JP5306141B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、裏面照射型の固体撮像装置に関する。
最近、画素の微細化が進み、開口率を高めることを主な目的として、裏面照射型の固体撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この裏面照射型の固体撮像装置では、光照射面側で発生した電子は、配線側にあるフォトダイオード(PD)にまでたどり着かないと信号としてカウントされない。このため、光電変換を行うSi層の厚さは、感度を決定している(シリコン(Si)層の膜厚は、厚いほうが高感度となる)。
しかしながら、光照射面側のSi界面において、空乏化が起きると、界面に存在する発生中心に起因した暗電流増大が大きく画質を損なうという問題がある。暗電流増大による再生画質低下とは、例えば、白傷、暗時むら等である。
そこで、光照射面側の界面を空乏化させないようにSOI基板上にp型半導体層を形成しその上にSiをエピタキシャル成長させた基板を用いて裏面照射型の固体撮像装置を形成することが提案されている。しかしながら、基板に光照射側のp型半導体層を形成すると、(基板にp型半導体層を作りこんだ基板を用いて)CMOSセンサを形成する過程の熱工程により、前記のp型半導体層のボロン(B)が拡散し、実質的にp型半導体層の膜厚が厚くなる。前記のp型半導体層が厚くなると青色(B)(450nm)光に対する感度が著しく低下する。
また、光照射面側の界面近傍のSi層を空乏化させないようにするため、負の固定電荷膜(例えば、酸化ハフニウム膜など)を形成することが提案されている。これは、負の固定電荷膜を形成することで、界面近傍のSi層内にホール層を形成する(つまり、界面近傍を空乏化させない)。これにより暗電流増大を抑制している。しかしながら、十分なホール密度をもった固定電荷膜を形成する方法は、容易ではない。
上記のように、従来の固体撮像装置およびその製造方法では、光照射面側の空乏化の防止、および暗電流の低減に対して不利であるという傾向がある。
特開2006−128392号公報
この発明は、光照射面側の空乏化を防止して、暗電流を低減できる裏面照射型の固体撮像装置を提供する。
この発明の一態様に係る固体撮像装置は、半導体基板上に光電変換部及び信号走査回路部を含む複数の画素が配置される撮像領域を備え、前記信号走査回路部が形成される前記半導体基板の表面とは反対側の基板表面上に光照射面が形成される裏面照射型の固体撮像装置であって、前記光照射面側の半導体基板上に設けられるシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜上に設けられるp型アモルファスシリコン化合物層と、前記光照射面側の半導体基板と前記シリコン酸化膜との界面近傍に、前記p型アモルファスシリコン化合物層により形成されるホール蓄積層とを具備する。
この発明によれば、光照射面側の空乏化を防止して、暗電流を低減できる裏面照射型の固体撮像装置が得られる。
この発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成例を示すブロック図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の撮像領域を示す等価回路図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成例を示す断面図。 第1の実施形態に係る半導体基板表面から界面近傍における深さ方向の濃度分布およびポテンシャルを示す図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の半導体基板の表面側から界面近傍の断面おけるホール濃度を示す図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置のSi酸化膜の膜厚(dSiO2)をパラメーターとして、a−SiC(p)層のB(ボロン)濃度と暗電流との関係を示す図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の一製造工程を示す図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の一製造工程を示す図。 第1の実施形態に係るa−SiC(p)層の成膜方法と特性を示す図。 第1の実施形態に係る固体撮像装置の一製造工程を示す図。 第2の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成例を示す断面図。 第3の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成例を示す断面図。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、光照射面(受光面)が、信号走査回路部が形成される半導体基板表面上と反対側の半導体基板上の裏面側に設けられる裏面照射型(BSI:Back side illumination)の固体撮像装置を一例に挙げる。尚、この説明においては、全図にわたり共通の部分には共通の参照符号を付す。
[第1の実施形態]
<1.構成例>
図1乃至図6を用いて、この発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例について説明する。
1−1.全体構成例
まず、図1を用いて、本例に係る固体撮像装置の全体構成例について説明する。図1は、本例に係る固体撮像装置の全体構成例を示すシステムブロック図である。図1では、撮像領域のカラム位置にAD変換回路が配置された場合の一構成について示した。
図示するように、本例に係る固体撮像装置10は、撮像領域12と駆動回路領域14とを備える。
撮像領域12は、半導体基板に、光電変換部及び信号走査回路部を含んだ単位画素(Pixel)1の行列が配置される。
光電変換部は、光電変換し蓄積するフォトダイオードを備え、撮像部として機能する。信号走査回路部は、後述する増幅トランジスタ等を備え、光電変換部からの信号を読み出し増幅しAD変換回路15に送信する。本例の場合、光照射面(光電変換部)は、信号走査回路部が形成される半導体基板表面上と反対側の半導体基板上の裏面側に設けられる。
駆動回路領域14は、上記信号走査回路部を駆動するための垂直シフトレジスタ13およびAD変換回路等の駆動回路を配置して成るものである。
垂直シフトレジスタ(Vertical Shift register)13は、信号LS1〜SLkを撮像領域12に出力し、単位画素1を行毎に選択する選択部として機能する。選択された行の単位画素1からはそれぞれ、入射された光の量に応じたアナログ信号Vsigが垂直信号線VSLを介して出力される。
AD変換回路(ADC)15は、垂直信号線VSLを介して入力されたアナログ信号Vsigを、デジタル信号に変換する。
尚、ここでは、固体撮像装置の全体構成の一部として、図示およびその説明を省略したが、これに限られるものではない。即ち、例えば、撮像領域12等の動作を制御する制御回路等を更に備えていても良い。カラム並列にADC回路が配置されずチップレベルにADC回路が配置される構成、或いはセンサーチップ上にADCが配置されない構成等であっても良い。
1−2.撮像領域の構成例
次に、図2を用いて、図1中の撮像領域12の構成例について説明する。本例では、単一の撮像領域12で複数の色情報を取得する単版式撮像素子を一例に挙げて説明する。
図示するように、撮像領域12は、垂直シフトレジスタ13からの読み出し信号線と垂直信号線VSLとの交差位置にマトリクス状に配置された複数の単位画素1を備えるものである。
単位画素(PIXEL)1は、フォトダイオードPD、増幅トランジスタTb、読み出しトランジスタTd、リセットトランジスタTc、アドレストランジスタTaを備えている。
上記画素1の構成において、フォトダイオードPDは光電変換部を構成する。増幅トランジスタTb、読み出しトランジスタTd、リセットトランジスタTc、およびアドレストランジスタTaは、信号走査回路部を構成する。
フォトダイオードPDのカソードには、基準電位Vssが与えられる。
増幅トランジスタTbは、浮遊拡散層(フローティングディフュージョン:検出部)FDからの信号を増幅して出力するように構成されている。増幅トランジスタTbのゲートは浮遊拡散層FDに接続され、ソースは垂直信号線VSLに接続され、ドレインはアドレストランジスタTaのソースに接続されている。垂直信号線VSLにより送信される単位画素1の出力信号は、CDS雑音除去回路28により雑音が除去された後、出力端子29から出力される。
読み出しトランジスタTdは、フォトダイオードPDでの信号電荷の蓄積を制御するように構成されている。読み出しトランジスタTdのゲートは読み出し信号線TRFに接続され、ソースはフォトダイオードPDのアノードに接続され、ドレインは浮遊拡散層FDに接続されている。
リセットトランジスタTcは、増幅トランジスタTbのゲート電位をリセットするように構成されている。リセットトランジスタTcのゲートはリセット信号線RSTに接続され、ソースは浮遊拡散層FDに接続され、ドレインはドレイン電源に接続される電源端子25に接続されている。
アドレストランジスタTaのゲートは、アドレス信号線ADRに接続されている。
負荷トランジスタTLのゲートは選択信号線SFに接続され、ドレインは増幅トランジスタTbのソースに接続され、ソースは制御信号線DCに接続されている。
読み出し駆動動作
この撮像領域12の構造による読み出し駆動動作は、次のようである。まず、読み出し行のアドレストランジスタTaが、垂直シフトレジスタ13から送られる行選択パルスによりオン(ON)状態になる。
続いて、同様に垂直シフトレジスタ13から送られたリセットパルスによりリセットトランジスタTcが、オン(ON)状態になり、浮遊拡散層FDの電位に近い電圧にリセットされる。その後、リセットトランジスタTcは、オフ(OFF)状態になる。
続いて、トランスファゲート4が、オン(ON)状態になり、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷が浮遊拡散層FDに読み出され、浮遊拡散層FDの電位が読み出された信号電荷数に応じて変調される。
続いて、変調された信号が、ソースフォロワを構成するMOSトランジスタにより垂直信号線VSLに読み出され、読み出し動作を完了する。
1−3.断面構成例
次に、図3を用いて、本例に係る固体撮像装置の断面構成例について説明する。
上記のように、単位画素1は、画素分離層36により画素ごとに分離され、光電変換部と信号走査回路部とにより構成される。画素分離層36は、半導体基板(Si−sub)30中に拡散される、B(ボロン)等のp型半導体層により形成される。
光電変換部は、半導体基板30中に設けられるフォトダイオードPD,ホール蓄積層35,および光照射面側(裏面側)の半導体基板30の表面上に設けられるシリコン酸化膜34,p型アモルファスシリコン化合物層としてp型アモルファスシリコンカーバイド層33,平坦化層32,色フィルタCF、およびマイクロレンズMLを備える。
信号走査回路部は、信号走査回路形成面側の半導体基板30上に設けられる層間絶縁膜37中に形成される上記増幅トランジスタ(図示せず)等、および配線層37を備える。
半導体基板30は、例えば、SOI基板上にエピタキシャル成長させて形成したn型半導体層である。半導体基板30の膜厚は、本例の場合、例えば、3.5μm程度である。
フォトダイオードPDは、半導体基板30中に設けられ、光電変換を行う。
ホール蓄積層35は、p型アモルファスシリコンカーバイド層(a−SiC(p)層)33により形成され、光照射面側の半導体基板30とシリコン酸化膜34との界面BF近傍に設けられる。ホール蓄積層35は、界面BF近傍のホール濃度を増大させ、界面の空乏化を抑制することができる。そのため、界面BF近傍に発生する暗電流を抑制することができる。
シリコン酸化膜(SiO膜)34は、光照射面側の半導体基板30上に設けられ、後述するように、その膜厚dSiO2は、2nm以上,0.1μm(100nm)以下程度であることが望ましい。
p型アモルファスシリコンカーバイド層(a−SiC(p)層)33は、SiO膜34上に設けられ、シリコン(Si)のバンドギャップ(1.1eV程度)よりも通常広いバンドギャップ(2.0eV程度)を有する。a−SiC(p)層33は、シリコン(Si)に比べて、短波長光の吸収係数が小さいため、青色(B:Blue)光(例えば450nm)に対する感度低下を抑制できる。また、後述するように、a−SiC(p)層33の形成の際における成膜温度は、230度(℃)程度の比較的低い温度である。そのため、AL(アルミニウム)やCu(銅)等の配線層37の形成後に、配線層37の配線特性を劣化させることなく、a−SiC(p)層33を形成できる点で有利である。
a−SiC(p)層33は、p型の半導体層であるため、界面BF近傍に上記ホール蓄積層35を形成することができる。a−SiC(P)層33の膜厚は、上記ホール蓄積層35が形成できる程度(界面BFが空乏化しないようにできる程度)であることが望ましい。しかしながら、a−SiC(P)層33の膜厚が、極端に厚すぎると、その領域で光電変換により発生した電子が再結合してしまい、青色(B:Blue)が低下する可能性がある。そのため、a−SiC(p)層33の膜厚は、本例の場合、例えば、30nm程度以下であることが好ましい。また、a−SiC(p)のB(ボロン)濃度は、光照射面側の半導体基板の界面BF近傍が空乏化しないB濃度であって暗電流が十分低くなる濃度、例えば、1E17cm−3以上,1E20cm−3程度以下が好ましい。
a−SiC(p)層33には、図示しない電圧制御回路等により、画素分離層36を介して、接地電源電圧(GND)に接地するように電圧VSiCを与えることがより望ましい。上記電圧VSiCを与えて、ホール蓄積層35のホール濃度を制御することで、より安定したホール蓄積層35を形成することができるからである。
平坦化層32は、光照射面側のa−SiC(p)層33上に設けられ、本例の場合、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)等により形成される。
色フィルタCFは、光照射面側の層間絶縁膜31−2中に設けられ、例えば、ベイヤー(Bayer)配置の場合、R(Red),G(Green),B(Blue)等のそれぞれの色に対応して配置される。
マイクロレンズMLは、光照射面側の層間絶縁膜31−2上に設けられる。
配線層37は、信号走査線回路形成側の層間絶縁膜31−1中に設けられ、例えば、AL(アルミニウム)やCu(銅)等により形成される。
尚、ここでは、図示を省略したが、裏面側の層間絶縁膜31−1上に、Si膜等により、パッシベーション膜等を設けても良い。
1−4.ホール発生等に関して
次に、図4および図5を用いて、本例に係る固体撮像装置の界面BF近傍のホール発生等について説明する。
1−4−1.
(特性1)まず、図4を用い、表面側の半導体基板30表面から界面BF近傍における深さ方向の1次元の濃度分布(ホール(Hole),ドナー(Donor),アクセプタ(Accepter)濃度)およびポテンシャル(Potential)について説明する。
図中の破線で示すように、光照射面側の半導体基板30とシリコン酸化膜34との界面BF近傍では、a−SiC(p)層33により形成されたホール蓄積層35により、ホール(Hole)が蓄積されることが分かる。そのため、界面BF近傍のホール濃度を増大させ、空乏化を抑制することで、界面BF近傍に発生する暗電流を抑制することができる。
(特性2)次に、図5を用い、表面側の半導体基板30表面(フォトダイオードPD側)から界面BF近傍の断面におけるホール(Hole)濃度について説明する。
図示するように、界面BF近傍では、ホールが多く発生し、ホール(Hole)濃度が1E16cm−3以上あり、光照射面側では空乏化していないことが分かる。そのため、界面BF近傍に発生する暗電流を抑制することができることが明らかである。
1−4−2.a−SiC(p)層のB濃度と暗電流の関係
次に、図6を用い、a−SiC(p)層のB(ボロン)濃度と暗電流の関係について説明する。図6は、Si酸化膜34の膜厚(dSiO2)をパラメーターとして、本実施例にて形成したa−SiC(p)層33のB(ボロン)濃度と暗電流を示している。
図示するように、a−SiC(p)層33のB濃度が高くなると、暗電流が低下していることが分かる。また、Si酸化膜34の膜厚(dSiO2)が薄いほうが、暗電流が低くなっており、B濃度がだいたい1E17cm−3程度以上で暗電流が抑えられて、ほぼ一定となり、収束していることが分かる。この結果から、a−SiC(p)層33のB濃度は、1E17cm−3以上,1E20cm−3以下の濃度が好ましく、Si酸化膜34の膜厚(dSiO2)は2nm以上,0.1μm(100nm)以下であることが好ましいこと、が分かる。
<2.製造方法>
次に、図7乃至図10を用い、第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法について説明する。
まず、例えば、SOI(Silicon on insulater)基板上にn型半導体層を、例えば、3.5μm程度エピタキシャル成長させて、半導体基板(Si-sub)30形成する。続いて、信号走査線側(表面側)の半導体基板30に、周知のCMOSセンサの製造方法を用い、画素分離層36,フォトダイオードPD,層間絶縁膜31−1,および配線層37を形成する。
続いて、裏面照射型における固体撮像装置の製造工程を進める。
具体的には、図7に示すように、接着剤、あるいは、直接接合法を用い、信号走査線側(表面側)の配線層37や層間絶縁膜31−1に、支持基板41を張り合わせる。
続いて、光照射面側(裏面側)のSOI基板のシリコン基板を、所望の厚さまで除去し、例えば、CMP(Chemical mechanical polishing)法等を用いて研削する。そして、SOI基板のうちの酸化層34のみを残存させる。このSi酸化層(SOI層)34の膜厚がまだ、所望の膜厚よりも厚い場合には、必要に応じてさらに、例えば、NFOH、あるいは、HF、あるいは、HFとHNOとCHCOOHの混合液によりSi酸化層34を所望の膜厚(例えば、50nm程度)に薄膜化する。または、はじめから、Si酸化層34の膜厚が0.1μm(100nm程度)以下のSOI基板を使えば、前述のSi酸化層34の薄膜化加工を行わなくても良い。
続いて、a−SiC(p)層33の形成工程について、説明する。
具体的には、図8に示すように、上記の工程により、光照射面側に薄く残存されたSi酸化膜34上に、例えば、プラズマCVD法を用い、p型のアモルファスシリコンカーバイド(a−SiC(p))層33を、30nm程度形成する。
ここで、a−SiC(p)層33の形成工程の際の成膜条件と膜特性の一覧を図9に示す。図示するように、SiHガス100[SCCM],Hガス=50[SCCM],CHガス=20[SCCM],Bガス=8[SCCM]を流し、0.5[Torr]の圧力下で、30[W/cm2]のPower、基板温度230度にて、2分30秒程度堆積させる。この条件化で、p型のアモルファスシリコンカーバイド層33を、30nm程度形成することができる。
このように、本例のa−SiC(p)層33の形成工程では、成膜温度が230度程度の比較的低温度であるため、ALやCu等の配線層34を形成した後であっても、配線層34の配線特性を劣化することなく、a−SiC(P)層33を形成することができる点で有利である。a−SiC(p)膜33は、図9に示すように、Siのバンドギャップ(1.1eV)よりも通常広い2.0eV程度であり、また、Siに比べて短波長光の吸収係数が小さいため、B(青色)光(例えば450nm)に対する感度低下を抑制できる。
加えて、a−SiC(P)層33は、p型半導体層であるため、a−SiC(P)層33を形成すると、光照射面側の半導体基板30の界面BF近傍に、ホール蓄積層35を形成することができる。そのため、半導体基板30の界面BF近傍の暗電流等を抑制することができる点で有利である。
続いて、図10に示すように、光照射面側(裏面側)のa−SiC(P)層33上に、Si酸化膜等を形成し、平坦化層32を形成する。続いて、裏面側の平坦化層32上に、層間絶縁膜32−1を形成し、この層間絶縁膜31−1中に有機物等によりカラーフィルタCFを形成する。続いて、裏面側の層間絶縁膜31−1上に、Si膜によりパッシベーション膜を形成する(図示せず)。続いて、裏面側の層間絶縁膜31−1上に、マイクロレンズMLを形成する。続いて、支持基板41を除去し、図3に示した裏面照射型の固体撮像装置を製造することができる。
尚、本第1の実施形態では、SOI基板上にn型のシリコン(Si)膜をエピタキシャル成長させた基板を用いて説明したが、これに限られることはない。例えば、SOI基板に限定される必要は無く、バルクのSi基板、あるいは、SIMOX基板等を用いた場合であっても同様に適用することが可能である。
<3.作用効果>
第1の実施形態に係る固体撮像装置およびその製造方法によれば、少なくとも下記(1)乃至(3)の効果が得られる。
(1)光照射面側の基板界面BFの空乏化を防止して、暗電流を低減できる。
上記のように、本例に係る固体撮像装置は、半導体基板30上に光電変換部(PD)及び信号走査回路部(Ta等)を含む複数の画素1が配置される撮像領域12を備え、信号走査回路部(Ta等)が形成される半導体基板30の表面とは反対側の基板表面上に光照射面が形成される裏面照射型の固体撮像装置である。更に、本例に係る固体撮像装置は、光照射面側の半導体基板上に設けられるシリコン酸化膜34と、シリコン酸化膜34上に設けられるp型アモルファスシリコンカーバイド層(a−SiC(p)層)33と、光照射面側の半導体基板30とシリコン酸化膜34との界面BF近傍に、p型アモルファスシリコンカーバイド層33により形成されるホール蓄積層35とを具備する。
上記構成によれば、欠陥が多く暗電流の発生源となり得る界面BF近傍に、p型アモルファスシリコンカーバイド層33により形成されるホール蓄積層35を配置できる。そのため、界面BFのホール濃度を増大させ、空乏化を抑制することで、暗電流を低減することができる点で有利である。
(2)より安定したホール蓄積層35を形成できる。
本例に係る固体撮像装置は、画素分離層36を介して、p型アモルファスシリコンカーバイド層33に与える電圧VSiCとして、接地電源電圧(GND)を与える。電圧VSiCは、例えば、図示しない電圧制御回路などにより印加することが可能である。
このように、上記電圧VSiCを与えて、ホール濃度を制御することができるため、より安定したホール蓄積層35を形成することができる点で有利である。
(3)配線層37の信頼性の劣化を防止できる。
上記のように、a−SiC(p)層33の形成の際における成膜温度は、230度(℃)程度の比較的低い温度である。そのため、AL(アルミニウム)やCu(銅)等の配線層37の形成後にa−SiC(p)層33を形成した場合であっても、配線層37の配線特性を劣化させることなく、a−SiC(p)層33を形成でき、配線層37の信頼性を劣化を防止できる点で有利である。
[第2の実施形態(透明電極層を備える一例)]
次に、第2の実施形態に係る固体撮像装置について、図11を用いて説明する。この実施形態は、透明電極層を更に備える一例に関するものである。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の詳細な説明を省略する。
<構成例>
まず、図11を用い、第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成例について説明する。図示するように、本例では、光照射面側(裏面側)のa−SiC(p)層33上に、透明電極層55が更に設けられる点で、上記第1の実施形態と相違する。
透明電極層55は、本例の場合、膜厚が35nm程度のITO(Indium Tin Oxide)膜等により形成される。透明電極層55には、所定の電圧VITOを印加できるようにすることが好ましく、デバイス駆動時には、電圧VITOとして負バイアス(例えば、−2V程度)を印加することが好ましい。電圧VITOは、上記電圧制御回路等から与えるように構成することができる。そのため、界面BF近傍のホール密度を、より精度よく制御できる点で有利である。
<製造方法>
次に、第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法について説明する。ここでは、図示を省略する。
まず、上記第1の実施形態と同様の製造方法を用い、p型アモルファスシリコンカーバイド層(a-SiC(p)層)33を、例えば、30nm程度形成する。
続いて、p型アモルファスシリコンカーバイド層(a-SiC(p)層)33上に、化学反応スパッタリング法を用い、ITO(Indium Tin Oxide)膜を35nm程度堆積し、透明電極層35を形成する。ITO膜のより具体的な形成工程は、Arガス100sccm、酸素20sccmを流しながら、圧力0.8Paに保ち、スパッタリングを行うことにより行う。
続いて、上記と実質的に同様な製造工程を用い、平坦化層32、層間絶縁膜31−1、カラーフィルタCF、およびマイクロレンズMLを形成することで、図11に示す裏面照射型の固体撮像装置を製造することができる。
<作用効果>
第2の実施形態に係る固体撮像装置およびその製造方法によれば、少なくとも上記(1)乃至(3)と同様の効果が得られる。
さらに、本例によれば、光照射面側(裏面側)のa−SiC(p)層33上に、透明電極層55が更に設けられる点で、上記第1の実施形態と相違する。
透明電極層55には、所定の電圧VITOを印加できるようにすることが好ましく、デバイス駆動時には、電圧VITOとして負バイアス(例えば、−2V程度)を印加することが好ましい。電圧VITOは、上記電圧制御回路等から与えるように構成することができる。そのため、界面BF近傍のホール密度を、より精度よく制御できる点で有利である。
[第3の実施形態(a−SiN(p)の一例)]
次に、第3の実施形態に係る固体撮像装置について、図12を用いて説明する。この実施形態は、p型アモルファスシリコン化合物層として、p型アモルファスシリコンナイトライド層(a−SiN(p))77を適用する一例に関する。この説明において、上記第1の実施形態と重複する部分の詳細な説明を省略する。
<構成例>
図12に示すように、本例は、上記第1の実施形態で示したa−SiC(p)層33の代わりに、p型アモルファスシリコンナイトライド層(a−SiN(p))層77を設ける点で相違する。
<製造方法>
製造方法に関して上記第1の実施形態と相違するところは、a−SiN(p)層77形成工程において、メタンガス(CH)の変わりにNHガスを使う点である。これにより、所望のa−SiN(p)層77を形成することができる。
<作用効果>
第3の実施形態に係る固体撮像装置およびその製造方法によれば、少なくとも上記(1)乃至(3)と同様の効果が得られる。さらに、本例のように、必要に応じて、a−SiN(p)層77を適用することが可能である。また、裏面照射側(裏面側)のa−SiN(p)層77上に、上記第2の実施形態示した透明電極層55を設けることも同様に有効である。
尚、上記第1乃至第3の実施形態において、シリコン酸化膜34は、SOI基板を用いて残存させたシリコン酸化膜に限らず、例えば、バルク基板を用いた場合であって膜厚が2nm程度の自然酸化膜等も含まれる。
以上、第1乃至第3の実施形態を用いて本発明の説明を行ったが、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば各実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
12…撮像領域(Pixel region)、14…駆動回路領域、1…単位画素(Pixel)、34…シリコン酸化膜、33…p型アモルファスシリコン化合物層(p型アモルファスシリコンカーバイド層(a−SiC(p)層))、BF…光照射面側の半導体基板とシリコン酸化膜との界面、35…ホール蓄積層。

Claims (5)

  1. 半導体基板上に光電変換部及び信号走査回路部を含む複数の画素が配置される撮像領域を備え、前記信号走査回路部が形成される前記半導体基板の表面とは反対側の基板表面上に光照射面が形成される裏面照射型の固体撮像装置であって、
    前記光照射面側の半導体基板上に設けられるシリコン酸化膜と、
    前記シリコン酸化膜上に設けられるp型アモルファスシリコン化合物層と、
    前記光照射面側の半導体基板と前記シリコン酸化膜との界面近傍に、前記p型アモルファスシリコン化合物層により形成されるホール蓄積層とを具備すること
    を特徴とする固体撮像装置。
  2. 前記画素は、画素ごと分離するための画素分離層を更に有し、
    前記画素分離層を介して、前記p型アモルファスシリコン化合物層に電圧を与える制御回路を更に具備すること
    を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
  3. 前記p型アモルファスシリコン化合物層上に設けられる透明電極層を更に具備し、
    前記制御回路は、前記透明電極層に負バイアスを与えること
    を特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
  4. 前記p型アモルファスシリコン化合物層は、p型アモルファスシリコンカーバイド層またはp型アモルファスシリコンナイトライド層であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
  5. 前記p型アモルファスシリコンカーバイド層のボロン濃度は、1E17cm−3以上,1E20cm−3以下であり、
    前記シリコン酸化膜の膜厚は、2nm以上,100nm以下であること
    を特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
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