JP5302470B1 - 乾燥された和風小麦練り食品及び同乾燥された和風小麦練り食品の製造方法 - Google Patents

乾燥された和風小麦練り食品及び同乾燥された和風小麦練り食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品、及び同和風小麦練り食品の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した液剤とを混練し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素を成形物中に散在させることとした。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥された和風小麦練り食品及び同乾燥された和風小麦練り食品の製造方法に関する。
従来、アルカリ性の鹹水を添加することなく水分と共に小麦粉を混練して成形した和風小麦練り食品は、全国において様々な態様で喫食されている。
このような和風小麦練り食品の代表例としては、うどん、冷や麦、素麺、きしめんなど、少なくとも中華麺と称される麺を除いた和風麺類を挙げることができる。
これら和風麺類の中でも、例えばうどんは老若男女問わず全国において広く親しまれているものの一つである。
うどんには、製麺後そのままの状態の生うどん、水分含量を低減させた状態の半生うどん、水分を十分に飛ばした状態の干しうどん、生うどんを冷凍させた冷凍うどんなどがあるが、中でも干しうどんは保存性に優れているため、一般家庭などにおいても大変重宝する食材である。
干しうどんは、所謂乾麺の状態で提供されるものであり、食するにあたって茹でる必要がある。ところが、種類や地方によって異なるものの、うどんは他の和風麺類に比して太く、また、乾燥状態にあることから熱伝導性が低いため、ゆで時間が長くなる傾向があり、調理に時間を要してしまうという問題があった。
そこで、うどんの原料となる小麦粉にイースト菌を混入させることにより、製麺過程で発酵させ、麺線内に予め気泡を形成しておく方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法によれば、麺線内に気泡が存在するため、茹で湯の浸透速度が向上し、麺の中心部に熱が早く届くこととなり、茹で時間を短縮することができるとしている。
特開2008−136429号公報
しかしながら、上記従来のイースト菌を添加する方法によれば、茹でる前の時点で既に気泡が麺線内に形成されており、麺線の強度が低く、湯の中に麺を投入した際の衝撃や湯の対流によって麺が切れてしまうおそれがあった。
また、発酵によって気泡を生成させるため、製麺過程の温度条件や時間によって発酵度合いが異なることとなり、麺線中の気泡割合を製品ロット間で均一に保つのが困難であった。換言すれば、発酵時間の精密なコントロールが要求されるものであった。
また、イースト菌によって気泡を形成しているため、イースト菌由来の発酵臭があるうどんとなることが避けられない。したがって、うどん本来の風味が阻害されるおそれがあった。
また、従来から存在する和風小麦練り食品一般に言えることであるが、うどん等の和風麺類に拘わらず、すいとん(水団)やほうとう、だんご汁(だご汁)に使用される和風小麦練り食品や、ちくわぶ(竹輪麩)などにおいても、喫食可能な状態となるまでに長い茹で時間が必要であり、上述イースト菌を添加する方法を適用するとすれば、同様の問題が生じる可能性があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品、及び同和風小麦練り食品の製造方法を提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明では、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させたことを特徴とする乾燥された和風小麦練り食品を提供する。
また、本発明の更なる具体的態様として、前記酸は、食品添加物として使用される酸であって、酢酸を除く有機酸又は無機酸であることとしても良い。
また、本発明では、更に別の形態として、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させる乾燥された和風小麦練り食品の製造方法を提供する。
本発明に係る乾燥された和風小麦練り食品によれば、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させたため、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品を提供することができる。
また、前記酸は、食品添加物として使用される酸であって、酢酸を除く有機酸又は無機酸であることとすれば、酸によるうどんの風味の変化を可及的抑制することができる。
また、本発明に係る乾燥された和風小麦練り食品の製造方法によれば、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させることとしたため、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品の製造方法を提供することができる。
本発明は、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した液剤とを混練し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素を成形物中に散在させたことを特徴とする乾燥された和風小麦練り食品を提供するものである。
本明細書において和風小麦練り食品は、アルカリ性の鹹水を使用することなく、小麦粉を主原料として水分と共に練って成形した食品のことであり、前述の通り、うどんや冷や麦、素麺、きしめん等の麺類の他、すいとん(水団)やほうとう、だんご汁(だご汁)に使用される小麦練り食品や、ちくわぶ(竹輪麩)なども含まれる。
これら和風小麦練り食品に使用する小麦粉は特に限定されるものではなく、薄力粉、中力粉、強力粉のいずれで合っても良い。
また、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液は、炭酸水素ナトリウムのみが水に溶解されている炭酸水素ナトリウム水溶液を意味するのは勿論のこと、炭酸水素ナトリウム以外に、塩分や調味料、出汁成分などが含まれていても良い。
また、小麦粉と液剤との混練は、工業的には機械で行うことが望ましいが、手作業で行っても良い。
また、混練物の成形は、機械による成形や手作業による成形を問わず、和風小麦練り食品が何であるかによって、様々な形状に成形可能である。すなわち、成形は、和風小麦練り食品が麺であれば製麺であり、だんご汁のだんごであれば、不定形の成形を意味している。
成形された混練物の乾燥は、乾燥機などの機械によって行っても良く、自然による乾燥であっても良い。
また、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品に特徴的には、小麦粉の混練物を生成する際に、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した液剤を添加することとしている。
炭酸水素ナトリウムの水溶液は、アルカリ性を呈する。したがって、単に小麦粉に炭酸水素ナトリウムの水溶液を添加したのみでは、鹹水が添加された状態となってしまう。
それゆえ、例えば、小麦練り食品が麺類である場合には、このような混練物を用いて製麺した場合、風味や色合い、テクスチャーの観点で大きく異なる所謂中華麺となってしまい、和風麺では無くなってしまう。すなわち、和風麺独特の味わいや色合い、食感が失われてしまうこととなる。
そこで、本実施形態に係る和風小麦練り食品では、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整する。
炭酸水素ナトリウムの水溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した場合、炭酸水素ナトリウムと酸とが反応して二酸化炭素が発生するが、その溶液中には、当初存在していた炭酸水素ナトリウムの約40%が未反応のまま残存する。
そして、この残存した炭酸水素ナトリウムを発泡素として和風小麦練り食品の表面及び内部に散在させておくことにより、アルカリによる小麦粉の変性(中華麺化)を防止しつつ、茹でた際に和風小麦練り食品中に細かな気泡を発生させることができる。
このようにして発生した気泡は、和風小麦練り食品中に空隙を形成することから、茹で湯の含浸を助長させることができ、和風小麦練り食品は速やかに茹で上がることとなる。
また、和風小麦練り食品中にて形成された無数の気泡は、更なる発泡素の反応によりその内部のガス圧が高まることとなり、このような気泡が複数互いに連結することで和風小麦練り食品中に気泡連通路が形成される。
そして、この気泡連通路の端部が和風小麦練り食品の表面に至ると、気泡連通路内のガスが和風小麦練り食品外に放出され、この気泡連通路に沿って茹で湯が含浸されやすい状態となるため、茹で上がり時間の短縮をより助長することができる。
また、茹で上げた和風小麦練り食品を汁物中に浸漬した際(例えば、うどんにつゆをかけた際や、だんごを汁に入れてだんご汁とした際)に、この気泡連通路を介して汁を和風小麦練り食品中に効率良く浸透させることができ、速やかに味を馴染ませることができる。
また、和風小麦練り食品を咀嚼した際に気泡連通路が挟圧されて、気泡連通路中に含浸した汁が表面から滲出するため、汁椀から箸で口に運んだ際に表面に汁の付着が少ない場合でも、この滲出液により汁の味わいと和風小麦練り食品の味わいとを同時に楽しむことができる。
また、和風小麦練り食品の表面や表面から極浅い位置に散在する発泡素は、気泡を形成した後に破泡して破泡痕を形成し、表面が粗面化される。
このように破泡痕を備える粗面が形成された和風小麦練り食品は、表面において汁とのからみが極めて改善される。すなわち、表面積が拡大するため、平滑な表面の和風小麦練り食品に比べて、より多くの汁を表面に付着させることができる。
また、ランダムに形成された破泡痕による粗面は、和風小麦練り食品を口中に運んだ際に、極めてやわらかな口当たりや舌触りを生起する。それゆえ、咀嚼や嚥下が容易であり、幼児や高齢者に至るまで安心して食することのできる和風小麦練り食品を提供することができる。
また、前述のpHの調整に使用する酸は、炭酸よりも強い酸であり、食品添加物として使用可能な酸であれば特に限定されるものではない。より具体的には、酸は、食品添加物として使用される酸であって、独特の臭気や味を呈する酢酸を除いた有機酸又は無機酸を採用することができる。また、このような酸のなかでも、例えば、クエン酸やリン酸、乳酸、又はこれらの混合物を使用すれば、価格や入手性の観点において有利である。
これらの酸は、他の酸に比して食味的に酸味以外のクセが少なく、和風小麦練り食品の繊細な味わいを阻害することが無いため適していると言える。
また、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品の製造方法では、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した液剤とを混練し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素を成形物中に散在させることとしている。
したがって、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品の製造方法を提供することができる。
なお、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品の製造方法は、比較的厚みのある乾燥された和風小麦練り食品の茹で時間を短縮する場合に顕著な効果を発揮することができる。
例えば、細麺である素麺(機械製麺の場合、角棒状では幅0.7〜1.2mm、厚さ1.0mm未満、丸棒状は直径0.8〜1.3mm、手延べの場合は1.3mm未満)については、もともと茹で上がりが早いため、本発明の適用を阻害するものではないものの、冷や麦(機械製麺の場合、角棒状では幅1.2〜1.7mm、厚さ1.0〜2.0mm、丸棒状は直径1.3〜1.7mm、手延べの場合は1.3mm〜1.7mm)やうどん(前記冷や麦よりも太いもの)に本発明を適用した際の効果に比して低い。なお、上記幅や厚さ、直径等の数値は、いずれも乾麺の状態のものである。
本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品の製造方法にて製造する和風小麦練り食品は、例えば乾燥時の最小の厚みが1mm以上であるものにおいて、前述の早茹での効果が顕著に発揮されることとなる。
ただし、乾燥時の最小の厚みが1mm以下の和風小麦練り食品においても、勿論、本発明を適用しても良い。
すなわち、乾燥された和風小麦練り食品が麺類である場合には、その麺線の長さや、断面の縦横の長さ、断面積、断面形状などは特に限定されるものではない。
また、乾燥された和風小麦練り食品が麺類でない場合にあっても、断面の縦横の長さ、断面積、断面形状などは特に限定されるものではない。
以下、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品、及び、同乾燥された和風小麦練り食品の製造方法について、試験結果を交えながら更に詳細に説明する。なお、以下の説明では、乾燥された和風小麦練り食品について干しうどんを代表例として説明するが、本発明をこれに限定して解釈すべきではない。ただし、本発明を干しうどんに限定することを阻害するものでもない。
〔至適pHの検討〕
まず、小麦粉に添加する液剤の至適pHについて検討を行った。具体的には、水130mlに対し、26gの炭酸水素ナトリウムを溶解して炭酸水素ナトリウム水溶液を調製し、この炭酸水素ナトリウム水溶液に、酸としてのクエン酸飽和溶液を所定量ずつ添加して、pHが7.5、7.0、6.5、6.0、5.5の5種類の液剤を調製し、混練物のpHが安定する条件の模索を行った。
試験は、うどんを打つ時に使用する平均的な水分量に倣い、小麦粉100gに対して上述の液剤43mlを添加した場合を基準に、小麦粉の量が100g±10%の変動が起こった場合と、液剤のpHが±0.5の範囲で変動した場合とについて検討した。
まず、第1試験として、小麦粉100gに対して添加する液剤のpHが7.0±0.5の範囲で変動した場合について検討を行った。このような条件は、例えばうどんの製造現場において、周囲温度や計量の誤差でpHが変動した場合を想定している。
具体的には、各100gずつ3つに分けた小麦粉に、それぞれpH7.5、pH7.0、pH6.5の液剤を43ml添加して混練し、各混練物のpHがどの程度ばらつくかについて確認した。
その結果、pH7.5の液剤を添加した混練物のpHは7.0、pH7.0の液剤を添加した混練物のpHは6.6、pH6.5の液剤を添加した混練物のpHは6.2であり、混練物のpHは6.2〜7.0の範囲で大きく変動した。
次に、第2試験として、例えばうどん製造時の小麦粉の計量のブレが生じた場合を想定し、pHが7.0の液剤を用い、小麦粉の量が100±10gの範囲で変動した場合について検討を行った。
具体的には、それぞれ90g、100g、110gの3つに分けた小麦粉に、pH7.0の液剤を43ml添加して混練し、各混練物のpHがどの程度ばらつくかについて確認した。
その結果、90gの小麦粉を用いた混練物のpHは6.7、100gの小麦粉を用いた混練物のpHは6.6、110gの小麦粉を用いた混練物のpHは6.4であり、混練物のpHは6.4〜6.7の範囲で大きく変動した。
次に、第3試験として、第1試験と同様に、小麦粉100gに対して添加する液剤のpHが6.0±0.5の範囲で変動した場合について検討を行った。
具体的には、各100gずつ3つに分けた小麦粉に、それぞれpH6.5、pH6.0、pH5.5の液剤を43ml添加して混練し、各混練物のpHがどの程度ばらつくかについて確認した。
その結果、pH6.5の液剤を添加した混練物のpHは6.2、pH6.0の液剤を添加した混練物のpHは6.0、pH5.5の液剤を添加した混練物のpHは5.8であり、混練物のpHは5.8〜6.2程度の変動しか見られず、第1試験に比して小さな変動であることが示された。
次に、第4試験として、前述の第2試験と同様に、pHが6.0の液剤を用い、小麦粉の量が100±10gの範囲で変動した場合について検討を行った。
具体的には、それぞれ90g、100g、110gの3つに分けた小麦粉に、pH6.0の液剤を43ml添加して混練し、各混練物のpHがどの程度ばらつくかについて確認した。
その結果、90gの小麦粉を用いた混練物のpHは6.0、100gの小麦粉を用いた混練物のpHは6.0、110gの小麦粉を用いた混練物のpHは5.9であり、混練物のpHは5.9〜6.0程度の変動しか見られず、第2試験に比して小さな変動であることが示された。
これらの試験結果から勘案すると、干しうどん中に散在させる発泡素としての残存炭酸水素ナトリウムの量はpHが高い方が多く有利であるものの、製造時のpH安定性を加味すると、液剤のpHは6.0±0.5が良いもの考えられた。ただし、製品ロット間でばらつきの少ない干しうどんを製造するにあたっては、pHの許容範囲は狭い方が好ましく、また、pHの下限値もできるだけ高い方が残存炭酸水素ナトリウムの量も多くなることから、液剤のpHは6.0±0.2が望ましいと考えられた。
〔茹で時間検証試験〕
次に、液剤の添加量に応じてどの程度茹で時間が短縮されるかについて検証を行った。本試験では、添加する液剤の量を違えた5種類のうどん生地A1〜A5を作製し、それぞれ製麺し乾燥することで干しうどんB1〜B5を得て、これらが喫食に適した茹で上がりとなる時間をそれぞれ計測した。
作製したうどん生地A1〜A5は、表1に示す通りである。なお、使用する液剤は、130mlの水に26gの炭酸水素ナトリウムを溶解して炭酸水素ナトリウム水溶液を調製し、この炭酸水素ナトリウム水溶液にクエン酸飽和溶液を添加して、pHを6.0に調整したものである。
Figure 0005302470
上記配合割合にて作製した混練物としての各うどん生地A1〜A5をラップで包んで30分間静置し、その後製麺機を用いて圧延、切り出しを行って成形し、断面視において幅6mm×厚さ4mmの生うどんの麺線を得た。そして、この生うどんの麺線に対し常温で風を送りながら10時間乾燥を行って、干しうどんB1〜B5を得た。
次に、これら干しうどんB1〜B5をそれぞれ400mlの沸騰水中に浸漬し、最適の茹で上がり状態となるまでの茹で時間の計測を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005302470
表2中において「△」は芯が残る状態、「△○」は喫食可能であるが固ゆでの状態、「○」は十分な茹で上がりの状態を示している。表2からも分かるように、液剤の添加量が多い程、液剤を添加していない干しうどんB5と比較して茹で上がり時間が短縮されていることが分かる。
また、試食の結果、干しうどんB1〜B4は、液剤を添加していない通常の干しうどんB5と比較して、食味における顕著な差異は認められなかった。
本結果から、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品としての干しうどんB1〜B4は、従来の乾燥された和風小麦練り食品としての干しうどんB5に比して、和風小麦練り食品独特の味を保ちながらも、速やかに茹で上げ可能であることが示された。また、何れの干しうどんB1〜B5においても、顕著な麺線の切断は観察されず、茹で上げに際し十分な強度を有することが示された。
〔硬さ測定試験〕
次に、前述の干しうどんB1〜B5について、30分間強火で茹で上げを行い、水で冷却した後の麺線の硬さについて測定を行った。
具体的には、先端が平らな円柱状の金属製プローブを用い、このプローブで麺線を押しつけた際の圧力の最大点を測定した。また、測定は各サンプルにつき5連で行い、その平均値を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 0005302470
表3に示すように、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品としての干しうどんB1〜B4は、液剤を添加していない通常の干しうどんB5に比して、軟らかくなっていることが示された。
また、液剤の増加に伴って、所定時間茹で上げた際の硬さが軟らかくなる傾向が見られた。
これらのことからも、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品、及び同和風小麦練り食品の製造方法によれば、乾燥された和風小麦練り食品の速やかな茹で上げが可能となることが示唆された。
〔官能評価〕
次に、前述の〔茹で時間検証試験〕にて得られたデータに基づいて十分な茹で上がりの状態(「○」で示した状態)となった干しうどんB1〜B5について試食を行い、官能的な評価を行った。
その結果、干しうどんB1〜B4は何れも、干しうどんB5と同様、和風麺独特の味わいや色合い、食感を有していることが確認された。また、発酵臭などの異味、異臭は確認されなかった。
これらのことから、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品、及び同和風小麦練り食品の製造方法によれば、和風小麦練り食品独特の官能性(味や香り等)を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品やその製造方法を提供できることが示された。
〔外観についての検討〕
次に、前述の〔茹で時間検証試験〕にて調製した本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品としての干しうどんB1〜B4の外観について目視にて検討を行った。
その結果、従来の乾燥された和風小麦練り食品としての干しうどんB5は、やや黄色みを帯びているのに対し、干しうどんB1〜B4は綺麗な白色を呈しており、外観が改善されていることが示された。一般に、生地に鹹水が添加されていると、その生地は黄色を呈することが知られているが、pHが調整されて鹹水としての機能を失っているものの、液剤には炭酸水素ナトリウムが添加されているにも拘わらず、その量が多い程白色を呈して外観が改善されることは大変興味深い点であると言える。
付言すれば、小麦粉100gあたり1.2〜2.6gの炭酸水素ナトリウムを残存させる量の液剤を添加することにより、外観に優れた乾燥された和風小麦練り食品を得ることができる。
ただし、色合いの観点からは何れも良好であった干しうどんB1〜B4であるが、干しうどんB1については、表面がやや粉っぽい状態であったことから、干しうどんB1〜B4の中でも、干しうどんB2〜B4がより優れた外観を有していると判断された。
それゆえ、外観に優れた本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品の中でも、小麦粉100gあたり1.2〜2.0gの炭酸水素ナトリウムを残存させる量の液剤を添加することにより、さらに優れた外観とすることが可能であることが示された。
上述してきたように、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品(例えば、干しうどんB1〜B4)によれば、少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.2に調整した液剤とを混練し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素を成形物中に散在させたため、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げることのできる乾燥された和風小麦練り食品を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本明細書では干しうどんを例に説明したが、例えば、だんご汁に使用される団子の乾燥物を、本実施形態に係る乾燥された和風小麦練り食品の製造方法に従って製造されたものとすることにより、和風小麦練り食品独特の味や強度、見た目を保ちながらも、速やかに茹で上げ可能なものとすることもできる。

Claims (3)

  1. 少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させたことを特徴とする乾燥された和風小麦練り食品。
  2. 前記酸は、食品添加物として使用される酸であって、酢酸を除く有機酸又は無機酸であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥された和風小麦練り食品。
  3. 少なくとも小麦粉と、炭酸水素ナトリウムを含有する溶液に酸を添加してpH6.0±0.5に調整した液剤とを混練してpH5.8〜6.2の混練物を調製し、この混練物を成形して乾燥させることにより、湯中に浸漬した際に成形物内に気泡を形成する発泡素としての炭酸水素ナトリウムを成形物中に前記小麦粉100gあたり1.2〜2.6g散在させる乾燥された和風小麦練り食品の製造方法。
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