以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1〜図3を用いて本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1の概略構成を説明する。図1は、カラープリンタ1の全体構成を示す概略断面図であり、図2は、液体現像剤循環部の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図であり、図3は、画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。
図1に示すように、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環部LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
図2に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部4と、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部5と、定着の完了した用紙を排紙する排紙部6と、用紙収納部3から排紙部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とが含まれている。
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
中間転写ベルト21は、導電性を有する使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図1、図2において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、露光装置12と、現像器14と、一次転写ローラ20と、クリーニング部26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
各画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBに対応して、それぞれ液体現像剤循環部LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環部LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図2、図3において反時計回りに回転可能な部材である。
帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができるものである。露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
現像器14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
図3に示すように、現像器14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収部146及び現像ローラ帯電器147を含む。
現像容器140は、内部にトナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、パイプ96を通して液体現像剤循環部で回収される(図4参照)。
支持ローラ143は、現像容器140の略中央に配置され、供給ローラ142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置され、その周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図中に点線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転され、これにより現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の帯電電位を与えることで、現像ローラ141に担持された現像剤層中のトナーを現像ローラ141の表面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の、供給ローラ142との接触部の回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部の上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられている。
現像ローラ141は感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
現像剤回収部146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、スクリューローラ148によって液体現像剤循環部の第1パイプ81へこの液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収部146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラ149備えられている。
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
クリーニング部26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするためのものであって、現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備えている。現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング部26内に収納された液体現像剤をクリーニング部の外部に搬送するための部材であって、クリーニング部26内に配置されている。
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4(図2参照)が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。除去されたキャリア液は、パイプ(図略)を通して液体現像剤循環部で回収される。
図2に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、上側本体部1Aの下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセットを有している。二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する部分であって、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。
クリーニング部22は、トナー像を用紙に転写した後に中間転写ベルト21上に残留したキャリア液をクリーニングするためのものであって、液体現像剤をクリーニングブレードによって掻き取り、クリーニング部22外部の液体現像剤循環部に搬送する。
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分であって、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラと、加熱ローラに対向して配置された加圧ローラとを有している。排紙部6は、定着部5でトナー像が定着された用紙が排出される部分であって、カラープリンタ1の上部に配置されている。用紙搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、用紙収納部3から二次転写部4や定着部5、排紙部6に用紙を搬送する。
図4〜図7に基づいて、液体現像剤循環部の構成を説明する。図4は液体現像剤循環部LYの全体の構成を模式的に示す図であり、図5は液体現像剤循環部のポンプの構成を示す一部断面した図であり、図6はポンプ駆動により供給される液体現像剤の、時間経過に対する現像剤リザーブタンクへの供給量を示す図である。図7は液体現像剤循環部の制御部における機能構成を示すブロック図である。尚、液体現像剤循環部LM、LC、LBは液体現像剤循環部LYと同じ構成であるので、図4の液体現像剤循環部LYを代表させて説明する。
図4に示すように、液体現像剤循環部LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤を供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤(トナーとキャリア液との混合物)と、トナー像を用紙に転写した後にクリーニング部22及びキャリア液除去ローラ30によって中間転写ベルト21の表面から掻き取られた残留現像剤(主にキャリア液)と、供給ローラブレード144(図3参照)によって供給ローラ142から掻き取られた残留現像剤とを循環させ再利用するための装置である。
液体現像剤循環部LYは、残留現像剤タンク271、現像剤濃度調整部としての現像剤生成容器272、固形分濃度検出部273、キャリアタンク274、トナータンク275、調整現像剤貯留部としての現像剤リザーブタンク277、キャリア分離器279、濾過部95、キャリア液リザーブタンク99、回収タンク97、それらのタンクを接続する複数のパイプ81〜87、881〜890、及びポンプP1〜P18を備えている。
残留現像剤タンク271は、現像器14に第1パイプ81及びパイプ96を介して接続され、現像器14側から回収された液体現像剤を貯留可能なタンクである。第1パイプ81及びパイプ96の途中には、それぞれ第1ポンプP1及びポンプP8が取り付けられている。
現像器14において、感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に搬送される。また、現像器14において、供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140の底部に回収された液体現像剤は、ポンプP8の駆動によりパイプ96を通して残留現像剤タンク271に搬送される。残留現像剤タンク271に回収されたこれらの残留現像剤は現像剤生成容器272に搬送される。
残留現像剤タンク271から現像剤生成容器272に残留現像剤を搬送するために、現像剤生成容器272は残留現像剤タンク271と第2パイプ82を介して接続されており、この第2パイプ82には第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤は、第2ポンプP2の駆動により第2パイプ82を通して現像剤生成容器272に搬送される。以上の第1パイプ81、第2パイプ82、パイプ96、第1ポンプP1、第2ポンプP2、ポンプP8及び残留現像剤タンク271が回収搬送部を構成している。
現像剤生成容器272は、上記の残留現像剤に現像器14で用いられる液体現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、残留現像剤のトナー濃度を適正範囲に調整するものである。また、現像剤生成容器272内に貯留する液体現像剤量が第1液量検知部101によって常時検知されて、液体現像剤の液量が適正範囲に調整されている。所定のトナー濃度に調整された液体現像剤(濃度調整済み現像剤)は、撹拌部材276によって撹拌されて、現像剤リザーブタンク277を供給される。
第1液量検知部101は、現像剤生成容器272に貯留された液体現像剤の液面を検知する、赤外線を用いた光学式の液面センサであるが、電気抵抗の変化を利用する液面センサでもよく、また液面センサの替わりに重量センサを用いてもよい。
固形分濃度検出器273は、現像剤生成容器272内に貯留される液体現像剤のトナーの濃度を検出するためのものである。現像剤生成容器272に接続されている環状の循環パイプ85に、固形分濃度検出器273が接続されている。この循環パイプ85にはポンプP5が取り付けられている。現像剤生成容器272内の液体現像剤は、ポンプP5の駆動により循環パイプ85の入口端から固形分濃度検出器273へ導かれ、その後、循環パイプ85の出口端から現像剤生成容器272に戻される。
トナータンク275は、現像器14で用いられる液体現像剤よりもトナー濃度が高い高濃度液体現像剤を貯留するタンクである。固形分濃度検出器273により、現像剤生成容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤生成容器272に高濃度液体現像剤が供給され、現像剤生成容器272内の液体現像剤のトナー濃度が上げられる。トナータンク275と現像剤生成容器272とはトナーパイプ86で接続されており、高濃度液体現像剤の現像剤生成容器272への供給は、トナーパイプ86の途中に設けられたポンプP6の駆動によって実行される。
また、トナータンク275は、後述する現像剤リザーブタンク277にトナー補給パイプ889で接続されており、現像剤リザーブタンク277に高濃度液体現像剤を供給可能であり、高濃度液体現像剤の現像剤リザーブタンク277への供給は、トナー補給パイプ889の途中に設けられたポンプP17の駆動によって実行される。また、トナータンク275から現像剤生成容器272と現像剤リザーブタンク277とに高濃度液体現像剤を常時供給することができるように、トナータンク275に貯留される高濃度液体現像剤の液量が検知され、高濃度液体現像剤量が少なくなると、トナータンク275に高濃度液体現像剤が補給されるようになっている。
キャリアタンク274は、キャリア液を貯留するタンクである。固形分濃度検出器273により、現像剤生成容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤生成容器272内にキャリア液が供給され、現像剤生成容器272内の液体現像剤のトナー濃度が下げられる。キャリアタンク274と現像剤生成容器272とはキャリアパイプ87で接続されており、このキャリア液の現像剤生成容器272への供給は、キャリアパイプ87の途中に設けられたポンプP7の駆動によって実行される。
また、キャリアタンク274は、後述する現像剤リザーブタンク277にキャリア液補給パイプ890で接続されており、現像剤リザーブタンク277にキャリア液を供給可能であり、キャリア液の現像剤リザーブタンク277への補給は、キャリア液補給パイプ890の途中に設けられたポンプP18の駆動によって実行される。
ここで、ポンプP17、P18について説明する。図5に示すように、ポンプP17、P18は、渦巻き型の遠心ポンプであり、羽根車111を回転させ、羽根車111の回りに生じる流れに沿って、液体現像剤を流し、図5の矢印方向にトナー補給パイプ889とキャリア液補給パイプ890に液体現像剤を搬送する。ポンプP17、P18は、各羽根車111の回転速度を異ならせ、現像剤リザーブタンク277に所定のトナー濃度の現像剤が補給されるようにしている。つまり、図6に示すように、所定のトナー濃度として、キャリア液1に対して高濃度液体現像剤が6の比率である液体現像剤が、常に現像剤リザーブタンク277に補給されるように、高濃度液体現像剤を搬送するポンプP17の羽根車111は、キャリア液を搬送するポンプP18の羽根車111の回転速度より6倍大きく設定されている。従ってトナー補給パイプ889を搬送される高濃度液体現像剤が、キャリア液補給パイプ890を搬送するキャリア液に対して、常に所定の比率で搬送され、現像剤リザーブタンク277に所定のトナー濃度になった液体現像剤が補給される。
図4に戻って、現像剤リザーブタンク277は、現像器14に供給する液体現像剤を貯留するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤生成容器272と第3パイプ83で接続されており、第3パイプ83の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって、現像剤生成容器272から所定のトナー濃度に調整された濃度調整済み現像剤の供給を受ける。また、現像剤リザーブタンク277は、トナータンク275とトナー補給パイプ889で接続され、キャリアタンク274とキャリア液補給パイプ890で接続され、ポンプP17、P18の駆動よって、トナータンク275とキャリアタンク274から所定の比率の高濃度液体現像剤とキャリア液との供給を受けることが可能である。
現像剤リザーブタンク277内に貯留する液体現像剤量が第2液量検知部102と第3液量検知部103によって常時検知されて、液体現像剤の液量が適正範囲に調整される。第2液量検知部102は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤が所定量以下になっていないかどうかを検知する液面センサであり、第3液量検知部103は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤が所定量以上になっていないかどうかを検知する液面センサである。第2及び第3液量検知部102、103は、赤外線を用いた光学式の液面センサであるが、電気抵抗の変化を利用する液面センサでもよく、また液面センサの替わりに重量センサを用いてもよい。
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、現像器14(現像容器140)へ供給するための部材である。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは第4パイプ84で接続されており、現像剤リザーブタンク277から液体現像剤の現像器14への供給は、第4パイプ84に取り付けられた第4ポンプP4の駆動によって実行される。以上の第3パイプ83、第4パイプ84、第3ポンプP3、第4ポンプP4及び現像剤リザーブタンク277が供給搬送部を構成している。
キャリア分離器279は、クリーニング部22、26及びキャリア液除去ローラ30(図3参照)で回収された液体現像剤からキャリア液を分離して抽出するものである。クリーニング部22、26及びキャリア液除去ローラ30とキャリア分離器279との間は、濾過部95、キャリア液リザーブタンク99及び回収タンク97が、ポンプを配設したパイプ881〜887で接続されている。
濾過部95は、クリーニング部26にパイプ881を介して接続され、クリーニング部26で掻き取られた液体現像剤(トナーとキャリア液との混合物)から凝集したトナー(キャリア液を幾分か含む)を分離するものである。パイプ881の途中にはポンプP9が取り付けられ、液体現像剤がポンプP9の駆動によりクリーニング部26から濾過部95にパイプ881を通して搬送される。
キャリア液リザーブタンク99は、濾過部95にパイプ882を介して接続され、濾過部95で分離された凝集トナー以外の液体現像剤を貯留するタンクである。パイプ882の途中にはポンプP11が取り付けられ、液体現像剤がポンプP11の駆動により濾過部95からキャリア液リザーブタンク99にパイプ882を通して搬送される。また、キャリア液リザーブタンク99は、回収タンク97にもパイプ885を介して接続され、パイプ885の途中に取り付けられたポンプP14の駆動により、回収タンク97の液体現像剤(主にキャリア液)がパイプ885を通してキャリア液リザーブタンク99に搬送される。
回収タンク97は、濾過部95にパイプ883を介して接続され、濾過部95で分離された凝集トナーを貯留する。パイプ883の途中には、ポンプP12が取り付けられ、凝集トナーがポンプP12の駆動により濾過部95から回収タンク97にパイプ883を通して搬送される。
また、回収タンク97は、クリーニング部22にパイプ883及び884を介して接続され、クリーニング部22で掻き取られた液体現像剤(主にキャリア液)を貯留する。パイプ884の途中にはポンプP13が取り付けられ、液体現像剤(主にキャリア液)がポンプP13、P12の駆動によりクリーニング部22から回収タンク97にパイプ884及び883を通して搬送される。
回収タンク97では、貯留された液体現像剤と凝集トナーからトナーとキャリア液に分離して、キャリア液を回収タンク97外に排出し、トナーを回収タンク97内に貯留する。
回収タンク97で分離されたキャリア液は、キャリア液リザーブタンク99にパイプ885を通して搬送される。キャリア液リザーブタンク99は、キャリア分離器279にパイプ886を介して接続されている。パイプ886に取り付けたポンプP15の駆動により、液体現像剤は、パイプ886を通してキャリア分離器279に送られる。
また、キャリア分離器279とキャリアタンク274との間には、ポンプP10を取り付けたパイプ888が接続されているので、キャリア分離器279で抽出されたキャリア液は、ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られ、キャリアタンク274に貯留される。尚、キャリアタンク274から現像剤生成容器272と現像剤リザーブタンク277にキャリア液を常時供給することができるように、キャリアタンク274に貯留されるキャリア液の液量が検知され、キャリア液が少なくなると、キャリアタンク274にキャリア液が補給されるようになっている。
上述したポンプP1〜P18の駆動は、第1〜第3液量検知部101〜103等に基づいて制御部90により制御される。制御部90は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Merory)などを含む。
図7は、制御部90の機能構成を示すブロック図である。制御部90は、液面判定部93とポンプ制御部94を備えている。
液面判定部93は、第1〜第3液量検知部101〜103等の液面センサから液面信号を入力し、各タンク・容器の液量を判定し、判定結果をポンプ制御部94に出力する。ポンプ制御部94は、液面判定部93による液量の判定結果と、固形分濃度検出器273によるトナー濃度の判定結果に基づいて、ポンプP1〜P18に駆動又は停止の制御信号を与え、これらに関係するポンプの動作を制御する。
先ず、図1、図2に基づいて、本実施形態に係る湿式のカラープリンタ1の画像形成動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けると、カラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像器14から液体現像剤が供給される。このようにして各画像形成ユニットで形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このトナー像の形成と同期して、用紙収納部3に収容されている用紙が給紙装置(図略)で用紙収納部3から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部7に沿って搬送される。そして、用紙は中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。
トナー像が転写された用紙は、さらに定着部5に搬送されて熱と圧力が加えられ、トナー像が用紙に溶融定着される。さらに用紙は排出部6によってカラープリンタ1の外部に排紙される。二次転写後、中間転写ベルト21に残留したトナーは、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって中間転写ベルト21から除去される。
次に、図3、図4及び図7に基づいて、液体現像剤循環装置LYの初期動作、すなわちカラープリンタ1を起動させた状態から、現像剤リザーブタンクに液体現像剤が貯留され現像器に供給されるまでの動作について説明する。
カラープリンタ1が設置されて始めて起動させられる場合、またはカラープリンタ1がメンテナンス後に起動させられる場合、つまり現像剤生成容器272に液体現像剤が全く貯留されていない状態の時、第1液量検知部101によって現像剤生成容器272の現像剤液量が検知されるが、第1液量検知部101の検知結果は所定量以下になっている。液面判定部93は、液体現像剤の液面の高さが所定量以下であると判定すると、その判定結果に基づいて、ポンプ制御部94は、ポンプP17を駆動させ、トナータンク275から高濃度液体現像剤をトナー補給パイプ889に搬送し、現像剤リザーブタンク277に高濃度液体現像剤を供給する。ポンプP17を駆動させるのと同時に、ポンプ制御部94は、ポンプP18を駆動させ、キャリアタンク274からキャリア液をキャリア液補給パイク890に搬送し、現像剤リザーブタンク277にキャリア液を供給する。現像剤リザーブタンク277では、この高濃度液体現像剤とキャリア液が所定の比率で混合されることになり、適正なトナー濃度の液体現像剤が補給されたことになる。さらに、ポンプ制御部94は、第4ポンプP4を駆動させ、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、第4パイプ84と供給ノズル278に搬送して現像器14に供給する。
次に、画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を通って残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤も、パイプ96を通って残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング部22、26とで回収された液体現像剤からキャリア分離器279にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。ポンプ制御部94は、このような液体循環を実行させるため、第1ポンプP1、ポンプP8、P9、P13及びP10を駆動させる。
残留現像剤タンク271に回収される残量現像剤は、ポンプ制御部94による第2ポンプP2の駆動によって、残留現像剤タンク271から第2パイプ82を通って現像剤生成容器272に供給される。そして制御部90が撹拌部材276のモータ(図略)を回転駆動させると、現像剤生成容器272内の残留現像剤は撹拌部材276によって撹拌される。
液面判定部93は、第1液量検知部101によって検知された液体現像剤の液面の高さが、撹拌、トナー濃度調整を行えるものであると判定すると、その判定結果に基づいて、ポンプ制御部94は、第2ポンプP2の駆動を停止させて、現像剤生成容器272に対する残留現像剤の供給をストップさせる。
現像剤生成容器272に所定量の液体現像剤が貯留されると、次に、固形分濃度検出器273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。固形分濃度検出器273により、液体現像剤のトナー濃度が高いことが検出された場合、ポンプ制御部94は、ポンプP7を駆動させて、キャリアタンク274からキャリア液をキャリアパイプ87に搬送して現像剤生成容器272へ供給させる。一方、トナー濃度が低いことが検出された場合には、ポンプ制御部94は、ポンプP6を駆動させて、トナータンク275から高濃度液体現像剤をトナーパイプ86に搬送して現像剤生成容器272へ供給させる。
その後、再度固形分濃度検出器273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。そして、トナー濃度が適正範囲であり、また第3液量検知部103によって検知された現像剤リザーブタンク277の現像剤液量が所定量以上になっていないならば、ポンプ制御部94は、第3ポンプP3を駆動させて、現像剤生成容器272から液体現像剤を第3パイプ83に搬送して現像剤リザーブタンク277へ供給させる。さらに、ポンプ制御部94は、適宜第4ポンプP4を駆動させ、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、第4パイプ84と供給ノズル278に搬送して現像器14に供給させる。
ここで、現像剤リザーブタンク277に貯留される液体現像剤が減少して、第2液量検知部102によって検知される現像剤リザーブタンク277の現像剤液量が所定量以下になると、ポンプ制御部94は、ポンプP17を駆動させ、トナータンク275から高濃度液体現像剤をトナー補給パイプ889に搬送し、現像剤リザーブタンク277に高濃度液体現像剤を補給する。ポンプP17を駆動させるのと同時に、ポンプ制御部94は、ポンプP18を駆動させ、キャリアタンク274からキャリア液をキャリア液補給パイク890に搬送し、現像剤リザーブタンク277にキャリア液を補給する。現像剤リザーブタンク277では、この高濃度液体現像剤とキャリア液が所定の比率で混合されることになり、適正なトナー濃度の液体現像剤が補給されたことになる。尚、現像剤リザーブタンク277の液体現像剤が所定量以下になると、本実施形態ではキャリアタンク274とトナータンク275からそれぞれ高濃度液体現像剤とキャリア液を供給しているが、本実施形態に替えて、キャリアタンク274とトナータンク275からの供給とともに、現像剤生成容器272が液体現像剤を十分に貯留しているのなら、現像剤生成容器272から液体現像剤を現像剤リザーブタンク277に供給してもよい。この場合、現像剤リザーブタンク277が液体現像剤を迅速に満たすことができる。
上記第1実施形態によれば、画像形成装置は、トナーとキャリア液を混合した液体現像剤を感光体ドラム10に供給して静電潜像を現像する現像器14と、この現像器14の現像後に残留した残留現像剤を貯留し、トナー濃度を調整する現像剤生成容器272と、キャリア液を貯留し現像剤生成容器272に接続されるキャリアタンク274と、高濃度液体現像剤を貯留し現像剤生成容器272に接続されるトナータンク275と、現像器14から現像剤生成容器272に残留現像剤を搬送する回収搬送部と、残留現像剤にキャリア液または高濃度液体現像剤を加えてトナー濃度調整した濃度調整済み現像剤を現像剤生成容器272から現像器14に搬送する供給搬送部と、この供給搬送部に設けられ濃度調整済み現像剤を貯留する現像剤リザーブタンク277とを備える。さらに、画像形成装置は、キャリタンク274から現像剤リザーブタンク277に所定量のキャリア液を搬送するキャリア液補給パイプ890及びポンプP18と、トナータンク275から現像剤リザーブタンク277に所定量の高濃度液体現像剤を搬送するトナー補給パイプ889及びポンプP17とを備える。
この構成によると、現像器14から感光体ドラム10に液体現像剤を供給して静電潜像を現像して、現像器14の液体現像剤が消費されると、液体現像剤を現像器14に補給する必要がある。液体現像剤を補給するには、現像剤生成容器272から濃度調整済み現像剤が現像剤リザーブタンク277に供給される。または、キャリア液補給パイプ890及びポンプP18によって、キャリタンク274から現像剤リザーブタンク277に所定量のキャリア液が搬送されるとともに、トナー補給パイプ889及びポンプP17によって、トナータンク275から現像剤リザーブタンク277に所定量の高濃度液体現像剤が搬送され、所定濃度になった液体現像剤が現像剤リザーブタンク277に供給される。上記のどちらかによって、現像剤リザーブタンク277から液体現像剤を現像器14に補給することができる。従って、低濃度画像や高濃度画像等、印刷される画像にかかわらず、また連続印刷等の印刷の形態にかかわず、液体現像剤を現像器14に安定して供給することができる。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る液体現像剤循環部LYの全体の構成を模式的に示す図である。第1実施形態と異なる、現像剤タンクについて説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
現像剤タンク280は、第1実施形態におけるキャリア液1に対して高濃度液体現像剤6の比率で混合し、所定のトナー濃度にした液体現像剤を貯留するタンクである。現像剤タンク280と現像剤リザーブタンク277とは、現像剤補給パイプ891で接続されおり、現像剤補給パイプ891の途中に設けられたポンプP19の駆動によって、現像剤タンク280から液体現像剤が現像剤リザーブタンク277に供給される。従って、トナータンク275は、現像剤生成容器272に高濃度液体現像剤を供給するように接続され、キャリアタンク274は、現像剤生成容器272にキャリア液を供給するように接続されている。
カラープリンタ1が設置されて始めて起動させられる場合、またはカラープリンタ1がメンテナンス後に起動させられる場合、つまり現像剤生成容器272に液体現像剤が全く貯留されていない状態の時、第1液量検知部101によって現像剤生成容器272の現像剤液量が検知されるが、第1液量検知部101の検知結果は所定量以下になっている。液面判定部93は、液体現像剤の液面の高さが所定量以下であると判定すると、その判定結果に基づいて、ポンプ制御部94は、ポンプP19を駆動させ、現像剤タンク280から所定トナー濃度の液体現像剤を現像剤補給パイプ891に搬送し、現像剤リザーブタンク277に液体現像剤を供給する。さらに、ポンプ制御部94は、第4ポンプP4を駆動させ、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、第4パイプ84と供給ノズル278に搬送して現像器14に供給する。
また、画像形成動作時に、現像剤リザーブタンク277に貯留される液体現像剤が減少して、第2液量検知部102によって検知される現像剤液量が所定量以下になると、液面判定部93の判定結果に基づいて、ポンプ制御部94は、ポンプP19を駆動させ、現像剤タンク280から所定トナー濃度の液体現像剤を現像剤補給パイプ891に搬送し、現像剤リザーブタンク277に液体現像剤を供給する。さらに、ポンプ制御部94は、第4ポンプP4を駆動させ、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、第4パイプ84と供給ノズル278に搬送して現像器14に供給する。
上記第2実施形態によれば、画像形成装置は、トナーとキャリア液を混合した液体現像剤を感光体ドラム10に供給して静電潜像を現像する現像器14と、この現像器14の現像後に残留した残留現像剤を貯留し、トナー濃度を調整する現像剤生成容器272と、キャリア液を貯留し現像剤生成容器272に接続されるキャリアタンク274と、高濃度液体現像剤を貯留し現像剤生成容器272に接続されるトナータンク275と、現像器14から現像剤生成容器272に残留現像剤を搬送する回収搬送部と、残留現像剤にキャリア液または高濃度液体現像剤を加えてトナー濃度調整した濃度調整済み現像剤を現像剤生成容器272から現像器14に搬送する供給搬送部と、この供給搬送部に設けられ濃度調整済み現像剤を貯留する現像剤リザーブタンク277とを備える。さらに、画像形成装置は、所定濃度の液体現像剤を貯留する現像剤タンク280と、この現像剤タンク280から現像剤リザーブタンク277に所定濃度の液体現像剤を搬送する現像剤補給パイプ891及びポンプP19とを備える。
この構成によると、現像器14から感光体ドラム10に液体現像剤を供給して静電潜像を現像して、現像器14の液体現像剤が消費されると、液体現像剤を現像器14に補給する必要がある。液体現像剤を補給するには、現像剤生成容器272から濃度調整済み現像剤が現像剤リザーブタンク277に供給されるか、または、現像剤補給パイプ891及びポンプP19によって、現像剤タンク280から現像剤リザーブタンク277に所定濃度の液体現像剤が搬送される、どちらかによって、現像剤リザーブタンク277から液体現像剤を現像器14に補給することができる。従って、低濃度画像や高濃度画像等、印刷される画像にかかわらず、また連続印刷等の印刷の形態にかかわず、液体現像剤を現像器14に安定して供給することができる。