JP5304035B2 - バンドパスフィルタおよびバンドパスフィルタ用フォトニック結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
図1において、この1次元磁性フォトニック結晶からなる磁気光学体10は、2種類の誘電体(誘電体薄膜)11,12がその厚さに規則性をもって交互に積層された2つの周期的誘電体多層膜13,14と、該2つの周期的誘電体多層膜13,14の間に設けた磁気光学薄膜15(磁性体)とからなっている。
(1)低誘電率誘電体部材内に高誘電率誘電体部材を周期的に配置してブラッグ反射が生じる周期構造体を構成するとともに、当該周期構造体内に磁性体部材を配置して、前記ブラッグ反射による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる局在モードを有するフォトニック結晶を備え、前記フォトニック結晶中を伝搬する電磁波を電界の振幅方向が特定の方向であるモードに制限する伝送路と、前記フォトニック結晶に前記電磁波の伝搬方向に垂直方向の直流磁界を外部から印加する磁界印加手段と、を設けてバンドパスフィルタを構成する。
(3)前記直流磁界の方向と前記電界の振幅方向とはほぼ平行とする。
(6)前記伝送路は方形導波管とする。
(7)前記磁性体部材はフェライトで構成する。
(8)前記低誘電率誘電体部材は低誘電率誘電体層、前記高誘電率誘電体部材は高誘電率誘電体層、前記磁性体部材は磁性体板であり、前記フォトニック結晶は前記低誘電率誘電体層と前記高誘電率誘電体層とを交互に積層配置した2つの反射器と、この2つの反射器の間に設けた前記磁性体板とからなり、前記2つの反射器による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる共振層を配置してなるファブリ・ペロー型共振器とする。
(11)前記高誘電率誘電体部材は円柱状の誘電体柱であり、前記低誘電率誘電体部材は前記誘電体柱の周囲の空間を占める形状であり、前記磁性体部材は円柱状の磁性体柱であり、前記フォトニック結晶は、前記誘電体柱を前記低誘電率誘電体部材内で2次元平面上に配列するとともに、所定位置を前記磁性体柱で置換した構造とする。
(1)低誘電率誘電体部材内に高誘電率誘電体部材を周期的に配置してブラッグ反射が生じる周期構造体は、フォトニック結晶におけるバンドギャップを生じさせ、電磁気的には帯域阻止フィルタとして作用する。この周期構造体内に配置した磁性体部材は阻止帯域内に通過帯域を生じさせる局在モードを発生させ、電磁気的には阻止帯域内に通過帯域を生じさせる。そして伝送路内を伝搬するモードは、電界の振幅方向が特定方向であるモード(特定伝搬モード)に制限され、前記フォトニック結晶に電磁波の伝搬方向に垂直方向の直流磁界が印加されることにより、磁性体部材で前記特定伝搬モードに影響する透磁率の成分が変化し、局在モードの共振周波数すなわち通過帯の周波数が変位することになる。そのため例えばマルチバンド送信機の帯域通過フィルタとして用いることができる。
この発明の第1の実施形態に係るバンドパスフィルタおよびファブリ・ペロー型共振器の製造方法について図2〜図8を参照して説明する。
図2(A)は第1の実施形態に係るバンドパスフィルタに用いるフォトニック結晶によるファブリ・ペロー型共振器の断面図、図2(B)はその比較例としてのファブリ・ペロー型共振器の断面図である。
図2(A)において符号21a,21b,21c,21e,21f,21gはそれぞれ高誘電率誘電体層をなすアルミナ板である。また符号22a,22b,22c,22d,22e,22fおよび24a,24bはそれぞれ低誘電率誘電体層をなすエポキシ樹脂層である。また符号23は共振層をなすフェライト板である。
ファブリ・ペロー型共振器によるバンドギャップの中心周波数は12.5GHzとする。12.5GHzの真空中の光路長(1波長)は24mmであり、その1/4波長は6mmである。エポキシ樹脂層22の比誘電率は2.8であるので、その厚み寸法を6/√2.8=3.6mmとした。アルミナ板21の比誘電率は8.4であるので、その厚み寸法を6/√8.4=2.1mmとした。ここでは0.7mmのアルミナ板を3枚重ねてこの厚みを実現した。
(a)アルミナ板
純度96%のアルミナ
19.0×9.5×0.7mm
比誘電率:8.4 at 12GHz
(b)フェライト板
組成:NiCuZn系のフェライト
Fe2O3:47mol%、NiO:20.5%、ZnO:22%、CuO:10.5%
19.0×9.5×2.0mm
比誘電率:11.8
実効比透磁率:0.76 at 12GHz
実効比誘電率:8.97 at 12GHz
(c)エポキシ樹脂
比誘電率:2.8
なお、上記フェライト以外に、スピネル系フェライト(Mg−Mnフェライト、Mg−Mn−Alフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Alフェライト、Li−Feフェライト)や、ガーネット系フェライト(Y−Feフェライト、Gd−Feフェライト))も使用可能である。
図5(A)は図4に示したバンドパスフィルタのシミュレーションによる特性図である。図5(B)は、図4に示した構造において方形導波管50の内部に前述の比較例としての周期構造体30を挿入(充填)した場合のシミュレーションによる特性である。ここでは伝送線路理論に基づくシミュレーションを行った。
P1:0.04T
P2:0.06T
P3:0.08T
P4:0.10T
P5:0.14T
P6:0.20T
電磁石のコアの磁束密度はフェライト板23への印加磁界に比例するので、このように印加磁界を高めるほどフェライト板23の比透磁率μrは低下し、従って局在モードの共振周波数が上昇し、通過帯域がそれに伴って上昇する。
また、フェライト板に光路長が1/2波長で局在モードが発現するが、この光路長は
1/√(ε×μ)に比例する。フェライトの誘電率は磁界に対しては変化しないが、透磁率は上式に従って変化する。
この発明の第2の実施形態に係るバンドパスフィルタおよびフォトニック結晶の製造方法について図9〜図14を参照して説明する。
図9は第2の実施形態に係るバンドパスフィルタに用いるフォトニック結晶70の構成を示す図である。
まず紫外線硬化エポキシ樹脂を材料として光造形装置を用い、図9(A)に示すような複数の穴43,44を有する直方体形状の構造体を作成する。ここで用いる光造形装置および紫外線硬化エポキシ樹脂は第1の実施形態で示したものと同様である。
(a)誘電体柱
組成:(Zr,Sn)TiO4セラミックス
2.0mmφ×9.5mm
比誘電率:εr≒39 at 12GHz
(b)磁性体柱
組成:NiCuZn系のフェライト
Fe2O3:47mol%、NiO:20.5%、ZnO:22%、CuO:10.5%
2.4mmφ×9.5mm
比誘電率:εr≒11.8 at 12GHz
(c)低誘電率誘電体部材
組成:フォトポリマー・エポキシ樹脂
比誘電率:εr≒2.8 at 12GHz
(d)格子パターン
3角格子
誘電体柱間距離(格子間距離)a:3.846mm
なお、第1の実施形態の場合と同様に上記フェライト以外に、スピネル系フェライト(Mg−Mnフェライト、Mg−Mn−Alフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Alフェライト、Li−Feフェライト)や、ガーネット系フェライト(Y−Feフェライト、Gd−Feフェライト))も使用可能である。
フォトニック結晶の設計は平面波展開法によるバンド計算により行う。フォトニック結晶のバンドは、誘電体母相である低誘電率誘電体部材(エポキシ樹脂40)に対する高誘電率誘電体部材(誘電体柱25)の誘電率比と、結晶格子間距離に対する誘電体柱の半径の比に依存し、バンドギャップが形成される領域が限定される。また、電磁波の伝播する状態がTEモードであるかTMモードであるかにより異なる。さらに、誘電体柱の配列パターンによっても異なる。ここでは3角格子点に誘電体柱が並ぶ場合を考える。
P1:0.1T
P2:0.2T
P3:0.3T
電磁石のコアの磁束密度は磁性体柱26への印加磁界に比例するので、このように印加磁界を高めるほど磁性体柱26の比透磁率μrは低下し、従って局在モードの共振周波数が上昇し、通過帯域がそれに伴って上昇する。
図15は第3の実施形態に係るバンドパスフィルタに用いるフォトニック結晶71の構成を示す図である。
21−アルミナ板(高誘電率誘電体層)
22,24−エポキシ樹脂層(低誘電率誘電体層)
23−フェライト板(共振層)
30−周期構造体
40−エポキシ樹脂
41,42−スリット
43,44…穴
50−方形導波管
51−プローブ
60−電磁石
61…上部エポキシ樹脂板
62…下部エポキシ樹脂板
70,71…フォトニック結晶
100,101,102…バンドパスフィルタ
H−外部磁界
Claims (12)
- 低誘電率誘電体部材内に高誘電率誘電体部材を周期的に配置してブラッグ反射が生じる周期構造体を構成するとともに、当該周期構造体内に磁性体部材を配置して、前記ブラッグ反射による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる局在モードを有するフォトニック結晶を備え、
前記フォトニック結晶中を伝搬する電磁波を電界の振幅方向が特定の方向であるモードに制限する伝送路と、
前記フォトニック結晶に前記電磁波の伝搬方向に垂直方向の直流磁界を外部から印加する磁界印加手段と、を設けてなるバンドパスフィルタ。 - 前記磁性体部材は、当該磁性体部材内での電気長が前記通過帯域内の周波数で略1/2波長である請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記直流磁界の方向と前記電界の振幅方向とがほぼ平行である請求項1または2に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記磁界印加手段は、前記磁性体部材が磁気共鳴する磁界以下で、実効比透磁率が1以下の範囲で前記直流磁界の強度を制御するものである請求項1、2または3に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記磁界印加手段は前記直流磁界の強度が可変である請求項1〜4のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
- 前記伝送路は方形導波管である請求項1〜5のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
- 前記磁性体部材はフェライトからなる請求項1〜6のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
- 前記低誘電率誘電体部材は低誘電率誘電体層、前記高誘電率誘電体部材は高誘電率誘電体層、前記磁性体部材は磁性体板であり、前記フォトニック結晶は前記低誘電率誘電体層と前記高誘電率誘電体層とを交互に積層配置した2つの反射器と、この2つの反射器の間に設けた前記磁性体板とからなり、前記2つの反射器による阻止帯域内に通過帯域を生じさせる共振層を配置してなるファブリ・ペロー型共振器である、請求項1〜7のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
- 前記低誘電率誘電体層と前記高誘電率誘電体層の光路長は前記阻止帯域の波長でそれぞれほぼ1/4波長である請求項8に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記低誘電率誘電体層は樹脂層であり、最外層が樹脂層である請求項8または9に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記高誘電率誘電体部材は円柱状の誘電体柱であり、前記低誘電率誘電体部材は前記誘電体柱の周囲の空間を占める形状であり、前記磁性体部材は円柱状の磁性体柱であり、前記フォトニック結晶は、前記誘電体柱を前記低誘電率誘電体部材内で2次元平面上に配列するとともに、所定位置を前記磁性体柱で置換した構造である、請求項1〜7のいずれかに記載のバンドパスフィルタ。
- 請求項1に記載のフォトニック結晶の製造方法であって、光硬化性樹脂に対する照射光のスキャニングによる光造形法で、前記低誘電率誘電体部材を光硬化性樹脂で造形するとともに前記高誘電率誘電体部材の配置領域を形成する工程と、
前記高誘電率誘電体部材の配置領域に前記高誘電率誘電体部材および前記磁性体部材をそれぞれ挿入する工程と、
を順に処理するバンドパスフィルタ用フォトニック結晶の製造方法。
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