JP5316383B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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Description
この発明は、第1動力源により駆動される第1オイルポンプと、第2動力源により駆動される第2オイルポンプとを有する油圧制御装置に関するものである。
第1動力源により駆動される第1オイルポンプと、第2動力源により駆動される第2オイルポンプとを有する油圧制御装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された自動変速機の油圧制御装置はエンジン自動停止およびエンジン始動制御をおこなう車両に搭載されている。この特許文献1に記載された油圧制御装置は、エンジンにより駆動される機械式油圧ポンプと、機械式油圧ポンプから供給される油圧を調圧し、かつ自動変速機の摩擦係合要素および発進クラッチへの油圧の供給を切り替える油圧制御ユニットと、エンジンの自動停止時に駆動されて前記発進クラッチに油圧を供給する電動式油圧ポンプと、油圧制御ユニットと発進クラッチとの間に設けられたフェールセーフ油圧回路とを備えている。このフェールセーフ油圧回路は、油圧制御ユニットから発進クラッチへの油圧の供給および遮断をおこなう電磁開閉弁と、この電磁開閉弁が閉じた状態で油圧制御ユニットからの油圧を電磁開閉弁を迂回して発進クラッチに供給する第1逆止弁とを備えている。この電磁開閉弁と第1逆止弁とは並列に設けられており、電磁開閉弁および第1逆止弁から発進クラッチに至る経路に、前記電動式油圧ポンプから吐出された作動油が供給される油路が接続されている。そして、その油路に、電動式油圧ポンプから吐出された作動油が逆流することを防止する第2逆止弁が設けられている。
そして、エンジンが運転されて機械式油圧ポンプが駆動され、吐出された作動油が油圧制御ユニットを経由して発進クラッチに供給され、発進クラッチが係合される。これに対して、アイドルストップ時のように、エンジンが停止すると機械式油圧ポンプも停止する。そこで、エンジン再始動時の変速ショックを抑えるために、電動式油圧ポンプを駆動して発進クラッチへ油圧を供給する。このとき、電磁開閉弁を閉状態にすることにより、電動式油圧ポンプから発進クラッチに供給される作動油が、油圧制御ユニット側に漏れることを防止できる。このように、最低限必要である発進クラッチのみに油圧を供給することで、電動式油圧ポンプとして小型なものを使用可能であるとされている。なお、複数のオイルポンプを備えた油圧制御装置の一例は、特許文献2、3にも記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された油圧制御装置において、電動式油圧ポンプから吐出された作動油が複数のオイル必要部に供給されるように構成されていることを想定すると、複数のオイル必要部の必要油圧に応じた吐出流量を同時に電動式油圧ポンプから吐出しなければならず、電動式油圧ポンプの容量が増加する問題があった。
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、第1オイルポンプが停止しており、第2オイルポンプから吐出されたオイルを複数のオイル供給先に供給する際に、第2オイルポンプにおけるオイルの吐出流量が増加することを抑制することの可能な油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、第1動力源の動力により駆動されてオイルを吐出する第1オイルポンプと、第2動力源の動力により駆動されてオイルを吐出する第2オイルポンプと、前記第1オイルポンプから吐出されたオイルまたは前記第2オイルポンプから吐出されたオイルのいずれかが選択的に供給されるオイル使用部とを有する油圧制御装置において、前記第1動力源の動力が伝達される動力伝達経路に設けられ、かつ、トルク容量を変更可能なクラッチと、前記第1動力源の動力が伝達される動力伝達経路に設けられ、かつ、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機と、前記クラッチのトルク容量を制御する第1油圧室と、前記変速機の変速比またはトルク容量を制御する第2油圧室とを備え、前記オイル使用部には前記第1油圧室および前記第2油圧室が含まれており、前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプが駆動されているときに、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満では前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第1油圧室に供給し、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へはオイルを供給しないとともに、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上では前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給する切替機構を備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1油圧室の油圧が前記第1目標油圧以上であるということは、前記第1油圧室と前記第2油圧室との差が所定圧以上であることを前提とするものであることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記第2オイルポンプと前記第1油圧室とを接続する第1油路と、前記第2油圧室に接続された第2油路とが設けられており、前記切替機構は、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満では前記第1油路と前記第2油路とを遮断する一方、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上では前記第1油路と前記第2油路とを接続して、前記第2オイルポンプから前記第1油路に吐出されたオイルを前記第2油路に排出するリリーフ弁を含むことを特徴とする油圧制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が第2目標油圧未満であるか否かを判断する判断手段と、前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が第2目標油圧未満である際に、前記第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を増加する流量増加手段と、前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が目標油圧以上である際に、前記第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を減少させる流量減少手段とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項1の発明によれば、第1オイルポンプが停止され、かつ、第2オイルポンプが駆動されているときに、第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満である場合は、第2オイルポンプから吐出されたオイルが第1油圧室に供給され、かつ、第2オイルポンプから吐出されたオイルは第2油圧室には供給されない。これに対して、第1オイルポンプが停止され、かつ、第2オイルポンプが駆動されているときに、第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上である場合は、第2オイルポンプから吐出されたオイルを第2油圧室へ供給することができる。このように、第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満である場合は、第2オイルポンプから吐出されたオイルが第1油圧室に供給され、第2油圧室には供給されないため、第2オイルポンプの吐出流量を相対的に少なくすることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる。請求項3の発明によれば、請求項1また2の発明と同様の効果を得られる他に、第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満では、リリーフ弁により第1油路と第2油路とが遮断されて、第2オイルポンプから吐出されたオイルは第2油圧室には供給されない。これに対して、第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上では、リリーフ弁により第1油路と第2油路とが接続されて、第2オイルポンプから吐出されたオイルが第2油路を経由して第2油圧室に供給される。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを第2油圧室へ供給するときに、第2油圧室の油圧が第2目標油圧未満である場合は、第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を増加する。これに対して、第1オイルポンプが停止され、かつ、第2オイルポンプから吐出されたオイルを第2油圧室へ供給するときに、第2油圧室の油圧が目標油圧以上である場合は、第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を減少させる。したがって、第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を減少させやすくなる。
この発明においては、第1油圧室の油圧によりクラッチのトルク容量が制御されるように構成されている。この発明におけるクラッチには、回転要素同士の間における動力の伝達または遮断を切り替える機構の他に、回転要素の回転または停止を制御するブレーキが含まれる。この発明における変速機には、入力回転数と出力回転数との間の変速比を無段階(連続的)に変更可能な無段変速機と、入力回転数と出力回転数との間の変速比を段階的(不連続)に変更可能な有段変速機が含まれる。前記無段変速機にはベルト型無段変速機、トロイダル型無段変速機が含まれる。また、有段変速機には遊星歯車式変速機、選択歯車式変速機などが含まれる。さらに、この発明において、第1動力源および第2の動力源は動力の発生原理が異なる。この発明における切替機構には、油路同士の接続および遮断を制御するバルブが含まれる。この発明における油路はオイルの通路であり、この油路には、開口部、バルブのポート、ケーシングに形成した穴などが含まれる。
この発明の油圧制御装置を備えた車両の構成を、図1および図2に基づいて説明する。図2に示された車両においては、駆動輪(図示せず)に動力を伝達する動力源としてエンジン2が設けられている。このエンジン2は燃料を燃焼させた時に発生する熱エネルギを運動エネルギに変換して出力する動力装置である。このエンジン2としては内燃機関、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。また、駆動輪に伝達する動力を発生する動力源として電動モータを用いた車両でもよい。さらには、動力源としてエンジンおよび電動モータを有する車両であってもよい。
この実施例では、動力源としてエンジン2を単独で用いているものとして説明する。前記エンジン2から駆動輪に至る動力伝達経路には、前後進切換装置3および無段変速機4が設けられている。この前後進切換装置3および無段変速機4は、ケーシング(図示せず)の内部に設けられている。前後進切換装置3は、トルクを伝達する入力部材5および出力部材6が同軸上に配置されている。そして、エンジントルクが流体伝動装置(図示せず)を経由して入力部材5に伝達されるとともに、その入力部材5に回転方向に対して、出力部材6の回転方向を正逆に切り換えることができるように構成されている。この実施例においては、遊星歯車機構式の前後進切換装置3が用いられている。具体的に説明すると、前後進切換装置3はダブルピニオン型の遊星歯車機構を備えている。
この遊星歯車機構は、同軸上に配置されたサンギヤ7およびリングギヤ8と、サンギヤ7に噛合された第1ピニオンギヤ9と、第1ピニオンギヤ9およびリングギヤ8に噛合された第2ピニオンギヤ10と、第1ピニオンギヤ9および第2ピニオンギヤ10を自転かつ公転可能に支持したキャリヤ11とを有している。また、前後進切換装置3は、サンギヤ7とキャリヤ11とを接続または解放するクラッチC1と、リングギヤ8を固定または解放するブレーキBRとを備えている。そして、クラッチC1が係合され、かつ、ブレーキBRが解放されると、サンギヤ7とキャリヤ11とが一体回転し、入力部材5の回転方向と出力部材6の回転方向とが同じになる。これに対して、ブレーキBRが係合され、かつ、クラッチC1が解放されると、リングギヤ8が反力要素となり、入力部材5が正回転し、出力部材6が逆回転する。この実施例においては、クラッチC1の係合および解放を制御する油圧室12が設けられているとともに、ブレーキBRの係合および解放を制御する油圧室が設けられている。
前記無段変速機4にはベルト型無段変速機およびトロイダル型無段変速機が含まれる。ここでは、ベルト型無段変速機が用いられているものとして説明し、便宜上、「ベルト型無段変速機4」と記す。このベルト型無段変速機4はプライマリプーリ13およびセカンダリプーリ14を有しており、そのプライマリプーリ13およびセカンダリプーリ14に環状のベルト15が巻き掛けられている。このプライマリプーリ13が前記出力部材6と一体回転するように連結されている。また、プライマリプーリ13は、軸線に沿った方向に移動可能な可動片と、軸線に沿った方向には移動しない固定片とを有している。また、プライマリプーリ13の可動片に与える推力を調整することにより、プライマリプーリ13におけるベルト15の巻き掛け半径を制御する油圧室16が設けられている。
さらに、セカンダリプーリ14は、軸線に沿った方向に移動可能な可動片と、軸線に沿った方向には移動しない固定片とを有している。また、セカンダリプーリ14の可動片に与える推力を調整することにより、セカンダリプーリ14からベルト15に加えられる挟圧力を制御する油圧室17が設けられている。そして、油圧室16のオイル量を制御することにより、ベルト型無段変速機4の変速比が制御される。これに対して、油圧室17の油圧を制御することにより、ベルト型無段変速機4の伝達トルクが制御される。前記油圧室12,16,17にオイルを供給する油圧制御装置18が設けられている。この油圧制御装置18は、ケーシング(図示せず)の下方に設けられている。以下、油圧制御装置18の具体例を順次説明する。
(第1具体例)
上記の油圧制御装置18の第1具体例を図1に基づいて説明する。前記エンジン2の動力により駆動されてオイルパン19からオイルを吸入し、吸入したオイルを油路20へ吐出するオイルポンプ(機械式オイルポンプ)21が設けられている。このオイルポンプ21から油路20へ吐出されたオイルは、オイル必要部22へ供給されるとともに、油圧室12,17にも供給されるように構成されている。このオイル必要部22には、潤滑系統および流体伝動装置などが含まれる。この潤滑系統には、前後進切換装置3を構成する遊星歯車機構の歯車同士の噛み合い部分、入力部材5および出力部材6を支持する軸受などが含まれる。また、流体伝動装置は前記エンジンから入力部材5に至る動力伝達経路の一部を構成する装置であり、作動油の運動エネルギにより動力伝達をおこなうように構成されている。
上記の油圧制御装置18の第1具体例を図1に基づいて説明する。前記エンジン2の動力により駆動されてオイルパン19からオイルを吸入し、吸入したオイルを油路20へ吐出するオイルポンプ(機械式オイルポンプ)21が設けられている。このオイルポンプ21から油路20へ吐出されたオイルは、オイル必要部22へ供給されるとともに、油圧室12,17にも供給されるように構成されている。このオイル必要部22には、潤滑系統および流体伝動装置などが含まれる。この潤滑系統には、前後進切換装置3を構成する遊星歯車機構の歯車同士の噛み合い部分、入力部材5および出力部材6を支持する軸受などが含まれる。また、流体伝動装置は前記エンジンから入力部材5に至る動力伝達経路の一部を構成する装置であり、作動油の運動エネルギにより動力伝達をおこなうように構成されている。
前記油路20と油圧室12との間にはチェック弁(逆止弁)23およびクラッチコントロールバルブ24が設けられている。このクラッチコントロールバルブ24は、入力ポート25および出力ポート26ならびにドレーンポート27を有している。このクラッチコントロールバルブ24は、入力ポート25と出力ポート26とを接続または遮断することができるとともに、出力ポート26とドレーンポート27とを接続また遮断することができるように構成されている。
そして、出力ポート26が油路28を介在させて油圧室12に接続されている。また、ドレーンポート27はオイルパン19に接続されている。さらに、入力ポート25には油路29が接続されており、その油路29と前記油路20との間にチェック弁23が設けられている。このチェック弁23は、油路20と油路29との圧力差により開閉されるバルブであり、オイルポンプ21から油路20に吐出されたオイルが油路29に供給されることを許容(開く)し、油路29のオイルが油路20に向けて流れることを阻止する(閉じる)ように構成されている。
一方、油路20と油圧室17との間にはチェック弁(逆止弁)30およびシーブコントロールバルブ31が設けられている。シーブコントロールバルブ31は、入力ポート32および出力ポート33ならびにドレーンポート34を有している。このシーブコントロールバルブ31は、入力ポート32と出力ポート33とを接続または遮断することができるとともに、出力ポート33とドレーンポート34とを接続また遮断することができるように構成されている。
そして、出力ポート33が油路35を介在させて油圧室17に接続されている。また、ドレーンポート34はオイルパン19に接続されている。さらに、入力ポート32には油路36が接続されており、その油路36と前記油路20との間にチェック弁30が設けられている。このチェック弁30は、油路20と油路36との圧力差により開閉されるバルブであり、オイルポンプ21から油路20に吐出されたオイルが油路36に供給されることを許容(開く)し、油路36のオイルが油路20に向けて流れることを阻止する(閉じる)ように構成されている。
前記エンジン2とは動力の発生原理が異なる電動モータ37が設けられている。この電動モータ37は電気エネルギを運動エネルギに変換する動力源である。この電動モータ37により駆動されてオイルパン19のオイルを吸入し、吸入されたオイルを油路38へ吐出する電動オイルポンプ39が設けられている。また、油路38と油路28との間にはチェック弁40が設けられている。このチェック弁40は、油路38と油圧室12との差圧により開閉されるバルブであり、油路38のオイルが油路28に供給されることを許容(開く)し、油路28のオイルが油路38に向けて流れることを阻止する(閉じる)ように構成されている。また電動オイルポンプ39から油路38に吐出されたオイルを、選択的に油圧室17に供給する経路が設けられており、その経路にはリリーフ弁41が設けられている。このリリーフ弁41は、入力ポート42およびドレーンポート43ならびにフィードバックポート44を有しているとともに、バネ45により押圧されるスプール46を備えている。なお、フィードバックポート44の油圧はスプール46に作用し、バネ45とは逆向きの力をスプール46に与える。そして、入力ポート42が油路38に接続され、ドレーンポート43が油路35を介して油圧室17に接続され、フィードバックポート44が油路38に接続されている。
一方、エンジン2および前後進切換装置3およびベルト型無段変速機4を制御する電子制御装置53が設けられており、この電子制御装置53には、エンジン回転数、ベルト型無段変速機4の入力回転数および出力回転数、車速、アクセルペダルの踏み込み量、ブレーキペダルの踏み込み量、シフトポジション、油圧制御装置18内におけるオイルの温度(油温)などを検知するセンサの信号が入力される。そして、電子制御装置53に入力される信号に基づいて、エンジン出力が制御され、かつ、ベルト型無段変速機4の変速比および伝達トルクが制御され、さらには、前後進切換装置3のクラッチC1の係合および解放が制御され、ブレーキBRの係合および解放が制御され、さらには、電動オイルポンプ39の吐出流量が制御される。
つぎに、図1に示された油圧制御装置18の制御および作用を説明する。まず、エンジン2の動力によりオイルポンプ21が駆動されると、そのオイルポンプ21から吐出されたオイルが油路20に供給される。また、車両を走行させるシフトポジションとしてドライブ(D)ポジションが選択されると、クラッチコントロールバルブ24が制御されて、入力ポート25と出力ポート26が接続されるとともに、ドレーンポート27と出力ポート26とが遮断される。そして、油路20の油圧と油路29との差圧によりチェック弁23が開放されると、油路20のオイルがクラッチコントロールバルブ24および油路28を経由して油圧室12に供給される。このようにして、油圧室12の油圧が上昇し、クラッチC1が係合される。なお、ドライブポジションが選択された場合は、ブレーキBRの係合または解放を制御する油圧室の油圧が低下し、ブレーキBRが解放される。このようにして、クラッチC1が係合され、かつ、ブレーキBRが解放されると、エンジントルクが前後進切換装置3を経由して、ベルト型無段変速機4のプライマリプーリ13に伝達される。
また、ドライブポジションが選択されているときに、前記電子制御装置53において、ベルト型無段変速機4の目標変速比が求められ、ベルト型無段変速機4の変速比を目標変速比に近づける制御がおこなわれる。例えば、ベルト型無段変速機4の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう場合は、油圧室16のオイル量が減少され、プライマリプーリ13におけるベルト15の巻き掛け半径が相対的に小さくなる。これに対して、ベルト型無段変速機4の変速比を相対的に小さくする変速をおこなう場合は、油圧室16のオイル量が増加され、プライマリプーリ13におけるベルト15の巻き掛け半径が相対的に大きくなる。また、ベルト型無段変速機4の変速比を一定に維持する場合は、油圧室16のオイル量が一定に維持される。
一方、エンジン2からベルト型無段変速機4に入力されるトルクに基づいて、ベルト型無段変速機4の目標トルク容量が求められ、その目標トルク容量に基づいて、シーブコントロールバルブ31が制御される。例えば、ベルト型無段変速機4のトルク容量を増加する場合は、入力ポート32と出力ポート33が接続されるとともに、ドレーンポート34と出力ポート33とが遮断される。そして、油路20の油圧と油路36の油圧との差によりチェック弁30が開放されると、油路20のオイルがシーブコントロールバルブ31および油路35を経由して油圧室17に供給され、油圧室17の油圧が上昇する。このようにして、セカンダリプーリ14からベルト15に加えられる挟圧力が高められ、ベルト型無段変速機4のトルク容量が増加する。
これに対して、エンジン2からベルト型無段変速機4に入力されるトルクが低下する場合は、入力ポート32と出力ポート33が遮断されるとともに、ドレーンポート34と出力ポート33とが接続される。すると、油圧室17のオイルが油路35およびシーブコントロールバルブ31を経由してオイルパンに排出される。このようにして、セカンダリプーリ14からベルト15に加えられる挟圧力が低下し、ベルト型無段変速機4のトルク容量が低下する。
さらに、エンジン2から前後進切換装置3に入力されるトルクが一定であり、かつベルト型無段変速機4に入力されるトルクが一定である場合について説明する。このような場合は、シーブコントロールバルブ31が制御されて、出力ポート33が閉じられる。また、電動オイルポンプ39が停止されているため、油路38の油圧が相対的に低く、フィードバックポート44の油圧によりスプール46に加えられる力は、バネ45からスプール46に加えられる力よりも弱い。したがって、リリーフ弁41では入力ポート42とドレーンポート43とが遮断されており、油圧室17のオイルが油路38に排出されることを防止でき、油圧室17の油圧が一定に維持される。
さらに、クラッチコントロールバルブ24が制御されて出力ポート26が閉じられているとともに、電動オイルポンプ39が停止されているため、油路28の油圧よりも油路38の油圧の方が低く、チェック弁40が閉じられる。したがって、油圧室12のオイルが油路38へ排出されることを防止でき、クラッチC1のトルク容量を一定に制御することができる。上記のようにして、ベルト型無段変速機4の変速比およびトルク容量が制御され、エンジンから前後進切換装置3を経由してベルト型無段変速機4に伝達されたトルクが駆動輪に伝達されて駆動力が発生する。
これに対して、ニュートラル(N)ポジションまたはパーキング(P)ポジションが選択されると、クラッチコントロールバルブ24が制御されて、入力ポート25と出力ポート26とが遮断されるとともに、ドレーンポート27と出力ポート26とが接続される。すると、油圧室12の油圧が油路28およびクラッチコントロールバルブ24を経由してオイルパン19にドレーンされ、クラッチC1が解放される。また、ニュートラル(N)ポジションまたはパーキング(P)ポジションが選択されると、シーブコントロールバルブ31が制御されてドレーンポート34と出力ポート33とが接続され、かつ、入力ポート32が閉じられる。このため、油圧室17のオイルが油路35およびシーブコントロールバルブ31を経由してオイルパン19にドレーンされ、ベルト型無段変速機4のトルク容量が低下する。
ところで、ドライブポジションが選択されている場合であっても、車両が停止し、かつ、アクセルペダルが戻され、さらにブレーキペダルが踏み込まれた場合に、エンジン2を停止する制御、つまり、エコラン制御をおこなうことが可能である。このエコラン制御は、車両が信号待ち、渋滞などで一時的に停止しているときに実行されて、燃料消費量を相対的に少なくする目的で実行される。このエコラン制御が実行されると、エンジン2が停止されるため、オイルポンプ21からはオイルが吐出されなくなる。
このエコラン制御を実行中に、ブレーキペダルが戻され、かつ、アクセルペダルが踏み込まれると、エンジン2が始動してオイルポンプ21が駆動され、そのオイルポンプ21から吐出されたオイルが、前記と同様の作用により油圧室12および油圧室17に供給される。このように、エコラン制御によりエンジン2が停止されている場合は、エンジン2が停止されてから始動されるまでの時間が相対的に短い。このため、エコラン制御によりエンジン2を停止している間、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択されている場合と同じように、油圧室12から完全にオイルを排出し、かつ、油圧室17から完全にオイルを排出すると、エンジン2が始動されてから、油圧室12の油圧が必要油圧(目標油圧)に到達するまでの待機時間、および油圧室17の油圧が必要油圧(目標油圧)に到達するまでの待機時間が相対的に長くなり、運転者が違和感を持つ。特に、油圧室17の油圧が低下していると、車両の発進時における駆動力不足を招くおそれがある。
そこで、この実施例においては、エコラン制御によりエンジン2が停止している間、油圧室12,17からオイルを完全に排出せずに、電動オイルポンプ39を駆動して、その電動オイルポンプ39から吐出されたオイルを油圧室12,17に供給することにより、油圧室12,17の油圧を必要油圧に保持することができる。以下、エコラン制御によりエンジン2が停止しているときに、電動オイルポンプ39を駆動して油圧室12,17にオイルを供給する作用および制御を説明する。
まず、車両が停止し、かつ、エンジン2が停止しているときには、クラッチコントロールバルブ24の出力ポート26が閉じられるとともに、シーブコントロールバルブ31の出力ポート33が閉じられる。また、電動モータ37の動力により電動オイルポンプ39が駆動されるとともに、その電動オイルポンプ39からオイルが油路38へ吐出される。油路38の油圧が油路28の油圧を超えるとチェック弁40が開放されて、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油路28を経由して油圧室12に供給される。
上記のようにして、油圧室12の油圧が上昇するが、油圧室12の油圧が所定値未満である場合は、リリーフ弁の入力ポート42とドレーンポート43とが遮断されている。そして、油圧室12の油圧がさらに上昇して所定値以上になると、リリーフ弁41のスプール46が移動して入力ポート42とドレーンポート43とが接続される。前記リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが遮断されている場合は、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルは油圧室17には供給されない。これに対して、リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが接続されると、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが、油路35を経由して油圧室17に供給される。なお、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給されているとき、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルは油圧室12にも供給されている。
ここで、リリーフ弁41のスプール46が移動して入力ポート42とドレーンポート43とが遮断または接続される基準となる所定値について説明する。リリーフ弁41は、バネ45の力とフィードバックポート44の油圧に対応する力とがスプール46に加わるように構成されている。そして、リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが遮断されているときに、油路38の油圧が所定値以上になった場合に、スプール46が移動してリリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが接続されるように、バネ45のバネ定数が決定されている。また、前記の所定値は、油圧室12の必要油圧(目標油圧)に基づいて定めたものである。
ここで、油圧室12,17の必要油圧(目標油圧)と、入力トルクとの関係を図3のマップに基づいて説明する。前記入力トルクとは、エンジン2からクラッチC1に入力されるトルク、エンジン2からベルト型無段変速機4に入力されるトルクを意味する。入力トルクに対する油圧室12の必要油圧Pcs が実線で示され、入力トルクに対する油圧室17の必要油圧Psvsが破線で示されている。ここで、油圧室12の必要油圧Pcs とは、ある入力トルクに対して、クラッチC1の滑りを回避できる油圧の下限値である。また、油圧室17の必要油圧Pcs とは、ある入力トルクに対して、ベルト15の滑りを回避できる油圧の下限値である。図3のマップから分かるように、入力トルクの増加にともない2つの必要油圧が共に増加する特性である。また、入力トルクTq以下では油圧室12の必要油圧Pcs の方が、油圧室17の必要油圧Psvsよりも高い。
これに対して、入力トルクTqを超えると、油圧室17の必要油圧Psvsの方が、油圧室12の必要油圧Pcs よりも高い。そして、この実施例においては、エンジン2の停止中に、入力トルクTq未満に予め定められた必要油圧Pcs を油圧室12で確保することができるように、バネ45のバネ定数が決定されている。この必要油圧Pcs が前記所定値に相当し、この実施例では、必要油圧Pcs を「クラッキング圧力」と呼ぶ。
さらに、エンジン2が停止し、かつ、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルを油圧室12,17に供給する際に、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopが、例えば次式となるように、電動モータ37の出力が制御される。
Qeop=Qc1 +Q α
ここで、Qc1 は、クラッチC1を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量と、油圧室12の油圧を必要油圧Pcs とするためのオイル流量(漏れ流量を含まない)との合計である。また、Q αは、油圧室17を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量、安全率などを考慮して求められる。
Qeop=Qc1 +Q α
ここで、Qc1 は、クラッチC1を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量と、油圧室12の油圧を必要油圧Pcs とするためのオイル流量(漏れ流量を含まない)との合計である。また、Q αは、油圧室17を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量、安全率などを考慮して求められる。
また、油圧室17を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量は、オイルの密度ρ、重力加速度g、油圧室17のオイルの油面の高さHsなどから求められる。油圧室17の油面の高さHsとは、オイルの漏れ流量を求めるにあたり、シーブコントロールバルブ31から油圧室17の油面までの高さHsと、重力加速度gとを考慮する技術的意味を説明する。前記シーブコントロールバルブ31は油圧室17よりも低い位置に設けられており、シーブコントロールバルブ31におけるオイルの漏れ量は、高さ方向で油圧室17とシーブコントロールバルブ31と間に存在するオイルの位置エネルギに依存するからである。さらに、前記安全率は、油温、シーブコントロールバルブ31の寸法のばらつきなどから決定された固定値であり、ベルト15の滑りを回避する目的で考慮される。
なお、Q αは、油圧室17を含む油圧回路におけるオイルの漏れ流量と、油圧室12の油圧を必要油圧Pcs とするためのオイル流量との合計よりも少ない。つまり、基本的には、エンジン2が停止し、かつ、ドレーンポート26,33が閉じられた状態で、油圧室12,17から漏れるオイルの流量を、電動オイルポンプ39から吐出されるオイルにより補うことにより、油圧室12,17の油圧が低下することを抑制することにある。
このように、第1具体例においては、エコラン制御によりエンジン2が停止しているときに、電動オイルポンプ39を駆動して、その電動オイルポンプ39から吐出されたオイルを油圧室12に供給することにより、油圧室12の油圧を目標油圧に保持することができる。したがって、エンジン2が始動されてエンジントルクが前後進切換装置3に伝達されたときに、クラッチC1が滑ることを回避できる。また、車両が停止し、かつ、エンジン2が停止しているときに、油路38からリリーフ弁41を経由して油路35にドレーンされたオイルを、油圧室17に供給することができる。したがって、油圧室17からのオイル漏れによるエア侵入を防止できる。さらに、エンジン2が始動されてエンジントルクがベルト型無段変速機4に伝達されたときに、ベルト15が滑ることを抑制できる。
さらにまた、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 未満では、リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが遮断されており、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルは油圧室17には供給されない。これに対して、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になると、リリーフ弁41のスプール46が移動して、入力ポート42とドレーンポート43とが接続され、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給される。つまり、電動オイルポンプ39から吐出されたオイル量から、油圧室12を必要油圧Pcs とするために必要な流量、およびオイル漏れを補う流量を差し引いた残りの流量を、油圧室17に供給している。
このため、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを相対的に少なくすることができ、電動オイルポンプ39を小型化することができる。したがって、電動オイルポンプ39の車載性が向上し、かつ、電動モータ37の消費電力増加を抑制できる。さらにまた、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルを油圧室17に供給する経路に、リリーフ弁41を設けているため、「油路38の油圧が過剰に高くなり、電動オイルポンプ39に過負荷が加わるフェール」を回避することができる。
(第2具体例)
つぎに、油圧制御装置18の第2具体例を図4に基づいて説明する。図4において、図1の構成と同じ構成部分について図1と同じ符号を付してある。この第2具体例においては油圧室17の油圧をリニアに検知する油圧センサ47が設けられている。この油圧センサ47の信号が電子制御装置53に入力されるように構成されている。この第2具体例において、第1具体例と同じ構成部分については第1具体例と同様の作用効果を得られる。また、第2具体例においては、リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが接続されて、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給されるときに、油圧室17の油圧に基づいて電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを制御することができる。
つぎに、油圧制御装置18の第2具体例を図4に基づいて説明する。図4において、図1の構成と同じ構成部分について図1と同じ符号を付してある。この第2具体例においては油圧室17の油圧をリニアに検知する油圧センサ47が設けられている。この油圧センサ47の信号が電子制御装置53に入力されるように構成されている。この第2具体例において、第1具体例と同じ構成部分については第1具体例と同様の作用効果を得られる。また、第2具体例においては、リリーフ弁41の入力ポート42とドレーンポート43とが接続されて、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給されるときに、油圧室17の油圧に基づいて電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを制御することができる。
さらに、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給されるときに、油圧室17の油圧に基づいて電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを制御する際の制御例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、油圧センサ47により検知される油圧室17の油圧Psv が、所定値Psv0未満であるか否かが判断される(ステップS1)。この所定値Psv0は、ベルト型無段変速機4に入力されるトルクから求めた値である。具体的には、図3のマップを用いて、ある入力トルクにおける必要油圧Psvsを求める。この必要油圧Psvsを所定値Psv0として処理する。つまり、ステップS1は、油圧室17の油圧Psv が、ベルト型無段変速機4でベルト15の滑りが生じる値か否かを判断しているのである。
このステップS1で肯定的に判断されるということは、ベルト型無段変速機4でベルト15の滑りが生じる可能性がある。そこで、ステップS1で肯定的に判断された場合は、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを増加する制御をおこない(ステップS2)、この制御ルーチンを終了する。このステップS2の制御をおこなうと、電動オイルポンプ39から油圧室17に供給されるオイルの流量が増加して、油圧室17の油圧が上昇する。
これに対して、ステップS1で否定的に判断された場合は、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを減少させるか、電動オイルポンプ39を停止させる制御をおこない(ステップS3)、この制御ルーチンを終了する。このステップS3の制御をおこなうと、油圧室17の油圧が低下する。このように、第2具体例においては、油圧室17の実際の油圧Psv 所定値Psv0未満である場合に、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを増加させ、油圧室17の実際の油圧Psv 所定値Psv0以上である場合は、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopが減少される。
したがって、油温が変化したり、シーブコントロールバルブ31におけるオイル漏れ量、および油圧室17におけるオイル漏れ量が、部品の寸法差によりばらつきが生じたとしても、電動オイルポンプ39から油圧室17に供給するオイル量を、実際のオイルの漏れ量に合わせて制御することができる。このため、電動モータ37の消費電力を更に少なくすることができる。また、リリーフ弁41からドレーンされたオイルを油圧室17に供給し、その油圧室17の油圧を油圧センサ47により検知することができるため、油圧室17の油圧が零Nmを超えていれば、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になっていると推定することもできる。
(第3具体例)
つぎに、油圧制御装置18の第3具体例を図6に基づいて説明する。図6において、図4と同じ構成部分については図4と同じ符号を付してある。この図6においては図4のリリーフ弁41に代えてチェック弁48が設けられている。このチェック弁48は、ポートを有する弁座49と、弁座49に接触または離間するボール(弁体)50と、ボール50を弁座49に押し付ける力を加えるバネ51とを有している。このチェック弁48は、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 未満であるときはボール50が弁座49に押し付けられてポートが閉じられる一方、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になると、油圧でボール50が移動してポートが開放されるように、バネ51のバネ定数が決定されている。
つぎに、油圧制御装置18の第3具体例を図6に基づいて説明する。図6において、図4と同じ構成部分については図4と同じ符号を付してある。この図6においては図4のリリーフ弁41に代えてチェック弁48が設けられている。このチェック弁48は、ポートを有する弁座49と、弁座49に接触または離間するボール(弁体)50と、ボール50を弁座49に押し付ける力を加えるバネ51とを有している。このチェック弁48は、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 未満であるときはボール50が弁座49に押し付けられてポートが閉じられる一方、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になると、油圧でボール50が移動してポートが開放されるように、バネ51のバネ定数が決定されている。
この第3具体例において第2具体例と同じ構成部分については,第2具体例と同じ作用効果を得られる。また、この第3具体例において、エコラン制御によりエンジンが停止し、かつ電動オイルポンプ39が駆動されてオイルが油路38に吐出されているときに、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 未満であるときはボール50が弁座49に押し付けられてポートが閉じられる。つまり、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルは油圧室17には供給されない。これに対して、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になると、油圧でボール50が移動してポートが開放されて、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが、油路35を経由して油圧室17に供給される。つまり、この第3具体例においては、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 未満であるときはボール50が弁座49に押し付けられてポートが閉じられる一方、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になると、油圧でボール50が移動してポートが開放されるように、バネ51のバネ定数が決定されている。
そして、第3具体例において、油圧室12の油圧が必要油圧Pcs 以上になるということは、油圧室12の油圧と油圧室17の油圧との差圧が所定値以上であることを意味する。さらに、リリーフ弁48のポートが開放されて、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが、油路35を経由して油圧室17に供給されているときに、図5のフローチャートを実行して、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを制御することができる。この第3具体例においては、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルを油圧室17に供給する経路にチェック弁48を用いており、このチェック弁48は構造が簡単で安価である。
(第4具体例)
つぎに、油圧制御装置18の第4具体例を図7に基づいて説明する。図7において、図4と同じ構成部分については図4と同じ符号を付してある。この図7においては、図4に示された油圧センサ47に代えて、油圧室17の油圧によりオンまたはオフされる油圧スイッチ57が設けられている。ここでは、油圧スイッチ57が、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0未満ではオフされ、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0以上でオンされるように構成されているものとする。この第4具体例において第2具体例と同じ構成部分については、第2具体例と同じ作用効果を得られる。
つぎに、油圧制御装置18の第4具体例を図7に基づいて説明する。図7において、図4と同じ構成部分については図4と同じ符号を付してある。この図7においては、図4に示された油圧センサ47に代えて、油圧室17の油圧によりオンまたはオフされる油圧スイッチ57が設けられている。ここでは、油圧スイッチ57が、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0未満ではオフされ、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0以上でオンされるように構成されているものとする。この第4具体例において第2具体例と同じ構成部分については、第2具体例と同じ作用効果を得られる。
さらに、電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが油圧室17に供給されているときに、油圧室17の油圧に基づいて電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを制御する際の制御例を、図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、油圧スイッチ52がオフされているか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4で肯定的に判断された場合、つまり、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0未満である場合は、ベルト15の滑りを回避するため、電動オイルポンプ39の吐出流量Qeopを増加する制御をおこない(ステップS2)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS4で否定的に判断された場合、つまり、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0以上である場合は、ベルト15が滑る可能性が少ないため電動オイルポンプ39を停止させ(ステップS5)、この制御ルーチンを終了する。
なお、図7の油圧制御装置18において、油圧スイッチ57として、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0未満ではオンされ、油圧室17の油圧Psv が所定値Psv0以上でオフされるように構成されているものを用いることも可能である。このように構成した場合は、図8の制御ルーチンにおいて、ステップS4で油圧スイッチ57がオンされていると判断されたときにステップS2に進み、ステップS4で油圧スイッチ57がオフされていると判断されたときにステップS5に進むように、図8のルーチンを変更すればよい。
このように、第4具体例においては、油圧室17の油圧を油圧スイッチ57により検知するように構成されており、油圧センサと比べてきめ細かく油圧を検知せずに済み、耐久性が相対的に高く、製造コストの上昇を抑制できる。
ここで、各具体例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、エンジン2が、この発明の第1動力源に相当し、オイルポンプ21が、この発明の第1オイルポンプに相当し、電動モータ37が、この発明の第2動力源に相当し、電動オイルポンプ39が、この発明の第2オイルポンプに相当し、油圧室12,17が、この発明のオイル使用部に相当し、クラッチC1が、この発明のクラッチに相当し、ベルト型無段変速機4が、この発明の変速機に相当し、油圧室12が、この発明の第1油圧室に相当し、油圧室17が、この発明の第2油圧室に相当し、リリーフ弁41,48が、この発明の切替機構に相当し、油路38が、この発明の第1油路に相当し、油路35が、この発明の第2油路に相当し、油圧室12が、この発明の第1油圧室に相当し、油圧室12の油圧がこの発明の「第1油圧室の油圧」に相当し、必要油圧Pcs が、この発明の第1目標油圧に相当し、油圧Psv が、この発明の「第2油圧室の油圧」に相当し、所定値Psv0が、この発明の第2目標油圧に相当する。
また、図4に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS4が、この発明の判断手段に相当し、ステップS2が、この発明の流量増加手段に相当し、ステップS5が、この発明の流量減少手段に相当する。さらに、図5に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS1が、この発明の判断手段に相当し、ステップS2が、この発明の流量増加手段に相当し、ステップS3が、この発明の流量減少手段に相当する。
上記の各具体例においては、オイルポンプ21または電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが、クラッチC1の係合および解放を制御する油圧室12にオイルが供給されるように構成されているが、オイルポンプ21または電動オイルポンプ39から吐出されたオイルが、ブレーキBRの係合および解放を制御する油圧室に供給されるように構成されていてもよい。また、第1動力源はエンジンではなくフライホイールシステム、または油圧モータでもよい。さらに第2オイルポンプは、電動オイルポンプに代えて電磁ポンプを用いることもできる。この電磁ポンプは、電磁コイルへの通電および非通電を交互に繰り返すことによりプランジャを往復させて油室からオイルを吸入し、かつ、その油室からオイルを吐出する構成を備えた公知のものである。
また、上記の具体例においては、切替機構として、油路38の油圧により弁体が移動してポートが開閉される圧力感応型のリリーフバルブが示されているが、切替機構として、ソレノイドバルブを用いることもできる。このソレノイドバルブを用いる場合、油路38の油圧をセンサまたはスイッチにより検知し、その油圧が第1目標油圧以上である場合は、油路38と油圧室17とを接続するポートを開き、その油圧が第1目標油圧未満である場合は、油路38と油圧室7とを接続するポートを閉じるように、ソレノイドバルブに供給する電流値を制御すればよい。
さらにまた、ベルト型無段変速機を例として説明しているが、他の無段変速機、例えば、トロイダル型無段変速機であってもよい。このトロイダル型無段変速機は、入力ディスクおよび出力ディスクと、パワーローラとを有するものであり、パワーローラの傾転角度を制御することにより変速比が制御されるように構成されている。また、入力ディスクおよび出力ディスクの回転軸線に沿った方向に挟圧力を加えることにより伝達トルクを制御する挟圧力発生装置が設けられている。その挟圧力発生装置により発生する挟圧力は、油圧室の油圧により制御されるように構成される。
2…エンジン、 4…ベルト型無段変速機、 12,17…油圧室、 18…油圧制御装置、 21…オイルポンプ、 35,38…油路、 39…第2オイルポンプ、 41,48…リリーフ弁、 C1…クラッチ。
Claims (4)
- 第1動力源の動力により駆動されてオイルを吐出する第1オイルポンプと、第2動力源の動力により駆動されてオイルを吐出する第2オイルポンプと、前記第1オイルポンプから吐出されたオイルまたは前記第2オイルポンプから吐出されたオイルのいずれかが選択的に供給されるオイル使用部とを有する油圧制御装置において、
前記第1動力源の動力が伝達される動力伝達経路に設けられ、かつ、トルク容量を変更可能なクラッチと、前記第1動力源の動力が伝達される動力伝達経路に設けられ、かつ、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機と、前記クラッチのトルク容量を制御する第1油圧室と、前記変速機の変速比またはトルク容量を制御する第2油圧室とを備え、
前記オイル使用部には前記第1油圧室および前記第2油圧室が含まれており、前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプが駆動されているときに、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満では前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第1油圧室に供給し、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へはオイルを供給しないとともに、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上では前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給する切替機構を備えていることを特徴とする油圧制御装置。 - 前記第1油圧室の油圧が前記第1目標油圧以上であるということは、前記第1油圧室と前記第2油圧室との差が所定圧以上であることを前提とするものであることを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
- 前記第2オイルポンプと前記第1油圧室とを接続する第1油路と、前記第2油圧室に接続された第2油路とが設けられており、
前記切替機構は、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧未満では前記第1油路と前記第2油路とを遮断する一方、前記第1油圧室の油圧が第1目標油圧以上では前記第1油路と前記第2油路とを接続して、前記第2オイルポンプから前記第1油路に吐出されたオイルを前記第2油路に排出するリリーフ弁を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。 - 前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が第2目標油圧未満であるか否かを判断する判断手段と、
前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が第2目標油圧未満である際に、前記第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を増加する流量増加手段と、
前記第1オイルポンプが停止され、かつ、前記第2オイルポンプから吐出されたオイルを前記第2油圧室へ供給するときに、前記第2油圧室の油圧が目標油圧以上である際に、前記第2オイルポンプから吐出されるオイルの流量を減少させる流量減少手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油圧制御装置。
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