JP5302717B2 - Pps摺動材の耐磨耗性を向上させる方法 - Google Patents
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(A)1m/sから3m/sの範囲の所定のすべり線速度で、前記摺動の際に、前記摺動面にかかる面圧を段階的に又は連続的に上昇させる摺動条件での摺動により、前記被膜が溶融する面圧を限界面圧として測定する限界面圧測定を、3以上の異なるすべり線速度で測定し、すべり線速度を横軸、限界面圧とすべり線速度との積を縦軸として表したグラフが正の傾きを持つ。
本発明の耐摩耗性を向上させる方法に用いるPPS摺動材は、繊維系充填剤を含むPPS樹脂を成形してなる。
本発明で使用するPPS樹脂の種類、分子量、溶融粘度等は特に限定されない。また、本発明で使用するPPS樹脂は、直鎖型、架橋型、半架橋型等の重合方法により得られたものを使用することができる。しかし、本発明の効果を高めるためには以下のPPS樹脂を使用することが好ましい。
繊維系充填剤としてはガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトの如き珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維系充填剤はガラス繊維である。なお、PPS樹脂より高融点の有機質繊維状物質も使用することができる。これらの繊維系充填剤は一種又は二種以上併用することが出来る。また、これらの繊維系充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することができる。PPS摺動材に含まれる繊維径充填剤の含有量は特に限定されず、用途に応じて通常配合される範囲であればよい。
上記繊維系充填剤を含むPPS樹脂を所望の形状に成形しPPS摺動材を作製する。成形方法は特に限定されないが、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、ブロー成形など種々の成形方法を挙げることができる。
上記PPS摺動材と相対的に摺動する相手材としては、特に限定されず様々な材料を相手材として用いることができる。例えば、上記PPS摺動材と同様に繊維系充填剤を含むPPS樹脂組成物を成形してなるPPS摺動材、金属等が挙げられる。
本発明は所定の摺動条件により摺動を行うことが特徴である。所定の摺動条件とは、後述する被膜を形成することが可能な摺動条件である。
被膜は、相手材と相対的に摺動するPPS摺動材の摺動面において、所定の摺動条件によって、摺動面の表面改質により形成させるものをいう。この被膜が形成されることにより、PPS摺動材の耐磨耗性の向上、耐熱性の向上の効果がある。
本発明の耐磨耗性を向上させる摺動方法は、特に限定されないが、PPS摺動材の摺動面と相手材の摺動面とを突き合わせて、一方のみを回転させる方法や両方を回転させる方法が挙げられるが、条件の設定のしやすさから一方のみを回転させる方法が好ましい。面圧のかけ方もPPS摺動材又は相手材の一方から圧力をかける方法や、両側から圧力を加える方法がある。
ガラス繊維を40%含む直鎖状PPS樹脂1:フォートロン1140A6(ポリプラスチックス社製)
直鎖状PPS樹脂2:フォートロン0220A9(ポリプラスチックス社製)
ポリアセタール樹脂:ジュラコンM90−44(ポリプラスチックス社製)
[被膜の形成]
PPS樹脂1からなる樹脂組成物を成形した。得られたPPS摺動材は摺動面が内径20mm、外径25.6mm、高さ15mmであった。
シリンダー先端温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:17mm/s
保圧:83MPa
冷却時間:15s
面圧(P):0.2MPa
すべり線速度:10cm/s
接触面積:2.0cm2
雰囲気温度:23℃
走行時間:24時間
PPS樹脂1をPPS樹脂2に変更した以外は、実施例1と同様の方法で摺動を行った。摺動面に被膜は確認されなかった。
実施例1と同様のPPS摺動材及び相手材を用いて、面圧を0.05MPa、0.50MPaで他の摺動条件は下記の条件にて摺動を行い、図2に示すような縦軸を比磨耗量、横軸を面圧×すべり線速度として比磨耗量と面圧×すべり線速度との関係を表す回帰曲線を作成した。比磨耗量は、JIS K7218に記載されている単位荷重あたりの磨耗量のことである。
[摺動条件]
すべり線速度:図のプロットに対応するすべり線速度を適宜設定
接触面積:2.0cm2
雰囲気温度:23℃
走行時間:24時間
比較例1と同様のPPS摺動材及び相手材を用いて、実施例2と同様の摺動条件で摺動を行い、図3に示すような縦軸を比磨耗量、横軸を面圧×すべり線速度として比磨耗量と面圧×すべり線速度との関係を表す回帰曲線を作成した。
縦6mm、横6mmの切り欠きを設けたPPS摺動材を用い、相手材を、炭素の添加量が0.45質量%の炭素鋼(S45C)に変更し、面圧を0.1MPa、1.0MPa、5.0MPaで他の摺動条件は下記の条件にて摺動を行い、さらに、摺動面の温度を図4に示すような方法で測定した以外は実施例1と同様の方法で摺動を行った。先ず図5に示すような、摺動面温度と摩擦係数×面圧×すべり線速度との関係を表す回帰直線を作成し、次いで、図6に示すような、縦軸を比磨耗量、横軸を摩擦係数×面圧×すべり線速度として比磨耗量と摩擦係数×面圧×すべり線速度との関係を表す回帰曲線を作成した。図6の横軸には、図5から得られる摺動面温度を一部記載している。また、摺動後のPPS摺動材及び相手材の摺動面を観察すると黒色の被膜が観察された。
[摺動条件]
すべり線速度:図のプロットに対応するすべり線速度を適宜設定
接触面積:2.0cm2
雰囲気温度:23℃
走行時間:24時間
樹脂材料としてPPS樹脂2を用いた以外は実施例3と同様の方法で、先ず図7に示すような、摺動面温度と摩擦係数×面圧×すべり線速度との関係を表す回帰直線を作成し、次いで、図8に示すような、縦軸を比磨耗量、横軸を摩擦係数×面圧×すべり線速度として、比磨耗量と摩擦係数×面圧×すべり線速度との関係を表す回帰曲線を作成した。図8の横軸には、図7から得られる摺動面温度を一部記載している。また、摺動後のPPS摺動材及び相手材の摺動面を観察したところ被膜は観察されなかった。
相手材をSUS304に変更し、面圧を1.0MPaで行った以外は実施例3と同様にして摺動を行い、図9に示すような、縦軸を比磨耗量、横軸を摩擦係数×面圧×すべり線速度として比磨耗量と摩擦係数×面圧×すべり線速度との関係を表す回帰曲線を作成した。なお、参考のために実施例3にて測定した面圧1MPaでの結果も図9中に図示した。
相手材をS45Cに変更し、すべり線速度を0.3m/s、2.0m/s、4.0m/sに固定し、それぞれのすべり線速度で面圧を0.1MPaから10分間隔で段階的に上昇させる条件で、他の条件は実施例3と同様にして摺動を行い、磨耗量の急激な上昇につながる摺動面の溶融がおきる面圧の測定を行った。縦軸に限界PV値(MPa・cm/s)、横軸にすべり線速度(m/s)として測定結果を図10に図示した。
PPS樹脂1からポリアセタール樹脂に変更し、固定するすべり線速度を、0.2m/s、0.3m/s、0.4m/s、1.0m/s、2.0m/s、3.0m/s、4.0m/sとして、それぞれのすべり線速度で実施例5と同様の条件で摺動を行った。縦軸に限界PV値(MPa・cm/s)、横軸にすべり線速度(m/s)として測定結果を図10に図示した。
面圧を上昇させる条件を、設定のPV値における面圧値を摺動開始時より加える条件に変更した以外は、実施例5と同様の条件で摺動を行い、限界PV値を得て、縦軸に限界PV値(MPa・cm/s)、横軸にすべり線速度(m/s)として測定結果を図11に図示した。併せて実施例5の結果も図11に図示した。
面圧0.2MPa、すべり線速度30cm/sに固定した以外は、実施例1と同様の摺動条件で摺動を行い、比磨耗量と摺動時間との関係を図12に図示した。
摺動前にPPS摺動材の摺動面に200℃×250時間の条件で熱負荷処理を施し、事前に摺動面に対して黒色被膜形成させた以外は、実施例7と同様の条件で摺動を行い、比磨耗量と摺動時間との関係を図12に図示した。
Claims (4)
- 繊維強化されたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を成形してなるPPS摺動材の耐磨耗性向上方法であって、
相手材と相対的に摺動する前記PPS摺動材の摺動面において、前記摺動の際に前記摺動面にかかる面圧を段階的に又は連続的に上昇させる摺動条件によって、前記摺動面の表面改質による被膜を形成させ、当該被膜により、摺動面温度が前記PPS樹脂のガラス転移点(Tg)以上における前記PPS摺動材の耐磨耗性を向上させる方法。 - 前記PPS樹脂が、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上有する実質的に直鎖状のポリフェニレンサルファイド樹脂を主体とするものである請求項1に記載のPPS摺動材の耐磨耗性を向上させる方法。
- 前記被膜が、下記(A)の条件を満たす被膜である請求項1又は2に記載のPPS摺動材の耐磨耗性を向上させる方法。
(A)前記摺動面にかかる面圧を段階的に又は連続的に上昇させる摺動条件での摺動の際に、前記被膜が溶融する面圧を限界面圧として測定する限界面圧測定を、0.3m/sから4m/sの範囲から選択される少なくとも3以上の異なるすべり線速度で測定し、すべり線速度を横軸、限界面圧とすべり線速度との積を縦軸として表したグラフが正の傾きを持つ。 - 前記相手材が、金属である請求項1から3のいずれかに記載のPPS摺動材の耐磨耗性を向上させる方法。
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