JP5305053B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、イオン検出器として電子増倍型検出器を用いた質量分析装置に関する。
質量分析装置では、質量分離器において質量電荷比m/zに応じて分離したイオンをイオン検出器で検出する。一般にイオン検出器では、到達したイオンの数に比例した信号を取り出すが、特に定量分析においては、検出可能なイオン量の多少の範囲、即ち、ダイナミックレンジが広いことが重要である。このダイナミックレンジの主な制約要因は、質量分析に供されるイオンの量の上限、並びに、イオン検出器自体が検出可能なイオン量の上限及び下限、である。
例えば3次元四重極型イオントラップと飛行時間型質量分析器とを組み合わせたイオントラップ飛行時間型質量分析装置(IT−TOFMS)を考えると、3次元四重極型イオントラップはイオンの蓄積可能量の上限が比較的低く、しかも、その上限以下であってもイオントラップ内のイオン蓄積量が多いと、空間電荷効果と呼ばれるイオン間の相互作用の影響により質量分離性能などの性能の低下が問題となる。これに対し、リニア型イオントラップは3次元四重極型イオントラップに比べてイオンの蓄積可能量の上限が高い。このため、IT−TOFMSにおいてリニア型イオントラップを用いることで、より多くの量のイオンを質量分析に供することができ、ダイナミックレンジの拡大に有利である。このようにイオン供給側のイオン光学的特性が改善されると、ダイナミックレンジを拡大するのに重要なのはイオン検出器自体のダイナミックレンジの改善である。
質量分析装置におけるイオン検出器としては、二次電子増倍器を用いたもの(特許文献1など参照)、コンバージョンダイノードと二次電子増倍器とを組み合わせたもの(特許文献2など参照)、コンバージョンダイノード、蛍光体、及び光電子増倍器を組み合わせたもの、などがよく利用されている。例えば特許文献1などに開示されているように、一般に、二次電子増倍器では、直流電源から供給される高電圧を抵抗分割した電圧が、電子を増倍するための多段のダイノードに対して印加される構成となっている。また、直流電源から供給される電圧を調整することにより、電子の増倍率、つまり検出器のゲインを変更するようにしている。
二次電子増倍器や光電子増倍器などの電子増倍技術を利用した検出器では、入力が過大である場合(具体的には、入射するイオンの量が過剰である場合)やダイノードへの印加電圧が不足した場合などに増倍率が低下し、結果として最終段のアノード(コレクタと呼ばれる場合もある)から取り出される出力信号が飽和するという問題が起こる。こうした問題を解決するため、従来、ブースター法やダイノード読み出し法と呼ばれる手法が知られている。
ブースター法は、二次電子を増倍する途中のダイノードの各段、又は後半部の1乃至複数段のダイノードに対し、抵抗分割ではなく独立に給電を行うようにし、それらの印加電圧を任意に調整できるようにしたものである。一方、ダイノード読み出し法は、アノードだけでなく電子増倍の途中段階であるダイノードの1乃至複数段からも信号読み出しを行うものである。
しかしながら、上記従来の方法によってもダイナミックレンジを十分に改善することは難しい。例えば、TOFMSでは、きわめて短時間に多数のイオンが次々とイオン検出器に入射する。このような場合、ブースター法のようにダイノードの各段に独立に給電を行っても、過渡的に給電量が不足したり二次電子増倍器内部で電子による空間電荷効果が生じたりして一時的なゲイン低下や出力波形の鈍りが発生することがある。また、ダイノードへの給電が十分に行われ二次電子増倍器における電子の空間電荷効果が無視できる場合であっても、高速の波形を検出する必要があるTOFMSにおいては、検出信号の増幅部の入力帯域を広くし且つサンプリング周波数も高くする必要があるため、熱雑音によるノイズレベルが無視できず、これがダイナミックレンジの抑制要因となる。
一方、ダイノード読み出し法のように二次電子増倍器の中間のダイノードの各段や特定のダイノードから信号読み出しを行った場合、最終段であるアノードの信号にゲイン低下や波形の鈍化が生じている場合でも、中間段のダイノードでのゲイン低下や波形の鈍化は相対的に小さい。そのため、中間段のダイノードによる信号を用いることで、過大入力時でも出力の飽和を回避することができる。
しかしながら、過大な入力がなくなった場合でも、二次電子増倍器の後半部の各段のダイノードやアノードにおけるゲイン低下や波形の鈍化の回復には或る程度の時間を要するため、過大入力直後の微小入力に対しては十分なゲインを確保することができず、これがダイナミックレンジを抑制し定量性を低下させる要因となる。また、ダイノード読み出し法では、二次電子増倍器から出力される複数の信号を処理する必要があり、その演算のために信号処理部のコストが増大したり、或いはその演算量の多さから処理速度が制限されたりすることがある。
特開2000−357487号公報 国際公開第2007/029327号パンフレット
上記理由により、特にTOFMSのように、次々に入射してくるイオンを高い時間応答性をもって検出する必要がある場合に、従来の電子増倍型の検出器ではダイナミックレンジを改善することは困難であった。本発明はこうした課題に鑑みて成されたものであり、イオン検出器に電子増倍型検出器を用いた質量分析装置において、過大入力時の信号飽和を回避するとともに、過大入力の直後には迅速に増倍率や波形鈍りを回復させることにより、測定のダイナミックレンジを向上させることを主な目的としている。
上記課題を解決するためになされた第1発明は、電子を順次増倍する多段のダイノードとそれらダイノードで増倍された電子を最終的に検出するアノードとを有する電子増倍型検出器をイオン検出器として用いる質量分析装置において、
a)前記多段の各ダイノード及び前記アノードにそれぞれ所定の電圧を印加するべく、独立に電圧調整が可能な少なくとも2以上の直流電源を含む給電手段と、
b)前記アノードで得られる信号を取り出すとともに、前記多段のダイノードの少なくとも1つで得られる信号を取り出すための信号出力手段と、
c)前記給電手段により前記多段の各ダイノード及びアノードにそれぞれ電圧が印加されている状態の下で前記信号出力手段により取り出される複数の信号を受けて、その複数の信号の1つを逐次選択し質量スペクトルの信号強度に反映させる処理を行う信号処理手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明及び後述の第2発明に係る質量分析装置において、電子増倍型検出器は、イオンを直接、初段のダイノードに導入する二次電子増倍型検出器のほか、イオンをコンバージョンダイノードに入射させ、コンバージョンダイノードで発生した電子を二次電子増倍器に導入する構成、コンバージョンダイノードで発生した電子を蛍光体に当てて光に変換し、その光を光電子増倍管で検出する構成、など様々な構成の検出器を含む。
上述したように、一般的な電子増倍型検出器では、複数のダイノードに1つの直流電源から抵抗分割により分圧された電圧がそれぞれ印加される。各ダイノードでの電子の増倍率は印加電圧に依存するため、アノードで得られる信号が飽和するおそれがある場合には直流電源の出力電圧を下げることで各印加電圧を下げ、増倍率を下げる。逆に、アノードで得られる信号が小さ過ぎる可能性がある場合には、直流電源の出力電圧を上げることで各印加電圧を上げ、増倍率を上げる、といった制御を行う。また、一般に二次電子増倍管では、長期間使用していると経時劣化等により徐々に増倍率が低下するため、長期間に亘り同程度の増倍率を維持するには、劣化の度合いに応じて印加電圧を上げる必要がある。但し、抵抗分割比により分圧比は決まってしまうため、全体の増倍率を上げたり下げたりすることはできるものの、特定のダイノードの増倍率を他のダイノードに比べて相対的に大きく又は小さくすることはできない。
これに対し、第1発明に係る質量分析装置では、例えば、アノードの手前の最終段のダイノードに対し、それよりも手前の複数段のダイノードとは別の独立した直流電源から電圧を印加する。この場合、最終段よりも手前の複数段のダイノードには、従来通り、直流電源の出力電圧をそれぞれ抵抗分割した電圧を印加する構成とすることができる。この構成では、抵抗分割により各ダイノードに印加される電圧とは独立に且つ任意に、最終段のダイノードへの印加電圧を決めることができる。これにより、例えば、その手前のダイノードまでの増倍率を変えることなく、最終段のダイノードにおける増倍率のみを下げることが可能である。それにより、最終段のダイノードにおける信号の飽和を起こりにくくすることができる。
また、ダイノードには増倍される電子の量に応じた電流が流れるため、例えば入射するイオンの量が増加した場合に、特に後半部のダイノードに流れる電流は急に増える。抵抗分割により電圧が印加されている場合、或るダイノードに流れる電流が急増して一時的に電圧が下がると他のダイノードへの印加電圧も影響を受けるが、第1発明に係る質量分析装置において、例えば最終段のダイノードに対して独立した直流電源から電圧が印加される構成であれば、そのダイノードに流れる電流が急増しても他のダイノードの印加電圧には影響を与えない。また、最終段のダイノードの電圧が一時的に低下しても、速やかにその電圧を回復させ、増倍率を元の状態に戻すことができる。
また、第1発明に係る質量分析装置では、信号出力手段により、アノードで得られる信号のみならず、多段のダイノードの少なくとも1つで得られる信号が取り出される。つまり、或る時点でイオン検出器に入射したイオンの量に対応した信号が、複数取得される。信号処理手段は、その複数の信号を受け、その複数の信号の1つを逐次選択し質量スペクトルの信号強度に反映させる処理を実施する。通常、信号の飽和が生じない範囲で検出信号はできるだけ大きなほうが好ましいから、取得した信号に基づいて信号飽和の可能性などを判断し、いずれかの信号を選択するようにすればよい。
具体的には、例えば上記信号処理手段は、複数の信号の少なくとも1つを所定の閾値と比較する比較手段と、その比較の結果に応じて、それら複数の信号のうちの1つを質量スペクトルの信号強度に反映させる信号として選択する選択手段と、を含む構成とすることができる。但し、アノードから取り出された信号と1乃至複数のダイノードから取り出された信号とでは、それぞれ電子の増倍率が相違する。また、各信号経路に増幅器が設けられている場合には、各増幅器の増幅度が相違することがある。さらに、アナログ値である各信号がそれぞれアナログ/デジタル変換器によりデジタル値に変換される場合には、各アナログ/デジタル変換器の入力電圧のフルスケールが相違することがある。そこで、こうした電子増倍率、増幅度、フルスケールなどの相違を補正する演算を行う必要がある。
なお、信号処理手段は、同一の入射イオンに対する複数の信号(アナログ値又はデジタル値)を選択せずに一旦記憶部に格納し、質量スペクトルを作成する段階で、各時点で得られた複数の信号のうちの1つを選択する処理を実行することができる。また、信号を記憶部に格納する段階で、各時点で得られた複数の信号のうちの1つを選択する処理を実行するようにしてもよい。
また第1発明に係る質量分析装置では、好ましくは、前記信号出力手段により取り出される複数の信号の比が所定の値になるように、前記給電手段に含まれる2以上の直流電源による出力電圧の比を調整する制御手段をさらに備える構成とするとよい。
例えば上記所定の値は2のべき乗とするとよい。また、上述したように複数の信号がアナログ/デジタル変換器によりデジタル値に変換された後に前記信号処理手段に入力される場合には、上記所定の値は各信号に対応したデジタル値の比が2のべき乗になるようにするとよい。
周知のように、信号処理手段における演算処理をデジタル的に行う場合、2進数で演算を行うのが一般的である。そのため、複数の信号の比が2のべき乗であって、各信号に対応した電子増倍率、増幅度、フルスケールなどの比も2のべき乗であれば、上記のような補正演算が単純なビットシフト処理になることから高速処理が可能となり、また丸め誤差も低減できる。多くの場合、飛行時間型質量分析装置では高速(数ギガサンプル毎秒程度)の測定が必要であり、データ処理の高速性が重要となる。また多くの場合、このような高速で動作可能なA/D変換器は有効ビット数が少ないことから、丸め誤差の低減が重要となる。
また、第1発明に係る質量分析装置では、給電手段に含まれる2以上の直流電源による出力電圧の比を調整することにより、信号出力手段により取り出される複数の信号の比を所定の値にするようにしていたが、ダイノードへの印加電圧の比を調整できない場合には、信号経路に設けた信号増幅器の増幅度、又は信号経路に設けた信号減衰器の減衰度を調整することで、複数の信号の比を調整するようにしてもよい。
即ち、第2発明に係る質量分析装置は、電子を順次増倍する多段のダイノードとそれらダイノードで増倍された電子を最終的に検出するアノードとを有する電子増倍型検出器をイオン検出器として用いる質量分析装置において、
a)前記アノードで得られる信号を取り出すとともに、前記多段のダイノードの少なくとも1つで得られる信号を取り出すための信号出力手段と、
b)前記信号出力手段により取り出された複数の信号の経路上に設けられ、それら複数の信号の比を2のべき乗にするように増幅度が設定された信号増幅器、又は減衰度が設定された信号減衰器である信号調整手段と、
c)前記信号調整手段を通した複数の信号を受けて、その複数の信号の1つを逐次選択し質量スペクトルの信号強度に反映させる処理を行う信号処理手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明に係る質量分析装置では、イオン検出器において多段のダイノード及びアノードへの少なくとも2以上の独立した電源から給電を行っているため、信号の飽和が起こりにくくなり、またイオン検出器への過剰なイオンの入射により、アノードから取り出される信号に飽和や波形歪みが起こった場合でも、増倍途中のダイノードから取り出した信号を用いることで、信号飽和や波形歪みの影響が質量スペクトルに現れるのを防止することができる。さらにまた、上記のように信号飽和や波形歪みが起こったときにも、それが生じたダイノードやアノードにおいて迅速に電圧の低下を回復させ、増倍率を元に戻すことができる。それにより、過剰なイオンの入射に引き続いて、微少量の別のイオンの入射があった場合でも、その微小量のイオンに応じた二次電子を適切に増倍し、検出信号として取り出すことができる。このようなことから、第1発明に係る質量分析装置によれば、イオン検出器における信号検出のダイナミックレンジを従来よりも拡大することができ、ひいては測定のダイナミックレンジを広げることができる。
さらにまた第1発明に係る質量分析装置では、2以上の独立した電源の出力電圧を適宜に調整することにより、複数の信号に対する演算処理を実行する際の処理を簡単にし、処理の高速化を図ることができる。それによって、信号処理のハードウエアの負担が軽減され、より低コストのハードウエアでの処理が可能となる。
また第2発明に係る質量分析装置によれば、イオン検出器において多段のダイノード及びアノードへ電圧を印加するために1つの電源しか有していない構成であっても、複数の信号に対する演算処理を実行する際の処理を簡単にし、処理の高速化を図ることができる。それによって、信号処理のハードウエアの負担が軽減され、より低コストのハードウエアでの処理が可能となる。
本発明の第1実施例による質量分析装置の概略構成図。 第1実施例の質量分析装置におけるイオン検出器及び信号処理部の要部の構成図。 本発明の第2実施例の質量分析装置におけるイオン検出器及び信号処理部の要部の構成図。
[第1実施例]
本発明に係る質量分析装置の第1実施例について、添付図面を参照しつつ説明する。図1は第1実施例の質量分析装置の概略構成図である。
図1に示すように、第1実施例の質量分析装置は、試料分子をイオン化するイオン源1、イオン源1で発生したイオンを一時的に保持するリニア型イオントラップ2、該リニア型イオントラップ2から所定のタイミングで略一斉に出射された各種イオンを質量電荷比m/zに応じて時間的に分離する飛行時間型質量分析器3、及び、時間的に分離されて到達するイオンを順次検出するイオン検出器4を、真空雰囲気に維持される図示しない容器の内部に備える。
イオン検出器4による検出信号は信号処理部5に送られ、信号処理部5において所定の信号処理が実行され、横軸が質量、縦軸が信号強度である質量スペクトルが作成される。さらに、信号処理部5では、質量スペクトルを解析処理することにより、定性分析や定量分析が行われる。イオン源1によるイオン化法は特に限定されないが、例えばマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法などを用いることができる。また、リニア型イオントラップ2に代えて3次元四重極型のイオントラップを用いることもできる。
図2は、第1実施例による質量分析装置におけるイオン検出器4及び信号処理部5の要部の構成図である。イオン検出器4としては二次電子増倍管10が用いられ、飛行時間型質量分析器3で分離されたイオンが二次電子増倍管10に直接導入される。図2に示すように、二次電子増倍管10は、電子を順次増倍するための多段(この例では6段であるが、一般的には十数段〜20段程度)のダイノード11〜16と、ダイノード11〜16で増倍された電子を最終的に検出するアノード(コレクタ)17と、を含む。
1段目から5段目までのダイノード11〜15には、第1電源部21から出力される負の直流高電圧−V1が分割抵抗網20を介して分割されてそれぞれ印加される。また、最終段のダイノード16には第2電源部22から出力される負の電圧−V2が印加され、アノード17には第3電源部22から出力される負の電圧(又は接地電位)−V3が印加される。即ち、アノード17及び最終段ダイノード16には、その手前の第1段〜第5段ダイノード11〜15とはそれぞれ独立に、電圧を調整可能な電源部が設けられている。これら電源部21〜23が本発明における給電手段に相当する。
二次電子増倍管10において、最終的に電子を検出するアノード17から信号線1が引き出されるほかに、第5段ダイノード15からも信号線1が引き出され、本発明における信号出力手段に相当するそれら2本の信号線18、19は、信号処理部5においてそれぞれ直流遮断用のコンデンサを経てプリアンプ30、31に接続されている。プリアンプ30、31の出力は並列にアナログ/デジタル変換器(ADC)32、33に入力され、ADC32、33において所定のタイミングでサンプリングされデジタル値に変換されて検出データとしてデータ処理部34に送られる。データ処理部34には検出データを保存するデータ保存部35が付設され、必要な検出データをデータ保存部35に保存するとともに、後述するようなデータ処理を実行して質量スペクトルを作成する。第1〜第3電源部21〜23の出力電圧は制御部24により制御され、また、データ処理部34の処理動作も制御部24により制御される。
次に、このイオン検出器4及び信号処理部5におけるイオン検出動作について説明する。
制御部24は第1〜第3電源部21〜23に対しそれぞれ目標電圧を設定し、第1〜第3電源部21〜23はそれぞれ設定された目標電圧になるように出力電圧V1〜V3を調整する。二次電子増倍管10の第1段〜第5段ダイノード11〜15には、それぞれ電圧−V1が分割抵抗網20で抵抗分割された電圧が印加されるため、その抵抗比によって電圧が決まり、またその電圧比も一義的に決まる。これに対し、最終段ダイノード16及びアノード17にはそれぞれ独立に電圧が印加されるため、自由に電圧を決めることができる。ここでは、後述するように、二系統の信号に対応した検出データの比が2のべき乗、例えばその比が2:23となるように、電圧−V1、−V2、−V3を決める。二次電子増倍管10における印加電圧を増倍率との関係はダイノードの汚れなどによって徐々に変化するから、例えば標準試料を測定する際に、制御部24がデータ処理部34から検出データのフィードバックを受けて、その検出データの比が2のべき乗である所定値になるように出力電圧を調整する、一種の校正を実施するようにしておくとよい。
イオン源1に試料が導入されて質量分析が開始されると、二次電子増倍管10は上記のような電圧印加条件の下に動作し、入射してきたイオンの個数に応じた2系統の検出信号が信号線18、19から並行して出力される。いまここで便宜的に、或る時点で二次電子増倍管10に入射してきたイオンに対応して第5段ダイノード15で得られる検出信号、つまり信号線18を通して取り出される信号(アナログ値)をP1、アノード17で得られる検出信号、つまり信号線19を通して取り出される信号(アナログ値)をP2と呼ぶ。当然のことながら、P1<P2である。信号P1はプリアンプ30において増幅度A1で増幅されたあと、ADC32でデジタル値に変換される。一方、信号P2はプリアンプ31において増幅度A2で増幅されたあと、ADC33でデジタル値に変換される。便宜的に、信号P1に対するデジタル値を検出データD1、信号P2に対するデジタル値を検出データD2と呼ぶ。データ処理部34は2つのADC32、33で並行して得られた検出データを取り込み、その取得時刻に対応して(又は単に時系列順に)データ保存部35に格納する。
同一質量電荷比を有するイオンが二次電子増倍管10に過剰に入射した場合、後半部のダイノード例えば最終段ダイノード16やアノード17では二次電子による電流が十分に流れなくなり、信号が飽和したり信号波形が歪んだりすることがある。このとき、例えば信号P2は飽和したとしても、それよりも手前の、つまり電子増倍率が低い第5段ダイノード15から取り出される信号P1が飽和する可能性はきわめて低い。したがって、二次電子増倍管10に過剰な量のイオンが入射した場合であっても、同一時刻に対してデータ保存部35に格納される2つの検出データD1、D2のうち、少なくとも1つは信号飽和や波形歪みがないものが得られる。
また、信号飽和が生じる原因の一つは、ダイノードには二次電子の量に応じた電流が流れるため、二次電子の量が過剰になった場合に、それに対応した十分な電流を電源部が供給できなくなることにある。抵抗分割により各ダイノードに電圧が印加されている場合には、電流が急に増加したときにそれを迅速に補うことが難しいし、抵抗を通して信号飽和が生じていないダイノードへの印加電圧も一時的に下がるおそれがある。これに対し、この第1実施例の質量分析装置では、最終段ダイノード16やアノード17には、第1〜第5段ダイノード11〜15とは別にそれぞれ独立した電源部から電圧が印加されているため、二次電子による電流が急に増加した場合でもそれを迅速に補うことができ、電子増倍率が下がることを防止することができる。また、一時的に電子増倍率が下がっても、それを迅速に回復させることができる。これにより、アノード17における信号飽和や波形変形自体が起こりにくく、またそうした状態が一時的に起こっても速やかに元の正常な状態に復帰し、引き続いて入射するイオンに対応した信号を得ることができる。
データ処理部34では、測定実行中(検出データを取得しながら)又は測定実行後に(検出データの取得を全て終了したあとに)、測定者の指示に基づいて質量スペクトルを作成して表示部36の画面上に表示する。例えば測定終了後に(つまりオフラインで)質量スペクトルを作成・表示する際には、データ処理部34は測定時の時間経過の順にデータ保存部35から検出データを読み出す。上述したように或る時刻に対して2つの検出データD1、D2が存在するから、次のような手順で、その時刻において質量スペクトルに反映させる信号強度値を求める。
即ち、まず検出データD1の値が予め定めた一定の閾値Dt以下であるか否かを判定し、D1≦Dtであれば検出データD2を採用し、D1>Dtであれば検出データD1を採用する。これは、D1≦DtであればD1よりも大きなD2が飽和している可能性が低く、D1の値は小さいためにS/Nが悪いからである。一方、D1>DtであればD2は飽和している可能性が高いからD1を採用する。これにより、2つの検出データD1、D2のうち、信号飽和が生じておらず且つできるだけS/Nの高い検出データを採用することができる。各時刻の2つの検出データに対して、それぞれ上記のような判定処理を実行することにより、質量スペクトルに反映させる検出データを選定する。
なお、類似した別の手法として、検出データD2の値が予め定めた一定の閾値Dt’以上であるか否かを判定し、D2≧Dt’であれば検出データD1を採用し、D2<Dt’であれば検出データD2を採用するようにしてもよい。この手法によっても、信号飽和が生じておらず且つできるだけS/Nの高い検出データを採用することができる
検出データD1をD2と比較すると、アノード17よりも電子増倍率が低い第5ダイノード15から取り出された信号P1に基づくものであるから、検出データD1を採用した場合、電子増倍率の差異などによるレベルを補正する処理を行う必要がある。いま、プリアンプ30、31の増幅度がA1=A2であって且つADC32、33のフルスケール(ゲイン)も等しい場合には、二次電子増倍管10における電子増倍率の差異の分だけレベルを補正すればよい。その場合、次の(1)式により検出データD1の値を補正する。
D1’=D1×{(アノード17の増倍率)/(第5段ダイノード15の増倍率)} …(1)
アノード17及び第5段ダイノード15の増倍率は各ダイノード11〜16への印加電圧により決まるから、データ処理部34は測定実行時に制御部24から印加電圧の目標値データを受け取り、これから増倍率を計算して検出データに対応付けてデータ保存部35に格納しておけばよい。
プリアンプ30、31の増幅度A1、A2が同一でない場合、ADC32、33のフルスケールが同一でない場合、又は、その両方である場合には、上記(1)式に代えて次の(2)式により検出データD1の値を補正すればよい。
D1’=D1×{(アノード17の増倍率)×[(プリアンプ31の増幅度A2)/(ADC33のフルスケール)]}/{(第5段ダイノード15の増倍率)×[(プリアンプ30の増幅度A1)/(ADC32のフルスケール)]} …(2)
データ処理部34で上記(1)式又は(2)式に則った演算を実行する場合、通常、2進数で処理を行う。したがって、各式の各要素の比が整数比であると小数点演算が不要になり、さらに、その比が2のべき乗となっていると乗算や除算は単なるビットシフトで済む。ビットシフト処理は非常に高速で行うことができるため、2つ又はそれ以上の検出データの補正処理も非常に高速で行うことができる。これにより、例えば演算処理をCPUで行う際にはCPUの負担が軽減され、演算処理をDSPなどのハードウエアで実行する場合にはハードウエア量が削減できる。
データ処理部34では、各時刻に取得した2つの検出データD1、D2に対し、上述したような検出データの選択と必要に応じてレベル補正の処理を行うことにより、質量スペクトルに反映させるデータを順次生成して飛行時間スペクトルを作成する。そして、例えば予め取得した、飛行時間と質量電荷比との関係を示す較正情報に基づいて、飛行時間を質量電荷比に換算することにより質量スペクトルを作成し、これを表示部36の画面上に表示する。これにより、イオン検出器4へ到達するイオンが多い場合における信号飽和や波形歪みの影響がなく、イオン検出器4へ到達するイオンが少量である場合でも高いS/Nで且つ高精度の信号値を反映した質量スペクトルを作成・表示することができる。
上記第1実施例による質量分析装置では、信号P1、P2それぞれのA/D変換値(検出データ)D1、D2をともにデータ保存部35に保存し、オンライン又はオフラインで質量スペクトルを作成する処理を行う際に、同時刻に得られた検出データD1、D2のいずれかを選択し、レベル補正を行うようにしている。この方法の利点は、事前に電子増倍率の比などが不明であってもよいことである。これに対し、2つの信号P1、P2、又は検出データD1、D2の取扱い方法としては、次のような変形を行うことも可能である。
[変形例
試料を測定して質量スペクトルデータを取得する際に、同一時刻に対して得られる2つの検出データD1、D2の一方を上記のような手法で選択し、選択されたデータのみをデータ保存部35に格納する。検出データD1、D2のいずれを選択したのかを示す情報(例えば1ビットのフラグ)を付加しておき、オフラインで質量スペクトルを作成・表示する際には上記付加情報を用いてレベル補正の要否を判断し、必要に応じてレベル補正を行う。この方法の利点はデータ保存部35に保存するデータ量が上記方法の約1/2で済むことである。
[変形例
試料を測定して質量スペクトルデータを取得する際に、同一時刻に対して得られる2つの検出データD1、D2の一方を上記のような手法で選択し、検出データD1を選択した場合にはレベル補正を実行したあとに、データ保存部35に格納する。この場合、或る時刻に対して検出データは1つしか保存されていないので、オフラインで質量スペクトルを作成・表示する際にはデータ保存部35から単に検出データを読み出して飛行時間スペクトルを作成することができる。
[変形例
上記変形例のように、選択した検出データに対し必要に応じたレベル補正を行ったあとのデータについて、対数演算後に整数化を行うなどの非可逆圧縮を施し又は可逆圧縮を施し、データ量を削減したあとにデータ保存部35に保存する。この場合、圧縮率を高めるほど保存するデータ量を削減することができる。但し、非可逆圧縮の場合には大きな信号に生じた小さな差異は結果に反映されなくなる。また可逆圧縮の場合には一般に演算処理に時間が掛かる。
[変形例
以上の方法はいずれも、各ピークの波形、つまりピークトップのみならずピークの傾斜部分も反映された質量スペクトルを作成・表示することを意図したものである。これに対し、各ピークをピークトップの信号値のみを示す単純な線で表記する質量スペクトルを作成・表示できさえすればよい場合には、各サンプリング時刻の検出データを全て保存するのではなく、予めピーク検出を行って検出されたピークのピークトップの出現時刻とその波高値のみをデータ保存部35に保存するようにすればよい。この場合には、保存すべきデータ量は大幅に削減される。
上記説明では、同時刻に2つの検出データD1、D2が得られるとしたが、二次電子増倍管10内部において、入射したイオンに対応して増倍される電子は先に第5段ダイノード15に到着し、その後にアノード17に到着するため、信号P1、P2が得られる時刻は僅かではあるが異なる。また第5段ダイノード15とアノード17との電極容量の相違や到着する電子群の時間的な拡がりの相違などにより、信号P1、P2の立ち上がり・立下がり時間も僅かながら異なる。飛行時間型質量分析装置では、時間ずれは質量電荷比のずれに繋がるから、質量分解能や質量精度をより高めるために、上記のような時間ずれを解消するべく次のような処理を加えてもよい。
即ち、信号P1とP2との間の時間差が問題になるのであれば、その時間差を補正するために、アナログ回路上で例えば信号線18に遅延素子を挿入して信号P1を遅延させるか、或いは、ADC33におけるサンプリング時刻をADC32におけるサンプリング時刻に対して少し遅らせる補正処理を行うようにすればよい。一方、信号P1、P2の立ち上がり・立下がり時間の相違が問題になるのであれば、アナログ回路において波形整形回路を設ける、又は、A/D変換のあとにデジタル処理で波形整形を行うようにするとよい。なお、上記変形例のように質量スペクトル上で波形を表示せずにピーク値のみの表示する場合には、信号の立ち上がり・立下がりのばらつきは問題とならない。
[第2実施例]
次に本発明の他の実施例(第2実施例)による質量分析装置について説明する。この質量分析装置の全体構成は第1実施例と同じであり、イオン検出器4及び信号処理部5の構成及び動作が第1実施例と相違する。図3は第2実施例による質量分析装置におけるイオン検出器4及び信号処理部5の要部の構成図であり、上記第1実施例と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を略す。
この第2実施例では、二次電子増倍管10の各ダイノード11〜16には、唯一の電源部26の出力電圧−HVが分割抵抗網25で分割された電圧がそれぞれ印加され、アノード17は接地されている。したがって、第1実施例のように、最終段ダイノード16やアノード17へ電圧を印加する電源部を独立に設けたことによる、電圧・電流の安定化などの効果は得られない。但し、イオン検出器4への過剰なイオンの入射により、アノード17から取り出される信号に飽和や波形歪みが起こった場合については、第1実施例と同様に、増倍途中のダイノードから取り出した信号を用いることで、信号飽和や波形歪みの影響が質量スペクトルに現れるのを防止することができる。
一方、信号線18に設けられたプリアンプ40、及び信号線19に設けられたプリアンプ41はいずれも増幅度可変のアンプであり、それらプリアンプ40、41の増幅度は制御部27により制御される増幅度調整部42により所定値に設定される。第1実施例の質量分析装置では、3つの電源部21〜23の出力電圧を適宜に調整することにより、検出データD1、D2の比が2のべき乗になるようにしている。それに対して、この第2実施例の質量分析装置では、増幅度調整部42によりプリアンプ40、41の増幅度をそれぞれ適宜に設定することにより、検出データD1、D2の比が2のべき乗になるようにしている。検出データD1、D2の比が2のべき乗にすることが好ましい理由は、第2実施例においてもデータ処理部34において前述の式(2)の補正演算を実施する際に、高速なビットシフト処理で実行が可能となり、演算処理をCPUで行う際にはCPUの負担が軽減され、演算処理をDSPなどのハードウエアで実行する場合にはハードウエア量が削減できるからである。
なお、図3の構成では、プリアンプ40、41ともに増幅度可変としているが、一方は増幅度を固定しておき、他の一方のみの増幅度を可変とすればよい。また、プリアンプ40、41の増幅度を可変とする代わりに、減衰率が可変の信号減衰器を挿入する構成としてもよい。また、ADCのフルスケールを可変として、そのフルスケールにより検出データの比を調整できるようにしてもよい。
また、上記実施例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…イオン源
2…リニア型イオントラップ
4…イオン検出器
5…飛行時間型質量分析器
10…二次電子増倍管
11〜16…ダイノード
17…アノード
18、19…信号線
20…分割抵抗網
21〜23、26…電源部
24、27…制御部
30、31、40、41…プリアンプ
32、33…アナログ/デジタル変換器(ADC)
34…データ処理部
35…データ保存部
36…表示部
42…増幅度調整部

Claims (6)

  1. 電子を順次増倍する多段のダイノードとそれらダイノードで増倍された電子を最終的に検出するアノードとを有する電子増倍型検出器をイオン検出器として用いる質量分析装置において、
    a)前記多段の各ダイノード及び前記アノードにそれぞれ所定の電圧を印加するべく、独立に電圧調整が可能な少なくとも2以上の直流電源を含む給電手段と、
    b)前記アノードで得られる信号を取り出すとともに、前記多段のダイノードの少なくとも1つで得られる信号を取り出すための信号出力手段と、
    c)前記給電手段により前記多段の各ダイノード及びアノードにそれぞれ電圧が印加されている状態の下で前記信号出力手段により取り出される複数の信号を受けて、その複数の信号の1つを逐次選択し質量スペクトルの信号強度に反映させる処理を行う信号処理手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記信号出力手段により取り出される複数の信号の比が所定の値になるように、前記給電手段に含まれる2以上の直流電源による出力電圧の比を調整する制御手段をさらに備えることを特徴とする質量分析装置。
  3. 電子を順次増倍する多段のダイノードとそれらダイノードで増倍された電子を最終的に検出するアノードとを有する電子増倍型検出器をイオン検出器として用いる質量分析装置において、
    a)前記アノードで得られる信号を取り出すとともに、前記多段のダイノードの少なくとも1つで得られる信号を取り出すための信号出力手段と、
    b)前記信号出力手段により取り出された複数の信号の経路上に設けられ、それら複数の信号の比を2のべき乗にするように増幅度が設定された信号増幅器、又は減衰度が設定された信号減衰器である信号調整手段と、
    c)前記信号調整手段を通した複数の信号を受けて、その複数の信号の1つを逐次選択し質量スペクトルの信号強度に反映させる処理を行う信号処理手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項2に記載の質量分析装置であって、
    前記所定の値は2のべき乗であることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項2又は3に記載の質量分析装置であって、
    前記複数の信号はアナログ/デジタル変換器によりデジタル値に変換された後に前記信号処理手段に入力され、前記所定の値は、各信号に対応したデジタル値の比が2のべき乗になるものであることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の質量分析装置であって、
    前記信号処理手段は、前記複数の信号の少なくとも1つを所定の閾値と比較する比較手段と、その比較の結果に応じて、それら複数の信号のうちの1つを質量スペクトルの信号強度に反映させる信号として選択する選択手段と、を含むことを特徴とする質量分析装置。
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