JP5316728B2 - ガラス繊維 - Google Patents

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Description

本発明はガラス繊維に関し、特に高弾性率・低線膨張係数を有するガラス繊維であり、かつ溶融性・紡糸性を改善したガラス繊維に関する。
プリント配線板の強化用に用いられるガラス繊維として、電気絶縁性に優れたEガラスからなるガラス繊維が知られている(特許文献1)。一方、近年の電子機器の小型化及び軽量化に伴い、プリント配線板の薄物化及び高密度化が進行している。そのため、プリント配線板には優れたハンドリング性(高い剛性)と優れた寸法安定性が求められている。これらの要求を満たすために、プリント配線板の強化材であるガラス繊維には、高い弾性率及び低い線膨張係数を有するガラス繊維が求められている(特許文献2、特許文献3及び特許文献4)。また、このような特性を有するSガラス繊維やTガラス繊維が使用され始めている(特許文献5)。
米国特許第2344961号明細書 特公昭48−30125号公報 国際公開第2002/042233号 国際公開第2007/055968号 特開2009−067852号公報
ところで、ガラス繊維を製造する場合、紡糸する溶融ガラスの1000ポイズ温度及び液相温度が重要である。ここで、1000ポイズ温度とは、ガラスの溶融粘度が1000ポイズとなる温度をいい、液相温度とは、溶融ガラスの温度を低下させたときに結晶が析出し始める温度をいう。一般的に、ガラス繊維は、ガラスの溶融粘度を1000ポイズ付近にした場合に効率的に紡糸可能であることから、紡糸は、1000ポイズ温度と液相温度との間の温度範囲(作業温度範囲)で通常行われる。
しかしながら、Tガラスを用いてガラス繊維を製造する場合、Tガラスは高弾性かつ低線膨張という特性を備えるものの、その1000ポイズ温度が高いため、溶融炉や紡糸設備への熱負荷が非常に大きいという問題があった。また、安定した紡糸工程の指標となる作業温度範囲が非常に狭く、溶融ガラスの温度がわずかに低下しただけでも容易に結晶化(失透)してしまうという問題もあった。このため、安定して紡糸を行うためには、Tガラスの紡糸条件を精度よく制御する必要があった。
本発明は、高弾性率と低線膨張係数を共に有し、かつ紡糸特性に優れるガラス繊維を提供することを目的とする。
本発明のガラス繊維は、構成成分の全重量を基準として、SiOを56.0〜62.5重量%、Alを15.5〜24.5重量%、CaOを0.1〜4.0重量%、MgOを6.0〜14.0重量%、ZnOを3.0〜9.0重量%、Bを0.5〜4.5重量%含有し、SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBの合計含有量が99.0重量%以上、ZnO及びBの合計含有量が4.5〜13.0重量%、CaOに対するMgOの重量比MgO/CaOが3.0以上である組成を有することを特徴とする。このような組成を有するガラス繊維は、高弾性率と低線膨張係数の特性を共に備えることができる。さらに、1000ポイズ温度及び液相温度を低くすることができ、かつ両者の温度差である作業温度範囲を十分広く確保することができる。そのため、本発明のガラス繊維は紡糸特性にも優れる。
本発明において、CaO及びMgOの合計含有量が7.0〜16.0重量%であることが好ましい。当該合計含有量がこの範囲内であると、1000ポイズ温度及び液相温度をより一層低くすることができるため、紡糸がより容易になると共に、線膨張係数を十分に低くすることができる。
また、本発明において、SiO及びAlの合計含有量が76.0〜84.0重量%であることが好ましい。当該合計含有量がこの範囲内であると、熱膨張率を十分に低くすることができると共に、1000ポイズ温度及び液相温度をより一層低くすることができるため、紡糸がより容易になる。
なお、本発明のガラス繊維において、線膨張係数が2.5〜3.0ppm/℃であることが好ましい。このように低い線膨張係数を有するガラス繊維を強化材として用いたプリント配線板は、優れた寸法安定性を発揮することができる。
また、本発明のガラス繊維において、弾性率が90GPa以上であることが好ましい。このように高い弾性率を有するガラス繊維を強化材として用いたプリント配線板は、優れたハンドリング性を発揮することができる。
さらに本発明は、上記ガラス繊維を製織してなるガラス繊維織物を提供する。本発明のガラス繊維織物は、プリント配線板用の強化材として有用であり、本発明のガラス繊維織物を強化材とするプリント配線板は、高い剛性と優れた寸法安定性を有することができる。
本発明によれば、高弾性率と低線膨張係数を共に有し、かつ紡糸特性に優れるガラス繊維を提供することができる。
[ガラス繊維]
本発明の実施形態に係るガラス繊維は、SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBをガラスの構成成分として含有するガラス組成物から紡糸されるものであり、各成分の含有量及び比率は以下のとおりであることを特徴としている。なお、含有量はガラス繊維の構成成分の全重量を基準としたものである。
(1)SiO:56.0〜62.5重量%
(2)Al:15.5〜24.5重量%
(3)CaO:0.1〜4.0重量%
(4)MgO:6.0〜14.0重量%
(5)ZnO:3.0〜9.0重量%
(6)B:0.5〜4.5重量%
(7)SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBの合計含有量が99.0重量%以上、
(8)ZnO及びBの合計含有量が4.5〜13.0重量%
(9)CaOに対するMgOの重量比MgO/CaOが3.0以上
このような組成を有する本実施形態のガラス繊維は、Tガラスからなるガラス繊維に比べて、1000ポイズ温度及び液相温度が十分に低く、かつ紡糸時における作業温度範囲が十分に広いため紡糸特性に優れる。しかも、本実施形態のガラス繊維は、Tガラスからなるガラス繊維と同などな高弾性率及び低熱膨張率の両特性を共に備えることができる。具体的には、1000ポイズ温度を1400℃以下、好ましくは1385℃以下にすることができるとともに、作業温度範囲を30℃以上、好ましくは50℃以上に確保することができる。そして、2.5〜3.0ppm/℃程度の低い線膨張係数と、90GPa程度以上、好ましくは92GPa以上の高い弾性率を有するガラス繊維を効率よく得ることができる。
なお、線膨張係数とは、ガラスバルクを昇温速度10℃/分、下限温度50℃、上限温度200℃とし、その他はJIS規格R3102−1995「ガラスの平均線膨張係数の試験方法」に準じて算出した平均線膨張係数を示す。平均線膨張係数を算出するための伸びの差(伸び量)の測定には、例えば熱機械分析(TMA)装置であるエスアイアイ ナノテクノロジー社製、TMA/SS6100(製品名)を用いることができる。
また、弾性率とは、25℃におけるガラスバルクの縦弾性係数(ヤング率)を示す。弾性率は、例えば超音波音速測定装置であるジーネス社製、UMS−D(製品名)を用いて超音波法にて測定することができる。
次に、ガラス繊維を構成するガラスの各構成成分について説明する。構成成分とは、ガラス繊維を構成する酸化物などの成分をいう。
SiOの含有量は、構成成分の全重量を基準として56.0〜62.5重量%である。SiOの含有量が、56.0重量%未満であると、線膨張係数が高くなる場合がある。一方、SiOの含有量が、62.5%重量を超えると、1000ポイズ温度及び液相温度が上昇する場合があるため、ガラス繊維を製造するときの溶融炉や紡糸設備への熱負荷が増大する可能性がある。特に、1000ポイズ温度を1400℃以下にするためには、SiOの含有量は、構成成分の全重量を基準として、57.0〜62.0重量%であることが好ましく、57.5〜61.5重量%であることがより好ましい。
Alの含有量は、構成成分の全重量を基準として15.5〜24.5重量%である。Alの含有量が、15.5重量%未満であると、線膨張係数が高くなる場合がある。一方、Alの含有量が、24.5重量%を超えると、液相温度が上昇し、作業温度範囲が狭くなる場合がある。これらの効果をより十分に得るためには、Alの含有量は、構成成分の全重量を基準として、16.0〜24.0重量%であることが好ましく、16.5〜23.5重量%であることがより好ましい。
CaOの含有量は、構成成分の全重量を基準として0.1〜4.0重量%である。CaOの含有量が、0.1重量%未満であると、液相温度を低下させる効果が小さく、作業温度範囲を広げることが困難である。一方、CaOの含有量が、4.0重量%を超えると、線膨張係数が高くなる場合がある。また、CaOの含有量が、構成成分の全重量を基準として、0.1〜4.0重量%であると、プリント配線板の強化材として本実施形態のガラス繊維を用いた場合に、プリント配線板の誘電率及び誘電正接を低くすることができ、プリント配線板自体の誘電特性を好適に保つことができる。これらの効果をより十分に得るためには、CaOの含有量は、構成成分の全重量を基準として、0.3〜3.0重量%であることが好ましく、0.5〜2.5重量%であることがより好ましい。
MgOの含有量は、構成成分の全重量を基準として6.0〜14.0重量%である。MgOの含有量が、6.0重量%未満であると、ガラス繊維の弾性率が低くなる場合がある。一方、MgOの含有量が、14.0重量%を超えると、線膨張係数が高くなると共に、液相温度が上昇する場合がある。また、MgOの含有量が、構成成分の全重量を基準として、6.0〜14.0重量%であると、プリント配線板の基材として本実施形態のガラス繊維を用いた場合に、プリント配線板の誘電特性を好適に保つことができる。これらの効果をより十分に得るためには、MgOの含有量は、構成成分の全重量を基準として、7.0〜13.0重量%であることが好ましく、8.0〜12.0重量%であることがより好ましい。
ZnOの含有量は、構成成分の全重量を基準として3.0〜9.0重量%である。ZnOの含有量が、3.0重量%未満であると、線膨張係数が高くなる場合がある。一方、ZnOの含有量が、9.0重量%を超えると、液相温度が上昇し、作業温度範囲が狭くなる場合がある。これらの効果をより十分に得るためには、ZnOの含有量は、構成成分の全重量を基準として、4.0〜8.0重量%であることが好ましく、4.5〜7.5重量%であることがより好ましい。
の含有量は、構成成分の全重量を基準として0.5〜4.5重量%である。Bの含有量が、0.5重量%未満であると線膨張係数が高くなる場合があると共に、1000ポイズ温度及び液相温度が高くなる場合がある。一方、Bの含有量が、4.5重量%を超えると、ガラス繊維の弾性率が低くなる場合がある。また、Bの含有量が、構成成分の全重量を基準として、0.5〜4.5重量%であると、プリント配線板の基材として本実施形態のガラス繊維を用いた場合に、誘電特性を好適に保つことができる。これらの効果をより十分に得るためには、Bの含有量は、構成成分の全重量を基準として、1.0〜4.0重量%であることが好ましく、1.5〜3.5重量%であることがより好ましい。
本実施形態においてSiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、99.0重量%以上であり、好ましくは99.5重量%以上、更に好ましくは99.7重量%以上である。本実施形態のガラス繊維は、紡糸特性、線膨張率や弾性率などの機械的特性、及び電気的特性など、プリント配線板用のガラス繊維としての特性に大きな影響を与えるのでなければ、上記以外の成分として、例えば、TiO、ZrO、BaO、SrO、Fe、Cr、F、Pなどを含有することができる。しかし、構成成分中にTiO、ZrOが0.2重量%以上含有されると、結晶(失透)物が出やすくなり、液相温度が変動して、安定的な繊維化が困難になる傾向がある。そのため、TiO、ZrOの合計の含有量は、構成成分の全重量を基準として0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、更に好ましくは0.03重量%未満である。
さらに、本実施形態のガラス繊維には、SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBを主なガラスの構成成分として含有するが、NaO、KO、LiOなどのアルカリ金属酸化物は実質的に含有しないことが好ましい。アルカリ金属酸化物を含有することにより、本実施形態のガラス繊維をプリント配線板の基材として用いた場合に、比誘電率、誘電正接などが大きくなり、電気特性が悪化する場合がある。なお、本実施形態において、実質的に含有しないとは、その構成成分に意図して含有させることを除くことを意味するものであるが、本実施形態のガラス繊維としての特性が損なわれない限り、不可避的に混入するなどして、0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、更に好ましくは0.03重量%未満、含有することは本実施形態のガラス繊維に含まれることを意味する。
ZnO及びBの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、4.5〜13.0重量%である。ZnO及びBの合計含有量が、4.5重量%未満であると、線膨張係数が高くなる場合がある。一方、ZnO及びBの合計含有量が、13.0重量%を超えると、液相温度が高くなり、作業温度範囲が狭くなる場合がある。これらの効果をより十分に得るためには、ZnO及びBの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、5.0〜12.0重量%であることが好ましい。
また、MgOに対するCaOの重量比MgO/CaOが3.0以上であると、高い弾性率を有するガラス繊維が得られるようになる。これらの効果をより十分に得るためには、MgOに対するCaOの重量比MgO/CaOが、3.5以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましい。
CaO及びMgOの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として7.0〜16.0重量%であることが好ましい。CaO及びMgOの合計含有量が、7.0重量%未満であると、1000ポイズ温度及び液相温度が高くなる場合がある。一方、CaO及びMgOの合計含有量が、16.0重量%を超えると、ガラス繊維の線膨張係数が高くなる場合がある。これらの効果をより十分に得るためには、CaO及びMgOの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、8.0〜13.0重量%であることがより好ましい。
SiO及びAlの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、76.0〜84.0重量%であることが好ましい。SiO及びAlの合計含有量が、76.0重量%未満であると、線膨張係数が高くなる。一方、SiO及びAlの合計含有量が、84.0重量%を超えると、1000ポイズ温度及び液相温度が上昇し、ガラス繊維を製造するときの溶融炉や紡糸設備への熱負荷が増大する傾向にある。これらの効果をより十分に得るためには、SiO及びAlの合計含有量は、構成成分の全重量を基準として、78.0〜82.0重量%であることがより好ましい。
このとき、Alに対するSiOの重量比SiO/Alが、2.5〜3.5であることが好ましい。これにより弾性率をさらに高くすることができる。
本実施形態のガラス繊維には、ガラス繊維のモノフィラメント、及びこのガラス繊維モノフィラメントを複数本束ねたガラス繊維束の態様が挙げられる。ガラス繊維のモノフィラメントの繊維径は、例えば3〜30μmである。また、ガラス繊維束は、当該モノフィラメントを例えば50〜8000本集束されてなるものであり、tex番手が3tex〜200texのガラス繊維束である。
なお、本実施形態のガラス繊維束は、例えば、紙またはプラスチック製の芯材の周囲に10〜200km程度巻き付けた巻糸体として提供されるが、例えば、一旦ガラス繊維束としたものを1インチ程度(25mm程度)に切断した、ガラス繊維チョップドストランドなどとして提供されてもよい。
さらに、本実施形態のガラス繊維のモノフィラメントの断面形状は、通常の円形ばかりでなく、楕円、長円、マユ型の扁平断面や、星型、四角形、三角形などの異形断面であってもよい。
また、本発明の実施形態に係るガラス繊維織物は、上記実施形態のガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織して得られる。本実施形態のガラス繊維織物は、特にプリント配線板用の強化材として適しているが、経糸及び緯糸の打ち込み本数が30〜80(本/25mm)であり、質量が10〜250(g/m)である織り組織のガラス繊維織物であると、同様の織り組織で製織したEガラス組成のガラス繊維織物に比べ、優れたハンドリング性(高い剛性)と優れた寸法安定性を備えたプリント配線板を得ることができる。この特性は、ガラス繊維織物の質量が50(g/m)であると顕著に発現する。
[ガラス繊維の製造方法]
ガラス繊維の製造方法としては、再溶融法、直接溶融法などの公知の方法が採用可能である。これらの公知の方法においては、通常、溶融させたガラス組成物を数百〜数千個の白金ノズルから引き出し、高速回転するドラムで巻き取ることによってガラス組成物を繊維化し、ガラス繊維を得る。
[ガラス繊維織物の製造方法]
ガラス織物の製造方法としては、エアージェット織機やレピア織機などの公知の織機を用いる方法が採用可能である。使用するガラス繊維は、上記で巻き取ったガラス繊維に、撚りをかけて巻き返しを行ったものを用いることができる。
このようにして製造される本実施形態のガラス繊維及びガラス繊維織物は、各種の用途に用いることができる。用途の例としては、産業用資材料や自動車部品材料などに用いられるガラス繊維強化熱硬化性プラスチック(GFRP)又はガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(GFRTP)用途や、電子材料に用いられるプリント配線板の強化材用途が挙げられる。本実施形態のガラス繊維は、極めて優れた高弾性率と低線膨張係数を有することから、これらの用途の中でも、ガラス繊維織物として、プリント配線板用の補強材用途に特に好適に用いられる。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ガラスカレットの製造及びその評価]
ガラス原料を溶融して実施例1〜6及び比較例1〜6のガラスカレットを作製した。得られたガラスカレットは、それぞれ表1に示すガラス組成を有していた。なお、表1の「SiO、Al、CaO、MgO、ZnO、Bの合計」とは、SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBの合計含有量を示す。
Figure 0005316728
次に、各ガラスカレットについて、1000ポイズ温度、液相温度及び作業温度範囲をそれぞれ求めるとともに、弾性率、線膨張係数及び誘電特性を以下のとおり評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
(1)1000ポイズ温度:白金ルツボ中で各ガラスカレットを溶融した後、回転式B型粘度計を用いて、溶融温度を変化させながら連続的に溶融ガラスの粘度を測定し、粘度が1000ポイズのときに対応する温度を1000ポイズ温度とした。測定には、高温回転粘度計(芝浦システム社製)を用い、JIS Z8803−1991に準じて行った。
(2)液相温度:各ガラスカレットを粉砕し、白金ボート中に入れて、1000℃から1500℃の温度勾配を設けた管状電気炉で8時間以上加熱した。電気炉から取り出した試料を偏光顕微鏡で観察し、結晶が析出し始めた温度を液相温度とした。
(3)作業温度範囲:上記の方法で測定した1000ポイズ温度と液相温度の差を作業温度範囲として算出した。
(4)弾性率:各ガラスカレットを溶融し、それぞれのガラスバルク(サイズ:縦2.0cm、横2.0cm、高さ0.5cm)を作製した後、超音波法により、25℃における、ガラスバルク中に伝わる超音波(縦波音速、横波音速)を測定した。次いで、ガラスの比重、縦波音速、横波音速の値からガラスバルクの弾性率(ヤング率)を算出した。測定には、超音波音速測定装置(ジーネス社製)を用いた。
(5)線膨張係数:各ガラスカレットを溶融し、それぞれのガラスバルク(サイズ:縦0.4cm、横0.4cm、高さ2.0cm)を作製した。その後、ガラスバルクを昇温速度10℃/分で加熱して50〜200℃の範囲で伸び量を測定し、その他はJIS R3102−1995に準じて、平均線膨張係数を算出した。なお、熱機械分析装置(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用い測定した。
(6)誘電特性:実施例1、2及び4、並びに比較例1〜3について、誘電特性を評価した。各ガラスカレットを溶融し、それぞれの各ガラス組成物からなるガラス板(サイズ:縦6.0cm、横6.0cm、高さ0.2cm)を作製した。次いで、各ガラス板表面に導電性ペイントを塗布して各測定サンプルをそれぞれ作製した。LCRメーター(ヒューレット・パッカード会社製)を用い、周波数1MHzでの室温(25℃)における各測定サンプルの比誘電率及び誘電正接を測定した。
Figure 0005316728
Figure 0005316728
[ガラス繊維及びガラス繊維織物の製造並びにその評価]
実施例1〜6及び比較例1〜5のガラスカレットを溶融紡糸し、それぞれの繊維径7μmのガラス繊維を作製した。それぞれのガラス繊維のガラス組成は、原料であるガラスカレットのガラス組成と同一であった。なお、比較例6のガラスカレットを溶融紡糸したが、切断が多発し、ガラス繊維を得ることは困難であった。
表2及び3に示すとおり、実施例1〜6のガラスカレットは、1400℃以下の1000ポイズ温度、1340℃以下の液相温度、及び35℃以上の広い作業温度範囲を有しているため、紡糸特性に優れていた。さらに、実施例1〜6のガラスカレットは、90GPa以上の弾性率及び3.0ppm/℃以下の低熱膨張係数を両立すると共に、優れた誘電特性を備えていた。このようなガラスカレットと同一のガラス組成を有する本実施例のガラス繊維は、比較例に比べて紡糸特性とその他の各種特性とのバランスに優れたガラス繊維であった。
また、得られたガラス繊維を200本束ねてガラス繊維束とし、このガラス繊維束を、打ち込み本数が経糸/緯糸=60/58(本/25mm)で、エアージェット織機を用いて平織り組織に製織して、ガラス繊維織物を得た。製織工程は全て問題なく行なうことができた。

Claims (6)

  1. 構成成分の全重量を基準として、
    SiOを56.0〜62.5重量%、Alを15.5〜24.5重量%、CaOを0.1〜4.0重量%、MgOを6.0〜14.0重量%、ZnOを3.0〜9.0重量%、Bを0.5〜4.5重量%含有し、
    SiO、Al、CaO、MgO、ZnO及びBの合計含有量が99.0重量%以上、ZnO及びBの合計含有量が4.5〜13.0重量%、CaOに対するMgOの重量比MgO/CaOが3.0以上である、ガラス繊維。
  2. CaO及びMgOの合計含有量が7.0〜16.0重量%である、請求項1に記載のガラス繊維。
  3. SiO及びAlの合計含有量が76.0〜84.0重量%である、請求項1又は2に記載のガラス繊維。
  4. 線膨張係数が2.5〜3.0ppm/℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス繊維。
  5. 弾性率が90GPa以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス繊維を製織してなるガラス繊維織物。
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