JP2012015214A - 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れる樹脂封止シート及びそれを備える太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、を少なくとも有し、前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、全層の合計厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シート(1)。
【選択図】図1
【解決手段】ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、を少なくとも有し、前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、全層の合計厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シート(1)。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂封止シート及びそれを備える太陽電池モジュールに関する。
近年、世界的な温暖化現象により、環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電によるエネルギーは炭酸ガス等を発生しない。そのためクリーンなエネルギーとして注目されており、産業用及び家庭用エネルギーとして研究開発が行われている。
太陽電池の代表例としては、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が挙げられる。太陽電池は、長期間、屋外で風雨に曝されて使用されることが多く、発電部分をガラス板やバックシート等を貼り合わせてモジュール化し、外部からの水分の侵入を防止することにより、発電部分の保護や漏電防止等を図っている。
発電部分(発電素子)を保護する部材としては、発電に必要な光透過を確保するため、光入射側の部材(透光性絶縁基板)には、透明ガラスや透明樹脂を使用している。反対側(裏側)の部材(裏面絶縁基板)には、バックシートと呼ばれるアルミ箔、フッ化ポリビニル樹脂(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やシリカ等のバリアーコート加工がされた積層シートが多く使用されている。そして、発電素子を樹脂封止シートで挟み込み、ガラスやバックシートでさらに外部を被覆して熱処理を施すことにより樹脂封止シートを溶融し、全体を一体化封止(モジュール化)している。
上述した樹脂封止シートは、次の(1)〜(3)が特性として要求される。すなわち、(1)ガラス等の透光性絶縁基板、発電素子、バックシート等の裏面絶縁基板との良好な接着性、(2)高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電素子の流動防止性(耐クリープ性)、(3)太陽光の入射を阻害しない透明性である。
このような観点から、樹脂封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に、絶縁基板との接着性向上のためのカップリング剤、架橋させるための有機過酸化物等の添加剤を配合し、カレンダー成形やTダイキャストによる熱溶融成形で製膜されたものが多く用いられている。また、長期に亘って太陽光に曝されることに鑑み、樹脂の劣化による光学特性の低下の防止を図るため紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤が配合されている。
上述したような樹脂封止シートにより太陽電池をモジュール化する方法として、専用の太陽電池真空ラミネーターを用いる方法が挙げられる。具体的には、ガラス/樹脂封止シート/結晶系シリコンセル等の発電素子/樹脂封止シート/バックシートの順で重ね合わせ、樹脂の溶融温度以上(EVAの場合は150℃程度の温度条件)で予熱する工程とプレス工程を経て、樹脂封止シートを溶融させて貼り合わせる方法が挙げられる。
上記方法では、先ず、予熱工程で樹脂封止シートの樹脂が溶融し、プレス工程で溶融樹脂に接している部材が、溶融樹脂と密着して真空ラミネートされる。このラミネート工程では、(i)樹脂封止シートに含有されている架橋剤(例えば、有機過酸化物等)が熱分解し、EVAの架橋が促進された後、(ii)樹脂封止シートに含有しているカップリング剤が接触している部材と共有結合する。これにより、互いの接着性がより向上し、高温状態における樹脂封止シートの溶融に起因する発電部分の流動が防止され(耐クリープ性)、ガラス、発電素子及びバックシートの優れた接着性が実現される。
特許文献1には、カップリング剤及び有機過酸化物を含有するエチレン系共重合体樹脂からなる太陽電池用の樹脂封止シートが開示されている。特許文献2には、架橋剤及びシランカップリング剤を配合したエチレンビニルアセテート共重合体からなるシートであって、一定のゲル分率まで放射線架橋させたことを特徴とする太陽電池用の樹脂封止シートが開示されている。特許文献3には、透明なポリビニルブチラールを主成分とするフィルムを封止シートとし、絶縁基板として2枚のガラス板を用いて製造されたソーラーモジュールが開示されている。
近年、太陽電池モジュールの軽量化による易施工性の観点や、建築物の明かり取り屋根や窓にも使用される様な、複合安全ガラスにも匹敵する耐貫通性能を有する、2枚の透光性絶縁基板を用いた透光性のある太陽電池モジュールの使用の拡大の観点から、絶縁基板をガラス板より比重の低い透光性樹脂(例えば、ポリカーボネート板、ポリエステル板、アクリル板等)へ置き換えることが検討されている。しかし、これらの透光性樹脂は、ガラス板よりも透湿性が大きく、0.1〜0.3%程度の吸水率を有するため、カップリング剤を配合したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラールからなる封止シートの封止性能を劣化させてしまうという問題がある。その結果、絶縁基板や発電素子等が剥離してしまい封止不良となるという問題が生じる。かかる問題は、耐湿熱性が要求される高温高湿雰囲気下での使用で顕著となる。したがって、樹脂封止シートとしては、上記した耐貫通性能及び耐湿熱性に優れていることが要求される。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れる樹脂封止シート及びそれを備える太陽電池モジュールを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、を少なくとも有し、前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、層(A)、層(B)及び全層の厚みを所定の範囲とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、
前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、
を少なくとも有し、
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、
前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、
前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、
全層の合計厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シート。
〔2〕
前記組成物(b)は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体を更に含有する、〔1〕に記載の樹脂封止シート。
〔3〕
架橋処理が施された、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂封止シート。
〔4〕
前記架橋処理が電子線照射によるものである、〔3〕に記載の樹脂封止シート。
〔5〕
全光線透過率が85%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
〔6〕
透光性絶縁基板と、
裏面絶縁基板と、
前記透光性絶縁基板と前記裏面絶縁基板との間に配置される発電素子と、
前記発電素子を封止する、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シートと、
を備え、
前記樹脂封止シートの前記層(A)が前記発電素子側に位置するように配置されている、太陽電池モジュール。
〔7〕
前記透光性絶縁基板は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、〔6〕に記載の太陽電池モジュール。
〔1〕
ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、
前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、
を少なくとも有し、
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、
前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、
前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、
全層の合計厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シート。
〔2〕
前記組成物(b)は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体を更に含有する、〔1〕に記載の樹脂封止シート。
〔3〕
架橋処理が施された、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂封止シート。
〔4〕
前記架橋処理が電子線照射によるものである、〔3〕に記載の樹脂封止シート。
〔5〕
全光線透過率が85%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
〔6〕
透光性絶縁基板と、
裏面絶縁基板と、
前記透光性絶縁基板と前記裏面絶縁基板との間に配置される発電素子と、
前記発電素子を封止する、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂封止シートと、
を備え、
前記樹脂封止シートの前記層(A)が前記発電素子側に位置するように配置されている、太陽電池モジュール。
〔7〕
前記透光性絶縁基板は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、〔6〕に記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れる樹脂封止シート及びそれを備える太陽電池モジュールを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の樹脂封止シートは、ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)とを有し、
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度0.87〜0.91g/cm3であり、かつ融点が110℃以下である、線状低密度ポリエチレンであり、
前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、
前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、
全層の厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シートである。かかる樹脂封止シートは、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れ、後述する太陽電池モジュールに用いた場合であっても、優れた封止性能を維持することができる。特に、太陽電池モジュールの基板(後述する透光性絶縁基板及び裏面絶縁基板等を参照)に用いられる材料が、透湿性や吸水性の高い材料であったとしても、その影響を受けることなく、優れた封止性能を維持することができる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度0.87〜0.91g/cm3であり、かつ融点が110℃以下である、線状低密度ポリエチレンであり、
前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、
前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、
全層の厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シートである。かかる樹脂封止シートは、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れ、後述する太陽電池モジュールに用いた場合であっても、優れた封止性能を維持することができる。特に、太陽電池モジュールの基板(後述する透光性絶縁基板及び裏面絶縁基板等を参照)に用いられる材料が、透湿性や吸水性の高い材料であったとしても、その影響を受けることなく、優れた封止性能を維持することができる。
本実施形態の樹脂封止シートは、ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)を有する。組成物(a)は、ポリビニルブチラールを含有するものであればよく、好ましくはポリビニルブチラールを主体として含有するものが好ましい。ここで、「主体とする」とは、組成物中に当該成分を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含有するものをいう。
本実施形態では、組成物(a)に含有されるポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールの少なくとも一部分をブチルアルデヒドでアセタール化して得られるものが好ましい。ポリビニルブチラール中の各単量体単位は特に限定されないが、封止性能と耐貫通性の観点から、ポリビニルアセタール単位が65〜95質量%、ポリビニルアルコール単位が5〜30質量%、ポリ酢酸ビニル単位が0〜5質量%であるものが好ましい。さらに、封止性能と耐貫通性を一層向上させるという観点から、平均重合度が250〜300であるのものがより好ましい。上記したポリビニルアセタール単位、ポリビニルアルコール単位、及びポリ酢酸ビニル単位の含有量は、1H−NMR測定から測定することができる。平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得られた数平均分子量及び重量平均分子量と、1H−NMR測定により求めた各単量体単位から、測定することができる。
組成物(a)は、上記したポリビニルブチラール以外に他の樹脂を含有していてもよい。かかる他の樹脂としては、例えば、水酸基を持つオレフィン系共重合体、酸性官能基で末端又はグラフト変性された変性ポリオレフィン、及びグリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の接着性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体が好ましい。これらの他の樹脂の含有量の合計は、組成物(a)において、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
組成物(a)は、本実施形態の効果の範囲内で他の添加物等を更に含有してもよい。かかる添加物としては、例えば、可塑剤、接着力調整剤、安定剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、一塩基酸エステルや多塩基酸エステル等の有機系可塑剤、及び燐酸系可塑剤等が挙げられる。
一塩基酸エステルとしては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸とトリエチレングリコールとの反応によって得られるエステル、及び、その混合物が好ましい。これらの中でも、トリエチレン−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエートがより好ましい。なお、上記有機酸と、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコールとのエステルも使用することができる。
多塩基酸エステルとしては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素原子数4〜8個の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステル、及びその混合物が好ましい。これらの中でも、ジブチルセバケート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペートがより好ましい。
燐酸系可塑剤としては、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が好ましい。
組成物(a)における可塑剤の添加量は特に限定されないが、ポリビニルブチラール100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。可塑剤の添加量を上記範囲とすることにより、熱溶融成形で良好な製膜性が得られるとともに、熱に対する耐久性等の低下を効果的に抑制することができる。
接着力調整剤としては、例えば、脂肪酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げられる。脂肪酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オクチル酸カリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム等が挙げられる。脂肪酸のアルカリ土類金属塩としては、例えば、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オクチル酸カルシウム、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、乳酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸バリウム等が挙げられる。
組成物(a)は、劣化防止の観点から、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤を更に含んでいてもよい。例えば、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を使用することができる。これらの中でも、黄変性が抑制される観点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。
組成物(a)における安定剤の添加量は特に限定されないが、ポリビニルブチラール100質量部に対して、0.05〜1.0質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがより好ましい。安定剤の添加量を上記範囲とすることにより、原材料コスト抑制と黄変性の劣化防止を両立することができる。
本実施形態の樹脂封止シートは、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)を有する。ここで、ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンである。組成物(b)は、かかるポリオレフィン系樹脂を含有するものであればよく、好ましくはポリオレフィン系樹脂を主体として含有するものが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであればよく、その種類は特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂の密度の上限値を0.91g/cm3以下とすることで、熱ラミネート時に隙間埋め性と透明性(特に全光線透過率)を大幅に向上できる。密度の下限値を0.87g/cm3以上、好ましくは0.88g/cm3以上とすることで、熱溶融成形で良好な製膜性を得ることができる。透明性(特に、拡散光透過率の割合)をより一層改善する観点から、上記密度の範囲にある樹脂組成物となるように、線状低密度ポリエチレン樹脂に対して、低〜高密度のポリエチレン系樹脂等の異なる種類の樹脂を併用することが好ましい。より具体的には、線状低密度ポリエチレン樹脂に対して、低〜高密度ポリエチレン系樹脂を1〜50質量%の割合で添加することがより好ましい。ここで、密度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
線状低密度ポリエチレンを用いることにより、極性を抑えることができ、優れた絶縁性も得ることができる。さらに、水蒸気バリア性に優れ、高温高湿下であっても被封止物(後述する発電素子等)を確実に封止することができる。特に、架橋処理を施した場合、これらの利点はより顕著になる。線状低密度ポリエチレンは、樹脂封止シートの加工性や熱ラミネート適性の観点から、融点は110℃以下である。ここで、融点は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
線状低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、特に限定されないが、樹脂封止シートの加工性や熱ラミネート適性の観点から、0.5〜30g/10分であることが好ましく、0.8〜30g/10分であることがより好ましく、1.0〜25g/10分であることが更に好ましい。ここで、MFRは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
線状低密度ポリエチレンは、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができるが、低分子成分の含有量を抑えることができ、低密度の樹脂を効率よく合成できる観点等から、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。シングルサイト系触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、シクロペンタセン環を有する金属錯体等が挙げられる。これらは、市販品を用いることもできる。
組成物(b)は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体を更に含有することが好ましい。グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体は接着性樹脂として機能させることができ、高湿度雰囲気中でも安定した接着性を付与することができる。
グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体としては、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマー等を示し、多元共重合体であってもよい。これらの中でも、安定した接着性と、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる観点から、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体が好ましい。
本実施形態の樹脂封止シートは、架橋処理が施されていることが好ましい。これにより、長時間の熱キュア工程を別途行うことなく、良好な耐熱性をシートに付与できる。さらに、架橋処理は、電子線照射を照射することにより行われることが好ましい。本実施形態では、架橋処理のために有機過酸化物を用いる必要がないため、有機過酸化物の熱分解等によるガス発生が少なく、真空ポンプ等の腐食ダメージやオイルの汚れ等も抑制することができる。本実施形態において「架橋処理」とは、樹脂を構成する高分子を物理的、又は化学的に架橋した結果、好ましくは、150℃の温度下でシートを吊下げた際の収縮率が0〜40%であり、ゲル分率が0.1〜70質量%の範囲内となった状態の樹脂層をいう。
上記観点から、本実施形態の樹脂封止シートは、有機過酸化物を実質的に含有しないことが好ましい。樹脂封止シートを構成する層(例えば、層(A)及び層(B))が有機過酸化物を実質的に含有しないことにより、シート製造時における温度の制約が緩和され、シートの製膜時や、後述するエンボス加工時等におけるシート温度を高温にすることができる。その結果、樹脂封止シートの製膜速度や、所望によって施すエンボス加工の加工速度等を向上させることができ、生産性に優れる。このような有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
本実施形態における樹脂封止シートは、電子線照射の照射強度(加速電圧)と照射密度によって、シート厚さ方向のゲル分率を適度に制御できる。照射強度(加速電圧)はシートの厚さ方向にどれだけ深く電子を届かせるかを示すものであり、照射密度は単位面積当たりどれだけ多くの電子を照射するかを示すものである。電子線照射の照射による架橋としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電子線照射を樹脂封止シートに照射して架橋させる方法が挙げられる。電子線照射の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂層に応じて適宜調節が可能であり、電子線照射の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、一般的に3kGy以上とすることで、樹脂封止シート全体を効率よく均一に架橋することができる傾向にある。
ゲル分率は、好ましくは0.1〜70質量%であり、より好ましくは1〜60質量%、更に好ましくは2〜50質量%である。ゲル分率を上記範囲とすることにより、発電素子や配線等の被封止物の段差を隙間なく封止する性能(隙間埋め性)をより向上することができ、かつ、耐クリープ性を発揮することができる。なお、樹脂封止シートが後述する単層構造又は多層構造のいずれの構造を有する場合であっても、ゲル分率は、樹脂封止シート全体の平均のゲル分率(全層ゲル分率)の値を意味する。
樹脂封止シートのゲル分率は、JIS−K−6796に準拠して、p−キシレン中で樹脂封止シートの試料を8時間±5分沸騰して抽出し、抽出後の試料である不溶解部分の割合から下記式により求めることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
本実施の形態の樹脂封止シートは、150℃の温度下でシートを吊下げた際の収縮率(以下、「吊下げ収縮率」という場合がある。)が0〜40%であり、かつゲル分率が0.1〜70質量%に架橋処理が施されていることが好ましい。150℃の温度下でシートを吊下げた際の収縮率の下限値は、耐クリープ性の観点から、0%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上である。上限値は、発電素子の位置ずれを防止する観点から、40%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下である。ここで、吊下げ収縮率は、樹脂封止シートを幅20mm×長さ130mmにカットし、長さ方向で両端を10mmと20mmを残した中央部の100mmの長さの部分に0.5〜1.0mm太さの油性ペンにて表線をいれた試料を、長さ方向20mmを残した端部をクリップで挟んで150℃のオーブンに吊下げ、オーブン温度指示値が150℃に復帰してから10分後に取り出して、表線間100mmからの寸法変化を測定して、次式により求めることができる。
吊下げ収縮率(%)=(100(mm)−試験後の表線間長さ(mm))/100×100
吊下げ収縮率(%)=(100(mm)−試験後の表線間長さ(mm))/100×100
本実施形態における樹脂封止シートを構成する樹脂層は、電子線照射崩壊型樹脂をさらに含んでいてもよい。電子線照射崩壊型樹脂とは、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電子線照射を照射することにより崩壊する性質を有する樹脂をいう。
電子線照射崩壊型樹脂としては、例えば、主鎖のC−C結合のα位に官能基が結合した崩壊型樹脂が挙げられる。上記官能基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいアミド基、及び置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、及びアリール基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)等が挙げられる。
電子線照射崩壊型樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリα−メチルスチレン、テトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルグリシジルメタクリレート、及びセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
樹脂封止シートを構成する樹脂中には、架橋性を有する部位と崩壊性を有する部位の両方を有する電子線照射架橋崩壊型樹脂が含まれていてもよい。そのような樹脂としては、ポリプロピレンを含むエチレン共重合体、メチルメタクリレートを含むエチレン共重合体、イソプレンゴムを含むエチレン共重合体、ブタジエンゴムを含むエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴムを含むエチレン共重合体等が挙げられる。
本実施形態の樹脂封止シートは、上記層(A)の厚さが0.05mm以上であり、上記層(B)の厚さが0.4mm以上であり、かつ全層の合計厚みが2.0mm以下である。かかる厚さとすることにより、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性を優位に満足することができる。層(A)の厚さの下限値は、好ましくは0.06mm以上であり、上限値は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.46mm以下である。層(B)の厚さの下限値は、好ましくは0.48mm以上であり、より好ましくは0.6mm以上であり、上限値は、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1.02mm以下である。樹脂封止シートの全層の厚さの下限値は、好ましくは0.5mm以上であり、より好ましくは0.6mm以上であり、上限値は、好ましくは1.2mm以下である。かかる厚さとすることにより、耐貫通性、耐湿熱性、及び透明性をより一層向上させることができる。
本実施形態の樹脂封止シートは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率を上記範囲とすることにより、太陽電池モジュールとした際に優れた発電効率を得ることができる。全光線透過率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の樹脂封止シートは、上記層(A)及び層(B)以外にも更に他の層を有していてもよい。即ち、2層構造でもよいし、3層以上の多層構造であってもよい。以下、各構造について説明する。ここで、樹脂封止シートが3層以上の多層構造である場合、樹脂封止シートの表面の層を「表面層」といい、それ以外を「内層」という。即ち、樹脂封止シートの両表面を形成する2層が「表面層」である。例えば、層(A)と層(B)の2層からなる場合は、2つの表面層から構成される構造となる。多層構造の場合は、層(A)及び/又は層(B)の表面層を含めば、各層は上記した表面層、内層のいずれであってもよい。
本実施形態の樹脂封止シートは少なくとも層(A)及び/又は層(B)の表面層を有する2層以上の多層構造であり、これにより、層ごとに異なる機能を付与することで樹脂封止シートの物性を向上させることができる。樹脂封止シートの樹脂層が多層構造である場合には、全体として全光線透過率が85%以上であることが好ましい。また、少なくともいずれかの層が架橋処理された層であることが好ましい。
本実施形態において、被封止物と接触する層(表面層の少なくとも1層)は、接着性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、及びエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体ケン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
被封止物と接触する表面層は、上記した組成物(a)からなる層(A)、及び/又は、上記した組成物(b)からなる層(B)であり、表面層の密度は、樹脂封止シート同士のブロッキングによる取り扱い性の観点から、0.87g/cm3以上であることが好ましく、クッション性、透明性の観点から、0.96g/cm3以下であることが好ましい。ブロッキング防止の方法として公知のエンボス方法にて表面の接触面積を少なくすることも効果的である。被封止物と接触する表面層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、樹脂封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層構造の場合と同等の接着性が得られる傾向にある。
内層としては、特に限定されず、上記した層(A)及び/又は層(B)に好適に用いられる樹脂に加えて、他のいかなる樹脂を用いてもよい。内層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物等を適宜選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的として、内層として、上記した層(A)及び/又は層(B)以外の他の層を更に設けてもよく、例えば、熱可塑性樹脂を含有する層が好ましい。
内層として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素系エチレンポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、生分解性を有するものや植物由来原料系のもの等も含まれる。ここで用いるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、公知のポリオレフィン系樹脂を用いることができるし、上記した組成物(b)に用いられるポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好であるという観点から、水素添加ブロック共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン系樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂、ポリエチレン系樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。
ポリエチレン系樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
内層の材料としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、0.87〜0.91g/cm3であることが好ましい。全光線透過率の高い透明性の観点から、0.91g/cm3以下であることが好ましく、0.90g/cm3以下であることがより好ましく、熱溶融成形で良好な製膜性を得る観点から、0.87g/cm3以上が好ましく、0.88g/cm3以上であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、線状超低密度ポリエチレンであることが更に好ましい。この場合、ポリエチレン系樹脂とEVAを併用してもよい。
また、樹脂封止シートは、中央層(多層構造の中央に位置する層)の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造を有していてもよい。このような樹脂封止シートとしては、例えば、2層の表面層(「スキン層」という場合もある。)と3層の内層からなる樹脂封止シートであって、2層の表面層が同一成分からなり、表面層に隣接する2層の内層(「ベース層」という場合もある。)が同一成分からなる樹脂封止シートが挙げられる。
上記構造を有する樹脂封止シートにおいて、表面層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましく、ベース層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して50〜90%であることが好ましく、ベース層に挟まれた内層(「コア層」という場合もある。)の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましい。
<太陽電池モジュール>
本実施形態の樹脂封止シートを用いて太陽電池モジュールとすることができる。図1は、本実施形態の樹脂封止シートを備える太陽電池モジュールの一実施形態の概略断面図である。本実施形態の太陽電池モジュール1は、透光性絶縁基板2と、裏面絶縁基板3と、前記透光性絶縁基板2と前記裏面絶縁基板3との間に配置される発電素子4と、前記発電素子4を封止する樹脂封止シート5と、を備え、樹脂封止シート5の層(A)(図示せず)が発電素子4側に位置するように配置されている。層(A)を層(B)よりも発電素子側に位置させることで、表層から侵入し得る水分等を層(B)によって効果的に遮断することができる。かかる観点から、樹脂封止シートが、1対の表面層と少なくとも1以上の内層を有する多層構造である場合、表面層が層(B)であることが好ましい。さらに、層(A)は上記したポリビニルブチラールを含有する層であり、かかる層が被封止物である発電素子4側に配置されることで、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れ、かつ優れた封止性能を維持することができる。したがって、透光性絶縁基板2や裏面絶縁基板3等の基板に用いられる材料が、透湿性や吸水性の高い材料であったとしても、その影響を受けることなく、優れた封止性能を維持することができる。
本実施形態の樹脂封止シートを用いて太陽電池モジュールとすることができる。図1は、本実施形態の樹脂封止シートを備える太陽電池モジュールの一実施形態の概略断面図である。本実施形態の太陽電池モジュール1は、透光性絶縁基板2と、裏面絶縁基板3と、前記透光性絶縁基板2と前記裏面絶縁基板3との間に配置される発電素子4と、前記発電素子4を封止する樹脂封止シート5と、を備え、樹脂封止シート5の層(A)(図示せず)が発電素子4側に位置するように配置されている。層(A)を層(B)よりも発電素子側に位置させることで、表層から侵入し得る水分等を層(B)によって効果的に遮断することができる。かかる観点から、樹脂封止シートが、1対の表面層と少なくとも1以上の内層を有する多層構造である場合、表面層が層(B)であることが好ましい。さらに、層(A)は上記したポリビニルブチラールを含有する層であり、かかる層が被封止物である発電素子4側に配置されることで、耐貫通性、耐湿熱性及び透明性に優れ、かつ優れた封止性能を維持することができる。したがって、透光性絶縁基板2や裏面絶縁基板3等の基板に用いられる材料が、透湿性や吸水性の高い材料であったとしても、その影響を受けることなく、優れた封止性能を維持することができる。
(透光性絶縁基板)
透光性絶縁基板としては、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を備えることが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高い部材であることが好ましい。
透光性絶縁基板としては、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を備えることが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高い部材であることが好ましい。
透光性絶縁基板の材料としては、特に限定されず、公知のものを採用できる。例えば、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルムや、ガラス基板等が挙げられる。これらの中でも、太陽電池モジュールの軽量化が可能であるという観点からポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
樹脂フィルムとして特に好適なのは、透明性、強度、及びコスト等の点で優れたポリエステル樹脂、とりわけポリエチレンテレフタレート樹脂である。また、耐侯性が特に良好なフッ素樹脂も好適に用いられる。具体的には、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)が挙げられる。耐候性の観点からはポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましいが、耐候性及び機械的強度の両立をする観点からは四フッ化エチレン−エチレン共重合体が好ましい。また、樹脂封止シート等の他の層を構成する材料との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理を透光性絶縁基板に行うことが好ましい。機械的強度向上の観点から、延伸処理が施してあるシート、例えば、2軸延伸のポリプロピレンシートを用いることも可能である。
透光性絶縁基板としてガラス基板を用いる場合には、波長350〜1400nmの光の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。かかるガラス基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用するのが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影響は少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるために熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングを施してもよい。
(裏面絶縁基板)
裏面絶縁基板としては、特に限定されず、公知のものを採用できる。裏面絶縁基板は太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の透光性絶縁基板と同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を求められる。したがって、透光性絶縁基板と同様の材質で裏面絶縁基板を構成してもよい。すなわち、透光性絶縁基板において用いることができる上述の各種材料を、裏面絶縁基板においても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、及びガラス基板を好ましく用いることができ、中でも、耐候性及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)がより好ましい。
裏面絶縁基板としては、特に限定されず、公知のものを採用できる。裏面絶縁基板は太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の透光性絶縁基板と同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を求められる。したがって、透光性絶縁基板と同様の材質で裏面絶縁基板を構成してもよい。すなわち、透光性絶縁基板において用いることができる上述の各種材料を、裏面絶縁基板においても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、及びガラス基板を好ましく用いることができ、中でも、耐候性及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)がより好ましい。
裏面絶縁基板は、太陽光の通過を前提としないため、透光性絶縁基板で求められる透明性(透光性)は必ずしも要求されない。そこで、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、或いは、温度変化による歪、反りを防止するために、補強板を張り付けてもよい。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
裏面絶縁基板は、2層以上からなる多層構造を有していてもよい。多層構造としては、例えば、中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造等が挙げられる。そのような構造を有するものとしては、例えば、PET/アルミナ蒸着PET/PET、PVF(商品名:テドラー)/PET/PVF、PET/AL箔/PET等が挙げられる。
(発電素子)
発電素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に制限はなく、例えば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)、化合物半導体(3−5族、2−6族、その他)等を用いることができ、中でも、発電性能とコストとのバランスの観点から、多結晶シリコンが好ましい。
発電素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば特に制限はなく、例えば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)、化合物半導体(3−5族、2−6族、その他)等を用いることができ、中でも、発電性能とコストとのバランスの観点から、多結晶シリコンが好ましい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、透光性絶縁基板/樹脂封止シート(i)/発電素子/樹脂封止シート(ii)/裏面絶縁基板の順に重ね、真空ラミネート装置を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることにより製造することができる。特に、本実施形態の樹脂封止シートは、発電素子と透光性絶縁基板との間の隙間を埋める樹脂封止シート(i)として少なくとも用いられることが好ましい。太陽光が本実施形態の樹脂封止シートを経て発電素子に到達するため、発電効率の向上に効果的に寄与することができる。
本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、透光性絶縁基板/樹脂封止シート(i)/発電素子/樹脂封止シート(ii)/裏面絶縁基板の順に重ね、真空ラミネート装置を用いて150℃、15分間の条件で真空ラミネートすることにより製造することができる。特に、本実施形態の樹脂封止シートは、発電素子と透光性絶縁基板との間の隙間を埋める樹脂封止シート(i)として少なくとも用いられることが好ましい。太陽光が本実施形態の樹脂封止シートを経て発電素子に到達するため、発電効率の向上に効果的に寄与することができる。
太陽電池モジュールにおける、各部材の厚さは特に限定されないが、透光性絶縁基板の厚さは、耐候性、耐衝撃性の観点から好ましくは3mm以上、裏面絶縁基板の厚さは、絶縁性の観点から好ましくは75μm以上、発電素子の厚さは、発電性能とコストのバランスの観点から好ましくは140μm〜250μmであり、樹脂封止シートの厚さは、クッション性、封止性の観点から好ましくは0.5mm〜2mmである。
本発明を以下の実施例により更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。本実施例で用いた樹脂は表1に示すとおりである。なお、特に断りがない限り、以下の数値は質量基準である。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体
VLDPE(表中記号VL):線状超低密度ポリエチレン
LDPE(表中記号LD):低密度ポリエチレン
「ボンドファースト7B」は、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体である。
樹脂の密度は、JIS−K−7112に準拠して測定した。
樹脂の融点は、JIS−K−7121に準拠して測定した。
樹脂のメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、JIS−K−7210に準拠して測定した。
樹脂の融点は、JIS−K−7121に準拠して測定した。
樹脂のメルトフローレート(MFR;190℃、2.16kg)は、JIS−K−7210に準拠して測定した。
<樹脂封止シートの作製>
表2に示す樹脂組成物を用いて、3台の押出機を使用して樹脂組成物を混練溶融し、その押出機に接続された環状ダイから樹脂をチューブ状に溶融押出し、溶融押出にて形成されたチューブを冷却固化させた、インフレーション法により製膜して樹脂シートを得た。次いで、冷却固化した樹脂シートを赤外線ヒーターにより加熱して軟質化させて、ピンチされたバックアップロールとエンボスロールの間に通過させることにより、エンボス加工(エンボス形状:四角錘台形状、エンボス深さ:50μm)を施した。得られた樹脂封止シート(エンボスシート)に、電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製、EPS−800)を用いて、表2に示す条件で電子線を照射することで架橋処理を行い、樹脂封止シートを得た。
表2に示す樹脂組成物を用いて、3台の押出機を使用して樹脂組成物を混練溶融し、その押出機に接続された環状ダイから樹脂をチューブ状に溶融押出し、溶融押出にて形成されたチューブを冷却固化させた、インフレーション法により製膜して樹脂シートを得た。次いで、冷却固化した樹脂シートを赤外線ヒーターにより加熱して軟質化させて、ピンチされたバックアップロールとエンボスロールの間に通過させることにより、エンボス加工(エンボス形状:四角錘台形状、エンボス深さ:50μm)を施した。得られた樹脂封止シート(エンボスシート)に、電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製、EPS−800)を用いて、表2に示す条件で電子線を照射することで架橋処理を行い、樹脂封止シートを得た。
<太陽電池モジュールの作製>
得られた樹脂封止シートを用いて、絶縁基板である透明保護材としてAGC社製の太陽電池用板ガラス(厚さ3.2mm×30cm角、封止材面は高さ150μmのエンボスあり)、発電素子としてE−TON社製の多結晶Siセル(4インチ角×厚さ200μm)、もう一方の絶縁基板である裏面保護材(バックシート)としてSABIC/AGC製のポリカーボネート板(レキサンシート、2mm厚×30cm角)を用いてシースルー型の太陽電池モジュールを作製した。4インチ多結晶セルを4枚(2列×2枚)に配置し、絶縁基板(透明保護材)/樹脂封止シート(i)/発電素子(200μm)/樹脂封止シート(ii)/絶縁基板(裏面保護材)の順に重ね、LM型真空ラミネート装置(NPC社製)を用いて、130℃予熱5分とプレス10分のラミネート条件で真空ラミネートしたものをエアー式オートクレーブ内に入れ、温度130℃の及び圧力約1MPaの条件下で90分間加熱処理して太陽電池モジュールを製造し、以下に示す各評価試験を行った。なお、各実施例及び各比較例において樹脂封止シート(i)及び(ii)は表2に示したものを用いた。
得られた樹脂封止シートを用いて、絶縁基板である透明保護材としてAGC社製の太陽電池用板ガラス(厚さ3.2mm×30cm角、封止材面は高さ150μmのエンボスあり)、発電素子としてE−TON社製の多結晶Siセル(4インチ角×厚さ200μm)、もう一方の絶縁基板である裏面保護材(バックシート)としてSABIC/AGC製のポリカーボネート板(レキサンシート、2mm厚×30cm角)を用いてシースルー型の太陽電池モジュールを作製した。4インチ多結晶セルを4枚(2列×2枚)に配置し、絶縁基板(透明保護材)/樹脂封止シート(i)/発電素子(200μm)/樹脂封止シート(ii)/絶縁基板(裏面保護材)の順に重ね、LM型真空ラミネート装置(NPC社製)を用いて、130℃予熱5分とプレス10分のラミネート条件で真空ラミネートしたものをエアー式オートクレーブ内に入れ、温度130℃の及び圧力約1MPaの条件下で90分間加熱処理して太陽電池モジュールを製造し、以下に示す各評価試験を行った。なお、各実施例及び各比較例において樹脂封止シート(i)及び(ii)は表2に示したものを用いた。
全層の厚みが2mmを越える封止シートを用いた比較例4、融点が110℃を越えるポリオレフィン系樹脂を配した封止シートを用いた比較例5、及び密度が0.91g/cm3を越えるポリオレフィン系樹脂を配した封止シートを用いた比較例6は、モジュールの隙間埋め性が不十分で性能評価ができない状況であった。
<耐貫通性>
作製した太陽電池モジュールについて、JIS−R−3212(1998年)に準拠して、室温(25℃)下で、重量227g×直径38mmの鋼球を用い、高さ5mの位置から落球させることにより、その耐貫通特性を調査した。衝撃により鋼球がモジュールを貫通なかった場合を「○」と判定し、貫通した場合を「×」とした。PVBを用いた表面層の厚みが50μm未満の封止シートを用いた比較例3では、鋼球が貫通してしまい、耐貫通性に欠ける結果であった。
作製した太陽電池モジュールについて、JIS−R−3212(1998年)に準拠して、室温(25℃)下で、重量227g×直径38mmの鋼球を用い、高さ5mの位置から落球させることにより、その耐貫通特性を調査した。衝撃により鋼球がモジュールを貫通なかった場合を「○」と判定し、貫通した場合を「×」とした。PVBを用いた表面層の厚みが50μm未満の封止シートを用いた比較例3では、鋼球が貫通してしまい、耐貫通性に欠ける結果であった。
<高温高湿試験>
作製した太陽電池モジュールを恒温恒湿試験槽内に縦置きに設置し、試験温度85℃、相対湿度85%に保持し、1000時間経過後のモジュールの外観をチェックした。中間層や絶縁基板側の表面層にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた比較例1及び2は、PVBを用いた表面層と発電セルや絶縁基板との間に剥離不良が見られた。これに対して、発電素子側の表面層にPVBを用いた層、中間層や絶縁基板側の表面層に合計厚さ500μm超の超低密度ポリエチレン(VLDPE)を用いた層を配した実施例は、剥離不良は全く無い結果であった。
作製した太陽電池モジュールを恒温恒湿試験槽内に縦置きに設置し、試験温度85℃、相対湿度85%に保持し、1000時間経過後のモジュールの外観をチェックした。中間層や絶縁基板側の表面層にエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた比較例1及び2は、PVBを用いた表面層と発電セルや絶縁基板との間に剥離不良が見られた。これに対して、発電素子側の表面層にPVBを用いた層、中間層や絶縁基板側の表面層に合計厚さ500μm超の超低密度ポリエチレン(VLDPE)を用いた層を配した実施例は、剥離不良は全く無い結果であった。
<全光線透過率>
ASTM D−1003に準拠して、日本電色工業製ヘーズメーター(濁度計)NDH2000を用いて、発電セルに到達する光量の指標として全光線透過率を測定した。評価用サンプルとしては、太陽電池用ガラス板(AGC社製:厚さ3.2mm×5cm×10cm角)/樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて130℃予熱5分とプレス10分のラミネート条件で真空ラミネートしたものを用いた。ポリオレフィン系樹脂として低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた比較例6は、全光線透過率が低く、太陽電池モジュールの発電量も低いものであった。
ASTM D−1003に準拠して、日本電色工業製ヘーズメーター(濁度計)NDH2000を用いて、発電セルに到達する光量の指標として全光線透過率を測定した。評価用サンプルとしては、太陽電池用ガラス板(AGC社製:厚さ3.2mm×5cm×10cm角)/樹脂封止シート/太陽電池用ガラス板の順に積層し、LM型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて130℃予熱5分とプレス10分のラミネート条件で真空ラミネートしたものを用いた。ポリオレフィン系樹脂として低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた比較例6は、全光線透過率が低く、太陽電池モジュールの発電量も低いものであった。
以上より、各実施例の樹脂封止シートは、耐貫通性、高温高湿試験に優れ、高い全光線透過率を有し、総合評価としても優れていることが確認された。
本発明に係る樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の各種部材を封止する封止材等として産業上の利用可能性を有する。
1…太陽電池モジュール、2…透光性絶縁基板、3…裏面絶縁基板、4…発電素子、5…樹脂封止シート
Claims (7)
- ポリビニルブチラールを含有する組成物(a)からなる層(A)と、
前記層(A)に積層された、ポリオレフィン系樹脂を含有する組成物(b)からなる層(B)と、
を少なくとも有し、
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.87〜0.91g/cm3以下であり、かつ融点が110℃以下の線状低密度ポリエチレンであり、
前記層(A)の厚みは、0.05mm以上であり、
前記層(B)の厚みは、0.4mm以上であり、
全層の合計厚みは、2.0mm以下である、樹脂封止シート。 - 前記組成物(b)は、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体を更に含有する、請求項1に記載の樹脂封止シート。
- 架橋処理が施された、請求項1又は2に記載の樹脂封止シート。
- 前記架橋処理が電子線照射によるものである、請求項3に記載の樹脂封止シート。
- 全光線透過率が85%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂封止シート。
- 透光性絶縁基板と、
裏面絶縁基板と、
前記透光性絶縁基板と前記裏面絶縁基板との間に配置される発電素子と、
前記発電素子を封止する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂封止シートと、
を備え、
前記樹脂封止シートの前記層(A)が前記発電素子側に位置するように配置されている、太陽電池モジュール。 - 前記透光性絶縁基板は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項6に記載の太陽電池モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010148229A JP2012015214A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014183201A (ja) * | 2013-03-19 | 2014-09-29 | Dainippon Printing Co Ltd | 太陽電池用集電シート及びそれを用いた太陽電池モジュール |
JP2016025333A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | 大日本印刷株式会社 | 太陽電池モジュール用の封止材シート |
WO2021106869A1 (ja) * | 2019-11-25 | 2021-06-03 | Agc株式会社 | 太陽電池モジュール、その製造方法及びそれを用いた建築用外壁材 |
-
2010
- 2010-06-29 JP JP2010148229A patent/JP2012015214A/ja active Pending
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