JP5300583B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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この種の導波管スロットアレーアンテナ装置の導波管に電波を給電すると、導波管内部の管壁を流れる電流がスロットにより分断されるので、スロットから電波が放射される。
したがって、各スロットの放射抵抗を、導波管のインピーダンスよりも小さく設定する必要がある。特に、アンテナ装置が多数のスロットから構成される場合には、各スロットの放射抵抗を非常に小さい値に設定する必要がある。
一方、給電導波管の根元にインピーダンス変成器などを設けてインピーダンス整合を図る方法も考えられるが、インピーダンス変成器を設けたことによって、導波管スロットアレーアンテナ装置が動作し得る周波数帯域が狭くなるという課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図2は図1に示したアンテナ装置の側断面図である。
図1および図2において、アンテナ装置を構成する給電導波管(以下、単に「導波管」という)1は、金属からなり、導波管1の管軸に対して垂直方向の断面形状は、たとえば図示したように矩形を有する。なお、スロット2の長手方向は、導波管1の管軸方向に対して平行または斜めに設定されていてもよい。
スロット2が設けられる管壁1aは、たとえば図示したように導波管1の幅広面の上方に位置している。
誘電体基板3とスロット2との間の空隙間隔Gは、たとえば、0.1波長程度に設定されている。
また、誘電体基板の厚さtは、誘電体基板3の内部の管内波長の1/4程度(約1/4管内波長)に設定されている。
まず、導波管1に電波を入力すると、管壁1aに流れる電流は、スロット2により分断されるので、スロット2には電界が誘起されて、誘電体基板3の方向(図中の上方方向)に電波が放射される。このとき、誘電体基板3に入射した電波は、その一部がスロット2側に反射されるが、最終的には空間へと放射される。
図3はアンテナ装置のインピーダンス特性を示す説明図であり、横軸(0.8〜1.2)は規格化周波数の値を示し、縦軸(−1.5〜1.5)は、導波管のインピーダンスを「1」とした場合の規格化インピーダンスの値を示している。なお、ここでは、比較のために、誘電体基板3を有していない従来装置のインピーダンス特性も併記している。
図4はこの発明の実施の形態1による放射抵抗特性の変化を示す説明図であり、空隙間隔Gを、「0.1波長」から、「0.2波長」、「0.3波長」へと、順次変化させた場合の放射抵抗特性7a1〜7a3を示している。
図4においては、図3内の放射抵抗特性7aについて、縦軸(規格化インピーダンス)方向の「0〜1」の範囲のみを拡大して示している。
図4から明らかなように、空隙間隔Gを変化させることにより、スロット2の放射抵抗値の調整が可能であることが分かる。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
なお、上記実施の形態1(図1、図2)では、スロット2に対して空隙間隔Gを介して誘電体基板3を設置したが、図5および図6に示すように、スロット2Aに対して密着して誘電体基板3を設置してもよい。
図5および図6において、前述(図1、図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
図5、図6に示したこの発明の実施の形態2における動作原理は、前述の実施の形態1(図1〜図4)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
なお、上記実施の形態1(図1、図2)では、導波管1の上面とほぼ同一面積の誘電体基板3を設置したが、図7および図8に示すように、ブロック化された有限形状を有する誘電体基板3Bを設置し、スロット2Bに対する空隙間隔Gにおいて、支持構造10を介して誘電体基板3Bをスロット2Bに保持してもよい。
図7および図8において、前述(図1、図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して詳述を省略する。
したがって、図7、図8に示したこの発明の実施の形態3における動作原理は、前述の実施の形態1(図1〜図4)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
また、誘電体基板3Bをブロック状に形成したので、スロット2Bを複数個設けてアレーアンテナ装置を構成した場合には、個々のスロット2Bに対して独立にインピーダンス調整を行うことができる。
さらに、誘電体基板3Bをブロック状に形成したので、誘電体基板3Bと管壁1aとの間を伝搬する表面波の影響を抑制することができる。
なお、上記実施の形態3(図7、図8)では、前述の実施の形態1(図1、図2)の構成にブロック状の誘電体基板3Bを適用したが、図9および図10に示すように、前述の実施の形態2(図5、図6)の構成にブロック状の誘電体基板3Bを適用してもよい。
図9および図10において、前述(図1、図2、図7、図8参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
したがって、図9、図10に示したこの発明の実施の形態4における動作原理は、前述の実施の形態3(図7、図8)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
さらに、誘電体基板3Bをブロック状に形成したので、誘電体基板3Bと管壁1aとの間を伝搬する表面波の影響を抑制することができる。
なお、上記実施の形態1、3(図1、図2、図7、図8)では、導波管1の管壁1aの上面に空隙間隔Gを形成したが、図11に示すように、スロット2の放射領域にキャビティ形成部11を設けてもよい。
図11はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の側断面図であり、前述(図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
この場合、誘電体基板3は、キャビティ形成部11の開放端に密着して設置されており、スロット2と誘電体基板3との空隙間隔Gは、キャビティ形成部11の深さにより確保されている。
したがって、図11に示したこの発明の実施の形態5における動作原理は、前述の実施の形態1(図1〜図4)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
また、スロット2と誘電体基板3との間の空隙間隔Gを、キャビティ形成部11の深さにより保持したので、誘電体基板3と管壁1aとの間を伝搬する表面波の影響を抑制することができる。
なお、上記実施の形態5(図11)では、スロット2の放射領域にキャビティ形成部11を設けたが、図12に示すように、金属壁12をキャビティ形成部11を構成する管壁1aの上方に、キャビティ形成部11を取り囲むように設けてもよい。
図12はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の側断面図であり、図13は図12の正面図である。図12および図13において、前述(図11参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して記述を省略する。
したがって、図12、図13に示したこの発明の実施の形態6における動作原理は、前述の実施の形態1(図1〜図4)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
さらに、誘電体基板3Bと管壁1aとの間を伝搬する表面波を、金属壁12が遮蔽するので、表面波の影響を抑制することができる。
なお、上記実施の形態6(図12、図13)では、金属壁12を、キャビティ形成部11を構成する管壁1aの上方に、キャビティ形成部11を取り囲むように設けたが、図14に示すように、両面が導体薄膜14で被膜され、かつ、導体薄膜14の一部がくり抜かれ、両面の導体薄膜14を短絡するように、複数のスルーホール13を具備し、かつ、スルーホール13は導体薄膜のくり抜き部を取り囲むように形成された誘電体基板3Cを、キャビティ形成部11を構成する管壁1aの上方に設けてもよい。
図14はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の側断面図であり、図15は図14の正面図である。図14および図15において、前述(図11参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して記述を省略する。
したがって、図14、図15に示したこの発明の実施の形態7における動作原理は、前述の実施の形態1(図1〜図4)の場合と同様である。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
さらに、誘電体基板3Bと管壁1aとの間を伝搬する表面波をスルーホール13が遮蔽するので、表面波の影響を抑制することができる。
なお、上記実施の形態1〜7(図1〜図15)では、単一のスロット2、2A、2Bに対して誘電体基板3、3B、3Cを設置したが、図16および図17に示すように、複数のスロット2a〜2eに対して誘電体基板3を設置して、アレーアンテナを構成してもよい。
図16はこの発明の実施の形態8に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図17は図16に示したアンテナ装置の側断面図である。
ここでは、代表的に、前述の実施の形態1の構成を用いてアレーアンテナを構成した場合を示しているが、前述の実施の形態1〜7のいずれの構成を適用してもよい。
また、導波管1の一端は短絡端1bを構成しており、短絡端1bと、短絡端1bに最も近いスロット2eとの間の距離Dは、たとえば導波管1の管内波長の1/2の値に設定されている。
図18において、各スロット2a〜2eのインピーダンスZa〜Zeは、導波管1のインピーダンスを「1」とする規格化インピーダンスに設定されているものとする。
図18から明らかなように、この発明の実施の形態8に係るアンテナ装置の入力インピーダンスは、各スロット2a〜2eのインピーダンスZa〜Zeの総和となる。
したがって、各スロット2a〜2eのインピーダンスZa〜Zeは、導波管1の規格化インピーダンスに対して十分小さく設定することが可能であり、かつ空隙間隔Gを調整することにより、その値を自由に調整することができる。
また、インピーダンス変成器を設けなくても、インピーダンス整合が可能になるので、従来装置と比べて広帯域化を実現することができる。
さらに、上記実施の形態1〜8では、スロット2、2A、2B、2a〜2eが設けられる管壁1aとして、導波管1の幅広面(上下面)の管壁を選択したが、導波管1の幅狭面(左右面)の管壁を選択しても同様の効果を奏することができる。
Claims (9)
- 導波管と、
前記導波管の管壁に設けられたスロットと、
厚さが1/4管内波長の誘電体基板と、を備え、
前記誘電体基板は、前記スロットの放射領域において、前記スロットに対して空隙間隔を介して設置されたことを特徴とするアンテナ装置。 - 前記誘電体基板は、ブロック化された有限形状を有しており、前記スロットに対する空隙間隔において、支持構造を介して前記スロットに保持されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記スロットの放射領域に設けられたキャビティ形成部を備え、
前記キャビティ形成部は、一方が開放された金属からなり、
前記誘電体基板は、前記キャビティ形成部により保持されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。 - 前記キャビティ形成部を取り囲むように、キャビティ形成部を構成する管壁の上方に金属壁が設けられ、前記金属壁で取り囲まれる領域内に、前記ブロック化された有限形状を有する誘電体基板が保持されたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
- 前記誘電体基板は、両面が導体薄膜で被膜され、かつ、前記導体薄膜の一部がくり抜かれ、前記両面の導体薄膜を短絡するように複数のスルーホールが配列され、かつ、前記スルーホール群は前記導体薄膜のくり抜き部を取り囲むように形成されたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
- 前記スロットの長手方向は、前記導波管の管軸方向に対して平行に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記スロットの長手方向は、前記導波管の管軸方向に対して垂直に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記スロットの長手方向は、前記導波管の管軸方向に対して斜めに設定されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記スロットは、1つの導波管に対して複数個のスロットからなり、アレーアンテナを構成したことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
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