JP2010251438A - 太陽電池モジュール用光散乱部材及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池モジュールに入射した光を有効活用するために透明前面基板と太陽電池素子との間に光散乱膜を設けた場合であっても、太陽電池モジュールの変換効率が低下することを抑制できる太陽電池モジュール用光散乱部材、及びそれを使用した太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなり、厚さ100μm以上の無機微粒子層を含むシート状の太陽電池モジュール用光散乱部材であって、前記無機微粒子は、粒子径が10μm以上であり、前記樹脂に対して前記無機微粒子を添加することにより、無機微粒子層のヘイズ値が前記樹脂単独の場合よりも3〜10%増加したものである。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなり、厚さ100μm以上の無機微粒子層を含むシート状の太陽電池モジュール用光散乱部材であって、前記無機微粒子は、粒子径が10μm以上であり、前記樹脂に対して前記無機微粒子を添加することにより、無機微粒子層のヘイズ値が前記樹脂単独の場合よりも3〜10%増加したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池モジュール用光散乱部材及びそれを使用した太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、充填材、太陽電池素子、充填材及び背面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
このような太陽電池モジュールを使用して効率良く電力を得るためには、太陽電池モジュールの内部に存在する太陽電池素子に太陽光を効率良く利用させることが重要である。しかしながら、太陽電池モジュールに照射された太陽光の一部は、太陽電池素子に到達して利用される前に、反射によって太陽電池モジュールの外部へと放出される。このような反射は、太陽電池モジュールの表面(透明前面基板の表面)で発生するばかりでなく、太陽電池素子の表面でも発生し、太陽電池モジュールの光から電力への変換効率を低下させる一因となる。このため、太陽電池素子の表面で反射した太陽光を太陽電池モジュールの中に閉じ込めて、太陽電池モジュールに入射した太陽光が太陽電池モジュールの外部へと放出されるのを防止する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、マトリックス樹脂中に、当該マトリックス樹脂よりも屈折率が高い散乱粒子を分散させることにより、透過率が70%以上、かつヘイズ値が58〜90%である太陽電池用光散乱膜が記載されている。このような太陽電池用光散乱膜を使用することにより、太陽電池素子の表面で反射した太陽光を光散乱膜の内部で散乱させて、その進行方向を再度太陽電池素子に向けることが可能になる。このような作用により、太陽電池モジュールに入射した太陽光が太陽電池モジュールの内部に閉じ込められ、それにより太陽光の利用効率が向上し、光から電力への変換効率を向上させることができる。
しかしながら、特許文献1の太陽電池用光散乱膜を使用した場合、太陽電池モジュールに入射した太陽光の一部が太陽電池素子に到達する前に散乱してしまい、光から電力への太陽電池モジュールの変換効率が低下する問題がある。このような問題は、朝方や夕方、高緯度地方、冬至に近いような時期等のように、太陽の高度が低く、太陽電池モジュールへの太陽光の入射角が小さくなる場合に顕著に生じる。
また、特許文献1の太陽電池用光散乱膜は、塗布により形成された厚さが数μmの独立層であり、通常、厚さ100μm以上ある透明前面基板側の充填材そのものに光散乱機能を持たせるものではない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールに入射した光を有効活用するために透明前面基板と太陽電池素子との間に光散乱膜を設けた場合であっても、太陽電池モジュールの変換効率が低下することを抑制できる太陽電池モジュール用光散乱部材、及びそれを使用した太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ベースとなる樹脂シートのヘイズ値の増加が特定の範囲となるように、当該樹脂シートに特定の粒子径を有する無機粒子を添加することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなる、厚さ100μm以上の無機微粒子層を含むシート状の太陽電池モジュール用光散乱部材であって、前記無機微粒子は、粒子径が10μm以上であり、前記樹脂組成物は、前記樹脂に対して前記無機微粒子を添加することにより、ヘイズ値が前記樹脂単独の場合よりも3〜10%増加したものであることを特徴とする太陽電池モジュール用光散乱部材。
(2)前記無機微粒子層における前記樹脂単独の場合のヘイズ値が15〜25%であり、前記無機微粒層のヘイズ値が18〜35%である(1)記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
(3)前記無機微粒子を含む樹脂層における前記無機粒子の含有量が0.03質量%から0.4質量%である(1)又は(2)記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
(4)前記無機微粒子の屈折率が1.45〜1.59の金属酸化物である(1)から(3)いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
(5)前記樹脂として、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を含む、(1)から(4)いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
(6)(1)から(5)いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材が太陽電池素子の受光面側に配置される太陽電池モジュール。
(6)(1)から(5)いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材が太陽電池素子の受光面側に配置される太陽電池モジュール。
(7)前記シート状部材が、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の受光面側に配置される充填材である(6)記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、太陽電池モジュールに入射した光を有効活用するために透明前面基板と太陽電池素子との間に光散乱膜を設けた場合であっても、太陽電池モジュールの変換効率が低下することを抑制できる太陽電池モジュール用光散乱部材、及びそれを使用した太陽電池モジュールが提供される。
以下、本発明について、樹脂と無機微粒子とを含む樹脂組成物、太陽電池モジュール用光散乱部材、太陽電池モジュールの順に詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなる。以下、樹脂組成物を構成する樹脂、無機微粒子、その他含有できる化合物、につき順次説明する。
本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなる。以下、樹脂組成物を構成する樹脂、無機微粒子、その他含有できる化合物、につき順次説明する。
[樹脂]
本発明において、樹脂としては、従来公知の樹脂を特に制限なく使用することができ、中でも太陽電池モジュールの充填層として使用される公知の樹脂を好ましく使用することができる。このような樹脂としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ポリビニルブチラール、エチレン系アイオノマー、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体等が例示される。
本発明において、樹脂としては、従来公知の樹脂を特に制限なく使用することができ、中でも太陽電池モジュールの充填層として使用される公知の樹脂を好ましく使用することができる。このような樹脂としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ポリビニルブチラール、エチレン系アイオノマー、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体等が例示される。
なかでも、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった他部材との接着性が得られる。次に、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体について説明する。
シラン共重合体は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体は、太陽電池モジュールの充填剤層を構成する材料であり、強度、耐久性等に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他等の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュ−ルを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュ−ルを製造し得る。
本発明で好ましく使用されるシラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性ないし縮合体も含むものである。
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm2位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm2位、温度、100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
また、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ビニルアルコ−ルより選択される1種以上を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパ−オキシド、ジプロピオニルパ−オキシド、ベンゾイルパ−オキシド、ジ−t−ブチルパ−オキシド、t−ブチルヒドロパ−オキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、あるいは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレ−ト化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノ−ル縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体あるいはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノ−ル間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造することができる。
本発明で好ましく使用されるシラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよいが、グラフト共重合体であることが好ましく、更には、重合用ポリエチレンの主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、接着層の接着性を向上することができるからである。
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。本発明において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れているが、逆に、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
[その他の樹脂]
本発明における樹脂組成物を構成する樹脂として、上記シラン共重合体を使用する場合、上記シラン共重合体以外の他の樹脂を所定の割合で含有していてもよい。他の樹脂としては、上記シラン共重合体と相溶性がある樹脂が好ましく、例えば、後述する「その他含有できる化合物」をあらかじめマスターバッチ化するための樹脂や、他の添加用樹脂が例示でき、具体的にはポリエチレンなどの未変性のポリオレフィン樹脂が例示できる。これらの存在量は上記シラン共重合体に対して50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
本発明における樹脂組成物を構成する樹脂として、上記シラン共重合体を使用する場合、上記シラン共重合体以外の他の樹脂を所定の割合で含有していてもよい。他の樹脂としては、上記シラン共重合体と相溶性がある樹脂が好ましく、例えば、後述する「その他含有できる化合物」をあらかじめマスターバッチ化するための樹脂や、他の添加用樹脂が例示でき、具体的にはポリエチレンなどの未変性のポリオレフィン樹脂が例示できる。これらの存在量は上記シラン共重合体に対して50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
[無機微粒子]
本発明における無機微粒子としては、太陽電池モジュール用光散乱部材に含有された際に、光を散乱させることのでき、かつ粒子径が10μm以上であれば特に限定されない。このような無機微粒子としては、シリカやシリカに各種金属をドープしたもの等が例示され、シリカが好ましく使用される。また、無機微粒子の粒径は、上記のように10μm以上であるが、10〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この無機粒子径の効果については後述する。
本発明における無機微粒子としては、太陽電池モジュール用光散乱部材に含有された際に、光を散乱させることのでき、かつ粒子径が10μm以上であれば特に限定されない。このような無機微粒子としては、シリカやシリカに各種金属をドープしたもの等が例示され、シリカが好ましく使用される。また、無機微粒子の粒径は、上記のように10μm以上であるが、10〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この無機粒子径の効果については後述する。
無機微粒子の屈折率は、1.45〜1.59であることが好ましく、1.45〜1.53であることがより好ましく、1.46〜1.50であることが最も好ましい。無機微粒子の屈折率が1.45以上1.59以下であることにより、充填材樹脂との適度な屈折率差が生じ、無機微粒子と充填材樹脂界面で光が屈折、及び散乱するため、充填材中に取り込まれた後に素子と充填材界面で反射された光が無機微粒子に反射され易くなり、且つ太陽の入射光が浅い場合においても太陽光を効率良くセル側へ向かわせる事が可能となる。
なお、無機微粒子の形状には略球状の定形無機微粒子と、不定形無機微粒子とがあるが、本発明においては光散乱を効率的に行なう観点から定形無機微粒子を用いることが好ましい。
[その他含有できる化合物]
本発明における樹脂組成物には、必要に応じて、上記の樹脂及び無機微粒子以外の他の化合物を含むことができる。具体的には、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤等の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期に渡って安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止等ができる。
本発明における樹脂組成物には、必要に応じて、上記の樹脂及び無機微粒子以外の他の化合物を含むことができる。具体的には、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤等の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期に渡って安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止等ができる。
光安定化剤は、放熱層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物などの光安定化剤が挙げられる。
紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、放熱層に用いられる熱可塑性樹脂の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、及び超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)などの無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
熱安定剤としては、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4‐ビス(1,1−ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)[1,1‐ビフェニル]‐4,4´‐ジイルビスホスフォナイト、及びビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8‐ヒドロキシ‐5,7‐ジ‐t‐ブチル‐フラン‐2‐オンとo‐キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤などを挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
酸化防止剤は、本発明における放熱層に用いられる熱可塑性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、及びラクトン系などの酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度などにより異なるものではあるが、それぞれ樹脂組成物中に0.001質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
更に、本発明に用いられる他の化合物としては上記以外に、触媒、核剤、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等を挙げることができる。
触媒としては、縮合反応を促進できるものであれば特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第1錫、オクタン酸第1錫(カブリル酸第1錫)、ナフテン酸鉛、カブリル酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルトのような、カルボン酸塩、また、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジーイソプロピルチタネート等、チタン酸エステル及びキレート化物のような有機金属化合物、また、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等の有機塩基、更に、無機酸及び脂肪酸等の酸などを挙げることができる。なかでもカルボン酸塩を用いることが好ましく、錫系のシラノール触媒であることがより好ましい。更には錫系のシラノール縮合触媒のなかでも、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート等を用いることが好ましい。
核剤は、小さい結晶を多数形成する作用をなし、本発明の太陽電池モジュールが、ホットスポット現象等に伴って充填材層が白濁することを防止する機能を有するものである。この核剤としては、上記機能を発現するものであれば特に限定されず、例えば、ソルビトール系核剤、カルボン酸系核剤、有機リン酸系核剤などを挙げることができる。
ソルビトール系核剤としては、例えばジベンジリデンソルビトール、又はその誘導体が挙げられ、具体的には1,3,2,4−ジ(メリルベンジリデン)ソルビトール、1,3−クロルベンジリデン−2,4−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトール等を用いることができる。
カルボン酸系核剤としては、例えば脂肪族カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸の金属塩、又はそれらのアルキル核置換誘導体の金属塩が挙げられ、具体的にはステアリン酸、アジピン酸もしくはセバチン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、又はアルミニウム塩、あるいは、安息香酸のナトリウム塩又はパラ−第3ブチル−安息香酸のアルミニウム塩等を用いることができる。
有機リン酸系核剤としては、例えばビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩等が挙げられる。
また、上記核剤としては、例えばゼオライト、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト等を用いることもできる。これらの核剤は、単独又は混合物として使用することができる。
上記の中でも、本発明においてはソルビトール系核剤が好適に用いられる。更に、上記ソルビトール系核剤の中でも、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトールが好ましい。
その他、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等は、従来公知のものを、その効果を奏する量、適宜加えることができる。
本発明における樹脂組成物は、上記の樹脂と、粒子径が10μm以上である無機微粒子とを必須の成分とし、これに、必要に応じて上記その他の化合物を添加した上で、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合する。なお、混合する際、必要に応じて溶剤、希釈剤等を添加してもよい。樹脂組成物は、一軸又は多軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練して、ペレット状あるいはその他の状態に調製してもよい。
<太陽電池モジュール用光散乱部材>
次いで、当該樹脂組成物からなる太陽電池モジュール用光散乱部材について説明する。本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、上記の樹脂組成物を、従来公知の方法で成形加工して得られたものであり、好ましくはシート状又はフィルム状としたものである。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
次いで、当該樹脂組成物からなる太陽電池モジュール用光散乱部材について説明する。本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、上記の樹脂組成物を、従来公知の方法で成形加工して得られたものであり、好ましくはシート状又はフィルム状としたものである。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記樹脂組成物のシート化又はフィルム化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、すなわち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。こうして、上記樹脂組成物をシート化又はフィルム化することにより、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材が得られる。
本発明における太陽電池モジュール用光散乱部材は、厚さ100μm以上の無機微粒子層を含むシート状であればよく、無機微粒子層単独でもよく、多層の一部の層が無機微粒子層であってもよい。無機微粒子層が単層の場合の厚さは、100〜1,000μmであることが好ましく、200〜700μmであることがより好ましい。
また、多層の場合には、無機微粒子層の厚さは、100〜1,000μmであることが好ましく、多層構成の太陽電池モジュール用光散乱部材の全体の厚さは、200〜700μmであることが好ましい。なお、この場合の層構成や層比は適宜設定可能であり特に限定されない。
無機微粒子層における無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子を含む樹脂層における前記無機粒子の含有量が0.03質量%から0.4質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では素子からの反射光の屈折及び光散乱効果が弱く、0.4質量%を越えると外部からの受光を遮断する効果が高くなり光を有効に取り込めないので好ましくない。なお、ここでいう含有量は、太陽電池モジュール用光散乱部材が上記の多層構成の場合には、無機微粒子層のみにおける無機微粒子の含有量を意味し、無機微粒子の存在しない層は含まない。
本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、上述の樹脂組成物より作製されるので、粒子径が10μm以上の無機微粒子を含む。そして、上述の樹脂組成物をシート化又はフィルム化して作製された太陽電池モジュール用光散乱部材は、上述の樹脂組成物に含まれる樹脂のみ(樹脂単独)を同じ厚さでシート化又はフィルム化したものよりも、ヘイズ値が3〜10%、好ましくは5〜10%増加している。このヘイズ値の増加は、上述の樹脂組成物を作製する際に、上述の樹脂組成物を構成する樹脂に10μm以上の無機微粒子を添加することによってもたらされる。なお、本願において、「樹脂単独」とは、樹脂組成物から無機微粒子を除いた樹脂混合物を意味する。具体的には、「樹脂単独」である樹脂には、上記「その他含有できる化合物」、「その他の樹脂」等や、下記実施例でいう「耐光性マスターバッチ」等が含まれてもよい。
ヘイズ値の絶対値はベース樹脂自体のヘイズ値と、無機微粒子の粒径及び添加量によって適宜決定されるが、好ましくは、無機微粒子層における前記樹脂単独の場合のヘイズ値が15〜25%であり、無機微粒層のヘイズ値が18〜35%であることが好ましい。より好ましくは、前記樹脂単独の場合のヘイズ値が17〜25%であり、無機微粒層のヘイズ値が20〜30%である。無機微粒子層のヘイズ値が15%未満又は35%を越えると、下記の理由によって充分な効果が得られない。
なお、ここでいうヘイズ値は、太陽電池モジュール用光散乱部材が上記の多層構成の場合には、無機微粒子層のみにおけるヘイズ値を意味し、無機微粒子の存在しない層は含まない値である。また、本発明におけるヘイズ値はJIS K7136により定義される値であり、具体的には、例えばヘイズメーターによって測定された値である。
ところで、このような範囲のヘイズ値は、従来使用されてきた太陽電池モジュール用光散乱部材におけるヘイズ値よりも小さいものである。また、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材に含まれる無機微粒子は、粒径が10μm以上であり、従来使用されてきた太陽電池モジュール用光散乱部材に含まれる無機微粒子よりも大きな粒径である。
従来使用されてきた太陽電池モジュール用光散乱部材は、太陽電池モジュールに入射した光を太陽電池モジュールの内部に閉じ込めるために、多量の無機微粒子を添加しており、これに伴ってヘイズ値が大きくなっていた。太陽電池素子の表面で反射した光は、太陽電池モジュール用光散乱部材の内部に存在する無機微粒子により散乱され、その進行方向が太陽電池モジュールの内部方向へと変えられる。その結果、太陽電池モジュールに入射した光は、太陽電池モジュールの内部に閉じ込められることになるので、太陽電池モジュールの内部に光を確実に閉じ込めるためには、多量の無機微粒子を太陽電池モジュール用光散乱部材に添加する必要があった。
しかし、既に述べたように、太陽電池モジュール用光散乱部材に多量の無機微粒子を添加すると、太陽電池モジュールに入射した光が太陽電池素子の表面に到達するまでの間に散乱されてしまい、その光が太陽電池モジュールの外部に放出される可能性も高くなる。その一方で、太陽電池モジュール用光散乱部材に添加する無機微粒子の量を少なくすると、今度は、太陽電池モジュールの内部に光を閉じ込める効果が小さくなり、太陽電池モジュールに入射した光が十分に有効活用されなくなる。
本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、10μm以上という比較的大きい粒径の無機微粒子を使用し、かつ、太陽電池モジュール用光散乱部材に添加される無機微粒子の量をこれまでの太陽電池用光散乱部材よりも少なくすることによって上記のような問題を解決する。このような太陽電池モジュール用光散乱部材は、太陽電池モジュールに入射した光の散乱を抑制するために無機微粒子の量を減少させたとしても、10μm以上の無機微粒子を使用することにより、光の閉じ込め効果を十分に得ることができるという知見により得られたものである。つまり、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、従来の太陽電池モジュール用光散乱部材よりも、大きな粒子径の無機微粒子を少量だけ使用したところに特徴を有する。使用される無機微粒子の量が少ないことに伴って、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、従来の太陽電池モジュール用光散乱部材に比べてヘイズ値が小さくなる。
そして、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は厚さが100μm以上のシート状であってもこのような効果を奏することができる点に更なる特徴がある。このため、後述するように太陽電池の前面充填材層として好ましく用いられる。この点、従来の光散乱部材はそれ自体の厚さが数μmから数十μmと薄かったため、充填材とは別の層として塗布等で形成するが、本発明によれば前面充填材層の一部又は全部の層として組み込むことができ製造工程やコストの点で極めて有利である。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、図1に示すように、入射光7の受光面側から、透明前面基板2、太陽電池モジュール用光散乱部材(前面充填材層)3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び背面保護シート6が順に積層されている。なお、必要に応じて、透明前面基板2と太陽電池素子4との間に、他の前面充填材層(図示せず)を設けてもよい。
図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、図1に示すように、入射光7の受光面側から、透明前面基板2、太陽電池モジュール用光散乱部材(前面充填材層)3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び背面保護シート6が順に積層されている。なお、必要に応じて、透明前面基板2と太陽電池素子4との間に、他の前面充填材層(図示せず)を設けてもよい。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の各層を形成する部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
また、太陽電池モジュール1は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子4の表面側及び裏面側のそれぞれに、太陽電池モジュール用光散乱部材3及び背面充填材層5を溶融積層して、太陽電池素子4を太陽電池モジュール用光散乱部材3及び背面充填材層5でサンドし、次いで、透明前面基板2及び背面保護シート6を順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
なお、本発明の太陽電池モジュール1において、太陽電池モジュール用光散乱部材3以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4、背面充填材層5、背面保護シート6、及び必要に応じて設けられる前面充填材層(図示せず)は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。また、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。
なお、本発明において、太陽電池モジュール用光散乱部材3は、必ずしも透明前面基板2と太陽電池素子4との間にのみ用いられる必要はなく、例えば、従来公知の太陽電池モジュールにおける透明前面基板の表面に、光散乱部材として更に積層してもよい。これによれば、従来公知の太陽電池モジュールの表面に貼り付けるだけで変換効率を向上することができるので、簡便に既存の太陽電池モジュールにも対応することが可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例>
[ベース樹脂の調製]
密度0.898g/cm3であり、190℃でのメルトマスフローレートが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。この樹脂を、太陽電池モジュール用光散乱部材を作製するためのベース樹脂とした。
[ベース樹脂の調製]
密度0.898g/cm3であり、190℃でのメルトマスフローレートが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。この樹脂を、太陽電池モジュール用光散乱部材を作製するためのベース樹脂とした。
[耐光性マスターバッチの調製]
密度0.920g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐光性マスターバッチを得た。
密度0.920g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐光性マスターバッチを得た。
[太陽電池モジュール用光散乱部材の作製]
表1の配合で、ベース樹脂、耐光性マスターバッチ、シリカ微粒子を10質量%分散させたチーグラー直鎖状低密度ポリエチレン及び添加用ポリエチレンを均一に混合し、太陽電池モジュール用光散乱部材の作製に使用する樹脂混合物を得た。表1において、10μmのシリカは定型シリカであり、5μmのシリカは不定形シリカである。また、表1において、10μmのシリカの10質量%分散樹脂は、10μm以上のシリカを含む大日精化工業株式会社製のスムースマスターG PE1500を使用し、5μmシリカの10質量%分散樹脂は、大日精化工業株式会社製のスムースマスターS PE1200を使用した。また、表1における添加用ポリエチレンは、密度0.905g/cm3のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを使用した。なお、不定形シリカとは、大粒径のシリカを粉砕、分級して得られた特定の形状を持たないシリカである。
表1の配合で、ベース樹脂、耐光性マスターバッチ、シリカ微粒子を10質量%分散させたチーグラー直鎖状低密度ポリエチレン及び添加用ポリエチレンを均一に混合し、太陽電池モジュール用光散乱部材の作製に使用する樹脂混合物を得た。表1において、10μmのシリカは定型シリカであり、5μmのシリカは不定形シリカである。また、表1において、10μmのシリカの10質量%分散樹脂は、10μm以上のシリカを含む大日精化工業株式会社製のスムースマスターG PE1500を使用し、5μmシリカの10質量%分散樹脂は、大日精化工業株式会社製のスムースマスターS PE1200を使用した。また、表1における添加用ポリエチレンは、密度0.905g/cm3のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを使用した。なお、不定形シリカとは、大粒径のシリカを粉砕、分級して得られた特定の形状を持たないシリカである。
得られた樹脂組成物をφ150mm押出し機、1000mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度230℃、引き取り温度2.3m/minで厚さ400μmに成形し、実施例1及び比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を得た。
<試験例>
[全光線透過率]
太陽電池モジュール用光散乱部材を15cm×15cmにカットし、15cm×15cm、厚さ3mmの青板ガラス、充填材、100μm厚のテフロン(登録商標)シートの順で積層し、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着した後、テフロン(登録商標)シートを剥がしたものについて、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いてJIS K7361に従って全光線透過率を測定した。全光線透過率の測定結果を表2に示す。
[全光線透過率]
太陽電池モジュール用光散乱部材を15cm×15cmにカットし、15cm×15cm、厚さ3mmの青板ガラス、充填材、100μm厚のテフロン(登録商標)シートの順で積層し、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着した後、テフロン(登録商標)シートを剥がしたものについて、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いてJIS K7361に従って全光線透過率を測定した。全光線透過率の測定結果を表2に示す。
[ヘイズ値の測定]
太陽電池モジュール用光散乱部材を15cm×15cmにカットし、15cm×15cm、厚さ3mmの青板ガラス、充填材、100μm厚のテフロン(登録商標)シートの順で積層し、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着した後、テフロン(登録商標)シートを剥がしたものについて、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いてJIS K7136に従って全光線透過率を測定した。全光線透過率の測定結果を表2に示す。
太陽電池モジュール用光散乱部材を15cm×15cmにカットし、15cm×15cm、厚さ3mmの青板ガラス、充填材、100μm厚のテフロン(登録商標)シートの順で積層し、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着した後、テフロン(登録商標)シートを剥がしたものについて、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いてJIS K7136に従って全光線透過率を測定した。全光線透過率の測定結果を表2に示す。
[太陽電池モジュールの変換効率の測定]
実施例1及び比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用したときの太陽電池モジュールの変換効率の測定を行なうために、実施例1及び比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用して、次の方法により太陽電池モジュールを作製した。まず、厚さ3mmのガラス板(透明前面基板)と、実施例1及び比較例1〜5のいずれかの太陽電池モジュール用光散乱部材と、多結晶シリコンからなる太陽電池素子と、背面充填材と、厚さ85μmのアルミ箔及びポリエチレンテレフタレート樹脂系フィルムからなる積層シート(背面保護シート)とをこの順に積層した。その後、太陽電池素子面を上に向けて、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着して、太陽電池モジュールを作製した。なお、上記背面充填材としては、シリカの添加されていない比較例1の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用した。
実施例1及び比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用したときの太陽電池モジュールの変換効率の測定を行なうために、実施例1及び比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用して、次の方法により太陽電池モジュールを作製した。まず、厚さ3mmのガラス板(透明前面基板)と、実施例1及び比較例1〜5のいずれかの太陽電池モジュール用光散乱部材と、多結晶シリコンからなる太陽電池素子と、背面充填材と、厚さ85μmのアルミ箔及びポリエチレンテレフタレート樹脂系フィルムからなる積層シート(背面保護シート)とをこの順に積層した。その後、太陽電池素子面を上に向けて、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着して、太陽電池モジュールを作製した。なお、上記背面充填材としては、シリカの添加されていない比較例1の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用した。
このようにして得られた、実施例1及び比較例1〜5のいずれかの太陽電池モジュール用光散乱部材が使用された太陽電池モジュールの変換効率を、ソーラーシミュレータ(英弘精機株式会社製、EWXS−300S−50型)にて測定した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1の太陽電池モジュール用光散乱部材が使用された太陽電池モジュールは、比較例1〜5の太陽電池モジュール用光散乱部材を使用した太陽電池モジュールよりも高い変換効率を有することがわかる。特に、実施例1及び比較例1〜2を比較すると、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材が特定の範囲のヘイズ値を有することにより、太陽電池モジュールの変換効率を向上させることが理解される。以上のことから、本発明の太陽電池モジュール用光散乱部材は、太陽電池モジュールに入射した光を有効活用させながら、太陽電池モジュールの変換効率の低下を抑制することが理解される。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 太陽電池モジュール用光散乱部材
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 背面保護シート
7 入射光
2 透明前面基板
3 太陽電池モジュール用光散乱部材
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 背面保護シート
7 入射光
Claims (7)
- 樹脂と、無機微粒子とを含む樹脂組成物からなる、厚さ100μm以上の無機微粒子層を含むシート状の太陽電池モジュール用光散乱部材であって、前記無機微粒子は、粒子径が10μm以上であり、前記樹脂組成物は、前記樹脂に対して前記無機微粒子を添加することにより、ヘイズ値が前記樹脂単独の場合よりも3〜10%増加したものであることを特徴とする太陽電池モジュール用光散乱部材。
- 前記無機微粒子層における前記樹脂単独の場合のヘイズ値が15〜25%であり、前記無機微粒層のヘイズ値が18〜35%である請求項1記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
- 前記無機微粒子を含む樹脂層における前記無機粒子の含有量が0.03質量%から0.4質量%である請求項1又は2記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
- 前記無機微粒子の屈折率が1.45〜1.59の金属酸化物である請求項1から3いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
- 前記樹脂として、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を含む、請求項1から4いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材。
- 請求項1から5いずれか記載の太陽電池モジュール用光散乱部材が太陽電池素子の受光面側に配置される太陽電池モジュール。
- 前記シート状部材が、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の受光面側に配置される充填材である請求項6記載の太陽電池モジュール。
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JP2009097614A JP2010251438A (ja) | 2009-04-14 | 2009-04-14 | 太陽電池モジュール用光散乱部材及び太陽電池モジュール |
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---|---|---|---|---|
JP2011159709A (ja) * | 2010-01-29 | 2011-08-18 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 樹脂封止シート及び太陽電池モジュール |
JP2012142337A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Kyocera Corp | 光電変換モジュールの製造方法 |
JP2018500753A (ja) * | 2014-10-30 | 2018-01-11 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 微粉化シリカゲルを含むフィルム層を有するpvモジュール |
-
2009
- 2009-04-14 JP JP2009097614A patent/JP2010251438A/ja active Pending
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