以下、本発明の実施例1乃至3について説明する。
まず、本発明の実施例1に係るプローブカードについて図1乃至図5を参照しつつ説明する。図1に示すプローブカードは、図示しない半導体ウエハの各チップの電気的諸特性を一括測定するのに使用されるものである。前記プローブカードは、複数のプローブユニット100、配線基板200と、メイン基板300と、複数の中継部材400と、補強板500と、支持部600とを備えている。以下、各部について詳しく説明する。
メイン基板300としては周知のプリント基板を用いている。図1に示すように、メイン基板300の下面には複数の電極310が、メイン基板300の上面の外縁部には複数の外部電極320が設けられている。電極310と外部電極320とはメイン基板300の上下面又は内部に設けられた導電ラインにより各々接続されている。
補強板500はメイン基板300よりも硬い板状の部材(例えばステンレス鋼等の板)である。この補強板500は、図1に示すように、メイン基板300の上面にネジ止めされている。この補強板500によりメイン基板300の撓みが抑止される。
支持部600は、図1に示すように、円筒状の本体部の先端部に内側に凸のリング状のフランジ部が設けられた形状となっている。前記本体部の後端部がメイン基板300に取り付けられている。前記フランジ部が配線基板200の外周縁部を支持している。
配線基板200は、図1に示すように、固定用のネジによりメイン基板300に固着されると共に支持部600のフランジ部に支持されることにより、メイン基板300に対して間隔を空けて平行に配置されている。この配線基板200の下面上には、複数の実装エリアがマトリックス状に設けられている。この実装エリアにプローブユニット100が半導体ウエハの各チップの配置に応じてマトリックス状に固着されている。また、配線基板200の下面上のプローブユニット100の両側には複数の下側電極210が設けられている。また、配線基板200の上面には複数の上側電極220が設けられている。下側電極210と上側電極220とは配線基板200の上下面又は内部に設けられた導電ラインにより各々接続されている。
各中継部材400は、図1に示すように、略く字状のICピンである。この中継部材400がメイン基板300の電極310と配線基板200の上側電極220との間に介在し、両者を電気的に接続している。
各プローブユニット100は、図1(b)及び図2に示すように、複数のプローブ110と、プローブ基板120と、スペーサ130と、接着樹脂140a(第1接着部)と、と、ボンディングワイヤ150とを有している。プローブ基板120は、セラミック、シリコン又はガラス等で構成された板状の部材である。プローブ基板120は厚み方向の第1面121及び第2面122を有している。プローブ基板120の第1面121には、図2に示すように、半導体ウエハの各チップの電極の配置に応じて複数のプローブ110が間隔を空けて二列で配列されている。各プローブ110は、本体部111と、接触部112と、脚部113とを有している。本体部111は横向き略L字状の板状の部材であって、垂直部と、この垂直部からプローブ基板120に沿って略平行に延びるビーム部とを有している。前記ビーム部には厚み方向に貫通する孔111aが設けられている。本体部111の先端には、プローブ基板120から離れる方向に凸の接触部112が設けられている。この接触部112が半導体ウエハのチップの電極に接触する部位である。脚部113は二股状になっており、プローブ基板120の第1面121に固着されている。
スペーサ130は、図2及び図3に示すように、配線基板200の実装エリア上に載置され、該配線基板200とプローブ基板120との間に介在している。スペーサ130は、プローブ基板120と略同じ外形を有するシリコンゴムであって、配線基板200及びプローブ基板120に対して密着性を有している。よって、配線基板200及びプローブ基板120が各々平面方向に位置ずれし難くなっている。スペーサ130の厚み寸法は約20〜100μmである。スペーサ130は厚み方向の第1当接面131及び第2当接面132を有している。スペーサ130の第1当接面131がプローブ基板120に当接する面であり、スペーサ130の第2当接面132が配線基板200の実装エリアに当接する面である。スペーサ130には、第1当接面131から第2当接面132にかけて貫通する円柱状の9つの貫通孔133が設けられている。貫通孔133の直径は、20〜数10μmで設定されている。図3(a)中Xはスペーサ130の中心を通り且つ該スペーサ130の第1当接面131に沿って長さ方向に延びる仮想線であり、Yはスペーサ130の中心を通り且つ該スペーサ130の第1当接面131に沿って幅方向に延びる仮想線である。仮想線X及びYを境に対称な位置に貫通孔133が間隔を空けて配置されている。スペーサ130の中心部にも貫通孔133が配置されている。また、スペーサ130の長さ方向の一端部には、切欠き部134が設けられている。スペーサ130の貫通孔133には硬化された熱硬化樹脂である接着樹脂140aが設けられている。この接着樹脂140aがプローブ基板120の第2面122と配線基板200とを接着している。換言すると、プローブユニット100が貫通孔133内の接着樹脂140aにより配線基板200に部分的に固着されている。
以下、上述した構成のプローブカードの製造工程を図4を参照しつつ説明する。まず、各プローブ基板120の第1面121上にMEMS技術を用いて複数のプローブ110及び4つの支持ポスト160を形成する。なお、プローブ110は上述したようにプローブ基板120の第1面121上二列で形成され、支持ポスト160はプローブ基板120の第1面121の四角に立設される。支持ポスト160の高さ寸法はプローブ110の高さ寸法と同じ又はそれ以上となっている。本実施例1では、支持ポスト160の高さ寸法はプローブ110の高さ寸法と同じに設定している。具体的なプローブ110及び支持ポスト160の形成方法は次の通りである。
プローブ基板120の第1面121上に第1レジストを塗布し、この第1レジストにマスクを用いて露光・現像を行い、該第1レジストにプローブ110の脚部113及び支持ポスト160の下部用の開口を形成する。その後、前記第1レジストの開口に電解めっきによりニッケル合金等の導電材料を各々充填してプローブ110の脚部113及び支持ポスト160の下部を作成する。その後、前記第1レジスト上に第2レジストを塗布し、第2レジストにマスクを用いて露光・現像を行い、該第2レジストにプローブ110の本体部111の垂直部及び支持ポスト160の中下部用の開口を形成する。その後、前記第2レジストの開口に電解めっきによりニッケル合金等の導電材料を各々充填してプローブ110の本体部111の垂直部及び支持ポスト160の中下部を作成する。その後、前記第2レジスト上に第3レジストを塗布し、第3レジストにマスクを用いて露光・現像を行い、該第3レジストにプローブ110の本体部111のビーム部及び支持ポスト160の中上部用の開口を形成する。その後、前記第3レジストの開口に電解めっきによりニッケル合金等の導電材料を各々充填してプローブ110の本体部111のビーム部及び支持ポスト160の中上部を作成する。その後、前記第3レジスト上に第4レジストを塗布し、第4レジストにマスクを用いて露光・現像を行い、該第4レジストにプローブ110の接触部112及び支持ポスト160の上部用の開口を形成する。その後、前記第4レジストの開口に電解めっきによりニッケル合金等の導電材料を各々充填してプローブ110の接触部112及び支持ポスト160の上部を作成する。その後、前記第1乃至第4レジストを除去する。このようにしてプローブ基板120上にプローブ120及び支持ポスト160が形成される。以下、これを第1取付ユニットと称する。なお、第1乃至第4レジストを積層してプローブ110及び支持ポスト160をプローブ基板120の第1面121上に形成するとしたが、5つ以上のレジストを積層してプローブ110及び支持ポスト160をプローブ基板120の第1面121上に形成することも当然可能である。
その後、取り付け板700を用意する。取り付け板700はサファイヤガラス等の透明な略矩形状のガラス板であって、その面上に配線基板200の全実装エリアうち一部の実装エリアに各々対応するプローブ基板固着領域を有している。この取り付け板700のプローブ基板固着領域に両面テープを各々貼付する。その後、周知のダイボンダー装置のピックアップアームに前記第1取付ユニットのプローブ基板120をプローブ110及び支持ポスト160を下に向けた状態でピックアップさせ、図4(a)に示すように、該第1取付ユニットを取り付け板700のプローブ基板固着領域に順次移送させて前記第1取付ユニットの支持ポスト160の先端面を前記両面テープで取り付け板700のプローブ基板固着領域に順次接着させる。このようにして取り付け板700に複数の第1取付ユニットが固着される。以下、これを第2取付ユニットと称する。
その一方で、配線基板200を用意する。上記ダイボンダー装置のピックアップアームにスペーサ130をピックアップさせ、図4(b)に示すように、該スペーサ130を配線基板200の実装エリアにスペーサ130を順次設置する。その後、ディスペンサにより硬化前の接着樹脂140a(接着剤)をスペーサ130の貫通孔133に充填する。すると、接着樹脂140aが配線基板200に付着する。このとき、接着樹脂140aの一部が表面張力により貫通孔133からドーム状に突出する。その後、ダイボンダー装置のピックアップアームに前記第2取付ユニットの取り付け板700をプローブ基板120を下に向けた状態でピックアップさせ、該第2取付ユニットのプローブ基板120を配線基板200上のスペーサ130の上に各々配置させる。その後、図4(c)に示すように、前記第2取付ユニットを配線基板200に接近させ、該該第2取付ユニットのプローブ基板120の第2面122を配線基板200上のスペーサ130上に各々載置させる。このとき、貫通孔133から突出した接着樹脂140aがプローブ基板120の第2面122に付着する。その後、前記第2取付ユニットを配線基板200に更に接近させ、スペーサ130をプローブ基板120の第2面122と配線基板200との間で圧縮させる。このとき、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度を調整(すなわち、プラナリ調整)して位置決めする。スペーサ130が圧縮されると、接着樹脂140aの一部がスペーサ130の貫通孔133から溢れてプローブ基板120の第2面122に付着する。この状態で、接着樹脂140aを加熱して該接着樹脂140aを硬化させる。これにより、接着樹脂140aが硬化してプローブ基板120の第2面122と配線基板200とを接着する。なお、全貫通孔133の直径は同じであるので、該貫通孔133から各々表面張力によりドーム状に突出する接着樹脂140a及び該貫通孔133から各々溢れる接着樹脂140aの量は略同じになる。すなわち、全接着樹脂140aがプローブ基板120の第2面122に接する接着面積が略同じになるので、接着樹脂140aがプローブ基板120の第2面122に殆ど接着ムラなく接着する。
その後、取り付け板700を前記第1取付ユニットの支持ポスト160から取り外す。このようにして前記第1取付ユニットが配線基板200の上記一部の実装エリアに固着される。この前記第1取付ユニットの固着工程を配線基板200の残りの実装エリアに前記第1取付ユニットが固着されるまで繰り返し行う。その後、周知のボンドテスタのシェアツールにより、全ての前記第1取付ユニットの支持ポスト160に各々外力を加えて該支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。このようにしてプローブユニット100が配線基板200の全実装エリア上に固着される。
その後、配線基板200の縁部を支持部600のフランジ部に支持させると共に、該配線基板200を固定用のネジでメイン基板300に間隔を空けて固着する。その後、補強板500メイン基板300に取り付ける。
以上のように製造されたプローブカードは、テスターのプローバに取り付けられ、半導体ウエハの各チップの電気的諸特性を一括で測定するのに使用される。具体的には、本プローブカードのプローブユニット100が半導体ウエハのチップの位置に対応するように前記プローブカードを配置し、この状態で同プローブカードと半導体ウエハとを相対的に接近させる。すると、同プローブカードのプローブユニット100のプローブ110の接触部112が、半導体ウエハのチップの電極に各々接触し、チップの電気的諸特性が前記テスターにより各々測定される。なお、プローブ110は、半導体ウエハのチップの電極との接触を繰り返すことにより磨耗したり破損したりする。
以下、磨耗又は破損により交換が必要なプローブ110を有するプローブユニット100の交換方法について図5を参照しつつ説明する。まず、図5(a)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100のスペーサ130の切欠き部134に挿入し、図5(b)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100のプローブ基板120の第2面122の端部に係止させる。その後、治具10を図示上方に引き上げ、プローブユニット100のスペーサ130を配線基板200の実装エリアから剥がす。このとき、接着樹脂140aが配線基板200から剥がれる。その一方で、取り付け板700に交換用のプローブユニット100を上述の通り取り付けておく。その後、配線基板200の前記実装エリアにプローブユニット100を上述の如く固着させる。その後、支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。
このようなプローブカードによる場合、プローブユニット100のプローブ基板120が、スペーサ130の貫通孔133内の接着樹脂140aにより部分的に配線基板200に接着されているだけであることから、プローブ基板120の配線基板200に対する接着強度を弱くすることできる。このため、プローブユニット100を配線基板200から簡単に取り外すことができるので、プローブユニット100の交換を簡単に行うことができる。しかも、貫通孔133がスペーサ130に中心部及び仮想線X及びYを境に対称な位置に間隔を空けて配設されており且つ貫通孔133の直径が同じであるので、貫通孔133内の接着樹脂140aがスペーサ130の中心部及び仮想線X及びYを境に対称な位置でプローブ基板120に対して略同じ接着面積で接着する(すなわち、略均等に接着する。)。このため、接着樹脂140aがプローブ基板120に不均等に接着して接着ムラができたり、接着樹脂140aが仮想線X及びYを境に非対称な位置でプローブ基板120に接着したりすることにより、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度が損なわれるのを抑止することができる。更に、プローブユニット100のプローブ基板120と配線基板200との間にスペーサ130が介在しているため、プローブ基板120が撓む等変形を防止することができる。
次に、本発明の実施例2に係るプローブカードについて図6乃至図9を参照しつつ説明する。前記プローブカードは、図6に示すように、プローブユニット100’が接着シート140b(第2接着部)を更に有する構成である点で相違している以外、実施例1のプローブカードと同じ構成である。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明は省略する。なお、前記プローブユニットの符号については’を付して実施例1のプローブユニット100と区別する。
接着シート140bは、図6及び図7に示すように、プローブ基板120の第2面122とスペーサ130との間に介在している。この接着シート140bは、高いガラス転移温度(高Tg)を有し且つ線膨張係数・硬化収縮率が低いポリイミドやポリアミド樹脂等からなる熱硬化性フィルム接着剤が硬化したものである。このような熱硬化性フィルム接着剤を用いることにより、硬化時に接着シート140bが大きく収縮等してプローブユニット100’に位置ずれが生じるのを抑止している。接着シート140bには、スペーサ130の貫通孔133から突出した接着樹脂140aの一部が接着し一体化している。すなわち、接着樹脂140a及び接着シート140bにより、プローブ基板120と配線基板200とが接着されている。スペーサ130としては、実施例1と同様にシリコンゴムを用いている。このスペーサ130は、接着シート140bに対して密着性が低くなっている。
以下、プローブユニット100’を配線基板200に固着する方法について図8を参照しつつ説明する。まず、実施例1と同様に、上記第1取付ユニットを作成し、該第1取付ユニットの支持ポスト160の先端面を取り付け板700に固着し、上記第2取付ユニットを作成する。その後、図8(a)に示すように、前記第2取付ユニットのプローブ基板120の第2面122に接着シート140bを各々貼付する。これにより、接着シート140bがプローブ基板120の第2面122に接着する。その一方で、スペーサ130を配線基板200上に配置し、ディスペンサにより硬化前の接着樹脂140aを配線基板200上のスペーサ130の貫通孔133に各々充填する。すると、接着樹脂140aが配線基板200に付着する。このとき、接着樹脂140aが表面張力により貫通孔133からドーム状に突出する。その後、接着樹脂140aを加熱し半硬化させる。これにより、スペーサ130を配線基板200上に仮固定する。
その後、上記ダイボンダー装置のピックアップアームに前記第2取付ユニットの取り付け板700をプローブ基板120を下に向けた状態でピックアップさせ、図8(b)に示すように、該第2取付ユニットのプローブ基板120及び接着シート140bを配線基板200上のスペーサ130の上に各々配置させる。その後、前記第2取付ユニットを配線基板200に接近させ、図8(c)に示すように、該該第2取付ユニットのプローブ基板120及び接着シート140bを配線基板200上のスペーサ130上に載置させる。このとき、貫通孔133から突出した接着樹脂140aが接着シート140bに食い込む。その後、前記第2取付ユニットを配線基板200に更に接近させ、スペーサ130をプローブ基板120の第2面122と配線基板200との間で圧縮させる。このとき、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度を調整(すなわち、プラナリ調整)して位置決めする。スペーサ130が圧縮されると、接着樹脂140aの一部がスペーサ130の貫通孔133から突出して接着シート140bに更に食い込む。この状態で、接着樹脂140a及び接着シート140bを加熱して該接着樹脂140a及び接着シート140bを本硬化させる。これにより、接着樹脂140a及び接着シート140bが互いに接着し、プローブ基板120の第2面122と配線基板200とを部分的に接着させる。なお、全貫通孔133の直径は同じであるので、貫通孔133から各々ドーム状に突出する接着樹脂140a及び前記圧縮により貫通孔133から各々突出する接着樹脂140aの量は略同じになる。貫通孔133から突出した接着樹脂140aが接着シート140bに食い込むため、接着樹脂140aのプローブ基板120の第2面122に対する接着ムラが生じることがない。
その後、取り付け板700を前記第1取付ユニットの支持ポスト160から取り外す。このようにして前記第1取付ユニットが配線基板200の上記一部の実装エリアに固着される。この前記第1取付ユニットの固着工程を配線基板200の残りの実装エリアに前記第1取付ユニットが固着されるまで繰り返し行う。その後、周知のボンドテスタのシェアツールにより、全ての前記第1取付ユニットの支持ポスト160に各々外力を加えて該支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。このようにしてプローブユニット100’が配線基板200の全実装エリアに固着される。
以下、プローブユニット100’の交換方法について図9を参照しつつ説明する。まず、図9(a)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100’のスペーサ130の切欠き部134に挿入し、図9(b)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100’の接着シート140bの端部に係止させる。その後、治具10を図示上方に引き上げ、プローブユニット100’のスペーサ130を配線基板200の実装エリアから剥がす。このとき、接着樹脂140aが配線基板200から剥がれる。その一方で、取り付け板700に交換用のプローブユニット100’を上述の通り取り付けておく。その後、配線基板200の実装エリアにプローブユニット100’を上述の如く固着させる。その後、支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。
このようなプローブカードによる場合、プローブユニット100’のプローブ基板120が、接着シート140b及びスペーサ130の貫通孔133内の接着樹脂140aにより部分的に配線基板200に接着されているだけであることから、プローブ基板120の配線基板200に対する接着強度を弱くすることできる。このため、プローブユニット100’を配線基板200から簡単に取り外すことができるので、プローブユニット100’の交換を簡単に行うことができる。しかも、プローブ基板120の第2面122とスペーサ130との間に接着シート140bが介在していることから、該接着シート140bに貫通孔133から突出する接着樹脂140aを食い込ませることができる。このため、接着樹脂140aがプローブ基板120に不均等に接着して接着ムラができ、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度が損なわれるのを抑止することができる。更に、プローブユニット100’のプローブ基板120と配線基板200との間にスペーサ130が介在しているため、プローブ基板120が撓む等変形を防止することができる。
次に、本発明の実施例3に係るプローブカードについて図10乃至図12を参照しつつ説明する。前記プローブカードは、図10に示すように、プローブユニット100’’のプローブ基板120の第2面122とスペーサ130とが接着シート140b’のみで接着されている点及びスペーサ130’の素材の点で相違している以外、実施例1のプローブカードと同じ構成である。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明は省略する。なお、前記プローブユニットの符号については’’を付して実施例1及び2のプローブユニット100、100’と区別し、前記接着シート及びスペーサの符号については、’を付して実施例2の接着シート140b及びスペーサ130と区別する。
接着シート140b’は、シート本体141b’(第2接着部)と、このシート本体141b’に立設された9つの脚部142b’(第1接着部)とを有している。シート本体141b’は、接着シート140b’が後述するようにプローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間で圧縮され、厚みが薄くなった部分である。すなわち、シート本体141b’はプローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間に介在している。脚部142b’は、前記圧縮によりスペーサ130’の貫通孔133’内に侵入した接着シート140b’の一部である。この脚部142b’は配線基板200に向けて漸次縮径する台形状であって、その先端面が配線基板200に接着している。従って、脚部142b’は、配線基板200に対する接着面(前記先端面)が円柱状の接着樹脂140aの配線基板200に対する接着面よりもが小さくなっている。
スペーサ130’としては、接着シート140b’に対して密着性が低いテフロン(登録商標)を用いている。それ以外の構成は実施例1のスペーサ130と同じである。なお、図10〜図12中、131’がスペーサ130’の第1当接面、132’がスペーサ130’の第2当接面、134’がスペーサ130’の切欠き部である。
以下、プローブユニット100’’を配線基板200に固着する方法について図11を参照しつつ説明する。まず、実施例1と同様に、上記第1取付ユニットを作成し、該第1取付ユニットの支持ポスト160の先端面を取り付け板700に固着し、上記第2取付ユニットを作成する。その後、前記第2取付ユニットのプローブ基板120の第2面122に接着シート140b’を各々貼付する。これにより、接着シート140b’がプローブ基板120の第2面122に接着する。その一方で、スペーサ130’を配線基板200上に配置する。
その後、上記ダイボンダー装置のピックアップアームに前記第2取付ユニットの取り付け板700をプローブ基板120を下に向けた状態でピックアップさせ、図11(a)に示すように、該第2取付ユニットのプローブ基板120及び接着シート140b’を配線基板200上のスペーサ130’の上に各々配置させる。その後、前記第2取付ユニットを配線基板200に接近させ、図11(b)に示すように、該該第2取付ユニットのプローブ基板120及び接着シート140b’を配線基板200上のスペーサ130’上に載置させる。その後、図11(c)に示すように、前記第2取付ユニットを配線基板200に更に接近させ、接着シート140b’をプローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間で圧縮させる。このとき、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度を調整(すなわち、プラナリ調整)して位置決めする。接着シート140b’が圧縮されると、接着シート140b’の一部がスペーサ130’の貫通孔133’に侵入し、配線基板200に付着する。このとき、接着シート140b’の前記一部は配線基板200に向けて漸次縮径する台形状となる。この状態で、接着シート140b’を加熱して硬化させる。これにより、プローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間に介在する接着シート140b’がシート本体141b’となり、スペーサ130’の貫通孔133’に侵入した接着シート140b’の一部が脚部142b’となる。このシート本体141b’及び脚部142b’がプローブ基板120の第2面122を配線基板200に部分的に接着させる。なお、全貫通孔133の直径は同じであるので、該貫通孔133に侵入する接着シート140b’の脚部142b’の量は略同じになる。よって、脚部142b’が配線基板200接着ムラなく接着される。
その後、取り付け板700を前記第1取付ユニットの支持ポスト160から取り外す。このようにして前記第1取付ユニットが配線基板200の上記一部の実装エリアに固着される。この前記第1取付ユニットの固着工程を配線基板200の残り実装エリアに前記第1取付ユニットが固着されるまで繰り返し行う。その後、周知のボンドテスタのシェアツールにより、全ての前記第1取付ユニットの支持ポスト160に各々外力を加えて該支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。このようにしてプローブユニット100’’が配線基板200の全実装エリアに固着される。
以下、プローブユニット100’’の交換方法について図12を参照しつつ説明する。まず、図12(a)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100’’のスペーサ130’の切欠き部134’に挿入し、図12(b)に示すように治具10の爪部11をプローブユニット100’’の接着シート140b’のシート本体141b’の端部に係止させる。その後、治具10を図示上方に引き上げ、プローブユニット100’’のスペーサ130’を配線基板200の実装エリアから剥がす。このとき、接着シート140b’の脚部142b’が配線基板200から剥がれる。その後、取り付け板700に交換用のプローブユニット100’’を上述の通り取り付ける。その後、配線基板200の実装エリアにプローブユニット100’’を上述したように固着させる。その後、支持ポスト160をプローブ基板120上から除去する。
このようなプローブカードによる場合、プローブユニット100’’のプローブ基板120が、接着シート140b’により部分的に配線基板200に接着されているだけであることから、プローブ基板120の配線基板200に対する接着強度を弱くすることできる。特に、接着シート140b’の脚部142b’の配線基板200に対する接着面が接着樹脂140aの配線基板200に対する接着面よりも小さいため、実施例1及び2よりもプローブ基板120の配線基板200に対する接着強度を弱くすることできる。このため、プローブユニット100’’を配線基板200から更に簡単に取り外すことができるので、プローブユニット100’’の交換を簡単に行うことができる。しかも、貫通孔133’がスペーサ130’に中心部及び仮想線X及びYを境に対称な位置に間隔を空けて配設されており且つ貫通孔133’の直径が同じであるので、貫通孔133’に侵入した接着シート140b’の脚部142b’がスペーサ130の中心部及び仮想線X及びYを境に対称な位置で配線基板200に対して略同じ接着面積で接着する(すなわち、略均等に接着する。)。このため、脚部142b’が配線基板200に不均等に接着して接着ムラができたり、脚部142b’が仮想線X及びYを境に非対称な位置でプローブ基板120に接着したりすることにより、プローブ基板120の配線基板200に対する平行度が損なわれる可能性を低減することができる。更に、プローブユニット100’’のプローブ基板120と配線基板200との間にスペーサ130’が介在しているため、プローブ基板120が撓む等変形を防止することができる。
なお、上述したプローブカードは、実施例1乃至3の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく説明する。
上記実施例1及び2では、接着樹脂140aが熱硬化樹脂であるとしたが、プローブ基板120の第2面122と配線基板200との間又は接着シート140bと配線基板200との間を接着し得る接着剤である限りどのようなものを用いても構わない。同様に、上記実施例2及び3では、接着シート140b、140b’は、熱硬化性シート接着剤であるとしたが、プローブ基板120の第2面122に接着すると共に上記接着樹脂と接着可能なもの又はプローブ基板120の第2面122と配線基板200との間を接着可能なものである限りどのようなものを用いても構わない。例えば、前記接着樹脂として光硬化性樹脂等を、前記接着シートとして光硬化性シート接着剤等を用いることが可能である。これらの場合、プローブ基板120として前記光硬化性樹脂を硬化させるための光(例えば、UV光線)を透過させる程度の透明度を有するガラス板等の板状の部材を用いることが好ましい。なお、実施例2では、スペーサ130の貫通孔133に充填された接着樹脂140aを加熱し半硬化させ、スペーサ130を配線基板200上に仮固定するとしたが、これを行うか否かは任意である。他方、実施例1についても、スペーサ130の貫通孔133に充填された接着樹脂140aを加熱し半硬化させ、スペーサ130を配線基板200上に仮固定させることが可能である。
また、上記実施例2では、接着シート140bがプローブ基板120の第2面122とスペーサ130との間に介在しているとしたが、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の接着剤等のその他の接着部材を介在させることも可能である。また、上記実施例3では、接着シート140b’は、プローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間で圧縮されることにより、シート本体141b’と脚部142b’とをなすとしたが、これに限定されるものではない。例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の接着剤をプローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間で圧縮し、前記接着剤の一部をスペーサ130’の貫通孔133’に侵入させた構成とすることも可能である。また、上記実施例3では、脚部142b’は台形状であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、プローブ基板120の第2面122とスペーサ130’との間で接着シート140b’が圧縮される量を増やすことにより、脚部142b’を接着樹脂140aと同様に円柱状とすることも可能である。
上記実施例1乃至3では、スペーサ130、130’は、端部に切欠き部134、134’が設けられているとしたが、該切欠き部134、134’を省略することも可能である。このようにスペーサに切欠き部を設けない場合であっても、接着樹脂140a又は接着シート140b’の脚部142b’の配線基板200に対する接着強度が低いため、プローブユニット100、100’、100’’を配線基板200から簡単に取り外すことができる。また、スペーサが弾性変形可能なものであるか否かについては任意に選択設定することが可能である。また、スペーサ130、130’には、任意の箇所に貫通孔133、133’を設けることが可能である。例えば、図13(a)に示すスペーサ130’’のように、仮想線Yを境に対称な位置に3つずつ貫通孔133’’を設けることも可能である。また、図13(b)に示すスペーサ130’’’のように、仮想線Yを境に対称な位置(スペーサ130’’’の4つの角部)に2つずつ貫通孔133’’’を設けると共に、スペーサ130’’’の中心部に貫通孔133’’’を設けることも可能である。また、図13(c)に示すスペーサ130’’’’のように、仮想線Yを境に対称な位置(スペーサ130の長さ方向の両端部)に3つずつ貫通孔133’’’’を設けることも可能である。これらの貫通孔内には、上記実施例1乃至3と同様に接着樹脂140a、脚部142b’又は上述したその他の接着部材等が設けられていれば良い。なお、実施例2及び3では、スペーサ130、130’は、接着シート140b、140b’に対して密着性が低いものを用いるとしたが、密着性が高いものを用いても良い。すなわち、接着シート140b、140b’がスペーサ130、130’に接着していても良い。
上記実施例1乃至3では、取り付け板700に複数のプローブユニット100、100’100’’が取り付けられているとしたが、一つのプローブユニットのみを取り付けることが可能である。また、上記実施例1乃至3では、プローブユニット100、100’100’’のプローブ基板120に支持ポスト160を立設し、該支持ポスト160を取り付け板700に接着して第2取付ユニットを作成し、該第2取付ユニットを用いて配線基板200の一部の実装エリアにプローブユニット100、100’100’’を一度に固着するとしたが、これに限定されるものではない。プローブ110が設けられたプローブ基板120を上記ダイボンダー装置のピックアップアームに把持させ、該プローブ基板120を順次配線基板200の実装エリア上のスペーサ上に一つずつ載置するようにしても構わない。この場合には、支持ポスト160及び取り付け板700は不要である。なお、取り付け板700は透明なガラス板であるとしたが、支持ポスト160の先端面が接着し得る板状の部材である限りどのようなものを用いても構わない。
また、支持ポスト160は、プローブ110と同じ導電材料で構成されているとしたが、MEMS技術により円柱状に立設し得る素材である限り任意に変更可能である。例えば、支持ポスト160を銅製とすることも可能である。この場合、支持ポスト160を除去するには、Cuエッチング液を用いてエッチングすることにより除去すれば良い。
なお、上記実施例1乃至3では、プローブカードの各部を構成する素材、形状、寸法及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1乃至3では、上記プローブカードは、半導体ウエハのチップの電気的諸特性を一括測定するのに使用されるものであるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記チップの電気的諸特性を測定するプローブカードとすることも可能である。