JPWO2006088155A1 - 誘電体多層周期構造体 - Google Patents

誘電体多層周期構造体 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006088155A1
JPWO2006088155A1 JP2007503757A JP2007503757A JPWO2006088155A1 JP WO2006088155 A1 JPWO2006088155 A1 JP WO2006088155A1 JP 2007503757 A JP2007503757 A JP 2007503757A JP 2007503757 A JP2007503757 A JP 2007503757A JP WO2006088155 A1 JPWO2006088155 A1 JP WO2006088155A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
dielectric
layer
periodic structure
optical path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007503757A
Other languages
English (en)
Inventor
松本 直樹
直樹 松本
卓二 中川
卓二 中川
安藤 陽
陽 安藤
坂部 行雄
行雄 坂部
宮本 欽生
欽生 宮本
桐原 聡秀
聡秀 桐原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Osaka University NUC
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd, Osaka University NUC filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Publication of JPWO2006088155A1 publication Critical patent/JPWO2006088155A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
    • H01P1/20Frequency-selective devices, e.g. filters
    • H01P1/2005Electromagnetic photonic bandgaps [EPB], or photonic bandgaps [PBG]
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q15/00Devices for reflection, refraction, diffraction or polarisation of waves radiated from an antenna, e.g. quasi-optical devices
    • H01Q15/0006Devices acting selectively as reflecting surface, as diffracting or as refracting device, e.g. frequency filtering or angular spatial filtering devices
    • H01Q15/006Selective devices having photonic band gap materials or materials of which the material properties are frequency dependent, e.g. perforated substrates, high-impedance surfaces

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

高屈折率誘電体層の光路長をLH、低屈折率誘電体層の光路長をLLで表した時、LH/LL>1となる関係とし、この高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層の積層体で基本格子を構成し、上記2種類の誘電体層とは異なる光路長を有する誘電体層を欠陥層として基本格子同士で挟まれる位置に設ける。

Description

この発明は、複数の誘電体を周期的に積層させた誘電体多層周期構造体に関するものであり、使用の対象とする電磁波領域を50GHz〜3THzのミリ波ならびにテラヘルツ帯の周波帯域とするものである。
従来の誘電体多層周期構造型フィルタとして、屈折率(誘電率)の異なった複数種の誘電体層を積層してなる所謂1次元フォトニック結晶構造のフィルタが提案されている(特許文献1,特許文献2参照)。
特許文献1の誘電体多層基板は、一対の屈折率の異なる誘電体基板同士を積層させた基本格子を複数積層することによって多層周期構造体を構成し、それぞれの光路長(屈折率と誘電体層の厚さとの積)を1/4波長に固定している(特許文献1の段落[0026],[0027],[0092]参照)。
ここで特許文献1の基本格子の構造を図1に示す。図1の(A)は基本格子に対する入射波と反射波の関係を示している。ここで、基本格子3は高屈折率誘電体層1と低屈折率誘電体層2の積層体からなり、高屈折率誘電体層1の屈折率をnH、低屈折率誘電体層の屈折率をn、基本格子3以外の媒質の屈折率をnOとすると、nO<n,nH>nの関係にある。高屈折率誘電体層1と低屈折率誘電体層2の層厚は、特定波長λoの入射波の光路長が1/4波長(λo/4)またはその奇数倍となるように定める。このような構造であれば、各誘電体層の界面で反射した波の位相が一致するため、この特定の波長λoにおいて反射率が最大となる。
上記基本格子を多層化する場合、図1の(B)に示すように、基本格子3を積層することになる。この積層体に入射した光(電磁波)は、各誘電体層の界面で反射するが、低屈折率誘電体層2aから高屈折率誘電体層1aへ進む光は、その界面paで位相反転して反射する。また、高屈折率誘電体層1aから低屈折率誘電体層2b方向へ進む光は、その界面qaで同位相で反射する。高屈折率誘電体層1aの層厚d1の光路長がλo/4であれば、界面paで上記2つの反射波が同位相で合成される。このことは、高屈折率誘電体層1aと低屈折率誘電体層2bとの界面qaでの反射波と、低屈折率誘電体層2bと高屈折率誘電体層1bとの界面pbでの反射波との合成についても同様である。すなわち、高屈折率誘電体層1aから低屈折率誘電体層2bへ進む光は、その界面qaで同相で反射し、低屈折率誘電体層2bから高屈折率誘電体層1bへ進む光は、その界面pbで位相反転して反射する。低屈折率誘電体層2bの層厚d2の光路長がλo/4であれば、上記2つの反射波が同位相で合成される。このようにして波長λoの電磁波は反射され、この積層体は反射鏡として作用する。
図2は、図1の(A)または(B)に示した誘電体多層基板の電磁波透過特性を示している。ここで横軸に電磁波の周波数をc/a(c=光速、a=基本格子膜厚)で除した規格化周波数、縦軸に透過率をとっている。このように入射波の波長を変化させたとき、透過率が大きく減衰する阻止帯域をフォトニックバンドギャップ(PBG)と呼び、周期的に透過率が減衰する帯域が生じる。
また、誘電体基板の光路長が、入射する電磁波の1/2波長の整数倍であるときは、反射波の位相が打ち消し合うため透過率が最大になる(特許文献1の段落[0033],[段落0034]参照)。
特許文献2では、この2つの原理を応用し、誘電体多層膜の周期構造によって狭帯域通過フィルタの機能を得る一例について示したものである。その段落[0024]〜[0028]および[0129]において、光路長λo/4の厚みを持った屈折率の高い光学薄膜Hと、光路長λo/4の厚みを持った屈折率の低い光学薄膜Lを基本的な光学薄膜とし、これら光学薄膜を1層ずつ重ねた2層を単位反射鏡層(以下λo/4基本格子と呼ぶ)とし、単位反射鏡層を複数回重ねたものを反射鏡層(以下λo/4基本格子層と呼ぶ)としている。そして、反射鏡層間に光路長がλo/2となるスペーサ層(以下λo/2欠陥層と呼ぶ)を挟んで構成したものを単位キャビティ層とし、単位キャビティ層を連絡層を介して複数回多層化することにより多重薄膜光学フィルタを構成している。なお、本明細書ではこの単位キャビティ層の構造を(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)と表記する。
ここで、同文献にみられるような狭帯域通過フィルタの基本構成を図3(A)に示す。このように、高屈折率誘電体層1と低屈折率誘電体層2から成る基本格子3を複数回積層させたものの一部に、欠陥層4を挿入すると、本来ならばフォトニックバンドギャップ中で電磁波が透過しない領域であっても、特定の波長の電磁波だけが透過する狭帯域通過モードを得ることができる。これは、欠陥層の挿入によってフォトニック結晶の周期性が崩れ、電磁波の共振現象(一般的には局在化という)が生じることに因る。特に、基本格子層をλo/4の奇数倍になるような光路長周期で構成し、欠陥層の光路長を特定の電磁波の波長λoに対してλo/2の整数倍となるように設計すると、この欠陥層と、その隣の基本格子層との境界における反射波の位相がちょうど入射波の位相と一致するため、波長λoの電磁波について強い局在化が起きる。
図3(B)に、基本格子層をλo/4周期、欠陥層をλo/2で構成したときに、波長λoの電磁波が局在化するときの電界振幅強度の様子をシミュレーションによって計算した結果を示す。同図縦軸は電界エネルギー振幅強度を示し、横軸は、多層膜の膜厚方向の位置をxとし、1単位基本格子の膜厚をaとして、x/aで規格化した座標で表している。同図から明らかなように、電磁波はλo/2欠陥層4内を共振領域として局在化する。
また、図3(B)に示す誘電体多層周期構造型フィルタの透過特性を図4に示す。ここで、横軸は規格化周波数であり、縦軸は透過率である。このように、ちょうど図2に示した阻止帯域(フォトニックバンドギャップ)の周波数軸上での中央に、透過率が高くなる狭帯域通過モードが生じる。
以上に示すように、基本格子で挟まれる位置に欠陥層を挿入した多層周期構造体は狭帯域通過フィルタとして利用することができ、特に上記で示した(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)の従来型の多層周期構造フィルタは、光学フィルタ一般に広く応用されている。
特開平10−290109号公報 特開2002−350633公報
ところが前記基礎概念に基づいて作製される(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)の従来型の多層周期構造フィルタを、ミリ波帯〜テラヘルツ帯(50GHzから3THz)の電磁波領域で機能させようとすると、次に述べるような問題が生じる。
上記周波数帯で最も問題になるのは、材料の誘電損失により電磁波の透過帯、特に前記狭帯域通過帯の透過強度が大きく減衰してしまうことである。
誘電体の誘電損失は、一般的に交流電場に対して分極の変化が追従できない場合に発生する。従来技術では、動作周波数が1014Hz台の可視光〜赤外光領域を扱うものがほとんどであり、このような周波数帯では交流電場に対する応答特性の高い電子分極が主体であるため、その追従遅れが少なく誘電損失成分は小さい。そのため、特許文献2に示されているように、積層層数を数十層とする構成が一般的である。
しかし、動作周波数がミリ波帯〜THz帯を含む1012〜1015Hz帯では、電子分極と比較して交流電場に対する追従性の悪いイオン分極が主体となるため、誘電損失の影響が非常に大きくなる。
このように材料の誘電損失が大きくなる周波数帯で透過帯の透過率向上を図るには、積層層数をできるだけ減らし、素子厚も薄くすることが望ましい。
ただし、単純に積層層数を減らしただけでは波の干渉効果が弱まるため、入射した波がほとんど透過することになり、そのままではフィルタとしての特性が劣化してしまう。
この問題に対しては、積層材料の屈折率比を高めることが有効である。
屈折率比が高ければ、誘電体層間の界面における反射率が高まるため、少ない層数で十分なフォトニックバンドギャップを得ることができ、阻止帯の幅も広帯域化できる。また、屈折率比を高めるために高屈折率材料を用いることで、波長短縮効果によって、より素子厚を薄くできる利点がある。
以上の概念に従い、狭帯域通過帯の波長λoを2mm(150GHz)として設計し、それに基づいて作製した(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)の従来型の多層周期構造フィルタの透過特性を図5に示す。これは高屈折率誘電体層にnH=10.4のTiO、低屈折率誘電体層にn=3.5のAlを用いて、屈折率比をおよそ3倍としたものである。全体層数は従来技術と比較して格段に少ない9層で、素子厚は0.84mmとなっている。100〜200GHzの領域で阻止帯域の最小透過率(Tmin)は−40dB程度となっており、強い阻止帯域を形成することができる。これはこの種のフィルタで一般的に必要とされる−30dBと比較しても遜色ない値である。
ところが、図5において狭帯域通過モードの強度に着目すると、誘電損失を考慮しないシミュレーション(上段)では透過損失が0であるが、実験結果(下段)では最大で−20dB程度の透過強度に留まっている。その他の透過帯(0〜100GHz、200〜300GHz)ではある程度の透過強度が得られていることを勘案すると、何らかの理由で欠陥層における電磁波の共振効果が弱まっているものと推測できる。
この原因には次のメカニズムが関係している。この従来型のλo/2欠陥層構造の場合、電磁波の共振領域は前述の通り欠陥層内のみとなり、この層内だけで波の局在化が起きる。局在化した電磁波は、欠陥層両端のλo/4基本格子層が反射鏡として作用するので、その間で多重反射し、欠陥層内に強く閉じ込められる。欠陥層の誘電体材料に誘電損失がある場合は、その多重反射の過程で、局在化した電磁波エネルギーが徐々に減衰してしまうため、外部への取り出し効率は著しく悪化する。それによって、狭帯域通過モードの透過強度は非常に小さなものとなるのである。
この例で用いた材料の誘電損失の値は、測定周波数100〜300GHzの領域で、TiOがtanδ=8.7×10−3、Alがtanδ=7.5×10−3程度であり、これはほとんど損失が無視できる可視光領域の周波数帯における値と比較すると非常に大きい。
従って、以上のように(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)の従来型の多層周期構造フィルタにおいて、単純に屈折率比を高め、低層数化しただけでは局在化した電磁波を外部へ効率的に取り出すことは難しい。
なお、特許文献1では、その請求項6,7,19,20に、光路長をλ/2から所定の第3の値(x)だけずらした層を挿入し、それによってバンドパスフィルタの機能を得る旨記載されている。しかし、段落[0034],[0046]〜[0048]に述べられているように、これはλ/2±xの層を2層挿入した構成法についてのみ示しており、その具体例とその特性については何ら触れられておらず、前述のミリ波帯〜テラヘルツ帯の電磁波領域における狭帯域通過帯の強度減衰の問題を解消するものでは無い。
また、特許文献2では、前記従来型の多層周期構造フィルタを基礎として、フルビッツ多項式により所望の透過特性および反射特性に応じたフィルタを構成する手法について示しているが、段落[0021]で述べているように、これは通過帯における直線ひずみが少ないフィルタの設計に関するものであって、透過信号の透過強度を向上させることに関しては何ら触れられておらず、さらに全体層数が数十層になることから、前述のミリ波帯〜テラヘルツ帯の電磁波領域における狭帯域通過帯の強度減衰の問題を解消するものでは無い。
そこで、本発明の目的は、フォトニック結晶の構成法を変えることによって狭帯域通過モードの透過強度を向上させることにある。
この発明は、上述の問題を解消するために、次のように構成する。
(1)屈折率が異なる2種類の誘電体層を積層した基本格子を複数備えた誘電体多層周期構造体であって、前記2種類の誘電体層のうち、屈折率の高い誘電体層の光路長をLH、屈折率の低い誘電体層の光路長をLLで表したとき、LH/LL>1となる関係を満たし、前記基本格子同士で挟まれる位置に、前記基本格子を構成する前記2種類の誘電体層とは異なる光路長を有する誘電体層を欠陥層として設けた多層周期構造とする。
(2)前記2種類の誘電体層の屈折率比は、前記屈折率の高い誘電体層と、前記屈折率の低い誘電体層との屈折率比を2以上とする。
(3)前記欠陥層の光路長を狭帯域通過帯の中心波長の1/2より小さくする。
(4)前記欠陥層の光路長を、前記基本格子を構成する誘電体層のうち欠陥層と同じ誘電体材料からなる誘電体層の光路長より小さくする。
(5)前記誘電体多層周期構造体の最外部の基本格子のうち、外側の誘電体層を取り除いた構造とする。
(6)前記誘電体多層周期構造体による狭帯域通過モードが、周波数50GHz〜3THzのミリ波帯またはテラヘルツ帯の周波数域に生じるものである。
(7)前記誘電体多層周期構造体は、屈折率の異なる複数の誘電体セラミックスのグリーンシートを周期構造をなすように所定の順序で積層した積層体を同時焼成したものとする。
本発明は、フォトニック結晶におけるバンドギャップが、前記従来技術に記載のように基本格子の光路長を入射する電磁波の波長λoに対して1/4の長さにせずとも、あくまで屈折率の異なる誘電体層を周期的に配置することによって得られるものであることに着目し、その光路長をλo/4、すなわち光路長比率の条件をLH/LL=1からずらした構成とすることによって、欠陥層内部で局在化した電磁波が欠陥層内部で多重反射されず、外部に取り出され易くなるようにするものである。本発明の構成においては、狭帯域通過モードが得られる時の波長λoのとき、基本格子層において反射される波の位相整合条件がλo/4基本格子の場合と異なって満たされにくい状態になるため、欠陥層を中心として局在化した電磁波が両端の基本格子層で多重反射されずに外部へ取り出しやすい状態とすることができる。これにより狭帯域通過モードの透過率を向上させることができる。
特に前記光路長比率LH/LLを1より高めることによって、系全体の平均屈折率が向上するため、波長短縮効果により素子厚を低減することができる。これは、平均屈折率をnで表すと、誘電体中を伝搬する電磁波の波長λと誘電体層の厚さdとの関係が、d=λ/nで表されるように、同じ波長λであれば、分母の平均屈折率nの値が大きいほど誘電体層の厚さdを小さくできることに起因する。
屈折率の高い誘電体層(以下、「高屈折率誘電体層」という。)と、屈折率の低い誘電体層(以下、「低屈折率誘電体層」という。)の屈折率比を2以上とすることによって、10層前後の少ない層数でも充分なバンドギャップ幅および阻止利得が得られる。
欠陥層の光路長を狭帯域通過帯の中心波長の1/2より小さくすることにより、欠陥層の膜厚を薄くすることができ、素子厚の低減を図ることができる。
また、欠陥層を構成する誘電体層の光路長を、基本格子層を構成する同じ誘電体材料からなる誘電体層の光路長より小さくすることにより、電磁波の局在領域が欠陥層に隣接する他の層にまで広がり、外部への取り出し効率が向上する。すなわち、欠陥層の導入による電磁波の局在化に関しては、複数層にまたがる電磁波の共振モードを利用することで、局在化した電磁波が欠陥層の両側の基本格子層で反射することによって損失となる割合を低減できる。また、欠陥層の光路長を小さくすることができるので、積層体の総膜厚(素子厚)が低減できる。
前記誘電体多層周期構造体の最外部の基本格子のうち、外側の誘電体層を取り除いた構造とすることにより、素子厚が低減でき、透過率の向上が図れる。また、素子作製プロセスの簡略化および素子の小型化が図れる。
前記多層誘電体を、誘電体セラミックグリーンシートを用いたシート工法で作製することにより、特性の均質な素子を量産でき、低コスト化が図れる。
特許文献1の誘電体多層基板の構成を示す図である。 同誘電体多層基板の阻止帯域の例を示す図である。 (A)は欠陥層を挿入した多層周期構造体の基本構成を示す図である。(B)は(λo/4基本格子)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子)型で構成した多層周期構造体において、狭帯域透過帯の中心波長λoのときの電界振幅強度の分布を示す図である。 同フィルタの電磁波透過特性の例を示す図である。 高屈折率誘電体層にTiO、低屈折率誘電体層にAlを用いて実際に構成した従来型の多層周期構造フィルタの透過率特性を示す図である。 (A)は第1の実施形態に係る多層周期構造体の基本構成を示す図である。
(B)は、同構造において、狭帯域透過帯の中心波長λoのときの電界振幅強度の分布を示す図である。
(A)は(λo/4基本格子)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子)型で構成した多層周期構造において、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層の屈折率比によって阻止帯域の最小透過率(Tmin)がどのように変化するかを示す図である。(B)は、上記構造で屈折率比を2とし、狭帯域通過モードが得られる中心周波数を150GHzに設定したときに必要な素子厚が、低屈折率材料の屈折率によって変化することを示す図である。 高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層の光路長比LH/LLの値を変化させた時に得られた透過特性の変化の例を示す図である。 高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層の光路長比LH/LLの違いによる素子各部の厚さの違いを示す図である。 欠陥層の光路長Lcと狭帯域通過モードの中心周波数との関係を示す図である。 光路長の異なる欠陥層を有する誘電体多層周期構造体の透過特性を示す図である。 高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層の光路長比率LH/LLに対する透過率の変化の例を示す図である。 第2の実施形態に係る誘電体多層周期構造体の構成を示す図である。 第2の実施形態における誘電体多層周期構造体の透過率特性の例を示す図である。 第3の実施形態に係る誘電体多層周期構造体の製造工程を示す図である。
符号の説明
1,5,9−高屈折率誘電体層
2,6,10−低屈折率誘電体層
3,7,11−基本格子
4,8,12−欠陥層
13−最外層
100,101−誘電体多層周期構造体
第1の実施形態に係る誘電体多層周期構造体について図6〜図12の各図を参照して説明する。
図6は本実施形態における誘電体多層周期構造体を示す図であり、(A)は周期構造体の断面図、(B)は電磁波が局在化するときの電界エネルギーの振幅強度の分布を素子の膜厚方向において表した図である。
この第1の実施形態では、屈折率nH、膜厚dHの高屈折率誘電体層5と、屈折率n、膜厚dの低屈折率誘電体層6をそれぞれ1層ずつ交互に積層し、その2層を1単位基本格子7とした構成から成り、フォトニックバンドギャップは、この基本格子7を2つ以上設けることで形成することができる。この実施形態では9層の多層構造としているが、層数はこれより多くても構わない。ここで、本発明における誘電体材料の比誘電率の値と屈折率値との対応に関しては、真空の誘電率をεo、誘電体材料の誘電率をεsとすると、屈折率nはn=√(εs/εo)となり、εs/εoは比誘電率ε’であるから、
n=√(ε’)として扱う。なお、ここでは複屈折率の概念を扱わないものとする。
欠陥層8は、基本格子7を構成する誘電体層5,6とは光路長が異なる誘電体層によって形成し、その両端に基本格子7を設ける。この欠陥層の導入により、基本格子7で形成される周期性の一部が崩れるため、図6(B)に示すように欠陥層8を中心とする電磁波の局在化が起き、それによりフォトニックバンドギャップ中で狭帯域通過モードが発現する。図6では高屈折率材料を欠陥層に用いた構成を示しているが、これは低屈折率材料を用いた構成としても構わない。
次に、前記基本格子を構成する高屈折率誘電体と低屈折率誘電体との屈折率比について説明する。
基本的には屈折率に周期性を持たせればフォトニックバンドギャップが得られるので、フォトニックバンドギャップを得るという点では上記屈折率比は必須の条件ではない。
しかし、フォトニックバンドギャップ内における最小透過率(Tmin)は屈折率比に強く依存する。具体的に示すと、(λo/4基本格子層)*(λo/2欠陥層)*(λo/4基本格子層)型の多層周期構造フィルタにおけるTminは、高屈折率誘電体の屈折率をnH、低屈折率誘電体の屈折率をn、積層層数をNとおくと、近似的に次の式で与えられる。
Figure 2006088155
この式に基づいて屈折率比に対するTminの値を求めた結果を図7(A)に示す。同図から明らかなように、屈折率比が小さいとTminが0dBに近づき、また層数が少なくなるとさらにTminの値が0dBに近づく。よって、フィルタの設計を行う上では十分な阻止利得が得られるように屈折率比および積層層数を決定する必要がある。具体的な例を示すと、屈折率比1.5の光学多層周期構造フィルタでTmin=−30dBを得ようとする場合、積層層数は約20層必要である。
但し、前述したように本発明が目的とするミリ波からテラヘルツ帯の電磁波帯域では誘電体材料の誘電損失の影響が大きい問題があり、また素子の小型化を図るためにもできるだけ積層層数は抑えることが望ましい。そこで、一般的なフィルタに要求される−30dBの阻止利得を得て、かつ積層層数を抑えるためには、屈折率比を最低でも2以上にすることが必要である。例えば、屈折率比2の条件に従い阻止利得−30dBの多層周期構造フィルタを構成する場合は、積層層数を13層程度に抑えることができる。但し、屈折率比を高めすぎると素子に入射した電磁波が透過せずに反射されてしまう割合が高まるため、帯域通過フィルタとして使用する上では、屈折率比は最大でも5程度に留めることが望ましい。
また、低屈折率材料の屈折率を大きくすることで、より阻止帯域の最小透過率を低く抑えることができ、素子厚も減らすことができる。図7(B)は上記条件において、屈折率比を2、層数を9層に固定し、低屈折率材料の屈折率を1〜5の範囲で変えたときに、150GHzで狭帯域通過モードを得ようとする場合に必要な素子厚を示したものである。低屈折率材料の屈折率が低い場合は、系全体の平均屈折率も減少するため、前記波長短縮効果が得られず素子厚は非常に厚いものとなる。従って、低屈折率材料に用いる誘電体材料の屈折率はある程度高い方がよく、およそ屈折率2以上のものを使用することが望ましい。
前記低屈折率誘電体層の材料としては、例えばAl2O3、2MgO-SiO2、SiO2、MgO・SiO2、MgAl2O4、ZrO2、MgTiO3、Ba(Mg1/3,Ta2/3)O3、Ba(Mn1/3,Ta2/3)O3などのセラミック材料が挙げられ、これらを用いることにより、低屈折率誘電体層に用いる媒質の最低屈折率は2以上とすることが望ましい。
また、前記高屈折率誘電体層の材料としては、例えばTiO2やCaTiO3、BaO-TiO2系、ZrO2-SnO2-TiO2系、Pb(Mg,Nb)O3系、Pb(Zn,Nb)O3系、BaO-Nd2O3-TiO2系、BaO-Sm2O3-TiO2系、(CaSrBa)ZrO3系、BaO-TiO2-WO3系、(Ba,Sr)O-Sm2O3-TiO2系、CaO-TiO2-SiO2系、BaO-Pb2O3-Nd2O3-TiO2系、Ba(Zn,Nb)O3系、Ba(Zn,Ta)O3系、MgTiO3-CaTiO3系、CaTiO3-(Li1/2Re1/2)TiO3系、(Ca,Re)(Ti,Al)O3系、(Sr,La)(Ti,Al)O3系、CaTiO3-Re(Mg1/2Ti1/2)O3、CaTiO3-Ca(Mg1/3Nb2/3)O3などのセラミック材料が挙げられる(但しRe=La,Nd,Sm)。
また、上記材料には例えば結晶化ガラスや焼結助剤となる各種元素を添加することにより低温焼結を可能にした複合材料を用いても構わない。
これらを前記低屈折率材料と組み合わせる際は、その屈折率比が2以上になるよう材料を適宜選択する。なお、前記低屈折率誘電体材料および高屈折率誘電体材料の例はあくまで実施形態の一例であり、例えば前記記載の高屈折率誘電体材料群の中から屈折率比が2以上になるような材料の組み合わせを選択しても構わない。また、ここに挙げた材料群は望ましい実施形態の一例であり、本発明で使用される材料の種類がこれらに限定されるものではない。
図6に示すこの第1の実施形態では、高屈折率誘電体層5の高屈折率材料にTiO(nH=10.4)、と低屈折率誘電体層6の低屈折率材料にAl(n=3.5)を用い、屈折率比を約3としている。また、欠陥層8を高屈折率誘電体層とし、その誘電体材料は上記高屈折率誘電体層4の高屈折率材料と同様のTiO(nH=10.4)を用いている。
次に、図6に示す第1の実施形態において、基本格子7を構成する2つの誘電体層の膜厚を、その光路長の比(LH /LL)が1より大きくなるように設計することで、狭帯域通過モードの透過率を高める事が可能であることを実験によって検証した結果を以下に示す。
まず、狭帯域通過モードの中心周波数foはおよそ150GHz(λo=2mm)として設計し、全体層数は9層として前記誘電体多層周期構造体を作製した。
図8は、LH /LLの値を従来技術に従って1.0とした場合と、3.3,7.6とした場合の、前記誘電体多層周期構造体における狭帯域通過モードの最大透過率の変化を示したもので、図中下向き三角記号は狭帯域通過モードを示している。同図から明らかなように、狭帯域通過モードの透過率はLH /LL=1.0のものでは−19dB程度に留まっているが、LH /LLの値が増すに連れてその強度は増大し、LH /LL =3.3では−6dB、LH /LL =7.6では−3dBまで向上している。
この第1の実施形態における単位基本格子の光路長LH +LLの値を図9に示す。狭帯域通過モードが得られた中心周波数での1/2波長(λo/2)と比較すると、LH +LLの値はいずれも(LH +LL)<λo/2なる関係を満たしている。
なお、欠陥層に用いる材料は前記高屈折率材料に限らず、前記低屈折率材料を用いることもでき、さらに基本格子を構成する材料とは異なる第3の媒質を、前記低屈折率誘電体層と高屈折率誘電体層の例として挙げた材料群の中から選択することもできる。
積層体の素子厚は図9に示すようにLH /LLの値が大きいほど薄型化することができる。但し、LH /LLの値を大きくし過ぎると、低屈折率誘電体層の膜厚の割合が減少し、高屈折率誘電体層の膜厚の割合が増加しすぎることにより、フォトニックバンドギャップの発現効果が弱まるため、その値の上限は10程度に留めることが望ましい。
なお、LH /LL =1.0の試料では、基本格子長LH +LLと欠陥層光路長Lcの値がλo/2とほぼ等しく、従来技術に従った構成となっている。
次に、欠陥層の設計手法について述べる。
この実施形態では、前述したように電磁波の共振領域を欠陥層内に限定しないので、所望の周波数位置で狭帯域通過モードを得るためには、従来のように単純にλo/2となるような光路長で欠陥層の膜厚を決めることはできない。すなわち、系全体での干渉効果を考慮した膜厚設計が必要となる。そこで、この実施形態ではLH /LLの値を固定し、欠陥層の膜厚のみをある一定の範囲で変化させた場合に、狭帯域通過モードの中心周波数がどのようにシフトするかを予めシミュレーションにより検討した。
図10は、前述の実施形態でLH /LLの値を3.3とし、欠陥層光路長Lcを変化させた場合に、狭帯域通過モードの中心周波数の関係がどのように変化するかをシミュレーションにより求めたものである。なお、本明細書で記載するシミュレーション結果は、すべて多層周期構造の各界面における電界および磁界成分をマクスウェルの方程式に基づいて解き透過率を算出している。
同図について説明すると、欠陥層の光路長を0から800μmに増していった場合は、狭帯域通過モードの中心周波数が190GHzから110GHzに変化しており、さらに光路長を増した場合は、中心周波数が再び190GHzにシフトする。これは、上下の破線で挟まれる領域が阻止帯域であり、その中に狭帯域通過モードの中心周波数が存在することを意味する。従って、欠陥層の光路長を適切に設定すれば、阻止帯域内の任意の周波数において、狭帯域通過モードが得られる欠陥層の膜厚条件を決定することができる。
図8に示した実施形態では上記シミュレーション結果に基づき、150GHzで狭帯域通過モードが得られるときの欠陥層の光路長Lcを約180μmとして設計した。この欠陥層の光路長Lcは、狭帯域通過帯の中心波長の1/2(λo/2)より小さくすることで、素子厚の低減を図っている。
この実施形態では必ずしも欠陥層内のみを電磁波の共振領域として扱わないので、欠陥層の光路長Lcはλo/2より小さくすることができる。さらに、本実施例では図9を参照すれば明らかなように、欠陥層の光路長Lcは同じ高屈折率材料で構成される基本格子の光路長LHよりも短くすることができる。このように欠陥層の膜厚を薄くできることは、素子厚を低減する上で有効である。
一方、欠陥層の光路長Lcをλo/2よりも大きくした場合についても検討した。図11は、LH/LLの値を3.3、狭帯域通過モードの中心波長λoを2mm、欠陥層の光路長Lcをλo/2、λo、3λo/2となるように構成された3つの構造体の透過スペクトルを示したものである。この構成では、いずれも基本格子は欠陥層の両端でそれぞれ1.5周期(3層)としており、欠陥層の厚みのみを変えている。
図11は欠陥層の光路長によって、狭帯域通過モードの帯域幅を制御できることを示している。狭帯域通過モードの帯域幅は、欠陥層の光路長を増やすほど狭まっており、図11の範囲では、ピーク半値幅が2.1GHz〜4.3GHzの間で変化している。このとき狭帯域通過モードの透過率は−5.3dBから−6.2dBであり、欠陥層の光路長をλo/2より小さくした図10の<L/L=3.3>の結果と比較して同程度の透過率が得られている。よって、欠陥層の光路長をλo/2よりも大きくした場合は、透過率を大きく減衰させることなく、狭帯域通過モードの帯域幅を制御することができる。
但し、欠陥層の光路長をλo/2より大きくした場合は、素子厚低減のメリットが得られない点に留意する必要がある。
この実施形態の作用・効果について次に述べる。
この実施形態では、基本格子の光路長比率LH /LLの値を1より大きくすることで、反射波の位相整合条件が満たされにくい状態を形成することができ、それによって内部で局在化した電磁波が基本格子層で多重反射されて損失となる割合を減らすことができる。
この実施形態ではLH /LLの値を1より大きくした場合についての結果を示したが、局在化した電磁波が外部に抜けやすいようにするためには、基本格子層での反射波の位相整合条件を崩せばよいので、LH /LLの値が1より少ない場合についても同様の検討を行う必要がある。そこで、図12に、LH /LLの値を0.15〜7.03まで変化させたときの狭帯域通過モードの最大透過率(Tmax)と阻止帯域の最小透過率(Tmin)をシミュレーションにより求めた値(図中中抜きの点)と、前述した実験結果の値(図中塗り潰しの点)を示す。
狭帯域通過モードの最大透過率はLH /LL =1.0の場合に最小値をとっており、LH /LL>1のこの実施形態はシミュレーション結果と実験結果はよく一致している。
H /LLの値が1以下の場合については、シミュレーション上ではLH /LL>1の場合と同様の傾向になっているが、注意しなければならないのは、この場合系全体の平均屈折率が低下するため、それに伴い素子厚を厚くしなければならないということである。これは、誘電体中を伝搬する電磁波の波長λと誘電体の厚さdとの関係が、前記記載のように同じ波長λであれば平均屈折率の値が大きい方がdの値を小さくできることに起因する。このLH /LL<1の場合とLH /LL>1の場合とで、ほぼ同じ透過強度が得られる条件(図12中AとA’)においてその素子厚を計算すると、その差はおよそ2倍になる。このように素子厚が大幅に増大することは素子厚低減のメリットが失われることなどから、LH /LL>1とする方が有利である。
同じ狭帯域通過モードの中心周波数foを指定したときの素子厚に関しては、fo=150GHzとした前述の試料において、LH /LL =1.0では844μmとなるが、この実施形態の一例であるLH /LL =7.6では455μmと約5割薄型化することが可能である。これにより、作製プロセスの簡略化と素子の小型化が図れる。
また、この実施形態では電磁波の共振領域を欠陥層の近傍に広げることで、局在領域が欠陥層内だけに限定されないようになり、従来技術で問題となっていた両側の基本格子層で電磁波が多重反射して損失になる割合を低減することができる。
以上に示したように、この実施形態では少ない層数および薄い素子厚による誘電体多層周期構造の構成で、所望の周波数の電磁波を選択的に透過させることができる狭帯域通過フィルタの透過強度向上を図る事ができる。
なお、この実施形態では欠陥層の厚みを変えることで光路長を変更しているが、光路長を変える手段としては厚みだけに限られるものではなく、屈折率を変えることによっても光路長を変更できることは言うまでもない。
次に、第2の実施形態に係る誘電体多層周期構造体について、図13・図14を参照して説明する。
図13は第2の実施形態に係る誘電体多層周期構造体の基本構造図である。この第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、屈折率nH、膜厚dHの高屈折率誘電体層9と、屈折率n、膜厚dの低屈折率誘電体層10をそれぞれ1層ずつ交互に積層し、その2層を単位基本格子11とする誘電体多層構造であり、誘電体多層周期構造体の最外部の基本格子11のうち、外側の誘電体層13を取り除いた構造となっている。
また、図13の構造は第1の実施形態で示した図6(A)と同様に、基本格子の光路長に対して薄い光路長を有する欠陥層12を多層周期構造体101の中央に挿入し、それにより狭帯域通過フィルタの機能を得るものである。
上記誘電体多層周期構造体の作用・効果は次のとおりである。
この第2の実施形態では、フォトニックバンドギャップの発現に関して、その作用が小さい端面の層を意図的に取り除く事により、全体の層数を抑え、透過率の向上を図ることができる。それにより、第1の実施形態の場合と同様の阻止帯域を有し、かつ強い透過率を有する狭帯域通過モードを得る事が出来る。
図14は、この第2の実施形態に従い、約150GHzを狭帯域通過モードの中心周波数foとし、LH /LL =3.4として設計、作製した7層多層構造体の透過特性を示したものである。同図には、LH /LLの値がほぼ同じである第1の実施形態(LH /LL =3.3)の結果も併せて示しており、図中下向き三角記号は狭帯域通過モードを示している。高屈折率誘電体層9にはTiO、低屈折率誘電体層10にはAl、欠陥層12にはAlを用いており、各層の光路長については、高屈折率誘電体層の光路長LH = 620μm、低屈折率誘電体層の光路長LL =180μmとしている。また、欠陥層の光路長は、λo/2の値(968μm)より小さいLc=25μmとしている。
なお、この第2の実施形態では、欠陥層12に低屈折率材料を用いたが、第1の実施形態で示した例のように、欠陥層に高屈折率材料を用いてもよい。
欠陥層12の光路長は、同じ誘電体材料から成る基本格子を構成する1層の光路長よりも少なくすることができ、欠陥層に低屈折率材料を使用した本実施例の場合でも、前記記載の光路長の値からわかるように、欠陥層の光路長Lcは同じAlから成る基本格子を構成する1層の光路長LLよりも短くなる。
この構造においては、最大透過率−4dBの狭帯域通過モードが得られる。この最大透過率の値は、第1の実施形態(LH /LLの値が第2の実施形態で示したものとほぼ等しいLH /LL =3.3のもの)で示した最大透過率の値(−6dB)に対して約30%向上している。
なお、この第2の実施形態における電磁波局在化の効果は第1の実施形態の場合と同様である。
次に、第1・第2の実施形態で示した誘電体多層周期構造体の製造方法を第3の実施形態として説明する。
図15はその製造工程を示す図である。
まず、図15の(A)に示すように、高屈折率誘電体層となるべき高屈折率誘電体材料のセラミックグリーンシート5′と、低屈折率誘電体層となるべき低屈折率誘電体セラミックのグリーンシート6′とをそれぞれ交互に配置した基本格子と、欠陥層となるべき高屈折率誘電体材料、低屈折率誘電体材料または基本格子を構成する材料とは異なる第3の誘電体材料のセラミックグリーンシート8′を基本格子の間に配置して積層、圧着し、同図の(B)に示すようにセラミックグリーンシートの積層体100′を構成する。
この際、高屈折率誘電体層、低屈折率誘電体層および欠陥層の光路長が所定寸法となるようにセラミックグリーンシート5′,6′,8′の厚みを調節する。
その後、(C)に示すように、上記積層体100′から所定サイズのチップ100″を切り出し、所定の雰囲気中で焼成して完成素子100とする。
なお、図15(B)〜(D)では第1の実施例の9層構造となっているが、第2の実施例の場合は7層にすればよいことは言うまでもない。

Claims (7)

  1. 屈折率が異なる2種類の誘電体層を積層した基本格子を、周期構造をなして複数備えた誘電体多層周期構造体であって、
    前記2種類の誘電体層のうち、屈折率の高い誘電体層の光路長をLH、屈折率の低い誘電体層の光路長をLLで表したとき、LH/LL>1となる関係を満たし、
    前記基本格子同士で挟まれる位置に、前記基本格子を構成する前記2種類の誘電体層とは異なる光路長を有する誘電体層を欠陥層として設けた誘電体多層周期構造体。
  2. 前記2種類の誘電体層のうち、前記屈折率の高い誘電体層と、前記屈折率の低い誘電体層との屈折率比を2以上とした請求項1に記載の誘電体多層周期構造体。
  3. 前記欠陥層の光路長を狭帯域通過帯の中心波長の1/2より小さくした請求項1または2に記載の誘電体多層周期構造体。
  4. 前記欠陥層の光路長を、前記基本格子を構成する誘電体層のうち、前記欠陥層と同じ誘電体材料から成る誘電体層の光路長よりも小さくした請求項1〜3のうちいずれかに記載の誘電体多層周期構造体。
  5. 前記誘電体多層周期構造体の最外部の基本格子のうち、外側の誘電体層を取り除いた構造とした請求項1〜4のうちいずれかに記載の誘電体多層周期構造体。
  6. 前記誘電体多層周期構造体による狭帯域通過モードが、周波数50GHz〜3THzのミリ波帯またはテラヘルツ帯の周波数域に生じるものである請求項1〜5のうちいずれかに記載の誘電体多層周期構造体。
  7. 前記誘電体多層周期構造体は、屈折率の異なる複数の誘電体セラミックスのグリーンシートを周期構造をなすように所定の順序で積層した積層体を同時焼成したものである請求項1〜6のうちいずれかに記載の誘電体多層周期構造体。
JP2007503757A 2005-02-18 2006-02-17 誘電体多層周期構造体 Pending JPWO2006088155A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005041867 2005-02-18
JP2005041867 2005-02-18
PCT/JP2006/302875 WO2006088155A1 (ja) 2005-02-18 2006-02-17 誘電体多層周期構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2006088155A1 true JPWO2006088155A1 (ja) 2008-07-03

Family

ID=36916552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007503757A Pending JPWO2006088155A1 (ja) 2005-02-18 2006-02-17 誘電体多層周期構造体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2006088155A1 (ja)
WO (1) WO2006088155A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007021954A1 (de) * 2007-05-10 2008-11-13 Neue Materialien Würzburg GmbH Vorrichtung zum Reflektieren elektromagnetischer Strahlung
JP2012042726A (ja) * 2010-08-19 2012-03-01 Nippon Shinku Kogaku Kk テラヘルツ帯光学素子
JP5828371B2 (ja) * 2011-04-07 2015-12-02 セイコーエプソン株式会社 画像取得装置、生体認証装置、電子機器
EP3037806A1 (en) * 2014-12-23 2016-06-29 Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Gas and vapor sensing devices based on 2D nanosheet material
CN109669227B (zh) * 2019-02-27 2024-04-05 湖北科技学院 一种对缺陷模反射率增强的光子晶体
CN116073097B (zh) * 2023-03-14 2024-06-25 福州大学 一种基于双层超材料的太赫兹宽带滤波器及其制备方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5686502A (en) * 1979-12-17 1981-07-14 Mitsubishi Electric Corp Branching filter
JPS5842002A (ja) * 1981-09-05 1983-03-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 多層誘電体膜フイルタ装置
JPH05341243A (ja) * 1992-06-04 1993-12-24 Oki Electric Ind Co Ltd モード変換器及び光フィルタ
JPH10290109A (ja) * 1997-04-15 1998-10-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 誘電体多層基板、マイクロ波および/またはミリ波用フィルタならびにそれらの製造方法
JP2001091911A (ja) * 1999-09-24 2001-04-06 Sony Corp 機能性材料および機能素子
JP2001350040A (ja) * 2000-06-06 2001-12-21 Tokin Corp 光フィルタ
JP2004502978A (ja) * 2000-07-10 2004-01-29 テヒニシェ・ウニベルジテート・ブラウンシュバイク・カロロ−ビルヘルミナ 光学素子
WO2004059784A1 (ja) * 2002-12-26 2004-07-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 誘電体フィルタ

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5686502A (en) * 1979-12-17 1981-07-14 Mitsubishi Electric Corp Branching filter
JPS5842002A (ja) * 1981-09-05 1983-03-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 多層誘電体膜フイルタ装置
JPH05341243A (ja) * 1992-06-04 1993-12-24 Oki Electric Ind Co Ltd モード変換器及び光フィルタ
JPH10290109A (ja) * 1997-04-15 1998-10-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 誘電体多層基板、マイクロ波および/またはミリ波用フィルタならびにそれらの製造方法
JP2001091911A (ja) * 1999-09-24 2001-04-06 Sony Corp 機能性材料および機能素子
JP2001350040A (ja) * 2000-06-06 2001-12-21 Tokin Corp 光フィルタ
JP2004502978A (ja) * 2000-07-10 2004-01-29 テヒニシェ・ウニベルジテート・ブラウンシュバイク・カロロ−ビルヘルミナ 光学素子
WO2004059784A1 (ja) * 2002-12-26 2004-07-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 誘電体フィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006088155A1 (ja) 2006-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5490116B2 (ja) 分布ブラッグ反射を使用する混成導波モード共鳴フィルタ及び方法
US7573639B2 (en) Terahertz-band optical filter, designing method thereof, and manufacturing method thereof
US6624945B2 (en) Thin film filters using omnidirectional reflectors
EP1624326B1 (en) Three-dimensional photonic crystal and optical element
JPWO2006088155A1 (ja) 誘電体多層周期構造体
JP6432270B2 (ja) 波長選択フィルター及び光照射装置
JP2006350232A (ja) 光学材料、それを用いた光学素子およびその作製方法
JP2011528136A5 (ja)
JP5304035B2 (ja) バンドパスフィルタおよびバンドパスフィルタ用フォトニック結晶の製造方法
US7333266B2 (en) CWDM filter
US8149073B2 (en) Band-pass filter and method for making photonic crystal for the band-pass filter
JP2013137306A (ja) X線導波路及びx線導波システム
KR101023254B1 (ko) 플라즈몬 투과 필터
JP4658405B2 (ja) 高周波用導波路とその製造方法
RU2502102C2 (ru) Оптический фильтр
WO2021115069A1 (zh) 一种宽带反射器及电磁波反射方法
RU2713566C1 (ru) Оптический многослойный полосно-пропускающий фильтр
JP5061876B2 (ja) バンドパスフィルタ
JP2007178886A (ja) テラヘルツ帯光学フィルタおよびその製造方法
JP2001350040A (ja) 光フィルタ
IL279710B2 (en) A spectral filter that includes at least two conjugate Fabry-Perot structures
EP1385031A2 (en) Wavelength filter, variable wavelength filter, and optical device
CN108919401B (zh) 一种导模共振滤波器
US20030118289A1 (en) Radiation-free optical cavity
JP4649595B2 (ja) 波長フィルタ、波長フィルタリング方法及び波長フィルタリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070822

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101207