〔1〕第1実施形態
以下、図面に基づいて、本発明の画像処理装置の実施の一形態について説明する。
なお、説明の便宜上、図面において、部材の位置及び大きさ等は強調して描かれている場合がある。
<1.画像形成装置1>
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置1を図1に示す。この画像形成装置1は、カラープリンタであり、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排出部7と、を備えている。
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、4つの画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBと、図示しない画像形成コントローラと、を備える。画像形成部2は、画像形成コントローラの制御の下、画像データに基づいてトナー画像を形成するようになっている。画像形成部2は、各画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBが、中間転写ベルト21の移動方向に沿って並べられた所謂タンデム式となっている。
中間転写ベルト21は、導電性を有し、無端状、すなわちループ状のベルト状部材である。中間転写ベルト21は、駆動ローラ41と従動ローラ23とテンションローラ24に張架されている。図示しない駆動モータの駆動によって駆動ローラ41は回動するようになっている。この回動によって、中間転写ベルト21は、図1、図2において矢印で示すように、時計回りに循環駆動される。また、中間転写ベルト21が駆動されると、従動ローラ23、テンションローラ24が、中間転写ベルト21に対して従動回転する。なお、テンションローラ24は中間転写ベルト21が弛まないように適切な張力を中間転写ベルト21に付与するように配置される。
クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。クリーニング部22は、クリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bを有する。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応している。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットの詳細については、図2等を参照して後述する。
用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31と給紙ローラ32と用紙分離ローラ対33とを有している。用紙は記録媒体の一例である。
二次転写部4は、中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ41と、駆動ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。用紙は、用紙搬送部6によって二次転写ローラ42と中間転写ベルト21の外周面との間へと搬送される。このとき、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像が用紙上に転写される。
定着部5は、二次転写部4の上側(用紙搬送方向の下流側)に配置される。定着部5は、加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対向して配置された加圧ローラ52とを有している。用紙搬送部6によって、二次転写後の用紙は加熱ローラ51と加圧ローラ52との間へ搬送される。加熱ローラ51と加圧ローラ52との間を通過するときに、熱圧着によって、用紙に転写されたトナー像が用紙に定着される。
用紙搬送部6は、複数の搬送ローラ対61とレジストローラ対62を備え、用紙収納部3から、二次転写部4及び定着部5を経て、排出部7まで用紙を搬送する。なお、図1において一対の搬送ローラ対61のみが図示されているが、他の搬送ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置される。これら他の搬送ローラについては、記載を省略する。
排出部7は、複数の排出ローラ対71と画像形成装置1の上面に設けられた排出トレイ72を有する。排出ローラ対71によって、定着後の用紙は排出トレイ72へ排出される。なお、図1においては一対の排出ローラ対71のみが図示されているが、他の排出ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置される。これら他の排出ローラについては、記載を省略する。
また、画像形成装置1は、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBにそれぞれ対応する液体現像剤循環装置LY、LM、LC、及びLB、並びにトナータンクCY、CM、CC、及びCBを備える。さらに画像形成装置1は、キャリアタンクCCAを備える。これらの構成により、各色の液体現像剤の供給及び回収が行われる。これらの部材については、図3等を参照して後述する。
<2.画像形成ユニット>
(2-1)画像形成ユニット全体の構成
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは略同様の構成となっている。すなわち、4つの画像形成ユニットのうち、二次転写部4に最も近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。よって、以下では図2を参照してイエロー用の画像形成ユニットFYについて説明し、他の画像形成ユニットについては説明を省略する。図2は、画像形成ユニットFYの要部構成を示す断面図である。
図2に示すように、画像形成ユニットFYは、感光体ドラム10と、帯電器11と、露光装置12と、現像ユニット14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。感光体ドラム10は、図2において破線矢印で示すように、反時計回りに回転駆動される。そして、帯電器11、露光装置12、現像ユニット14、一次転写ローラ20、クリーニング装置26、及び除電装置13は、感光体ドラム10の周囲に、その回転方向に沿って、この順に配置される。
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、画像形成ユニットFYは、図示しないドラム駆動部を備え、このドラム駆動部によって、感光体ドラム10は回転駆動される。
帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様にトナーと同極性に帯電させるようになっている。
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、画像形成コントローラの制御の下、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。
現像ユニット14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させるようになっている。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。現像ユニット14の詳細については、後述する。
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の内周側に、感光体ドラム10と対向して配置される。一次転写ローラ20には、図示しない電源により、トナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の外周面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
クリーニング装置26は、クリーニングブレード262と、残留現像剤搬送スクリュー261とを備える。クリーニング装置26は、これらの部材によって、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするようになっている。
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材であり、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るように配置されている。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に当接するように配置されていることで、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニング装置26内に配置されている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られてクリーニング装置26内に収納された液体現像剤を、クリーニング装置26の外部に搬送する。
除電装置13は、除電用の光源を有し、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。除電装置13は、次の画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後に除電を行うように、配置される。
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として回転するように配された、略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と同方向に回転するようになっている。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置される。キャリア除去ローラ30の表面は、中間転写ベルト21の表面よりも濡れ性が高くなっていることで、中間転写ベルト21からキャリア液を除去する。
(2-2)現像ユニット14の構成
図2に示すように、現像ユニット14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146、現像ローラ帯電器147、支持クリーニングブレード148、第1バイアス電源151、第2バイアス電源152、第3バイアス電源153、及び現像剤センサ160を備える。また、現像ユニット14は、後述するローラ駆動装置153をさらに備える。
現像容器140は、トナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受けるようになっている。後述するように、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ近傍に向けて、支持ローラ143上に供給される。その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2を通して液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBによって回収される。
支持ローラ143は、現像容器140の略中央に配置され、下方から供給ローラ142に当接してニップを形成する。
供給ローラ142は、現像容器140内で、回転軸が支持ローラ143の回転軸と平行になるように、かつ支持ローラ143に接触するように配置される。より具体的には、供給ローラ142は、支持ローラ143の斜め上、すなわち、供給ノズル278から離れる方向に、支持ローラ143の直上からずれて配置されている。供給ローラ142の周面には、液体現像剤を保持するための溝が設けられている。
後述のローラ駆動装置153の駆動により、現像実行中は、図2において破線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、支持ローラ143及び供給ローラ142の回転方向においてニップより上流側で一時的に滞留され、両ローラ142・143の回転に伴って、供給ローラ142の溝に保持された状態で、回転方向下流側へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量を、所定量に規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、回転軸が供給ローラ142の回転軸と平行になるように、かつ供給ローラ142と接するように、配置されている。なお、画像形成装置1中では、現像ローラ141の回転軸は、感光体ドラム10の回転軸と平行になるように配置される。現像ローラ141は、後述のローラ駆動装置153により、時計方向に回転される。すなわち、現像実行中、現像ローラ141と供給ローラ142とのニップでは、現像ローラ141の表面は、供給ローラ142の表面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ141の周面に、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。上述したように、供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されるので、ここで現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も、所定値に保たれる。
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の電界を与える。現像ローラ帯電部147によって、現像ローラ141に担持された液体現像剤層中のトナーが現像ローラ141の表面側に移動し、現像効率が向上する。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の回転方向において、現像ローラ141と供給ローラ142との接触位置より下流側かつ現像ローラ141と感光体ドラム10との接触位置の上流側で、現像ローラ141の周面に対向するように設けられる。
現像ローラ141は感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の回転方向において、現像ローラ141と感光体ドラム10との接触位置の下流側であって、現像ローラ141と供給ローラ142との接触位置の上流側で、現像ローラ141に接触するように配置される。現像クリーニングブレード145により、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤が除去される。
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、対応する液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBの流路R1へ、この液体現像剤を送り出すようになっている。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146は、液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラ34,35を備える。
支持クリーニングブレード148は、支持ローラ143に接するように配置される。支持クリーニングブレード148と支持ローラ143との接触位置は、支持ローラ143と供給ローラ142とのニップから見て、支持ローラ143の現像実行時の回転方向(図2に点線で示す方向)において供給ノズル278よりも上流に設定される。このように配置されることで、支持クリーニングブレード148は、現像実行中、供給ローラ142との接触後も支持ローラ143上に残存する現像剤を掻き取るようになっている。掻き取られた現像剤は、現像容器140によって受け取られる。
さらに、支持クリーニングブレード148は、現像ユニット14の通常の設置姿勢、つまり図2等に示すような支持ローラ143を下に向けた姿勢において、支持ローラ143の真下よりも供給ノズル278寄りに配置される。つまり、支持ローラ143のうち、現像容器140の底に最も近い部分、支持クリーニングブレード148と接触する部分、供給ノズル278からの現像剤を受ける部分、及び供給ローラ142とのニップを形成する部分は、現像実行時の回転方向において、この順に並んでいる。
第1バイアス電源151は、支持ローラ143に接続されており、支持ローラ143にバイアス電圧を印加するようになっている。
第2バイアス電源152は、供給ローラ142に接続されており、供給ローラ142にバイアス電圧を印加するようになっている。
第3バイアス電源153は、現像ローラ141に接続されており、現像ローラ141にバイアス電圧を印加するようになっている。
現像剤センサ160は、現像剤の液位を検出することができるセンサであり、現像剤センサ160としては例えば光学センサ等が用いられる。現像容器140の側面に設けられる。現像容器140の底からみた現像剤センサ160の設置位置の高さは、現像容器140の底からみた支持ローラ143の下部(現像容器140の底に近い側)の高さと同程度である。つまり、現像剤センサ160が現像剤を検知するとき、支持ローラ143は、現像容器140内に貯留された現像剤に浸るようになっている。
ここで「浸る」とは、支持ローラ143の少なくとも一部に、現像剤が付着するようになっていることを指す。
<3.液体現像剤循環装置>
以下、図3を参照して液体現像剤循環装置について説明する。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、及びLBは、有するトナータンクが異なる以外、同様の構成を有している。よって、図3では、イエローの液体現像剤循環装置LYを例に挙げて説明し、他の液体現像剤循環装置については説明を省略する。
図3に示すように、液体現像剤循環装置LYは、液体現像剤を循環させ再利用するようになっている。液体現像剤循環装置LYによって循環される液体現像剤としては、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤(トナーとキャリア液との混合物)や、供給ローラ142から現像ローラ141に供給されなかった現像剤や、感光体ドラム10からクリーニング装置26によって掻き取られた現像剤がある。図3中の点線矢印は、現像剤やキャリア液の移動方向を示す。
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271と、現像剤収容容器272と、固形分濃度検出装置273と、キャリアタンクCCAと、トナータンクCYと、現像剤リザーブタンク277と、供給ノズル278と、残留現像剤回収容器279と、液体現像剤分離抽出装置28と、複数のポンプP1〜P10と、を備えている。
残留現像剤タンク271は、現像ユニット14に流路R1を介して接続されている。残留現像剤タンク271は、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤を収納可能なタンクである。また、現像ユニット14と残留現像剤タンク271との間には1つのポンプP1が取り付けられている。ポンプP1は、現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤を残留現像剤タンク271に移動させる。また、残留現像剤タンク271は、現像ユニット14の底部に流路R2を介して接続されており、この流路R2にはポンプP5が接続されている。ポンプP5は、現像容器140から残留現像剤タンク271へ現像剤を送る。
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271に接続されている。現像剤収容容器272は、現像ユニット14に補給する現像剤を調合、すなわちトナー濃度を調整する濃度調合部である。現像剤収容容器272は、流路R3を介して残留現像剤タンク271に接続されており、この流路R3にはポンプP2が接続されている。
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272に接続されている環状の流路R4に接続されている。固形濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤におけるトナーの濃度を検出するようになっている。この環状の流路R4での現像剤の移動方向における固形分濃度検出装置273の上流側には、ポンプP4が取り付けられている。
キャリアタンクCCAは、キャリア液を収納している。キャリアタンクCCAは、ポンプP3が取り付けられた流路R5によって、現像剤収容容器272と接続されている。なお、キャリアタンクCCAは各色共通で用いられ、キャリアタンクCCAには、液体現像剤循環装置LY、LM、LC、及びLBに繋がる共通配管(図示せず)が接続されている。そして、この共通配管から各色の現像剤収容容器272まで各色用の分岐配管である流路R5が伸びる構成となっている。ポンプP3が稼動することで、キャリアタンクCCAのキャリア液が現像剤収容容器272へと搬送され、現像剤収容容器272内のトナー濃度が下げられる。
トナータンクCYは、トナー濃度が高い液体現像剤を収納している。トナータンクCY内の液体現像剤のトナー濃度は、現像ユニット14で用いられる液体現像剤のトナー濃度よりも高い。トナータンクCYは、ポンプP8が取り付けられた流路R6によって、現像剤収容容器272と接続されている。ポンプP8が稼動することによって、現像剤収容容器272へ高濃度の液体現像剤が搬送され、現像剤収容容器272内のトナー濃度が上げられる。
現像剤リザーブタンク277は、ポンプP6の取り付けられた流路R7によって、現像剤収容容器272と接続される。また、現像剤リザーブタンク277は、ポンプP7の取り付けられた流路R8を介して、供給ノズル278に接続されている。ポンプP6は、現像剤収容容器272から現像剤リザーブタンク277に向けて現像剤を搬送し、ポンプP7は現像剤リザーブタンク277から供給ノズル278に向けて現像剤を搬送する。つまり、現像剤リザーブタンク277には、現像ユニット14に供給される液体現像剤が収納されるようになっている。
供給ノズル278は、上述したように、現像ユニット14に現像剤を供給するように配置される。
残留現像剤回収容器279は、クリーニング装置26によって感光体ドラム10から除去された現像剤を一時的に貯留するようになっている。
液体現像剤分離抽出装置28は、液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離し、キャリア液とトナーとを別々に抽出するようになっている。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279とキャリアタンクCCAとを結ぶ流路R9,R10の途中に配置される。流路R9にはポンプP9が設けられており、ポンプP9が、残留現像剤回収容器279内の液体現像剤を液体現像剤分離抽出装置28に送る。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279に貯留された液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離するようになっている。流路R10にはポンプP10が設けられており、ポンプP10が、分離されたキャリア液をキャリアタンクCCAに送る。
<4.画像形成装置1の画像形成動作>
次に、画像形成装置1の画像形成動作を説明する。
画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けた画像形成装置1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像ユニット14からトナーが供給される。このようにして各画像形成部2で形成されたトナー像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3の給紙カセット31に収容されている用紙が給紙ローラ32によって給紙カセット31から取り出されて、分離ローラ対33によって一枚ずつ用紙搬送部6に送出される。用紙搬送部6の搬送ローラ対61によって用紙はレジストローラ対62まで送られ用紙の搬送姿勢が補正されて一旦用紙は停止させられる。そして、中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせてレジストローラ対62から二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙は定着部5に送られて熱と圧力の作用でカラートナー像は用紙に定着される。
カラートナー像が定着された用紙はさらに排出部7に送られ、排出ローラ対71よって画像形成装置1の外部に設けられた排出トレイ72に排紙される。
二次転写後に、中間転写ベルト21に残留した残留液体現像剤は、中間転写ベルト21のクリーニング部22のクリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bによって除去される。
以上の動作は、後述の制御装置159に含まれる画像形成コントローラの制御の下で実行される。
<5.現像剤循環動作>
次に、現像ユニット14に液体現像剤を供給する動作、すなわち液体現像剤の循環動作について説明する。
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、流路R1を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、現像容器140に受けられた液体現像剤も、ポンプP5によって流路R2を介して残留現像剤タンク271に送られる。そして、現像剤収容容器272内の液体現像剤が無くなると、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272にポンプP2によって流路R3を介して液体現像剤が供給される。このとき、感光体ドラム10上に現像されずに残留した液体現像剤は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、残留現像剤回収容器279に収容される。
残留現像剤回収容器279に回収された液体現像剤は所定量毎にポンプP9によって流路R9を介して液体現像剤分離抽出装置28に搬送される。そして、液体現像剤分離抽出装置28において、トナーとキャリア液との分離、抽出処理が行われる。液体現像剤分離抽出装置28において抽出されたキャリア液は、キャリアタンクCCAへポンプP10により流路R10を介して送られる。
一方、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナー濃度が固形分濃度検出装置273によって検出され、現像剤収容容器272内の液体現像剤の濃度調整が行われる。ここでは、トナー濃度が高い場合には、キャリアタンクCCAからキャリア液がポンプP3によって流路R5を介して現像剤収容容器272に供給される。また、トナー濃度が低い場合には、トナータンクCYからトナー濃度が高い液体現像剤がポンプP8によって流路R6を介して現像剤収容容器272に供給される。
そして、必要に応じて現像剤収容容器272から現像剤リザーブタンク277に濃度調整がなされた液体現像剤がポンプP6によって流路R7を介して供給され、現像剤リザーブタンク277に収納された液体現像剤が、ポンプP7によって流路R8を介して供給ノズル278に送られ、供給ノズル278から現像ユニット14に供給される。
以上の動作は、後述の現像剤循環コントローラ158の制御の下で実行される。
<6.現像ユニット起動時の制御>
(6-1)制御機構
図4に、現像ユニット14の起動時に動作する、現像ユニット14及び液体現像剤循環装置LYの制御機構を示す。なお、以下では特にイエローの現像ユニット14の起動について説明するが、他の色の現像ユニットについても、同様の制御機構が設けられており、同様の制御が行われる。
図4に示すように、画像形成装置1は、上述の部材に加えて、電源駆動装置154及び制御装置159等を備える。
電源駆動装置154は、現像ユニット14に含まれ、第1電源駆動部154a、第2電源駆動部154b、及び第3電源駆動部154cを備える。
第1電源駆動部154aは、第1電源151を駆動して、支持ローラ143にバイアス電圧を印加させる。第2電源駆動部154bは、第2電源152を駆動して、供給ローラ142にバイアス電圧を印加させる。第3電源駆動部154cは、第3電源153を駆動して、現像ローラ141にバイアス電圧を印加させる。
ローラ駆動装置153は、支持ローラ駆動部153a、供給ローラ駆動部153b、及び現像ローラ駆動部153cを備える。支持ローラ駆動部153a、供給ローラ駆動部153b、及び現像ローラ駆動部153cは、それぞれ、モータ及びギア等を備える。支持ローラ143、供給ローラ142、及び現像ローラ141はそれぞれ、支持ローラ駆動部153a、供給ローラ駆動部153b、及び現像ローラ駆動部153cの駆動により回転する。現像中の回転方向は図2に点線矢印で示す方向であるが、後述するように、起動動作中の支持ローラ143及び供給ローラ142の回転方向は逆方向とされる。
制御装置159は、CPU、RAM、及びROM等を含むマイクロコンピュータで構成される。制御装置159は、起動コントローラ156、現像コントローラ157、現像剤循環コントローラ158等を備える。また、起動コントローラ156は、電位差制御部156a、回転制御部156b、ポンプ制御部156cを備える。
電位差制御部156aは、
各部の機能については、後述する。
(6-2)起動時の動作
制御装置159は、画像形成装置1の各部を制御して、表1及び図5〜図8に示す第1〜第4ステップを実行することができる。特に、起動コントローラ156が第1〜第3ステップを実行する。第4ステップは現像時の動作であり、現像コントローラ157及び現像剤循環コントローラ158が制御する。
(第1ステップ)
表1及び図5に示すように、現像ユニット14が停止後に現像動作を再開するとき、すなわち現像ユニット14の起動時に、起動コントローラ156の回転制御部156bは、まず、各ローラ141〜143の回転を停止させるよう、つまり回転させないように、ローラ駆動装置153を制御する。
そして、表1及び図5に示すように、ローラ141〜143の回転が停止している状態で、電位差制御部156aは、電源駆動装置154を制御して、第1電源151、第2電源152、及び第3電源153から、支持ローラ143、供給ローラ142、及び現像ローラ143にそれぞれ0(ゼロ)Vの電圧を印加させる。
このとき、表1及び図5に示すように、ポンプ制御部156cは、液体現像剤循環装置LYを制御して、供給ノズル278から現像剤を吐出させる。このとき、ポンプP5は停止される。ポンプ制御部156cは、現像剤センサ160が現像剤を検知すると、ポンプP7を停止させることで、現像剤の供給を停止する。
以上の動作により、支持ローラ143に向けて供給ノズル278から吐出された現像剤は、支持ローラ143を伝って現像容器140の底に溜まる。そして、現像剤の供給は、支持ローラ143が現像容器140内に溜まった現像剤に浸るようになるまで継続される。
(第2ステップ)
次に、電位差制御部156aは、表1及び図6に示すように、電源駆動装置154を制御して、第1電源151から支持ローラ143に0V、第2電源152から供給ローラ142に400V、第3電源153から現像ローラ141に400Vの電圧を印加させる。
そして、表1及び図6に示すように、回転制御部156bは、ローラ駆動装置153を制御して、現像ローラ141を通常時(現像時)と同方向、供給ローラ142及び支持ローラ143を通常時とは逆方向に回転させる(図6の点線矢印)。つまり、現像ローラ141と支持ローラ143は時計回り、供給ローラ142は反時計回りに回転する。
このとき、表1及び図6に示すように、現像剤の供給は停止された状態である。
現像剤センサ160の配置位置が、上述のように設定されているので、図6に示すように、現像容器140内の現像剤は、支持ローラ143に付着する。そして、支持クリーニングブレード148の配置位置が、上述のように設定されていることにより、支持ローラ143に付着した現像剤D2は、支持クリーニングブレード148に掻き取られることなく、支持ローラ143の回転に伴って、支持ローラ143と供給ローラ142とのニップまで運ばれる。こうして運ばれた現像剤は、各ローラ141〜143の回転に伴って、支持ローラ143から、供給ローラ142を介して、現像ローラ141まで到達する。
上述したように、供給ローラ142と支持ローラ143との間に電位差が生じており、特に供給ローラ142にトナーの帯電極性と同極性の電圧が印加されている。その結果、図6に白矢印で示すように、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップにある現像剤D3中のトナーは、支持ローラ143側に引きつけられる。その結果、供給ローラ142及び現像ローラ141には、トナー濃度の低い現像剤D3が供給される。
図5に示すように、現像ユニット14が停止している間に、各ローラ141〜143上で現像剤が乾燥し、濃度の高い現像剤D1となっていることがある。このような濃度の高い現像剤D1はローラ141〜143の回転トルクの増大の原因となるが、第2ステップにより濃度の低い現像剤D3が供給されることで、トルクの増大が回避される。
さらに、各ローラ141〜143の回転方向が、上述の通りに制御されるので、供給ローラ142は、現像ローラ141の回転方向に対していわゆるトレイル方向に回転する。つまり、両ローラ141及び142のニップにおいて、ローラ141及び142は同一方向に移動する。また、供給ローラ142は、支持ローラ143の回転方向に対してもトレイル方向に回転し、両ローラ142及び143のニップにおいて、各ローラ142及び143は同一方向に移動する。その結果、現像ローラ141と供給ローラ142、支持ローラ143と供給ローラ142との間の摩擦抵抗が低く抑えられる。それゆえ、このステップによれば、トルクがさらに減少するという効果が得られる。
第2ステップは、少なくとも、現像ローラ141と供給ローラ142とのニップに現像剤が供給されるまで継続される。第2ステップはさらに、ローラ141〜143及びこれらローラに接触する部材(現像クリーニングブレード145等)に、新たに現像剤が供給されるまで継続されてもよい。
なお、以上の説明から明らかなように、少なくとも、支持ローラ143において、支持クリーニングブレード148と接触する位置、第2ステップで現像剤を受け取る位置、及び供給ローラ142に接触する(現像剤を渡す)位置が、第2ステップの支持ローラ143の回転方向において、この順で並んでいれば、第2ステップで支持ローラ143に付着した現像剤が、供給ローラ142を介して、現像ローラ141にまで到達できる。
すなわち、支持クリーニングブレード148が、図6において支持ローラ143に対して向かって左側に配置されていても、現像剤の液面が支持クリーニングブレード148よりも高ければ、現像剤は現像ローラ141に到達することができる。つまり、支持ローラ143に対する現像剤の液面の位置が、第2ステップ時の支持ローラ143の回転方向において、支持クリーニングブレード148の接触位置と、供給ローラ142の接触位置との間に配置されるように、支持クリーニングブレード148と現像剤センサ160との位置関係が設定されていればよい。
(第3ステップ)
表1及び図7に示すように、本ステップにおいては、電位差制御部156aは第2ステップと同様の制御を行う。
そして、回転制御部156は各ローラ141〜143を通常方向(現像実行時の方向、つまり図2及び図7の点線矢印方向)に回転させる。つまり、支持ローラ143と供給ローラ142の回転方向を、第2ステップとは逆にする。つまり、現像ローラ141と供給ローラ142とは時計回り、支持ローラ143のみが反時計回りに回転する。その結果、供給ローラ142は、現像ローラ141の回転方向に対していわゆるカウンタ方向に回転し、両ローラのニップにおいて各ローラ141及び142は逆方向に移動する。
ポンプ制御部156cは、ポンプP7を稼動させることで供給ノズル278から現像剤を吐出させる。
第2ステップの現像剤D3と同様に、供給のする278から支持ローラ143に供給された現像剤中のトナーは、供給ローラ142と支持ローラ143との電位差によって、支持ローラ143に引き付けられる(図7の白矢印)。その結果、供給ローラ142及び現像ローラ141には、トナー濃度の低い現像剤D3が供給される。
第2ステップによって、支持ローラ143上、支持ローラ143の通常の回転方向において支持クリーニングブレード148から供給ローラ142とのニップに至るまでの間に、トナー濃度の高い現像剤D4が付着する。第3ステップによれば、この現像剤D4を、現像容器140内に溜まった現像剤に分散させたり、支持クリーニングブレード148で掻き取ったりすることで、この現像剤D4による画像濃度の増大を防ぐことができる。
また、第2ステップの実行期間は、通常とは逆の回転によって、現像ローラ141と供給ローラ142とのニップにキャリア液を供給できる最短の期間とすることができるが、このように第2ステップの期間を最短とすると、第2ステップだけでは現像クリーニングブレード145までキャリア濃度の高い現像剤が到達しない。そこで第3ステップは、現像クリーニングブレード145にまで現像剤を供給できる程度に継続されることが好ましい。
(第4ステップ)
第1〜第3ステップが終了すると、現像が開始される。すなわち、表1及び図8に示すように、現像コントローラ157の制御の下、電源駆動装置154は、第1電源151、第2電源152、及び第3電源153を駆動して、支持ローラ143、供給ローラ142、及び現像ローラのそれぞれに400Vの電圧を印加する。
その他、現像コントローラ157の制御の下、ローラ141〜143の回転方向は第3ステップと同様の通常方向とされ、現像剤循環コントローラ157の制御の下、供給ノズル278からは現像剤が吐出される。
ポンプ制御部156cは、後述の第4ステップの開始前に、ポンプP5を稼動させて、現像容器14内の現像剤量を、支持ローラ143が浸らない程度にまで減少させるようになっていてもよい。
なお、第1〜第3ステップにおいて、特に言及しなかったポンプ制御部156cは、上記<5.>欄で述べた現像剤循環コントローラ158の制御と同様の制御を行えばよい。
また、各ステップ、特に第1ステップにおいては、ローラ141〜143の回転開始のタイミングは、
〔2〕その他の実施形態
a)画像形成装置1は、本発明を適用した装置の一例に過ぎない。本発明が適用される装置としては、プリンタ以外にも、コピー機、若しくはファクシミリ機、又はこれらの機能を併せ持つ所謂複合機(MFP、Multi Function Peripheral)が挙げられる。
b)供給ローラは支持ローラ上の現像剤を受け取る位置に配置されていればよく、現像ローラは供給ローラ上の現像剤を受け取る位置に配置されていればよい。「受け取る位置」とは、第1実施形態のローラ141〜143のように、各ローラが互いに接触している位置である必要はない。
c)現像剤供給装置は、支持ローラ上に現像剤を供給するようになっていればよく、「支持ローラ上に現像剤を供給する」とは、少なくとも支持ローラに現像剤を付着させることであればよく、付着させるための具体的な方法は、吐出であっても浸漬であってもよく、適宜変更可能である。
d)現像装置が支持ローラに接触するように配置されたクリーニング部材を備える場合、現像剤供給装置は、現像時に支持ローラに現像剤を供給する第1供給部、及び非現像時に現像剤を供給する第2供給部を備えることが好ましい。
支持クリーニング部材148はこのクリーニング部材の一例に過ぎず、他の部材に置き換えることができる。
第1実施形態では、特に、ポンプP7、供給ノズル278、及び現像コントローラ157が、第1供給部として機能する。さらにいえば、ポンプP7及び供給ノズル278は、第1供給部における吐出部の一例であり、現像コントローラ157は、第1供給部における第1吐出制御部の一例である。第1供給部は、これに限定されるものではなく、支持ローラの一部を現像剤に浸すことで支持ローラに現像剤を付着させる機構であってもよい。
第1実施形態では、現像容器140及びポンプ制御部156cが、第2供給部として機能する。さらにいえば、現像容器140は、支持ローラを現像剤に浸すように配置された容器の一例であり、ポンプ制御部156cは、現像剤に支持ローラが浸るように吐出部に現像剤を吐出させる第2吐出制御部の一例である。第2供給部はこの構成に限定されるものではなく、ポンプP7及び供給ノズル278のように、現像剤を吐出する機構であってもよい。
また、ポンプ制御部156cは、第3ステップにおいて、ポンプP7及び供給ノズル278によって支持ローラ143に現像剤を供給しているので、第3吐出制御部としても機能しているといえる。
e)電位差発生装置は、トナーが供給ローラから支持ローラへ移動するような電位差を、支持ローラと供給ローラとの間に発生させるようになっていればよい。
第1電源151、第2電源152、電源駆動装置154、及び電位差制御部156aは、電位差発生装置の一例に過ぎない。さらにいえば、第1電源151及び第1電源駆動部154aは第1電圧印加部の一例であり、第2電源152及び第2電源駆動部154bは、第2電圧印加部の一例であり、電位差制御部156aは電位差発生制御部の一例に過ぎない。
発生する電位差は、供給ローラに、現像剤供給装置から供給される現像剤、又は現像実行時に支持ローラから受け取る現像剤よりも、低濃度の現像剤が供給される範囲であればよく、具体的に限定されるものではない。例えば、第1実施形態のように供給ローラ142にトナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加する代わりに、電位差発生装置は、支持ローラ143にトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧を印加するようになっていてもよいし、供給ローラ142にトナーの帯電極性と同極性のバイアス電圧を印加すると共に、支持ローラ143にトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧を印加するようになっていてもよい。
なお、「電位差」は「電圧差」と言い換えることもできる。
f)第1電源151、第2電源152、第1電源駆動部154a、第2電源駆動部154b、及び現像コントローラ157は、電位差解消装置の一例に過ぎない。さらにいえば、第1電源151及び第1電源駆動部154aは第1電圧印加部の一例であり、第2電源152及び第2電源駆動部154aは、第2電圧印加部の一例であり、現像コントローラ157は電位差解消制御部の一例に過ぎない。
「電位差を解消する」とは、現像が可能な程度に電位差を低減する、と言い換えてもよい。すなわち、「電位差を解消する」とは、第1実施形態のように、第1及び第2ローラに印加される電位値を同一とすることであってもよいし、「電位差を低減する」ことであってもよい。
g)逆回転装置は、支持ローラ、現像ローラ、及び供給ローラを、各ローラの対向面が互いに同方向に移動するよう回転させるようになっていればよい。具体的には、逆回転装置は、支持ローラと現像ローラとを同一方向に回転させ、供給ローラを逆方向に回転させるようになっていればよい。
第1実施形態の回転制御部156b及びローラ駆動装置153は、逆回転装置の一例として、支持ローラ143及び供給ローラ142を、現像時とは逆方向に回転させるようになっている。ただし、これ以外にも、回転制御部156b及びローラ駆動装置153が、現像ローラ141を現像実行時とは逆方向に回転させ、他の2つのローラ142及び143の回転方向を現像時と同一とするようになっていてもよい。
また、回転制御部156bは、回転停止部としても機能する。
h)第1実施形態の現像コントローラ157及びローラ駆動装置153は、通常回転装置の一例である。通常回転装置は、供給ローラを現像ローラとの対向面が互いに方向に移動し、かつ現像ローラと供給ローラとの対向面が互いに逆方向に移動するように、各ローラを回転させるようになっていればよい。具体的には、通常回転装置は、現像ローラと供給ローラとを同一方向に回転させ、支持ローラを逆方向に回転させるようになっていればよい。
また、第1実施形態では、第1回転装置と第2回転装置とは、ローラ駆動装置153が共通しているが、他の形態として、第1及び第2回転装置が、それぞれ別個の駆動装置を備えていてもよい。
i)現像非実行時における現像剤供給装置、電位差発生装置、及び逆回転装置の稼動タイミングは、特に現像開始前が好ましく、さらに具体的には、図示しない主電源の投入時、スリープからの復帰時、又は現像ユニット14の停止期間が所定値を超えたとき等、適宜設定可能である。停止期間の所定値については、図示しないタイマでカウントすることができる。
また、このときの現像剤供給装置、電位差発生装置、及び第1回転装置の稼動のそれぞれの開始順序並びに停止順序は、特に限定されるものではない。
ただし、トルク減少の効果を得るには、逆回転装置の稼動の開始、すなわち第1実施形態の第2ステップにおけるローラ141〜143の回転の開始は、少なくとも、現像剤の供給の開始及び電位差発生に先行しないことが好ましい。すなわち、逆回転装置の稼動の開始は、現像剤の供給の開始及び電位差発生と同時又はそれよりも後であることが好ましい。
電位差発生装置は、現像剤供給装置の稼働中に稼動できればよい。すなわち、電位差発生装置は、現像剤供給装置の稼働中だけでなく、停止中に電位差を発生させてもよい。つまり、現像剤供給装置の稼動開始タイミングと電位差発生装置の稼動開始タイミングとは、どちらが先行してもよいし、停止タイミングもどちらが先行してもよい。
j)また、現像非実行時における現像剤供給装置、電位差発生装置、及び逆回転装置の稼動の継続時間も、トルク低減という効果を発揮できる範囲で、適宜変更可能である。例えば、図示しないタイマによって計測される所定時間に渡って、起動コントローラ156が、起動動作を継続するように各部を制御するようになっていてもよい。起動動作の継続時間は、現像剤の特性、現像装置の構成等に応じて、適宜変更される。現像剤の特性としては、キャリア液の組成、トナーの特性、及びトナー濃度等が挙げられ、現像装置の構成としては、各ローラ141〜143の表面の材質、半径、及び回転速度、並びにブレード145等の他の部材の配置等が挙げられる。
例えば、第1実施形態における第2ステップから第3ステップの動作は、この稼動によって供給された低濃度の現像剤が、現像ローラ141に接触する部材及び供給ローラ142と接触する部材を濡らすまで、継続されることが好ましい。すなわち、供給ローラ142において、支持ローラ143とのニップに位置した部分が、現像ローラ141とのニップまで移動する時間と、現像ローラ141において、供給ローラ142とのニップに位置した部分が、現像クリーニングブレード145に接触する位置まで移動する時間と、を足した時間が、継続時間として設定されることが好ましい。さらに、供給ローラ142が少なくとも一周回転することが好ましい。このように継続時間が設定されることによって、ローラ141〜143の回転トルクがより低減される。
k)支持ローラ上での、上記第1供給部からの現像剤を受け取る位置、供給ローラに現像剤を渡す位置、第2供給部からの現像剤を受け取る位置、及びクリーニング部材に接触する位置は、通常回転装置による支持ローラの回転方向に沿って、この順に配置されることが好ましい。言い換えると、支持ローラの周囲には、通常回転装置による支持ローラの回転方向に沿って、第1供給部と、第2供給部と、クリーニング部材と、がこの順に配置されており、供給ローラは、第1供給部と第2供給部との間に配置されていればよい。
l)以上、異なる欄に記載した形態を互いに組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。