JP2007178886A - テラヘルツ帯光学フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

テラヘルツ帯光学フィルタおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない積層数で低コストに製造でき、且つ波長選択性が高い所望の帯域通過特性を有する多重キャビティ型のテラヘルツ帯光学フィルタを得る。
【解決手段】第1のキャビティ層11の両端を、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質1および低屈折率媒質2の層を1層ずつ積層してなる基本格子3で挟み、この基本格子3のさらに両端に、光路長が通過中心周波数での1/2波長の整数倍であり、第1のキャビティ層11に用いる低屈折率媒質4より屈折率の高い高屈折率媒質5からなる第2・第3のキャビティ層12,13を配置して誘電体多層周期構造体を成す。
【選択図】図1

Description

この発明は、テラヘルツ帯において所望の周波数帯域の電磁波のみを取り出す帯域通過フィルタに関するものであり、特に複数の誘電体を周期的に積層してなる誘電体多層周期構造型のテラヘルツ帯光学フィルタおよびその製造方法に関するものである。
所望の周波数帯域の電磁波のみを取り出すことができる、矩形型の通過特性を有する帯域通過型フィルタとして、非特許文献1に示されているような多重キャビティ型フィルタが知られている。これは、単一共振器構造を有する基本ユニットを多段結合することで、ある一定の広がり幅のある透過特性を実現したものである。
具体的には、ある透過波長λoに対して光路長がλo/2の整数倍となるキャビティ層を光路長がλo/4となる高屈折率媒質の層(H)と低屈折率媒質の層(L)を交互に積層した基本格子層で挟み込んで基本ユニットを構成し、これを結合層を介して互いに対称配置となるように多段接続する。例えば非特許文献1では、(LH)2L2(HL)4(LH)4L2(HL)2となるフィルタの設計例が示されている。なお、(LH)nはHLのペアの層をn回繰り返し積層することを意味していて、前記開示例はLHLH2LHLHLHLH2LHLHLHLH2LHLHLと表記することもできる。
フィルタの帯域通過特性は、一般的に基本格子層の積層数や、キャビティ層の厚み、また多段結合するユニット数などに依存し、これらを調整することで最適な特性をもつフィルタが設計される。
非特許文献1では、多層膜材料としては一般的によく知られているSi(屈折率3.5)およびSiO2(屈折率2)をそれぞれ高屈折率層(H)と低屈折率層(L)に用いることを前提にしていて、屈折率比は1.75である。この例では全層数が25層となっているが、十分な干渉効果によってフィルタ特性を得るために、この種のフィルタでは積層数は20層以上とするのが一般的である。
多重キャビティフィルタをこのような構成とすることで、非特許文献1の図4.23に示されているような、特定波長λoに対してある一定の広がりをもつ矩形型の通過特性が得られる。
一方、テラヘルツ帯の誘電体多層周期構造体の製造方法が特許文献1や非特許文献2に開示されている。
特許文献1には、プラズマCVD法によってSiおよびSiO2を周期的に成膜して多層膜を形成する手法が開示されている。この特許文献1の方法では、原料ガスの切り替えだけで多層膜を積層することができるので、従来の蒸着法やスパッタ法と比較して速い速度で成膜できる旨が記載されている。
また、非特許文献2には、複数の誘電体基板または半導体基板を所定の厚みに研磨し、それぞれを接着剤で貼り合わせて周期構造体を形成する手法が開示されている。
特開2004−109827号公報 光学薄膜ユーザーズブック;小倉繁太郎,日刊工業新聞社,1991,P138〜142 Highly tunable photonic crystal filter for the terahertz range; H.Nemec, P. Kuzel, L. Duvillaret, A. Pashkin, M. Dressel and M. T. Sebastian,optics letters, vol. 30, No. 5, 2005
ここで、前記多重キャビティ型フィルタを、テラヘルツ帯を対象として製造する場合の課題について説明する。
従来、赤外〜可視光領域において広く利用されてきた非特許文献1に示されているような光学フィルタにおいては1層あたりの厚さは1μm以下となり、素子厚も1〜20μm以下で済むため、素子の積層数が20〜100層程度に達しても蒸着法やスパッタ法などで量産することが可能であった。
しかし、周波数が0.1THz〜3THzのテラヘルツ帯では、1層あたりの厚みはおよそ10μm〜1mmにもなり、素子厚についても場合によっては数mmに達する。そのため、蒸着法やスパッタ法で製造するためには膨大な成膜時間とコストが必要となり、現実的ではなかった。
前記特許文献1・非特許文献2のいずれに示されている方法でも、周期構造体の積層数が多いと次のような問題が生じる。
例えば、特許文献1に示されている方法では、成膜速度が従来に比べて速くなるとはいえ、1時間当たり数μm程度の厚さまでしか成膜できず、また1層あたりの厚みのばらつきを一定に保つためには高度な膜厚制御技術を要するため、積層数が多ければ製造コストが飛躍的に増大し、歩留まりが悪化するという問題がある。
また、非特許文献2に示されている方法では、1層ずつ基板を研磨して貼り合わせていくため、積層数が多くなれば当然に作製難易度が増し、歩留まりが悪化してやはり製造コストが上がってしまうという問題が生じる。
そこで、この発明の目的は、少ない積層数で低コストに製造でき、且つ波長選択性が高い所望の帯域通過特性を有する多重キャビティ型のテラヘルツ帯光学フィルタを得ることにある。
前記課題を解決するために、この発明のテラヘルツ帯光学フィルタは次のように構成する。
光路長が通過中心周波数での1/2波長の整数倍であり、低屈折率媒質からなる第1のキャビティ層を備え、該第1のキャビティ層の両端を、光路長がそれぞれ1/4波長であり、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質および低屈折率媒質の層を1層ずつ積層してなる基本格子で挟み、この基本格子のさらに両端に、光路長が通過中心周波数での1/2波長の整数倍であり、前記第1のキャビティ層に用いる低屈折率媒質より屈折率の高い高屈折率媒質からなる第2・第3のキャビティ層を配置して誘電体多層周期構造体を成すものとする。
前記基本格子層は例えば1対のみとする。
また、前記誘電体多層周期構造体の両端に高屈折率媒質および低屈折率媒質の層を積層した基本格子を更に配置する。
また、前記誘電体多層周期構造体の両端に配置する前記基本格子を、光路長がそれぞれ1/4波長であり、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質の層と低屈折率媒質の層を交互に3層積層したものとする。
前記第1のキャビティ層の光路長を、通過中心周波数での1/2波長の整数倍にし、且つ該整数倍の倍数を通過帯域幅に応じて定める。
前記第1のキャビティ層は例えばスペーサにより設けた空気層とし、該スペーサによる前記空気層部分の厚みを変化させる可動手段を設ける。
上記テラヘルツ帯光学フィルタは、屈折率比が2以上の関係にある2種類以上の誘電体セラミックスの生シートを積層して積層体を構成し、その積層体の同時焼成によって製造する。
この発明のテラヘルツ帯光学フィルタの基本構成は誘電体の多層周期構造であり、キャビティ層を複数設けた多重キャビティ型構造である。光路長が1/4波長である高屈折率媒質の層と低屈折率媒質の層をそれぞれ1層ずつ積層してなる基本格子が配置されたところでは入射してきた電磁波が反射されるので、いわゆるミラーの働きをする。
光路長が1/2波長か、あるいは1/2波長の整数倍となるキャビティ層では、電磁波が共振する条件が満たされるため、フィルタの共振層として作用する。この共振効果は、そのキャビティ層の両端に配置した基本格子層(すなわちミラー層)で高まる。この共振するときの波長が、フィルタの通過帯中心周波数の波長(以下、λoと表す。)である。
この発明によれば、屈折率比が2以上となる高屈折率および低屈折率材料からなる層を1層ずつ積層した基本格子を備えることで光波の干渉効果を高め、且つ第1のキャビティ層の両端に基本格子層を介して高屈折率誘電体媒質のキャビティ層を配置することで、少ない層数でも十分な波長選択性を有する帯域通過型フィルタを実現できる。それによってテラヘルツ帯フィルタの製造プロセスを簡略化することができる。
前記基本格子層は1対をなすようにすることによって、全体の層数を最低限なものとし、且つ矩形状の帯域通過特性(矩形フィルタ特性)を得ることができる。
また、必要に応じ、前記周期積層構造の両端にさらに基本格子を配置することで、阻止帯域における阻止利得がより高いフィルタを得ることができる。
また、上記周期積層構造の両端に配置される基本格子を、高屈折率誘電体材料の層と低屈折率誘電体材料の層を交互に3層積層したものとすることで、リップル量が少ない矩形フィルタ特性を得ることができる。
さらに、第1のキャビティ層の光路長を、通過帯域幅に応じて通過中心周波数での1/2の整数倍に定めることによって、波形の歪みや通過帯の通過強度の変動を招かず、帯域幅のみを定めることができる。
特に第1のキャビティ層はスペーサにより設けた空気層とし、該スペーサによる前記空気層部分の厚みを変化させる可動手段を設ければ、フィルタの使用中に必要に応じて通過帯域幅を一定の範囲で制御することができる機能を持たせることができる。
この発明のテラヘルツ帯光学フィルタの製造方法によれば、屈折率比が2以上の関係にある2種類以上の誘電体セラミックスの生シートを積層して積層体を構成し、その積層体の同時焼成によって上記誘電体多層周期構造体を成すので、非特許文献1や非特許文献2に記載されている工法より製造コストが大幅に低減でき、工業生産性に優れたテラヘルツ帯フィルタを量産することが可能になる。
〈第1の実施形態〉
第1の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタについて図1・図2を基に説明する。
図1は第1の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの断面図である。
このテラヘルツ帯光学フィルタは、低屈折率媒質(低誘電率媒質)4からなり光路長がλo/2の整数倍である第1のキャビティ層11、高屈折率媒質(高誘電率媒質)1からなり光路長がλo/4の層と低屈折率媒質2からなり光路長がλo/4の層を1層ずつ積層してなる基本格子3、それぞれ高屈折率媒質5からなり光路長がλo/2の整数倍である第2のキャビティ層12、第3のキャビティ層13を備えている。
図1に示すように基本格子3は、その高屈折率媒質1が低屈折率媒質4に接するように第1のキャビティ層11の両端に互いに対称に配置している。さらに、この基本格子3の両端部に第2のキャビティ層12、第3のキャビティ層13をそれぞれ配置している。
上記高屈折率媒質1,5は屈折率10.4のTiO2、低屈折率媒質2,4は屈折率3.4のAl2O3である。
図2は、基本格子の組数をMで表し、通過帯中心波長λoを1mm(0.3THz)、第1のキャビティ層の光路長をλoとした場合のフィルタの通過特性を示している。ここでM=1は上記基本格子の組数が1、すなわち図1に示したとおり光路長がλo/4の高屈折率媒質1の層と光路長がλo/4の低屈折率媒質2の層を1層ずつ積層した状態である。また、基本格子の高屈折率媒質1の厚みは24μm、低屈折率媒質2の厚みは73.5μm、第1のキャビティ層11を構成する低屈折率媒質4の厚みは294μm、第2・第3のキャビティ層12,13を構成する高屈折率媒質5の厚みは48μmである。
この構成では、基本格子を構成する高屈折率媒質(TiO2)の層および低屈折率媒質(Al2O3)の層の屈折率比を2以上の3.1とすることで光波の干渉効果を高めている。また、第1のキャビティ層の両端に基本格子を介して高屈折率媒質からなる第2のキャビティ層12および第3のキャビティ13を配置したことによって、全体の層数を抑えつつ、光波の干渉効果を高めることができる。
これにより、通過帯平均透過率が−1.6dB、通過帯中心波長に対する−3dB帯域幅が10.7%で、かつ阻止帯域における阻止利得が−36dBに達する特性が得られる。このことからこの第1の実施形態に示した構造によれば、層数わずか7層でテラヘルツ帯の帯域通過型フィルタとして充分に機能するテラヘルツ帯光学フィルタが得られることが分かる。
また、図2では、上記基本格子の組数Mを変化させたときの特性も併せて示している。M=2は光路長がλo/4の高屈折率媒質の層と光路長がλo/4の低屈折率媒質の層を交互に合計4層積層した状態である。また、M=1.5は高屈折率媒質の層と低屈折率媒質の層を交互に3層積層した状態である。
図2に示したようにM=1では、通過帯域でリップルが小さく高い透過率となり、阻止帯域で透過率が所定値より低くなる矩形型の帯域通過特性が得られる。それ以外の組数(M=1.5以上)では通過帯域付近の透過率変化が鋭くなって矩形型の通過特性が得られない。よって、矩形の帯域通過特性を得るためには基本格子の組数を1とするのが好適である。
なお、図2で示した例は、第1のキャビティ層11の低屈折率媒質4を、基本格子の低屈折率媒質2と同じ材料にした場合について示したが、第1のキャビティ層11の媒質4は基本格子の低屈折率媒質2とは異なる第3の媒質を用いることも可能であり、特に誘電損失の少ない媒質を用いることで通過帯の強度減衰をより抑えることができる。
以上のような構成とすることで、従来作製難易度が極めて高いとされていたテラヘルツ帯光学フィルタを少ない層数で実現することができ、それにより製造プロセスの簡略化を図ることができる。また、層数が少ないことで素子厚を薄くできる効果も生じるので、各種光学系に組み込む上で有利となる。
〈第2の実施形態〉
次に、第2の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタについて図3〜図5を基に説明する。
図3は第2の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの断面図である。このテラヘルツ帯光学フィルタの構成は、第1の実施形態で示したものを基本構成とし、その両端部にさらに別の基本格子6を配置したものである。
図3において、基本格子6は、光路長がそれぞれ1/4波長であり、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質1の層と低屈折率媒質2の層を交互に3層積層したもの(組数M=1.5)である。この例では、第2のキャビティ層12および第3のキャビティ層13が高屈折率媒質5から成るので、この第2のキャビティ層12および第3のキャビティ層13に接する側が低屈折率媒質2となるように、高屈折率媒質1の層を低屈折率媒質2の層で挟んだ構造としている。その他の上記基本構成は第1の実施形態で示したものと同様である。
上記基本格子6の高屈折率媒質1は屈折率10.4のTiO2、低屈折率媒質2は屈折率3.4のAl2O3 である。
図4は図3に示した組数M=1.5の場合において、通過帯中心波長λoを1mm(0.3THz)、第1のキャビティ層の光路長をλoとした場合のフィルタの通過特性を示している。ここで、基本格子の高屈折率媒質1の厚みは24μm、低屈折率媒質2の厚みは73.5μm、第1のキャビティ層11を構成する低屈折率媒質4の厚みは294μm、第2・第3のキャビティ層12,13を構成する高屈折率媒質5の厚みは48μmである。
この構成では、通過帯平均透過率が−1.6dB、中心波長に対する−3dB帯域幅が10.6%で、かつ阻止帯域における阻止利得が−45dBに達する特性が得られている。このように、第1の実施形態で示した周期積層構造の両端にさらに基本格子層を配置することで、阻止帯域における阻止利得がより高いフィルタを得ることができる。第1の実施形態の場合(図2実線)では、阻止利得は−38dBであったが、この第2の実施形態の場合(図4実線)ではこれが−45dBとなって、よりフィルタの波長選択性機能が向上していることが分かる。
また、このような構成にすることで、通過帯域の通過強度を大きく減衰させたり、あるいは波形の歪みを伴ったりせずに阻止帯域における阻止利得を上げることができる。
また、図4では、上記基本格子6の組数Mを変化させたときの特性も併せて示している。ここでM=1は光路長がλo/4の高屈折率媒質1の層と光路長がλo/4の低屈折率媒質2の層を1層ずつ積層した状態、M=2は光路長がλo/4の高屈折率媒質1の層と光路長がλo/4の低屈折率媒質2の層を交互に合計4層積層した状態である。図4に示すとおり、基本構成の両側に配置する基本格子6の組数(M)は、M=1.5とすることで、リップル量が少なく、通過帯域での透過率が高い帯域通過特性が得られるので、基本構成の両側に配置する基本格子6の組数は1.5とするのが好適である。
第2の実施形態では、基本格子を構成する高屈折率媒質の層と低屈折率媒質の層の屈折率比(nH/nL)を3.1としたが、図5はこの屈折率比を変化させた場合の特性について示している。このように、屈折率比(nH/nL)が小さいと阻止帯における阻止利得が低下する。nH/nL=1.5の場合には阻止利得が−15dBと十分な阻止特性が得られない。したがって、本発明が目的とする低層数のフィルタにおいては、十分なフィルタ特性を得るために、屈折率比(nH/nL)は最低限2以上とすることが望ましい。
なお、基本格子を構成する低屈折率媒質2は、その屈折率が小さすぎると十分な干渉効果が発現しないため、屈折率がおよそ2以上になる媒質を用いることが望ましい。
なお、屈折率比(nH/nL)が小さいと阻止帯における阻止利得が低下する傾向を示すことは第1の実施形態で示した基本構成における基本格子についても同様に当てはまる。したがって、第1の実施形態で示した基本構成のフィルタにおいても、十分なフィルタ特性を得るために、屈折率比(nH/nL)は最低限2以上とすることが望ましい。
〈第3の実施形態〉
次に、第3の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタについて図6を基に説明する。
この第3の実施形態は、第1・第2の実施形態で示した構成で第1のキャビティ層の光路長をλo/2の整数倍とすることで通過帯域の幅を変える手法を示すものである。
図6は、第1の実施形態に基づく多重キャビティ型構造において、第1のキャビティ層の光路長をλo/2から3λoまで変化させたときの、通過帯域の−3dB帯域幅の変化を示したものである。
この図6から明らかなように、第1のキャビティ層の光路長をλo/2の整数倍で増やすほど通過帯域幅が狭くなる。この例では、光路長がλo/2のとき中心波長λoに対する帯域幅は約13%であるが、3λoとすると約6%まで帯域幅を狭めることができる。
この作用により、フィルタの通過帯域幅を一定の範囲内で変えることができ、用途に応じた帯域幅を有するフィルタを得ることができる。また、第2・第3のキャビティ層の光路長を変えずに第1のキャビティ層の光路長のみを変えることで、通過帯の通過強度を大きく減衰させたり、あるいは波形の歪みを伴ったりせずに通過帯域幅を変えることが可能になる。
〈第4の実施形態〉
次に、第4の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタについて図7を基に説明する。
この第4の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタは通過帯域幅の可変機能を有するものである。
図7に示すテラヘルツ帯光学フィルタは、空気層9からなり光路長がλo/2の整数倍である第1のキャビティ層11、高屈折率媒質1からなり光路長がλo/4の層と低屈折率媒質2からなり光路長がλo/4の層を1層ずつ積層してなる基本格子3、それぞれ高屈折率媒質5からなり光路長がλo/2の整数倍である第2のキャビティ層12、第3のキャビティ層13を備えている。
第1のキャビティ層11の両端より外側に配置される部分は誘電体セラミックスの積層体で構成し、第1のキャビティ層11を、所定の厚みを有する金属またはプラスチックから成る開口を有するスペーサで構成している。また上記2つのセラミックス積層体はスペーサ部分で可動機構8によって所定間隔を保つように保持している。このスペーサ両端に配置されるセラミックス積層体間の距離(第1のキャビティ層11の光路長)は、通過帯中心波長λoの1/2の整数倍となるようにしている。
具体的には例えば2枚の板でスペーサ7を構成し、その間に可動機構8を設けることで空気層9の厚み(第1のキャビティ層11の光路長)を機械的に変える。この第1のキャビティ層11の光路長を通過帯中心波長λoの1/2の整数倍となる条件で変化させると、第3の実施形態で示したように通過帯域の幅が変化する。
このような構成とすることで、フィルタの使用中に必要に応じて通過帯域の幅を変える機能を備えることができる。
なお、第1のキャビティ層11の光路長を変える手段としては、この他にも例えば圧電体素子を用いて電気的に距離を可変とするような手法を適用することもできる。
〈第5の実施形態〉
次に、第1〜第4の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの製造方法を第5の実施形態として説明する。
このテラヘルツ帯光学フィルタの製造方法は次のとおりである。
(1)まず、第1〜第4の実施形態に係る多重キャビティ型フィルタを構成する上で必要な誘電体材料について、それぞれのセラミックス原料粉をバインダーと混合してボールミルを行った後に、それを所定の厚みを有するセラミックス生シートに成形する。
(2)次に、それらの生シートを、第1〜第4の実施形態に示した多重キャビティ型の構成となるように所定の順序で積層する。このとき、各生シートの厚みと積層シート数を適宜調整することで、各層の厚みが所定の寸法となるように積層する。
(3)このようにして作製した生シートの積層体は、所定サイズの大きさにカットし、これを焼成してセラミックス焼結体とする。
(4)このとき、セラミックスの焼結に伴う収縮率を予め考慮した上で生シートの積層厚を決定することで、焼成後に寸法の狂いがない積層体を得る。
以上の方法により、既に産業化されている誘電体多層基板の生産設備と製造技術をそのまま用いることができる。よって、新たな設備投資が伴わずに、製造コストが低く、工業生産性に優れたテラヘルツ帯フィルタを量産することが可能になる。
第1の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの構成を示す断面図である。 同テラヘルツ帯光学フィルタの通過特性および基本格子3の組数を変化させたときの通過特性の変化を示す図である。 第2の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの構成を示す断面図である。 同テラヘルツ帯光学フィルタの通過特性および基本格子6の組数を変化させたときの通過特性の変化を示す図である。 同テラヘルツ帯光学フィルタの通過特性、および低屈折率媒質の層に対する高屈折率媒質の層の屈折率比(nH/nL)を変化させたときの通過特性の変化を示す図である。 第3の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの第1のキャビティ層の光路長に対する通過帯域幅の関係を示す図である。 第4の実施形態に係るテラヘルツ帯光学フィルタの構成を示す断面図である。
符号の説明
1,5−高屈折率媒質
2,4−低屈折率媒質
3,6−基本格子
7−スペーサ
8−可動機構
9−空気層
11−第1のキャビティ層
12−第2のキャビティ層
13−第3のキャビティ層

Claims (7)

  1. テラヘルツ帯で帯域通過特性を有する誘電体多層周期構造を備えたフィルタであって、
    光路長が通過中心周波数での1/2波長の整数倍であり、低屈折率媒質からなる第1のキャビティ層を備え、該第1のキャビティ層の両端を、光路長がそれぞれ1/4波長であり、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質および低屈折率媒質の層を1層ずつ積層してなる基本格子で挟み、この基本格子のさらに両端に、光路長が通過中心周波数での1/2波長の整数倍であり、前記第1のキャビティ層に用いる低屈折率媒質より屈折率の高い高屈折率媒質からなる第2・第3のキャビティ層を配置して誘電体多層周期構造体を成したことを特徴とするテラヘルツ帯光学フィルタ。
  2. 前記基本格子層は1対をなす請求項1に記載のテラヘルツ帯光学フィルタ。
  3. 前記誘電体多層周期構造体の両端に高屈折率媒質および低屈折率媒質の層を積層した基本格子を更に配置した請求項1または2に記載のテラヘルツ帯光学フィルタ。
  4. 前記誘電体多層周期構造体の両端に配置する前記基本格子を、光路長がそれぞれ1/4波長であり、屈折率比が2以上となる高屈折率媒質の層と低屈折率媒質の層を交互に3層積層したものとした請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学フィルタ。
  5. 前記第1のキャビティ層の光路長を、通過中心周波数での1/2波長の整数倍にし、且つ該整数倍の倍数を通過帯域幅に応じて定めた請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学フィルタ。
  6. 前記第1のキャビティ層はスペーサにより設けた空気層とし、該スペーサによる前記空気層部分の厚みを変化させる可動手段を設けた請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学フィルタ。
  7. 屈折率比が2以上の関係にある2種類以上の誘電体セラミックスの生シートを積層して積層体を構成し、その積層体の同時焼成によって請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の誘電体多層周期構造体を成すことを特徴とするテラヘルツ帯光学フィルタの製造方法。
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