JP2011105554A - ガラス繊維用ガラス組成物、ガラス繊維及びガラス製シート状物 - Google Patents

ガラス繊維用ガラス組成物、ガラス繊維及びガラス製シート状物 Download PDF

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Abstract

【課題】低い誘電率εを有し、線熱膨張係数αが低く、弾性率Eが高い性能を発揮し、失透結晶物の生成による糸切れ、ホローファイバーの混入を防ぎ、繊維径のバラツキを抑制できるガラス繊維用組成物、ガラス繊維とガラス繊維シート状物を提供する。
【解決手段】本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有する。本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維用組成物よりなる。本発明のガラス製シート状物は、本発明のガラス繊維よりなり、ガラスクロス、ガラスペーパー又は不織布として加工されてなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機樹脂と併用されるガラス繊維の組成物に関する。このガラス繊維組成物は、溶融法により成形されるガラス繊維であり、シート状に加工されて使用されるものである。
ガラス繊維は、様々な用途で用いられているが、その中でも各種の電子機器に搭載される集積部品、メモリなどの電子部品を高密度に集積実装する技術を支える基板材を構成する材料として重要なものとなっている。この基板材、すなわちプリント配線板(プリント回路板、リジッド基板、プリント基板あるいはプリント配線基板とも言う)は、樹脂とガラス繊維及び改質剤等が適量混在するシート形状の外観を呈する複合材料であり、各種電子部品を搭載するためのスルーホール等を設けた形態を有している。そして、プリント配線板は、その機能や用途などに応じ、モジュール、ボード、ユニットあるいはパッケージ等の別名を用いて表現されることもある。
プリント配線板用途で用いられるガラス繊維には、これまで無アルカリのガラス組成であるEガラスと呼ばれるガラス組成物が一般に用いられてきた。このEガラスは、電気絶縁性に優れ、溶融ガラスからの紡糸が行い易く、さらに加工も容易に行えるため多用されてきた。このEガラスは、その組成を酸化物換算の質量百分率に表せば、例えばSiO 52〜56%、Al 12〜16%、B 5〜10%、CaO 16〜25%、MgO 0〜5%、アルカリ金属酸化物(RO) 0〜2%、Fe 0.05〜0.4%、F 0〜1.0%からなるガラス材質である。
一方、電子部品の集積実装技術の進化などに伴って、プリント配線板に求められる要望は、より厳しく、しかもバラエティに富むものとなっている。このため、各種要望に見合った性能を発揮するガラス繊維が発明されてきた。例えば、特許文献1には、室温における周波数1MHzでの誘電率εが6.7であるEガラスよりも低い誘電率εと小さな誘電正接tanδを実現するため、Dガラスと呼称されるガラス材質が開示されている。このDガラスは、例えば、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 74.5%、Al 0.3%、B 21.7%、CaO 0.5%、LiO 0.5%、NaO 1.0%、KO 1.5%からなるガラス材質であり、このガラスの1MHzの誘電率εは約4.3である。
また特許文献2には、熱膨張係数αが低く、弾性率Eの高いSガラスと呼称されるガラス材質が開示されている。このSガラスは、例えば、酸化物換算の質量百分率表示で、SiO 65%、Al 25%、MgO 10%からなるガラス材質であり、このガラス材質の熱膨張係数αは30×10−7/℃、弾性率が95GPaである。
特許文献3には、Sガラスよりガラス繊維製造時の紡糸温度を低くおさえることができ、作業温度範囲を広くすることが可能なガラス繊維組成物として、質量%で、SiO 55〜65%、Al 17〜23%、MgO 7〜15%、CaO 2〜5%、TiO 1〜7%、SiO、Al、MgO、CaOおよびTiOの合計含有量が97%以上であって、SiOの含有量とAlの含有量の合計含有量が79〜82%であり、該合計含有量をCaOの含有量で除した値が14〜41である組成物が開示されている。
特許文献4には、高強度なプリント配線板用のガラス繊維用組成物として発明されたもので、質量%比で、SiO/Al 3.10、Al/MgO 2.10であり、SiO、Al、およびMgOの合計重量がガラス組成物全重量を基準として98%以上であることを特徴とするガラス繊維が開示されている。
特許文献5は、耐水性と高強度を併せもつ性能を発揮するガラス繊維用組成物として発明されたもので、質量%で、SiO 61〜68%、Al 17〜25%、B 0〜0.5%、MgO 12〜20%、LiO 0〜0.5%、NaO 0.2〜0.5%であり、これらの合計が少なくとも98%である組成を有することを特徴とするガラス繊維が開示されている。
特開昭63−2831号公報 特公昭48−30125号公報 特開2003−171143号公報 特開2002−154843号公報 特開平6−305773号公報
しかしながら、これまでに開示された発明だけでは、高密度実装を可能とし、より多様な要望を実現するプリント配線板等の電子機器搭載部材に用いられるガラス繊維を得るには十分ではない。
特許文献1のガラス組成物は、電気的性能には優れるが、プリント配線板やガラス繊維の製造工程上等で様々な問題点が指摘された。例えば、このDガラスは、Eガラスに比較してガラスの溶融性が劣り、未熔解物などによりブッシングノズルが詰り紡糸時に糸切れ等が多発し易く、ガラス繊維の製造が容易ではない。また、このガラスを用いたプリント配線板では、電子部品リードを挿入しない層間導通を目的としたスルーホール(ビアホール(Via Hole)とも呼ぶ)を形成するドリリング工程において、ドリルの摩耗が大きくなり、ドリル先端の交換頻度の増加による製造効率の低下や、製造されたプリント配線板のビアホールの位置精度が低くなり、高密度実装の妨げになるといった問題もあった。
また、特許文献2のガラス組成物は、低熱膨張による熱的耐性、高弾性率による物理的強度を実現するものではあるが、溶融ガラスの粘度が10dPa・sに相当する紡糸温度Tが高く、溶融温度も高温を要し、泡切れし難く、液相温度Tが紡糸温度Tに近くいため紡糸温度Tと、液相温度Tの差、ΔTXL=T−Tの値が小さくガラス繊維成形時に熔解ガラスから晶出した失透によりブッシングのノズルが詰り易く、連続的なガラス繊維の安定生産が困難である。また紡糸温度Tが高温であるためガラス繊維成形時のブッシングの均熱性を取ることが難しく、各ノズルから押し出されてくるガラス流量が温度により変わることからガラス繊維の繊維径がそろわず、繊維径のバラツキを生じるという問題もある。
特許文献3のガラス組成物は、溶融ガラスの粘度が103.0dPa・sの紡糸温度Tが1340℃から1383℃と紡糸温度Tを下げることはできているが、紡糸温度Tと、液相温度Tの差、ΔTXL=T−Tの値が小さく、このためガラス繊維成形時の失透結晶が晶出することにより、紡糸時にブッシングノズルで糸切れを発生し易く、安定した紡糸を実現し難いという問題がある。
特許文献4のガラス組成物は、103.0dPa・sの紡糸温度Tが高く、また溶融時の未清澄の泡がそのまま紡糸され、それに起因するホローファイバー(連続した中空状の構造を呈するファイバー)が生じやすい。ガラス繊維中にホローファイバーが多数あると、プリント配線板として利用する場合、銅めっき時にプリント配線板に形成されたスルーホール間でホロー(空洞)を通して銅イオンがマイグレーションすることにより絶縁不良となってしまう問題が発生し易くなる。
特許文献5のガラス組成物は、溶融ガラス中からコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透が晶出しやすく、ブッシングノズルの詰まりに起因する糸切れが多発するという問題がある。
また、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル電子機器においても、各種の搭載電子部品の小型化が進んでおり、それに伴ってプリント配線板の小型化、薄肉化が要求されている。プリント配線板の薄肉化が進むことにより、プリント配線板自体のたわみ量が増大し、配線板加工時のハンドリング性低下を引き起こす。また、部品実装工程では、はんだリフローなどの高温雰囲気下において、プリント配線板が常温雰囲気よりもさらに大きくたわむため、実装部品と回路導体の接合不良の原因となり、モバイル電子機器としての信頼性を損なう危険性が生じる。プリント配線板の反りを低減するためにはプリント配線板の高弾性率化を図る必要があるが、そのためには補強材として使用されるガラスクロスの弾性を向上させることが必要であり、ガラスの弾性率Eが高いことが要求される。
プリント配線板は、多くの電子装置に搭載されるが、搭載される電子装置を取り巻く環境は多様である。例えば、現在の自動車には数多くの集積回路が搭載されており、これらの電子部品はプリント配線板上に高密度実装されているが、自動車等に使用される部品は真夏の炎天下から極北の路上での走行まで、様々な環境下における信頼性を確保できるものであることが要求される。また近年の乗用車では乗車空間を十分に確保するために、電子回路等はエンジンルームやエンジンルーム周辺などの周囲環境温度が高く、従来よりも温度変化の激しい環境下に配設されることが多くなっている。さらに、搭載する基板サイズを小型化したいという要求もある。
このような諸般の状況変化によって、車載用途のプリント配線板は従来以上の耐熱性と、多数のスルーホールを高密度で配したプリント配線板を製造した際の高い信頼性が要求されている。プリント配線板と銅やはんだなどの導電金属との線熱膨張係数αに差があると、熱衝撃時の熱ストレスによるプリント配線板と銅やはんだなどの導電金属との熱膨張差により、スルーホール回路のクラックによる断線不良が発生し、重大な機器故障の原因となるが、このような障害の発生は、回避せねばならない。すなわち、車載用途で使用される電子部品は、大きな温度変化によって電子回路に障害が発生したりすることは許されず、またその信頼性は長期に亘るものであることが求められる。よってこのような要求を満足するために、車載用途の環境で使用されるプリント配線板には基板材料の熱膨張を銅やはんだなどの導電金属に極力近づけること、すなわち線熱膨張係数αを小さくすることが求められている。
さらに、プリント配線板などの電子機器の小型化、薄肉化は、構成部材として用いられるガラス繊維として、なるべく細番手のガラス繊維の要求に繋がる。そして、このような細番手のガラス繊維は、モノフィラメントの繊維径が小さくなるために、ガラス繊維の失透物、ガラス繊維中のホローファイバー、繊維径のバラツキなどに関して、これまで以上の品位とせねば、安定したガラス繊維製品を製造できないという問題が一層顕在化する。細番手のガラス繊維は、繊維径の調整も難しく、様々な阻害要因の影響を受けやすいからである。
本発明は、上述した事情に鑑み行われたものである。すなわち本発明は、低誘電率を有し、線熱膨張係数αが低く、弾性率Eが高い特性を有し、さらに細番手のガラス繊維を製造する際であっても、失透結晶物の生成によるガラス繊維の糸切れ、ホローファイバーの混入を防ぎ、ガラス繊維製造時の繊維径のバラツキを抑制できるガラス繊維用組成物、ガラス繊維とこのガラス繊維より構成されるガラス繊維シート状物の提供を課題とする。
本発明者らは、高密度実装を実現するプリント配線板など、電子部品用途から要求される数多くの困難な課題を確実に克服でき、しかも高い生産性を有するガラス繊維組成に関して研究を重ねた。その中でガラス組成物中の酸化ケイ素成分の配合量、酸化アルミニウム成分の配合量、アルカリ土類金属元素成分の配合量、酸化チタン成分の配合量、そして酸化ホウ素成分の配合量等を適正なものとし、これらの成分を所定量含有させることで、上記の様々な問題をいずれも解決できることを見出し、ここに本発明を提示するものである。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有する。
すなわち、本発明は、化学分析や機器分析等の各種分析手段を使用することによってガラスを構成する元素成分を酸化物換算の質量百分率で表示すると、そのガラス組成はSiO成分が55質量%以上70質量%以下の範囲にあり、Al成分が15質量%以上25質量%以下の範囲にあり、MgO成分が3質量%以上13質量%以下の範囲にあり、B成分が0.5質量%以上6質量%以下の範囲にあり、MgO成分とCaO成分とSrO成分とBaO成分とZnO成分の合量が5質量%以上15質量%以下の範囲にあり、SiO成分とAl成分の合量が78質量%以上88質量%以下の範囲にあり、Al成分とMgO成分の合量が23質量%以上32質量%以下の範囲にあり、TiO成分が0.1質量%以上5質量%以下の範囲にあり、更に任意成分としては、CaO成分が3質量%以下の範囲にあり、ZrO成分が1質量%以下の範囲にあり、LiO成分とNaO成分とKO成分の合量が1質量%以下の範囲で含有するものであるということを表している。
以上の本発明のガラス繊維用ガラス組成物を構成する各成分の含有率の限定理由について、以下で具体的に説明する。
SiO成分はガラス構造において、その網目状構造の骨格をなす成分であって本発明のガラス組成物の主要成分であり、ガラス組成物中のSiO成分の含有量が増加するほどガラスの構造強度が大きくなる傾向となる。ガラス構造の強度を充分な状態となるように維持し、安定した品位を有するものとするには、SiO成分の含有量は少なくとも55質量%以上とすることが必要であり、より好ましくは57質量%以上とすることである。一方、ガラス組成物中のSiO成分の含有量が増加すると、溶融ガラスの高温粘性値が大きくなり、その結果溶融法によりこのようなガラス組成物を高い効率で均質になるように製造しようとすれば、高価な設備が必要となる。またガラス繊維として成形する際の紡糸温度Tも高くなる。よって製造時の設備管理等の点でも制約が生じることとなる場合がある。また、SiO成分の含有量が増加し、高温粘性値が大きくなるとガラス溶融時にガラス化反応時などに生じた気泡等が残存しやすく均質な溶融ガラスを得がたく、ガラスの溶融に過剰な熱エネルギーが必要となり、しかもガラス繊維を製造する際の高い紡糸性を確保することが困難となる。さらに、SiO成分の含有量が増加するとプリント配線板のドリル穴あけ加工時にドリルの磨耗が大きくなり、ドリリング性の低下によって製造効率が低下し、プリント配線基板を製造する上での弊害となる。これらの問題が生じないようにするためにはSiO成分の含有量を70%以下の含有量とすることが必要であり、より好ましくは67質量%以下とすることである。
Al成分はガラスの化学的、機械的な安定性を実現するために有効な成分であり、ガラスの弾性率Eを向上させる成分である。Al成分はガラス中に適量だけ含有されることによって、溶融ガラス中での結晶の晶出や分相生成を抑制する効果を有する場合もあるが、多量に含有すると溶融ガラスからAlを主成分とするムライト(3Al・2SiO)の失透結晶を生じやすくなり、また、溶融ガラスの粘性を増加させることになる。ガラス組成中のAl成分の含有量が15質量%以上であると、ガラスの機械的な安定性が向上し、ガラスの弾性率Eの向上に効果が大きい。Al成分は、好ましくは17質量%以上である。一方、Al成分の含有量が25質量%以下であると溶融ガラスからムライト(3Al・2SiO)の失透が晶出しにくく、ガラス繊維成形時にブッシングノズルが詰まることなく成形することができ、溶融ガラスの粘度も増加しにくいいため、ガラス繊維の生産時に必要なエネルギーも省力化でき、熔解ガラスの泡切れ(清澄性)もよいため好ましい。Al成分は、より好ましくは23質量%以下することが望ましい。
MgO成分は、ガラス原料を溶融し易くする融剤としての働きを有する成分であり、ガラス熔解時の粘性を低下させ泡切れを促進し、ガラス繊維成形時の紡糸温度Tを低下させる働きを有している。また、ガラスの機械的強度を向上し、弾性率Eを向上させる働きのある成分である。MgO成分の含有量が3質量%以上であるとガラス熔解時の粘性を低下させ、泡切れを促進し気泡の少ないガラス繊維を成形することができ、紡糸温度Tも十分下げることができる。また、ガラスの弾性率Eも十分大きくすることができ、このためガラスクロスに樹脂を含浸させたプリプレグに加工された時の反りを抑制することができる。MgO成分の効果をより明瞭に発揮させるには、より好ましくは4.5質量%以上とすることが望ましい。一方、MgO成分の含有量の増加は、Al成分の含有量の多いガラス組成中では溶融ガラス中からコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透が晶出しやすくなり、ガラス繊維成形時にブッシングのノズル詰まりの原因となる場合がある。また、MgO成分の含有量の増加は、ガラスの線熱膨張係数αを大きくし、ガラスの誘電率εも上昇する。このような観点からMgO成分は、13質量%を超えるのは好ましくない。好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは11質量%以下、一層好ましくは10.5質量%以下とすることである。
成分は、SiO成分と同様にガラス網目構造において、その骨格をなす成分であるが、SiO成分のように溶融ガラスの高温粘性を大きくすることはなく、むしろ高温粘性を低下させる働きがあり、また、ガラスの誘電率εを低下させる成分である。また、Al成分、SiO成分を主成分とするムライト(3Al・2SiO)の失透結晶の生成を抑制する。ガラス組成中のB成分の含有量は、0.5質量%以上であるとムライト(3Al・2SiO)あるいはコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透結晶の生成を抑制する効果があり、誘電率εを低下する効果が大きく、より好ましくは0.6質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、一層好ましくは1.5質量%以上とすることが望ましい。一方、B成分は、ガラス組成中の含有量が多くなりすぎると、溶融中にホウ素成分の蒸発量が多くなり、溶融ガラスを均質な状態に維持するのが困難となる場合もある。またB成分の含有量が多くなりすぎるとプリント配線板で使用される場合、周囲環境の湿分の影響を受けやすくなり、高湿度環境ではホウ素やアルカリ等がガラス組成から溶出することにより、電気絶縁性が低下するなど電気的信頼性を損なう恐れがある。このため、ガラス組成中のB成分は、6質量%を超えるとガラス溶融時のホウ素成分の蒸発が多くなったり、プリント配線板の電気的信頼性が低下したりするため好ましくない。またB成分の含有量は、より好ましくは5.5質量%以下とすることである。
CaO成分は、MgO成分と同様にガラス原料を溶融し易くする融剤としての働きを有する成分であり、ガラス熔解時の粘性を低下させ泡切れを促進し、ガラス繊維成形時の紡糸温度Tを低下させる。また、ガラスの弾性率Eを向上させる成分である。一方、アルカリ土類金属元素成分の中では、最も誘電率εを増加させる働きが大きく、多量に含有させると誘電率εが大きくなりすぎ、溶融ガラスからウォラストナイト(CaO・SiO)の失透を晶出しやすくなる。また、CaO成分の添加量の増加は、線熱膨張係数αが大きくする。このためCaO成分は、3質量%を超えるものは好ましくない。
ZnO成分、SrO成分、及びBaO成分は、何れも混合状態のガラス原料を加熱した際に溶融し易くする融剤としての働きを有する成分であり、ガラス熔解時の粘性を低下させ泡切れを促進し、ガラス繊維成形時の紡糸温度Tを低下させる働きをする。また、ZnO成分、SrO成分及びBaO成分は、ガラスの弾性率Eを向上させる成分である。一方、これら成分の増加は、ガラスの誘電率εを大きくし、線熱膨張係数αも大きくする。また、これら成分の各原料は、一般的に高価であり、大量に使用すると原料費用の上昇を招くことになる。このため、SrO成分の含有量は5質量%以下、BaO成分の含有量は5質量%以下、ZnO成分の含有量は5質量%以下であることが好ましい。
またアルカリ土類金属酸化物の各成分の総和、すなわちΣRO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOは、これら成分が高温反応時に相互に働いてガラス原料を一層溶融し易くする融剤としての働きを高めるものであり、ガラス熔解時の粘性を低下させ泡切れを促進することによって、ホローファイバーの発生を防止し、ガラス繊維成形時の紡糸温度Tを低下させる。また、これら成分の総和は、ガラスの弾性率Eを向上させる。このためアルカリ土類金属酸化物成分の合量値、ΣRO=MgO+CaO+SrO+ZnOは、5質量%以上であることが望ましい。一方、これら成分の総和が増加し過ぎると、ガラスの誘電率εが大きくなり、線熱膨張係数αが大きくなるためアルカリ土類金属酸化物の各成分の総和、すなわちΣRO=MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOは15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは14.5質量%以下、さらに好ましくは14質量%以下とすることである。
LiO成分、NaO成分あるいはKO成分のアルカリ金属酸化物成分は、ガラス原料をガラス融液とする際に、ガラス融液の生成を容易にする、いわゆる融剤として著しく大きく働き、さらに溶融ガラスの高温粘性を低下させ、清澄し易い状態にする働きが大きい。しかし、LiO成分、NaO成分あるいはKO成分は、いずれもガラス組成中の含有量が多くなると、ガラスの線熱膨張係数αが大きくなり、誘電率εが大きくなるほか、プリント配線板の補強材として使用される場合にはガラスからのアルカリイオンの溶出により電気絶縁性を損なう場合がある。このため、これらの成分の合量ΣRO=LiO+NaO+KOは1質量%までで、より好ましくは0.8質量%までである。
TiO成分は、ガラスの弾性率Eを向上させる成分であり、SiO−Al−MgO組成系においてはムライト(3Al・2SiO)あるいはコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透析出温度を低下させる働きがある。このためTiO成分の含有量は0.1質量%以上であることが望ましい。TiO成分は、好ましくは0.5質量%以上とすることが望ましい。一方、TiO成分は、多量に含有されると誘電率εが大きくなり、溶融ガラスからTiO系の結晶を晶出し易くなるため好ましくない。このためTiOの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは4.5質量%以下であることである。
ZrO成分は、TiO成分と同様にガラスの弾性率Eを向上させる成分であるが、SiO−Al−MgO組成系のガラス融液においてはムライト(3Al・2SiO)あるいはコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透析出温度を上昇させる場合があり、含有量を制限すべき成分である。ZrO成分の含有量は1質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下とすることである。
SiO成分とAl成分の合量は、ガラスの粘性と線熱膨張係数αを適正な範囲となるように調整する指標である。SiO成分とAl成分の合量SiO+Alが小さいとガラスの粘性が低下するためガラス繊維製造時のガラス熔解が容易になるほか、ガラス繊維成形でのブッシングの温度管理が容易となるため好ましく、SiO+Alは88質量%以下であることが望ましい。一方、SiO+Alが小さ過ぎるとガラスの線熱膨張係数αが大きくなり、誘電率εが大きくなるため好ましくない。このためSiO+Alは、78質量%以上であることが望ましい。
Al成分とMgO成分の合量、すなわちAl+MgOは熔解ガラスからの失透が晶出する温度、液相温度Tを適正な値にするための指標となり、また、ガラスの強度、ガラスの弾性率Eを適正な値にするための指標ともなる。Al+MgOが小さいと熔解ガラスからムライト(3Al・2SiO)あるいはコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)の失透を晶出しにくくすることができ、ガラス繊維成形時のブッシングのノズルでの失透物の詰りによる糸切れを抑制することできる。このためAl+MgOは、32質量%以下であることが好ましい。以上のような観点から、Al+MgOの値は、より好ましくは、31.4質量%以下より好ましくは31.3質量%以下とすることである。一方、Al+MgOの値が小さすぎるとガラスの弾性率Eが小さくなりすぎるため好ましくない。このためAl+MgOは、23質量%以上であることが望ましい。以上のような観点から、Al+MgOの値は、より好ましくは23.4質量%以上、さらに好ましくは23.7質量%以上が好ましい。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、本発明のガラス繊維用ガラス組成物の性能に大きな影響を及ぼさない範囲で上記に加え必要に応じて各種の成分を添加することができる。例えば、P、Fe、CeO、SO、Cl、F、WO、Nb5、3、La等の希土類酸化物、あるいはMoO等を質量%表示で各々3%以下の含有量であれば含有することができる。
また上述以外にも、微量成分を質量%表示で0.1%まで含有することができる。例えば、Cr、HO、OH、H、CO、CO、He、Ne、Ar及びN等の各種微量成分が該当する。
また本発明のガラス繊維用ガラス組成物では、ガラス繊維用ガラス組成物の性能に大きな影響がないならば、ガラス中に微量の貴金属元素が含有してもよい。例えばPt、Rh及びOs等の白金属元素を1000ppmまで、すなわち金属元素の含有量を質量百分率で表示して0.1%まで含有してもよい。
また本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、溶融ガラスの粘性が103.0dPa・sに相当する紡糸温度Txが1450℃以下であれば、ガラス繊維の紡糸装置や紡糸方法に大きな変更を行うことなく、効率よくガラス繊維を製造することができるので好適である。
また本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、溶融ガラスの粘性が103.0dPa・sに相当する紡糸温度Tと液相温度Tとの温度差ΔTXL=T−Tが70℃以上であれば、ガラス繊維成形時にブッシングのノズルが溶融ガラスから晶出した失透物で詰り、紡糸時に切断されることがなくなるため好ましい。
また本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、線熱膨張係数αが40×10−7/℃以下であれば、プリント配線板に用いられた場合に、高温環境下ではんだ接合部に熱応力が発生し、はんだクラックを引き起こし、電気接続が得られなくなる等の障害の発生を防ぐことになるので好ましい。
さらに、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、周波数1MHzにおける誘電率εが5.8以下であるなら、プリント配線板として用いる場合に、高速な電子回路を実現するために高周波を用いる場合であっても、十分高速な伝送速度を実現できる。伝送速度は誘電率εの平方根に反比例し、V=K×C/ε1/2で表される。ここでVは電気信号伝搬速度、Kは定数、Cは光速を表されるからである。
また本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、弾性率Eが85GPa以上であれば、プリント配線板として用いる場合に、補強材として使用されるガラスクロスの弾性を向上させ、プリント配線板の反りを低減することができるので好ましい。
本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維用組成物よりなることを特徴とする。
本発明のガラス繊維用組成物よりなるとは、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有するガラス繊維である。
本発明のガラス繊維の製造方法は、所望の性能を実現できるのであれば、どのような製造方法によって製造するのであってもよい。ガラス繊維の製造方法は、種々の無機ガラス原料を混合し、高温で溶融した後、ブッシングノズルから連続的に引き出し、ノズル近傍にノズル位置を挟むように配した冷却装置を使用して急速冷却を行ってガラス繊維径を調整する製造方法、すなわちガラス長繊維としてブッシングノズル直下方向に引き出して製造するものであれば、安定したバラツキのない繊維径のガラス繊維を得ることができる。また、ガラス長繊維としては、直接成形法(DM法:ダイレクトメルト法)、間接成形法(MM法:マーブルメルト法)等の各種の製造方法を用途や製造量に応じて採用してよい。これらのガラス繊維の製造方法では、前記無機ガラス原料に加えて、ガラスカレットを適量使用してもよい。
またガラス繊維は、急速冷却を行ってガラス繊維径を調整したガラス繊維の表面に各種有機物の薬剤を被覆剤として塗布してよい。この場合、被覆剤の塗布方法は、任意であるが、例えばスプレー法やロール塗布法等の塗布方法を用い、塗布量を調整すればよい。被覆剤の種類としては、具体的には集束剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、被膜形成剤、カップリング剤あるいは潤滑剤を被覆したものであってもよい。
表面処理に使用できるシランカップリング剤を例示すれば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等があり、使用されるガラス繊維と複合化する樹脂の種類により適宜選択すればよい。
また、本発明のガラス繊維は、紡糸時の引き出し方向に垂直な繊維断面の形状としては、円形状に加えて、楕円、トラック形状、扁平形状、矩形状、マユ型形状、及び多角形などの異形断面の形状であってもよい。
また、本発明のガラス繊維は、固形分換算の質量百分率表示で96.5%以上99.99%以下がガラス組成物であり、残分が被覆剤などの有機物であるなら、ガラス繊維の製織工程などの各種加工工程でガラス繊維表面に傷が生じにくく、安定した強度性能を維持することができる。また、ガラス繊維が各種の物理化学的な性能を十分に発揮できるものとなる。固形分換算というのは、ガラス表面の水分が0.1%未満となるように乾燥した状態で、質量を計測し、さらに強熱処理を施して、ガラス繊維表面の塗布された有機物を加熱除去後にその質量を計測すればよい。
ガラス組成物が、固形分換算の質量百分率表示で96.5%未満である場合には、表面に塗布された有機物がガラス繊維を保護する性能が一層向上することもなく、また塗布に要する有機物量が増加するため、製造費用が増加し、経済的ではない。またガラス組成物が、固形分換算の質量百分率表示で99.99%を超えると、ガラス繊維表面の保護性能が十分に果たされなくなる場合もあるので好ましくない。
また、本発明のガラス繊維製シート状物は、本発明のガラス繊維よりなり、ガラスクロス、ガラスペーパー又は不織布として加工されてなるものであれば、用途に応じて高密度なプリント配線板を構成する上で最適なガラス繊維となるので好ましい。
すなわち、ガラスクロス又は不織布として加工されてなるとは、ガラス繊維を経糸と緯糸として、プリント配線板用ガラスクロスに用いられる種々の製織方法で織られた織物とするか、あるいはチョップドストランドを湿式法や乾式法にて不織布、例えばガラスペーパーとし、これらを有機樹脂材と複合化することによって有機樹脂複合材を形成する用途で用いるものである。
ガラスクロスとしては、様々な構造の織布を採用することができる。例えば平織り、綾織等の織り構造のものから、さらに複雑な構造を有するものまで使用することが可能である。さらに不織布については、例えばガラスペーパーについては、チョップドストランドを使用し、白水中でモノフィラメントとして分散させた後、すきあげ、有機結合剤を用いてシート状物に成形したものであればよい。また、例えばチョップドストランドを使用する場合であれば、上述した本発明のガラス繊維用組成物を溶融した溶融ガラスをブッシング等の成形装置に配設された耐熱製ノズルから連続的に引き出してその周囲に集束剤などを被覆させてガラス長繊維として成形する。次いで得られたガラス長繊維を紙管等の周囲に巻き取ってケーキ(またはチーズともよぶ)とした後、ケーキから必要本数をまとめて引き出してガラス繊維切断装置によって所定長の寸法となるように切断する。こうして得られたチョップドストランドを白水中に分散させた後、メッシュ上にすき上げ、コンベヤ上にランダムに堆積してシート状となった状態で、その上方より液状の結合剤を散布し、この結合剤を硬化させることによりそれぞれのガラスチョップドストランド同士を接合する工程を経て、ガラスチョップドストランドにより構成させるガラス繊維シート状物が得られることとなる。
本発明のガラス繊維製シート状物が、プリント配線板の構成材料として用いられる場合には、その製造工程は具体的に以下のようなものとなる。すなわち、本発明のガラス繊維用組成物よりなるガラスヤーン回巻体やガラスヤーン合撚糸回巻体のパッケージから解舒されたガラスヤーンやガラスヤーン合撚糸をワーパーで整経し、糊付け機で二次サイズしてビームからルームビームに巻き取りこれを経糸とする。ガラスヤーン回巻体やガラスヤーン合撚糸回巻体のパッケージを解舒して、これを緯糸に使用し、エアージェットルームなどを用いてガラスクロスを製織する。製織されたガラスクロスに付着している有機成分を加熱焼却することにより取り除き(加熱脱油)、シランカップリング剤を含む処理液に浸漬して乾燥した(表面処理)後、樹脂を含侵させ、積層して樹脂を硬化させることによってプリント配線板用の積層板が製造される。
また本発明のガラス繊維製シート状物が、チョップドストランドを用いて製造されたガラスペーパーである場合については、そのチョップドストランドの長さ寸法ついては限定されない。繊維の長さ寸法については、用途に適応したものを選択することができる。また、チョップドストランドの製造方法についても任意のものを採用することができる。例えば、溶融工程から紡糸されたストランドを紡糸直後に切断加工することもできるし、一度連続繊維として巻き取った後に用途に応じて切断装置により切断加工してもよい。この場合、切断方法についても任意の方法を採用することができる。例えば、外周刃切断装置や内周刃切断装置、ハンマーミル等を使用することが可能である。また、チョップドストランドの集合形態についても特に限定しない。
また本発明のガラス繊維製シート状物には、本発明のガラス繊維以外の繊維材や固形添加剤、液状添加剤を用途に応じて併用してよい。またガラスクロスや不織布を構成する場合に本発明のガラス繊維材と併用する本発明のガラス繊維以外の繊維材としては、Dガラス繊維や他の組成のガラス繊維、また有機繊維材、セラミック繊維やカーボン繊維等を使用してもよく、固形添加材としては、セラミックス粉末、ガラス粉末、有機樹脂粉末、シリコーン粉末等があり、液状添加剤としては、重合促進剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分解反応禁止剤、希釈剤、帯電防止剤、凝集防止剤、改質剤、湿潤剤、乾燥剤、防黴剤、分散剤、硬化促進剤、反応促進剤、増粘剤又は反応促進剤等を適量使用してもよい。
本発明のガラス製シート状物は、有機樹脂材と複合化されて有機樹脂複合材を形成する用途で用いられることを特徴とする。
有機樹脂材と複合化されて有機樹脂複合材を形成する用途で用いられるとは、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有することを特徴とするガラス繊維を、その厚さが1mm以下のガラス繊維シート状物とし、熱硬化性を有する有機樹脂材を含浸させて有機樹脂複合材を得る用途で使用されるものであることを意味している。
熱硬化性を有する有機樹脂材としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂あるいはビスマレイミド樹脂等の樹脂を使用すればよい。
また本発明のガラス繊維シートは、上述に加えガラスシート状物が、ガラスクロス又は不織布であるならば、用途に応じて種々の性能を発揮するプリント配線板を製造することができる。
(1)本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有するものであるため、高速伝送を実現するプリント配線板に用いるに十分な低誘電率を有し、温度変動の激しい環境下においても高い耐熱衝撃性を発揮できるほど線熱膨張係数αが低く、さらにプリント配線板の薄型化、小型化に対応できる機械的性能を具現するように弾性率Eが高く、これら一連の性能について優れた性能を付与されたガラス繊維を得ることができる。
(2)本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維用組成物よりなるものであるため、細番手のガラス繊維を製造する際であっても、失透結晶物の生成による糸切れ、未清澄などに起因するホローファイバーの混入を防ぎ、ガラス繊維製造時の繊維径のバラツキを抑制し、高い安定性のある外形寸法を有し、優れた機能を付与されたガラス繊維を得ることができる。
(3)本発明のガラス製シート状物は、本発明のガラス繊維よりなり、ガラスクロス、ガラスペーパー又は不織布として加工されるものであるため、電子機器の小型化、薄肉化に対応する細番手のガラス繊維を高い品位で成形したものであり、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル電子機器から車載用までの様々な用途のプリント配線板として好適な部材である。
以下に本発明のガラス繊維用ガラス組成物、ガラス繊維及びガラス製シート状物について、実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明の実施例に係るガラス繊維用組成物の組成と、その評価結果を表1示す。表1に示した酸化物換算表記のガラス組成の各成分の値は、何れも質量%で表したものである。
Figure 2011105554
実施例である試料No.1から試料No.15までの各ガラス試料については、以下に示す手順に従い、各ガラス試料を調整した。
まず、各々表1の各ガラス組成となるように、天然鉱物ガラス原料や化成ガラス原料等、複数のガラス原料種を小数点3桁のg単位で所定量秤量する。次いで、これら複数の原料を均質な状態になるように混合したガラス原料混合バッチを準備し、このガラス原料混合バッチを白金ロジウム製の300ccの容積を有する坩堝内に投入した。この原料混合バッチが投入された白金ロジウム製の坩堝を間接加熱電気炉内にて大気雰囲気中にて1650℃、5時間加熱してガラス原料混合バッチを高温下で化学反応させて溶融ガラスとした。この溶融ガラスを均質な状態とするために、加熱溶融の途中で耐熱性撹拌棒を使用して溶融ガラスの撹拌を行った。
こうして均質な状態とした溶融ガラスを所定の耐火性鋳型内に流し出して所定形状に鋳込み成形を行って、徐冷炉内で室温までアニール処理を行い、試験等に使用するガラス成形体を得た。
本発明の実施例の各ガラス組成物についての各種の物理特性等は、以下の手順で計測した。計測の結果は、表1にまとめて示す。
線熱膨張係数の計測は、NISTのSRM−731、SRM−738を線熱膨張係数既知の標準試料として使用し、校正を受けた公知の線熱膨張計測機器により行った。表記した結果は、30℃から380℃の温度範囲について計測された平均線熱膨張係数である。この線熱膨張係数の値が低い程、温度変化が大きい場合であってもガラス繊維の膨張が小さくなり、その結果ガラス繊維が使用されるプリント配線板が電子機器に搭載された場合の温度変動に関わる信頼性を高めることに繋がる。
溶融ガラスの高温粘性を示す103.0dPa・sの温度に相当する紡糸温度Txは、白金球引き上げ法と呼ばれる方法で計測したものである。この計測方法は、予め適正なサイズとなるように破砕した各ガラス試料をアルミナ製坩堝に投入して、再加熱し、融液状態にまで加熱した後に、計測した各粘性値の複数の計測によって得られた粘性曲線の内挿によってそれぞれの値を算出したものである。
また液相温度Tは、溶融ガラス中で結晶が晶出する温度を計測したものである。この計測方法は、まず各ガラス成形体を所定形状に切断して所定粒度に粉砕加工し、微粉砕物を除去して所定範囲の表面積となるように300μmから500μmの範囲の粒度となるように調整した状態で白金製の容器に適切な嵩密度を有する状態に充填して、最高温度を1500℃に設定した間接加熱型の温度勾配炉内に入れて静置し、16時間大気雰囲気中で加熱操作を行った。その後に、白金製容器ごと試験体を取り出し、室温まで放冷後、偏光顕微鏡によって液相温度Tを特定した。表中のΔTXL=T−Tの値については、103.0dPa・sに相当する温度の値から液相温度Tの値を差し引いたものである。ΔTXL=T−Tの値が大きい程、紡糸温度Tの近傍において紡出操作を妨げるような結晶が簡単に析出することがなくなり、安定した紡糸状態が確保できることになる。このΔTXL=T−Tの値を大きくするには、紡糸温度に相当する103.0dPa・sの温度Tを上昇させればよいが、そうするとガラスの溶融に要するエネルギーが大きくなり製造原価の上昇を招くことやブッシング装置等の付帯設備の耐用期間を短縮するという問題を発生させることに繋がる。
周波数1MHzの誘電率ε及び誘電正接tanδの計測については、50mm×50mm×3mmの寸法に加工したガラス試料片の厚さ3mmの両表面について、1200番アルミナ粉末を分散させた研磨液で研磨した板状試料を使用して行なった。この測定値は、ASTM D150−87に準拠し、横河ヒューレットパッカード製4192Aインピーダンスアナライザを使用することによって、室温下にて計測することによって得た。誘電率εと誘電正接tanδが小さい値であるほど、プリント配線板を構成する用途でガラス繊維が用いられた場合にプリント配線板の誘電損失は小さくなる。
弾性率Eの計測は、40mm×20mm×2mmの寸法に加工したガラス試料片の厚さ2mmの両表面について、1200番アルミナ粉末を分散させた研磨液で研磨した板状試料を使用して行なった。この測定値は、日本テクノプラス株式会社製自由共振式弾性率測定装置によって、室温下において計測することによって得た。
本実施例で得られた各ガラス試料について、まとめて示す。本発明の実施例である試料No.1から試料No.15までの試料については、そのガラス組成は酸化物換算の質量%表示でSiOが59.7%から66.1%の範囲にあり、Alが17.5%から22.5%の範囲内、Bが2.5%から5.0%の範囲内、MgOが5.0%から11.5%の範囲内、CaOが0.1%から2.8%の範囲内、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOが8.7%から12.9%の範囲内、SiO+Alが79.9%から86.5%の範囲内、Al+MgOが23.7%から31.4%の範囲内、TiOが0.6%から4.0%の範囲内、ZrOが0%から0.6%の範囲内、LiO+NaO+KOが0.2%から0.5%の範囲内であり、いずれも本願発明の範囲内である。
また表1にそれぞれ示したように、本発明の実施例の30℃から380℃までの温度範囲における平均線膨張係数αは29.4×10−7から38.4×10−7/℃の範囲内にあり、紡糸温度Tに相当する103.0dPa・sの温度が1341℃から1441℃の範囲内にある。さらに本発明の実施例の液相温度Tは、1249℃から1365℃の範囲内であり、ΔTXL=T−Tの値は、74℃から142℃の範囲内にある。さらに誘電率εは5.20から5.75の範囲内である。さらに本発明の実施例の弾性率Eは、85.4GPaから94.7GPaの範囲である。
本発明の実施例の中でも特に特徴的な試料について以下で説明する。
試料No.1のガラス組成物は、Al+MgOが30.9%と32%よりも低く、かつ、B成分が4.8%と多いため、ガラス繊維製造での生産指標となるΔTXL=T−Tが142℃と最も大きな値となっている。SiO+Alが83.8%であり88%以下であるため10dPa・sに相当する紡糸温度Tが1427℃と低く、安定した紡糸を行うのに十分な値である。また、B成分が4.8%と多いことに加え、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOが10.0%、TiOも0.6%と低いため誘電率εが5.20と最も低い値を示している。さらに、弾性率Eも88.4GPaと申し分ない値を示している。このように実施例の試料No.1のガラス組成物は本発明に相応しいものである。そこでこのガラス成形体によってガラス繊維化の評価を実施したところ、失透等に起因する切断などの問題が発生することなく、ガラス繊維中に泡が残存することもなくガラス繊維を紡糸できることが判明した。
試料No.2のガラス組成物は、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOが8.7%と最も少ないものであり、このため線熱膨張係数αが29.4×10−7/℃と最も低い値となっている。試料No.2は、10dPa・sに相当する紡糸温度Tが1427℃、液相温度Tが1333℃であるためガラス繊維製造での生産指標となるΔTXL=T−Tが94℃と生産性に問題ない値である。さらに試料No.2は、誘電率εが5.27と十分低く、弾性率Eも87.5GPaと申し分なく大きい値を示している。この試料No.2に関しても、細番手の平均繊維径5.0μmとなるように200本のノズルで紡糸を行ってガラス繊維化の評価を実施したところ、従来のガラス製造設備に大きな変更を加えることなく安定した繊維径のバラツキもなく、紡出操作を行うことができ、得られたガラス繊維には失透等に起因する切断等の問題が発生することもなくガラス繊維を紡糸できることが判明した。
試料No.8のガラス組成物は、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOが12.9%と最も高く、TiOが4.0%と最も高いものであり、弾性率が94.7GPaと最も大きいものである。SiO+Alが80.1%と最も低いため10dPa・sに相当する紡糸温度Tが1341℃と最も低いものであり、Al+MgOが31.4%と32%以下、Bが2.6%であるためガラス繊維製造での生産指標となるΔTXL=T−Tが79℃と生産性に問題ない大きさである。さらに、誘電率εが5.75と申し分なく低い値を示している。この試料No.8に関しても、平均繊維径5.0μmとなるように200本のノズルで紡糸を行ってガラス繊維化の評価を実施したところ、従来のガラス製造設備に大きな変更を加えることなく安定した紡出操作を行うことができ、得られたガラス繊維には失透等に起因する切断等の問題が発生することなくガラス繊維を紡糸できることが判明した。
次いで、本発明の比較例に係るガラス繊維用組成物の組成と評価結果を表2に示す。表2に示した酸化物換算表記のガラス組成の各成分の値は、実施例と同様に何れも質量%で表したものである。
Figure 2011105554
比較例である試料No.101から試料No.105までの各ガラス試料については、実施例と同様にガラス試料を調整し、評価についても実施例同様に行った。
比較例であるNo.101は、一般にSガラスと呼ばれるガラス組成物であるが、SiO+Alが90%と多いため、溶融ガラスの粘度10dPa・sに相当する紡糸温度Tが1461℃と高くなる。また、このNo.101は、Al+MgOが35.0%であるため、ガラス繊維製造での生産指標となるΔTXL=T−Tが17℃とガラス繊維を安定して連続生産できるものではなかった。すなわち、このガラス成形体を使用し、ガラス繊維化の評価を実施したところ、ブッシングノズルに失透による詰りが発生し、切断が多発して連続的にガラス繊維を紡糸し続けることができなかった。また紡糸温度Tが1461℃と高いためブッシングの温度管理が難しく、各ノズルの温度が異なった状態となり、溶融ガラスが異なった粘度となり、繊維径のそろったガラス繊維を紡糸できなかった。
また、比較例であるNo.102は、一般にRガラスと呼ばれるガラス組成物であるが、CaOが9%と高いため誘電率εが6.07と大きく、本発明の課題を解決することはできない。
比較例のNo.103は、ZrOが1.8%と高いため、10dPa・sに相当する紡糸温度Tに比較して液相温度Tが高く、ガラス繊維製造での生産指標となるΔTXL=T−Tが33℃と低いため、製造での問題が懸念されるものである。そして、このガラス成形体によってガラス繊維化の評価を実施したところ、ブッシングに失透による詰りが発生し、連続的にガラス繊維を紡糸し続けることができなかった。
比較例のNo.104は、一般にEガラスと呼ばれるガラス組成物であるが、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOが25%と高いため、線熱膨張係数αが60×10−7/℃と大きく、また、誘電率εも6.90と高いため、本発明の課題を解決することはできない。
比較例のNo.105は、一般にDガラスと呼ばれるガラス組成物であるが、Al+MgOが1.5%と少ないため、弾性率Eが60GPaと小さ過ぎる。また、SiOが75.0%と高く、プリント配線板の穴あけ加工時のドリルの磨耗が大きくなる懸念がある。さらに、Bが20.0%と高く、LiO+NaO+KOが3.5%と高く、プリント配線板回路の電気的信頼性が低くなる懸念があるため、本発明の課題を解決することはできない。
以上に示したように、本願発明の実施例と比較例とから、本願発明の実施例は、本願発明の課題に対応でき、低い誘電率ε、低い線膨張係数α、さらに高い弾性率Eを実現し、しかもガラス繊維を製造する際に問題となるガラス繊維径のバラツキや失透による切断、そしてホローファイバーの混入などの諸問題を全て解決できるものであることが明瞭となった。
実施例1に記載の試料No.1及び試料No.2については、さらにDM法(ダイレクトメルト法)によってガラス長繊維の紡糸を試験紡糸設備で実施した。実施例1での原料調整方法と同様に各ガラス原料の秤量を行い所定の組成となるようにしたものを用い、高温に保持したガラス溶融炉内の溶融槽内へスクリュー投入機を用いて投入した。そしてこの原料を加熱し溶融を行い、均質化の後にブッシングノズルが200本付設されたブッシング装置を用いて、繊維径4.5μmのガラスフィラメントを連続生産で紡糸した。紡糸では、失透結晶の析出もなく、そのためガラス繊維の切断もなく円滑な製造を行えた。
ブッシングノズルから引き出されたガラスフィラメントの表面には、予め準備した澱粉を主成分とする集束剤をアプリケータで均等に塗布して集束してガラスストランドとし、ブッシングノズル直下に配置したコレット上に装着された紙管に巻き取り、ケーキ(ガラス繊維回巻体)を得た。次いで、ガラスヤーン集束剤の塗布された直径4.5μmのガラスフィラメント100本(4.1tex)を集束したストランドを紙管に巻き取りケーキとした後、ケーキからストランドを解舒して、Z方向に1回/インチの撚り(以後1Zと表記する。)を付与しつつ撚糸を行い、ガラスヤーンを作製し、ガラスヤーンボビンに巻き取ってガラスヤーン回巻体を形成した。ガラス繊維に対する集束剤の付着量は1.80%であった。すなわちこのガラス繊維について、ガラス組成物の含有率は、固形分換算の質量百分率表示で、98.20%であった。また、こうして得られたプリント配線板用として最適な品位を有するガラスヤーンは、従来よりもホローファイバーの発生率が極めて少なく、安定した繊維径の品位のものが得られた。
さらに、このガラスヤーンを用いてワーパーで整経して、2次サイズを行ない経糸とし、同ガラスヤーンを緯糸として高速エアージェット織機で平織りしてガラスクロスを製繊した。こうして得られたガラスクロスは、厚さの薄い均質な品位を有し、高密度実装を行うプリント配線板用途として好適な性能を有するものであった。

Claims (10)

  1. 酸化物換算の質量百分率表示でSiO 55〜70%、Al 15〜25%、MgO 3〜13%、CaO 0〜3%、B 0.5〜6%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 5〜15%、SiO+Al 78〜88%、Al+MgO 23〜32%、TiO 0.1〜5%、ZrO 0〜1%、LiO+NaO+KO 0〜1%を含有することを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  2. 溶融ガラスの粘性が103.0dPa・sに相当する紡糸温度Txが1450℃以下であることを特徴とする請求項1に記戴のガラス繊維用組成物。
  3. 溶融ガラスの粘性が103.0dPa・sに相当する紡糸温度Tと液相温度Tとの温度差ΔTXL=T−Tが70℃以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記戴のガラス繊維用組成物。
  4. 線熱膨張係数αが40×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガラス繊維用組成物。
  5. 周波数1MHzにおける誘電率εが5.8以下であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガラス繊維用組成物。
  6. 弾性率Eが85GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のガラス繊維用組成物。
  7. 請求項1から請求項6の何れかに記載のガラス繊維用組成物よりなることを特徴とするガラス繊維。
  8. 固形分換算の質量百分率表示で96.5%以上99.99%以下がガラス組成物であり、残分が有機物であることを特徴とする請求項7に記載のガラス繊維。
  9. 請求項7または請求項8に記載のガラス繊維よりなり、ガラスクロス又は不織布として加工されてなることを特徴とするガラス製シート状物。
  10. 有機樹脂材と複合化されて有機樹脂複合材を形成する用途で用いられることを特徴とする請求項9に記載のガラス製シート状物。
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