以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るファイルについて説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態に係るファイル1は、ファイル1の表側の表紙を構成する表表紙部(第1の表紙部)2と、裏側の表紙を構成する裏表紙部(第2の表紙部)3と、表表紙部2と裏表紙部3とを接続する背部4と、表表紙部2に設けられるクリアファイル(第1の収納部)6と、表表紙部2の裏面を覆うシート7と、ファイル1を開いたときに左側に位置する左側ホルダ(第2の収納部)8と、右側に位置する右側ホルダ(第3の収納部)9と、シート7を開いた位置に設けられている補助ホルダ(第4の収納部)11と、クリアファイル6に設けられる補助ポケット12と、を備えている。なお、本実施形態では、A4用紙の規格寸法を基準にしたファイル1について説明する。
このファイル1は、工業所有権に関する業務を支援する場合に、特に効果的に用いられる。工業所集権に関する業務とは、特許、実用新案、意匠、商標に関する出願業務、中間処理業務、審判、訴訟、調査、鑑定などの種々の業務である。また、このファイル1は、各案件に関する包袋情報を電子化することを前提とした業務に特に効果的に用いられる。
ファイル1は、最大で五つのカテゴリーに分類された書類を、五つの収納部にそれぞれ収納することができる。各収納部は、収納する書類の性質に合わせて、最適な位置、形状、大きさに構成されている。なお、本実施形態において「書類」とは、一枚の紙である場合も、複数の紙の束である場合も含まれる。以下の説明では、国内出願の処理を行う際のファイル1の使用方法の一例について説明する。
第1のカテゴリーに分類される第1の書類P1は、主に、案件の基本情報や案件の識別番号などが記載された書類である。第1の書類P1は、クリアファイル6に収納される。第1の書類P1には、例えば、発明の名称、クライアント名、業務担当者情報、識別番号(出願番号、所内ケース番号、クライアントケース番号など)、期限管理情報、ステータス情報、優先権主張の基礎出願情報などが記載される。第1の書類P1はファイル1の表表紙の一部となるため、ファイル1を開くことなく、外から一瞥するだけで前述のような情報を把握することができる。このように、第1の書類P1は用紙を捲って情報を確認することを前提としていないため、第1の書類P1は、規格寸法に従った一枚の用紙であることが好ましい。第1の書類P1は、複数枚の用紙であってもよい(すなわち、クリアファイル6に複数枚の用紙が挿入される)が、少なくとも基本情報や識別番号などの重要な情報を記載した用紙は、最も外側に配置して、ファイル1の外から当該情報を認識できるようにしてクリアファイル6に収納されることが好ましい。第1の書類P1の側縁部分には、識別番号や業務担当者情報が記載されることが好ましい(詳細については後述)。
第2のカテゴリーに分類される第2の書類P2は、主に、所内でのやり取りに係る書類、案件の書誌的事項に関する書類などである。第2の書類P2は、左側ホルダ8に収納される。第2の書類P2の書類として、例えば、ドラフト送付指示や出願指示のための指示シートや、請求書に関する指示シートや、出願人や発明者などに関する書誌的の書類、優先権主張の場合の基礎出願に関する書類などが挙げられる。
第3のカテゴリーに分類される第3の書類P3は、主に、クライアントのやり取りに関する書類などである。第3の書類P3は、右側ホルダ9に収納される。第3の書類P3の書類として、例えば、クライアントからの発明提案書やFAXや、クライアントへ送付したドラフトやFAXの書類などが挙げられる。第3の書類P3は、第2の書類P2に比して、やり取りの中で徐々に書類の量が増加してゆく傾向にある。
第4のカテゴリーに分類される第4の書類P4は、主に、技術者が明細書作成のために一時的に使用する技術資料や図面などの書類である。第4の書類P4は、補助ホルダ11に収納される。第4の書類P4は、案件や担当者によって、発生しない場合や少量である場合もある一方、大量になる場合もある。
第5のカテゴリーに分類される第5の書類P5は、主に、担当者決定シートなどのように、業務の流れにおいて一時的に発生する書類などである。第5の書類P5は、補助ポケット12に収納される。
表表紙部2は、ファイル1の表側のベース材として機能し、矩形状の板部材によって構成されている。表表紙部2は、本実施形態では、A4用紙の規格寸法を基準に大きさが設定された長方形状をなしている。表表紙部2は、背部4と連結される背縁部分(第1の側縁部分)21と、背縁部分21と平行をなして対向する小口縁部分(第2の側縁部分)22と、背縁部分21及び小口縁部分22と垂直に交差する天縁部分(第3の側縁部分)23と、背縁部分21及び小口縁部分22と垂直に交差すると共に天縁部分23と平行をなして対向する地縁部分(第4の側縁部分)24と、を有している。また、表表紙部2は、各縁部分に対応する背縁21a、小口縁22a、天縁23a、地縁24aを有している。表表紙部2は、ファイル1を閉じた状態において(図1の状態)、ファイル1の内側に位置する内面2aと、外側に位置する外面2bと、を有する。
裏表紙部3は、ファイル1の裏側のベース材として機能し、矩形状の板部材によって構成されている。裏表紙部3は、本実施形態では、A4用紙の規格寸法を基準に大きさが設定された長方形状をなしている。裏表紙部3は、背部4と連結される背縁部分31と、背縁部分31と平行をなして対向する小口縁部分32と、背縁部分31及び小口縁部分32と垂直に交差する天縁部分33と、背縁部分31及び小口縁部分32と垂直に交差すると共に天縁部分33と平行をなして対向する地縁部分34と、を有している。また、裏表紙部3は、各縁部分に対応する背縁31a、小口縁32a、天縁33a、地縁34aを有している。裏表紙部3の長辺寸法は、表表紙部2の長辺寸法と同じである。表表紙部2及び裏表紙部3の短辺寸法についての詳細は後述する。裏表紙部3は、ファイル1を閉じた状態において(図1の状態)、ファイル1の内側に位置する内面3aと、外側に位置する外面3bと、を有する。
背部4は、表表紙部2と裏表紙部3とを接続すると共に背側のベース材として機能し、長尺な矩形状の板部材によって構成されている。背部4は、表表紙部2の背縁21aに連結されると共に、裏表紙部3の背縁31aと連結される。背部4は、裏表紙部3の背縁31aを構成する折り目L1と、短辺方向における中央に形成される折り目L2と、表表紙部2の背縁21aを構成する折り目L3と、を有している。各折り目L1〜L3は、書類の量に応じて折り込まれる。例えば、書類が少ない時は、図1に示すように折り目L1のみを折ればよい。この時、背部4は表表紙部2と連続した平面を構成する。書類が多い時は、折り目L1に加え、折り目L2または折り目L3を折ればよい。
表表紙部2、背部4、裏表紙部3は、一枚の長方形板状の基板BPによって構成されている。すなわち、基板BPの中央部分に折り目L1〜L3を形成し、いずれかの折り目L1〜L3で折ることにより、表表紙部2、背部4、裏表紙部3が構成される。
クリアファイル6は、表表紙部2の外面2bに設けられた、第1の書類P1を収納するための平袋状の収納部である。クリアファイル6は、A4用紙の規格寸法を基準に大きさが設定された長方形状をなしている。クリアファイル6は、表表紙部2の厚さ方向から見たときに、当該表表紙部2と同形状の長方形をなしている。クリアファイル6は、厚さ方向から見て表表紙部2と(互いの長辺及び短辺が揃うように)重ね合わせることで当該表表紙部2の全領域の外面2bを覆う状態から、平面方向において天縁23a側及び小口縁22a側へずらした配置となる。これによって、クリアファイル6は、表表紙部2の外面2bの大部分の領域を覆うと共に、側縁部分が天縁部分23、及び小口縁部分22から、外面2bよりも平面方向における外側に延出する配置となる。なお、クリアファイル6と表表紙部2は同形状・同寸法として説明をしているが、厳密に一致しているもののみならず、製造上の誤差や溶着や接着のための固定代を確保するために形成される範囲内に寸法がずれるものも含まれる。
クリアファイル6は、天側及び小口側の側縁部分が外面2bより外側に延出し、地側及び背側の側縁部分が外面2b上に設けられて固定される構成となる。これによって、クリアファイル6は、外面2bの背縁部分21に固定される固定縁部分41と、外面2bの小口縁部分22から外側へ延出する延出縁部分42と、外面2bの天縁部分23から外側へ延出する延出縁部分43と、外面2bの地縁部分24に固定される固定縁部分44と、を備える。クリアファイル6は、背側の固定縁41a、小口側の延出縁42a、天側の延出縁43a、地側の固定縁44aを有している。
天側の延出縁部分43は、延出縁43aと天縁23aとが平行をなすように延出している。また、小口側の延出縁部分42は、延出縁42aと小口縁22aとが平行をなすように延出している。従って、クリアファイル6に第1の書類P1を収納すると、当該書類P1の天側の側縁部分と小口側の側縁部分に記載された識別番号等が、各延出縁部分42,43に配置される。すなわち、識別番号等が表表紙部2よりも外側の位置に配置される。各延出縁部分42,43の延出量は、第1の書類P1の側縁部分の識別番号等が見え易くなる程度まで確保される一方で、折れ曲がりやたわみが発生しない程度に抑えられている。具体的に、天側の延出縁部分42の延出量(図4に示す寸法B1)は、クリアファイル6の長辺寸法に対して3〜17%であることが好ましく、5〜12%であることがより好ましい。小口側の延出縁部分43の延出量(図4に示す寸法B2)は、クリアファイル6の短辺寸法に対して5〜23%であることが好ましく、7〜15%であることがより好ましい。
また、延出縁部分42,43が形成されるのに伴い、各延出量と同程度の寸法にて、表表紙部2の背縁部分21と地縁部分24がクリアファイル6から露出する(クリアファイルに覆われない)。クリアファイル6には第1の書類P1が挿入されるため、表表紙部2の外面2bは当該書類P1で覆われて目視できなくなるが、露出する背縁部分21と地縁部分24は外側から目視可能となる。なお、本実施形態ではクリアファイル6に収納する第1の書類P1のサイズは、表表紙部2の寸法を決定する基準寸法となるA4用紙に設定されているが、クリアファイル6に挿入する用紙として、基準寸法以外の用紙を用いてもよい。その場合、使用する用紙にあわせてクリアファイル6の大きさ、及び固定縁41a,44aの位置も変化する。大きさが変化する場合であっても、第1の書類の抜け落ち防止のための保持力を確保する観点から、天縁23aと地側の固定縁44aとの間の距離は、少なくとも寸法B1よりも大きく、表表紙部2の長辺寸法の三分の一以上が好ましく、二分の一以上がより好ましく、三分の二以上が一層好ましい。小口縁22aと背側の固定縁41aとの間の距離は、少なくとも寸法B2よりも大きく、表表紙部2の短辺寸法の三分の一以上が好ましく、二分の一以上がより好ましく、三分の二以上が一層好ましい。
クリアファイル6は、書類の束ではなく、一枚または数枚程度のA4用紙を挿入可能な構成を有する。また、クリアファイル6は、収納した第1の書類P1が抜け落ちないように確実に保持可能な構成を有している。具体的には、クリアファイル6は、同寸法の矩形状の内側シート46と外側シート47とを重ね合わせた平袋状の構成を有している(図5参照)。内側シート46と外側シート47とは、背側の固定縁41a、小口側の延出縁43a、及び地側の固定縁44aにて連結されている。従って、クリアファイル6は、天側の延出縁42aにのみ開口部48が形成され、背側の固定縁41a、小口側の延出縁43a、及び地側の固定縁44aにおいては封止されることで、一方向のみに開口する平袋を構成する。固定縁41aは第1の書類P1の背側からの抜け落ちを規制する規制部として機能し、固定縁44aは第1の書類P1の地側からの抜け落ちを規制する規制部として機能し、延出縁43aは第1の書類P1の小口側からの抜け落ちを規制する規制部として機能する。
ここで、クリアファイル6は、内側シート46と外側シート47が連結された大きな一枚のシートを小口側の延出縁43aで折り曲げ、背側及び地側で溶着や接着で封止されることが好ましい。これにより、背側では内側シート46と外側シート47の密着性が高く、小口側では内側シート46と外側シート47との間の折り目(すなわち延出縁43a)付近にて僅かに膨らむ形状となる(例えば図5参照)。クリアファイル6の表表紙部2の外面2bに対する固定方法や固定箇所は特に限定されず、例えば、固定縁部分41,44に沿って、及び小口縁部分22に沿って(この箇所は内側シート46のみ)を溶着、接着してもよい。あるいは、内側シート46と表表紙部2が重なる部分を全面接着、あるいは部分接着(あるいは部分溶着)してもよい。
また、クリアファイル6の外側シート47の外面には、補助ポケット12が設けられている。補助ポケット12は、クリアファイル6の外側シート47の外面に矩形状のシート49を固定することによって構成されている。このシート49は、背側、地側、小口側の側縁は、クリアファイル6の固定縁41a、固定縁44a、延出縁42aと一致する一方、天側の側縁49aは、表表紙部2の天縁23aよりも地側へ離間する位置に形成されている。シート49は、背側、地側、小口側の側縁は、それぞれクリアファイル6の固定縁41a、固定縁44a、延出縁42aと固定されている一方、天側の側縁49aは開口している。補助ポケット12の天側の側縁49aの位置は特に限定されないが、第5の書類P5の抜け落ちを防止する観点から、クリアファイル6の長辺方向の中央位置よりも天側に配置されていることが好ましい。また、補助ポケット12の側縁49aには、第5の書類P5の取り出しやすさの観点から、切欠きが設けられていることが好ましい。
シート7は、表表紙部2の内面2aに設けられ、当該内面2aを覆うシート状の部材である。シート7は、A4用紙の規格寸法を基準に大きさが設定された長方形状をなしている。シート7は、表表紙部2の厚さ方向から見たときに、当該表表紙部2と同形状の長方形をなしており、内面2aの全面を覆うように配置されている。シート7は、表表紙部2の小口縁部分22に対して、当該小口縁部分22との連結部51を折り曲げ部として開閉可能に連結される。シート7は、表表紙部2の小口縁部分22に連結される一方、背縁部分21、天縁部分23、及び地縁部分24とは連結されていない。これによって、シート7は、表表紙部2との連結部51を折り曲げ部として、表表紙部2の内面2aを覆った状態(図2参照)から、開いた状態(図3参照)とすることが可能な構成となる。なお、図2の状態において表表紙部2の内面2aと対向する面をシート7の裏面7bとし、外部から目視できる面を表面7aとする。本実施形態では、シート7の連結部51は、シート7の小口側の側縁部分を、表表紙部2の小口縁22aから外面2b側へ回り込ませ、外面2bの小口縁部分22に固定することによって構成されている(図5参照)。これによって、連結部51付近にシート7の膨らみを設けることができる。ただし、シート7の表表紙部2との連結方法は特に限定されず、内面2a、外面2bに関わらず、小口縁部分22に連結されていればよい。
左側ホルダ8は、第2の書類P2を収納する機能を有しており、シート7の表面7a側に設けられている。すなわち、左側ホルダ8は、シート7で表表紙部2の内面2aを覆った場合における、表表紙部2と反対側のシート面である表面7aに設けられる。左側ホルダ8は、シート7の表面7aにホルダ部材53を固定することによって構成される。ホルダ部材53は、シート7の地側の一部の領域を覆うように配置された略矩形状のシート状の部材である。ホルダ部材53は、背側、地側、及び小口側の側縁が、シート7の背側の側縁(すなわち表表紙部2の背縁21a)、地側の側縁(すなわち表表紙部2の地縁24a)、及びシート7の小口側の側縁(すなわち表表紙部2の小口縁22a)と略一致する。一方、ホルダ部材53は、天側の側縁53aが、シート7の天側の側縁よりも地側へ離間する位置に形成されている。ホルダ部材53は、地側及び小口側の側縁が、それぞれシート7の地側及び小口側の側縁と固定されている一方、天側の側縁53a及び背側の側縁53bが開口している。ホルダ部材53の天側の側縁53aの位置は特に限定されないが、第2の書類P2の抜け落ちを防止する観点から、シート7の長辺方向の中央位置よりも天側に配置されていることが好ましい。また、ホルダ部材53の天側の側縁53aと背側の側縁53bとの間の角部は丸みが付けられている。左側ホルダ8の収納量を増加させるために、ホルダ部材53の地側及び小口側の側縁部分にはマチが形成されることが好ましい。なお、ホルダ部材53とシート7との固定方法は特に限定されず、溶着や接着などを採用することができる。
右側ホルダ9は、第3の書類P3を収納する機能を有しており、裏表紙部3の内面3a側に設けられている。右側ホルダ9は、裏表紙部3の内面3aにホルダ部材54を固定することによって構成される。ホルダ部材54は、裏表紙部3の地側の一部の領域を覆うように配置された略矩形状のシート状の部材である。ホルダ部材54は、地側及び小口側の側縁が、裏表紙部3の地縁34a、及び裏表紙部3の小口縁32aと略一致する。一方、ホルダ部材54は、天側の側縁54aが、裏表紙部3の天縁33aよりも地側へ離間する位置に形成されている。また、ホルダ部材54は、背側の側縁54bが、裏表紙部3の背縁31aよりも小口側へ離間する位置に形成されている。ホルダ部材54は、地側及び小口側の側縁が、それぞれ裏表紙部3の地縁34a及び小口縁32aと固定されている一方、天側の側縁54a及び背側の側縁54bが開口している。ホルダ部材54の天側の側縁54aの位置は特に限定されないが、第3の書類P3の抜け落ちを防止する観点から、裏表紙部3の長辺方向の中央位置よりも天側に配置されていることが好ましい。また、ホルダ部材54の天側の側縁54aと背側の側縁54bとの間の角部は丸みが付けられている。右側ホルダ9の収納量を増加させるために、ホルダ部材54の地側及び小口側の側縁部分にはマチが形成されることが好ましい。なお、ホルダ部材54と裏表紙部3との固定方法は特に限定されず、溶着や接着などを採用することができる。
補助ホルダ11は、第4の書類P4を収納する機能を有しており、表表紙部2の内面2a側に設けられている。補助ホルダ11は、表表紙部2の内面2aにホルダ部材56を固定することによって構成される。ホルダ部材56は、表表紙部2の地側の一部の領域を覆うように配置された略矩形状のシート状の部材である。ホルダ部材56は、地側及び小口側の側縁が、表表紙部2の地縁24a、及び表表紙部2の小口縁22aと略一致する。一方、ホルダ部材56は、天側の側縁56aが、表表紙部2の天縁23aよりも地側へ離間する位置に形成されている。また、ホルダ部材56は、背側の側縁56bが、表表紙部2の背縁21aよりも小口側へ離間する位置に形成されている。ホルダ部材56は、地側及び小口側の側縁が、それぞれ表表紙部2の地縁24a及び小口縁22aと固定されている一方、天側の側縁56a及び背側の側縁56bが開口している。ホルダ部材56の天側の側縁56aの位置は特に限定されないが、第4の書類P4の抜け落ちを防止する観点から、表表紙部2の長辺方向の中央位置よりも天側に配置されていることが好ましい。また、ホルダ部材56の天側の側縁56aと背側の側縁56bとの間の角部は丸みが付けられている。補助ホルダ11の収納量を増加させるために、ホルダ部材56の地側及び小口側の側縁部分にはマチが形成されることが好ましい。なお、ホルダ部材56と表表紙部2との固定方法は特に限定されず、溶着や接着などを採用することができる。また、補助ホルダ11には(例えば図3においてAEで示すエリア)所訓や事務所のスローガンなどを印字してもよい。
次に、各部材の材質等について説明する。表表紙部2、裏表紙部3、及び背部4を構成する基板BPとして、強度の高い硬質の材質が用いられている。基板BPは、少なくともクリアファイル6、シート7、補助ポケット12、ホルダ部材53,54,56の材質よりも強度が高く変形し難い材質が用いられている。基板BPの具体的な材質は特に限定されないが、ファイル1を本棚に(縦方向、横方向問わず)立てかけたときに、ファイル1全体が変形することなく姿勢を維持することができ、ゴム紐などでファイル1を留めたときにファイル1全体が変形して丸まらない程度の強度があればよい。例えば、基板BPの材質として、厚み0.4〜1mm程度のプラスチック材(例えばPP材など)や、厚紙などを用いることができる。クリアファイル6、シート7、補助ポケット12、ホルダ部材53,54,56の材質も特に限定されず、書類を収納して保持できる程度の強度があれば特に限定されず、例えば薄膜状のプラスチック材(例えば、0.2mm程度のPP材など)などを用いることができる。当該材質として、基板BPとは異なり、ある程度の変形を許容する材質とすることで、収納される書類の枚数が増えた場合にも対応し易くなる。各材質の色は特に限定されないが、基板BPは、透明(または白濁色)ではなく、業務内容に応じて色が付されていることが好ましい。一方、クリアファイル6、シート7、補助ポケット12、ホルダ部材53,54,56は、内容物を外から確認できるように透明(または白濁色)であることが好ましい。なお、透明性の材質であれば、基板BPと同色の色が付されていてもよい。
次に、図8〜図11を参照し、ファイル1を用いて工業所有権に関する業務行う方法について説明する。ここでは、国内案件の特許出願業務の業務支援方法の一例について説明する。
まず、図8に示すような、案件に関する基本情報が記載された第1の書類P1を出力する。第1の書類P1の天側の側縁部分P1a及び小口側の側縁部分P1bには、業務に係る案件に関する識別情報が記載されている。具体的には、天側の側縁部分P1aには、識別情報として、案件の担当者名、所内ケース番号(及びクライアントのケース番号)が記載されている。小口側の側縁部分P1bには、識別情報として、所内ケース番号が記載されている。次に、図8に示すように、第1の書類P1をファイル1のクリアファイル6へ挿入する。このとき、第1の書類P1の天側の側縁部分P1aは、クリアファイル6の天側の延出縁部分43の位置に配置され、小口側の側縁部分P1bは、クリアファイル6の小口側の延出縁部分42の位置に配置される。すなわち、第1の書類P1の天側の側縁部分P1aに記載された識別情報は、表表紙部2の外面2bよりも天縁部分23から外側の位置に表示され、小口側の側縁部分P1bに記載された識別情報は、表表紙部2の外面2bよりも小口縁部分22から外側の位置に表示される。当該工程は、主に事務員によって実行される。なお、補助ポケット12には、適宜、第5の書類P5(例えば、担当者決定シートなど)が収納され、必要なタイミングで処分される。
次に、図9に示すように、ファイル1の表表紙部2と裏表紙部3とを開く。出願指示シートや書誌的事項の書類などの第2の書類P2が左側ホルダ8に挿入される。当該工程は、主に事務者業者によって実行される。次に、図10に示すように、クライアントからの受託書類や送付資料などの第3の書類P3が右側ホルダ9に挿入される。当該工程は、事務員(必要に応じて案件の担当技術者)によって実行される。
必要な書類の収納が完了すると、ファイル1は案件の担当技術者へ渡される。図10に示すように、担当技術者は、明細書作成に際して、クライアントとのやり取りの中で、記録として残しておく必要のある書類が発生した場合は、第3の書類として右側ホルダ9に収納する。また、担当技術者は、作業用の技術資料や下図など、記録として残しておく必要のない第4の書類P4については、シート7を開くと共に補助ホルダ11へ挿入する。
明細書作成が完了し、出願を行う際、担当技術者は左側ホルダ8に収納されている出願指示シートに記入し、事務員へファイル1を渡す。出願が完了すると、事務員は、必要な情報の電子化作業を実行する。当該工程では、記録に残しておく必要のある書類をスキャンすることによって電子化し、不要な書類については電子化することなく速やかに破棄する。具体的には、図11に示すように、事務員は、第2の書類P2及び第3の書類P3については、スキャンすることで電子化した後に、破棄する。一方、事務員は、第1の書類P1及び第4の書類P4については、スキャンによる電子化を介することなく破棄する。
出願完了案件についての書類の破棄が完了した後、空になったファイル1は別の案件について再度利用される。
次に、本実施形態に係るファイル1の作用・効果について説明する。
まず、工業所有権に関する業務においては、従来、包袋情報に関する書類やクライアントとのやり取りに関する書類をファイルに保存しておき、ファイル庫などに保管していた。すなわち、書類に穴開けパンチにて穴を開け、直接ファイルに綴じていた。また、案件についての担当者情報や識別番号や出願番号なども、直接ファイルに手書などで記載(またはシールの貼り付け)していた。
しかしながら、業務効率や保管性の観点から、必要な情報を物理的な書類としてではなく、電子化されたデータとして保管することが求められている。一方、最終的な保管自体はデータとして保管するものの、明細書作成を行う際や、受託から出願完了に至るまでの所内でのやり取りに関しては、完全にデータのみで行うよりも、一時的に物理的な書類を介した方が作業効率がよい。すなわち、書類保管用としてのファイルではなく、電子化を前提として一時的に書類を保持しておくためのファイルが必要となる。
このようなファイルは、最終的に書類を全て取り出してスキャンする必要があるため、穴開けパンチの穴を綴じるタイプのものは適切でなく、また書類の電子化後は別の案件にてファイルを再利用する必要があるため、案件固有の識別情報などを直接書き込むタイプのものも適切ではない。従って、書類の電子化を前提としたファイルとして、例えば特許文献1のようなカルテファイルを流用することが考えられる。
ここで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、工業所有権に関する業務という特定の用途において上述のようなカルテファイルを単純に流用した場合、以下に示すような種々の課題が発生することを見出すに至った。
まず、カルテファイル100は、薄膜状のプラスチックシートのみで構成されているためにファイル全体としての強度が弱い。例えば医療現場などでは専用のカルテ保管庫にカルテファイル100を平積みで保管し、必要なタイミングでカルテ保管庫から取り出し、医師は診断時などに自分のデスクにおいておけばよく、使用後は直ちに戻せばよい。しかしながら、工業所有権に関する業務においては、一人の技術担当者が処理する案件数、また一人の事務員が事務処理する案件数が極めて多く、自分のデスクやデスク周辺に一時的に保管しておくべきファイルの数が多くなる。従って、本棚やブックエンドなどに立て置きすることが要求されるが、カルテファイル100を用いた場合、図12(a)に示すように、ファイル本体が曲がってしまい、姿勢を保持できない。このような状況では、重要書類が抜け落ちてしまう可能性があるため、平積み以外の置き方では一時保管しておくことができない。また、工業所有権に関する業務では、ファイルと共にクライアントからの指示FAXなどを添えて技術担当者に渡すことが多く、ファイル本体をFAX紙面などと共にゴム紐でくくる場合が多い。しかしながら、強度の弱いカルテファイル100では、図12(b)に示すように、ゴム紐GBの弾性力に負けてカルテファイル100が丸まってしまう。このような状況では、取り扱いが極めて不便になる上、FAX紙面などが抜け落ちる可能性もあり、作業効率の著しい低下を招く。
上述のようにカルテファイル100を一時保管するには平積みで置くしかないが、一時的に保管するべきファイルの数が多いため、平積みの山が極めて大きくなる。この場合、図13(a)に示すように、平積みの状態では案件のケース番号を外から目視することができない。従って、所望の案件ファイルを探す場合、図13(b)に示すように、ファイルの山をめくってケース番号を目視する必要がある。平積の山が大きい場合は、ファイルの山をめくる作業負担が大きくなり、場合によっては山が崩れて重要書類がファイルから抜け落ちる虞もある。ここで、図13(c)に示すように、カルテファイル100にはタグTGを挿入するためのタグホルダ101が表紙部の側縁部分に形成されている。しかしながら、タグTGにケース番号を記入して(またはシールなどを貼り付ける)挿入するという作業は、一度に大量の案件を極めて高速で事務処理する事務員にとっては、大きな作業負担となる。更に、挿入した後も、タグTGはタグホルダ101から落ち易く、一度落ちたらケース番号が特定し難くなり、作業効率の低下を招く虞がある。
また、技術担当者及び事務員のデスク周辺には案件のファイルのみならず、技術資料や参考文献や他の指示書類なども多数存在している場合が多く、そのような書類を収納したクリアファイルと案件のファイルとが同じ山に平積みされる場合がある。ここで、カルテファイル100は通常のクリアファイルと同様の素材にて構成されており、平積みにした場合に、案件のファイルがクリアファイルの中に埋もれてしまい、所望のファイルを探す作業の負荷が一層大きくなる。
上述のような課題に鑑みて、更なる鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、工業所有権に関する業務を支援するためのファイルとして最適な構造を見出すに至り、本実施形態に係るファイル1を完成するに至った。
すなわち、本実施形態に係るファイル1において、表表紙部2の外面2bには、第1の書類P1を収納する平袋状のクリアファイル6が設けられている。当該クリアファイル6は、表表紙部2の外面2bを覆うと共に、天側の延出縁部分43が、表表紙部2の天縁部分23から外面2bより外側に延出すると共に、小口側の延出縁部分42が、表表紙部2の小口縁部分22から外面2bより外側に延出している。更に、表表紙部2、裏表紙部3、背部4を構成する基板BPとして、強度の高い材質を採用している。
このような構成によって、ファイル1を横置き及び縦置きしても基板BPで支持されてファイル1全体の姿勢が維持される。従って、本棚やデスクにファイル1を横置き及び縦置きによって保管することが可能となり(例えば図14及び図15参照)、効率的に案件のファイル1を管理することが可能となる。更には、クリアファイル6の延出縁部分42,43が表表紙部2の側縁部分22,23からそれぞれ延出しているため、クリアファイル6に第1の書類P1を挿入すると、第1の書類P1の天側の側縁部分P1aに記載された識別情報は、表表紙部2の外面2bよりも天縁部分23から外側の位置に表示され、小口側の側縁部分P1bに記載された識別情報は、表表紙部2の外面2bよりも小口縁部分22から外側の位置に表示される。従って、複数のファイル1を並べておいた場合であっても、ケース番号などの識別情報が隣のファイル1の裏表紙部3などで隠されることなく、外から見ても直ちに識別情報を確認することが可能となる。すなわち、案件の基本情報などが記載されている第1の書類P1をクリアファイル6に挿入する作業と同時に、容易にタグを形成することができる。
従来のカルテファイル100のタグTGは、規格寸法に基づくサイズではなく、専用サイズの用紙であるため、手書きでケース番号を記入するか、特別な印刷機を使用する必要が生じる。しかしながら、本実施形態に係るファイル1では、規格寸法に基づいたA4用紙を用いているため、基本情報を入力する際に側縁部分に識別情報を合わせて入力しておけば、一般的に用いられるプリンタで容易にタグ(タグ同等の物)を作成することができる。
また、従来のカルテファイル100のタグTGは小さく、簡単に抜け落ちるものであったが、本実施形態ではタグとして機能する部分が、大きなA4用紙の中の側縁部分である。すなわち、A4用紙自体がクリアファイル6から抜け落ちない限り、識別情報がファイル1から抜け落ちるということがない。ここで、本実施形態では、第1の書類P1に該当する用紙の抜け落ちを確実に防止できる構造が採用されている。
まず、第1の書類P1の収納部として、高い強度の表表紙部2に支持されている平袋状のクリアファイル6を採用している。これにより、第1の書類P1の用紙は、クリアファイル6の内側シート46と外側シート47とで挟み込まれた状態にて、延出縁部分42,43を除いた略全領域が表表紙部2に支持されて姿勢が維持される。これによって、第1の書類P1は高い保持力で保持され、抜け落ちが確実に防止される。
また、例えば、一般的なクリアファイルのように、天縁のみならず小口縁の合計二辺で開口しているタイプのものをクリアファイル6として採用した場合、第1の書類P1の入れ易さは向上するものの、抜け落ち易さの可能性は向上してしまう。また、当該箇所に書類を入れ易すぎるクリアファイルを設置した場合、使用者が別書類の一時的な仮置き場として使用する可能性が高まり、当該書類を抜き出すことを忘れ、結果的に基本情報や識別情報が隠れてしまう可能性も生じる。しかしながら、本実施形態では、クリアファイル6が天側の延出縁43aのみで開口するものであるため、第1の書類P1の保持力を極めて高くすることができる。また、開口部を天側の延出縁43aの一辺のみに敢えて規制することで、不要な書類が収納されることを防止し、重要な情報が常に表紙の箇所で確認できるようにすることができる。一方で、補助ポケット12をクリアファイル6に設けることで、書類の一時的な仮置き場を確保するとの要求も満たすことができる。
また、例えば、クリアファイル6の短辺寸法を大きくすることで開口部48の幅を大きくし過ぎた場合、第1の書類P1の入れ易さは向上するものの、クリアファイル6の内部で、第1の書類P1が背側に移動してしまい、第1の書類P1の小口側の側縁部分P1bの識別情報がクリアファイル6の小口側の延出縁部分42の位置からずれてしまい、識別情報を外から目視し難くなる可能性がある。一方で、ずれを防止するためにクリアファイル6の短辺寸法を小さくすることで開口部48の幅を小さくし過ぎた場合、第1の書類P1の入れ易さが低下する。本実施形態では、背側で溶着(接着)することで内側シート46と外側シート47の密着性が高く、小口側で内側シート46と外側シート47との間の折り目(すなわち延出縁43a)付近にて僅かに膨らむ形状となっている(例えば図5参照)。すなわち、背側に比して小口側の方が用紙を通し易く、挿入後も背側には用紙が寄り難い構成となっている。このような構成により、開口部48の幅は大きく確保しつつも、第1の書類P1の用紙が背側へ寄ってしまうことを確実に防止し、小口側の側縁部分P1bの識別情報を確認し易くすることができる。
また、本実施形態に係るファイル1では、基板BPの強度が高いため、ファイル1全体をゴム紐で留めても丸まってしまうことを確実に防止することができる(例えば図14参照)。これによって、書類の抜け落ちなどを確実に防止できる。更に、強度を高めることで、一の案件の処理が終了した後も、繰り返し再利用することができる。
ここで、小口側の延出縁部分42は表表紙部2で支持されていない部分であり、ゴム紐の弾性力によって折れ曲がる可能性がある。当該部分が折れ曲がり、曲げ痕がついてしまった場合、次の案件でファイル1の再利用時に、クリアファイル6に第1の書類P1を挿入する途中で、当該曲げ痕において挿入が妨げられて作業効率に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本実施形態に係るファイル1では、当該折れ曲がりを防止するための構成が採用されている。具体的には、小口側の延出縁部分42の延出量を過剰に大きく確保せず、ケース番号を記載できる程度の範囲に抑えることで、折り曲げを防止している。また、クリアファイル6に補助ポケット12を設け、当該補助ポケット12の天側の側縁49aをクリアファイル6の中央位置よりも天側に配置されている。これによって、補助ポケット12は、クリアファイル6のうち、ゴム紐が巻かれ得る領域を補強することができる。また、シート7が表表紙部2の小口縁部分22に連結されていることにより、当該連結部51が、延出縁部分42付近を補強する機能を有する。
また、書類の量に従いファイル1が厚くなることで、ゴム紐の弾性力が大きくなる場合があるが、このような状況においても延出縁部分42の折れ曲がりを防止できる構造が採用されている。例えば、図5に示すように書類が少なく、折り曲げ線L1のみを折り曲げているときは、延出縁42aが裏表紙部3の小口縁32aよりも大きく延出している。従って、ゴム紐GBは急角度で延出縁部分42を引っ張るような位置関係となるが、ファイル1が薄くゴム紐GBの弾性力自体が小さいので折り曲げは防止される。次に、図6に示すように書類が増加し、折り曲げ線L1,L2を折り曲げているときは、延出縁42aの裏表紙部3の小口縁32aに対する延出量が減少する。従って、ゴム紐GBの弾性力自体は大きくなるものの、ゴム紐GBの延出縁部分42の引張り角度を減少させることができるので、折り曲げは防止される。次に、図7に示すように書類が更に増加し、折り曲げ線L1,L3を折り曲げているときは、延出縁42aと裏表紙部3の小口縁32aの位置が略一致する。従って、ゴム紐GBの弾性力自体は大きくなるものの、ゴム紐GBの延出縁部分42の引張り角度を略垂直にすることができるので、折り曲げは防止される。以上のように、ゴム紐GBの弾性力に合わせて(すなわちファイル1の厚み)ゴム紐GBによる延出縁部分42の引張り角度を調整可能な構成となっているため、書類の量によらず延出縁部分42の折れ曲がりを防止できる。
また、本実施形態では、基板BPとして色付の材質を採用することで、外部から目視できる表表紙部2、裏表紙部3、背部4の色を識別することができる。これによって、使用者は、他の透明なクリアファイルなどとは明らかに異なるファイルであることを一見して認識することができる。従って、他のファイルなどと同じ山に積まれていたとしても、案件のファイル1が埋もれてしまうことを防止することができる。また、特許出願案件、特許外国案件、意匠案件…などのように、法域や国内外の案件ごとに色を分けることによって、一層識別性が高まり、作業効率を大幅に向上させることができる。なお、クリアファイル6をずらすことによって、表表紙部2の外面2bが、背縁部分21及び地縁部分24において露出する。従って、表表紙部2の外面2bを第1の書類1で覆っても一部を露出させて色を目視できるようにすることで、表紙側からもファイル1の色を確実に認識することができる。
ここで、各ホルダ8,9,11の最適な構成による作用・効果について説明する。まず、一例として図16に示すように、シート7が背側で連結されているファイル300について考える。このような構成では、ファイル1の表表紙部2と裏表紙部3を開いた直後においては、ホルダ8及びホルダ9が表に現れる(図中D1方向にページがめくれ、ホルダ11がシート7に覆われた状態)場合と、ホルダ11のみが表に現れる(図中D2方向にページがめくれ、ホルダ8,9がシート7に覆われた状態)場合の、二パターンの状態となる。このように無意識にファイル300を開いた直後の状態が、一定に定まらない場合、どのホルダにどの書類を入れるべきかを直感的に理解することができない可能性がある。また、シート7が、ホルダ9とホルダ11との間(すなわち背部4)で連結され、当該連結部でページをめくるような構成であるため、各ホルダ9,11のいずれかの書類が膨大になったときに、背部4付近において、シート7が当該書類の束と干渉して不自然に折れ曲がってしまう可能性がある。
一方、本実施形態に係るファイル1は、表表紙部2の内面2aを覆うシート7に左側ホルダ8が設けられ、裏表紙部3に右側ホルダ9が設けられ、表表紙部2の内面2aに補助ホルダ11が設けられている。また、シート7は、表表紙部2の小口縁部分22に連結され、当該連結部51を折り曲げ部として開閉可能に構成されている。更に、左側ホルダ8は、シート7の表面7a側に設けられている。
このような構成では、ファイル1を開いた直後の状態(図2の状態)では、左側ホルダ8と右側ホルダ9のみが表に現れ、補助ホルダ11はシート7で覆われて使用できない状態となっている。補助ホルダ11を使用するためには、使用者が意図的にシート7をめくらなければならない。このように、無意識にファイル1を開いても(二パターンの状態となる図16のファイル300とは異なり)ホルダ8,9が表に現れる状態にしかならない。これにより、使用者は、最終的にスキャンして電子化するべき重要な書類P2,P3は、ファイル1を開いて直ちに現れるホルダ8,9に収納すればよいと直感的に理解することができる。また、スキャンを行う際も、ファイル1を開いて直ちに現れるホルダ8,9に収納されている書類をスキャンすればよいと直感的に理解することができる。一方、一時的に保管しておけばよい資料などの書類P4(電子化することなく破棄する)に関しては、シート7に覆われて隠されている補助ホルダ11を使用すればよいと直感的に理解することができる。また、スキャンを行う際も、シート7の裏側に隠れている書類については、電子化することなく破棄すればよいことを直感的に理解することができる。以上によって、電子化を行うことを前提としたファイルの収納が極めて分かり易くなるともに、電子化の作業も極めて効率的になる。
また、シート7が表表紙部2の(図16のファイル30のように背縁部分21ではなく)小口縁部分22に連結されており、補助ホルダ11と右側ホルダ9とで挟まれる部分(すなわち背部4)から離間している。従ってホルダ9,11のいずれかの書類の束が厚くなっても、背部4付近で不自然に折り曲げられることを回避できる。更に、本実施形態では、連結部51付近にシート7の膨らみを設ける構成を採用することで、補助ホルダ11の書類の束が厚くなっても連結部51付近でシート7が不自然に折り曲げられることを回避できる。これによって、ファイル1の再利用性が向上する。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、A4用紙の規格寸法に基づいた大きさのファイルについて説明したが、基準とする規格寸法は特に限定されず、A5、B5、B4その他の規格寸法を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、クリアファイルは天側及び小口側の両方から延出する構成であったが、地側及び小口側から延出する構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、クリアファイルから表表紙部の一部が露出する構成であったが、クリアファイルが表表紙部の全面を覆う構成であってもよい。この場合、第1の書類P1のずれを規制するため、上述の実施形態のファイル1で固定縁41aに該当する部分に、規制部として溶着を施し、固定縁44aに該当する部分に、規制部として溶着を施してよい。
また、シート7及びホルダ8が設けられておらず、表表紙部のホルダ及び裏表紙部のホルダの二つのみが設けられている構成としてもよい。