザーバにブレーキ液を流入させることのみによって、ブレーキ液圧の減圧を行っていた場合に比べて、減圧制御時の制御時間を長くとることができるようになる。したがって、制御の自由度を高めることができる。
また、アンチロックブレーキ制御の減圧制御が終了する時や、通常ブレーキ時には、マスタシリンダのブレーキ液圧とホイールシリンダのブレーキ液圧との差圧がなくなり、差圧を利用した推力が消滅して、ピストンによる押動が解除される。これによって、弁体が第1の付勢手段の付勢力によって第2の位置から第1の位置に戻され、開放路が閉塞される。したがって、マスタシリンダに作動液が戻ることが阻止される。
また、このようにアンチロックブレーキ制御の減圧制御時に生じた差圧で自動的に開放路用弁が開弁し、その後、差圧がなくなることによって自動的に開放路用弁が閉弁するようになっているので、例えば、電磁弁を用いて開放路を開閉制御するようにしたものに比べて、複雑な制御を必要とせず、差圧を利用した簡単な制御で開放路の開放または閉塞を簡単に行うことができる。
また、開放路用弁の開閉に電力を消費しないので、消費電力の低減を図ることのできる車両用ブレーキ液圧制御装置が得られる。
また、本発明は、前記ピストンは、シール部材を介して、一端面に、前記ホイールシリンダのブレーキ液圧が作用する車輪ブレーキ液圧室と、前記一端面の反対側となる他端面に、マスタシリンダのブレーキ液圧が作用するマスタシリンダ液圧室とを区画しており、さらに、第2の付勢手段によって前記他端面側に付勢されており、前記マスタシリンダのブレーキ液圧により生じる第1の推力が、前記ホイールシリンダのブレーキ液圧により生じる第2の推力、および前記第2の付勢手段による付勢力の合力よりも大きい場合に、前記一端面側に摺動して前記弁体を押動する構成とするのがよい。
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、ピストンは、マスタシリンダのブレーキ液圧により生じる第1の推力が、ホイールシリンダのブレーキ液圧により生じる第2の推力、および第2の付勢手段による付勢力の合力よりも大きい場合に摺動して、弁体を押動するようになっているので、差圧を利用した簡単な構成でピストンに推力を生じさせることができる。
また、本発明は、前記ピストンが前記弁体に直接当接して前記弁体を押動するように構成されており、前記ピストンが前記弁体に向けて摺動する前の初期位置にあるときに、前記弁体と前記ピストンとの間には、寸法調整代となる隙間が形成されている構成とするのがよい。
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によれば、ピストンが弁体に向けて摺動する前の初期位置にあるときに、弁体とピストンとの間には、寸法調整代となる隙間が形成されているので、弁体とピストンとの間に寸法公差や組付公差を考慮した十分な距離を確保することができる。これによって、初期位置においてピストンが弁体に当接することがなくなり、弁体は、第1の付勢手段によって第1の位置に確実に保持される。したがって、開放路の閉塞状態を良好に維持することができる。
本発明の車両用ブレーキ液圧制御装置によると、減圧制御時の制御時間を長くとることができるとともに、フェールセーフ機能の確実性を高めることができる。
本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。 マスタシリンダの構造を示す拡大断面図である。 第1実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置の開放路用弁を示す模式構造図である。 (a)〜(c)は開放路用弁の動作を示す模式説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)Uは、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置Uを自動二輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置Uが搭載される車両を限定する趣旨ではない。
ブレーキ制御装置Uは、前輪側のブレーキ系統K1および後輪側のブレーキ系統K2を備えて構成される。前輪側のブレーキ系統K1は、ブレーキレバーL1の操作に応じて前輪の車輪ブレーキFを制動するものであり、車輪ブレーキFに付与する制動力を制御手段としての制御装置6により適宜制御することによって、車輪ブレーキFのアンチロックブレーキ制御が可能になっている。後輪側のブレーキ系統K2は、ブレーキレバーL2の操作で車輪ブレーキRが直接作動されるコンベンショナルブレーキとして構成されている。
以下、図1に示すブレーキ液圧回路を詳細に説明する。
ブレーキ系統K1は、マスタシリンダMC1に通じる入口ポートJ1から出口ポートJ2に至る流路を備えている。また、マスタシリンダMC1の戻し口11bに通じる開放ポートJ3を備えている。なお、マスタシリンダMC1と入口ポートJ1との間は、配管H1で接続され、出口ポートJ2は、配管H2を通じて前輪の車輪ブレーキF(車輪ブレーキFのホイールシリンダ)に接続されている。また、開放ポートJ3と戻し口11bとの間は、配管H3で接続されている。
マスタシリンダMC1は、作動液としてのブレーキ液を貯蔵するオイルリザーブタンク10Aが接続されたシリンダ10を有しており、シリンダ10内にはブレーキレバーL1の操作によりシリンダ10の軸方向へ摺動してブレーキ液を流出するピストン11が組み付けられている。
ピストン11の外周には、図2に示すように、その軸方向に間隔をあけて並ぶ一対のカップシール12,13が装着されており、これらのカップシール12,13は、シリンダ10の内周面に摺動自在に密接する。
カップシール12とシリンダ10の端壁との間には、油圧室14が形成され、この油圧室14にピストン11を後退方向(図中右方向)へ付勢する戻しばね15が縮設されている。油圧室14には、ブレーキ液の出入口15aが形成されている。出入口15aには、配管H1が接続されている。
また、両カップシール12、13間には、ピストン11の外周に環状の補給油室11aが形成されている。そしてこの補給油室11aに連通するように、ブレーキ液の戻し口11bが形成されている。戻し口11bには、配管H3が接続されている。
シリンダ10とオイルリザーブタンク10Aとの間には、ピストン11が最後退位置に位置するときに、カップシール12の直前で油圧室14およびオイルリザーブタンク10A間を連通するリリーフポート16と、ピストン11の進退動にかかわらず、常に、補給油室11aおよびオイルリザーブタンク10A間を連通するサプライポート17とが設けられている。
これによって、ピストン11が最後退位置に位置するとき、油圧室14の圧力は、リリーフポート16を介してオイルリザーブタンク10A内に開放されているが、ブレーキレバーL1の操作によりピストン11が前進駆動され、カップシール12がリリーフポート16を横切ると、油圧室14に油圧を発生させることができる。また、ピストン11の後退時に油圧室14が補給油室11aの圧力以下に減圧すると、両室の圧力差によってカップシール12の外周リップ部が収縮し、ピストン11の左端部外周部を通して、補給油室11aから油圧室14へブレーキ液が流入する。これによって、ブレーキ液の補給が行われる。
また、シリンダ10には、ストッププレート18、ダストブーツ19等が組み付けられている。また、オイルリザーブタンク10Aの底部には、オイルリザーブタンク10Aの内部で波立により気泡が発生したときに、その気泡がシリンダ内に入るのを防止するプロテクタ20が組み付けられ、オイルリザーブタンク10Aの上部開口には、ねじ孔21aに螺着されるねじ21によりダイヤフラム22を介してリザーバキャップ23が固着される。
次に、図1を参照して、ブレーキ系統K1について説明する。
ブレーキ系統K1は、前輪制御弁部1と、チェック弁5と、リザーバ4(減圧用のリザーバ)と、開放路用弁(常閉型の弁)30と、制御装置6と、を備えている。前輪制御弁部1は、入口弁2と、出口弁3と、チェック弁2aとを備えている。
なお、ここでは、入口ポートJ1から入口弁2に至る流路(油路)を「出力液圧路D1」と称し、入口弁2から出口ポートJ2に至る流路を「車輪液圧路E1」と称し、車輪液圧路E1から出口弁3を通じてリザーバ4に至り、リザーバ4から開放路用弁30に至る流路を「開放路Q1」と称し、開放路用弁30を通じて開放ポートJ3に至る流路を「開放路Q2」と称し、開放路Q1からチェック弁5を通じて出力液圧路D1に至る流路を「戻り路T1」と称する。
また、出力液圧路D1から開放路用弁30に至る流路を「出力液圧分岐路D2」と称し、車輪液圧路E1から開放路用弁30に至る流路を「車輪液圧分岐路E2」と称する。
前輪制御弁部1は、車輪液圧路E1を開放(入口弁2が開)しつつ開放路Q1を遮断(出口弁3が閉)する状態(通常ブレーキ時、あるいはアンチロックブレーキ制御における増圧制御時)、車輪液圧路E1を遮断(入口弁2が閉)しつつ開放路Q1を開放(出口弁3が開)する状態(アンチロックブレーキ制御における減圧制御時)、および車輪液圧路E1と開放路Q1とを遮断(入口弁2、出口弁3が閉)する状態(アンチロックブレーキ制御における保持制御時)を切り換える機能を有している。
入口弁2は、出力液圧路D1と車輪液圧路E1との間に介設された常開型電磁弁である。入口弁2は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMC1からのブレーキ液圧が出力液圧路D1から車輪液圧路E1を通じて車輪ブレーキFへ伝達するのを許容している。
また、入口弁2は、前輪がロックしそうになったときに制御装置6の制御により閉塞されることで、マスタシリンダMC1からのブレーキ液圧が出力液圧路D1から車輪液圧路E1を通じて車輪ブレーキFへ伝達するのを遮断する。
出口弁3は、車輪液圧路E1と開放路Q1との間に介設された常閉型電磁弁である。出口弁3は、通常時に閉塞されているが、前輪がロックしそうになったときに制御装置6の制御により開放されることで、車輪ブレーキFに作用するブレーキ液圧を車輪液圧路E1から開放路Q1に逃がす(アンチロックブレーキ制御における減圧制御時)。これにより、開放路Q1に逃がされたブレーキ液は、リザーバ4へ一時的に流入しつつ、後記するように開弁された開放路用弁30を通じて開放路Q2を流れ、マスタシリンダMC1に戻される。
チェック弁2aは、入口弁2に並列に接続されている。このチェック弁2aは、車輪ブレーキF側からマスタシリンダMC1側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキレバーL1からの入力が解除された場合に、入口弁2を閉じた状態にしたときにおいても、車輪ブレーキF側からマスタシリンダMC1側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ4は、開放路Q1に設けられており、出口弁3が開放されることによって車輪液圧路E1から逃がされるブレーキ液を一時的に貯溜する機能を有している。リザーバ4に一時的に貯溜されたブレーキ液は、内部に備わるばね4aの弾発力によって、開放路Q1に押し出され、開放路用弁30、開放路Q2を通じてマスタシリンダMC1に戻される。
チェック弁5は、戻り路T1に設けられた一方向弁である。チェック弁5は、開放路Q1側からマスタシリンダMC1側へのブレーキ液の流入のみを許容し、ブレーキレバーL1からの入力が解除された場合に、リザーバ4側からマスタシリンダMC1側へのブレーキ液の流入を許容する。
開放路用弁30は、開放路Q1、Q2の間に設けられた常閉型の弁である。開放路用弁30は、通常時に閉塞されているが、前輪がロックしそうになったときに(アンチロックブレーキ制御時に)、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧と、車輪ブレーキFのホイールシリンダのブレーキ液圧(以下、単に車輪ブレーキFのブレーキ液圧と称する)と、の差圧を利用して開弁されるように構成されている。開放路用弁30が開弁されることで、出口弁3を通じて開放路Q1に逃がされたブレーキ液が開放路用弁30から開放路Q2を通じてマスタシリンダMC1に戻される。開放路用弁30の詳細な説明は後記する。
一方、第2のブレーキ系統K2は、前記したように後輪を制動するためのものであり、液圧源であるマスタシリンダMC2から配管H4を通じて後輪の車輪ブレーキRに接続されている。
これによって、ブレーキレバーL2を操作するとマスタシリンダMC2からのブレーキ液が車輪ブレーキRに直接作用するようになっている。
なお、第2のブレーキ系統K2は、配管H4に代えてワイヤーを用い、ブレーキレバーL2の操作力がワイヤーを介して車輪ブレーキRに直接伝達されるように構成してもよい。
制御装置6には、図示しない車輪に付設された車輪速度センサ等からの計測値が入力され、制御装置6は、前記計測値に基づいてブレーキ系統K1の入口弁2および出口弁3の作動を制御する。
開放路用弁30は、図3に示すように、シリンダ30aと、シリンダ30a内に配置された弁体31とピストン32とを備える。
シリンダ30aは、円筒状を呈しており、軸方向に相互に連通する段付き円筒状の収容室S1、S2を備えている。収容室S1内には、弁体31が配置され、また、収容室S2内には、ピストン32が配置されている。
収容室S1は、第1孔壁部311と、この第1孔壁部311よりも小径とされた第2孔壁部312とを有している。第1孔壁部311の開口には、有底円筒状の蓋部材316が図示しないシール部材を介して装着されており、第1孔壁部311の内側には、蓋部材316に接続された開放路Q1を通じてブレーキ液の流入する流入室V1が形成されている。この流入室V1は、シール部材34aで他端側に隣接する流出室V2と区画されている。
なお、蓋部材316は、開口側から装着される図示しないリング状の抜け止め部材で固定されている。
収容室S1に配置される弁体31は、段付き円柱状を呈しており、収容室S1内で軸方向に摺動して開放路Q1と開放路Q2との間を連通または遮断する開閉弁の役割をなしている。
具体的に、弁体31は、第1孔壁部311内に摺動可能に配置された大径部31Aと、第2孔壁部312内に摺動可能に配置され、大径部31Aよりも小径とされた小径部31Bと、大径部31Aと小径部31Bとを連結する胴部31Cとを備えている。
大径部31Aは、弁として機能を有する部分であり、その一端面31aが蓋部材316の内面316aに対向し、他端面31a’が第1孔壁部311と第2孔壁部312との間に形成された段差面313に対向している。大径部31Aの一端面31aと蓋部材316の内面316aとの間には、第1の付勢手段としてのばね部材315が縮設されている。これによって、弁体31は、収容空間S1内において他端側へ向けて付勢されており、大径部31Aの他端面31a’が、段差面313に付勢力をもって当接する第1の位置を採るように構成されている。
本実施形態では、大径部31Aの他端面31a’に円環状の凹溝が形成され、この凹溝内にシール部材として機能する円環状の弾性部材34a(例えばOリング)が装着されている。したがって、ばね部材315の付勢力によって、弁体31が他端側に付勢されると、他端面31a’に装着された弾性部材34aが段差面313に弾性をもって液密に着座するようになっている。
一方、第2孔壁部312の内側には、流出室V2が形成される。
流出室V2は、第2孔壁部312の内面と、大径部31Aの他端面31a’と、小径部31Bの一端面31b’と、胴部31Cの外周面とで囲われることによって形成されており、略円筒状を呈している。
この流出室V2を構成している第2孔壁部312の内面には、開放路Q2の端部が開口しており、これによって、流出室V2と開放路Q2とが連通するように構成されている。
なお、流出室V2は、一端側をシール部材34aで流入室V1と区画され、他端側をシール部材34bで大気室V5と区画されている。
なお、弁体31の他端側へ向けた摺動は、第2孔壁部312の他端側に形成された段差面314に、小径部31Bの他端面31bが当接することで規制される。このように弁体31の他端側へ向けた摺動が規制された状態で、大径部31Aの弾性部材34aは、段差面313に対してシール性を確保する状態に密着するように構成されている。つまり、段差面313に対して弾性部材34aが必要以上に強く当接することがなくなり、弾性部材34aに変形等が生じることがない。したがって、耐久性に優れ、長期に亘って良好なシール性を確保することができる。
また、弁体31は、ピストン32に直接押動されることで一端側へ向けて摺動するようになっており、大径部31Aの他端面31a’が段差面313から離座する第2の位置を採り得る。つまり、弁体31は、弁体31に作用しているばね部材315の付勢力に抗する推力(第1の推力)でピストン32が一端側に摺動した際に、ピストン32に押動されて第2の位置に移動する(図4(c)参照)。弁体31が第2の位置に移動すると、大径部31Aの他端面31a’と段差面313との間を通じて流入室V1と流出室V2とが連通する。
収容室S2は、第3孔壁部323と、この第3孔壁部323よりも小径とされた第4孔壁部324と、この第4孔壁部324よりもさらに小径とされた第5孔壁部325とを有している。第3孔壁部323の開口には、有底円筒状の蓋部材326が図示しないシール部材を介して装着されている。蓋部材326に形成された有底円筒状の保持部326bには、大気側に連通する連通管A1の端部が開口している。
なお、蓋部材326は、開口側から装着される図示しないリング状の抜け止め部材で固定されている。
収容室S2に配置されるピストン32は、段付き円柱状を呈しており、収容室S2内でマスタシリンダMC1のブレーキ液圧と車輪ブレーキFのブレーキ液圧との差圧を利用して弁体31側に向けて摺動し、開放路Q1と開放路Q2との間が開放されるように(流入室V1と流出室V2とが連通するように)、弁体31を押動するようになっている。つまり、ピストン32は、弁体31を開弁させるための駆動装置として機能する。
具体的に、ピストン32は、第3孔壁部323内に摺動可能に配置された基部32Aと、この基部32Aの一端側に一体的に設けられ、第5孔壁部325に摺動可能に挿通される一端側挿入部32Bと、基部32Aの他端側に一体的に設けられ、蓋部材326の保持部326bに摺動可能に挿入される他端側挿入部32Cとを備えている。
基部32Aは、シール部材32c(Oリング)を介して第3孔壁部323に装着されており、シール部材32cを境にして、一端面32a側には、車輪ブレーキFのブレーキ液圧が導入される車輪ブレーキ液圧室V3が形成され、他端面32b側には、マスタシリンダMC1(図1参照)のブレーキ液圧が導入されるマスタシリンダ液圧室V4が形成されている。
ここで、車輪ブレーキ液圧室V3は、一端側をシール部材32e(Oリング)で大気室V5と区画され、他端側をシール部材32cで区画されている。また、マスタシリンダ液圧室V4は、一端側をシール部材32cで車輪ブレーキ液圧室V3と区画され、他端側をシール部材32dで連通管A1側と区画されている。
なお、車輪ブレーキ液圧室V3における段差部327と基部32Aの一端面32aとの距離をL1、蓋部材326の一端面326cとシール部材32dを収容する凹溝32fの一端部との距離をL2としたときに、L1<L2の関係となるように設定されている。これによって、シール部材32dの脱落が防止されている。
また、さらに、大気室V5における連通管A2の他端部とシール部材32eを収容する凹溝32gの一端部との距離をL3としたときに、L1<L3の関係となるように設定されている。これによって、シール部材32eが連通管A2を塞ぐことが防止されている。
車輪ブレーキ液圧室V3は、第3孔壁部323の内面と、第4孔壁部324の内面と、段差部327,328と、基部32Aの一端面32aと、一端側挿入部32Bの外周面とで囲われることによって形成されており、略段付き円筒状を呈している。
車輪ブレーキ液圧室V3を構成する第4孔壁部324の内面には、車輪液圧分岐路E2の端部が開口しており、これによって、車輪液圧路E1に作用するブレーキ液圧が車輪液圧分岐路E2を介して車輪ブレーキ液圧室V3に作用するようになっている。
なお、通常のブレーキ時において、車輪液圧路E1に作用するブレーキ液圧は、マスタシリンダMC1からのブレーキ液圧と同圧である。また、アンチロックブレーキ制御における減圧制御時には、車輪ブレーキFの減圧されたブレーキ液圧(マスタシリンダMC1からのブレーキ液圧よりも低いブレーキ液圧)が車輪ブレーキ液圧室V3に作用する。
車輪ブレーキ液圧室V3において、基部32Aの一端面32aと段差部328との間には、第2の付勢手段として機能するばね部材329が縮設されている。これによって、ピストン32は、収容室S2内において他端側へ向けて付勢されており、他端側挿入部32Cが、蓋部材326に形成された有底円筒状の保持部326bの底部に付勢力をもって当接するように構成されている。
ここで、ばね部材329は、第1の付勢手段としてのばね部材315よりもばね力が大きく(強く)設定されている。
本実施形態では、他端側挿入部32Cが、蓋部材326の保持部326bの底部に当接した状態をピストン32の初期位置としている。そして、この初期位置にピストン32が位置している状態で、一端側挿入部32Bの一端部に形成された突出部330の先端部と、弁体31における小径部31Bの他端面31bとの間には、寸法調整代となる隙間Pが形成されている。つまり、ピストン32が初期位置にあるときに、ピストン32は、弁体31に当接しない構造となっている。
本実施形態では、弁体31とピストン32との間に大気室V5を形成している。大気室V5は、弁体31の小径部31Bの他端面31bと、ピストン32の突出部330の先端部と、第5孔壁部325とで囲われることによって形成されており、大気側に連通する連通管A2の端部が第5孔壁部325の内面に開口している。
なお、大気室V5は、一端側をシール部材34bで流出室V2と区画され、他端側をシール部材32eで車輪ブレーキ液圧室V3と区画されている。
マスタシリンダ液圧室V4は、第3孔壁部323の内面と、基部32Aの他端面32bと、他端側挿入部32Cの外周面と、蓋部材326の一端面326cとで囲われることによって形成されており、円筒状を呈している。
マスタシリンダ液圧室V4を構成する第3孔壁部323の内面には、出力液圧分岐路D2の端部が開口しており、これによって、出力液圧路D1(図1参照)に作用するマスタシリンダMC1のブレーキ液圧が出力液圧分岐路D2を介してマスタシリンダ液圧室V4に作用するようになっている。
ここで、ピストン32は、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧により生じる推力(第1の推力)が、車輪ブレーキFのブレーキ液圧により生じる推力(第2の推力)、およびばね部材329による付勢力の合力よりも大きくなって、これが摺動抵抗等を考慮した開弁圧となると、一端面側に摺動して弁体31を押動するように、ばね部材329の付勢力の大きさと、基部32Aの一端面32aの受圧面積および他端面32bの受圧面積の大きさがそれぞれ調整されている。
そして、このような調整によって、ピストン32は、車輪ブレーキ液圧室V3とマスタシリンダ液圧室V4とに作用するブレーキ液圧が同圧である場合に、ばね部材329の付勢力によって初期位置に位置するように設定されている。また、前記した両ブレーキ液圧の間に差圧が生じてこれが開弁圧となったときに一端側へ摺動するように設定されている。
次に、このようなブレーキ制御装置Uによって実現される前輪側の通常のブレーキおよびアンチロックブレーキ制御について各図を参照して説明する。
(通常のブレーキ)
ブレーキレバーL1を操作して、マスタシリンダMC1のピストン11(図2参照、以下同じ)が前進動されると、マスタシリンダMC1の油圧室14(図2参照、以下同じ)がピストン11で圧縮される。これによって発生したブレーキ液圧は、出入口15a(図2参照)から、図1に示すように、配管H1を通じて入口ポートJ1に作用し、出力液圧路D1、入口弁2、車輪液圧路E1を通じて出口ポートJ2に作用し、配管H2を通じて車輪ブレーキFに作用する。
また、ブレーキレバーL1を戻すと、マスタシリンダMC1のピストン11が後退動され、油圧室14が広がって油圧室14にブレーキ液が戻され、油圧室14からリリーフポート16を経てオイルリザーブタンク10Aへ流入する。これによって、車輪ブレーキFは、ブレーキ液圧の不作動状態に戻る。
このような通常のブレーキ制動が行われている間、出口弁3は制御されずに閉じられた状態となっているので、出口弁3を通じて開放路Q1にブレーキ液が流出することはない。
また、通常のブレーキ制動が行われている間、開放路用弁30は、閉弁状態となっている。すなわち、図4(a)に示すように、開放路用弁30の車輪ブレーキ液圧室V3とマスタシリンダ液圧室V4とに作用するブレーキ液圧は基本的に同圧であるので、ピストン32は初期位置に保持されることとなる。
これによって、弁体31が閉弁状態となる第1の位置に保持され、開放路Q1と開放路Q2との間が弁体31によって閉塞される。したがって、開放路Q2からマスタシリンダMC1にブレーキ液が戻されることもない。
(アンチロックブレーキ制御)
次に、ブレーキレバーL1を操作して、車輪ブレーキFにブレーキ液圧が作用している状態において、車輪ブレーキFに接続された車輪にスリップ状態が発生して車輪がロックしそうになると、アンチロックブレーキ制御が行われる。
ここで、スリップ状態が発生しているか否かは、制御装置6によって判断され、スリップ状態が発生していると判断された場合に、制御装置6は、減圧、増圧および保持のいずれかのモードを選択する。
アンチロックブレーキ制御において、ブレーキ液圧を減圧させるモードが実行されると、入口弁2が閉弁し、出口弁3が開弁する。このようにすると、入口弁2よりも車輪ブレーキF側にあるブレーキ液が出口弁3から開放路Q1に流出することになるので、車輪ブレーキFに作用していたブレーキ液圧が減圧することになる。
そして、このようなブレーキ液圧の減圧が生じると、ブレーキレバーL1が操作し続けられていれば、入口弁2およびチェック弁2aを境にして、開放路用弁30のマスタシリンダ液圧室V4に作用しているブレーキ液圧と車輪ブレーキ液圧室V3に作用しているブレーキ液圧との間に差圧が生じ、これが開弁圧となると、図4(b)に示すように、ピストン32が一端側へ向けて摺動する。
これによって、ピストン32の一端側挿入部32Bの突出部330が弁体31の小径部31Bの他端面31bに当接し、さらに、図4(c)に示すように、ばね部材315の付勢力に抗して弁体31を一端側へ向けて押動する。
そうすると、弁体31が前記第1の位置から前記第2の位置に移動し、弁体31の大径部31Aの他端面31a’が、段差面313から離座して流入室V1と流出室V2とが連通する。
一方、減圧制御によって、出口弁3から開放路Q1に流出したブレーキ液は、開放路Q1を通じてリザーバ4に一時的に流入し、その後、開放路Q1に再び流出して開放路用弁30の流入室V1に流入する。
開放路用弁30では、前記したように弁体31が前記第1の位置から前記第2の位置に移動して、流入室V1と流出室V2とが連通した状態となっているので、流入室V1に流入したブレーキ液は、大径部31Aの他端面31a’と段差面313との間を通じて流出室V2に流入し、流出室V2から開放路Q2に流出する。
そして、開放路Q2に流出したブレーキ液は、図1に示すように、開放路Q2の下流の開放ポートJ3から配管H3を通じてマスタシリンダMC1内に流入し、その後、補給油室11aを通じてオイルリザーブタンク10Aに戻される。
このように、減圧制御時には、減圧制御時に生じる差圧を利用して開放路用弁30が自動的に開弁し、出口弁3から逃がされたブレーキ液が好適にマスタシリンダMC1に戻されることとなる。
次に、アンチロックブレーキ制御において、車輪ブレーキFに付与するブレーキ液圧を保持する保持制御が実行されると、入口弁2および出口弁3がともに閉弁する。このようにすると、入口弁2および出口弁3で閉じられた流路内にブレーキ液が閉じ込められることになるので、車輪ブレーキFに作用していたブレーキ液圧が保持されることになる。
このような保持制御が実行されている場合に、ブレーキレバーL1が操作し続けられていれば、入口弁2およびチェック弁2aを境にして、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧が車輪ブレーキFのブレーキ液圧よりも高くなって、マスタシリンダ液圧室V4に作用しているブレーキ液圧と車輪ブレーキ液圧室V3に作用しているブレーキ液圧との間に差圧が生じ、これが開弁圧(ばね部材315の付勢力)になると、ピストン32が減圧制御時と同様に弁体31側(一端側)に摺動して、弁体31が開弁状態にされる。なお、保持制御では、出口弁3からブレーキ液が流出しないので、弁体31が開弁状態とされても、出口弁3からのブレーキ液がマスタシリンダMC1に戻されることはないが、リザーバ4の貯溜室に一時的に貯溜されたブレーキ液が残っている場合には、リザーバ4のばね4aの弾発力によって開放路Q1にブレーキ液が押し出され、開放路用弁30を通じてマスタシリンダMC1に戻されることとなる。
また、アンチロックブレーキ制御において、車輪ブレーキFに付与するブレーキ液圧を増圧させる増圧制御が実行されると、入口弁2が開弁し、出口弁3が閉弁する。このようにすると、ブレーキレバーL1の操作に起因してマスタシリンダMC1で発生したブレーキ液圧が、出力液圧路D1、入口弁2、車輪液圧路E1を通じて車輪ブレーキFに作用するので、車輪ブレーキFのブレーキ液圧が増圧することになる。
このような増圧制御が実行されている場合には、ブレーキレバーL1が操作し続けられていれば、入口弁2を介してマスタシリンダMC1のブレーキ液が車輪ブレーキFへ送られるので、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧と車輪ブレーキFのブレーキ液圧とが同圧となり、ピストン32が初期位置にあって弁体31が閉弁状態とされる。これによって、開放路Q1と開放路Q2との間が閉塞される。
次に、アンチロックブレーキ制御中にブレーキレバーL1の操作力を解除してブレーキレバーL1が戻されると、アンチロックブレーキ制御が終了し、入口弁2が開弁制御されるとともに、出口弁3が閉弁制御され、開放路用弁30が閉弁される。
つまり、開放路用弁30では、ブレーキレバーL1が戻されることにより、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧の発生がなくなり、よって、マスタシリンダ液圧室V4と車輪ブレーキ液圧室V3とに作用しているブレーキ液圧がなくなり、ピストン32の推力が消滅する。これによって、ピストン32が一端側へ摺動している場合には、ピストン32がばね部材329の付勢力によって初期位置に戻され、弁体31に対する押動が解除される。これによって、弁体31が前記第2の位置から前記第1の位置に戻され、開放路Q1と開放路Q2との間が閉塞される(図2参照)。
そして、車輪ブレーキFに作用していたブレーキ液圧が、図1に示すように、車輪液圧路E1から入口弁2(チェック弁2a)、出力液圧路D1、配管H1を経て油圧室14へ流入し、リリーフポート16を経てオイルリザーブタンク10Aへ戻る。これによって、車輪ブレーキFは、ブレーキ液圧の不作動状態に戻る。
ここで、アンチロックブレーキ終了時に、リザーバ4の貯溜室に一時的に貯溜されたブレーキ液が残っている場合には、次のようにしてマスタシリンダMC1にブレーキ液が戻される。
すなわち、リザーバ4の貯溜室に残ったブレーキ液は、ピストン11が戻ることによる作用と、リザーバ4に備わるばね4aの弾発力とによって、開放路Q1に押し出され、戻し路T1のチェック弁5通じて、出力液圧路D1から配管H1を通じて油圧室14に戻され、さらに、リリーフポート16を通ってオイルリザーブタンク10Aに戻される。
つまり、このブレーキ制御装置Uでは、リザーバ4からのブレーキ液を汲み上げるポンプを有することなく、ブレーキレバーL1の戻しによって、チェック弁5を介してブレーキ液をマスタシリンダMC1に戻すことができる。
以上説明したブレーキ制御装置Uによれば、開放路Q1、Q2には、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧と車輪ブレーキFのブレーキ液圧との差圧を利用して作動する開放路用弁30が設けられているので、マスタシリンダMC1のブレーキ液圧と車輪ブレーキFのブレーキ液圧との差圧が発生した場合に、これが開弁圧になると、開放路用弁30を開弁させて開放路Q1、Q2の間を開放することができ、差圧がなくなった場合に開放路用弁30を閉弁させて開放路Q1、Q2の間を遮断することができる。
これによって、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時には、生じた差圧で、開放路用弁30を開弁し、出口弁3を通じて逃がされたブレーキ液を、開放路Q1、Q2を通じてマスタシリンダMC1に戻すことができる。したがって、従来のように、リザーバにブレーキ液を流入させることのみによって、ブレーキ液圧の減圧を行っていた場合に比べて、減圧制御時の制御時間を長くとることができる。これによって、制御の自由度を高めることができる。
また、通常のブレーキ時には、差圧がなくなるので、開放路用弁30を閉弁して開放路Q1、Q2の間を閉塞することができ、万が一に、出口弁3から開放路Q1にブレーキ液が流出するような事態が生じたとしても、閉弁した開放路用弁30によって開放路Q1から開放路Q2への通流が遮断され、マスタシリンダMC1にブレーキ液が戻ることを阻止することができる。
これによって、フェールセーフ機能の確実性を高めることができる。
このように、アンチロックブレーキ制御の減圧制御時に生じた差圧で自動的に開放路用弁30が開弁し、その後、差圧がなくなることによって自動的に開放路用弁30が閉弁するので、例えば、電磁弁を用いて開放路を開閉制御するようにしたものに比べて、複雑な制御を必要とせず、差圧を利用した簡単な制御で開放路Q1、Q2の間の開放または閉塞を簡単に行うことができる。
また、開放路用弁30の開閉に電力を消費しないので、消費電力の低減を図ることのできるブレーキ制御装置Uが得られる。
また、ピストン32が初期位置にあるときに、弁体31とピストン32との間には、寸法調整代となる隙間Pが形成されているので、弁体31とピストン32との間に寸法公差や組付公差を考慮した十分な距離を確保することができる。これによって、初期位置においてピストン32が弁体31に当接することがなくなり、弁体31は、ばね部材315によって前記第1の位置に確実に保持される。したがって、開放路Q1、Q2間の閉塞状態を良好に維持することができ、フェールセーフ機能の確実性を高めることができる。
また、前記実施形態では、弁体31とピストン32とを別体として説明したが、これに限られることはなく、これらをシリンダ30a内に一体的に設けてもよい。
また、前記実施形態では、弁体31とピストン32とをシリンダ30a内に直列に配置したがこれに限られることはなく、並列に配置してもよい。
また、前輪のブレーキ系統K1に、ブレーキレバーL1の操作で二つの車輪ブレーキF、Rを制動する連動ブレーキ手段を設けてもよく、後輪のブレーキ系統K2に、ブレーキレバーL2の操作で二つの車輪ブレーキF,Rを制動する連動ブレーキ手段を設けてもよい。
また、後輪側の車輪ブレーキRに機械式ブレーキを採用して、前後輪の連動ブレーキ制動が可能となる分岐装置やシリンダ装置を設けて、後輪のブレーキレバーL2が操作されたときに前後輪の連動ブレーキ制動が行われるように構成してもよい。
2 入口弁(常開型電磁弁)
3 出口弁(常閉型電磁弁)
10A オイルリザーブタンク(タンク)
30 開放路用弁(常閉型電磁弁)
30a シリンダ
31 弁体
32 ピストン
315 ばね部材(第1の付勢手段)
329 ばね部材(第2の付勢手段)
F、R 車輪ブレーキ
K1、K2 ブレーキ系統
MC1 マスタシリンダ
MC2 マスタシリンダ
P 隙間
Q1、Q2 開放路
U ブレーキ制御装置(車両用ブレーキ液圧制御装置)

Claims (3)

  1. マスタシリンダと車輪ブレーキのホイールシリンダとの間に配置され、常開型電磁弁および常閉型電磁弁を有し、アンチロックブレーキ制御を実行可能な車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記マスタシリンダに設けられた大気開放型のタンクと前記常閉型電磁弁との間を接続し、前記常閉型電磁弁を通じて逃がされた作動液を前記タンクに戻す開放路と、
    前記開放路に設けられ、前記マスタシリンダのブレーキ液圧と前記ホイールシリンダのブレーキ液圧との差圧を利用して作動し、前記開放路を遮断または開放する開放路用弁と、を具備し
    前記開放路用弁は、常閉型の弁であり、
    シリンダと、前記シリンダ内に直列に配置された弁体およびピストンと、を備え、
    前記弁体は、
    前記開放路を遮断する第1の位置と、前記開放路を開放する第2の位置に移動可能であるとともに、第1の付勢手段によって前記第1の位置に向けて付勢されており、
    前記ピストンは、
    前記マスタシリンダのブレーキ液圧と前記ホイールシリンダのブレーキ液圧との間に差圧が生じると、差圧を利用した推力で前記弁体に向けて摺動し、前記第1の付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を前記第1の位置から前記第2の位置に押動することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記ピストンは、
    シール部材を介して、一端面に、前記ホイールシリンダのブレーキ液圧が作用する車輪ブレーキ液圧室と、前記一端面の反対側となる他端面に、マスタシリンダのブレーキ液圧が作用するマスタシリンダ液圧室とを区画しており、
    さらに、第2の付勢手段によって前記他端面側に付勢されており、
    前記マスタシリンダのブレーキ液圧により生じる第1の推力が、
    前記ホイールシリンダのブレーキ液圧により生じる第2の推力、および前記第2の付勢手段による付勢力の合力よりも大きい場合に、前記一端面側に摺動して前記弁体を押動することを特徴とする請求項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記ピストンが前記弁体に直接当接して前記弁体を押動するように構成されており、
    前記ピストンが前記弁体に向けて摺動する前の初期位置にあるときに、前記弁体と前記ピストンとの間には、寸法調整代となる隙間が形成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
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