JP6533749B2 - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents
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イオン源1で生成したイオンビームは、イオン輸送部2を経由して、質量分離部3内のイオン加速部4に導入される。イオン加速部4において垂直方向に加速されたイオンビームiは、ドリフト空間5を飛行した後、イオン反射部6で反射されて、時間的な収束を起こしながらイオン検出器7に向かって飛行する。このようなイオンビームの飛行で、質量分離処理が行われる。イオンビームiの飛行距離は、例えば数mから十数m程度である。
イオン検出器7から出力される電気信号は、前置増幅器8により電気的に増幅された後、デジタル変換部であるデジタイザ9で、アナログ信号からデジタルデータに変換される。デジタイザ9でデジタル変換処理が行われて得られたデジタルデータが、データ処理部10に供給される。データ処理部10では、入力したデジタルデータにデータ処理を施すことで、質量スペクトルデータを得る質量スペクトルデータ取得処理が行われる。この質量スペクトルデータ取得処理は、データ処理部10に実装されたデータ処理ソフトウェア(プログラム)により実行される。
また、校正手法2の場合には、標準試料が常にイオン源に投入されているため、バックグラウンドのノイズピークとして常に標準試料が存在するので、精確なクロマトグラム(或いはマススペクトル)を得るためには、測定したクロマトグラム(或いはマススペクトル)からバックグラウンドのノイズピークを差し引く必要がある。しかしながら、標準試料の導入量は温度や圧力などの環境条件で増減するため、ノイズピーク強度は一定ではなく、バックグラウンドの影響を残さずに完全に除去することは極めて困難であるという問題があった。
また、図8の上側に示すように、クロマトグラム上の任意の点におけるマススペクトルについても、分析試料のスペクトルαa,αb,αc,αdと、標準試料のスペクトルβとが混在した状態である。特に、標準試料のスペクトルβについては、クロマトグラム上のどの点でも高い強度で存在しており、標準試料のスペクトルβの影響を排除して分析試料のスペクトルαa〜αdを取り出すことは非常に困難である。なお、図8の上側に示すクロマトグラム上のそれぞれの点におけるマススペクトルは、質量mと電荷zの比である[m/z]値の軸上に検出されるスペクトルである。
デジタイザは、分析試料の強度レベルに対応したレベルで第1のデジタルデータに変換すると共に、標準試料の強度レベルに対応したレベルで第2のデジタルデータに変換する。
さらに、デジタイザで変換された第2のデジタルデータからスペクトル位置が既知の標準試料のスペクトルを抽出する標準試料スペクトル抽出部と、標準試料スペクトル抽出部で得た標準試料のスペクトルに基づいて、第1のデジタルデータを校正する校正部と、校正部で校正されたデータから分析試料のスペクトルを取得する分析試料スペクトル取得部とを備える。
図1は、本例の質量分析装置の構成を示す。
本例の質量分析装置には、クロマトグラフ101及び標準試料容器102が接続され、イオン源103に、クロマトグラフ101から分析試料が供給されると共に、標準試料容器102から標準試料が供給される。標準試料はスペクトル位置が既知の試料である。本例の場合の試料供給処理では、標準試料が連続的にイオン源103に供給されるようになっている。分析試料は、本例の質量分析装置を使って質量数を測定する試料であり、標準試料は質量数が既知の試料である。
イオン検出器114が出力する電気信号は、前置増幅器121により電気的に増幅された後、デジタル変換部であるデジタイザ122で、アナログ信号からデジタルデータに変換されるデジタル変換処理が行われる。
また、デジタイザ122が出力する第2のデジタルデータは、標準試料スペクトル抽出部125に供給される。標準試料スペクトル抽出部125では、第2のデジタルデータから標準試料スペクトルのデータを抽出する処理が行われる。標準試料は、スペクトル位置が既知であるため、その既知のスペクトル位置の近傍のデータを抽出することで、標準試料スペクトルの成分のデータが抽出される。
なお、標準試料スペクトル抽出処理を行う際には、第2のデジタルデータの内で、フルスケールのデータを除去する処理を行うようにしてもよい。すなわち、第2のデジタルデータに含まれる分析試料の成分は標準試料よりも強度レベルが十分に高いため、フルスケールのデータとなる。したがって、フルスケールのデータを除去することで、分析試料の成分を除去することができる。但し、このフルスケールのデータ除去は行わなくても、標準試料スペクトルのデータを抽出することは可能である。
質量軸校正部(分析試料)127では、質量軸校正部(標準試料)126から供給される校正量のデータを使用して、ノイズ除去部123から供給される第1のデジタルデータの質量軸を校正する処理が行われる。
図2は、本例の質量分析装置で行われる質量数検出処理の流れの概要を示す。
イオン源103への標準試料の供給量は、分析試料の1/100等のように微量であるため、分析試料と標準試料とをそれぞれ適切に取り出す処理が行われる。すなわち、質量分析装置のイオン検出器114(図1)が出力する検出信号がデジタイザ122に供給されると、デジタイザ122では、信号をデジタル化する際のスケール軸を可変してデジタル化処理が行われる。
そして、標準試料スペクトル抽出部125で抽出された標準試料スペクトルのデータに対して、質量軸校正部(標準試料)126で標準試料の質量軸校正処理が行われる。
図3は、分析試料のスペクトルの検出状況を示し、図4は、標準試料のスペクトルの検出状況を示す。
まず、分析試料のスペクトルについて説明すると、図3の左側に示すように、イオン検出器114から検出信号(飛行時間信号)が得られると、図3の右上に示すように、この検出信号から分析試料のマススペクトルが得られる。図3は、横軸をm/z値、縦軸を強度で示す。図3では、分析試料のスペクトルSP1,SP2,SP3,SP4,SP5が検出された状態を示す。このそれぞれのスペクトルSP1,SP2,SP3,SP4,SP5の強度が、デジタイザ122で第1のデジタルデータとしてデータ化される。
このベースライン付近を取り出したマススペクトルには、標準試料のスペクトルSPa,SPb,SPc,SPd,SPe,SPfが含まれる。また、分析試料のスペクトルSP1′,SP2′,SP3′,SP4′,SP5′が含まれる。
この第2のデジタルデータには、スペクトル位置が既知の標準試料のスペクトルが含まれ、この既知の標準試料のスペクトル位置の近傍のデータの抽出で、標準試料のスペクトルが抽出される。したがって、標準試料スペクトル抽出部125では、標準試料のスペクトルSPa,SPb,SPc,SPd,SPe,SPfだけを取り出すことができる。なお、標準試料スペクトル抽出部125では、フルスケールのデータである、分析試料のスペクトルSP1′,SP2′,SP3′,SP4′,SP5′を除去する処理を行うようにしてもよい。
図5の下側に示すように、クロマトグラム上では、分析試料のスペクトルに対応したイオン強度P1,P2が検出される。このときのイオン強度P1,P2は、分析試料のイオン強度に基づいたものであり、図8の従来に示すような強度の大きな標準試料のノイズは検出されない。
図6は、本発明の他の実施の形態例の質量分析装置を示す。
図6の例の質量分析装置についても、図1の例の質量分析装置と同様に、イオン源103に、クロマトグラフ101から分析試料が供給されると共に、標準試料容器102から微量の標準試料が供給される。
図6に示す質量分析装置のその他の部分は、図1に示す質量分析装置と同様に構成する。図6に示す構成の質量分析装置で質量分析処理を行う流れについても、図2で説明した質量分析処理がそのまま適用される。
なお、上述した各実施の形態例では、イオン源103に供給する標準試料の強度を、分析試料の1/100とした。この1/100とするのは一例であり、他の比率としてもよい。例えば、イオン源103に供給する標準試料の強度を、分析試料の1/50程度としてもよい。この強度差は、質量分析装置のデジタイザ122でデジタル化した第1のデジタルデータから分析試料を取り出すことができると共に、質量分析装置のデジタイザ122でデジタル化した第2のデジタルデータで標準試料を取り出すことができる程度であればよい。
また、図1や図6の例では、デジタイザ122が出力する第2のデジタルデータを直接標準試料スペクトル抽出部125に供給するようにしたが、第1のデジタルデータからノイズ除去を行うノイズ除去部123と同様のノイズ除去部を第2のデジタルデータの処理系にも設けて、第2のデジタルデータに含まれるノイズを除去するようにしてもよい。
また、図1や図6に示す構成では、デジタイザ122で得た2つのデジタルデータを処理する各処理部(ノイズ除去部123、標準試料スペクトル抽出部125、質量軸校正部126,127など)を配置するようにした。これに対して、これらの処理部でのデータ処理は、ソフトウェア化してコンピュータが演算処理で実行するようにしてもよい。
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
Claims (5)
- 所定の強度レベルの分析試料と、前記分析試料の強度レベルよりも低い強度レベルでスペクトル位置が既知の標準試料とが供給されるイオン源と、
前記イオン源で発生したイオンを飛行させて質量分離する質量分離部と、
前記質量分離部で質量分離されたイオンを検出するイオン検出器と、
前記イオン検出器で得られた検出信号を、前記分析試料の強度レベルに対応したレベルで第1のデジタルデータに変換すると共に、前記標準試料の強度レベルに対応したレベルで第2のデジタルデータに変換するデジタイザと、
前記デジタイザで変換された前記第2のデジタルデータからスペクトル位置が既知の標準試料のスペクトルを抽出する標準試料スペクトル抽出部と、
前記標準試料スペクトル抽出部で得た標準試料のスペクトルに基づいて、前記第1のデジタルデータを校正する校正部と、
前記校正部で校正されたデータから前記分析試料のスペクトルを取得する分析試料スペクトル取得部とを備えた
質量分析装置。 - 前記イオン検出器の出力を、前記分析試料の強度レベルに対応して増幅を行う第1の前置増幅器と、前記イオン検出器の出力を、前記標準試料の強度レベルに対応して増幅を行う第2の前置増幅器とを備え、
前記デジタイザは、前記第1の前置増幅器の出力から前記第1のデジタルデータを得、前記第2の前置増幅器の出力から前記第2のデジタルデータを得るようにした
請求項1に記載の質量分析装置。 - 前記第2の前置増幅器の増幅率は、標準試料のスペクトルの検出条件によって可変できるようにした
請求項2に記載の質量分析装置。 - 前記標準試料スペクトル抽出部は、前記デジタイザで変換された前記第2のデジタルデータから、スケールオーバーしたデータを除去するようにした
請求項1〜3のいずれか1項に記載の質量分析装置。 - 所定の強度レベルの分析試料と、前記分析試料の強度レベルよりも低い強度レベルでスペクトル位置が既知の標準試料とをイオン源に供給する試料供給処理と、
前記イオン源に供給された試料によるイオンを飛行させて質量分離する質量分離処理と、
前記質量分離処理で質量分離されたイオンを検出するイオン検出処理と、
前記イオン検出処理で得られた検出信号を、前記分析試料の強度レベルに対応したレベルで第1のデジタルデータに変換すると共に、前記標準試料の強度レベルに対応したレベルで第2のデジタルデータに変換するデジタル変換処理と、
前記デジタル変換処理で変換された前記第2のデジタルデータからスペクトル位置が既知の標準試料のスペクトルを抽出する標準試料スペクトル抽出処理と、
前記標準試料スペクトル抽出処理で得た標準試料のスペクトルに基づいて、前記第1のデジタルデータを校正する校正処理と、
前記校正処理で校正されたデータから前記分析試料のスペクトルを取得する分析試料スペクトル取得処理と、を含む
質量分析方法。
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