JP5303041B2 - 層状掃気2ストロークエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、層状掃気2ストロークエンジンに関する。特に、空気による先行掃気が行われる空気先導式の層状掃気2ストロークエンジンに関する。
特開2001−254624号公報(文献1)に、空気先導式の層状掃気2ストロークエンジンが開示されている。この2ストロークエンジンは、ピストンと、ピストンが往復動可能に収容されているシリンダと、ピストンにコンロッドを介して接続されているクランクシャフトと、クランクシャフトが回転可能に収容されているクランクケースを備えている。また、この2ストロークエンジンには、クランクケース内に混合気(燃料と空気の混合気)を導入する混合気通路と、クランクケース内に開口する掃気流入口からシリンダ内に開口する掃気ポートまで伸びている掃気通路と、掃気通路の中間位置に接続されている空気通路が形成されている。
この2ストロークエンジンでは、ピストンの上昇行程時に、クランクケースに発生した負圧が掃気流入口を経て掃気通路に作用し、空気通路からの空気が掃気通路に導入される。掃気通路に導入された空気は、ピストンの下降行程時に、混合気に先立ってシリンダ内に導入される。シリンダ内から燃焼ガスが掃気される際に、燃焼ガスと混合気との間に空気層が形成されることから、混合気の吹き抜けが防止され、未燃焼ガスの排出を抑制することができる。
国際公開第98/57053号パンフレット(文献2)に、他の空気先導式の層状掃気2ストロークエンジンが開示されている。この2ストロークエンジンでは、ピストンの上昇行程時に、空気通路がピストンを介して掃気ポートに接続される。それにより、掃気通路への空気の充填が、掃気ポートから行われる。この構成によると、掃気通路に空気を充填する際に、掃気ポートの近傍に混合気が残存することを防止することができる。
本発明は、層状掃気2ストロークエンジンにおいて、未燃焼ガスの排出量を低減する技術を提供する。
本発明によって具現化される層状掃気2ストロークエンジンは、ピストンと、ピストンが往復動可能に収容されているシリンダと、ピストンにコンロッドを介して接続されているクランクシャフトと、クランクシャフトが回転可能に収容されているクランクケースと、クランクケース内に混合気を導入する混合気通路と、クランクケース内に開口する掃気流入口からシリンダ内に開口する掃気ポートまで伸びている掃気通路と、クランクケースに固定されており、クランクケースとの間に掃気通路の少なくとも一部が形成されているクランクケースカバーを備えている。クランクケースには、クランクケースカバーに対向する平坦面が形成されており、その平坦面は、クランクシャフトの軸線に平行であるとともに、シリンダの軸線に対して0°から30°のいずれかの角度を成している。特に、その平坦面がシリンダの軸線に対して成す角度が0°よりも大きく、当該平坦面が下方に向けて傾けられていることが好ましい。
ここで、本明細書では、便宜上、シリンダの軸線に平行であって反クランクケースに向かう方向を上方と表現し、シリンダの軸線に平行であってクランクケースに向かう方向を下方と表現することがある。従って、ピストンが反クランクケース側へ移動する行程を上昇行程と表現し、ピストンがクランクケース側へ移動する行程を下降行程と表現することがある。
上記した構成によると、エンジンを大型化することなく、長く容積の大きい掃気通路を形成することができる。特に、前記角度を30°に近く設計するほど、掃気通路をシリンダの軸線方向において長くすることができる。この場合、掃気通路では、重量差によって、濃い混合気が下方(クランクケース側)に位置し、薄い燃料が上方(シリンダ側)に位置することになる。シリンダへは薄い燃料が先に導入されることにより、未燃焼ガスの排出量を有意に低減することができる。
掃気通路では、空気通路から導入された空気の多くが、掃気流入口ではなく、掃気ポートに向って流れることが好ましい。それにより、掃気通路において空気の流れに乱れが生じることを防ぎ、導入した空気に混合気が混ざり合うことを効果的に防止することできる。この点に関して、2ストロークエンジンは、下記する特徴の少なくとも一つを有することが好ましい。
第1に、掃気通路では、空気通路の接続位置から前記掃気ポートへ向う流れに対する抵抗が、前記空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れに対する抵抗よりも、小さいことが好ましい。この構成によると、空気通路から掃気通路へ導入された空気は、抵抗の少ない掃気ポートに向って、より多く流れることができる。
第2に、掃気通路では、空気通路の接続位置から掃気流入口へ向う流れに対する抵抗が、掃気流入口から空気通路の接続位置へ向う流れに対する抵抗よりも、大きいことが好ましい。この構成によると、掃気通路に導入された空気が掃気流入口へ向って流れることを抑制できる一方で、その後にクランクケースから掃気通路に流れ込む混合気をシリンダへスムーズに送り込むことができる。
第3に、掃気通路では、負圧の発生したクランクケースが掃気ポートを経て掃気通路に接続されている間、空気通路の接続位置から掃気流入口までの区間が実質的に閉鎖されることが好ましい。この構成によると、空気通路から掃気通路へ導入された空気は、掃気流入口へ向うことなく、掃気ポートに向ってスムーズに流れることができる。
第4に、掃気通路では、空気通路の接続位置から掃気流入口に向って流れる空気の量が、空気通路から掃気通路に導入された空気の全量に対して、10パーセント以下であることが好ましい。この構成によると、掃気通路において空気の流れに生じる乱れを十分に抑制でき、掃気通路に導入された空気に混合気が混ざり合うことを有意に抑制できることが確認されている。
上記した特徴のそれぞれは、様々な構造によって具体化することができ、特定の構造に限定されるものではない。ただし、最も好ましい具体例の一つとして、掃気通路には、掃気流入口側への流れを禁止する第1逆止弁が、掃気流入口から空気通路の接続位置までの区間に設けられていることが好ましい。この構成によると、上記した全ての特徴を具備する2サイクルエンジンを具現化することができる。加えて、空気通路から掃気通路に導入された空気のほぼ全てが掃気ポートに向って流れ、掃気通路において空気の流れに反転が生じないことから、理想的な層状掃気を実現することができる。
掃気通路では、空気通路の接続位置から掃気ポートまでの区間へ、多く空気を導入することが好ましい。そのことから、掃気通路は、空気通路の接続位置から掃気ポートまでの区間の長さが、空気通路の接続位置から掃気通路の掃気流入口までの区間の長さよりも、長いことが好ましい。あるいは、空気通路の接続位置から掃気ポートまでの区間の容積が、空気通路の接続位置から掃気流入口までの区間の容積よりも、大きいことが好ましい。
本発明によると、2ストロークエンジンにおいて、未燃焼ガスの排出量を低減することができる。それにより、2ストロークエンジンの環境性能を顕著に向上させることができる。
実施例のエンジンの縦断面図。
図1中のII−II線断面図
ピストンの上昇行程の終期の状態を示す図。
ピストンが上死点に位置する状態を示す図。
ピストンの下降行程の中期の状態を示す図。
ピストンの下降行程の終期の状態を示す図。
ピストンの上昇行程の中期の状態を示す図。
本明細書で開示される実施例の好適な特徴を列記する。
(特徴1) 掃気ポートの少なくとも一部は、ピストンの上昇行程の一部の期間において、ピストンの下方で開放される。それにより、負圧の発生したクランクケースに、掃気ポートを経て掃気通路が接続される。ただし、負圧の発生したクランクケースに掃気ポートを経て掃気通路を接続する構成は、実施例で採用された上記の構成に限定されない。例えば、ピストン側面に貫通孔を形成しておき、ピストンの上昇行程の一部の期間において、掃気ポートがピストン側面の貫通孔に連通する構成としてもよい。あるいは、ピストン側面にその下端へ連なる溝を形成しておき、ピストンの上昇行程の一部の期間において、掃気ポートがピストン側面の溝に連通する構成としてもよい。なお、ピストン側面に、上記した貫通孔と溝の両者を形成しておくこともできる。
(特徴2) 掃気通路では、掃気流入口から前記空気通路の接続位置までの区間に、第1リード弁が設けられている。第1リードバルブは、逆止弁の一種であり、掃気流入口に向う流れを禁止する向きに取り付けられている。なお、第1リードバルブは、他の種類の逆止弁に変更することもできる。
(特徴3) 掃気通路では、第1リードバルブが設けられていることにより、空気通路の接続位置から掃気ポートへ向う流れに対する抵抗が、空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れに対する抵抗よりも、小さくなっている。それにより、空気通路から導入された空気のほとんどが、掃気流入口ではなく、掃気ポートに向って流れることができる。なお、本実施例の第1リードバルブは、空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れに対して、掃気通路を完全に閉鎖することができるが、第1リードバルブは、空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れに対して、掃気通路を部分的に閉鎖するものであってもよい。
(特徴4) 掃気通路では、第1リードバルブが設けられていることにより、空気通路の接続位置から掃気流入口へ向う流れに対する抵抗が、掃気流入口から空気通路の接続位置へ向う流れに対する抵抗よりも、大きくなっている。それにより、掃気通路に導入された空気が掃気流入口へ向って流れることを抑制できる一方で、その後にクランクケースから掃気通路に流れ込む混合気をシリンダ内へスムーズに送り込むことができる。なお、本実施例の第1リードバルブは、空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れを完全に禁止することができるが、第1リードバルブは、空気通路の接続位置から前記掃気流入口へ向う流れを部分的に禁止するものであってもよい。
(特徴5) 掃気通路では、第1リードバルブが設けられていることにより、掃気通路が掃気ポートを経て負圧の発生したクランクケースに接続されている間、空気通路の接続位置から掃気流入口までの区間が実質的に閉鎖される。それにより、空気通路から掃気通路へ導入された空気は、掃気流入口へ向うことなく、掃気ポートに向ってスムーズに流れることができる。なお、本実施例のエンジンでは、第1リードバルブに代えて、ピストンやクランクシャフトのサイクルに連動して掃気通路を開閉する可動バルブを設けてもよい。あるいは、クランクシャフトのカウンタウエイトに、掃気通路の掃気流入口に対向するバルブ面を設けることで、ピストンやクランクシャフトのサイクルに連動して、掃気通路の掃気流入口を閉塞することもできる。バルブ面を形成する角度範囲を調整することで、掃気通路が掃気ポートを経て負圧の発生したクランクケースに接続されている間、空気通路の接続位置から掃気ポートまでの区間を実質的に閉鎖することができる。
(特徴6) 掃気通路では、第1リードバルブが設けられていることにより、空気通路から掃気通路へ導入された空気のほぼ全量が、掃気ポートに向って流れる。それにより、掃気通路において空気の流れに反転が生じないことから、理想的な層状掃気を実現することができる。ただし、導入された空気のほぼ全量が掃気ポートに向って流れなくとも、掃気流入口に向って流れる空気の量が、導入された空気の全量に対して10パーセント以下に抑制されていれば、掃気通路において空気の流れに生じる乱れを十分に抑制することができる。
(特徴7) ピストンの上昇行程の初期では、掃気ポートに対向するピストン側面の上端が、掃気ポートの上端よりも下方に位置するとともに、掃気ポートに対向するピストン側面の下端が、掃気ポートの下端よりも下方に位置する。即ち、ピストンの上昇行程の初期では、掃気ポートがピストンよりも上方で開放され、掃気通路が掃気ポートを経てシリンダに接続される。ピストンの上昇行程の中期では、掃気ポートに対向するピストン側面の上端が、掃気ポートの上端よりも上方に位置するとともに、掃気ポートに対向するピストン側面の下端が、掃気ポートの下端よりも下方に位置する。即ち、ピストンの上昇行程の中期では、掃気ポートがピストンの側面によって閉鎖される。ピストンの上昇行程の終期では、掃気ポートに対向するピストン側面の上端が、掃気ポートの上端よりも上方に位置するとともに、掃気ポートに対向するピストン側面の下端が、掃気ポートの下端よりも上方に位置する。即ち、ピストンの上昇行程の終期では、掃気ポートがピストンよりも下方で開放され、掃気通路が掃気ポートを経てクランクケースに接続される。
(特徴8) 掃気ポートに対向するピストン側面の下端には、切欠部が設けられている。そして、その切欠部と、シリンダ内に開口する掃気ポートは、クランクケースの軸線に対して、クランクシャフトの軸線が伸びる方位に位置していることが好ましい。
(特徴9) 空気通路には、反掃気通路側への流れを禁止する第2逆止弁が設けられている。この第2逆止弁により、掃気通路から空気や混合気が空気通路へ逆流することが防止される。掃気通路の空気や混合気を、シリンダ内へスムーズに送り込むことができる。
(特徴10) シリンダ内には、複数の掃気ポートが設けられている。そして、掃気通路は、空気通路の接続位置よりも掃気ポート側の区間で、各々の掃気ポートに向かって分岐している。即ち、掃気通路では、掃気ポートに向かって分岐している分岐位置よりも上流側の位置に、空気通路が接続されている。この構成によれば、分岐した掃気通路のそれぞれに、空気通路を接続する必要がない。
(特徴11) 掃気通路の掃気流入口から空気通路の接続位置までの区間と、空気通路と、混合気通路は、シリンダの軸線に対して同じ方位に設けられている。この構成によると、エンジンを小型に構成することができる。また、空気通路や混合気通路を短くすることでき、各通路における流動抵抗を低減することができる。
(特徴12) 空気通路は、混合気通路の下方において、掃気通路に接続されている。即ち、空気通路は、シリンダの軸線方向に関して、混合気通路の下方に設けられており、空気通路の掃気通路への接続位置についても、混合気通路の下方に設けられている。さらに、空気通路と混合気通路は、実質的に平行に設けられている。多くの2ストロークエンジンでは、シリンダの周囲に空間的余裕がない一方で、クランクケースの周囲には空間的余裕を有するものが多い。そのことから、空気通路を混合気通路の下方に配置し、空気通路を混合気通路の下方で掃気通路に接続すれば、デッドスペースを有効に利用することができ、エンジンを小型化することが可能となる。また、空気通路を混合気通路の下方で空気通路に接続することにより、空気通路の接続位置から掃気ポートまでの掃気通路の区間を長くすることができ、掃気通路に多くの空気を導入することが可能となる。
(特徴13) エンジンは、クランクケースに固定されており、クランクケースとの間に掃気通路の少なくとも一部が形成されているクランクケースカバーを備えている。クランクケースには、クランクケースカバーに対向する平坦面が形成されている。その平坦面は、クランクシャフトの軸線に平行であるとともに、シリンダの軸線に対して0°から30°のいずれかの角度を成している。この構成によると、エンジンを大型化することなく、長く容積の大きい掃気通路を形成することができる。特に、前記角度を30°に近く設計するほど、掃気通路をシリンダの軸線方向において長くすることができる。この場合、掃気通路では、重量差によって、濃い混合気が下方(クランクケース側)に位置し、薄い燃料が上方(シリンダ側)に位置することになる。シリンダへは薄い燃料が先に導入されることにより、未燃焼ガスの排出量を有意に低減することができる。
(特徴14) クランクケースに形成された平坦面には、掃気通路に位置するとともに、掃気流入口に向かう流れを禁止する第1リードバルブが設けられている。そして、その平坦面は、第1リードバルブが当接/離反するシート面となっている。クランクケースが平坦面を有していると、その平坦面に第1リードバルブを容易に設けることができる。また、第1リードバルブを大型化することも可能であり、それによって混合気の流動抵抗を低減することもできる。なお、空気通路の存在にかかわらず、掃気通路に第1リードバルブを設けることは有効である。掃気通路に第1リードバルブを設けると、ピストンの上昇行程時に、クランクケースと掃気通路を互いに遮断することができる。それにより、クランクケースに強い負圧を発生させることができ(即ち、クランクケースの圧力が大きく低下する)、クランクケースに多くの混合気を導入することができる。ここで、第1リードバルブは、掃気流入口に向かう流れを禁止する第1逆止弁の一例である。第1リードバルブは、他の種類の逆止弁(好ましくは平坦面をシート面とするもの)に変更することもできる。
(特徴15) クランクケースに形成された平坦面には、掃気流入口から伸びる掃気通路の一部と、掃気ポートから伸びる掃気通路の一部が、それぞれ開口していることが好ましい。この場合、その掃気流入口から伸びる掃気通路の一部と、その掃気ポートから伸びる掃気通路の一部が、クランクケースカバーによって互いに接続されていることが好ましい。
(特徴16) クランクケースカバーには、空気通路の少なくとも一部がさらに形成されていることが好ましい。この場合、クランクケースカバーの掃気通路に面している内面と空気通路に面している内面との境界位置に、クランクケースからの混合気を掃気ポートへ連なる掃気通路に向けて案内する湾曲面を有するガイド突起が設けられていることが好ましい。
(特徴17) エンジンは、クランクケースカバーに固定され、クランクケースカバーとの間に空気通路の少なくとも一部が形成されている空気マニホールドをさらに備えることが好ましい。この場合、空気マニホールドには、空気クランクケースカバーに対向する平坦面が形成されていることが好ましい。その平坦面は、クランクケースに形成された平坦面に対して、80°から130°のいずれかの角度を成していることが好ましい。
(特徴18) 空気マニホールドに形成された平坦面には、空気通路に位置するとともに、反掃気通路側への流れを禁止する第2逆止弁が設けられていることが好ましい。この場合、空気マニホールドに形成された平坦面は、第2逆止弁が当接/離反するシート面であることが好ましい。
本発明を実施した実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例の層状掃気2ストロークエンジン10(以下、単にエンジン10と称す)の縦断面図を示している。図2、図1中のII−II線断面図を示している。本実施例のエンジン10は、単気筒型の小型エンジンであり、例えば動力工具や作業機に搭載可能なエンジンである。
図1に示すように、エンジン10は、エンジン本体20と、ピストン32と、コネクティングロッド80と、クランクシャフト62を備えている。エンジン本体20は、主に、シリンダ24と、クランクケース60と、クランクケースカバー50と、空気マニホールド42を備えている。クランクケース60は、シリンダ24の下部に固定されている。クランクケースカバー50は、クランクケース60の側部に固定されている。空気マニホールド42は、クランクケースカバー50の上部に固定されている。
シリンダ24は、ピストン32を収容している。ピストン32は、シリンダ24の軸線Xに沿って、往復動可能となっている。シリンダ24内には、ピストン32の上方に燃焼室26が形成されている。燃焼室26には、点火プラグ28が配設されている。
クランクケース60は、クランクシャフト62を収容している。クランクシャフト62は、クランクケース60によって回転可能に支持されている。クランクシャフト62には、コネクティングロッド80及びピストンピン30を介して、ピストン32が接続されている。それにより、ピストン32がシリンダ24内で往復運動すると、クランクシャフト62がクランクケース60内で回転運動する。なお、図1では、コネクティングロッド80の一部が図示省略されている。クランクシャフト62は、エンジン10の出力軸であり、クランクシャフト62の端部は、クランクケース60の外まで伸びている。
エンジン本体20には、混合気通路36、掃気通路66、空気通路44、排気通路70が形成されている。混合気通路36、排気通路70は、シリンダ24に形成されている。掃気通路66は、クランクケース60、クランクケースカバー50、シリンダ24によって形成されている。空気通路44は、クランクケースカバー50と空気マニホールド42によって形成されている。
シリンダ24の内面24aには、吸気ポート34と複数の掃気ポート68と排気ポート72が形成されている。吸気ポート34と複数の掃気ポート68と排気ポート72は、シリンダ24内を往復動するピストン32によって開閉される。吸気ポート34と掃気ポート68は、シリンダ24の軸線Xに対して、クランクシャフト62の軸線Yと直交する方向に形成されており、互いに対向している。複数の掃気ポート68は、シリンダ24の軸線Xに対して、クランクシャフト62の軸線Yと直交する方向に形成されている。なお、図1では2つの掃気ポート68が図示されているが、実際には、その2つの掃気ポート68に対向する位置に、図示されない2つの掃気ポートがさらに形成されている。即ち、シリンダ24の内面24aには、合計4つの掃気ポートが形成されている。
吸気ポート34には、混合気通路36が接続されている。混合気通路36には、外部から導入した空気に燃料を混合するキャブレタ38が設けられている。キャブレタ38で生成された可燃性の混合気は、混合気通路36を通じて、吸気ポート34に供給される。吸気ポート34は、ピストン32の上昇行程(反クランクケース60側への移動行程)の終期から下降行程(クランクケース60側への移動行程)の初期に亘って、ピストン32よりも下方で開放される。吸気ポート34がピストン32の下方で開放されている間、クランクケース60内に発生する負圧によって、混合気通路36からの混合気がクランクケース60内へ導入される。
掃気ポート68には、掃気通路66が接続されている。掃気通路66は、クランクケース60内に開口する掃気流入口56から、シリンダ24に開口する掃気ポート68まで伸びている。図1、図2に示すように、掃気通路66は、その経路上の分岐位置66bにおいて、複数の掃気ポート68に向かって分岐している。掃気ポート68は、ピストン32の下降行程の終期から上昇行程の初期に亘って、ピストン32よりも上方で開放される。掃気ポート68がピストン32の上方で開放されている間、クランクケース60内に発生する正圧によって、クランクケース60内の混合気が掃気通路66を通じてシリンダ24内へ送り出される。
掃気ポート68は、さらに、ピストン32の上昇行程の終期から下降行程の初期に亘って、ピストン32よりも下方で開放される。掃気ポート68がピストン32の下方で開放されている間、負圧の発生しているクランクケース60が、掃気ポート68を経て掃気通路66に接続される。掃気通路66には、その経路上に、外部から空気を導入する空気通路44が接続されている。
掃気通路66には、掃気流入口56から空気通路44の接続位置66aまでの区間に、第1リードバルブ54が設けられている。第1リードバルブ54は、掃気流入口56に向う流れを禁止する逆止弁であり、掃気ポート68に向う流れのみを許容する。従って、掃気ポート68がピストン32の下方で開放されている間、空気通路44から掃気通路66に空気が導入され、導入された空気が掃気ポート68に向かって流れる。それにより、掃気通路66のうち、空気通路44の接続位置66aから掃気ポート68までの区間が、空気によって充満される。詳しくは後述するが、掃気通路66に導入された空気は、混合気に先立ってシリンダ24内に導入され、シリンダ24内の燃焼ガス(燃焼後のガス)を掃気する。なお、第1リードバルブ54は、掃気流入口56に向う流れを完全に禁止するものでなくてもよく、掃気流入口56に向う流れに対して有意な抵抗を付与するものであればよい。それにより、掃気通路66に導入された空気の多くを、掃気ポート68に向かって流すことができる。
排気ポート72には、排気通路70が接続されている。排気通路70には、マフラ74が設けられている。排気ポート72は、ピストン32の下降行程の終期からピストン32の上昇行程の初期に亘って、ピストン32よりも上方で開放される。排気ポート72がピストン32の上方で開放されている間、シリンダ24内の燃焼ガスが、排気ポート72を経て排気通路70へと排出される。燃焼ガスの排出は、燃焼ガスの圧力で行われるとともに、掃気ポート68から流入する空気及び混合気による掃気によって行われる。
以上、本実施例のエンジン10の全体構成について説明した。次に、エンジン10の各部の詳細な構成について説明する。
掃気通路66に空気通路44が接続されている接続位置66aは、シリンダ24側の掃気ポート68よりも、クランクケース60側の掃気流入口56の近くに設けられている。即ち、掃気通路66では、掃気ポート68から空気通路44の接続位置66aまでの区間の長さが、掃気通路66の掃気流入口56から空気通路44の接続位置66aまでの区間の長さよりも、長くなっている。また、掃気ポート68から空気通路44の接続位置66aまでの区間の容積は、掃気通路66の掃気流入口56から空気通路44の接続位置66aまでの区間の容積よりも、大きくなっている。それにより、空気通路44からの空気を掃気通路66に充填する際に、掃気通路66内に多くの空気を充填できるようになっている。本実施例のエンジン10では、空気通路44の接続位置66aを掃気ポート68から離れた位置に設けるほど、掃気通路66内により多くの空気を充填することができる。
掃気通路66では、空気通路44の接続位置66aが、掃気通路66の分岐位置66bよりも、掃気流入口56側(クランクケース60側)に設けられている。即ち、掃気通路66の分岐位置66bよりも上流側で、空気通路44から空気が供給されるように構成されている。この構成によると、分岐した掃気通路66のそれぞれに、単一の空気通路44によって空気を供給することができる。このように、分岐位置66bよりも上流側で空気を供給することによって、分岐した掃気通路66のそれぞれに空気通路44を接続する必要がない。
ピストン32の下端32bには、ピストン32の軽量化のために、切欠部33が設けられている(即ち、ピストンスカートの部分が短縮されている)。切欠部33は、クランクシャフト62の軸線Yと平行な方向に設けられており、掃気ポート68が形成されている方向と一致している。このように、シリンダ24内の掃気ポート68を形成する位置を、ピストン32に切欠部33を形成する位置に対応させることで、掃気ポート68を下方に向けて大きく拡大することなく、掃気ポート68をピストン32よりも下方で開口させることができる。
空気通路44には、第2リードバルブ48と、空気調節バルブ40が設けられている。第2リードバルブ48は、反掃気通路66側への流れを禁止する逆止弁であり、掃気通路66へ向かう流れのみを許容する。第2リードバルブ48によって、掃気通路66内の空気や混合気が、空気通路44を逆流することが禁止される。空気調節バルブ40は、空気通路44の開度を調節し、空気通路44を流れる空気の流量を調節する。空気調節バルブ40は、キャブレタ38の混合気調節バルブ38aに接続されており、混合気調節バルブ38aと連動するように構成されている。
掃気通路66の掃気流入口56から空気通路44の接続位置66aまでの区間と、空気通路44と、混合気通路36は、シリンダ24の軸線Xに対して、同じ方位に設けられている。空気通路44と混合気通路36は、略平行に設けられている。また、空気通路44は、シリンダ24の軸線Xに平行な方向(軸線方向)に関して、混合気通路36の下方に設けられているとともに、混合気通路36の下方で掃気通路66に接続されている。混合気通路36の下方には、混合気通路36の上方に比して、大きな空間的余裕が存在する。従って、空気通路44を混合気通路36の下方に配置し、空気通路44を混合気通路36の下方で掃気通路66に接続することで、デッドスペースを有効に利用することができ、エンジン10を小型化することが可能となる。エンジン10を小型化することで、エンジン10をハンドヘルドタイプの動力工具や作業機(例えばチェーンソーや刈払機)に搭載した場合に、その動力工具や作業機の操作性を顕著に向上することができる。
図1に示すように、クランクケース60には、クランクケースカバー50に対向する平坦面58が形成されている。クランクケース60の平坦面58は、クランクシャフト62の軸線Yに対して平行であるとともに、シリンダ24の軸線Xに対して略18°を成すように、下方に傾けられている。ここで、平坦面58がシリンダ24の軸線Xに対して成す角度θは、必ずしも18°である必要はない。ただし、平坦面58がシリンダ24の軸線Xに対して成す角度θは、0°から30°のいずれかの角度であることが好ましい。
クランクケース60の平坦面58には、掃気流入口56から伸びる掃気通路66の上流部と、掃気ポート68へと伸びる掃気通路66の下流部が、それぞれ開口している。そして、掃気流入口56から伸びる掃気通路66の上流部と、掃気ポート68へと伸びる掃気通路66の下流部が、平坦面58に対向するクランクケースカバー50によって互いに接続されている。
クランクケース60の平坦面58には、先に説明した第1リードバルブ54が固定されている。また、クランクケース60の平坦面58は、第1リードバルブ54が当接/離間するシート面となっている。第1リードバルブ54は、クランクケース60の平坦面58に当接/離間することによって、掃気通路66を閉鎖/開放する。
クランクケースカバー50には、掃気通路66の一部に加えて、空気通路44の一部が形成されている。そして、クランクケースカバー50の掃気通路66に面している内面50aと空気通路44に面している内面50bとの境界位置には、ガイド突起52が設けられている。ガイド突起52には、掃気流入口56(クランクケース60)からの混合気を、掃気通路66の下流部へ案内するガイド面52aが形成されている。ガイド面52aは、掃気通路66の下流部に向けて湾曲している。
空気マニホールド42には、クランクケースカバー50に対向する平坦面46が形成されている。空気マニホールド42の平坦面46は、クランクシャフト62の軸線Yに対して平行であるとともに、クランクケース60の平坦面58に対して略105°を成している。ここで、空気マニホールド42の平坦面46とクランクケース60の平坦面58が成す角度は、必ずしも105°である必要はない。ただし、2つの平坦面46、58が成す角度は、80°から130°のいずれかの角度であることが好ましい。
空気マニホールド42の平坦面46には、先に説明した第2リードバルブ48が着脱可能に固定されている。また、空気マニホールド42の平坦面46は、第2リードバルブ48が当接/離間するシート面となっている。第2リードバルブ48は、空気マニホールド42の平坦面46に当接/離間することによって、空気通路44を閉鎖/開放する。
次に、図3から図7を参照し、エンジン10の1サイクルにおける動作を説明する。エンジン10は、2ストロークエンジンであり、ピストン32の上昇行程及び下降行程によって1サイクルの動作が行われる。図3から図7において、黒丸印(●)は混合気を示しており、白丸印(○)は空気を示しており、ばつ印(×)は燃焼ガスを示している。
図3は、ピストン32の上昇行程の終期の状態を示している。ピストン32の上昇行程の終期において、排気ポート72は、ピストン32によって閉鎖されており、吸気ポート34は、ピストン32の下方において開放されている。また、掃気ポート68は、ピストン32の下方において開放されている。即ち、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の上端32aは、掃気ポート68の上端68aよりも上方に位置しており、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の下端32b(即ち、ピストン32の切欠部33における下端32b)は、掃気ポート68の下端68bよりも上方に位置している。
ピストン32の上昇行程の終期では、ピストン32の上方に位置する燃焼室26において、先のサイクルで導入された混合気の圧縮が行われる。一方、ピストン32の下方に位置するクランクケース60内では、ピストン32の上昇に伴って強い負圧が発生している。負圧の発生したクランクケース60内には、吸気ポート34を経て、混合気通路36が接続された状態となっている。それにより、ピストン32の下方に位置するクランクケース60内に、吸気ポート34から混合気が流入する。
また、ピストン32の上昇行程の終期では、負圧の発生したクランクケース60に、掃気ポート68を経て、掃気通路66が接続されている。それにより、クランクケース60内に発生している負圧が、掃気ポート68を経て掃気通路66に作用し、空気通路44から掃気通路66に空気が流れ込む。このとき、掃気通路66に導入された空気は、掃気通路66内を掃気ポート68に向かって流れていく。なお、クランクケース60内に負圧が発生している間、第1リードバルブ54は閉じた状態となり、掃気通路66は完全に閉鎖されている。従って、掃気通路66に導入された空気が、掃気流入口56に向かって流れることは禁止される。その結果、図3に示すように、掃気通路66のうち、空気通路44の接続位置66aから掃気ポート68までの区間が、空気によって充満される。
次に、図4は、ピストン32が上死点に位置する状態を示している。ピストン32が上死点に位置する時点において、排気ポート72は、ピストン32によって閉鎖されており、吸気ポート34は、ピストン32の下方において開放されている。また、掃気ポート68は、ピストン32の下方において開放されている。即ち、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の上端32aは、掃気ポート68の上端68aよりも上方に位置しており、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の下端32bは、掃気ポート68の下端68bよりも上方に位置している。
ピストン32が上死点に達した時点では、混合気の圧縮、クランクケース60への混合気の導入、及び掃気通路66への空気の導入がほぼ完了している。この状態から、点火プラグ28による混合気への点火が行われる。混合気が燃焼した燃焼ガスは、急速に膨張し、ピストン32を下方に押し下げる。ピストン32は、下降行程に移行する。
次に、図5は、ピストン32の下降行程の中期の状態を示している。ピストン32の下降行程の中期において、排気ポート72は、ピストン32の上方において開放されており、吸気ポート34は、ピストン32によって閉鎖されている。また、掃気ポート68は、ピストン32によって閉鎖されている。即ち、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の上端32aは、掃気ポート68の上端68aよりも上方に位置しており、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の下端32bは、掃気ポート68の下端68bよりも下方に位置している。
ピストン32の下降行程の初期から中期に亘って、ピストン32の上方に位置する燃焼室26では、開放された排気ポート72から燃焼ガスの排出が行われる。一方、ピストン32の下方に位置するクランクケース60内では、ピストン32の下降に伴って正圧が発生する。それにより、クランクケース60内の混合気が、掃気流入口56を経て掃気通路66へ流れ込む。掃気通路66に流入した混合気は、掃気通路66内を掃気ポート68に向かって流れる。この掃気通路66内における混合気の流れ方向は、先の行程で掃気通路66に導入された空気の流れ方向と一致している。従って、掃気通路66に流入した混合気が、掃気通路66内の空気と混ざり合うことが防止される。その結果、掃気通路66内には、掃気ポート68側に空気層が形成され、掃気流入口56側に混合気層が形成される。
次に、図6は、ピストン32の下降行程の終期の状態を示している。ピストン32の下降行程の終期において、排気ポート72は、ピストン32の上方において開放されており、吸気ポート34は、ピストン32によって閉鎖されている。また、掃気ポート68は、ピストン32の上方において開放されている。即ち、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の上端32aは、掃気ポート68の上端68aよりも下方に位置しており、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の下端32bは、掃気ポート68の下端68bよりも下方に位置している。
ピストン32の下降行程の終期から上昇行程の初期に亘って、ピストン32の上方に位置する燃焼室26では、掃気通路66内に充填された空気及び混合気によって、燃焼ガスの掃気が行われる。先ず、掃気通路66内に充填されていた空気が、掃気ポート68から、燃焼室26内に噴出する。それにより、燃焼室26内の燃焼ガスが、開放された排気ポート72から排出される。次いで、掃気通路66及びクランクケース60内の混合気が、掃気ポート68から燃焼室26に噴出する。それにより、燃焼室26内の燃焼ガス及び空気が、開放された排気ポート72から排出される。
次に、図7は、ピストン32の上昇行程の中期の状態を示している。ピストン32の下降行程の中期において、排気ポート72は、ピストン32の上方において開放されており、吸気ポート34は、ピストン32によって閉鎖されている。また、掃気ポート68は、ピストン32によって閉鎖されている。即ち、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の上端32aは、掃気ポート68の上端68aよりも上方に位置しており、掃気ポート68に対向するピストン32の側面の下端32bは、掃気ポート68の下端68bよりも下方に位置している。ピストン32の上昇行程の中期では、ピストン32の上昇に伴って、シリンダ24内に残存する空気が、開放された排気ポート72から排出される。その後、排気ポート72はピストン32によって閉鎖され、混合気の圧縮が開始される。
以上のように、本実施例のエンジン10では、掃気通路66に空気を充填する際に、空気通路44から掃気通路66に導入された空気が、掃気通路66内をシリンダ24内の掃気ポート68に向かって流れる。その後、掃気通路66に充填された空気は、やはり掃気ポート68に向かって流れ、シリンダ24内に導入される。このように、本実施例のエンジン10では、掃気通路66へ充填された空気が、シリンダ24へ導入される際に、その流れ方向を反転する必要がない。そのことから、掃気通路66に充填された空気に、クランクケース60からの混合気が混ざり合うことが防止される。シリンダ24内に先行導入される空気に含まれる燃料が少なく、未燃焼のままで排出させてしまう燃料(未燃焼ガス)の排出量を顕著に低減することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記した実施例では、掃気ポート68がピストン32の下方において開放されるように構成し、負圧の発生したクランクケース60を掃気ポート68から掃気通路66に接続させている。この点については、例えばピストン32に溝や孔を形成しておき、負圧の発生したクランクケース60と掃気ポート68が、ピストン32に形成された溝や孔を介して連通させるように構成することもできる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:エンジン
20:エンジン本体
24:シリンダ
26:燃焼室
32:ピストン
33:切欠部
34:吸気ポート
36:混合気通路
42:空気マニホールド
44:空気通路
46:空気マニホールド42の平坦面
48:第2リードバルブ
50:クランクケースカバー
52:ガイド突起
52a:ガイド突起52のガイド面
54:第1リードバルブ
56:掃気流入口
58:クランクケースカバー50の平坦面
60:クランクケース
62:クランクシャフト
66:掃気通路
68:掃気ポート
68a:掃気ポート68の上端
68b:掃気ポート68の下端
70:排気通路
72:排気ポート

Claims (8)

  1. ピストンと、
    ピストンが往復動可能に収容されているシリンダと、
    ピストンにコネクティングロッドを介して接続されているクランクシャフトと、
    クランクシャフトが回転可能に収容されているクランクケースと、
    クランクケース内に混合気を導入する混合気通路と、
    クランクケース内に開口する掃気流入口からシリンダ内に開口する掃気ポートまで伸びている掃気通路と、
    クランクケースに固定されており、クランクケースとの間に掃気通路の少なくとも一部が形成されているクランクケースカバーを備え、
    前記クランクケースには、前記クランクケースカバーに対向する平坦面が形成されており、その平坦面は、前記クランクシャフトの軸線に平行であるとともに、前記シリンダの軸線に対して0°から30°のいずれかの角度を成している層状掃気2ストロークエンジン。
  2. 前記クランクケースに形成された平坦面には、前記掃気通路に位置しているとともに、前記掃気流入口に向かう流れを禁止する第1逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  3. 前記クランクケースに形成された平坦面には、掃気流入口から伸びる掃気通路の一部と、掃気ポートから伸びる掃気通路の一部が、それぞれ開口していることを特徴とする請求項1又は2に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  4. 前記掃気通路に空気を導入する空気通路をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  5. 前記クランクケースカバーには、前記空気通路の少なくとも一部がさらに形成されており、
    前記クランクケースカバーの前記掃気通路に面している内面と前記空気通路に面している内面との境界位置に、クランクケースからの混合気を前記掃気ポートへ連なる掃気通路に向けて案内する湾曲面を有するガイド突起が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  6. 前記クランクケースカバーに固定され、前記クランクケースカバーとの間に前記空気通路の少なくとも一部が形成されている空気マニホールドをさらに備え、
    前記空気マニホールドには、前記クランクケースカバーに対向する平坦面が形成されており、その平坦面は、前記クランクケースに形成された平坦面に対して、80°から130°のいずれかの角度を成していることを特徴とする請求項4又は5に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  7. 前記空気マニホールドに形成された平坦面には、前記空気通路に位置しているとともに、反掃気通路側への流れを禁止する第2逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  8. 前記平坦面が前記シリンダの軸線に対して成す角度は0°よりも大きく、前記平坦面が下方に向けて傾けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
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