以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、画像の白地分を覆う透明画像が有色画像側へ所定幅オーバーラップして形成される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、1台完結の画像形成装置でなくて、選択的に機器を組み合わせて構成される画像形成システムとしても実施できる。すなわち、透明トナーで画像形成する画像形成部及び定着装置をオプション装置として用意し、これを「4色のトナーで画像形成するフルカラー画像形成装置」に選択的に連結する画像形成システムを含む。つまり、この場合、定着装置は、4色のトナーで画像形成するフルカラー画像形成装置側と、透明トナーで画像形成するオプション装置側とで合計2台が設置される。
実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置や透明画像に関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。また、請求項で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態中の該当する部材等に構成を限定する趣旨のものではない。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は画像形成部及び二次転写部の構成の説明図である。
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、FAX機能を併せ持つタンデム型のフルカラー複合機である。画像形成装置100は、中間転写ベルト7の回転方向に沿って、上流側から下流側にかけて5個の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sd、Seを配設している。
画像形成部Saは、感光ドラム1aに透明トナー像を形成して、一次転写部T1aにて中間転写ベルト7に一次転写する。画像形成部Sbは、感光ドラム1bにイエロートナー像を形成して、一次転写部T1bにて、透明トナー像を担持した中間転写ベルト7に一次転写する。画像形成部Scは、感光ドラム1cにマゼンタトナー像を形成して、一次転写部T1cにて、透明トナー像及びイエロートナー像を担持した中間転写ベルト7に一次転写する。画像形成部Sd、Seは、感光ドラム1d、1eにそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像を形成して、一次転写部T1d、T1eにて中間転写ベルト7に一次転写する。
中間転写ベルト7に一次転写されたこれら5色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて、記録材Pへ一括二次転写される。記録材Pは、記録材供給カセット20に積載された状態で収納されている。記録材Pは、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等を有する不図示の記録材給送機構によって二次転写部T2へ給送される。不図示のレジストローラにて記録材Pを待機させて、中間転写ベルト7に担持された5色のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ送り込む。
二次転写部T2を通過する記録材Pの表面に、中間転写ベルト7に担持された5色5層のトナー像が一括二次転写される。5色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置13で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、画像形成装置100の外部へ排出される。
中間転写ベルト7は、一次転写ローラ5a、5b、5c、5d、5e、二次転写対向ローラ8、テンションローラ16、17に掛け渡して支持される。中間転写ベルト7は、駆動ローラを兼ねた二次転写対向ローラ8に駆動されて、感光ドラム1a、1b、1c、1dの回転速度(プロセススピード)とほぼ同じ速度にて、矢印R7方向に回転する。
中間転写ベルト7の表面におけるテンションローラ17に対応する位置には、ベルトクリーニング装置12が当接されている。ベルトクリーニング装置12は、中間転写ベルト7にクリーニングブレードを摺擦させて、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト7の表面に付着した転写残トナーを除去する。
定着装置13は、内側から加熱される定着ローラ14に加圧ローラ15を圧接して構成され、二次転写部T2から受け渡された記録材を加熱加圧しつつ挟持搬送してトナー像を記録材Pの表面に定着させる。
定着装置13の下流側には、不図示の排紙トレイが配設され、トナー像が定着された記録剤Pが排紙トレイ上に排出される。
<トナー像形成手段>
画像形成部Sa、Sb、Sc、Sd、Seは、現像装置4a、4b、4c、4d、4eで用いるトナーの色が透明、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成されて同様に制御される。従って、ここでは、図2を参照して画像形成部Saを説明し、画像形成部Sb、Sc、Sd、Seについては、説明中の符号末尾のaをb、c、d、eと読み替えて説明されるものとする。
図2に示すように、感光ドラム1aは、不図示の駆動モータに駆動されて、矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転する。感光ドラム1aの周囲には、帯電ローラ2a、露光装置3a、現像装置4a、一次転写ローラ5a、クリーニング装置6aが回転方向に沿って配設されている。
帯電ローラ2aは、電源D3から直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を印加されて、感光ドラム1aの表面を接触帯電して、一様な負極性の電位に帯電させる。
露光装置3aは、透明トナー像の画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に透明画像の静電像を書き込む。
現像装置4aは、非磁性トナーを磁性キャリアに混合した二成分現像剤を攪拌して、非磁性トナーを負極性に、磁性キャリアを正極性にそれぞれ帯電させる。帯電した二成分現像剤は、固定磁極4jの周囲で感光ドラム1aとカウンタ方向に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光ドラム1aを摺擦する。
電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光ドラム1aの静電像へ非磁性トナーを移動させて、静電像を反転現像する。
一次転写ローラ5aは、感光ドラム1a側に中間転写ベルト7を挟み込むように圧接されて一次転写部T1aを形成する。電源D1aは、一次転写ローラ5aに正極性の直流電圧を印加して、負極性に帯電して感光ドラム1aに担持されたトナー像を、一次転写部T1aを通過する中間転写ベルト7へ一次転写させる。
クリーニング装置6aは、クリーニングブレードを感光ドラム1aに摺擦して、一次転写部T1aを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーを除去する。
中間転写ベルト7の表面における二次転写対向ローラ8に対応する位置には、二次転写ローラ9が配設されている。二次転写ローラ9は、二次転写対向ローラ8との間に中間転写ベルト7を挟持して、二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間に、記録材に対するトナー像の二次転写部T2を形成する。二次転写対向ローラ8は、接地電位に接続されている。
電源D2は、二次転写ローラ9に正極性の直流電圧を印加して、中間転写ベルト7に担持されたトナー像に重ね合わせて二次転写部T2を挟持搬送される記録材へ静電的にトナー像を移転させる。
ところで、有色トナー像の色濃度が濃い部分は、各色のトナー像が重ねられるため、トナー層が厚くなり、有色トナー像の色濃度が薄い部分は、重ねられるトナー層が薄くなり、特に、白地部ではトナー層が無い状態となる。
この結果、記録材に転写・定着された状態で、画像の高さは、色濃度の違いにより差が生じる。特に、色濃度の高い部分では、あたかも油絵の絵の具で描いた如き光沢を呈するが、色濃度が薄い部分、特に、白地部では光沢がほとんど無くなり、画像の光沢度が不均一であった。
このため、第1実施形態の画像形成装置100では、記録材の画像領域のうち有色画像が形成されない領域に透明画像を付加的に形成する光沢処理を行う。有色トナー像の合計載り量が少ない領域に透明トナー像を重ねて、トナー像全体の高さのばらつき、段差や凹凸を均す。付加的に形成される透明画像が、有色トナーによる画面の凹凸を実質的に補間(平滑化)して、画像全体を通じた部分的な光沢差を少なくする。
ここで、実質的とは、有色画像と透明画像との合計のトナー載り量を完全に平滑する場合だけでなく、光沢度のばらつきが許容できる範囲で、多少の凹凸が残る場合も含む意味である。
また、付加的とは、画像ジョブとして受信した有色画像の画像データから透明画像の画像データを形成して、透明画像の形成領域や透明トナーの載り量を画素単位で制御しているという意味である。画像ジョブとして受信した透明トナー画像(所謂部分クリア画像)を形成するのではなく、有色画像データから付加的に透明画像データが生成される意味である。
透明トナー(T)と有色トナー(CMYK)の違いは、トナーに含まれる着色剤の有無である。有色トナーは、スチレンーアクリルのような樹脂材料を主体とし、そこに顔料や染料のような着色剤を混合して作られるが、透明トナーには、着色剤が混合されていない。ただし、透明トナーの定着後の透明性に影響を与えない範囲であれば、帯電量の制御や流動性の制御を目的として、有色材料を用いた外添剤等が少量加えられてもよい。トナーへの外添剤の添加は一般的に行われているが、透明トナーに関しても、行ったほうが好ましい。このとき、透明トナーが有色トナーの画像形成部Sb、Sc、Sd、Seに混色した場合の悪影響を避けるために、有色トナーと透明トナーとで外添剤の混合条件を揃えておくことが望ましい。
<制御手段>
制御部110は、画像形成ジョブを受信すると、画像形成部Sa、Sb、Sc、Sd、Seを制御して、各色のトナー像を形成して、記録材に転写させる。
制御部110は、画像処理部として、画像形成ジョブの画像データ(RGB)を印字画像データ(CMYK)に変換し、印字画像データ(CMYK)に基づいて透明画像の印字画像データ(T)を演算する。
制御部110は、露光制御部として、露光装置3a、3b、3c、3d、3eを制御して、中間転写ベルト7上で各色のトナー像が重なり合うように、感光ドラム3a等に各色画像の静電像を書き込む。
<比較例>
図3は比較例の画像処理の説明図である。
画層形成装置100では、画像を形成するときに、中間転写ベルト7の回転ムラや感光ドラム1aの振れ、静電像を形成するレーザーの書き出しタイミングのズレ等が起きると、縁が接するべきトナー像が離れたり、重なるべきでないトナー像が重なったりする。いわゆる「色ズレ」現象が発生する。
印字画像データ上では、有色トナー像TNcが形成されない領域にぴったり合わせて透明トナー像TNtの形成領域を設定できる。しかし、実際にトナー像を形成して中間転写ベルト7に転写してみると、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが中間転写ベルト7上で位置ずれしている。
発明者等の検討によると、色ズレの幅は、印字画像データの画素を単位として、静電像書き込みの最小単位である画素数にて1画素以上5画素以下である。そして、透明トナー像と有色トナー像との間で色ズレが発生すると、有色トナー像の境界に目立つ光沢ムラが形成されて画像の品位が著しく低下する。
図3の(a)に示すように、透明トナー像TNtと有色トナー像TNcとが重なるように色ズレした場合を考える。このとき、中間転写ベルト7上には最大載り量である1.5mg/cm2の透明トナー像TNtが一次転写された後に、透明トナー像TNt上に一部重ねて有色トナー像TNcが転写される。中間転写ベルト7上で帯状に重なった透明トナー像TNtと有色トナー像TNcとは、図3の(c)に示すように、記録材Pへ二次転写される。このとき、色ズレして重なっている帯状の領域では、最大載り量の2倍を越えるトナー載り量になっているため、重なっていない領域に比較して、記録材Pへ二次転写される転写効率が著しく低下する。
発明者等の検討によると、通常の二次転写効率は、最大載り量では90%以上を確保できるが、トナー載り量が最大載り量の2倍になると、70〜80%にまで低下する。このため、色ズレして重なっている帯状の領域では、記録材Pに二次転写されるトナー載り量は2.1〜2.4mg/cm2にしかならない。従って、中間転写ベルト7に近い側に担持されていた透明トナー像TNtの大部分は、記録材Pへ転写することなく、中間転写ベルト7へ転写残トナーとして残留してしまう。二次転写の現象として、透明トナー像と有色トナー像とが一定の割合で転写されるのではなく、中間転写ベルト7に接しているトナーが転写されなくなるからである。
つまり、二次転写後の記録材P上には、中間転写ベルト7に担持されていた有色トナー像は、ほぼそのまま二次転写される。しかし、有色トナー像の下になって中間転写ベルト7に担持されていた透明トナー像TNcは、そのほとんどが転写残トナーとして中間転写ベルト7に残り、一部だけが記録材Pの有色トナーTNc上に担持される結果となる。
また、最大載り量以上でトナー像が記録材P上に担持されている場合、定着時に定着ローラ14側へ剥ぎ取られるオフセット損失によって、最上層のトナー像(透明トナー像TNt)が削られて、トナー像の凹凸は更に小さくなる。このため、重なるように色ズレした場合は、画像の光沢ムラがほとんど気にならない、良好な品位の画像が出力できる。
しかし、図3の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが離れるように色ズレが発生すると、透明トナー像TNtと有色トナー像TNcとの隙間は、中間転写ベルト7上では埋めることができない。図3の(d)に示すように、記録材P上でも埋めることができず、そのまま定着されるため、むしろ透明トナー像を使用しない場合よりも光沢ムラが気になる画像となってしまう。
また、光沢ムラは、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとの最大載り量との隙間にだけ発生するのではない。有色トナー像と透明トナー像とが離れるように色ズレして隙間を埋めることができないと、出力画像に有色トナー像TNcの光沢、記録材Pの光沢、透明トナー像TNtの光沢といった全く異なる光沢のスジが発生してしまう。記録材P上のトナー載り量の段差が0.5mg/cm2(最大載り量の1/3)となるような場合でも光沢ムラが気になってしまう。
従って、透明トナー像によって表面光沢を均す方法は、有色トナー像TNcに対して透明トナー像TNtが位置ずれして形成された場合、余計に凹凸や光沢ムラが目立ってしまい、画像品質を損ねてしまう。
<実施例1>
図4は実施例1の画像処理の説明図、図5は実施例1の制御のフローチャート、図6は補正領域の設定処理の説明図である。図7は透明トナーの載り量の設定の説明図、図8は有色トナー像と透明トナー像とが記録材に転写された状態の説明図である。
図4の(a)に示すように、実施例1では、透明トナー像TNtを用いることで画像全体の光沢を均一化する処理において、有色トナー像TNcと重ならない透明トナー像TNtを、意図的に拡大させて画像を形成する。具体的には、印字画像データ上で、有色トナー像TNcにオーバーラップさせて、透明トナー像TNoの形成領域を設定している。
図4の(c)に示すように、従来の透明トナー像TNtを透明トナー像TNoで縁取りしているため、色ズレが生じていない場合でも、記録材P上で透明トナー像TNoが有色トナー像TNcに重なってしまう。しかし、上述した二次転写効率の低下と定着時のオフセット損失によってトナー段差がほとんど解消されるため、画像の光沢ムラは気にならない。
図4の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが色ズレの最大値である5画素まで離れた場合でも、中間転写ベルト7上の透明トナー像TNoが確実に隙間を埋める。
図4の(d)に示すように、記録材Pに転写しても透明トナー像TNtと有色トナー像TNcとの間にスジ状の隙間が形成されず、記録材Pの光沢の無い面がスジ状に露出することが無い。有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとの間で色ズレが発生した場合でも、画像全体で良好な光沢均一性を達成でき、図3に示した従来技術の問題点が解消されている。
図2に示すように、制御部110は、印字画像データに応じてトナー載り量(単位面積当たりのトナー付着量)を換算し、トナー載り量の総和が一定値以上になるように透明トナー像を形成して記録材上で重ね合わせる。制御部110は、透明画像から透明トナー像のエッジを検知し、合計のトナー載り量が有色トナー像の最大載り量の1/2以上で、幅が最小印字単位である画素の1画素以上〜5画素以下となるように、エッジ外周に透明トナー像の補正領域を設定する。
制御部110は、透明画像が有色画像との境界を越えてその有色画像と所定幅オーバーラップするように、透明画像を形成すべき領域を拡大させる光沢処理を行う。有色トナー像の光沢度が十分な領域に透明トナー像のエッジをオーバーラップさせるように、透明トナー像の画像エッジを補正する。これにより、有色トナー像と透明トナー像との間で色ズレが発生した場合でも、その隙間に確実に透明トナーを供給することができ、光沢均一性に優れた画像を形成できる。
図2を参照して図5に示すように、制御部110は、画像形成ジョブを受信すると、画像データ読込を行う(S101)。入力された画像データは、指定された記録材のサイズや解像度等に応じて、画像の最小単位(画素)毎にRGB各256階調を持たせた画像データに変換される(S102)。
制御部110は、画素毎のRGB情報で構成される画像データを、RGB−CMYK変換して、印字画像データを形成する(S103)。印字画像データは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色成分による最小印字単位(1画素)毎のCMYK各256階調の濃度値で構成される。
RGB−CMYK変換方法としては、例えば3×4のマスキング・マトリクスを用いる方式や、3×3のマトリクスでまずCMYに変換した後、3×4のマトリクスによる所謂墨入れを行ってK画像データを生成する方式等がある。
制御部110は、CMYKの各色印字画像データを展開して、露光装置3b、3c、3d、3eを作動させるためのCMYK各色の印字信号を生成して保持する(S104)。
制御部110は、RGB−CMYK変換して求めたCMYK画像データが最終的な作像工程を経て、その画素にトナーが存在するか否かを判断する(S201)。1画素毎のCMYK濃度値を足し合わせて、CMYK濃度が全く存在しない画素には、画像情報に“1”というデータを待たせ、CMYK濃度が1つでも存在する画素には、“0”というデータを待たせる。これにより、CMYKのトナー像が形成されないで記録材の地肌が露出する領域が判別されて、有色トナー像のエッジを抽出することができる。
制御部110は、“0”というデータを待つ画素毎にCMYK合計のトナー載り量をそれぞれ算出して(S105)、1枚の画像におけるCMYKトナーの合計の最大載り量を求める(S106)。有色トナー像の1画素毎の濃度情報を用いて、重ね合わせた有色トナー像の合計載り量を算出した後、その中から最もトナー載り量が多い箇所の載り量を最大載り量とする。
有色トナー像上に重なる形成領域の透明トナー像と、有色トナー像上に重ならない形成領域の透明トナー像とを別々に算出して、透明トナー像が形成される画素と画素ごとの透明トナー載り量とを計算する。
すなわち、CMYKのトナー像が形成されない“1”の画素には、有色トナー像の最大載り量に対応する載り量が割り当てられる。
一方、CMYKいずれかのトナー像が形成される“0”の画素には、有色トナー像の最大載り量から画素ごとの合計載り量を差し引いた載り量が割り当てられる。
制御部110は、CMYKのトナー像が形成されない“1”の境界に、CMYKのトナー像が形成される“0”の画素側へ5画素分の補正領域を設けて、透明トナー像の形成領域を拡大する(S202)。そして、補正領域における透明トナー像の載り量は、補正を判断した画素と同等の量、つまり有色トナー像の最大載り量に設定される。
しかし、補正を行う5画素分の画素が“1”というデータを持つ場合や、既に補正されて透明トナー像の載り量を付与されている場合には更なる補正は行わない。
制御部110は、算出された1画素毎の透明トナーの載り量を用いて透明トナー像の印字画像データを形成する(S107)。
画像判断(S201)で分岐されて、別々に求められた画素ごとの透明トナー載り量は、重ね合わされて最終的な透明トナー像として求められ、透明トナー像の印字信号として変換される。
制御部110は、透明トナー像の印字画像データを展開して、露光装置3aを作動させるためのT色の印字信号を生成して保持する(S108)。
制御部110は、中間転写ベルト7上で各色のトナー像が重なり合うように、タイミングをずらせて、CMYKT各色の印字信号を露光装置3a、3b、3c、3d、3eに送出して静電像を書き込ませる(S110)。
図7に示すように、有色トナー像の1画素毎のCMYKの濃度値を用いて、1画素に重ね合わせた時の合計のトナー載り量を1画素毎に算出し、1枚の画像の中から最も合計載り量が多い1画素のトナー載り量を最大載り量Nmaxとする。そして、有色トナー像のすべての画素における最大載り量Nmaxと個別のトナー載り量との差が、画素毎の透明トナーの載り量として設定される。
図8に示すように、実施例1では、記録材P上に有色トナー像TNc及び透明トナー像TNtが転写されたとき、最大載り量Nmaxは1.5mg/cm2であり、各色単独での最大載り量は0.6mg/cm2であった。
そして、有色トナー(YMCK)の合計載り量が1.5mg/cm2よりも少ない画素には、透明トナー像の載り量を合計した載り量が1.5mg/cm2となるように透明トナー像が転写される。
これにより、図1に示すように、中間転写ベルト7から記録材Pへ転写される際に、中間転写ベルト7へ残る転写残トナー、あるいは、定着時に定着ローラ14側へ剥ぎ取られるオフセットトナーが画像全体で均一になる。そして、画像全体のトナー載り量が均一化されることで、定着後の画像全体の光沢度が均一化される。トナー像の高さの凹凸(トナー載り量差)を無くすことで、画像の光沢度が均一化される。
図6の(a)に示すように、YMCの有色トナー像が12画素に渡って積層されている場合の補正領域の設定処理を具体的に説明する。
図6の(b)に示すように、YMCKの個別の濃度が設定されている。
図6の(c)に示すように、連続して“1”の画素が続いた場合、最初の“1”の画素に対して“0”の画素側(前側、図中左側)へ5画素の拡大補正を行う。しかし、後側に関しては“1”画素が続いているため、拡大補正を行わない。次の“1”画素対しても、既に拡大補正済みであったり、“1”画素が続いていたりするため、拡大補正を行わない。
このように連続している“1”画素に対して拡大補正を行っていくと、図6の(d)で示すように、拡大補正される領域は斜線部分となる。
図6の(e)に示すように、“1”画素列の前側と後側とに拡大補正後の補正領域が設定され、“1”画素列と等しく透明トナーの載り量が設定される。
なお、有色トナー像と透明トナー像との重複幅は、画像形成装置100におけるトナー像の重ね合わせ精度に応じて、印字画像データの最小単位の画素数で1個以上5個以下の範囲でなるべく少なくすることが望ましい。
<第2実施形態>
図9は第2実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図10は第2実施形態における色ずれの説明図である。
第1実施形態では、中間転写ベルトを用いた画像形成装置において、有色トナーと透明トナーの色ズレが発生しても光沢の均一性を達成する構成について述べた。
第2実施形態では、中間転写ベルトを介さず、感光ドラムから記録材へ直接トナー像を転写する構成における実施形態を説明する。
図9に示すように、第2実施形態の画像形成装置200は、中間転写ベルト7が記録材搬送ベルト7Hに置き換えられた以外は第1実施形態の画像形成装置100と同様に構成される。従って、図9中、第1実施形態と共通する構成には図1、図2と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
記録材搬送ベルト7Hは、テンションローラ17と駆動ローラ16とに掛け渡して支持され、駆動ローラ16に駆動されて矢印R7方向に回転する。記録材搬送ベルト7Hに沿って、透明、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの5個の画像形成部(画像形成ステーション)Sa、Sb、Sc、Sd、Seが配設されている。
画像形成部Sa、Sb、Sc、Sd、Seでは、透明、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像が形成され、記録材搬送ベルト7Hに担持された記録材P上に重ねて転写される。
5色のトナー像が転写された記録材Pは、駆動ローラ16の巻き付き部で記録材搬送ベルト7Hから曲率分離して、定着装置13へ送り込まれて加熱加圧を受け、表面にトナー像を定着される。
画像形成装置200においても、記録材搬送ベルト7Hの回転ムラ、感光ドラム1a等の振れ、露光装置3a等の反射ミラーの面倒れ等によって、透明トナー像と有色トナー像との間に最小単位の画素数で1画素以上5画素以下の色ズレが発生してしまう。
図10に示すように、最大載り量の有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが隣り合っている際の色ズレを説明する。
図10の(a)に示すように、重なるように色ズレが発生した場合、イエロー、マゼンタ、シアンの各色トナー像(TNc)が記録材P上に逐次転写され、次に透明トナー像TNtが転写される。このとき、転写ローラ5a、5b、5c、5d、5eに印加する転写電圧は、低過ぎると感光ドラム1a、1b、1c、1d、1e上のトナー像を転写できない。しかし、転写電圧が高過ぎると、上流側で記録材Pに転写されたトナー像が下流側の感光ドラムに再転写する。このため、転写ローラ5a、5b、5c、5d、5eには、これらの不都合が発生しない中間の値、記録材Pに最大載り量が転写されて、且つ再転写されない転写電圧が印加されている。
色ズレして透明トナー像が有色トナー像に重なってしまう画素では、既に記録材P上に最大載り量の有色トナー像が担持されているため、透明トナー像が記録材に転写される効率は著しく低下する。
発明者等の検討によると、既に最大載り量が積載されている箇所に、更に最大載り量を転写させようとすると、上述した転写電圧の設定では、転写効率は40〜60%にまで低下する。その結果、記録材P上に転写されるトナーの載り量は、2.1〜2.4mg/cm2となる。
また、最大載り量以上のトナー像が記録材上に載っていると、定着時に発生するオフセット損失により、記録材Pに対して最も上に載っているトナー層(透明トナー像)が削られる。このため、トナー像の凹凸が小さくなって、重なるように色ズレが発生した場合は、定着後の画像の光沢ムラがほとんど気にならない、良好な品位の画像が出力できる。
しかし、図10の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが離れるように色ズレすると、透明トナー像TNtと有色トナー像TNcとの隙間を残したまま定着される。このため、出力された画像には有色トナーの光沢、記録材の光沢、透明トナーの光沢ができてしまい、むしろ透明トナーを使用しない場合よりも光沢ムラが気になる画像となってしまった。
<実施例2>
図11は実施例2の制御における色ずれの説明図である。
実施例2では、第2実施形態の画像形成装置200において、実施例1と同様に透明トナー像に補正領域を設定して、最大載り量の透明トナー像を形成する。有色トナー像上に重なる透明トナー像と、有色トナー像に重ならない透明トナー像とを別々に算出して、透明トナー像の境界部分に補正領域を設定する。
図11の(a)に示すように、実施例2では、従来の透明トナー像TNtの外側を透明トナー像TNoで縁取りしているため、色ズレが生じていない場合でも、透明トナーが有色トナーに重なるようになる。しかし、上述した転写効率と定着でのオフセット損失により、トナー段差はほとんど解消され、定着された画像の光沢ムラは気にならないレベルである。
図11の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが色ズレの最大値である5画素離れた場合でも、補正領域に付加された透明トナー像TNoが確実に隙間を埋める。その結果、記録材Pの光沢が現れないため、画像の光沢ムラが気にならなくなった。
以上説明したように、実施例2の構成及び制御を用いることで、記録材搬送ベルトを用いて感光ドラムから記録材へ直接トナー像を転写する画像形成装置200においても、出力画像の良好な光沢均一性を達成できる。
<実施例3>
図12は実施例3における補正領域での透明トナー像の載り量の説明図、図13は実施例3の制御で色ずれが発生した場合の説明図である。
実施例1では、有色トナー像の最大載り量に等しい載り量を透明トナー像に付与して、有色トナー像と透明トナー像との色ズレが発生しても光沢均一性を達成できる制御について述べた。
実施例3では、意図的に拡大補正をする場合に、透明トナーの載り量を有色トナー像の最大載り量の1/2以上とする構成においても、光沢均一性を達成できることを説明する。
まず、第1実施形態の画像形成装置100において、有色トナー像が最大載り量(1.50mg/cm2)載っているときに、透明トナー像の載り量を変化させたサンプルの光沢均一性に関して評価を行う。評価に用いるサンプルの透明トナー像の載り量は、以下のとおりである。
(a)0.25mg/cm2
(b)0.50mg/cm2
(c)0.75mg/cm2
(d)1.00mg/cm2
(e)1.25mg/cm2
そのサンプルを目視判断して、以下の5段階に分ける評価を行った。
1.画像の凹凸が非常に気になり、光沢ムラも気になる
2.画像の凹凸が気になり、光沢ムラが好ましくない
3.画像の凹凸は気が付くが、あまり光沢ムラが気にならない
4.画像の凹凸は若干気が付くが、光沢ムラは全く気にならない
5.画像の凹凸・光沢ムラも全く気にならない
その結果、透明トナー像の載り量が0.75mg/cm2以上あれば、全ての評価対象者において4以上の評価を得られることが分かった。
言い換えれば、画像の光沢均一性は、有色トナー像と透明トナー像との凹凸が無くなる方が好ましいが、厳密に有色トナー像と透明トナー像との高さを均一化しなくても十分な光沢均一性が得られる。実施例3の一番の特徴とするのは、有色トナー像の最大載り量の1/2以上を透明トナー像に付与して段差を所定値以下にする。
発明者等の検討によると、有色トナー像と透明トナー像の凹凸の差が光沢ムラとして目立つのは、トナー載り量差が1.00mg/cm2以上、つまり最大載り量の2/3以上であることが分かっている。よって補正する透明トナー像の載り量は、少なくとも最大載り量の1/3より多く補正する必要がある。
図12に示すように、実施例3では、光沢均一性を改善しつつ余分なトナー消費を抑制するために、補正領域に設定される透明トナー像の載り量を最大載り量の1/2とした。
具体的に説明すると、透明トナー像の形成領域を有色トナー像の形成領域に所定幅オーバーラップさせる拡大補正方法は、実施例1と概ね同様である。
図6の(c)に示すように、“1” の画素に対して、前後5画素分の幅で透明トナー像の形成領域を拡大する補正を行い、補正を行う画素が“1”であったり、既に補正されていたりする場合には、更なる補正は行わない。
CMYKの濃度が無い“1”の画素が連続して続いた場合、最初の“1”信号に対して前側(左側)は5画素の拡大補正を行うが、後ろ側に関しては“1”が続いているため、拡大補正を行わない。次の“1”の画素に対しては、既に拡大補正済みであったり、“1”信号が続いていたりするため、拡大補正を行わない。このように連続している“1”の画素に対して拡大補正を行っていくと、図6の(d)に示すように、拡大補正される補正領域は斜線部分となる。
図12に示すように、CMYKの濃度が無い“1”の画素については、従来どおり最大載り量に相当させた載り量が設定されるが、補正領域の画素については最大載り量の1/2が設定される。
図2に示すように、画像判断(図5:S201)で“1”の画素と補正領域とに分岐されて別々に求められた透明トナーの載り量は、重ね合わされて、最終的な透明トナー像の印字画像データが形成される。透明トナー像の印字画像データは、展開されて、T色の印字信号に変換されて露光装置3aへ送出され、露光装置3aによって感光ドラム1aに透明トナー像の静電像が書き込まれる。
図13の(a)に示すように、補正領域のトナー載り量が最大載り量の1/2あれば、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが重なる場合、トナー段差はほとんど解消されて、最終画像の光沢ムラが気にならない。実施例1と比較して、補正領域の透明トナー像TNoの載り量が少ないが、トナー像の段差は0.75mg/cm2以下なので最終画像の光沢ムラが気にならない。
図13の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが色ズレの最大値である5画素離れた場合でも、補正領域の透明トナー像TNoが確実に隙間を埋める。そして、トナー像の段差を最大載り量の2/3以下にしているので、最終画像の光沢ムラも気にならない。
実施例3の制御では、有色トナー像TNcと重ならない透明トナー像TNtを、有色トナー像TNc側へ意図的に拡大して画像を形成する。そして、補正領域の透明トナー像TNoの載り量を最大載り量より下げた場合でも、良好な光沢均一性を達成でき、透明トナーの過剰な消費も抑制できる。
<実施例4>
図14は実施例4における補正領域の説明図、図15は実施例4の制御のフローチャート、図16は補正領域の設定処理の説明図である。図17は実施例4の制御で色ずれが発生した場合の説明図である。
図14の(a)に示すように、有色トナー像TNc1、TNc2に予め段差があって、より詳しくはTNc1とTNc2の段差が有色トナーの最大載り量の2/3を越える段差がある。この場合について、透明トナー像TNtによって全体が最大載り量に平坦化されている場合を考える。
図14の(b)に示すように、有色トナー像TNc1、TNc2から離れるように透明トナー像TNtが位置ずれした場合、有色トナー像TNc1と透明トナー像TNtとの間に隙間Bが形成される。このとき、隙間Bは、最大載り量の1/2を越える深さがあるので光沢ムラが目立ってしまう。
図14の(c)に示すように、CMYKの濃度を持たない“1”の画素列の外側両端に、5画素分の補正領域を設けて、最大載り量の2/3の透明トナー像TNoの載り量を設定したとする。この場合、補正領域の透明トナー像TNoは、隙間Bを埋めることができないので、図14の(b)と同様に、最大載り量の2/3を越える深さの隙間Bに起因して最終画像の光沢ムラが目立ってしまう。
言い換えれば、CMYKの濃度を持たない“1”の画素列の外側両端に補正領域を設ける場合、CMYKの薄い濃度を持つ画素の上にできる隙間は、補正領域によって埋めることができない。
このような光沢ムラは、透明トナー像の載り量が急激に変化するエッジ部で発生し、段差のトナーの載り量差が1.00mg/cm2(最大載り量の2/3)以上あると、最終画像の光沢ムラが目立ってくることが分かっている。
そこで、実施例4では、透明トナー像の載り量が急激に変化する透明トナー像のエッジ部の外側に補正領域を設定した。単位面積当たりのトナー載り量が最大となる有色画像部との境界を越えてその有色画像部と所定幅オーバーラップするように、付加的な透明画像を形成する光沢処理を行う。有色トナー像の段差のトナーの載り量差が1.00mg/cm2(最大載り量の2/3)以上あるような段差部を抽出し、段差部の高い側へオーバーラップさせて5画素分の補正領域を設け、最大載り量の1/2の透明トナー像TNoの載り量を付与した。
図15に実施例4における画像処理を示す。図15中、S101〜S110の制御は、実施例1と概ね同様であるので、対応するステップには図5と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
図15に示すように、RGB画像データよりCMYK画像データを算出し(S103)、CMYK画像データを処理して(S105、S106)、透明トナー像の画像を求める(S107)。画素ごとのCMYK濃度を用いて、画素ごとの合計載り量を算出し(S105)、その中から最大の合計載り量の画素を抽出して、その画素の合計載り量を最大載り量とする(S106)。そして、有色トナー像の1画素毎のトナーの載り量と最大載り量との差分を、画素ごとの透明トナー像の載り量として、透明トナー像の画像を求める(S107)。
しかし、第4実施例では、透明トナー像の載り量の変化(エッジ)を検知して(S302、S303)、検知値に応じて拡大補正を行うか否かを判断する(S304〜S306)。
図16の(a)に示すように、有色トナー像TNc1、TNc2の間に最大載り量の2/3に相当する載り量の段差が形成されている。
図16の(b)に示すように、有色トナー像TNc1、TNc2を平坦化するように、透明トナー像TNtが形成される。
図2を参照して図15に示すように、制御部110は、透明トナー像の形成領域と画素ごとのトナー載り量とが設定された透明画像データを読み出す(S301)。
制御部110は、図16の(c)に示すように、透明トナー像の形成領域における画素の載り量を逐次取り込んで、図16の(d)に示すように、隣接する画素の載り量との差分値を求める(S302)。
制御部110は、図16の(d)に示すように、最大載り量の2/3を越えるような載り量の差分値に対応させて段差特定値±αを設定している。そして、差分値が+α以上である場合には“+1”を出力し、−α以下である場合には“−1”を出力し(S303)、差分値が−αから+αの間であれば“0”を出力する。
ここで、差分値の符号が正であるときは、図16の(b)に示すように、主走査方向の上流側がエッジであることを意味し、符号が負であるときは、主走査方向の下流側がエッジであることを意味している。
制御部110は、図16の(e)に示すように、“+1”、“−1”、“0”の3通りに場合分けされた画素について、異なる補正領域及び載り量を設定する。
“0”に場合分けされた画素の場合は、元の透明トナー像の画像に対しての補正は行わない。
“+1”に場合分けされた画素の場合は、主走査方向の上流側へ向かって5画素分の補正領域を設定して、図16の(f)に示すように、最大載り量の1/2の載り量を付与する。
“−1”に場合分けされた画素の場合は、主走査方向の下流側へ向かって5画素分の補正領域を設定して、図16の(f)に示すように、最大載り量の1/2の載り量を付与する。
制御部110は、補正領域を付加して載り量を補正した透明トナー像の画像を用いて、透明トナー像の印字画像データを形成する(S307)。
制御部110は、透明トナー像の印字画像データを展開して、露光装置3aを作動させるためのT色の印字信号を生成して保持する(S108)。
制御部110は、CMYKT各色の印字信号を露光装置3a、3b、3c、3d、3eに送出して各色トナー像の静電像を書き込ませる(S110)。
図17の(a)に示すように、従来の透明トナー像TNtを更に補正領域の透明トナー像TNoで拡大補正しているため、色ズレが生じていない場合でも、透明トナー像TNtが有色トナー像TNc1に重なる。しかし、二次転写効率の低下と定着でのオフセット損失により、透明トナー像TNtの段差はほとんど解消され、最終画像の光沢ムラが気にならない。
図17の(b)に示すように、有色トナー像TNcと透明トナー像TNtとが色ズレの最大値である5画素離れた場合、補正領域の透明トナー像TNoが確実に隙間を埋めることができる。そして、トナー像全体の段差及び凹凸を、最大載り量の1/2以下にできるため、最終画像の光沢ムラが気にならなくなった。
実施例4の制御では、透明トナー像の載り量の変化を検知し、検知した値に応じて透明トナー像のエッジ補正を行うか否かを判断し、透明トナー像のエッジ部を意図的に拡大させて画像を形成する。これにより、最適な補正領域を設定して、合計載り量の少ない有色トナー像の上で形成される透明トナー像の隙間に対しても、補正領域の透明トナー像で確実に埋めて、最終画像の光沢均一性を達成できる。その結果、写真のように品位の高い画質を出力することができる。
実施例1〜実施例4の制御は、1台完結の画像形成装置でなくて、選択的に機器を組み合わせて構成される画像形成システムでも実施できる。すなわち、透明トナーで画像形成する画像形成部及び定着装置をオプション装置として用意し、これを「4色のトナーで画像形成するフルカラー画像形成装置」に選択的に連結する機器構成でも実施できる。この場合、定着装置は、4色のトナーで画像形成するフルカラー画像形成装置側と、透明トナーで画像形成するオプション装置側とで合計2台が設置される。