JP5321828B2 - アルカリエッチング排液の処理方法および装置 - Google Patents
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Description
本発明は、シリカが溶解したアルカリエッチング排液からシリカを除去してアルカリ水溶液を回収するアルカリエッチング排液の処理方法および装置に関し、特には、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を安価な手法によって達成することができるアルカリエッチング排液の処理方法および装置に関する。
特許文献1(特開2005−19605号公報)の段落〔0010〕には、水酸化ナトリウム(NaOH)が4重量%と、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が6重量%とを混合したベース液に対し、添加剤としてリグニンを1重量%以下添加したアルカリエッチング液が記載されている。また、特許文献1の段落〔0012〕には、水酸化ナトリウム4重量%と炭酸水素ナトリウム6重量%の混合液に、添加剤としてセルロース類(酢酸セルロース)を各1重量%以下ずつ添加したアルカリエッチング液が記載されている。更に、特許文献1の段落〔0014〕には、水酸化ナトリウム4重量%と炭酸水素ナトリウム6重量%の混合液に、添加剤してリグニンと例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、ジアセトンアルコールなどのケトン類を合計で1重量%以下添加したアルカリエッチング液が記載されている。また、特許文献1の段落〔0016〕には、水酸化ナトリウム4重量%と炭酸水素ナトリウム6重量%の混合液に、添加剤としてリグニンとケトン類とセルロース類(酢酸セルロース)を各1重量%以下ずつ添加したアルカリエッチング液が記載されている。更に、特許文献1の段落〔0018〕には、水酸化ナトリウム4重量%だけのベース液に、添加剤としてリグニンとケトン類とセルロース類(酢酸セルロース)を各1重量%以下ずつ添加したアルカリエッチング液が記載されている。ところで、特許文献1には、エッチング処理後にシリカが溶解したアルカリエッチング排液をどのように処理するかについて記載されていない。
また、特許文献2(特開2005−38968号公報)の段落〔0017〕には、少なくとも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムのうちのいずれか一つを含むアルカリエッチング液が記載されている。ところで、特許文献2には、エッチング処理後にシリカが溶解したアルカリエッチング排液をどのように処理するかについて記載されていない。
更に、特許文献3(特開2006−278409号公報)の段落〔0034〕には、0.5〜1.0mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液と0.05〜0.2mol/lのカプリル酸を主成分とする界面活性剤とが混合されたアルカリエッチング液が記載されている。ところで、特許文献3の段落〔0038〕には、エッチング処理時にアルカリエッチング液中にシリコン成分が溶出するにも関わらず、エッチング性能が維持されることから、シリコン成分がエッチング性能に及ぼす影響はそれほど大きくないものと考えられる旨が記載されている。従って、特許文献3に記載された発明では、溶出ドーパントイオンを局所的に収集させて、テクスチャエッチング対象のシリコンウエハ付近のアルカリエッチング液中の溶出ドーパントイオンの量が低減せしめられるものの、エッチング処理時にアルカリエッチング液に溶解したシリカを除去する処理は行われない。
また、従来から、シリカが溶解したアルカリエッチング排液からシリカを除去してアルカリ水溶液を回収するアルカリエッチング排液の処理方法が知られている。この種のアルカリエッチング排液の処理方法の例としては、例えば特許文献4(特開2005−169191号公報)に記載されたものがある。特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法では、アルカリ水溶液がシリコンウエハーのエッチング処理に用いられ、アルカリの濃度が実質的に低下し、シリコンウエハーと苛性アルカリとの反応によって生成した珪酸アルカリを含有するアルカリエッチング排液に対して、アルカリ水溶液を回収する処理が行われる。詳細には、特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法では、アルカリ水溶液を回収するために、アルカリエッチング排液に対してアルコール類が添加される。
ところで、特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法では、アルカリエッチング排液に対してアルコール類が添加されると、固形錯化合物を含むスラリーが得られる。そのため、特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法では、アルカリ水溶液を回収するために、スラリーを固形錯化合物とアルカリ水溶液とに分離する工程、固形錯化合物を加温し融解させて2相に分離する工程、および、アルコール類を除去する工程が必要になる。つまり、特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法では、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を行うことができるものの、工程数が増加してしまい、コストが嵩んでしまう。
上述した問題点に鑑み、本発明は、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を安価な手法によって達成することができるアルカリエッチング排液の処理方法および装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、エッチング処理後に、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、例えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛などのような両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出せしめられる。好ましくは、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加されたアルカリエッチング排液が攪拌された後に静置され、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出せしめられる。更に、請求項1に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、例えばろ過、膜ろ過、沈殿、晶析あるいはそれらの組み合わせなどによって不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液が回収される。好ましくは、アルカリ水溶液の回収は、例えば水酸化ナトリウム1モル、pH13以上の条件下で行われる。
そのため、請求項1に記載のアルカリエッチング排液の処理方法によれば、特許文献4に記載されたアルカリエッチング排液の処理方法よりも工程数を削減することができ、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を安価な手法によって達成することができる。
請求項2に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、エッチング処理後のアルカリエッチング排液の液温が常温(約25℃)まで低下する前に、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出せしめられる。
そのため、請求項2に記載のアルカリエッチング排液の処理方法によれば、エッチング処理後のアルカリエッチング排液の液温が常温(約25℃)まで低下した後に、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加される場合よりも、不溶性ケイ酸塩の析出反応を促進することができ、シリカの除去効率を向上させることができる。
請求項3に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させる時に、アルカリエッチング排液が例えば約50℃に加温される。
そのため、請求項3に記載のアルカリエッチング排液の処理方法によれば、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させる時にアルカリエッチング排液が加温されない場合よりも、不溶性ケイ酸塩の析出反応を促進することができ、シリカの除去効率を向上させることができる。
請求項4に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加してから1時間以上反応させた後に、不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液が回収される。
そのため、請求項4に記載のアルカリエッチング排液の処理方法によれば、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加してから1時間経過する前に不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することによりアルカリ水溶液が回収される場合よりも、不溶性ケイ酸塩の析出反応を促進することができ、シリカの除去効率を向上させることができる。
請求項5に記載のアルカリエッチング排液の処理方法では、不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液を回収した後、回収されたアルカリ水溶液をキレート樹脂と接触させることにより、アルカリ水溶液中に残留しているカルシウムイオンまたは両性金属が除去される。
そのため、請求項5に記載のアルカリエッチング排液の処理方法によれば、回収されたアルカリ水溶液をキレート樹脂と接触させることによりアルカリ水溶液中に残留しているカルシウムイオンまたは両性金属が除去されない場合よりも、カルシウムイオンまたは両性金属の含有量が少ないアルカリ水溶液を回収し、アルカリエッチング液として再利用することができる。
詳細には、請求項1〜5に記載のアルカリエッチング排液の処理方法は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなど)などのようなアルカリエッチング液によってシリコン基板をエッチング処理した後のアルカリエッチング排液に対して適用される。
請求項6に記載のアルカリエッチング排液の処理装置では、エッチング処理後に、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して、添加部において水酸化カルシウム、酸化カルシウム、例えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛などのような両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加され、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出せしめられる。更に、分離部において不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とが固液分離され、アルカリ水溶液が回収される。
そのため、請求項6に記載のアルカリエッチング排液の処理装置によれば、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を安価な手法によって達成することができる。
詳細には、請求項6に記載のアルカリエッチング排液の処理装置は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなど)などのようなアルカリエッチング液によってシリコン基板をエッチング処理した後のアルカリエッチング排液に対して適用される。
本発明によれば、アルカリエッチング排液からのシリカの除去およびアルカリ水溶液の回収を安価な手法によって達成することができる。
以下、本発明のアルカリエッチング排液の処理装置の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置の概略構成図である。第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アルカリ(テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなど)などのようなアルカリエッチング液によってシリコン基板をエッチング処理した後のアルカリエッチング排液に対して適用可能である。
第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、図1に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液が供給されると、まず最初に、添加部1において、アルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、例えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛などのような両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加される。
詳細には、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、エッチング処理後のアルカリエッチング排液の液温が常温(約25℃)まで低下する前に、添加部1において、アルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、例えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛などのような両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加される。
あるいは、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、例えば液温が常温(約25℃)まで低下したアルカリエッチング排液が供給される場合に、加温装置(図示せず)によってアルカリエッチング排液が例えば50℃に加温され、次いで、添加部1において、アルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、例えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛などのような両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加される。
次いで、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、攪拌装置(図示せず)によってアルカリエッチング排液が攪拌され、次いで、アルカリエッチング排液が静置される。その結果、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出せしめられる。詳細には、例えば不溶性ケイ酸塩として不溶性ケイ酸カルシウムが析出せしめられる場合には、以下のような反応が起こる。
Na2SiO3+Ca(OH)2→CaSiO3+2NaOH
Na2SiO3+Ca(OH)2→CaSiO3+2NaOH
次いで、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、例えばろ過装置、膜ろ過装置、沈殿装置、晶析装置あるいはそれらの組み合わせなどにより構成される分離部2によって、不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とが固液分離され、アルカリ水溶液が回収される。
詳細には、上述した反応はアルカリ液中の反応なので、Ca(OH)2が殆ど溶解しない。そのため、上述した反応の反応速度は比較的遅い。この点に鑑み、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、添加部1においてアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物が添加されてから1時間以上反応させた後に、分離部2によって、不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とが固液分離され、アルカリ水溶液が回収される。
次いで、第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置では、除去部3においてアルカリ水溶液とキレート樹脂とが接触せしめられ、アルカリ水溶液中に残留しているカルシウムイオンまたは両性金属が除去される。つまり、添加部1において添加されたカルシウムイオンまたは両性金属のうち、不溶性ケイ酸塩の生成に関与しなかった過剰のカルシウムイオンまたは両性金属が除去されたアルカリ水溶液が、除去部3において回収される。第1の実施形態のアルカリエッチング排液の処理装置によって回収されたアルカリ水溶液は、アルカリエッチング液として再利用可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1はアルカリエッチング液の更新時におけるアルカリエッチング排液の組成を示している。表1に示すように、アルカリエッチング排液にはシリカが溶解している。
表1はアルカリエッチング液の更新時におけるアルカリエッチング排液の組成を示している。表1に示すように、アルカリエッチング排液にはシリカが溶解している。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表2は水酸化カルシウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表2に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができた。
上記のろ液500mLを、三菱化学製 Diaion CR11(Na形)を100mL充填したアクリルカラムに通水流量500mL/hで通液する処理を行った。表3はこの処理の前のアルカリ水溶液の分析値と、この処理の後のアルカリ水溶液の分析値との関係を示している。表3に示すように、回収されたアルカリ水溶液をキレート樹脂と接触させる処理により、アルカリ水溶液中に残留しているカルシウムイオンを除去することができた。また、この処理によって全リンが除去されているが、その理由は明確ではない。CR11の交換基がアミノカルボン酸なので、このアミノ基にイオン交換したのではないかと推察している。
〔実施例2〕
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析した。表4は経過時間とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表4に示すように、水酸化カルシウムを添加してから、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸として析出するまで、1時間以上の反応時間が必要であることがわかった。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析した。表4は経過時間とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表4に示すように、水酸化カルシウムを添加してから、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸として析出するまで、1時間以上の反応時間が必要であることがわかった。
〔実施例3〕
液温が25℃の表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析すると共に、液温が50℃の表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析した。表5はアルカリエッチング排液の液温と経過時間とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表5に示すように、アルカリエッチング排液の液温が高いほど、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸として析出する反応が進んでいることがわかる。
液温が25℃の表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析すると共に、液温が50℃の表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、キシダ化学製 試薬特級 水酸化カルシウム40gを添加した後、経過時間毎に反応液を採取、ろ過したものを分析した。表5はアルカリエッチング排液の液温と経過時間とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表5に示すように、アルカリエッチング排液の液温が高いほど、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸として析出する反応が進んでいることがわかる。
〔実施例4〕
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、酸化カルシウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表6は酸化カルシウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表6に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して酸化カルシウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができた。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、酸化カルシウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表6は酸化カルシウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表6に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して酸化カルシウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができた。
〔実施例5〕
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、アルミン酸ナトリウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表7はアルミン酸ナトリウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表7に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対してアルミン酸ナトリウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができた。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、アルミン酸ナトリウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表7はアルミン酸ナトリウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表7に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対してアルミン酸ナトリウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができた。
〔比較例1〕
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、水酸化マグネシウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過した。表8は水酸化マグネシウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液中のSiO2濃度との関係を示している。表8に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化マグネシウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができなかった。水酸化ナトリウム水溶液中では水酸化マグネシウムの溶解度が低すぎるため、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出する反応が進まないと考えられる。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、水酸化マグネシウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過した。表8は水酸化マグネシウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液中のSiO2濃度との関係を示している。表8に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化マグネシウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができなかった。水酸化ナトリウム水溶液中では水酸化マグネシウムの溶解度が低すぎるため、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカが不溶性ケイ酸塩として析出する反応が進まないと考えられる。
〔比較例2〕
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、水酸化ストロンチウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表9は水酸化ストロンチウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表9に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化ストロンチウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができたものの、汚泥量(廃棄物量)が多くなる問題が生じてしまうことがわかった。
表1に示す組成のアルカリエッチング排液1000mLに、水酸化ストロンチウムを添加した。600rpmで20時間攪拌した後、1時間静置し、その後、上澄み液を0.45μmミリポアフィルタでろ過し、アルカリ水溶液を回収した。表9は水酸化ストロンチウムの添加量とモリブデン黄法にて測定されたろ液(回収されたアルカリ水溶液)中のSiO2濃度との関係を示している。表9に示すように、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化ストロンチウムを添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることができたものの、汚泥量(廃棄物量)が多くなる問題が生じてしまうことがわかった。
1 添加部
2 分離部
3 除去部
2 分離部
3 除去部
Claims (6)
- シリカが溶解したアルカリエッチング排液からシリカを除去してアルカリ水溶液を回収するアルカリエッチング排液の処理方法において、
シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させ、
不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液を回収することを特徴とするアルカリエッチング排液の処理方法。 - エッチング処理後のアルカリエッチング排液の液温が常温まで低下する前に、
シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させることを特徴とする請求項1に記載のアルカリエッチング排液の処理方法。 - シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加することにより、アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させる時に、アルカリエッチング排液を加温することを特徴とする請求項1に記載のアルカリエッチング排液の処理方法。
- シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加してから1時間以上反応させた後に、
不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリエッチング排液の処理方法。 - 不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離することにより、アルカリ水溶液を回収した後、
回収されたアルカリ水溶液をキレート樹脂と接触させることにより、アルカリ水溶液中に残留しているカルシウムイオンまたは両性金属を除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルカリエッチング排液の処理方法。 - シリカが溶解したアルカリエッチング排液からシリカを除去してアルカリ水溶液を回収するアルカリエッチング排液の処理装置において、
アルカリエッチング排液に溶解しているシリカを不溶性ケイ酸塩として析出させるために、シリカが溶解したアルカリエッチング排液に対して水酸化カルシウム、酸化カルシウム、両性金属、両性金属の水酸化物または両性金属の酸化物を添加する添加部と、
アルカリ水溶液を回収するために不溶性ケイ酸塩とアルカリ水溶液とを固液分離する分離部とを具備することを特徴とするアルカリエッチング排液の処理装置。
Priority Applications (1)
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