JP5321158B2 - レーザクラッドバルブシート用シート材及びレーザクラッドバルブシート形成方法 - Google Patents

レーザクラッドバルブシート用シート材及びレーザクラッドバルブシート形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーザクラッドバルブシート用シート材及びレーザクラッドバルブシート形成方法に関する。
例えば、自動車エンジンでは、バルブシートとして従来の鋳鉄からなるシートリングを打ち込む方式に変えてバルブシート合金をシリンダーヘッドへ直接肉盛りする方式(レーザクラッド加工)が採用され初めている。このように、バルブシート合金をシリンダーヘッドに直接肉盛りすれば、シートリングの打ち込み方式に比べて熱伝導性を大幅に向上させることができ、冷却性能を高めることができる。
レーザクラッド加工は、シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に金属粉末(肉盛り材料)を供給しながらレーザビームを照射し母材と共に溶融固化させて肉盛る技術である(例えば、特許文献1、2など参照)。その中でも、内燃機関用シリンダヘッドのバルブシート部に対してレーザクラッド加工を行い、リング形状のバルブシートを形成する手法をレーザクラッドバルブシート加工という。
金属粉末を供給しながらレーザビームを照射して肉盛るためには、シリンダーヘッドを傾け且つバルブ軸中心に回転させる必要があることから、回転装置構造が複雑化すると共に高価になるという課題がある。また、この方法では、シリンダーヘッドを回転させるため、バルブシートを1箇所づつしか加工することができず、生産性が上げられないという課題もある。
そこで、さらに従来では、シリンダーヘッドを回転させずに固定し、環状に押し固めた金属粉末をバルブシート形成部位に配置し、レーザビームを旋回させてこの金属粉末に照射する方法が考えられている。
特開平09−155583号公報 特開2003−275882号公報
しかし、前記方法では、レーザ照射後の凝固収縮により加工終端部で肉盛り不足が発生することがある。また、レーザクラッド加工の溶着メカニズムとしては、加工開始時にクラッド材を溶融させると同時に、クラッド材と母材の界面を溶融させ金属結合させている。
そのため、環状に押し固めた金属粉末を使用した場合、クラッド後の肉厚確保のためクラッド材(押し固めた金属粉末)の厚みを肉厚としていることから、加工開始時にクラッド材と母材の界面を溶融させることが困難となり、クラッド材と母材との溶着強度が確保できず、凝固収縮で割れが発生する場合がある。また、クラッド材を肉厚の状態で界面まで溶融させると、レーザ出力が大きくなり、設備投資が増大してしまう。
そこで、本発明は、レーザクラッド加工終端部で肉盛り不足が発生せず且つレーザクラッド加工開始時にクラッド材と母材の界面を溶融させて溶着強度を確保し割れの発生を防止することのできるレーザクラッドバルブシート用シート材及びレーザクラッドバルブシート形成方法を提供する。
本発明のレーザクラッドバルブシート用シート材では、金属粉末からなるリング部と、このリング部の一部に切欠部を有して形成されるレーザ照射開始部と、このレーザ照射開始部の上方に前記リング部から起立したレーザ照射終端部と、からなる。レーザ照射終端部は、レーザ照射開始部の上に重なるようにオーバーラップして形成され、レーザ照射開始部の先端肉厚を、他の部位の肉厚よりも薄くしている。
本発明のレーザクラッドバルブシート形成方法では、レーザクラッドバルブシート用シート材を、金属粉末からなるリング部と、このリング部の一部に切欠部を有して形成されるレーザ照射開始部と、このレーザ照射開始部の上方に前記リング部から起立したレーザ照射終端部と、を有した形状とし、レーザ照射終端部を、レーザ照射開始部の上に重なるようにオーバーラップして形成し、更にレーザ照射開始部の先端肉厚を他の部位の肉厚よりも薄く形成している。そして本発明方法では、レーザクラッドバルブシート用シート材のレーザ照射開始部からレーザビームを照射し始めてリング部を円周上に順次照射して行き、レーザ照射終端部で照射を終了することにより、前記シート材を溶融するレーザ照射工程で、起立するレーザ照射終端部の根元にレーザビームを照射して該レーザ照射終端部を前記レーザ照射開始部の上に倒し、その倒したレーザ照射終端部を溶融する。
本発明のレーザクラッドバルブシート用シート材によれば、レーザクラッド加工開始部位となるレーザ照射開始部はリング部の一部に切欠部を有して形成されるため、他の部位の肉厚に比べて切り欠かれた分だけ肉薄となることから、レーザクラッド加工開始時にシート材(クラッド材)と母材との界面を溶融させることができる。その結果、クラッド材と母材との溶着強度を高めることができ、凝固収縮でバルブシートに割れが生じることを防止できる。また、本発明によれば、レーザ照射終端部をレーザ照射開始部の上に重なるようにオーバーラップさせて形成しているので、レーザクラッド加工終端部において凝固収縮により肉盛り不足を生じさせることが無くなる
本発明のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、レーザ照射工程でレーザ照射開始部の上にリング部から起立したレーザ照射終端部の根元にレーザビームを照射して該レーザ照射終端部を該レーザ照射開始部の上に倒し、その倒したレーザ照射終端部を溶融するため、オーバーラップするクラッド材分によってレーザクラッド加工終端部での肉盛り不足を解消することができる。また、本発明によれば、レーザ照射開始部はリング部の一部に切欠部を有して形成されているため、他の部位の肉厚に比べて切り欠かれた分だけ肉薄となることから、レーザクラッド加工開始時にシート材と母材との界面を溶融させることができる。その結果、クラッド材と母材との溶着強度を高めることができ、凝固収縮でバルブシートに割れが生じることを防止できる
図1はレーザクラッドバルブシート形成装置を示す斜視図である。 図2は実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材の斜視図である。 図3は図2のレーザクラッドバルブシート用シート材の要部拡大断面図である。 図4は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちシート材を治具で保持する工程を示す図である。 図5はリング部に形成した切欠部を基準としてシート材を治具で位置決め保持する部位の要部拡大図である。 図6は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちシート材をバルブシート形成部位に配置する工程を示す図である。 図7は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちレーザ照射開始部とレーザ照射終端部にそれぞれレーザビームを照射する時のレーザ照射角度等を示す図である。 図8は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちレーザ照射終端部の根元にレーザビームを照射して該レーザ照射終端部をレーザ照射開始部の上に倒す工程を示す図である。 図9(A)はレーザクラッド加工終端部が均一な厚みに肉盛りされた状態を示す断面図、図9(B)は盛り上がって肉盛りされた状態を示す断面図である。 図10は実施形態3の一例を示す図である。 図11は実施形態3の他の例を示す図である。 図12は実施形態3の更に他の例を示すシート材の斜視図である。 図13は図12の要部拡大図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
「実施形態1」
先ず、レーザクラッドバルブシート形成装置の構成について説明する。
図1はレーザクラッドバルブシート形成装置の一例を示す斜視図である。レーザクラッドバルブシート形成装置は、図1に示すように、例えば自動車用内燃機関エンジンなどのシリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2にレーザビームhvを照射するレーザ照射装置3を備えている。
レーザ照射装置3は、レーザビームhvを発振するレーザ発振器4と、このレーザ発振器4により出力されるレーザビームhvの強さなどを制御するレーザ発振器制御部5と、NC制御装置6と、レーザビームhvを集光してバルブシート形成部位2に照射させる光学系機構部7と、からなる。
レーザ発振器4で出力されたレーザビームhvは、レーザ発振器制御部5で制御されて光学系機構部7に供給され、この光学系機構部7で所定のスポット径とされてバルブシート形成部位2に照射される。このレーザクラッドバルブシート形成装置では、レーザ発振器4とレーザ発振器制御部5とNC制御装置6とがそれぞれコンピュータ8によって制御されている。
前記光学系機構部7では、レーザ発振器4から照射されたレーザビームhvを、バルブシート形成部位2に対して旋回するように照射可能とされている。このため、シリンダーヘッド1は、回転機構を有せず治具に固定されたままとなる。この装置では、回転機構を持たないため、装置構造を簡略化することができると共に装置コストも低減できる。
次に、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成方法について説明する。図2は実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材の斜視図、図3は図2のレーザクラッドバルブシート用シート材の要部拡大断面図、図4は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちシート材を治具で保持する工程を示す図、図5はリング部に形成した切欠部を基準としてシート材を治具で位置決め保持する部位の要部拡大図、図6は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちシート材をバルブシート形成部位に配置する工程を示す図、図7は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちレーザ照射開始部とレーザ照射終端部にそれぞれレーザビームを照射する時のレーザ照射角度等を示す図、図8は実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成工程のうちレーザ照射終端部の根元にレーザビームを照射して該レーザ照射終端部をレーザ照射開始部の上に倒す工程を示す図、図9(A)はレーザクラッド加工終端部が均一な厚みに肉盛りされた状態を示す断面図、図9(B)は盛り上がって肉盛りされた状態を示す断面図である。
先ず、シリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2に配置するためのレーザクラッドバルブシート用シート材(以下、単にシート材(クラッド材)という)を用意する。シート材9は、図2及び図3に示すように、熱伝導性に優れた銅等の金属粉末をバルブシート形状に押し固めて形成されたリング部9Aと、このリング部9Aの一部に切欠部10を有して形成されるレーザ照射開始部9Bと、このレーザ照射開始部9Bの上方に前記リング部9Aから起立し且つ肉盛り不足解消部となるレーザ照射終端部9Cと、からなる。
前記シート材9のうちレーザ照射開始部9Bとレーザ照射終端部9Cとの間には、厚みt1をほぼ均一としたリング部9Aの一部を切り欠いた切欠部10が形成されている。レーザ照射開始部9Bは、前記リング部9Aの厚みt1よりもその先端肉厚t2を薄く(t2<t1なる関係)している。また、このレーザ照射開始部9Bの先端部には、レーザビームhvが照射されるレーザ照射面11が形成されている。かかるレーザ照射面11は、レーザ照射開始部9Bの先端面12に行くに従って次第にその肉厚を薄くするような下り傾斜となる傾斜面とされている。
一方、レーザ照射終端部9Cは、レーザ照射開始部9Bの上方に斜めに傾斜するように前記リング部9Aから起立すると共に、レーザ照射開始部9Bの上に重なるようにオーバーラップして形成されている。このレーザ照射終端部9Cは、先端面13の先端肉厚t3を根元における基端肉厚t4よりも薄く(t3<t4なる関係)している。また、このレーザ照射終端部9Cは、根元から先端に行くに従ってその厚みが徐々に薄くなっている。
前記レーザ照射終端部9Cの前記レーザ照射開始部9Bに対するオーバーラップ幅Wとオーバーラップ高さHは、レーザクラッド加工終端部での肉盛り不足を解消することができようにそれらの寸法が決められる。また、このオーバーラップする部位のクラッド材の量は、レーザクラッド加工後のオーバーラップさせた部位の肉厚が図9(A)で示すように一定となるように決められる。
次に、図4に示す治具14にてシート材9を位置決め保持させてシリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2に配置させる。治具14は、リング部9Aを載せる爪形状をなす載置部15aを有した3本の第1支持部材15と、リング部9Aに形成した切り欠きである切欠部10を基準としてシート材9を保持する1本の第2支持部材16と、からなる。
第2支持部材16は、切欠部10の中に進入してレーザ照射開始部9Bの先端面12を突き当てる先端基準面17aと、レーザ照射終端部9Cの根元近傍を下から支える支持面17bと、からなる位置基準出し部17を有している。
シート材9は、切欠部10の中に前記位置基準出し部17を挿入させた後、レーザ照射開始部9Bの先端面12を前記位置基準出し部17の先端基準面17aに突き当て且つレーザ照射終端部9Cの根元近傍を前記支持面17bに載せ、更にリング部9Aを各載置部15a載せることで治具14に位置決め保持される。
そして、治具14に位置決め保持させたシート材9を、図6に示すシリンダーヘッド1のバルブシート形成部位2に形成した環状凹溝18に配置する。この時、前記切欠部10を基準としてシート材9を、前記バルブシート形成部位2のレーザクラッド加工開始位置(レーザ照射開始位置)に合わせて配置する。
次に、バルブシート形成部位2の環状凹溝18に配置されたシート材9にレーザビームhvを照射し、該シート材9と母材を共に溶融して肉盛りするレーザ照射工程を行う。先ず、シート材9のうちレーザ照射開始部9Bにレーザビームhvを照射する。
レーザ照射開始部9Bにレーザビームhvを照射し始める時に、図7に示すように、光学系機構部7を制御してレーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが当たらないようにする。これは、レーザビームhvをシート材9に対して垂直に照射してしまうと、レーザ照射開始部9Bの上にオーバーラップするレーザ照射終端部9Cにレーザビームhvが照射されてしまうためである。そのため、実施形態1では、レーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが当たらないようにすると共にレーザ照射開始部9Bのレーザ照射面11にレーザビームhvが当たるように、前記光学系機構部7を制御してレーザ入射角度αを決定する。
前記レーザ照射開始部9Bのレーザ照射面11にレーザビームhvが照射されると、この部位が加熱されて溶融する。このレーザ照射開始部9Bは、リング部9Aに対してその厚みを薄くしてあるため、レーザビームhvによって加熱されて溶融され易い。その結果、レーザ照射開始部9Bと母材との界面も溶融させることができる。
そして、このレーザ照射開始部9Bからレーザビームhvを照射し始めてリング部9Aを円周方向に順次照射して行き、シート材9と母材を共に溶融してバルブシート形成部位2に肉盛りを行う。レーザ照射終端部9Cまでレーザクラッド加工が進んだら、レーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが当たらないようにする。レーザビームhvのレーザ入射角度によっては、レーザ照射終端部9Cに到達した時に、該レーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが照射されてしまう可能性もある。
これを防止するため、必要に応じてレーザ照射終端部9Cをレーザクラッド加工する時に、前記レーザ照射開始部9Bを照射した時のレーザ入射角度αとは異なるレーザ入射角度βに変更する。レーザ照射開始部9Bの加工時でのレーザ入射角度αでレーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが照射されない場合は、同じレーザ入射角度αのままレーザ照射終端部9Cのレーザクラッド加工を続ける。
そして、前記レーザ照射終端部9Cの根元(付け根)までレーザクラッド加工が進んだら、図8に示すように、前記レーザ照射終端部9Cの根元にレーザビームhvを照射して該レーザ照射終端部9Cを前記レーザ照射開始部9Bの上に倒す。レーザ照射終端部9Cの根元では、レーザビームhvを走査する旋回速度を遅くするか或いはレーザ出力を高くする。これにより、レーザ照射終端部9Cは、根元が溶けてレーザ照射開始部9Bの上に倒れることになる。
レーザ照射終端部9Cがレーザ照射開始部9Bの上に倒れると、切欠部10の上を覆ってレーザ照射開始部9Bの上にレーザ照射終端部9Cが重なる。そして、倒れたレーザ照射終端部9Cの根元から先端に向けてレーザビームhvを照射して加熱溶融させる。
この結果、レーザクラッド加工終端部18では、図9(A)に示すように、肉盛り不足が発生せず、割れの原因となる凹みが生じることはない。また、レーザクラッド加工終端部18は、オーバーラップさせた部位の肉厚がほぼ一定の厚みになり、図9(B)の如く盛り上がることはない。
レーザ照射工程を終了したら得られた肉盛り層19の表面を研削してレーザクラッドバルブシートとする。この研削工程において、実施形態1で得られた肉盛り層19のレーザクラッド加工終端部18では均一な肉厚とされているため、一定した切削代で研削できることから研削工具の工具寿命を延ばすことができる。この一方、図9(B)に示すようにレーザクラッド加工終端部18が盛り上がっている場合は、切削代が多いため研削工具の工具寿命が短くなる。
実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材では、レーザクラッド加工開始部位となるレーザ照射開始部9Bはリング部9Aの一部に切欠部10を有して形成されるため、他の部位の肉厚に比べて切り欠かれた分だけ肉薄となることから、レーザクラッド加工開始時にシート材(クラッド材)9と母材との界面を溶融させることができる。その結果、シート材9と母材との溶着強度を高めることができ、凝固収縮でバルブシートに割れが生じることを防止できる。その結果、本実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材によれば、ヒビ割れ等の発生し難い品質の高いレーザクラッドバルブシートを得ることができる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材によれば、レーザ照射終端部9Cをレーザ照射開始部9Bの上に重なるようにオーバーラップさせて形成しているので、レーザクラッド加工終端部18において凝固収縮により肉盛り不足を生じさせることが無くなる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材によれば、レーザ照射開始部9Bの先端肉厚を他の部位の肉厚よりも薄くしたので、レーザクラッド加工開始時にシート材9をレーザビームhvにて溶融させることができると共にレーザ照射開始部9Bと母材との界面も同時に溶融させることができる。そのため、レーザクラッド加工開始部における肉盛り層19と母材との溶着強度を高めることができ、未溶着によるヒビ割れの発生防止を図ることができる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート用シート材によれば、レーザ照射開始部9Bの先端部にレーザビームhvが照射されるレーザ照射面11を形成しているので、レーザクラッド加工開始時にシート材9を溶融させることができると共にシート材9と母材との界面も同時に溶融させることができる。また、このレーザ照射面11のレーザ入射角度αを最適な角度に設定することで、レーザクラッド加工開始部の溶着状態の品質向上を図ることができる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、レーザ照射工程でレーザ照射開始部9Bの上方にリング部9Aから起立するように重ねられてオーバーラップするレーザ照射終端部9Cの根元にレーザビームhvを照射して該レーザ照射終端部9Cを該レーザ照射開始部9Bの上に倒し、その倒したレーザ照射終端部9Cを溶融するため、オーバーラップするクラッド材分によってレーザクラッド加工終端部での肉盛り不足を解消することができる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、レーザ照射開始部9Bにレーザビームhvを照射し始める時に、レーザ照射終端部9Cの先端面13にレーザビームhvが当たらないようにしているので、レーザ照射終端部9Cを溶融させてしまうことを防止することができる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、レーザ照射終端部9Cにレーザビームhvを照射し始める時に、レーザ照射終端部9Cの先端にレーザビームhvが当たらないようにするので、レーザ照射終端部9Cの根元から該レーザ照射終端部9Cを倒す前にレーザ照射終端部9Cの先端を溶融させてしまうことを防止できる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成方法によれば、リング部9Aに形成した切欠部10を基準としてシート材9を保持する治具14にて該シート材9を、バルブシート形成部位2のレーザクラッド開始位置に合わせて配置するため、レーザクラッド加工開始点の適切な位置にレーザ照射開始部9Bを配置することができる。これにより、得られるレーザクラッドバルブシートの品質安定性を高めることが可能となる。
また、実施形態1のレーザクラッドバルブシート形成装置では、シリンダーヘッド1を固定しレーザビームhvを旋回させてレーザクラッド加工する構造であるため、シリンダーヘッド1の回転機構が不要となり、装置構成の簡略化並びに装置コストを低減することができる。また、このレーザクラッドバルブシート形成装置の光学系機構部7を複数用意することで、複数のバルブシートを同時にレーザクラッド加工することが可能となる。
「実施形態2」
実施形態2では、レーザ照射開始部9Bとレーザ照射終端部9Cに対するレーザビームhvの焦点位置を高さ方向でずらして、それぞれのレーザ照射開始部9B及びレーザ照射終端部9Cをレーザビームhvの照射により溶融させる。
例えば、図7に示すように、レーザ照射開始部9Bをレーザクラッド加工する時のレーザ照射位置に対して、レーザ照射終端部9Cをレーザクラッド加工する時のレーザ照射位置を高くする(高低差Lを持たせる)と、レーザ照射開始部9Bにレーザビームhvを照射するときに誤ってレーザ照射終端部9Cにレーザビームhvが照射されてもエネルギー密度が低いため、レーザ照射終端部9Cを溶融させてしまうことを防止できる。
「実施形態3」
実施形態3では、レーザ照射開始部9Bの先端部に、レーザビームhvが照射される複数の角度からなるレーザ照射面を形成した例である。図10は実施形態3の一例を示す図である。
図10の例では、レーザ照射開始部9Bの先端部に、互いに異なる角度θ2、θ3を持った2つのレーザ照射面11A、11Bを形成している。先端側のレーザ照射面11Bは、前記リング部9Aの表面20とほぼ平行な面としている。他方のレーザ照射面11Aは、このリング部9Aの表面20から先端側に向かって下方へ傾斜する傾斜面とされている。
図11の例では、図10と同じく2つの異なる角度θ4、θ5を持ったレーザ照射面11C、11Dを形成している点では図10と同一である。しかし、図11では、先端側のレーザ照射面11Dは、先端に向かって上方へ傾斜する傾斜面とされている点で図10の例とは異なっている。
図10と図11の何れの場合も、レーザ照射開始部9Bに傾斜面が形成されることで、その部位の肉厚が薄くなり、レーザクラッド加工開始時にシート材(クラッド材)9と母材との界面を溶融させることができる。
実施形態1、2及び図10、図11では、何れもレーザ照射開始部9Bとレーザ照射終端部9Cとを切欠部10を挟んで完全に分離させた構造であるが、図12及び図13の例では、分離させてない構造としている。具体的には、レーザ照射開始部9Bに切欠部10は形成するもののレーザ照射開始部9Bとレーザ照射終端部9Cを、2つの異なる角度θ6、θ7を持ったレーザ照射面11E、11Fで繋いだ状態にある。この例のように2つのレーザ照射面11E、11Fでレーザ照射開始部9Bとレーザ照射終端部9Cを繋いだ構造としても、レーザ照射開始部9Bに形成されたレーザ照射面11E、11Fによってその部位の肉厚が薄くなり、レーザクラッド加工開始時にシート材9と母材との界面を溶融させることができる。
本発明は、バルブシート合金をシリンダーヘッドへ直接肉盛りする技術に利用することができる。
1…シリンダーヘッド
2…バルブシート部位
3…レーザ照射装置
4…レーザ発振器
5…レーザ発振器制御部
7…光学系機構部
9…シート材(レーザクラッドバルブシートシート材)
9A…リング部
9B…レーザ照射開始部
9C…レーザ照射終端部
10…切欠部(切り欠き)
11(11A〜11F)…レーザ照射面
12…レーザ照射開始部の先端面
13…レーザ照射終端部の先端面
14…治具
17…位置基準出し部
17a…先端基準面
17b…支持面
18…環状凹溝
19…肉盛り層

Claims (7)

  1. シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に配置され、レーザビームの照射により溶融されて該バルブシート形成部位に肉盛りされることによりレーザクラッドバルブシートとなるレーザクラッドバルブシート用シート材において、
    金属粉末からなるリング部と、このリング部の一部に切欠部を有して形成されるレーザ照射開始部と、このレーザ照射開始部の上方に前記リング部から起立したレーザ照射終端部と、からなり、
    前記レーザ照射終端部は、前記レーザ照射開始部の上に重なるようにオーバーラップして形成され、
    前記レーザ照射開始部の先端肉厚を、他の部位の肉厚よりも薄くした
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート用シート材。
  2. 請求項に記載のレーザクラッドバルブシート用シート材であって、
    前記レーザ照射開始部の先端部に、前記レーザビームが照射される一つ又は複数の角度からなるレーザ照射面が形成されている
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート用シート材。
  3. シリンダーヘッドのバルブシート形成部位に、レーザクラッドバルブシート用シート材を配置した後、このシート材にレーザビームを照射し溶融させて該バルブシート形成部位を肉盛ることによりレーザクラッドバルブシートを形成するレーザクラッドバルブシート形成方法において、
    前記レーザクラッドバルブシート用シート材を、金属粉末からなるリング部と、このリング部の一部に切欠部を有して形成されるレーザ照射開始部と、このレーザ照射開始部の上方に前記リング部から起立したレーザ照射終端部と、を有した形状とし、レーザ照射終端部は、レーザ照射開始部の上に重なるようにオーバーラップして形成し、更にレーザ照射開始部の先端肉厚を他の部位の肉厚よりも薄く形成しており、
    前記レーザビームを前記レーザ照射開始部から照射し始めて前記リング部を円周上に順次照射して行き、前記レーザ照射終端部で照射を終了することにより、前記シート材を溶融するレーザ照射工程で、起立する前記レーザ照射終端部の根元にレーザビームを照射して前記レーザ照射終端部を前記レーザ照射開始部の上に倒し、その倒したレーザ照射終端部を溶融する
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
  4. 請求項に記載のレーザクラッドバルブシート形成方法であって、
    前記レーザ照射開始部に前記レーザビームを照射し始める時に、前記レーザ照射終端部の先端に前記レーザビームが当たらないようにする
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
  5. 請求項または請求項に記載のレーザクラッドバルブシート形成方法であって、
    前記レーザ照射終端部に前記レーザビームを照射し始める時に、前記レーザ照射終端部の先端に前記レーザビームが当たらないようにする
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
  6. 請求項から請求項のうち何れか1項に記載のレーザクラッドバルブシート形成方法であって、
    前記レーザ照射開始部と前記レーザ照射終端部に対する前記レーザビームの焦点位置を高さ方向でずらして、それぞれのレーザ照射開始部及びレーザ照射終端部を前記レーザビームの照射により溶融させる
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
  7. 請求項から請求項のうち何れか1項に記載のレーザクラッドバルブシート形成方法であって、
    前記レーザクラッドバルブシート用シート材を前記バルブシート形成部位に配置する際に、前記リング部に形成した切欠部を基準として前記シート材を保持する治具を使用し、この治具にて前記シート材を、前記バルブシート形成部位のレーザクラッド開始位置に合わせてに配置する
    ことを特徴とするレーザクラッドバルブシート形成方法。
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