JP5304164B2 - 走行車両 - Google Patents

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Description

本発明は、作業車両に苗植え付け装置などの作業装置を連結した乗用型作業機などの走行車両に関するものである。
作業車両の進行方向左右に配置される車輪にサイドクラッチやサイドブレーキを装備し、前輪を設定角度以上に操向させる作動に連動して旋回内側となる後輪の推進力を抑制させて左右後輪の推進力の差によって機体を旋回させることで、小回り旋回を行うようにした乗用型作業機などがある。これは、操向ハンドルの操作で、該ハンドルの操作に対応した車輪のサイドクラッチやサイドブレーキなどを入切して旋回させるものである。
下記特許文献1には、左右の後輪への伝動を各別に断続するサイドクラッチと、前輪が直進姿勢から設定角度以上に操向されると旋回内側のサイドクラッチを切り操作する機械式の自動操向機構を備えており、前輪が直進姿勢から設定角度以上に操向されている状態が検出されると、旋回内側の後輪に対するサイドクラッチをアクチュエータによって自動的かつ間欠的に入り切り制御する構成が開示されている。
特開2004−196000号公報
特許文献1に開示された構成によれば、自動操向機構が作動して旋回内側の後輪に対するサイドクラッチが切り操作される状態になると、自動的にアクチュエータが作動制御されてサイドクラッチを間欠的に入り切り操作することにより、旋回内側の後輪は遊転状態と駆動状態に繰り返し切り換えられる。したがって、前輪を大きく操向操作するだけで小回り旋回を行うことのできる自動操向機構の特徴を活かしながら、旋回内側の後輪による圃場の荒らしを軽減できるようになる。
しかし、上記構成では、前輪が直進姿勢から設定角度以上に操向されると一定の周期で所定時間ずつ間欠的に通電制御されるもので、前輪の操向角度には対応しているものの、設定角度以上に操向されると、後は自動的に入り切り状態となる画一的な制御である。特許文献1には、前輪の操向角度とサイドクラッチの切り時間について、いくつかパターンが例示されているが、前輪の操向角度とサイドクラッチとの関係しか開示されていない。 作業車両の走行状態は圃場の状態によっても変わるため、前輪の操向角度に対応するサイドクラッチの入り切り制御のみでは、旋回内側の後輪による圃場の荒らしの軽減は未だ不十分である。
そこで、本発明の課題は、圃場がどのような状態であっても旋回内側の後輪による圃場の荒らしが軽減できる乗用型作業機などの走行車両を提供することである。
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)と、該走行車体(2)の前進方向に向かって左右にそれぞれ設けられた前輪(10)及び後輪(11)と、前記走行車体(2)上に設けられ、前輪(10)の操向方向を決める操向手段(34)と、該操向手段(34)の操作に連動して、前記前輪(10)の向きを変更できるステアリング機構(86I、180、217など)と、左右の後輪(11)の回転数を検出する左右各々の回転数検出手段(205)と、前記走行車体(2)の前進方向に向かって後側に昇降リンク装置(3)を介して昇降可能に装着された苗植付部(4)と、前記昇降リンク装置(3)に設けられ、圃場の耕盤の深さを測定するための圃場深さ測定手段(48)と、前記ステアリング機構(86I、180、217など)に連動して旋回内側の後輪(11)の駆動を継続的に入り又は切りにする継続的入り切り制御機能(A1)と旋回内側の後輪(11)の駆動を断続的に入り切りする断続的入り切り制御機能(B1)とを備え、且つ走行車体(2)の旋回時において、圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さに応じて継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)を選択する処理を行う入り切り制御選択機能を有する制御装置(163)とを設け、前記断続的入り切り制御機能(B1)は、回転数検出手段(205)により検出される旋回外側の後輪(11)の回転数に応じて旋回内側の後輪(11)の駆動を断続的に入り切りする構成とし、更に、前記制御装置(163)は、前記入り切り制御選択機能により断続的入り切り制御機能(B1)が選択された場合に、前記圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さが深いほど、前記断続的入り切り制御機能(B1)の旋回内側の後輪(11)の駆動の入り時間を長くする処理を行う機能を有する走行車両である
請求項2記載の発明は、前記断続的入り切り制御機能(B1)は、前記回転数検出手段(205)により検出される検出値が異常であるときは、旋回内側の後輪(11)の駆動を継続的に入りにする構成とした請求項1記載の走行車両である。
請求項1記載の発明によれば、制御装置(163)により、走行車体(2)の旋回時において、圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さに応じて継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)を選択する処理が行われるため、圃場深さに応じた作業車両の走行旋回の細かい制御が可能となる。
例えば、圃場の深さが浅い場合には、継続的入り切り制御機能(A1)を機能させて小回り旋回を可能とし、圃場の深さが深い場合には、断続的入り切り制御機能(B1)を機能させることで旋回内側の後輪(11)を適宜駆動回転させることにより、旋回内側の後輪(11)が移動して圃場の同じ箇所で操向しにくくなり、旋回半径を大きくとって圃場の荒らしを軽減できる。
したがって、このように圃場深さに応じた継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)が選択されることで、旋回内側の後輪による圃場の荒らしの軽減を図ることができる。
また、継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)の選択は、圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さに応じて制御装置(163)によって自動的に行われるため、オペレータが継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)を選択操作する必要もなく、オペレータの負担軽減が図れる。また、圃場の深さが深い旋回では、前記断続的入り切り制御機能(B1)の後輪(11)の駆動の入り時間を長くして、後輪(11)が制動される時間を長くすることで、より旋回半径を大きくとることができ、旋回内側の後輪(11)が一箇所に停滞しにくく移動し易くなり、圃場の一箇所をひどく荒らすことがなくなる。
一方、圃場の深さが浅い場合には、前記断続的入り切り制御機能(B1)の後輪(11)の駆動の入り時間を短くすることで、制動される時間を短くして小回り旋回が可能となり、作業性が損なわれない。
したがって、このように圃場深さに応じたきめの細かい制御が可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、回転数検出手段(205)が仮に故障しても、旋回内側の後輪(11)の駆動を継続的に入りにすることで予期しない旋回を抑え、それなりに作業を継続できるため作業性の向上が図れる。
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸(前輪アクスル)14(図4)に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧式無段変速装置23を介してミッションケース12に伝達される。変速レバー16などにより決められるミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダー46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる苗植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート(センターフロート55、サイドフロート56、ミドルフロート57)を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55〜57が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート(センターフロート55、サイドフロート56、ミドルフロート57)は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダー46を制御する油圧バルブ47(図17)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート(センターフロート55、サイドフロート56、ミドルフロート57)の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
ロータ27は、次のような支持構造に支持されている。すなわち苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられ、該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(サイドロータ27aとセンタロータ27b)の駆動軸70(70a,70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは苗植付伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
フロート(センターフロート55、サイドフロート56、ミドルフロート57)との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にあるロータ27bはサイドフロート56とミドルフロート57の前方にある各ロータ27aより前方に配置されている。そのためロータ27aの駆動軸70aへの動力は後輪11のギアケース18内のギアから伝達され、ロータ27bの駆動軸70bへは両方のロータ27a,27aの駆動軸70a,70aの車体内側の端部からそれぞれ動力が伝達される。
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸70bと駆動軸70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
また、苗植付部4を圃場に下げたときに、苗植付部4を水平位置に戻すケーブル45をセンタロータ27bのリンク部材76,77とスプリング78等からなる引上げスプリング部と油圧ピストン46と連動させた。
このように、センタロータ27bのスプリング78等によるスイング機構の他にケーブル45を設けることで苗植付部4を上昇位置から下降させるごとにセンタロータ27bを水平位置に戻すことができ、センタロータ27bの保持位置を安定化させることができる。
エンジン20の回転動力は、ベルト伝動装置21などを介して油圧式無段変速装置23に伝えられ、油圧式無段変速装置23からの出力はベルト(図示せず)を介してミッションケース12の図示しない入力軸に伝えられる。
苗植付部4は、走行車体2のメインフレーム15に昇降リンク装置3で昇降自在に装着されているが、その昇降させる構成と苗植付部4の構成について説明する。先ず、走行車体2に基部が回動自在に設けられた一般的な油圧シリンダー46(図1)のピストン上端部を昇降リンク装置3に連結し、走行車体2に設けた油圧ポンプ49(図4,図5)により油圧シリンダー46に圧油を供給・排出して、油圧シリンダー46のピストンを伸進・縮退させて昇降リンク装置3に連結した苗植付部4が上下動されるように構成されている。
図3(a)の平面図(展開図)には、図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪11のサイドクラッチ作動機構図を示し、図3(b)には、図3(a)の側面図を示す。また、図4には、図3(b)のミッションケース12周辺の拡大図を示し、図5には、図3(a)の平面図に油圧式無段変速装置23を図示した場合を示している。
左右の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ操作アーム86Iを作動させるクラッチ連動用の左右ロッド180がミッションケース12の左右両側に設けられ、該クラッチ連動用の左右ロッド180とサイドクラッチ操作アーム86Iは左右のプルシリンダ217を介して連結している。
左右のサイドクラッチ操作アーム86Iは、前記左右のプルシリンダ217(旋回時にシリンダ217を引き、旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチを切る)作動制御用のサイドクラッチ制御用電磁バルブ221(図4,図5)を備えている上記構成を用いて、ハンドル34を一定角度回転させた後に、一つは継続して前記サイドクラッチを切り又は入りにする制御(A)ともう一つは一定周期で前記サイドクラッチを接続/切断する制御(B)に切替え選択可能にした。制御(A)は標準用であり、制御(B)は湿田用である。ハンドル34を操作するとトルクジェネレータ(パワーステアリング)37(図15にも図示)によって旋回内側のプルシリンダ217を作動させてサイドクラッチを切り(又は入り)にする。これらサイドクラッチ操作アーム86I、クラッチ連動用の左右ロッド180、プルシリンダ217、サイドクラッチ制御用電磁バルブ221などをステアリング機構と言う。
上記した実施例では、ステアリングハンドル34の所定角以上の操作により、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ(図示せず)を切る例を示したが、サイドクラッチスイッチを作業モニタ装置に備えた操作盤33(図2)に設けておき、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。または、サイドクラッチペダルにより、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。
次に、後進時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、図6に示すように、チェンジレバー90(前後進レバー)を後進速に操作すると、チェンジレバー90の基部に設けた接当片190が接当してオンになるバックリフトスイッチ191が設けられており、制御装置163(図7)の苗植付装置上昇手段により電磁油圧バルブ(昇降バルブ)161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
このように、チェンジレバー90を後進速に操作すると、自動的に苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇しているので、苗植付部4が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
次に、旋回時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御構成について説明する。前記ステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転させた時に自動リフト切替スイッチ192(図14)をオンにすると、制御装置163の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
このように、畦際で機体を旋回させるためにステアリングハンドル34を左右何れかに最大限まで回転させると、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付部4を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
操作盤33には、苗植付部4の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替スイッチ192(図7,図14)が設けられており、自動リフト切替スイッチ192を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ191がオンになるか自動リフト切替スイッチ192がオンでステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転すると自動的に苗植付部4は制御装置163の苗植付装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替スイッチ192をオフにしていると、バックリフトスイッチ191がオンになってもステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転しても苗植付部4は自動上昇されない。
このように、一つの自動リフト切替スイッチ192で、バックリフトスイッチ191がオンになっても自動リフト切替スイッチ192がオフであればステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転しても苗植付部4は自動上昇されない状態にすることができるので、バックリフトとオートリフトの各々を入り切りするスイッチを別々に設けた構成よりも簡潔な構成となり、一つのスイッチで両者の状態切替えが行えるので、操作ミスが少なくなり作業性が良い。
なお、自動リフト切替スイッチ192をオフにして、バックリフトスイッチ191がオンになってもステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転しても苗植付部4が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー90を後進速に操作しても苗植付部4が自動上昇しないので、苗植付部4を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に苗植付部4をぶつけてしまうような事態が回避できる。また、扇型やひょうたん型等の変形圃場で畦際に沿って周り植えをする場合に、曲がった畦に沿ってステアリングハンドル34を回しながら植付け作業を行うが、この時に、自動リフト切替スイッチ192を自動位置にしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転すると自動的に苗植付部4が上昇してしまい植付け作業が行えないが、自動リフト切替スイッチ192をオフにしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転しても苗植付部4は上昇しないので植付け作業が行え、変形圃場でも適切に苗植付け作業が行える。
また、上記構成からなる乗用型田植機1では、本実施例の制御装置163は旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)(図示せず)の回転数の検出に基づいて、旋回時の苗植え付けなどの諸作動を自動的に行わせる旋回連動制御ができる。この制御モードを自動植付開始モードということがあるが、特に、旋回内側の後輪11が所定角度以上操舵されているときに、前記旋回連動制御ができる。
旋回後の苗の植始め位置の設定を後輪の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モード)の設定ができ、この制御モード設定は旋回開始タイミングをハンドル34の旋回角度(切れ角)センサ193で検知し、該旋回角度センサ193で検知した旋回開始時からの走行距離を車輪(旋回内側の後輪11の伝動軸)の回転数センサ205の検出値に基づき測定し、前記走行距離が所定値に達すると苗植付レバー19(図2)の操作をしなくても、自動的に苗の植え付けを開始する自動植付開始モードである。
この制御の考え方を図8と表1に示す。
Figure 0005304164
すなわち、ステアリングハンドル34を切り、旋回内側の後輪11のサイドクラッチが切れた状態で、左右ドライブシャフトの回転数を検出し、旋回時の内側の後輪11の伝動軸回転数が設定値N1を超えると苗植付部4を下降させる。その後、後輪11の伝動軸回転数が設定値N2と苗植付け具126の作動が「切り」状態に入って(=苗植付装置52が上げ状態に移って)からステアリングハンドル34の切り操作開始までの後輪11の伝動軸の回転数nの合計値以上になると植付「入り」にする機構である。
上記旋回連動制御のフローを図9に示す。
まず、左右の後輪11,11の伝動軸の回転数を伝動軸回転数センサ205で検出し、また設定値N1(旋回開始から機体90°旋回までの旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値)、N2(機体90°旋回から植付クラッチ「入り」までの前記ドライブシャフト回転信号設定値)、θ1((直進操作時のハンドル切り設定角度の)下限値(左旋回と判断する角度))、θ2((直進操作時のハンドル切り設定角度の)上限値(右旋回と判断する角度))をセットする。
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ(圃場深さ)等の圃場条件の相違に対応するために、前記回転数N1、N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節する設定ダイヤル206a〜208b(図7)により、補正値n0を設定する。
苗植付部4の苗植付け具126が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー166(苗植付部4の駆動の入り切り操作をしたり、苗植付部4の昇降操作をしたりできるレバー)の操作に伴う制御装置163の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付け具126の作動が「入り」状態に入ってから苗植付け具126の作動が「切り」状態になるまでの後輪11の伝動軸の回転数nを旋回内側の伝動軸回転数センサ205で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ステアリングハンドル34の切り角度(操舵角度)θをステアリングハンドル34のシャフトに設けたハンドル切れ角センサ(ポテンショメータ)193(図7)で検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
左旋回中であると左後輪11の伝動軸の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付部4を下げる。この苗植付部4の下降で枕地が均平化される。また、機体を90度旋回させた後には、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進させ、左後輪11の左右ドライブシャフトの回転数n2がn2≧N2+n+n0になると、苗植付け具126を作動させて苗の植え付けを開始させる。
本実施例の乗用型田植機1では、自動植付開始モードが設定された時にのみ自動的に制御装置163によって、旋回外側の後輪11の回転数に応じて旋回内側の後輪11の駆動を断続的にサイドクラッチを伝動する断続的入り切り制御機能(B1)(上記制御(B)に対応するもので、間欠サイドクラッチ制御という)を作動させることができる。
このように間欠サイドクラッチ制御を行うことにより、ブレーキングによる衝撃も少なく、エンジン回転や車速の影響を受けずに後輪11の旋回角度に応じたブレーキングの周期を得ることができる。前記旋回内側の後輪11のクラッチをオン/オフする間欠サイドクラッチ制御において、車速が遅ければ遅い程クラッチをオン/オフする周期を短く、速ければ速いほどクラッチをオン/オフする周期を長くすることで、オペレータに旋回時の違和感がないブレーキングを行うことができる。
例えば、車速0m/sで旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ(図示せず:クラッチ操作アーム86Iなどにより行う)の作動周期(オン/オフを含む)が0.5秒、車速0.5m/sで前記サイドクラッチ作動周期(オン/オフを含む)が1.0秒、車速1.0m/sで前記サイドクラッチ作動周期(オン/オフを含む)が1.5秒となるように一次関数的に車速に応じて旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ作動周期を変更する。
高速走行時は特に後輪11の伝動軸のクラッチをオンするときでも、オフするときでも衝撃が大きい。そこで上記のように、間欠サイドクラッチ制御による衝撃を少なくするために、高速走行時ほど間欠サイドクラッチ制御(クラッチ操作アーム86Iなどにより行う)のオン/オフの周期を長めにする。
本実施例の8条植の乗用型田植機1のように、大型の走行車両は旋回時には比較的大回りをする必要がある。しかし、旋回中に旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチを切ったままでおくと、小回りになり過ぎる。しかし、本実施例のように そこで旋回内側の後輪11の伝動軸を間欠サイドクラッチ制御すると、オペレータに旋回時の違和感がないブレーキングを行うことができ、オペレータの希望する適切な旋回半径で8条植の乗用型田植機1に相応しい比較的大回りの旋回が可能となる。
前記旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチの接続は、図13に示すように操作盤33に設けている間欠サイドクラッチ制御(ポンピングクラッチともいう)調節ダイヤル210で設定された回転数(回転角度)に旋回内側の後輪11の回転数が達するまでなされる。
間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル210は、後輪回転角度(=後輪11の伝動軸の回転角度)で11度〜27度の間で調整を行う。なお、前記間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル210を後輪11(後輪11の伝動軸)の回転角度でなく、後輪11の伝動軸作動用のクラッチ(図示せず)の作動時間、例えば210msから510msまでの時間で設定できる構成にして、この間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル210で設定された時間の間、旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ(図示せず)が接続される構成としても良い。 また、路上走行などで高速走行しているときには、間欠サイドクラッチ制御を選択すると、大回り旋回になり易く、そのためむしろハンドリングに違和感があるので、路上走行などの高速走行中には、前記間欠サイドクラッチ制御は不要である。そこで、走行車両が一定車速、例えば1.0m/s以上で高速走行しているときには、間欠サイドクラッチ制御が行われないようにしている。
本実施例の乗用型田植機1において、ステアリングハンドル34を回して旋回する場合に、旋回外側の後輪11の回転数(a1)に応じて旋回内側の後輪11の回転数(b1;b1<a1)を決めるように前記間欠サイドクラッチ制御を行う構成としても良い。
この制御フローの具体実施例を図10に示すが、ステアリングハンドル34を回して旋回する場合に、旋回を始めてから旋回外側の後輪11の回転数が所定値(a0)に達すると(この間は旋回「内」側後輪11のサイドクラッチは「切」)、前記旋回「内」側の後輪11のサイドクラッチを「入」にして、それから旋回「外」側の後輪11が所定の回転数(a1)になるまで旋回「内」側の後輪11のサイドクラッチを「入」にしておく。
また、前記旋回内側の後輪11のサイドクラッチの「入」と「切」のタイミングは制御装置163が自動設定するが、図11に示すタイムチャートのように旋回内側後輪11のサイドクラッチの「切」に対応する旋回外側の後輪11の回転数(a0)と旋回内側のサイドクラッチの「入」に対応する旋回外側の後輪11の回転数(a1)を間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル210により手動で設定することもできる。
この様な図10のフローに示す制御を行うと湿田での作業性が従来より向上する。
また、図9に示す制御フローの設定値N1(旋回開始から機体90°旋回までの旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値)、N2(機体90°旋回から植付クラッチ「入り」までの前記ドライブシャフト回転信号設定値)を小さくするほど、旋回内側の後輪11が深い圃場などにおいて深く沈み込んでいる場合など、苗の植え付け時の苗植付装置52の下降を速く行いたい場合に有効である。
後輪11が深く圃場に沈み込んでいる場合には昇降リンクセンサ48で上リンク40と下リンク41の昇降の程度を検出することにより、苗植付部4の昇降の程度も検出できる。この昇降リンクセンサ48は、上リンク40の角度を検出するセンサであり、上リンク40の上下回動範囲に亘って上リンク40の角度を検出する。そして、この昇降リンクセンサ48によって、圃場の深さ(耕盤深さ)を測定する。
なお、昇降リンクセンサ48は上リンク40に設けても、下リンク41に設けても良い。下リンク41に設けると、下リンク41の上下回動範囲に亘って下リンク41の角度を検出する。昇降リンクセンサ48は上リンク40又は下リンク41のいずれか一方に設ければ良く、どちらに設けても昇降リンク装置3のリンク角度を検出するものである。
そして、この場合の制御フローを図12(a)に示し、図12(b)に旋回開始から機体90°旋回までの旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値N1又は機体90°旋回から植付クラッチ「入り」までの旋回内側の前記ドライブシャフト回転信号設定値N2の昇降リンクセンサ48の検出値に対する値の関係を示す。
また、図9に示す自動植付制御モードにおいて、ステアリングハンドル34の操作角度θ1((直進操作時のハンドル切り設定角度の)下限値)、θ2((直進操作時のハンドル切り設定角度の)上限値)による苗植付部4の上昇のタイミングを前記θ1、θ2の設定ダイヤル206a,206bで任意に変更可能なように構成することができる。
上記構成により旋回制御中にオペレータが苗植付部4の上昇タイミングを任意に設定できるので自分のペースに合わせた作業性を行うことができる。
こうして、8条植えなどの多条植え用の乗用型作業機であっても、前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれなく圃場での旋回が可能となる。
右旋回の場合にも左旋回時と全く同様の制御が行われる。
このようにサイドクラッチが切れている後輪11の伝動軸(ドライブシャフト)の回転数を検出する方法は、動力の伝わっている後輪11の回転数検出方法に比べてよりスリップなどの影響を受け難い特徴がある。また、後輪11より回転の速いドライブシャフトの回転数を検出するため、容易にその測定精度を上げることができる。その結果、各植え付け条毎の苗の植え付け始めがほぼ一定(枕地幅が一定)となる効果がある。
また、上記図9に示す一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン(スイッチ)184を上記苗植付のスタート位置の設定を行うボタンとして兼用してもよい。
このように、畦際から発進して苗植付のスタート位置の設定を行うボタンと前記一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン(スイッチ)184を兼用することによりボタン操作の忘れを防止できる。
前記自動植付開始モードの設定は植始め調節ダイヤル212(図14)で行い、また前記旋回開始時からの苗の植付け始めまでの走行距離は、図14に示す植始め調節ダイヤル212を回して設定する。
前記植始め調節ダイヤル212の回転角度に応じて前記走行距離を適宜選択できる構成であるが、該ダイヤル212の前記走行距離の調節範囲より外れたダイヤル旋回角度領域(しかも自動植付開始モードに入る前のダイヤル旋回角度領域)に、車両の旋回開始時に自動的に苗植付装置4を上昇させる制御モードを選択できるオ−トリフト機能及び車両の後進時に自動的に苗植付装置4を上昇させる制御モードを選択できるバックリフト機能を兼用させている。
そして、植始め調節ダイヤル212のダイヤル回転操作でオ−トリフト機能に対応した位置に植始め調節ダイヤル212の指示部が「オートリフト」と指示された位置に至ると、当該オートリフト機能がオンになり、オートリフト制御モードが開始すると同時に前記間欠サイドクラッチ制御を開始する制御モードを採用することもできる。
これは湿田での旋回走行中では、車輪10,11がスリップし易く、自動植付開始モードで苗の植え付け開始位置が予定した位置になり難いため、前記間欠サイドクラッチ制御を選定するが、このときのみ連動して間欠サイドクラッチ制御をすることができる。
こうしてスリップし易い条件下での車両の旋回走行を容易に行うことができるようになる。
また、自動植付開始モードが設定されていない時、例えば路上走行時には前記間欠サイドクラッチ制御をしないで、旋回内側の車輪(後輪11)の伝動軸のサイドクラッチを継続的に切りながら旋回する通常の旋回モード(上述の継続して前記サイドクラッチを切り又は入りにする制御(A)に対応するもので、継続的入り切り制御機能A1とも言う)とすることもできる。
昇降バルブ161の下げPWM(Pulse Wide Modulatiオン)制御時の騒音の対応策として次のような構成を採用することができる。すなわち、図15に示す油圧回路図において昇降バルブ161より昇降シリンダ46側にあるチェックバルブ162のスプールの後方から出る作動油を利用して、スプールがストロークしすぎるとスプールのポートを閉める構成でダンパー効果を得るようにして昇降バルブ161の下げPWM制御時の騒音を小さくする。
現行の前記チェックバルブ162では、昇降バルブ161の下げのPWM制御時にスプールが高速にプラグ等に当たることにより騒音が発生する。個々の部品の精度などの違いにより大きな音が発生するものがあり問題となっているが、騒音が発生する箇所としてチェックバルブ162のスプールがそのストッパになっているプラグに当たる時に大きい音となることが分かったのでチェックバルブ162のスプールがプラグに当たる前にポートを閉めてダンパー効果によりプラグに当たらないようにして騒音の発生を防ぐことができた。
そして、本実施例による乗用型田植機1の制御装置163によれば、サイドクラッチ操作アーム86I、クラッチ連動用の左右ロッド180、プルシリンダ217、サイドクラッチ制御用電磁バルブ221などのステアリング機構に連動して旋回内側の後輪11の駆動を入り又は切りにする継続的入り切り制御機能(A1)と伝動軸回転数センサ205により検出される旋回外側の後輪11の回転数に応じて旋回内側の後輪11の駆動を断続的に入/切する断続的入り切り制御機能(B1)(上述の間欠サイドクラッチ制御のことである)とを圃場の深さに応じて選択する処理を行う入り切り制御選択機能を有することを特徴としている。
圃場の深さ(耕盤深さ)は、昇降リンク装置3に設けた圃場深さ測定手段である昇降リンクセンサ48(回転ポテンショメータなど)によって検出、測定できる。乗用型田植機1の旋回時において、圃場の深さに応じて継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(断続的入り切り制御機能(B1))を選択する処理が制御装置163により行われるため、圃場深さに応じた作業車両の走行旋回の細かい制御が可能となる。
例えば、圃場の深さが浅い場合には、継続的入り切り制御機能(A1)を機能させて小回り旋回を可能とし、圃場の深さが深い場合には、間欠サイドクラッチ制御(B1)を機能させることで旋回内側の後輪11を適宜駆動回転させることにより、旋回内側の後輪11が移動して圃場の同じ箇所で操向しにくくなり、旋回半径を大きくとって圃場の荒らしを軽減できる。
したがって、このように圃場深さに応じた継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(B1)が選択されることで、旋回内側の後輪による圃場の荒らしの軽減を図ることができる。
また、継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(B1)の選択は、昇降リンクセンサ48により測定される圃場深さに応じて制御装置163によって自動的に行われるため、オペレータが継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(B1)を選択操作する必要もなく、オペレータの負担軽減が図れる。
そして、前記入り切り制御選択機能により間欠サイドクラッチ制御(B1)が選択された場合に、昇降リンクセンサ48により測定される圃場深さが深いほど、間欠サイドクラッチ制御(B1)の一定周期の中で旋回内側の後輪11のサイドクラッチの入り時間を長くして、すなわち一定周期の中の駆動の入り時間を長くする処理を行うことを特徴とする。
本構成を採用することにより、圃場の深さが深い旋回では、前記間欠サイドクラッチ制御(B1)の後輪11の駆動の入り時間を長くして、後輪11が制動される時間を長くすることで、より旋回半径を大きくとることができ、旋回内側の後輪11が一箇所に停滞しにくく移動し易くなり、圃場の一箇所をひどく荒らすことがなくなる。
一方、圃場の深さが浅い場合には、前記間欠サイドクラッチ制御(B1)の後輪11の駆動の入り時間を短くすることで、制動される時間を短くして小回り旋回が可能となり、作業性が損なわれない。
したがって、このように圃場深さに応じたきめの細かい制御が可能となる。
図16には、制御装置163による圃場の深さに応じたサイドクラッチの入り時間の制御例のイメージを示す。横軸は圃場(耕盤)の深さを示し、縦軸はサイドクラッチの入り時間を示している。
例えば、図16に示すように、圃場の深さとサイドクラッチの入り時間との関係が、直線Y、Zで表されるような関係になるように制御装置163によって制御する。超湿田などの圃場の深さが深い場合は直線Zで示すように、圃場の深さが深くなるほどサイドクラッチの入り時間を長くして、圃場の深さが標準的である場合は、直線Yで示すように圃場の深さに関係なくサイドクラッチの入り時間が一定となるように制御装置163によって制御する。
圃場の深さが標準的であれば、旋回によってあまり圃場を荒らさなくてもすむので、少々の圃場の深さの変動があっても、所望の旋回経路となるような所定のサイドクラッチの入り時間に固定しても良い。
特に圃場の深さが深い場合に、圃場の深さが深くなるほどサイドクラッチの入り時間を長くするように制御すれば十分である。このように、圃場の深さが深いほど旋回内側の後輪11の駆動の入り時間を長くすることで旋回内側の後輪11が駆動されて旋回半径を大きくとることで旋回内側の後輪11が一箇所に停滞しにくく移動し易くなり、圃場の一箇所をひどく荒らすことがなくなる。
また、間欠サイドクラッチ制御(B1)はこのように旋回外側の後輪11と内側の後輪11の回転数比によってサイドクラッチを入り切りする構成であるが、伝動軸回転数センサ205が異常値を検出する異常時(例えば、伝動軸回転数センサ205が断線したりしたとき)はサイドクラッチを接続する(サイドクラッチを入りにする)ように制御装置163によって制御すれば、作業性の向上が図れる。
仮に、旋回外側の伝動軸回転数センサ205が断線して極端な異常値となったとき、その極端な異常値に基づいて間欠サイドクラッチ制御(B1)が制御されると、予期していない旋回(小回りしすぎ、サイドクラッチ入り切りが頻繁で乗り心地が悪い等)になるおそれがある。
したがって、本構成を採用することにより、伝動軸回転数センサ205が仮に故障しても、サイドクラッチを接続することでそれなりに作業を継続できる。
また、乗用型田植機1の機体が前後や左右に一定以上傾いているときには制御装置163によって間欠サイドクラッチ制御(B1)を選択する制御が行われないようにする。すなわち、継続的入り切り制御機能(A1)になる。
機体が前後や左右に一定以上傾いているときに間欠サイドクラッチ制御(B1)が作動すると、オペレータの意思に関係なくサイドクラッチが切れたり入ったりして機体の操向状態が変わってしまい、傾斜地ではバランスを崩しやすい。したがって、オペレータの意思とは無関係にサイドクラッチの入り切りが制御されて安全性上好ましくないが、本構成によりオペレータの意思に基づき旋回制御できるので安全性の向上を図ることができる。
更に、本実施例の乗用型田植機1には、左右のサイドクラッチ又はサイドブレーキ(図示せず)を左右個別に操作できる操作具として左右のブレーキペダル111,111(図3,図4)を設けているが、左右のブレーキペダル111,111の連結中にも制御装置163によって間欠サイドクラッチ制御(B1)を選択する制御が行われないようにする。
左右のブレーキペダル111,111が連結中(又は連結中でない)であることを検出するブレーキペダル連結センサ114をブレーキペダル111,111近傍に設けて、ブレーキペダル連結センサ114からの検出値によって間欠サイドクラッチ制御(B1)の作動の有無を制御装置163により選択する。
図3に示すように、左右のブレーキペダル111,111は前端部上側が保持プレート113によって保持され、前端部下側が左右のブレーキペダル111,111を連結するための連結プレート115によって支持されている。そして連結プレート115の下面は、左右のブレーキペダル111,111の基部111a,111aに連結しており、ブレーキペダル基部111a,111aの先端はアーム116,117を介して第1ロッド119に連結している。ブレーキペダル111を矢印P方向に踏み込むと、アーム116はブレーキペダル基部111aとアーム116との連結軸118を支点として矢印A方向に回動してアーム117と共に第1ロッド119が上方(矢印B方向)に動く。
一方、ブレーキペダル111を矢印P方向とは反対方向に戻すと、アーム116は矢印A方向とは反対の方向に回動してアーム117と共に第1ロッド119が下方(矢印B方向とは反対方向)に動く。このようにブレーキペダル111を操作することで、第1ロッド119は上下方向に動く。
左右一方の第1ロッド119は左右一方の中継アーム134に連結し、更に中継アーム134はカウンタ軸133に連結し、カウンタ軸133に連結した左右他方の中継アーム134から、カウンタロッド137、カウンタアーム139等を介してクラッチ連動用の左右一方のロッド180に繋がっている。また、左右他方の第1ロッド119は、中継アーム134、カウンタ軸133、カウンタロッド137などを介さずにカウンタアーム139からクラッチ連動用の左右他方のロッド180に繋がっている。
これら左右ロッド180はそれぞれプルシリンダ217,サイドクラッチ操作アーム86Iに連結しており、第1ロッド119が上下に動くと、左右ロッド180が前後方向に動いて左右のサイドクラッチ操作アーム86Iは左右ロッド180の動きに連動して回動する。
ブレーキペダル111を矢印P方向に踏み込むと、上述のように第1ロッド119が上方(矢印B方向)に動き、左右ロッド180は前方(矢印C方向)に引かれてサイドクラッチ操作アーム86Iが矢印U方向に回動して、旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチが切れる。
一方、左右のサイドクラッチ操作アーム86Iは、左右のプルシリンダ217作動制御用のサイドクラッチ制御用電磁バルブ221を備えており、制御装置163からの出力信号によりサイドクラッチ制御用電磁バルブ221が作動して継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(B1)が行われる。
左右のブレーキペダル111,111が連結中の時に、オペレータが一方又は両方のブレーキペダル111を操作すると、ブレーキングが行われる。しかし、左右のブレーキペダル111,111を連結している場合は、路上走行等のときであり、走行速度が速く、また傾斜地を走行することもあるから、より安全性を確保するために、間欠サイドクラッチ制御(B1)を作動させないようにする。
したがって、本構成を採用することにより、オペレータの意思とは無関係に継続的入り切り制御機能(A1)又は間欠サイドクラッチ制御(B1)が作動しないようにできるので、安全性の向上が図れる。
また、左右のブレーキペダル111,111の操作の動きを感知するセンサ(ポテンショメータ)112,112(図3)をそれぞれ設け、間欠サイドクラッチ制御(ポンピングクラッチ)調節ダイヤル210により手動で設定した手動旋回時に、オペレータの操作パターンを制御装置163に記憶させるようにしても良い。
これは、旋回時のポテンショメータ112,112の操作パターンを記憶するものであるが、ハンドル切れ角センサ193により旋回を開始したことを検出してから、ハンドル切れ角センサ193により旋回を終了したことを検出するまでの間、制御装置163に入力される旋回内側の伝動軸回転数センサ205の累計回転数検出値に対応する旋回内側のポテンショメータ112,112の検出値を自動的に記憶することになる。
そして、手動旋回時の制御装置163に記憶したパターン通りに、次工程では自動で間欠サイドクラッチ(B1)(旋回内側の後輪11の駆動を断続的に入/切する)を制御するような構成としても良い。なお、パターンはオペレータの好みによって、色々なパターンがあり、要するに、ブレーキペダル111,111を踏んだり緩めたりする操作のことである。
オペレータが手動で操作したパターンによって自動旋回することでオペレータにとっても乗り心地が良く、操作性に優れ、湿田などの圃場深さの深い条件でも旋回性が良い。 更に、上述のブレーキペダル111の操作パターンを機体の旋回時に記憶し、この操作パターンに基づいて以降の旋回時に自動的にサイドクラッチ又はサイドブレーキを制御する構成において、この制御における前記操作パターンの記憶をする状態としない状態とに切り替える切替手段を設けても良い。
上記操作パターンを教え込む工程を制御装置163に認識させるために、上記切替手段として手動スイッチ(ティーチングボタン)(図示せず)をハンドル34近傍に配置する。 まず、ティーチングボタンを押して旋回した工程(ペダルを踏んだり緩めたりする操作パターン)を制御装置163に記憶させる。
再度、ティーチングボタンにより制御装置163に新たな工程を記憶させるまで、現在記憶されている記憶パターンで自動旋回する構成である。
本構成を採用することにより、制御装置163に記憶した基本の操作パターンに基づいて、以降の旋回時の制御を行うことができ、操作性が良好である。例えば、耕盤が深い所等での特殊な旋回時は、操作パターンを記憶しないようにできる。
そして、オペレータの操作パターンを更新記憶できることで、オペレータにとっても操作性が良い、より細かい制御が可能となる。
また、左右のサイドクラッチを左右のブレーキペダル111,111の操作に基づいてサイドクラッチを制御する構成において、左右のブレーキペダル111,111をサイドクラッチの切り側に大きく操作したときは、少なくとも間欠的に作動するサイドクラッチ(間欠サイドクラッチ)の切り時間を長くする。
このように、サイドクラッチの切り時間を長くすることにより、後輪11が駆動しないので、サイドブレーキ装置を設けなくても、サイドブレーキを作動させたような状態に近づけることができ、オペレータが違和感なく旋回操作できる。
本構成を採用することにより、オペレータがブレーキペダル111を最大操作位置まで踏み込んだときは、間欠サイドクラッチ制御(B1)のサイドクラッチの入り切り時間の設定を変えて、自動旋回時の一定周期の中のサイドクラッチの切り時間を長くすると、オペレータの旋回操作の感覚に、より近付くため、好適である。
図17には、本実施例の乗用型田植機1の苗植付部4の油圧式装置(図15の油圧バルブ系)の側面図を示す。更に、図18から図21には、図17の油圧式装置の油圧バルブ47本体部分の側断面図を示す。なお、図18には苗植付部4が中立位置(苗植付部4が昇降しない固定状態の位置)の時の状態を示し、図19には苗植付部4が上昇する(上げ時)の全流量時(苗植付部4が油圧ポンプ49の全流量で速く上昇する時)の状態を示し、図20には苗植付部4が上げ時の制御流量時(苗植付部4が油圧ポンプ49の一部の流量(制御流量)で遅く上昇する時)の状態を示し、図21には苗植付部4が下降する(下げ時)の状態を示している。
図26に示す従来の苗植付部の油圧式装置では、フロコンスプール121の専用プラグ120をフロコンスプール121の当て止めとして、別箇所にリリーフ用のバルブを配置していたため、各部材の形状が大きくなって、油圧式装置の大型化を招いていた。
しかし、図18に示すように、油圧式装置のフロコンスプール121をカートリッジ型リリーフバルブ125により当て止めとなるようにすることで、フロコンスプール121及びカートリッジ型リリーフバルブ125をまとめて配置して、コンパクトな構成となる。
カートリッジ型リリーフバルブ125は、封止スプール124の周囲にポペット・スプリング127を設け、調整ネジ130にポペット・スプリング127及び封止スプール124を嵌合させて調整ネジ130を回すことで、フロコンスプール121が矢印S方向(前後方向)に移動する。なお、調整ネジ130とフロコンスプール121の作動は直接関係せず、フロコンスプール121は支持部材129をストッパとして作動する。Oリング溝132は支持部材129の内側を加工している。
このように、従来の油圧式装置のリリーフ部のポペット・スプリング127を共用してカートリッジ型リリーフバルブ125を構成することで、既存のポペット・スプリング127が利用でき、構成が簡易となる。また、経済的でもある。
そして、従来、図26に示すようにOリング溝132は調整ネジ130(図26の専用プラグ120)の外周側にあったが、Oリング溝132が調整ネジ130の外周側にあると、調整ネジ130の外径が大きくなり、支持部材129の肉厚が確保できない。しかし、図18に示すように、調整ネジ130のネジを切っていない部分にOリング溝132を設けることで、支持部材129の肉厚が確保できる。
また、操作アーム131(図17)を矢印J方向に回すことで油路流路の切替スプール123が矢印S方向(前後方向)に移動して、図18から図21に示すような油路流路を形成する。なお、操作アーム131はモータ(図示せず)の駆動で作動する。モータはフィンガーレバー166の操作に基づいて駆動する。
図18から図21について説明する。本実施例の乗用型田植機1の苗植付部4の昇降用油圧式装置はPポート140と四つのTポート141,142,143,144、Cポート145があり、更に追加Tポート147を設けている。
図18に示すように、苗植付部4が中立位置の時は、Pポート140から矢印A方向と矢印B方向の二つの流路に分かれて第2Tポート142に油路が通じる。そして、苗植付部4が上げ時の全流量時では、操作アーム131を操作することで、苗植付部4が速く上昇する。
図19に示すように、苗植付部4が上げ時の全流量時では、切替スプール123が中立時に比べて後ろ側に移動してPポート140から矢印C方向と矢印D方向の二つの流路に分かれてCポート145に油路が通じる。また、図20に示すように、苗植付部4が上げ時の制御流量時では、操作アーム131を操作することで 苗植付部4が遅く上昇する。この時切替スプール123は図18の中立時と図19の全流量時との間の位置に留まってPポート140から矢印E方向と矢印F方向の二つの流路に分かれて矢印E方向からはCポート145に油路が通じ、矢印F方向からは第2Tポート142に油路が通じる。
更に、図21に示すように、苗植付部4が下げ時では、操作アーム131を操作することで切替スプール123が中立時に比べて前側に移動する。そして、Pポート140から矢印G方向と矢印H方向と矢印I方向の三つの流路に分かれて矢印G方向と矢印H方向からは第2Tポート142に油路が通じ、矢印I方向からは第1Tポート141に油路が通じる。更にCポート145から矢印K方向に流れて第4Tポート144に油路が通じる。
図22には、粉粒体繰出し装置及び整地ロータを設けない場合の乗用型田植機1に圃場面センサ150を設けた乗用型田植機の後部側面図を示す。なお、図22には粉粒体繰出し装置は図示していないが、粉粒体繰出し装置を設けても良い。
また、圃場における水面Rの表面を検出する圃場面センサ150をリンクベースフレーム42の上部に取り付けた側面視L字型の支持アーム149の先端に設ける。また、圃場面センサ150から圃場面Mまでの距離は昇降リンクセンサ48から測定できる。
圃場面センサ150から耕盤Oまでの距離Loは一定であるため、昇降リンクセンサ48により圃場面センサ150から圃場面Mまでの距離Lmを測定し、距離Loと距離Lmから耕盤Oと圃場面M間の距離Lsを算出する。
図23には、圃場面センサ150及び昇降リンクセンサ48から得られたセンサ値を用いた車速の制御のフローを示す。また、図24(a)には昇降リンクセンサ48のセンサ値と耕盤Oから圃場面Mまでの距離(Ls)との関係(T)を示す。図24(b)は図24(a)に、更に昇降リンクセンサ48のセンサ値と圃場面センサ150から圃場面Mまでの距離(Lm)との関係(点線V)を加えたものである。図24(b)に示すように、距離Loは一定であるため、距離Lsが大きくなると反対に距離Lmが小さくなり、距離Lsが小さくなると反対に距離Lmが大きくなる。
更に図25(a)には、機体の沈下量である耕盤Oと圃場面M間の距離Lsと補正係数αとの関係を示し、図25(b)には、水面Rから圃場面Mまでの距離(水深、Lwで示す)と補正係数βとの関係を示している。補正係数αは、走行時の泥押しを防止するための補正係数であり、補正係数βは走行時の水押しを防止するための補正係数である。
図23に示すように、車速制御がスタートすると、上述のように昇降リンクセンサ48により圃場面センサ150から圃場面Mまでの距離Lmを測定し、距離Loと距離Lmから耕盤Oと圃場面M間の距離Lsを算出する。更に、圃場面センサ150により圃場面センサ150から水面Rまでの距離Lrを測定し、距離Lmと距離Lrから水深(Lw)を算出する。
次に、図25により上記算出したLs及びLwから補正係数α、βをそれぞれ算出後、該補正係数α、βによって補正処理し、適正な車速を計算する。車速VはV=Vmax(最高作業速度)×α×βから求めることができる。補正係数α、βが大きい場合、すなわち距離Lsや距離Lwが小さい場合は車速Vは速くなるように制御されるが、補正係数α、βが小さい場合、すなわち距離Lsや距離Lwが大きい場合は車速Vは遅くなるように制御される。距離Lsや距離Lwが大きい場合は、水や泥に対する機体の沈下量が深いため、車速を遅く制御することでスリップを防止すると共に車輪11やフロート55による水押しや泥押しを防止する。
すなわち、乗用型田植機1の前進により発生する波による苗の姿勢の乱れは、水深が深いと発生しやすいが、水深が深い場合は車速を遅く制御することで波の発生を抑制できる。
本構成を採用することにより、機体の沈下量と圃場に水がある場合の水深(Lw)(圃場の硬軟とも関係している)から車速を制御することで、機体のスリップによる株間の変動や乗用型田植機1の前進により発生する波による苗の姿勢の乱れを防止できる。このように、圃場に水が存在する場合において、水深(Lw)が分かるため、波による苗押しなどを防止できる。
本発明は、8条植などの多条の苗植付用作業機の旋回時の操作性がよいので乗用型田植機などの乗用型作業機に利用できる。
本発明の実施例の乗用型田植機の側面図である。 図1の乗用型田植機の平面図である。 図3(a)は、図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪のクラッチ作動機構図(平面図)であり、図3(b)は、図3(a)の側面図である。 図3(b)のミッションケース周辺の拡大図である。 図3(a)に油圧式無段変速装置を図示した場合の図である 図1の乗用型田植機のチェンジレバー部の斜視図である。 図1の乗用型田植機の制御ブロック図である。 図1の乗用型田植機の旋回連動制御の考え方を示す図である。 図8の旋回連動制御のフローチャートである。 図1の乗用型田植機の旋回連動制御のフローチャートである。 図10の旋回連動制御時の旋回内側の車輪のサイドクラッチの入切り周期のタイムチャートである。 図1の乗用型田植機の旋回連動制御時に車体が深く沈み込んでいる場合などで苗植付装置の下降を速くするためのフローチャート(図12(a))と旋回内側の車輪の回転数設定値N1又は設定値N2の昇降リンクセンサの検出値に対する値の関係を示すグラフ(図12(b))である。 図1の乗用型田植機の操作盤の間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル部分の平面図である。 図1の乗用型田植機の操作盤の植始め調節ダイヤル部分の平面図である。 図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪のクラッチ作動用の油圧回路図である。 図1の乗用型田植機の制御装置による圃場の深さに応じたサイドクラッチの入り時間の制御例である。 図1の乗用型田植機の苗植付部の油圧式装置の側面図である。 図17の油圧式装置の油圧バルブ本体部分の側断面図である。 図17の油圧式装置の油圧バルブ本体部分の側断面図である。 図17の油圧式装置の油圧バルブ本体部分の側断面図である。 図17の油圧式装置の油圧バルブ本体部分の側断面図である。 粉粒体繰出し装置を設けない場合の乗用型田植機の後部側面図である。 圃場面センサ及び昇降リンクセンサから得られるセンサ値を用いた車速の制御のフローである。 図24(a)は、昇降リンクのセンサ値と耕盤Oから圃場面Mまでの距離(Ls)との関係を示す図であり、図24(b)は、更に圃場面センサから圃場面Mまでの距離Lmを示した図である。 図25(a)は、図22の乗用型田植機の機体の沈下量(Ls)と補正係数αとの関係を示す図であり、図25(b)は、図22の乗用型田植機の水深(Lw)と補正係数βとの関係を示す図である。 従来の油圧式装置の油圧バルブ本体部分の側断面図である。
符号の説明
1 乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置 10 前輪
11 後輪 12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース 14 前輪アクスル
15 メインフレーム 18 後輪ギヤケース
19 苗植付レバー 20 エンジン
21 ベルト伝動装置 23 油圧式無段変速装置
25 植付クラッチケース 26 植付伝動軸
27(27a,27b) ロータ 28 施肥伝動機構
30 エンジンカバー 31 座席
32 フロントカバー 33 操作盤
34 ハンドル 35 フロアステップ
36 リヤステップ 37 トルクジェネレータ
38 予備苗載台 40 上リンク
41 下リンク 42 リンクベースフレーム
43 縦リンク 44 連結軸
45 ケーブル 46 昇降油圧シリンダー
47 油圧バルブ 48 昇降リンクセンサ
49 油圧ポンプ 50 苗植付伝動ケース
51 苗載台 51a 苗取出口
51b 苗送りベルト 52 苗植付装置
53 ブロア用電動モータ 55 センターフロート
56 サイドフロート 57 ミドルフロート
58 ブロア 59 エアチャンバ
60 肥料ホッパ 61 繰出部
62 施肥ホース 65 支持枠体
65a 支持ローラ 65b 両側辺部材
66 梁部材 66a 突出部
67 支持アーム 68 ロータ支持フレーム
70 駆動軸 71 連結部材
76,77 リンク部材 78 スプリング
81 ロータ上下位置調節レバー 82 折曲片
86I 左右クラッチ操作アーム
90 チェンジレバー(前後進レバー)
111 ブレーキペダル 111a ブレーキペダル基部
112 ブレーキペダルセンサ(ポテンショメータ)
113 保持プレート 114 ブレーキペダル連結センサ
115 連結プレート 116,117 アーム
118 軸 119 第1ロッド
120 専用プラグ 121 フロコンスプール
123 切替スプール 124 封止スプール
125 カートリッジ型リリーフバルブ
126 苗植付け具 127 ポペット・スプリング
129 支持部材 130 調整ネジ
131 操作アーム 132 Oリング溝
133 カウンタ軸 134 中継アーム
137 カウンタロッド 139 カウンタアーム
140 Pポート
141,142,143,144 Tポート
145 Cポート 147 追加Tポート
149 支持アーム 150 圃場面センサ
161 昇降バルブ 162 チェックバルブ
163 制御装置 166 フィンガーレバー
180 左右ロッド
184 旋回制御のスタートボタン(スイッチ)
190 接当片
191 バックリフトスイッチ 192 自動リフト切替スイッチ
193 ハンドル切れ角センサ 205 伝動軸回転数センサ
206a〜208b 設定ダイヤル
210 間欠サイドクラッチ制御調節ダイヤル
212 植始め調節ダイヤル 217 プルシリンダ
221 クラッチ制御用電磁バルブ
A1 継続的入り切り制御機能
B1 断続的入り切り制御機能(間欠サイドクラッチ制御)

Claims (2)

  1. 走行車体(2)と、
    該走行車体(2)の前進方向に向かって左右にそれぞれ設けられた前輪(10)及び後輪(11)と、
    前記走行車体(2)上に設けられ、前輪(10)の操向方向を決める操向手段(34)と、
    該操向手段(34)の操作に連動して、前記前輪(10)の向きを変更できるステアリング機構(86I、180、217など)と、
    左右の後輪(11)の回転数を検出する左右各々の回転数検出手段(205)と、
    前記走行車体(2)の前進方向に向かって後側に昇降リンク装置(3)を介して昇降可能に装着された苗植付部(4)と、
    前記昇降リンク装置(3)に設けられ、圃場の耕盤の深さを測定するための圃場深さ測定手段(48)と、
    前記ステアリング機構(86I、180、217など)に連動して旋回内側の後輪(11)の駆動を継続的に入り又は切りにする継続的入り切り制御機能(A1)と旋回内側の後輪(11)の駆動を断続的に入り切りする断続的入り切り制御機能(B1)とを備え、且つ走行車体(2)の旋回時において、圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さに応じて継続的入り切り制御機能(A1)又は断続的入り切り制御機能(B1)を選択する処理を行う入り切り制御選択機能を有する制御装置(163)とを設け
    前記断続的入り切り制御機能(B1)は、回転数検出手段(205)により検出される旋回外側の後輪(11)の回転数に応じて旋回内側の後輪(11)の駆動を断続的に入り切りする構成とし、更に、前記制御装置(163)は、前記入り切り制御選択機能により断続的入り切り制御機能(B1)が選択された場合に、前記圃場深さ測定手段(48)により測定される圃場深さが深いほど、前記断続的入り切り制御機能(B1)の旋回内側の後輪(11)の駆動の入り時間を長くする処理を行う機能を有することを特徴とする走行車両。
  2. 前記断続的入り切り制御機能(B1)は、前記回転数検出手段(205)により検出される検出値が異常であるときは、旋回内側の後輪(11)の駆動を継続的に入りにする構成としたことを特徴とする請求項1記載の走行車両。
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