本発明の実施形態の発泡成形を行う射出成形機11について、図1を参照して説明する。射出成形機11は、型締装置12とその側方に設けられた射出装置13から基本的な部分が構成される。本実施形態の型締装置12は、固定金型14が取付けられる固定盤15に対して可動金型16が取付けられる可動盤17を型開閉機構18により移動させ、ハーフナット機構19のハーフナット20を係合部21に係合した後に型締機構22により型締を行うものである。更に詳しくは型締装置12は、ベッド上に固定盤15と受圧盤23とが設けられ、固定盤15と受圧盤23の間には四本のタイバ24が平行に配設されている。そしてタイバ24には、可動盤17が挿通され、可動盤17は固定盤15に対して型開閉方向に移動可能となっている。
次に型開閉機構18について説明する。固定盤15には型開閉機構18のサーボモータ25が固定されるとともに、ボールネジ26が型開閉方向には移動不可能であって回転可能に固定盤15に軸支されている。そしてサーボモータ25の駆動軸の回転によりボールネジ26が回転されるように接続されている。固定盤15および固定金型14に対する可動盤17および可動金型16の位置は、型開閉機構18のサーボモータ25の位置センサであるロータリエンコーダ28により検出される。また可動盤17のブラケット17aにはボールネジナット27が固定され、前記ボールネジナット27にボールネジ26が回転自在に挿通されてボールネジ機構が構成されている。そしてボールネジ26の他端は受圧盤23に回転可能に軸支されている。本実施形態では型開閉機構18は、固定盤15および可動盤17の一側面下部と他側面上部の2箇所に対角方向に設けられている。なお型開閉機構18は、大型の発泡成形品や高精度の発泡成形品を成形するものでは、3基以上、望ましくは4基設けられるようにしてもよい。更には型開閉機構18としては、ベッド上、可動盤17、および受圧盤23のいずれかにサーボモータ25等の電動機が取付けられたものでもよい。
そして一方の型開閉機構18の可動盤17のブラケット17aとボールネジナット27との間には力検出手段であるロードセル40が取付けられている。ロードセル40は、発泡成形時に可動盤17の型開方向への後退力を検出する検出手段であり、本実施形態では片方の型開閉機構18のボールネジナット27と可動盤17のブラケット17aの間に取付けられているが、両方の型開閉機構18に取付けてもよい。またロードセル40は可動金型16と可動盤17の間など、可動金型16の後退力が検出可能な他の部分に取付けてもよい。
次に流体機構である油圧機構を用いた型締機構22について説明する。 受圧盤23には復動シリンダである型締シリンダ29のシリンダ筒30が形成されている。そして前記シリンダ筒30の内部には、円筒状の型締ラム31が挿通されている。また受圧盤23と型締ラム31の両者に亘って型締ラム31の位置を検出する位置センサ36が取付けられている。またシリンダ筒30と型締ラム31の間には型締側油室32aおよび型開側油室32bが形成されるようになっている。そして前記型締側油室32aには、ポンプ33からサーボバルブ34を介して作動油が供給されるようになっている。なおサーボバルブ34からは型締側油室32aおよび型開側油室32bの両方に接続されるようにしてもよい。また型締シリンダ29を制御するバルブについては、サーボバルブ34と同様にクローズドループ制御により流量制御可能な機能を有するバルブを用いてもよい。更に型締機構については、固定盤等の四隅近傍に各タイバをロッドとする型締シリンダをそれぞれ設けたものや他の油圧機構により型締等を行うものでもよい。更にまた型締装置については、縦方向に型開閉されるものでもよい。
型締ラム31の先端側にはハーフナット機構19が取付けられている。ハーフナット機構19は、凹凸形状の歯部を有する向かい合う一対のハーフナット20からなり、可動盤17のメカニカルラム37の係合部21に対して進退する。一方可動盤17の背面中央には、受圧盤23側に向けて円柱状のメカニカルラム37が固定されている。可動盤17の一部であるメカニカルラム37の周囲の円筒面には、ハーフナット20の歯部と係合する溝部が複数形成された係合部21が設けられている。
射出装置13は公知のものであり、樹脂ペレットを可塑化させて溶融樹脂とし、前記溶融樹脂をスクリュ等の前進により固定金型14と可動金型16の間に形成されたキャビティCへ射出する。射出装置13の駆動源は電動でも油圧でもよく、スクリュ以外にプランジャにより射出するものでもよい。また場合によっては射出装置13のノズルにはシャットオフバルブ等のバルブを設けてもよい。本実施形態では、射出装置13の加熱筒に対して、窒素ガス等の発泡ガスを供給するガス供給手段35が設けられている。
本実施形態において型締装置12に取付けられる成形金型は、インロー構造と呼ばれるものである。具体的には固定金型14の凹状のキャビティブロック14aに可動金型16の突状のコアブロック16aが挿入されることにより固定金型14と可動金型16の間に容積が変更可能なキャビティCが形成されるものである。そして固定金型14のコアブロック14aの側面と可動金型16のコアブロック16aの側面の間は、僅かな間隔に設定されており、固定金型14に対して可動金型16が移動しても溶融樹脂が漏れないようになっている。なお、成形金型については、上記のインロー構造の金型以外に、可動金型の枠部が可動金型のコア部に対して相対的に型開閉方向に移動可能な平当て金型を用いたものであってもよい。前記平当て金型の場合、枠部の前面が固定金型の面と当接され、固定金型のキャビティ面と枠部の内側キャビティ面とコア部のキャビティ面とにより容積可変のキャビティが形成される。
また射出成形機11の制御装置38については、サーボアンプ41を介して型開閉機構18のサーボモータ25に接続され(図1では一方のサーボモータ25への接続は記載省略)、サーボモータ25の指令信号が制御装置38からサーボアンプ41へ送信されるようになっている。また制御装置38は、可動盤17の型開方向への後退力を検出するロードセル40に接続され、ロードセル40により検出された信号(電流値p1)が制御装置38へ入力されるようになっている。更に制御装置38は、別のサーボアンプ42を介してサーボバルブ34に接続され、サーボバルブ34の指令信号が制御装置38からサーボアンプ42へ送信されるようになっている。また制御装置38は、図示を省略した油圧回路の各バルブ、射出装置13のサーボモータ等の駆動源、設定画面等にも接続され、射出成形機11全体の制御がなされるようになっている。
次に本実施形態の射出成形機11の制御方法について説明する。まず型開閉機構18のサーボモータ25が作動され、可動盤17と可動金型16が型閉方向に前進されて型閉が完了するとハーフナット20の歯部がメカニカルラム37の係合部21に向けて前進して、可動盤17と型締シリンダ29の型締ラム31が接続される。そして型締シリンダ29の型締側油室32aに作動油が送られて型締完了し、上記した固定金型14のキャビブロック14aと可動金型16のコアブロック16aの間に容積可変のキャビティCが形成される。一方、型締完了までに射出装置13の加熱筒内では溶融樹脂の計量が完了している。前記の計量時には射出装置13の加熱筒内の溶融樹脂には、ガス供給手段35から窒素ガス等の発泡ガスが供給され、溶融樹脂は発泡ガスを含んだ状態となっている。なおキャビティC内で発泡成形を行う際の発泡方法については、上記のものに限定されない。例えば材料とともに発泡材を加熱筒内に投入するものでもよく、ノズル部分やキャビティ内に向けて直接発泡ガスを投入するものでもよい。
次に図2−図3の本実施形態のフローチャートに示されるように、射出装置13のスクリュを前進させて前記キャビティC内に溶融樹脂の射出を開始する(S1)。一方キャビティC内に射出された発泡ガスを含む溶融樹脂は、加熱筒内よりもキャビティ内では圧力が低下するので発泡が進行する。この際の発泡の進行度は、溶融樹脂におけるガスの含有量や射出量のバラつき等から成形サイクル毎に僅かに変化し、また1回の成形中にも変化して外乱の要素となる。また熱可塑性樹脂を使用した場合、固定金型14および可動金型16は冷却されているので、キャビティC内の溶融樹脂は、金型のキャビティ面に当接する部分から冷却固化が進行する。
ここから発泡コアバック制御について説明する。次に射出装置13のスクリュが前進して設定されたコアバック開始位置に到達したかを検出し(S2)、到達した場合に、コアバック制御のうちの前半の可動盤後退制御(可動金型後退制御)を開始する。このコアバック開始位置については、保圧切換位置かそれよりもスクリュが前進した位置が設定されることが好ましい。ただし射出開始時からのタイマによる計時やキャビティ内の樹脂圧検出値等を用いて可動盤後退制御を開始してもよい。またコアバック開始位置を検出する検出手段とは別のタイマ等の手段により、射出完了が先に検出されたとき(S3)は、コアバック開始タイマの計時を開始し(S4)、タイムアップしたら可動盤後退制御を開始する。
可動盤後退制御については、まず油圧機構である型締シリンダ29の型締側油室32aの圧力を低下または一旦0にする型締圧抜を行う(S5)。そして次に可動盤17等(可動金型16を含む)を開始位置t1(型側の開始位置t1)から型開方向へ移動させる。その際に予め設定された移動速度に対応する指令信号を制御装置38からサーボアンプ41に送り、サーボモータ25を速度制御によりクローズドループ制御し、可動盤17等の型開を開始する(S6)。なお本実施形態では可動盤17等の設定速度は、可動盤後退制御区間t3の間、常時一定速度であるが、設定速度を変更するものや、速度曲線により速度が変更されるものでもよい。また途中で1回または複数回、可動盤17等を停止させ多段階に可動盤後退制御を行うものでもよく、その場合後退時の速度は一定速度でも異なる速度でもよい。従って本発明の可動盤17等をサーボモータ25により速度制御して型開方向に移動させるとは、途中で停止する工程を有するもの(または場合によっては稀には僅かに前進させるもの)が含まれる。また本発明のサーボモータ25の速度制御は、位置制御を行うものであってもタイマを用いて単位時間毎に目標位置を更新するもの等であって実質的な内容が速度制御に類似するものも含まれる。
可動盤後退制御の間、型締シリンダ29は、特に発泡成形による外乱の影響が無いと仮定される限り、型開閉機構18のサーボモータ25による速度制御に対して従動的なクローズドループ制御を行う。そして可動盤後退制御は、サーボモータ25の速度制御により行われるので、設定された後退速度にほぼ沿った速度で可動盤17等を移動させることが可能である。なお本実施形態では、型締シリンダ29は、可動盤17等がキャビティ内の溶融樹脂の発泡力に押圧されて型開する力に対向して、型閉方向に可動盤17等を押圧するように、型締側油室32aに型締方向に働く低圧の作動油が供給されている。またこのことによりハーフナット20の歯部とメカニカルラム37の係合部21との間は型締時と同様に当接が保たれている。しかしキャビティC内の溶融樹脂の発泡力が弱い場合等では、型締シリンダ29は当初または途中からまったくフリーの状態(型締側油室32aと型開側油室32bの作動油による押圧力が均衡した状態)を基準としてクローズドループ制御するようにしてもよい。
そして可動盤後退制御中の可動盤17等の型開方向への後退力(可動盤17からボールネジ26に伝達される力)は、可動盤17とボールネジナット27との間に設けられたロードセル40により検出されて(本実施形態では2本のうち1本にロードセル40が設けられているので半分の力が検出される)、制御装置38へ送られる。そしてロードセル40に働く負荷(電流値p1)と予め設定された型開力設定p2を比較し(S7)、制御装置38からサーボアンプ42へプラスマイナス10Vの範囲で指令電圧を送り、サーボバルブ34への出力を調整することにより、型締シリンダ29をクローズドループ制御する。具体的には型開力設定の設定値p2よりもロードセル40が検出した負荷p1が大きい場合は、溶融樹脂の発泡力等の外乱によりサーボモータ25やボールネジ機構の負荷が高くなっていると判断されるので、サーボバルブ34を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を増加させ(S8)、型締シリンダ29の型締側油室32aに作動油を追加供給して前記型締側油室32aの油圧を高くし、可動盤17等の型閉方向への押圧力を高める。このことによりサーボモータ25やボールネジ機構の負荷であるロードセル40の値を小さくすることができる。また型開力設定の設定値p2よりもロードセル40が検出した負荷p1が等しい場合は、サーボバルブ34を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を維持する(S9)。更に型開力設定の設定値p2よりもロードセル40が検出した負荷(電流値p1)が低い場合は、サーボバルブ3を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を減少させ(S10)、型締シリンダ29の型締側油室32aへの作動油の供給量を減少させるか0にして型締シリンダ29により可動盤17等を型閉方向への押圧力を低くするか0にする。
そして本発明の可動盤後退制御では、サーボモータ25による速度制御を、外乱を検出して型締シリンダ29をクローズドループ制御して補完することにより、サーボモータ25やボールネジ機構の負荷を高めずに、設定された速度制御値にほぼ沿った形で可動盤17等の移動を行うことができる。そして可動盤17等の位置がコアバック設定停止位置t2に到達するまでの可動盤後退制御区間t3の間、前記制御を継続し、コアバック設定停止位置t3に到達すると(S11)、サーボモータ25による速度制御による可動盤後退制御は停止され、サーボモータ25による位置制御により可動盤17等が停止(型速度0mm/h)される(S12)。
このコアバック設定停止位置t3に到達するときまでキャビティC内の溶融樹脂の容積は拡大され続け、キャビティCに接触する部分から順次冷却固化が進行する。そして停止位置t3では、発泡成形品は予め定められた形状となっているが、キャビティC内の内圧は発泡成形品に発泡力がまだ残っていることにより0ではない。従って本実施形態では次にコアバック制御のうちの後半の可動盤停止制御を行いつつ発泡成形品の冷却を継続する。可動盤停止制御では、サーボモータ25の位置制御を用いて行われるので、正確な厚みの発泡成形品が得られる。
図3のフローチャート図により可動盤停止制御について説明すると、可動盤停止制御では、型停止時のロードセル40の検出値(電流値p1)を継続してサンプリングし(S13)、検出値p1は制御装置38へ送られる。そしてロードセル40の検出値(電流値p1)と予め設定された停止力設定の設定値p3を比較し(S14)、設定値p3よりもロードセル40の検出値(電流値p1)が大きい場合は、サーボモータ25やボールネジ機構の負荷が高くなっていると判断されるので、サーボバルブ34を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を増加させ(S15)、型締シリンダ29の型締側油室32aに作動油を供給して前記型締側油室32aの油圧を高くして可動盤17の型閉方向への押圧力を高くする。また停止力設定の設定値p3よりもロードセル40が検出した負荷(電流値p1)が等しい場合は、サーボバルブ34を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を維持する(S16)。更に停止力設定の設定値p3よりもロードセル40が検出した負荷(電流値p1)が低い場合は、サーボバルブ34を制御するサーボアンプ42への指令信号の出力電圧を減少させ(S17)、型締シリンダ29の型締側油室32aへの作動油の供給量を減少させるか0にして型締シリンダ29により可動盤17等を型閉方向への押圧力を低くするか0にする。そして前記制御を冷却時間タイマの計時がタイムアップするまで継続し(S18)、タイムアップしたら、発泡コアバック制御のうちの可動盤停止制御も終了する。この際にはキャビティC内の発泡成形品は冷却固化が完了している。そして型締シリンダ29の型開側油室32bに別の油圧回路から作動油を供給して強力型開を行う。そしてその後型締シリンダ29側のハーフナット20と可動化盤17側のメカニカルラム37の係止を解除した上で、型開閉機構18のサーボモータ25を作動させて可動盤17および可動金型16を型開完了位置まで型開する(S19)。そして成形の完了した発泡成形品を金型内から取出す。
発泡コアバック制御については、ロードセル40を使用する以外の方法によっても実現可能である。次に説明する別の実施形態の射出成形機の型締装置は、可動盤17のブラケット17aとボールネジナット27の間にロードセル40が設けられていない。そして可動盤後退制御の間は、可動盤17が型開閉機構18のサーボモータ25により速度制御されて後退する際の後退速度を、後退速度検出手段により計測し、設定された後退速度と比較して、油圧機構の型締シリンダ29の押圧力を制御する。またその後の可動盤停止制御の間は、サーボモータ25への電流値を計測して、電流値が一定になるように制御する。
ロードセル40を使用しない発泡コアバック制御について、図4―図5に示される別の実施形態の発泡成形品の射出成形機の制御方法のフローチャート図を用い、先のロードセル40を使用する発泡コアバック制御との相違点を中心に説明する。ロードセル40を使用しない射出成形機の発泡コアバック制御についても、射出後または射出中に型開開始され(S106)、可動盤後退制御が行われている間、可動金型16または可動金型16の一部の型開方向への移動速度を検出する検出手段であるサーボモータ25のエンコーダ28により可動盤17等の位置を検出し速度制御がなされる点は同じである。その際に制御装置38へ可動盤17の位置が逐次送信され、実測の型開速度が算出される。そして制御装置38において予め設定された型開速度と、前記実測の型開速度を比較し(S107)、比較結果に基づいて制御装置38からサーボアンプ42へプラスマイナス10Vの範囲で指令電圧を送りサーボバルブ34の出力を調整し、型締シリンダ29をクローズドループ制御する。
具体的には型開速度の設定値v2よりも実測の型開速度v1が速い場合は、発泡力等の外乱によりサーボモータ25やボールネジ機構の負荷が高くなっているので、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を増加させ(S108)、型締シリンダ29の型締側油室32aに作動油を供給して前記型締側油室32aの油圧を高くして可動盤17の型閉方向への押圧力を高める。このことにより可動盤17等の型開速度を低下させてサーボモータ25やボールネジ機構の負荷を小さくすることができる。また型開速度の設定値v2と実測の型開速度v1が等しい場合は、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を維持する(S109)。更に型開速度の設定値v2よりも実測の型開速度v1が遅い場合は、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を減少させ(S10)、型締シリンダ29の型締側油室32aへの作動油の供給量を減少させるか0にして型締シリンダ29により可動盤17等を型閉方向への押圧力を低くするか0にして可動盤17の型閉方向への型開速度を速くする。そしてコアバック設定停止位置t3に到達すると(S111)、サーボモータ25による速度制御による可動盤後退制御は停止され、サーボモータ25による位置制御により可動盤17等が停止(型速度0mm/h)される(S112)。
次に図5のフローチャート図に示されるように可動盤停止制御を行う。可動盤停止制御では、型停止時のサーボモータ25の電流値a1をサーボモータの負荷を検出する検出手段である電流値検出手段により継続してサンプリングし(S113)、検出された電流値a1は制御装置38へ送られる。そして前記検出された電流値a1と予め設定された所定の電流値a2を比較し(S114)、設定された電流値a2よりも検出されたサーボモータ25の電流値a1が大きい場合は、サーボモータ25やボールネジ機構の負荷が高くなっているので、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を増加させる(S115)。この際にサーボモータ25への電流値a1を更に継続してサンプリングし(S118)、依然として予め設定された所定の電流値a2よりも検出される電流値a1が高い場合または同じ場合は、型締シリンダ29による押圧力がサーボモータ25の位置決め力の上回っており、可動盤17等が停止位置よりも型閉側にあってサーボモータ25が過負荷状態となっていると判断されるので、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を低下させる(S119)。また予め設定された所定の電流値a2よりも検出される電流値a1が低い場合は、冷却時間タイマの計時がタイムアップする(S120)まで、(S114)に戻って、検出された電流値a1と予め設定された所定の電流値a2を比較する。
また検出された電流値a1と設定された電流値a2が等しい場合は、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を維持する(S116)。更に検出された電流値a1よりも設定された電流値a2が低い場合は、サーボバルブ34への指令信号の出力電圧を減少させ(S17)、型締シリンダ29の型締側油室32aへの作動油の供給量を減少させるか0にして型締シリンダ29により可動盤17等を型閉方向への押圧力を低くするか0にする。そして前記制御を冷却時間タイマの計時がタイムアップするまで継続し(S120)、タイムアップしたら、発泡コアバック制御のうちの可動盤停止制御も終了する。この際にはキャビティ内の発泡成形品は冷却固化している。そして型締シリンダ29側のハーフナット20と可動化盤17側のメカニカルラム37の係合部21の係止を解除した上で、型開閉機構18のサーボモータ25を作動させて可動盤17および可動金型16を型開する(S119)。そして発泡の完了した発泡成形品を金型内から取出す。
また本発明は次のような検出手段の検出値を用いて発泡コアバック制御を行ってもよい。即ち可動盤後退制御時の型開閉機構18のサーボモータ25の負荷を、検出手段により電流値やトルクを測定することにより検出し、外乱による変化により前記電流値やトルクが変化するのに応じて油圧機構をクローズドループ制御するものでもよい。また型開閉機構18のサーボモータ25を制御するサーボアンプ41への指令電圧値が外乱によって変化するのに応じて油圧機構等の流体機構をクローズドループ制御するものでもよい。更にはキャビティ内の樹脂圧を検出する検出手段である樹脂圧センサをキャビティ内に取付け、キャビティ内の樹脂圧が発泡状態により変化するのを測定し、油圧機構をクローズドループ制御するものでもよい。またそれらの検出手段の少なくとも一つの検出値を組み合わせて流体機構のクローズドループ制御に用いるものでもよい。
また本発明において予め設定された型開閉機構18のサーボモータ25による設定速度については、1成形サイクル中または一定の成形サイクル毎に自動修正、または制御により変更するようにしてもよい。具体的には型開力設定の設定値よりもロードセル40が検出した負荷が毎回あるいは高い頻度で大きくなる場合、または型開速度の設定値よりも実測の型開速度が速い場合については、学習機能によりサーボモータ25の設定速度を、成形の途中または次の成形サイクルから速くするように修正してもよい。また反対に型開力設定の設定値よりもロードセル40が検出した負荷が毎回あるいは高い頻度で小さい場合、または型開速度の設定値よりも実測の型開速度が遅い場合については、学習機能によりサーボモータ25による設定速度を成形の途中または次の成形サイクルから遅くするように修正するか、または油圧機構によりクローズドループ制御によらず加えられる押圧力を、成形の途中または次の成形サイクルから小さくするように修正してもよい。
また本願発明は、図6に示されるようなコアブロック64が移動される機構を有する更に別の実施形態の発泡成形品の射出成形機51であってもよい。別の実施形態の発泡成形品の射出成形機51の型締装置52については、固定盤53には固定金型54が取付けられ、可動盤55には可動金型56が取付けられている。また固定盤53と可動盤56の間には型開閉機構57が設けられている。なお型締装置52の型開閉機構57や型締機構は種類を選ばず、トグル機構により型開閉機構と型締機構を兼用できるものでもよい。そして可動盤55には電動のコアブロック移動装置58が設けられている。電動のコアブロック移動装置58は、可動盤55の背面にサーボモータ59が取付けられ、プーリとベルトにより接続されたボールネジ60の回転によりボールネジナット61、連結板62、ロッド63と、ロッド63に固定されたコアブロック64が型開閉方向に移動し、キャビティC1の容積が変更できるようになっている。可動金型56の一部であるコアブロック64は、可動金型56側のキャビティ形成面の一部または全部を構成するものである。なおサーボモータ59によるコアブロック64の移動装置58は、エジェクタ装置を改造したものでもよい。また可動盤55または可動金型56の内部には油圧機構を用いたシリンダ65が取付けられ、シリンダ65のロッドがコアブロック64の背面に固定されている。またシリンダ65には図示しないサーボバルブ等のクローズドループ型の流量制御バルブが接続されている。なおシリンダ65に使用する流体は油圧ではなく圧搾空気でもよく、本発明は油圧機構に限定されず流体機構を用いたものであればよい。また図示は省略するがコアブロック64とロッドの間にロードセルを設けたものやキャビティに樹脂圧センサを取付けてもよい。
更に別の実施形態の発泡成形品の射出成形機51の制御方法については、先に説明した図1等の実施形態とほぼ同様である。固定金型54と可動金型56との間に形成されたキャビティC1に射出成形機51の射出装置66から溶融樹脂を射出し、射出中または射出後にコアブロック64をサーボモータ59により速度制御して型開方向に移動させることにより発泡コアバック制御を開始する。その際の外乱をサーボモータ59の電流値、トルク、指令値や、コアブロック64の移動速度(サーボモータ59のエンコーダの値)、ロードセルの値、樹脂圧センサ等の検出値により検出する。そしてその検出値を図示しない制御装置に送り、クローズドループにより油圧機構であるシリンダ65に接続されるサーボバルブ等を操作し、特に型開方向へのコアブロック64の外乱が大きい場合にコアブロック64を型閉方向に押圧し、サーボモータ59が過負荷にならず、ボールネジ60やボールネジナット61からなるボールネジ機構にも負荷がかかり過ぎないようにする。