JP5313982B2 - 米粉製造方法、及び米粉製造システム - Google Patents
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Description
玄米は、この玄米に含まれる澱粉層に損傷を与えることなく、玄米を微粉砕する必要がある。
乾式粉砕では、澱粉層の損傷が高く、粒子も粗く、衛生的にも問題(玄米外皮に土壌菌等が付着)がある。
玄米は、外皮(糠)で被覆されており、玄米内に湯水が浸透し難いからである。
(i)前記原料米を水洗浄する洗浄装置。
(ii)前記洗浄した原料米の表面の余剰の水分を除去又は乾燥して水分を調節する水分調節装置。
(iii)前記水分調節された原料米を粗砕して粗砕米を生成するためのグラインダを備える粗砕装置。
(iv)前記粗砕米の表面および破断面に水を供給する加水装置。
(v)前記粗砕米の内層に浸透させる前記加水した水分を調節するテンパリング装置。
(vi)前記水分率を調整した粗砕米を微粉砕する微粉砕装置。
これにより、玄米(粗砕玄米)を、短時間で飽和水分率(30%前後)にでき、効率良く、米粉(玄米粉)を製造できる。特に、玄米に水分を浸透させる湿式粉砕を採用して、水分率30%前後の粗砕玄米を微粉砕しているので、澱粉層に与える損傷も少ない。玄米を粗砕するので、澱粉層に与える損傷を少なくできる。
第2に、玄米を粗砕する前に、水洗浄するので、玄米に付着する土壌菌、土壌等の汚染物を除去でき、衛生的である(洗浄工程)。
第3に、玄米の水洗浄後、玄米に付着する水分を調節するので、粗砕工程における粗砕玄米の粉化、糊状化を抑制できる(水分調整工程、粗砕工程)。
亀裂が形成された白米は、無理な外力を加えることなく、粗砕できる(粗砕工程)。
水洗浄された白米の水分を調節しつつ、白米表面を乾燥すると、白米表層が糊化するのを防止できる。これにより、白米を粗砕するとき、糊化した米が粗砕装置に付着して、粗砕装置を破損等することを抑制できる。
第2に、白米を粗砕(2〜4分割)すると、白米に破断面を形成でき、単位米粒当りの表面積を増加できる(粗砕工程)。粗砕白米の表面及び破断面に水を加えると、粗砕白米の表面及び破断面に水分が付着する(加水工程)。加水された粗砕白米は、表面及び破断面から水分が浸透され、この状態で熟成して水分を調節することで、粗砕白米を所望の水分率(30%前後)にする(二次テンパリング工程)。
これにより、白米(粗砕白米)を、短時間で飽和水分率(30%前後)にでき、効率良く、米粉(白米粉)を製造できる。特に、白米に水分を浸透させる湿式粉砕を採用して、水分率30%前後の粗砕白米を微粉砕しているので、澱粉層に与える損傷も少ない。白米を粗砕(2〜4分割)するので、澱粉層に与える損傷を少なくできる。
これにより、粗砕米に水を加えると、粗砕米の破断面等から水分が浸透し、短時間で原料米全体に水分を浸透させることが可能となる。
原料米を粗砕するので、澱粉層に与える損傷も少ない。
粗砕、微粉砕する前に、原料米を水洗浄するので、原料米に付着する土壌、土壌菌、埃等を除去でき、衛生的である。
先ず、本発明に係る米粉製造システムの構成について説明して、続いて米粉製造方法について説明する。
図1において、米粉製造システム(X)は、玄米又は白米の原料米から米粉を製造するもので、特に、水を浸透させた原料米を微粉砕することで米粉を生成する湿式粉砕方式を採用する。
洗浄装置(R)は、図1に示すように、投入口(1)、洗浄ドラム(2:洗浄浴槽)、給水蛇口(3)及び排出口(5)を備え、原料米の土壌菌、土壌等の汚染物を水洗浄する。
水分調節装置(S)は、洗浄済原料米の水分を調節する。水分調節装置(S)は、図1に示すように、洗浄装置(R)の下方側に配置されている。
水分調節装置(S)は、図1、図3乃至図8に示すように、投入ホッパ(11)、水分調節本体(12)、搬送手段(13)及び排出口(17)を含んで構成されている。
この投入ホッパ(11)は、図1、図3乃至図7に示すように、洗浄装置(R)の排出口(5)から排出され、落下する洗浄済原料米を水分調節本体(12)内に投入(供給)する。
粗砕装置(T:グラインダ)は、水分調整した原料米を粗砕して、粗砕原料米を生成する。粗砕装置(T)は、図1に示すように、水分調節装置(S)の下方側に配置されている。
粗砕装置(T)は、図1、図2及び図9乃至図14に示すように、投入ホッパ(31)、粗砕本体(32)、搬送手段(33)、グラインダ(34)及び排出口(39)を含んで構成されている。
投入ホッパ(31)は、図2、図10及び図13に示すように、水分調整装置(S)の排出口(17)から排出される原料米を粗砕本体(32)内に投入(供給)する。
また、スクリュー部材(40)は、円筒部(37)から粗砕部(38)内に突出されている。
環状の鋸状波形(48)は、図13及び図14に示すように、粗砕円盤板(45)の端面(45A)に配置され、粗砕円盤板(45)の軸心(a)を中心として円周方向に連続形成されている。また、環状の鋸状波形(48)は、図14に示すように、軸心(a)から外周方向に放射状に延設されている。
粗砕円盤板(46)は、図13に示すように、軸心(a)方向に移動自在(調整自在)に配置されている。粗砕円盤板(46)の端面(46A)は、粗砕円盤板(45)と同一構成の環状の鋸状波形(48)が連続形成されている。
また、螺子軸(50)は、粗砕部(38)内に突出して、粗砕円盤板(46)に連結されている。
調整ハンドル(47)を回転すると、粗砕円盤板(46)が軸心(a)方向に移動され、空隙(t)を調整できる。
続いて、粗砕装置(T)は、図2及び図13に示すように、駆動モータ(43)の駆動軸(43A)を駆動して、スクリュー部材(40)及び粗砕円盤板(45)を回転させる。
この状態(回転状態)で、スクリュー部材(40)は、螺旋状のスクリュー羽根(41
)によって原料米を粗砕部(38)側へ搬送し、粗砕円盤板(45)の各連通穴(49)を通して粗砕部(38)内へ導入する。
原料米は、図13に示すように、粗砕円盤板(45)の回転によって空隙(t)間に入り込み、各粗砕円盤板(45)、(46)の鋸状波形(48)で粗砕される。
これにより、粗砕装置(T)は、原料米を一対の粗砕円盤板(45)、(46)で粗砕して、粗砕原料米を生成する。
これにより、原料米を粗砕する力を調整でき、最適な粗砕が可能となる。最適な粗砕は、原料米の澱粉損傷を低く抑えるため、原料米を2〜4分割にすることが好ましい。粗砕原料米は、排出口(39)から加水装置(U)に排出される。
加水装置(U)は、粗砕原料米に水を加える。加水装置(U)は、図1に示すように、粗砕装置(T)の下方側に配置されている。
加水装置(U)は、図1、図2及び図15乃至図17に示すように、投入ホッパ(55)、加水タンク(56)、噴射ノズル(57)を含んで構成されている。
噴射ノズル(57)は、給水管(58)に接続されて、給水管(58)を通して水が供給される。給水管(58)には、開閉弁(58A)及び流量調整器(58B)が設けられている。流量調整器(58B)は、噴射ノズル(57)から噴射する水量(噴射力)を調整する。
粗砕原料米が粗砕装置(T)から排出されると、これに同期して、噴射ノズル(57)から加水タンク(56)内に水を噴射する。
この状態(噴射状態)で、加水タンク(56)内を落下する粗砕原料米は、噴射ノズル(57)から水が加えられる。
加水された粗砕原料米は、加水タンク(56)の排出口(39)からテンパリング装置(V)内に投入される。
テンパリング装置(V)は、加水した粗砕原料米の水分を調節する。テンパリング装置(V)は、図1及び図2に示すように、加水装置(U)の下方側に配置されている。
テンパリング装置(V)は、図2、図18乃至図22に示すように、テンパリング本体(61)、搬送手段(62)及び排出口(63)を含んで構成されている。
テンパリング装置(V)は、図19に示すように、駆動モータ(70)を駆動して、スクリュー部材(69)を回転させる。この状態(回転状態)で、スクリュー部材(69)は、螺旋状のスクリュー羽根(72)によって粗砕原料米をテンパリング円筒部(64)の一端側(64A)から排出口(63)まで搬送する。
粗砕原料米は、スクリュー部材(69)の回転で攪拌、接触しながら搬送され、水分が調節される。また、粗砕原料米の余剰水は、テンパリング円筒部(64)内を流れて、ドレン穴(図示しない)からドレン受部(65)内に流入する。
これにより、テンパリング装置(V)は、粗砕原料米に水を浸透(熟成)させながら粗砕原料米を排出口(63)まで搬送する。このとき、スクリュー部材(69)の回転によって、粗砕原料米は、互いに接触して攪拌され、この接触、攪拌作用によって、粗砕原料米相互にムラのない、飽和水分率(30%前後)に調節される。
水分率が調節した粗砕原料米は、排出口(63)から微粉砕装置(W)に排出される。
微粉砕装置(W)は、図1に示すように、テンパリング装置(V)の排出口(63)から排出される粗砕原料米を微粉砕して米粉にする。この微粉砕装置(W)は、例えば、粉砕室に配置された多数の回転ピン、及び粉砕室を開閉するドアに配置された多数の固定ピンで構成され、ドアを閉じると、多数の固定ピンが多数の回転ピン間に挿入される。
粗砕原料米は、微粉砕装置(W)の粉砕室内に投入され、微粉砕装置(W)は粉砕室側の回転ピンを高速回転することで、粉砕室に乱気流を発生させる。粉砕室の粗砕原料米は、各ピンとの接触及び乱気流によって微粉砕されて米粉にされる。
次に、本発明に係る米粉製造方法について、(i)玄米を微粉砕して米粉(玄米粉)を製造する方法、(ii)白米(精米)を微粉砕して米粉(白米粉)を製造する方法を説明する。
上記(i)、(ii)の製造方法は、玄米又は白米に水分を浸透させて、微粉砕する湿式粉砕方法を採用する。
米粉製造方法(玄米)は、洗浄工程、水分調節工程、粗砕工程、加水工程、テンパリング工程(熟成工程)、及び微粉砕工程を含んでなる。
玄米は、籾から籾殻を除いたもので、白米を玄米外皮(糠)で被覆する。玄米の水分率は、14%前後である。
洗浄工程は、玄米を水洗浄することで、玄米に付着した土壌、土壌菌及び埃等の汚染物を除去する。水洗浄は、玄米を水に浸漬等して、水を流動させることで揉み洗いする。
玄米は、玄米外皮(糠)で被覆されているので、玄米を水に浸漬等しても、短時間では、玄米表面から水が浸透しない(玄米外皮(糠)は水濡れ状態である)。
洗浄した玄米の水分率は、14%前後に維持される。
洗浄装置(R)は、洗浄ドラム(2)内に一定量の玄米を投入し、洗浄水を給水する。洗浄ドラム(2)を回転して、洗浄ドラム(2)内の玄米及び洗浄水を流動することで、玄米を水洗浄する。
水分調節工程は、洗浄した玄米の表面(外皮:糠)に付着する水分を調節する。洗浄した玄米は、外皮(糠)が水濡れた状態になっている。水分調節工程では、玄米外皮に付着する余剰水分を除去して、玄米外皮に付着する水分を最適にする。
水分調節した玄米の水分率は、14%前後に維持される。
水分調節装置(S)は、スクリュー部材(22)を回転することで、スクリュー羽根(23)によって排出口(17)まで搬送する。
洗浄した玄米は、スクリュー羽根(23)によって攪拌、接触され、玄米表面に付着した余剰水分が除去される。余剰水分は、円筒部(16)内、水受部(18)及び排水管(21)を通して装置(X)外に排水される。
粗砕工程は、水分調節した玄米を粗砕して、粗砕玄米を生成する。玄米の粗砕数(分割数)は、玄米の澱粉層に与える損傷を考慮して決定され、澱粉層の損傷の少ない、2〜4分割にする。洗浄した玄米を粗砕すると、玄米外皮(糠)で被覆されない破断面が形成される。粗砕工程において、水分調節した玄米を粗砕しても、玄米に付着する水分によって玄米の粉化を抑制できる。
粗砕装置(T)は、図2及び図13に示すように、スクリュー部材(40)及び粗砕円盤板(45)を回転することで、水分調節した玄米を各粗砕円盤板(45)、(46)間の空隙(t)に搬送する。空隙(t)に搬送された玄米は、粗砕円盤板(45)と粗砕円盤板(46)によって粗砕される。
粗砕装置(T)は、粗砕円盤板(45)の回転速度及び空隙(t)を調節することで、水分調節した玄米を2〜4分割に粗砕する。
加水工程は、粗砕玄米に水を加える。粗砕玄米の水分率を30%前後(飽和水分率)にするため、水を粗砕玄米に加える。粗砕玄米の加水は、粗砕玄米を水に浸漬し、又は粗砕玄米に水をかける(噴射する)。
加水装置(U)は、図2に示すように、加水タンク(56)内を落下する粗砕玄米に噴射ノズル(57)から水を噴射することで、粗砕玄米に水を加える。
加水した粗砕玄米は、玄米外皮及び破断面に水分が付着する。
テンパリング工程は、加水した粗砕玄米を熟成(テンパリング)することで、粗砕玄米の破断面から内層に浸透させる水分を調節する。
熟成(テンパリング)とは、粗砕玄米の破断面から水を浸透させるため、水濡れ粗砕玄米を攪拌又は放置することである。
テンパリング工程では、熟成時間(テンパリング時間:T1)を調節することで、粗砕玄米の表層及び内層(粗砕玄米全体)に水を浸透させる。粗砕玄米の水分率は、30%前後(飽和水分率)にする。粗砕玄米の水分率を30%前後にすると、玄米組織が剥がれ易い状態になる。
テンパリング装置(V)は、図2に示すように、スクリュー部材(69)を回転することで、スクリュー羽根(72)によって排出口(63)まで搬送する。
加水した粗砕玄米は、スクリュー羽根(72)によって攪拌、接触され、粗砕玄米の破断面から水が浸透する。
テンパリング装置(V)は、スクリュー部材(69)の回転速度を制御することで、排出口63に搬送する粗砕玄米の搬送速度(搬送時間)を調節する。
これにより、加水した粗砕玄米は、熟成時間(T1)が調節され、粗砕玄米の水分率を30%前後にする。
微粉砕工程は、テンパリングした粗砕玄米を微粉砕して、米粉(玄米粉)を生成する。テンパリングした粗砕玄米は、玄米外皮(糠)、白米組織が剥がれ易い状態になっているので、粗砕玄米を微粉砕しても白米の澱粉層の損傷を抑えることができる。
なお、微粉砕した米粉(玄米粉)は、乾燥によって水分率が調節される。
微粉砕装置(W)は、多数の回転ピン及び固定ピン(図示しない)によって粗砕玄米を微粉砕して、米粉(玄米粉)を生成する。
微粉砕した玄米粉は、乾燥によって水分率が調節され、捕集サイロ(図示しない)に捕集される。
米粉製造方法(白米)は、洗浄工程、一次テンパリング工程、粗砕工程、加水工程、二次テンパリング工程及び微粉砕工程を含んでなる。
白米(精米)は、玄米外皮(糠)を除去したもので、水分率14%前後である。
洗浄工程は、白米(精米)を水洗浄することで、白米に付着する埃等を除去する。水洗浄は、白米を水に浸漬等して、水を流動させることで揉み洗いする。
洗浄工程では、白米表層に水(洗浄水)を浸透させる。白米は、玄米外皮(糠)を除去して生成されるので、白米を水に浸漬等すると、白米表面から水が浸透する。
洗浄装置(R)は、洗浄ドラム(2)内に一定量の白米を投入し、洗浄水を給水する。洗浄ドラム(2)を回転して、洗浄ドラム(2)内の白米及び洗浄水を流動することで、白米を洗浄する。洗浄される白米は、白米表面から洗浄水が表層に浸透する。
一次テンパリング工程は、水洗浄した白米を一次熟成(一次テンパリング)することで、白米表層に水を浸透させる。一次熟成(一次テンパリング)とは、白米表面から水を浸透させるため、水濡れ白米(精米)を攪拌又は放置することである。
一次テンパリング工程では、一次熟成時間(一次テンパリング時間:T2)を調節することで、白米表層に水を浸透させる。例えば、熟成時間T2=5分で白米表層の水分率を22%前後にする。白米表層の水分率は、22%前後に限定されず、20%〜30%程度にする。
一次テンパリングした白米は、白米表層及び白米内層(白米の芯側)で水分率が相違し、水分率の相違によって白米表層及び白米内層間で硬度差が生じる。
水分率の相違は、白米表層:22%前後、白米内層:14%前後である。
硬度差は、白米表層が柔らかく、白米内層が硬い状態である(白米表層及び内層の水分率に起因する)。水分率の相違に起因する硬度差によって、一次テンパリングした白米表面には、多数の自然亀裂(クラック)が形成される。
一次テンパリング工程は、白米を一次熟成して水を浸透させつつ、白米表面を乾燥させる。一次テンパリングした白米は、白米表面が乾燥し、白米表層に水が浸透(水分率:22%前後)した状態になる。これにより、白米表層の糊化を抑制できる。
水分調節装置(R)は、スクリュー部材(22)を回転することで、スクリュー羽根(24)によって洗浄した白米を排出口(17)まで搬送しつつ、一次熟成(一次テンパリング)する。洗浄した白米は、スクリュー羽根(24)によって攪拌、接触され、白米表面から洗浄水が表層に浸透する。
水分調節装置(R)は、スクリュー部材(22)の回転速度を制御することで、洗浄した白米の搬送速度を調節する。これにより、洗浄した白米の一次熟成時間(一次テンパリング時間:T2)を最適条件に設定でき、洗浄した白米の水分を調節して、例えば、白米表層の水分率を22%前後にして、白米内層(白米の芯側)の水分率を14%前後に維持する。
水分調節装置(R)は、スクリュー部材(22)の回転速度、即ち、一時熟成時間(T2)を調節することで、洗浄した白米表層に水を浸透させつつ、白米表面を乾燥させる。これにより、白米表面に多数の自然亀裂(クラック)が形成される。
粗砕工程は、一次テンパリングした白米を粗砕して、粗砕白米を生成する。一次テンパリングした白米は、白米表面に多数の自然亀裂(クラック)が形成されているので、白米に無理な外力を与えることなく粗砕できる。
白米の粗砕数(分割数)は、白米の澱粉層に与える損傷を考慮して決定され、澱粉層の損傷の少ない2〜4分割にする。白米を粗砕すると、白米表面に加えて破断面が形成され、単位粒当りの表面積が増加する。
粗砕工程において、一次テンパリングした白米を粗砕しても、白米表層に浸透した水分によって、白米の粉化、糊状化を抑制できる。
粗砕装置(V)は、スクリュー部材(40)及び粗砕円盤板(45)を回転することで、一次テンパリングした白米を各粗砕円盤板(45)、(46)間の空隙(t)に搬送する。
一次テンパリングした白米は、各粗砕円盤板によって粗砕することで、粗砕白米に生成される。
一次テンパリングした白米は、白米表層に水が浸透し、白米表面が乾燥している。これにより、粗砕装置(V)によって、一次テンパリングした白米を粗砕しても、粗砕玄米の糊化を抑制でき、粗砕装置(V)の空隙(t)に付着したりして、粗砕効率を低下させることを防止できる。また、一次テンパリングした白米を粗砕しても、白米表層の水分によって粉化することも抑制できる。
粗砕装置(V)は、粗砕円盤板(45)の回転速度、及び空隙(t)を制御することで、一次テンパリングした白米の粗砕を調整でき、これにより、白米の澱粉層に与える損傷を抑制する粗砕数(分割数)にできる。一次テンパリングした白米は、例えば、2〜4分割する。粗砕白米は、白米表面に加えて破断面が形成され、単位米粒当りの表面積が増加される。
加水工程は、粗砕白米に水を加える。粗砕白米の水分率を30%前後(飽和水分率)にするため、洗浄水で不足する水分を粗砕白米に加える。粗砕白米の加水は、粗砕白米を水に浸漬し、又は粗砕白米に水を噴射する。
加水装置(U)は、図2に示すように、加水タンク(56)内を落下する粗砕白米に噴射ノズル(57)から水を噴射することで、粗砕白米に水を加える。
加水した粗砕白米は、白米表面及び破断面に水分が付着する。
二次テンパリング工程は、加水した粗砕白米を二次熟成(二次テンパリング)することで、粗砕白米の表面及び破断面から内層に浸透させる水分を調節する。
二次熟成(二次テンパリング)とは、粗砕白米の表面及び破断面から水を浸透させるため、水濡れ粗砕白米を攪拌又は放置することである。
二次テンパリング工程では、二次熟成時間(二次テンパリング時間:T3)を調節することで、粗砕白米の表層及び内層(粗砕白米全体)に水を浸透させる。粗砕白米の水分率は、30%前後(飽和水分率)にする。粗砕白米の水分率を30%前後にすると、白米組織が剥がれ易い状態になる。
テンパリング装置(V)は、図2に示すように、スクリュー部材(69)を回転することで、スクリュー羽根(72)によって粗砕白米を排出口(63)まで搬送しつつ、二次熟成(二次テンパリング)する。
加水した粗砕白米は、スクリュー羽根(72)によって攪拌、接触され、粗砕白米の表面及び破断面から水が浸透する。
テンパリング装置(V)は、スクリュー部材(69)の回転速度を制御することで、排出口(63)に搬送する粗砕白米の搬送速度(搬送時間)を調節する。
これにより、加水した粗砕白米は、二次熟成時間(二次テンパリング時間:T3)が調整され、粗砕白米の水分率を30%前後(飽和水分率)にする。
微粉砕工程は、二次テンパリングした粗砕白米を微粉砕して、米粉(白米粉)を生成する。二次テンパリングした粗砕白米は、白米組織が剥がれ易い状態なので、微粉砕しても白米の澱粉層の損傷を抑えることができる。
なお、微粉砕した米粉(白米粉)は、乾燥によって水分率が調節される。
微粉砕装置(W)は、多数の回転ピン及び固定ピン(図示しない)によって粗砕白米を微粉砕して、米粉(白米粉)を生成する。
微粉砕した白米粉は、乾燥によって水分率が調節され、捕集サイロ(図示しない)に捕集される。
次に、本発明に係る米粉製造システム、及び米粉製造方法の他の実施形態について、図23及び図24を参照して説明する。
なお、図23及び図24において、図1乃至図22と同一符号は同一部材、構成であるので、その説明は省略する。
米粉製造システム(X1)は、図23及び図24に示すように、水分調整装置及びテンパリング装置について、ベルトコンベアを採用する。
水分調節装置(S1)は、図23に示すように、洗浄装置(R)下側及び粗砕装置(T)上側の間に配置されている。水分調整装置(S1)は、洗浄装置(R)下側から粗砕装置(T)に向うに連れて上側に傾斜されている。
この水分調節装置(S1)は、図23に示すように、駆動ローラ(101)、従動ローラ(102)及び無端ベルト(103)を含んで構成されている。
各ローラ(101)、(102)は、間隔を隔てて回転自在に配置され、無端ベルト(103)は各ローラ(101)、(102)に架け渡されている。
水分調節装置(S1)は、洗浄した原料米(玄米、白米)を投入ホッパ(11)から無端ベルト(103)上に投入する。
水分調節装置(S1)は、駆動モータ(図示しない)の駆動によって駆動ローラ(101)を回転することで、洗浄した原料米を無端ベルト(103)によって粗砕装置(T)に搬送する。
テンパリング装置(V1)は、図23及び図24に示すように、加水装置(U)下側及び微粉砕装置(W)上側の間に配置されている。テンパリング装置(V1)は、図23に示すように、加水装置(U)下側から微粉砕装置(W)に向うに連れて上側へ傾斜されている。
このテンパリング装置(V1)は、図23及び図24に示すように、駆動ローラ(111)、従動ローラ(112)及び無端ベルト(113)を含んで構成されている。
各ローラ(111)、(112)は、間隔を隔てて回転自在に配置され、無端ベルト(113)は各ローラ(111)、(112)に架け渡されている。
テンパリング装置(V1)は、加水した粗砕米(玄米、白米)を無端ベルト(103)上に投入する。
テンパリング装置(V1)は、駆動モータ(図示しない)の駆動によって駆動ローラ(111)を回転することで、加水した粗砕米を無端ベルト(113)によって微粉砕装置(W)に搬送する。
米粉製造方法について、(ia)玄米を微粉砕して米粉(玄米粉)を製造する方法、(iia)白米(精米)を微粉砕して米粉(白米粉南)を製造する方法を説明する。
上記(ia)、(iia)の製造方法は、玄米又は白米に水分を浸透させて、微粉砕する湿式粉砕方法を採用する。
なお、上記(ia)、(iia)の製造方法において、上記(i)、(ii)の製造方法とは、基本的に同一であり、相違する点のみ説明する。
米粉製造システム(X1)において、図23に示すように、一定量の洗浄した玄米を水分調節装置(S1)内に投入する。洗浄した玄米は、投入ホッパ(11)を通して無端ベルト(103)上に積層される。
水分調節装置(S1)は、駆動ローラ(101)を駆動することで、無端ベルト(103)によって積層状態の玄米を粗砕装置(T)に搬送する。
洗浄した玄米は、無端ベルト(103)の搬送途中で、玄米表面に付着した余剰水分が除去される。余剰水分は、無端ベルト(103)、水受部(18)及び排水管(21)を通して装置(X1)外に排水される。
米粉製造システム(X1)において、図23に示すように、一定量の加水した粗砕玄米をテンパリング装置(V1)の無端ベルト(113)上に積層する。
テンパリング装置(V1)は、駆動モータ(図示しない)を駆動することで、無端ベルト(113)によって積層状態の粗砕玄米を微粉砕装置(W)に搬送する。
粗砕玄米は、粗砕によって形成された破断面から水が浸透する。
テンパリング装置(V1)は、無端ベルト(113)の移動速度を制御することで、粗砕玄米の搬送速度(搬送時間)を調節する。
これにより、加水した粗砕玄米は、熟成時間が調節され、粗砕玄米の水分率を30%前後(飽和水分率)にする。
米粉製造システム(X1)において、図23に示すように、一定量の洗浄した白米を水分調節装置(R1)の無端ベルト(103)上に積層する。
水分調節装置(R1)は、駆動ローラ(101)を駆動することで、無端ベルト(103)によって積層状態の白米を粗砕装置(T)に搬送する。
洗浄した白米は、無端ベルト(103)の搬送途中で、白米表面から洗浄水が表層に浸透する。
水分調節装置(R1)は、無端ベルト(103)の移動速度を制御することで、洗浄した白米の一次熟成時間(一次テンパリング時間)を最適条件に設定でき、洗浄した白米の水分を調整して、例えば、白米表層の水分率を22%前後、白米内層(白米の芯側)の水分率を14%前後に維持する。
水分調節装置(R1)は、無端ベルト(103)の移動速度、即ち、一次熟成時間を制御することで、洗浄した白米表層に水を浸透させつつ、白米表面を乾燥させる。これにより、白米表面に多数の自然亀裂(クラック)が形成される。
米粉製造システム(X1)において、図23及び図24に示すように、一定量の加水した粗砕白米をテンパリング装置(V1)の無端ベルト(113)上に積層する。
テンパリング装置(V1)は、駆動モータ(図示しない)を駆動することで、無端ベルト(113)によって積層状態の粗砕白米を微粉砕装置(W)に搬送する。
粗砕白米は、表面及び破断面から水が浸透される。
テンパリング装置(V1)は、無端ベルト(113)の移動速度を制御することで、粗砕白米の搬送速度(搬送時間)を調節する。
これにより、加水した粗砕白米は、二次熟成時間(T4)が調節され、粗砕玄米の水分率を30%前後(飽和水分率)にする。
X1 米粉製造システム
R 洗浄装置
S 水分調節装置(スクリュー式)
S1 水分調節装置(ベルトコンベア式)
T 粗砕装置
U 加水装置
V テンパリング装置(スクリュー式)
V1 テンパリング装置(ベルトコンベア式)
W 微粉砕装置
Claims (3)
- 玄米を微粉砕して米粉を製造する米粉製造方法であって、
前記玄米を前記玄米の内層に水が浸透せず前記玄米の外皮が水濡れ状態となる程度に水洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄した玄米の外皮に付着する余剰水分を除去して水分量を調節する水分調節工程と、
前記水分調節した玄米を粗砕して粗砕玄米を生成する粗砕工程と、
前記粗砕玄米の外皮および破断面に水を供給する加水工程と、
前記粗砕玄米の内層に浸透させる前記加水した水分を調節するテンパリング工程と、
前記テンパリングした粗砕玄米を微粉砕する微粉砕工程を、
含んでなる米粉製造方法。 - 白米を微粉砕して米粉を製造する米粉製造方法であって、
前記白米を前記白米の表層に水が一部浸透し前記白米の表面が水濡れ状態となる程度に水洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄した白米を撹拌又は放置することにより該白米の表層に浸透させる水分を調節しつつ前記白米表面を乾燥させる一次テンパリング工程と、
前記一次テンパリングした白米をグラインダにより粗砕して粗砕白米を生成する粗砕工程と、
前記粗砕白米の表面および破断面に水を供給する加水工程と、
前記粗砕白米の内層に浸透させる前記加水した水分を調節する二次テンパリング工程と、
前記二次テンパリングした粗砕白米を微粉砕する微粉砕工程を、
含んでなる米粉製造方法。 - 玄米又は白米の原料米を微粉砕して米粉を製造する米粉製造システムであって、以下の(i)から(vi)の順に原料米を処理する装置を含んでなる米粉製造システム。
(i)前記原料米を水洗浄する洗浄装置。
(ii)前記洗浄した原料米の表面の余剰の水分を除去又は乾燥して水分を調節する水分調節装置。
(iii)前記水分調節された原料米を粗砕して粗砕米を生成するためのグラインダを備える粗砕装置。
(iv)前記粗砕米の表面および破断面に水を供給する加水装置。
(v)前記粗砕米の内層に浸透させる前記加水した水分を調節するテンパリング装置。
(vi)前記水分率を調整した粗砕米を微粉砕する微粉砕装置。
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