JP5320319B2 - 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂封止シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、世界的な温暖化現象により、環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電によるエネルギーは炭酸ガス等を発生しない。そのためクリーンなエネルギーとして注目されており、産業用及び家庭用エネルギーとして研究開発が行われている。
太陽電池の代表例としては、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が挙げられる。太陽電池は、長期間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多く、発電部分をガラス板やバックシート等を貼り合わせてモジュール化し、外部からの水分の侵入を防止することにより、発電部分の保護や漏電防止等を図っている。
発電部分を保護する部材としては、発電に必要な光透過を確保するため、光入射側の部材には、透明ガラスや透明樹脂を使用している。反対側(裏側)の部材には、バックシートと呼ばれるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やシリカ等のバリアーコート加工がされた積層シートが使用されている。そして、発電素子を樹脂封止シートで挟み込み、ガラスやバックシートでさらに外部を被覆して熱処理を施すことにより樹脂封止シートを溶融し、全体を一体化封止(モジュール化)している。
上述した樹脂封止シートは、次の(1)〜(3)が特性として要求される。すなわち、(1)ガラス、発電素子、バックシートとの良好な接着性、(2)高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、(3)太陽光の入射を阻害しない透明性である。
このような観点から、樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に、紫外線劣化対策として紫外線吸収剤、ガラスとの接着性向上のためのカップリング剤、架橋させるための有機過酸化物等の添加剤を配合し、カレンダー成形やTダイキャストにより製膜されている。また、長期に亘って太陽光に曝されることに鑑み、樹脂の劣化による光学特性の低下の防止を図るため耐光剤等の各種添加剤が配合されている。
上述したような樹脂封止シートにより太陽電池をモジュール化する方法として、専用の太陽電池真空ラミネーターを用いる方法が挙げられる。具体的には、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電素子/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は150℃程度の温度条件)で余熱する工程とプレス工程を経て、樹脂封止シートを溶融させて貼り合わせる方法が挙げられる。
上記方法では、先ず、余熱工程で樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程で溶融樹脂に接している部材が、溶融樹脂と密着して真空ラミネートされる。このラミネート工程では、(i)樹脂封止シートに含有されている架橋剤(例えば、有機過酸化物等)が熱分解し、EVAの架橋が促進された後、(ii)樹脂封止シートに含有しているカップリング剤が接触している部材と共有結合する。これにより、互いの接着性がより向上し、高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電部分の流動が防止され(耐クリープ性)、ガラス、発電素子及びバックシートの優れた接着性が実現される。
特許文献1には、カップリング剤及び有機過酸化物を含有するエチレン系共重合体樹脂からなる太陽電池用充填接着材シートが開示されている。特許文献2には、架橋剤及びシランカップリング剤を配合したエチレンビニルアセテート共重合体からなるシートであって、一定のゲル分率まで放射線架橋させたことを特徴とする太陽電池封止用シートが開示されている。
特開昭58−060579号公報 特開平8−283696号公報
しかしながら、太陽電池モジュールの発電効率に関しては未だ改善の余地がある。太陽電池モジュールの発電効率は、受光した太陽光を電気エネルギーに変換できる割合を示す指標である。発電効率を向上させる要素の一つとして、モジュール内の発電素子に到達する光量が多いことが挙げられる。この観点から透明性が高い封止シートとしてEVA系樹脂製の樹脂封止シートが用いられているが、それでも十分な発電効率が得られていないのが実情である。
さらに、太陽電池モジュールの発電効率は、太陽光の照射角度(入射角度)に大きな影響を受ける。入射角度が0度の場合(太陽電池モジュールに対して垂直に入射する場合)には太陽光を効率よく電気エネルギーに変換できるが、入射角度が大きい場合(太陽電池モジュールに対して斜めに入射する場合)には太陽光を効率よく電気エネルギーに変換できないという問題がある。太陽電池モジュールを屋外に設置した場合を例に挙げると、太陽が真南に位置する正午の時間帯は、太陽電池モジュールの真上(入射角度0度)から太陽光が照射されるため発電効率が良好となる傾向があり、太陽が東又は西に位置する朝や夕方の時間帯は、太陽電池モジュールに対して斜め(例えば、東京の冬至の正午の場合であれば、太陽高度30度程度、太陽電池モジュールを25度傾斜の屋根設置の場合の入射角度35度程度に相当)から太陽光が照射されるため発電効率が著しく低下する傾向がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、太陽光の入射角度が低い場合であっても発電量の低下を抑制できる太陽電池モジュールとすることができる樹脂封止シートを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、意外にも、入射角度0度の全光線透過率が85%以上であり、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上である樹脂封止シートを用いることで、太陽光の入射角度が低い場合であっても発電量の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
入射角度0度の全光線透過率が85%以上であり、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上である、樹脂封止シート。
〔2〕
密度が0.88〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下である熱可塑性樹脂を含む樹脂層を少なくとも有する、〔1〕に記載の樹脂封止シート。
〔3〕
前記熱可塑性樹脂は、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、〔2〕に記載の樹脂封止シート。
〔4〕
前記熱可塑性樹脂は、線状低密度ポリエチレンである〔2〕又は〔3〕に記載の樹脂封止シート。
〔5〕
多層構造である〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
〔6〕
架橋処理が施された〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
〔7〕
前記架橋処理が電子線照射によるものである〔6〕に記載の樹脂封止シート。
〔8〕
透光性絶縁基板と、
裏面絶縁基板と、
前記透光性絶縁基板と前記裏面絶縁基板との間に配置される発電素子と、
前記発電素子を封止する、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シートと、
を備える太陽電池モジュール。
本発明によれば、太陽光の入射角度が低い場合であっても発電量の低下を抑制できる太陽電池モジュールとすることができる樹脂封止シートを提供できる。
本実施の形態の樹脂封止シートの一態様の側面概略図である。 本実施の形態の太陽電池モジュールの一態様の断面概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本実施の形態の樹脂封止シートの一態様の側面概略図である。本実施の形態の樹脂封止シート1は、入射角度0度の全光線透過率が85%以上であり、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上である、樹脂封止シートである。ここで「入射角度0度」とは、図1における入射角度αが0度である場合をいう。本発明者らは、太陽電池モジュールの発電効率を向上できる要素の一つとして太陽光の拡散光に着目をした。通常、樹脂封止シートのヘイズ値が高いと、シートの表面が白っぽくぼやけて見えるため透明性が悪い。したがって、ヘイズ値が高い樹脂シートを太陽電池の封止材として用いることは好ましくないと考えられている。しかし、意外にも、入射角度0度の全光線透過率を85%以上とし、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上である透明性を有する樹脂封止シートを用いることで、日間では太陽が東又は西に位置する朝方や夕方の時間帯や、年間では冬季のような太陽高度が低い季節帯のような入射角度が大きい場合(太陽光が斜めから入射する場合)でも、散乱光からも有効に発電できることを本発明者らは見出した。ここで、全光線透過率及びヘイズ値は、後述する実施例に記載された測定方法により測定できる。
例えば、日本における年間を通じての正午の太陽高度の範囲は、冬至であれば30度程度、夏至であれば80度程度、春分秋分であれば55度程度である。このような環境において、例えば、傾斜角25度程度である一般家屋の屋根に設置された太陽電池モジュールが年間を通して優れた発電効率を得るためには、入射角度0度〜35度程度の範囲において発電効率のバラツキ(低下)を低減することが求められる。従来の樹脂封止シートを用いた太陽電池モジュールであれば、太陽光の入射角度が35度程度である場合、入射角度が0度の場合と比較して、発電効率が著しく低下していた。これに対して、本実施の形態の樹脂封止シートを用いた太陽電池モジュールであれば、太陽光の入射角が35度程度の場合であっても、発電効率の低下を抑制できる。
入射角度0度の全光線透過率の下限値は85%以上であればよく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率の上限値は99%以下であることが好ましく、より好ましくは95%以下であり、さらに好ましくは90%以下である。入射角度0度におけるヘイズ値の下限値は25%以上であればよく、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは34%以上である。ヘイズ値の上限値は、60%以下であることが好ましく、好ましくは55%以下であり、より好ましくは50%以下である。全光線透過率及びヘイズ値を上記範囲とすることで、本実施の形態の効果をより顕著なものにすることができる。
本実施の形態の樹脂封止シートは、密度が0.88〜0.91g/cm3以下であり、融点110℃以下である熱可塑性樹脂を含む樹脂層を少なくとも有することが好ましい。これにより、全光線透過率及びヘイズ値が上記数値範囲である透明性と熱ラミネート適性のバランスが一層優れた樹脂層とすることができる。ここで、融点は、後述する実施例に記載された測定方法により測定される。
前記熱可塑性樹脂は、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。これらの中でも、全光線透過率が高く太陽光線の透過性が良好である観点から、ポリオレフィン系樹脂であることがさらに好ましい。
例えば、EVA等を用いた樹脂封止シートは、末端基としてカルボン酸基を有する樹脂を用いるため、水蒸気透過度が大きくなり水蒸気が流入し易くなる可能性がある。特に、EVA等ではその側鎖部分が分解して脱離しやすい傾向があり、側鎖部分は酸性基あるいは極性基となりやすいため、水分を保持しやすくなる傾向がある。これに対して、熱可塑性樹脂として、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を用いることで、極性を抑えることができ、優れた絶縁性も得ることもできる。その結果、太陽電池モジュールの発電効率の向上に資するだけでなく、水蒸気バリア性に優れ、高温高湿下であっても被封止物(発電セル等)を確実に封止するという利点も併せ持つ。特に、架橋処理を施した場合、これらの利点はより顕著になる。
エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族カルボン酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。共重合は、高圧法、溶融法等の公知の方法により行うことができ、重合反応の触媒としてマルチサイト触媒やシングルサイト触媒等を用いることができる。また、上記共重合体において、各モノマーの結合形状は特に限定されず、ランダム結合、ブロック結合等の結合形状を有するポリマーを使用することができる。なお、光学特性の観点から、上記共重合体としては、高圧法を用いてランダム結合により重合した共重合体が好ましい。
脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸とメタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールとのエステル結合が好適に使用され、これらとエチレンとの共重合が挙げられる。これらの共重合体は、3成分以上のモノマーを共重合してなる多元共重合体であってもよい。
エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の脂肪族カルボン酸エステルの割合が、3〜35質量%であることが好ましい。MFR(190℃、2.16kg)は、0.5〜30g/10分であることが好ましく、0.8〜30g/10分であることがより好ましく、1〜25g/10分であることがさらに好ましい。ここで、MFRは後述する実施例に記載された測定方法により測定される。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
ポリオレフィン系樹脂としては、腐食性及び水蒸気バリア性の観点から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリブテン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、コストの観点から、ポリエチレン系樹脂がより好ましい。ここでポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。また、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。ポリブテン系樹脂とは、ブテンの単独重合体又はブテンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。
樹脂層は、密度が0.88〜0.91g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。密度が0.91g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を用いることで、熱ラミネート時に隙間埋め性と全光線透過率が高いことによる透明性を大幅に向上できる。密度の下限値は、ヘイズ値が高くなるような拡散光透過率の割合を向上させる観点から、0.88g/cm3以上であることが好ましく、0.89g/cm3以上であることがより好ましい。透明性をより一層改善する観点から、密度0.88〜0.91g/cm3の樹脂層となるように、低密度のポリエチレン系樹脂に対して、高密度のポリエチレン系樹脂等の異なる種類の樹脂を併用することがさらに好ましい。より具体的には、低密度ポリエチレン系樹脂に対して、高密度ポリエチレン系樹脂を1〜50質量%程度の割合で添加することがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、いわゆる線状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。線状低密度ポリエチレンを用いることで、極性をさらに抑えることができ、優れた絶縁性も得ることができる。そして、水蒸気バリア性に優れ、高温高湿下であっても被封止物を確実に封止することができる。特に、架橋処理を施した場合、これらの利点はより顕著になる。
線状低密度ポリエチレンは、樹脂封止シートの加工性や熱ラミネート適性の観点から、融点は110℃以下であることが好ましく、加えてMFR(190℃、2.16kg)が0.5〜30g/10分であることがさらに好ましく、0.8〜30g/10分であることがよりさらに好ましく、1.0〜25g/10分であることがより一層好ましい。ここで、MFRは、後述する実施例に記載された方法により測定される。
線状低密度ポリエチレンは、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができるが、低分子成分の含有量を抑えることができ、低密度の樹脂を効率よく合成できる観点等から、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。シングルサイト系触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、シクロペンタセン環を有する金属錯体等が挙げられる。これらは、市販品を用いることもできる。
樹脂層は、有機過酸化物を実質的に含有しないことが好ましい。そのため、シート製造時における温度の制約がないため、シートの製膜時や、後述するエンボス加工時等におけるシート温度を高温にすることができる。その結果、製膜速度やエンボス加工速度等を向上させることができ、生産性に優れる。このような有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
樹脂封止シートの樹脂層は架橋処理が施されていることが好ましい。これにより、長時間の熱キュア工程を別途行うことなく、良好な耐熱性をシートに付与できる。さらに、架橋処理は、電離性放射線を照射することにより行われることが好ましい。本実施の形態では、架橋処理のために有機過酸化物を用いる必要がないため、有機過酸化物の熱分解等によるガス発生が少なく、真空ポンプ等の腐食ダメージやオイルの汚れ等も抑制することができる。本実施の形態において「架橋処理」とは、樹脂を構成する高分子を物理的、又は化学的に架橋した結果、ゲル分率が好ましくは3質量%以上となった状態の樹脂層をいう。
本実施の形態における樹脂封止シートは、電離性放射線の照射強度(加速電圧)と照射密度によって、シート厚さ方向のゲル分率が適度に制御されている。照射強度(加速電圧)はシートの厚さ方向にどれだけ深く電子を届かせるかを示すものであり、照射密度は単位面積当たりどれだけ多くの電子を照射するかを示すものである。電離性放射線の照射による架橋としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を樹脂封止シートに照射して架橋させる方法が挙げられる。電子線等の電離性放射線の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂層に応じて適宜調節が可能であり、電離性放射線の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、一般的に3kGy未満の場合、樹脂封止シート全体を均一に架橋することが困難となる傾向にある。
ゲル分率は、好ましくは3質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上50質量%以下である。ゲル分率を上記範囲とすることにより、発電素子や配線等の被封止物の段差を隙間なく封止する性能(隙間埋め性)をより向上することができ、かつ、耐クリープ性を発揮することができる。なお、樹脂封止シートが後述する単層構造又は多層構造のいずれの構造を有する場合であっても、ゲル分率は、樹脂封止シート全体の平均のゲル分率(全層ゲル分率)の値を意味する。
樹脂封止シートのゲル分率は、沸騰p−キシレン中で樹脂封止シートを12時間抽出し、不溶解部分の割合から下記式により求めることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
本実施の形態における樹脂封止シートを構成する樹脂層は、電離性放射線崩壊型樹脂をさらに含んでいてもよい。電離性放射線崩壊型樹脂とは、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射することにより崩壊する性質を有する樹脂をいう。
電離性放射線崩壊型樹脂としては、例えば、主鎖のC−C結合のα位に官能基が結合した崩壊型樹脂が挙げられる。上記官能基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミド基、及び置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、及びアリール基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)等が挙げられる。
電離性放射線崩壊型樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリα−メチルスチレン、テトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルグリシジルメタクリレート、及びセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
樹脂封止シートを構成する樹脂中には、架橋性を有する部位と崩壊性を有する部位の両方を有する電離性放射線架橋崩壊型樹脂が含まれていてもよい。そのような樹脂としては、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、ポリプロピレンを含むエチレン共重合体、メチルメタクリレートを含むエチレン共重合体、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体、イソプレンゴムを含むエチレン共重合体、ブタジエンゴムを含むエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴムを含むエチレン共重合体等が挙げられる。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
本実施の形態の樹脂封止シートは、単層構造、多層構造のいずれの構造を有していてもよい。以下、各構造について説明する。ここで、樹脂封止シートが多層構造である場合、樹脂封止シートの表面の層を「表面層」といい、それ以外を「内層」(3層以上の場合)という。即ち、樹脂封止シートの両表面を形成する2層が「表面層」である。例えば、2層からなる多層構造の場合は、2つの表面層から構成される構造となるが、一方の表面層と、他方の表面層が同じ成分であってもよいし、異なる成分であってもよい。
[単層構造]
樹脂封止シートが単層構造を有する場合、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱い性を確保する観点から、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む層であることが好ましい。
樹脂封止シートを構成する樹脂層に、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物が含有されている場合は、そのケン化度及び含有量は適宜調整でき、これにより被封止物との接着性を制御できる。接着性と光学特性の観点から、樹脂層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物の含有量は、3〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましい。
[多層構造]
本実施の形態の樹脂封止シートは多層構造であることが好ましい。多層構造とすることにより、層ごとに異なる機能を付与することで樹脂封止シートの物性を向上させることができる。樹脂封止シートの樹脂層が多層構造である場合には、全体として入射角度0度の全光線透過率が85%以上であり、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上であればよいが、その中でも、いずれかの層が密度0.88〜0.91g/cm3以下の線状低密度ポリエチレンを含み、かつ架橋処理された層であると好ましい。
本実施の形態において、接着性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体ケン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂層が、被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)として形成されていることが好ましい。
表面層としては、上述したケン化物のみからなる層でもよいが、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、ケン化物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂との混合樹脂からなる層であることが好ましい。表面層中における接着性樹脂の含有量は、特に限定されないが、接着性の観点から、5〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜35質量%がさらに好ましい。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸から選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」とも略記される。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」とも略記される。)等が挙げられる。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールとのエステルが好適に使用される。
これらの共重合体は、3成分以上のモノマーを共重合してなる多元共重合体であってもよい。上記多元共重合体としては、例えば、エチレン、脂肪族不飽和カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選択される少なくとも3種類のモノマーを共重合してなる共重合体が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、上記したポリオレフィン系樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等が挙げられる。
また、樹脂封止シートが多層構造を有する場合、電離性放射線崩壊型樹脂は、被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)に含まれていることが好ましい。樹脂封止シートの被封止物と接触する層に電離性放射線崩壊型樹脂が含まれていると、発電素子や配線等の段差を隙間なく封止する性能(隙間埋め性)が良好となる傾向にある。
電離性放射線崩壊型樹脂が被封止物と接触する層に含まれている場合、被封止物と接触する層中の電離性放射線崩壊型樹脂の含有量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは7〜70質量%、さらに好ましくは8〜60質量%である。
被封止物と接触する層が電離性放射線崩壊型樹脂を含む場合、被封止物と接触する層(表面層)のゲル分率は、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%以下0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以下0.1質量%以上である。被封止物と接触する層のゲル分率が3質量%未満であると隙間埋め性が良好となる傾向にあり、0.1質量%以上であると、夏場等の高温状態においても樹脂が融解して被封止物が流動することなく安定する傾向にある。
被封止物と接触する表面層の密度は、ブロッキングの観点より、0.87g/cm3以上であることが好ましく、クッション性、透明性の観点より0.96g/cm3以下であることが好ましい。ブロッキング防止の方法として公知のエンボス方法にて表面の接触面積を少なくすることも効果的である。被封止物と接触する表面層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、樹脂封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層構造の場合と同等の接着性が得られる傾向にある。
内層を構成する樹脂としては、特に限定されず、上述した表面層に好適に用いられる樹脂に加えて、他のいかなる樹脂を用いてもよい。内層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物等を適宜選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的として、内層として熱可塑性樹脂を含有する層を設けてもよい。
内層として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素系エチレンポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、生分解性を有するものや植物由来原料系のもの等も含まれる。上記の中でも、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好な水素添加ブロック共重合体樹脂、プロピレン系共重合樹脂、エチレン系共重合体樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂及びプロピレン系共重合樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
プロピレン系共重合体樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。
エチレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
内層の材料としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、0.88〜0.91g/cm3であることが好ましい。全光線透過率の高い透明性の観点から、0.91g/cm3以下であることが好ましく、ヘイズ値や拡散光透過率の割合の高い観点から、0.88g/cm3以上が好ましい。
また、樹脂封止シートは、中央層(多層構造の中央に位置する層)の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造を有していてもよい。このような樹脂封止シートとしては、例えば、2層の表面層(以下、「スキン層」と記載する場合がある。)と3層の内層からなる樹脂封止シートであって、2層の表面層が同一成分からなり、表面層に隣接する2層の内層(以下、「ベース層」と記載する場合がある。)が同一成分からなる樹脂封止シートが挙げられる。
上記構造を有する樹脂封止シートにおいて、表面層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましく、ベース層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して50〜90%であることが好ましく、ベース層に挟まれた内層(以下、「コア層」と記載する場合がある。)の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましい。
<太陽電池モジュール>
本実施の形態の樹脂封止シートを用いて太陽電池モジュールとすることができる。図2は、本実施の形態の太陽電池モジュールの一態様の断面概略図である。すなわち、本実施の形態の太陽電池モジュール2は、透光性絶縁基板20と、裏面絶縁基板22と、前記透光性絶縁基板20と前記裏面絶縁基板22との間に配置される発電素子24と、前記発電素子24を封止する樹脂封止シート26と、を少なくとも備える。
(透光性絶縁基板)
透光性絶縁基板としては、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を具備することが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高い部材であることが好ましい。
透光性絶縁基板の材料としては、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルムや、ガラス基板等が挙げられ、中でも、耐候性、耐衝撃性、コストのバランスの観点からガラス基板が好ましい。
樹脂フィルムとして特に好適なのは、透明性、強度、コスト等の点で優れたポリエステル樹脂、とりわけポリエチレンテレフタレート樹脂である。
また、耐侯性が特に良好なフッ素樹脂も好適に用いられる。具体的には、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)が挙げられる。耐候性の観点からはポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましいが、耐候性及び機械的強度の両立をする観点からは四フッ化エチレン−エチレン共重合体が好ましい。また、樹脂封止シート等の他の層を構成する材料との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理を透光性絶縁基板に行うことが好ましい。機械的強度向上のために、延伸処理が施してあるシート、例えば、2軸延伸のポリプロピレンシートを用いることも可能である。
透光性絶縁基板としてガラス基板を用いる場合には、波長350〜1400nmの光の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。かかるガラス基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用するのが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影響は少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるために熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングを施してもよい。
(裏面絶縁基板)
裏面絶縁基板としては、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の透光性絶縁基板と同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を求められる。従って透光性絶縁基板と同様の材質で裏面絶縁基板を構成してもよい。すなわち、透光性絶縁基板において用いることができる上述の各種材料を、裏面絶縁基板においても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、及びガラス基板を好ましく用いることができ、中でも、耐候性、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)がより好ましい。
裏面絶縁基板は、太陽光の通過を前提としないため、透光性絶縁基板で求められる透明性(透光性)は必ずしも要求されない。そこで、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、或いは、温度変化による歪、反りを防止するために、補強板を張り付けてもよい。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
裏面絶縁基板は、2層以上からなる多層構造を有していてもよい。多層構造としては、例えば、中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造等が挙げられる。そのような構造を有するものとしては、例えば、PET/アルミナ蒸着PET/PET、PVF(商品名:テドラー)/PET/PVF、PET/AL箔/PET等が挙げられる。
(発電素子)
発電素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に制限はなく、例えば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)、化合物半導体(3−5族、2−6族、その他)等を用いることができ、中でも、発電性能とコストとのバランスの観点から、多結晶シリコンが好ましい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本実施の形態における太陽電池モジュールの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、透光性絶縁基板/樹脂封止シートa/発電素子/樹脂封止シートb/裏面絶縁基板の順に重ね、真空ラミネート装置を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることにより製造することができる。特に、本実施の形態の樹脂封止シートは、発電素子と透光性絶縁基板との間の隙間を埋める樹脂封止シートaとして少なくとも用いられることが好ましい。太陽光が本実施の形態の樹脂封止シートを経て発電素子に到達するため、発電効率の向上に効果的に寄与することができる。
太陽電池モジュールにおける、各部材の厚さは特に限定されないが、透光性絶縁基板の厚さは、耐候性、耐衝撃性の観点から好ましくは3mm以上、裏面絶縁基板の厚さは、絶縁性の観点から好ましくは75μm以上、発電素子の厚さは、発電性能とコストのバランスの観点から好ましくは140〜250μm、樹脂封止シートの厚さは、クッション性、封止性の観点から好ましくは250μm以上である。
本発明を以下の実施例により更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例で用いた樹脂は以下の通りである。
(1)線状超低密度ポリエチレン(VL)
VL1:アフィニティ EG8200G、ダウ・ケミカル社製
(MFR=5.0g/10分、比重=0.870g/cm3、融点=63℃)
VL2:アフィニティ PF1140G、ダウ・ケミカル社製
(MFR=1.6g/10分、比重=0.897g/cm3、融点=96℃)
VL3:アフィニティ KC8852G、ダウ・ケミカル社製
(MFR=3.0g/10分、比重=0.875g/cm3、融点=68℃)
VL4:アフィニティ EG8100G、ダウ・ケミカル社製
(MFR=1.0g/10分、比重=0.870g/cm3、融点=55℃)
VL5:エボリュー SP0510G、プライムポリマー社製
(MFR=1.2g/10分、比重=0.903g/cm3、融点=98℃)
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
EVA1: ウルトラセン751、東ソー社製
(MFR=0.8g/10分、比重=0.950g/cm3、融点=85℃、VA=20質量%)
(3)エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(EVA−GMA共重合体)
BF:ボンドファースト7B、住友化学社製
(MFR=7.0g/10分、比重=0.950g/cm3、融点=95℃、GMA=12質量%、VA=5質量%)
<樹脂封止シートの作製>
表に示す樹脂を用いて、3台の押出機を使用して樹脂を溶融し、その押出機に接続された環状ダイから樹脂をチューブ状に溶融押出し、溶融押出にて形成されたチューブを上向きのダイレクトインフレ方法により製膜し、溶融した樹脂シートを冷風を用いて冷却固化することにより樹脂シートを得た。
次いで、冷却固化した樹脂シートを赤外線ヒーターにより本加熱して軟質化された樹脂シートをバックアップロールとエンボスロールの間に通過させることによりエンボス加工を施した。得られた樹脂封止シート(エンボスシート)に、EPS−800の電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製)を用いて、架橋処理を行った。電子線処理を行った。
<太陽電池モジュールの作製>
得られた樹脂封止シートを用いて、透明保護材としてAGC製の太陽電池用エンボス付き白板ガラス(厚さ3.2mm×横700mm×縦1000mm、封止材面は150μmエンボスあり)、発電素子としてE−TON製の多結晶Siセル(6インチ角×厚さ250μm)、裏面保護材(バックシート)として三菱アルミパッケージング社製のPVF(40μm厚)/PET(250μm厚)/PVF(40μm厚)を用いて太陽電池モジュールを作製した。6インチ多結晶セルを16枚(4列×4枚)に配置し、透明基板(透明保護材)/樹脂封止シート(a)/発電素子(250μm)/樹脂封止シート(b)/バックシート(裏面保護材)の順に重ね、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃余熱5分とプレス5分のラミネート条件で真空ラミネートすることで太陽電池モジュールを製造し、各評価試験を行った。
<全光線透過率及びヘイズ値>
ASTM D−1003に準拠して、日本電色工業製ヘーズメーター(濁度計)NDH2000にて測定した。評価用サンプルとしては、太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス5cm×10cm角:厚さ3mm)/樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて真空ラミネートしたものを用いた。一般にヘーズメーターの光源に垂直になるよう(発電素子への入射光角度0度の状態)にしてサンプルを立てて設置した状態で測定するが、加えて、サンプルを傾けることでサンプルへの入射光角度を35度にした状態でも光学物性を測定した。
全光線透過率Tt (=Td+Tp)
拡散光透過率Td (Dfs)
平行光透過率Tp (P.t)
曇価Hz(ヘイズ):散乱光透過率[=(全光線透過率―平行線透過率)/全光線透過率]
融点は、JIS−K−7121に準拠して測定した。
密度は、JIS−K−7112に準拠して測定した。
メルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、JIS−K−7210に準拠して測定した。
<発電量>
モジュールテスターNMS−300R(NPC社)にて、モジュール製造前の16枚直列結線された発電素子とモジュール製造後の発電性能を測定した。通常は、モジュールテスターの光源に垂直になるよう(発電素子への入射光角度0度の状態)にしてモジュールを立てて設置して発電性能を測定するが、加えて、モジュール若しくは発電素子を傾けることで発電素子への入射光角度を23度及び35度にした状態でも発電性能を測定した。
Figure 0005320319
表によれば、各実施例において入射光角度35度における発電量(Pmax)の増加率が大きいことが確認された。また、比較例1の従来技術と比較しても、各実施例ともに発電量が大幅に向上していることが確認された。以上より、本実施例の樹脂封止シートは、太陽光の入射角度が低い場合であっても発電量の低下を抑制できる太陽電池モジュールとできることが確認された。
本発明に係る樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の各種部材を封止する封止材等として産業上の利用可能性を有する。
1,26 樹脂封止シート
2 太陽電池モジュール
20 透光性絶縁基板
22 裏面絶縁基板
24 発電素子
α 入射角度

Claims (3)

  1. 密度が0.88〜0.91g/cm3であり、かつ融点が110℃以下である熱可塑性樹脂を含む樹脂層を少なくとも有し、
    前記樹脂層は、有機過酸化物を実質的に含有せず、
    前記熱可塑性樹脂は、少なくとも線状低密度ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体であり、
    電子線照射によって架橋処理が施され、かつ、入射角度0度の全光線透過率が85%以上であり、かつ入射角度0度のヘイズ値が25%以上である、樹脂封止シート。
  2. 多層構造である請求項1記載の樹脂封止シート。
  3. 透光性絶縁基板と、
    裏面絶縁基板と、
    前記透光性絶縁基板と前記裏面絶縁基板との間に配置される発電素子と、
    前記発電素子を封止する、請求項1又は2に記載の樹脂封止シートと、
    を備える太陽電池モジュール。
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