JP3738124B2 - 多色画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に係り、詳しくは、イエロー、マゼンタ、シアン等のカラートナーを用いて、カラー画像を形成する多色画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置においては、再現可能な階調数が、出力されるコピーの画像品質に大きく影響する。特に、イエロー、マゼンタ、シアン等のカラートナーを用いて、カラー画像を形成する多色画像形成装置においては、形成された画像のハイライト部分の階調性が出にくい傾向があり、この画像のハイライト部分の階調性の悪化が、コピー画像の品質低下を招く一つの原因となっている。
すなわち、電子写真方式によって形成されたカラー画像のハイライト部分は、転写紙自体の画像としての反射濃度と、トナーが付着し始めた部分の反射濃度との階調特性が急峻になるため、画像が滑らか(ブロード)でないザラついた状態になる。このことが、電子写真方式の多色画像形成装置によって得られた画像が、通常のカラー写真画像よりも見劣りする一つの要因となっている。
【0003】
従来、このような、画像のハイライト部分の階調性の悪化を解消する方法として、
▲1▼階調のつぶれが生じないように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像の階調を補正するYMCK階調補正テーブル(γ補正テーブル)によって、視覚の階調性が良好になるように、画像データに対する潜像形成手段としてのレーザー光の光パワー出力に補正をかける方法(特開平9―107476号公報記載の「画像形成装置」;以下これを「公知例1」という)。
▲2▼ディザマトリクス内の画像濃度が、ある閾値以下の時は、該画像濃度を隣接するマトリクスに伝搬させることによって、画像のハイライト部分(低濃度部)の階調性と階調安定性とを両立させる方法(特開平6−164908号公報記載の「中間調画像記録方法」;以下これを「公知例2」という)。
▲3▼画像のハイライト部分のザラツキを抑えるために、トナー帯電量、現像バイアス、現像ギャップ等を数式で規制する方法(特開平6−274042号公報記載の「画像形成装置」;以下これを「公知例3」という)。
▲4▼露光量を調整することにより原稿濃度−コピー濃度特性をシフトさせて各色毎に複数回の画像形成を行い、広い濃度範囲に亘って理想特性に近い特性を得る方法(特公平6−46329号公報記載の「静電転写型記録装置」;以下これを「公知例4」という)。
などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記「公知例1」の方法は、γ補正テーブルの作成工程が複雑であり、また、補正テーブルを用いて画像データとレーザー光の光出力との関係を歪ませているため、実際の光出力の階調数が減少し、画像が粗くなる傾向がある。
【0005】
また、「公知例2」の方法は、ディザマトリクスを用いることによって、画像ドットサイズがマトリクスサイズ分だけ大きくなるため、「公知例3」にも述べられているように、いわゆる画像の解像度が低下してしまう欠点がある。
【0006】
また、「公知例3」の方法は、画像のハイライト部分のザラツキを抑えるという点では有効な方法といえるが、該ハイライト部分の階調性に関してはその記述がなく不明である。
【0007】
更に、「公知例4」の方法は、非常に広い画像濃度のダイナミックレンジがとれる特徴を有しているが、各色毎に複数回の画像転写を行う必要があるため、コピー1枚当たりの画像形成時間が長くなる不具合がある。また、この方法では、その画像転写回数が、一般的な画像形成装置の画像転写回数の2倍になるため、この画像転写時における転写シートの位置合わせを極めて高精度に行う必要があり、この画像転写時の転写シートの位置ズレによる画像ブレが生じる虞が高い。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡単且つ安価な方法により画像のハイライト部分の階調性を向上させることのできる多色画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像情報に基づいて変調された画像光を用いて、像担持体上に潜像を形成するための潜像形成手段と、該潜像形成手段により形成された該潜像担持体上の潜像を、少なくとも、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナーを用いて、トナー像化するための現像手段と、該現像手段により該像担持体上に可視像化されたトナー像を、転写体上に転写するための転写手段と、該転写手段により該転写体上に転写されたトナー像を、該転写体上に定着させるための定着手段とを有する多色画像形成装置において、上記各色のそれぞれのトナーは、異なる光透過率を持った複数の有色トナーが混合されたトナーからなり、且つ、混合された各トナーの光透過率が高い淡い色のトナーほど、該トナーの帯電量が低くなる特性を有していることを特徴とするものである。
【0012】
この多色画像形成装置においては、上記現像手段で用いられる少なくとも3色のそれぞれのトナーが、異なる光透過率を持った複数の有色トナーが混合されたトナーからなり、且つ、混合された各トナーの光透過率が高い淡い色のトナーほど、該トナーの帯電量が低くなる特性を有している。これにより、上記潜像のハイライト部分は、帯電量が低くく光透過率の高い淡い色のトナーで可視像化され、該潜像の高濃度の部分は、帯電量が高く光透過率の低い濃い色のトナーで可視像化されるようになる(詳しくは後述する)。従って、この多色画像形成装置においては、前記「公知例4」に述べられているような各色毎に複数回の画像転写を行うことなく、広いダイナミックレンジを有する画像を形成することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である多色画像形成装置(以下、複写機という)に適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機100の概略構成図、図2は感光体ドラム・中間ベルト回りの拡大図である。以下、図1及び図2を参照しながら複写機100の構成、動作を説明する。
カラー画像読み取り装置(以下、カラースキャナという)1は、原稿3の画像を照明ランプ4、ミラー群5a〜5c、及びレンズ6を介してカラーセンサ7に結像して、原稿のカラー画像情報を、例えばブルー(Blue、以下Bという)、グリーン(Green、以下Gという)、レッド(Red、以下Rという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。カラーセンサ7は、この例ではB、G、Rの色分解手段とCCDのような光電交換素子で構成されており、3色同時読み取りを行う。そして、カラースキャナ1で得たB、G、Rの色分解画像信号強度レベルをもとにして、画像処理部(図示せず)で色変換処理を行ない、ブラック(以下、Bkという)、シアン(Cyan、以下Cという)、マゼンタ(Magenta、以下Mという)、イエロー(Yellow、以下Yという)のカラー画像データを得る。これを、カラー画像記録装置(以下、カラープリンタという)2によって、Bk、C、M、Yの顕像化を行ない、最終的なカラーコピーとする。なお、Bk、C、M、Yの画像データを得るためのカラースキャナ1の動作方式は、カラープリンタ2の動作とタイミングを取ったスキャナスタート信号を受けて、図1において、照明・ミラー光学系が左矢印方向へ原稿走査し、1回走査毎に1色の画像データを得る。そして、その都度カラープリンタ2で順次顕像化しつつ、これを重ね合わせて4色フルカラー画像を形成する。
【0016】
次に、カラープリンタ2の概要を説明する。書き込み光学ユニット8は、カラースキャナ1からのカラー画像データを光信号に変換して、原稿画像に対応した光書き込みを行ない、感光体ドラム9に静電潜像を形成する。該ユニット8は、レーザ光源8a、その発光駆動制御部(図示せず)、ポリゴンミラー8b、その回転用モータ8c、f/θレンズ8d、反射ミラー8e等で構成されている。
【0017】
感光体ドラム9は、矢印の如く反時計方向に回転し、その回りには、図2のように、感光体クリーニングユニット(クリーニング前除電器を含む)10、除電ランプ11、帯電器12、電位センサ13、Bk現像器14、C現像器15、M現像器16、Y現像器17、現像濃度パターン検出用の光学センサ18、中間転写ベルト19などが配置されている。
【0018】
各現像器は、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体ドラム9の表面に接触させて回転する現像スリーブ(14a、15a、16a、17a)と、現像剤を汲み上げ・撹拌するために回転する現像パドル(14b、15b、16b、17b)、及び現像剤のトナー濃度センサ(14c、15c、16c、17c)などで構成されている。待機状態では4箇の現像器全てにおいて現像スリーブ上の剤は穂切り(現像不作動)状態になっている。次に、現像動作の順序(カラー画像形成順序)が、Bk、C、M、Yの例でコピー動作の概略を説明する(ただし、画像形成順序はこれに限定されるものではない)。
【0019】
コピー動作が開始されると、カラースキャナ1で所定のタイミングからBk画像データの読み取りがスタートし、この画像データに基づきレーザ光による光書き込み、潜像形成が始まる(以下、Bk画像データによる静電潜像をBk潜像という。C、M、Yについては、それぞれC潜像、M潜像、Y潜像という)。このBk潜像の先端部から現像可能とすべくBk現像器14の現像位置に潜像先端部が到達する前に、現像スリーブ14aを回転開始して剤の穂立てを行い、Bk潜像をBkトナーで現像する。そして以後、Bk潜像領域の現像動作を続け、潜像後端部がBk現像位置を通過した時点で、速やかにBk現像スリーブ14a上の剤の穂切りを行い、現像不作動状態にする。これは少なくとも、次のC画像データによるC潜像先端部が到達する前に完了させる。なお、穂切りはBK現像スリーブ14aの回転方向を、現像動作中とは逆方向に切り替えることで行う。
【0020】
感光体ドラム9に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム9と等速駆動されている中間転写ベルト19の表面に転写される(以下、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー像転写をベルト転写という)。ベルト転写は、感光体ドラム9と中間転写ベルト19が接触状態において、転写バイアスローラ20aに所定のバイアス電圧を印加することで行う。なお、中間転写ベルト19には、感光体ドラム9に順次形成するBk、C、M、Yのトナー像を、同ー面に順次位置合せして、4色重ねのベルト転写画像を形成し、その後、転写紙にー括転写を行う。この中間転写ベルトユニットについては後述する。
【0021】
ところで、感光体ドラム9側ではBk工程の次にC工程に進むが、所定のタイミングからカラースキャナ1によるC画像データ読み取りが始まり、その画像データによるレーザ光書き込みで、C潜像形成を行う。
C現像器15はその現像位置に対して、先のBk潜像後端部が通過した後で、かつC潜像の先端が到達する前にC現像スリーブ15aを回転開始して、剤の穂立てを行い、C潜像をCトナーで現像する。以後、C潜像領域の現像を続け、潜像後端部が通過した時点で、先のBk現像器の場合と同様にC現像スリーブ15a上の剤の穂切りを行い、現像不作動状態にする。これもやはり次のM潜像先端部が到達する前に完了させる。
なお、M及びYの各工程については、それぞれの画像データ読み取り、潜像形成及び現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明を省略する。
【0022】
次に、中間転写ベルトユニットについて説明する。
中間転写ベルト19は、駆動ローラ21、転写バイアスローラ20a、アースローラ20b、及び従動ローラ群に張架されており、図示していない駆動モータにより駆動制御される。ベルトクリーニングユニット22は、ブラシローラ22a、ゴムブレード22b、及びベルトからの接離機構22cなどで構成されており、1色目のBk画像をベルト転写した後の、2、3、4色目をベルト転写している間は、接離機構22cによってベルト面から離間させておく。そして、中間転写ベルト19上に4色の画像を正確に位置合わせして次々と各色の画像を転写し、中間転写ベルト19上に4色の重ね画像を形成する。
【0023】
紙転写ユニット23は、紙転写バイアスローラ23a、ローラクリーニングブレード23b、及びベルトからの接離機構23cなどで構成されている。
該バイアスローラ23aは、通常はベルト19面から離間しているが、中間転写ベルト19面に形成された4色の重ね画像を転写紙にー括転写する時に、タイミングを取って接離機構23cで押圧され、該ローラ23aに所定のバイアス電圧を印加して紙への転写を行う。
なお、転写紙24は、図1に示すように、給紙ローラ25、レジストローラ26によって、中間転写ベルト面の4色重ね画像の先端部が、紙転写位置に到達するタイミングに合わせて給紙される。
【0024】
中間転写ベルト19の駆動の仕方としては、1色目のBkトナー像のベルト転写が端部まで終了した後の動作方式として次の3方式が考えられ、このなかの1方式で、又はコピー速度の面からコピーサイズに応じて複数の方式を効率的に組み合わせて、中間転写ベルト19を駆動する。
【0025】
(1) 一定速往動方式
▲1▼ Bkトナー像のベルト転写後も、そのまま一定速度で往動を続ける。
▲2▼ そして、中間転写ベルト19面上のBk画像先端位置が、再び感光体ドラム9との接触部のベルト転写位置に到達したとき、感光体ドラム9側は次のCトナー像の先端部が丁度その位置にくるように、タイミングを取って画像形成されている。その結果、C画像はBk画像に正確に位置合わせして中間転写ベルト19上に重ねてベルト転写される。
▲3▼ その後も同様の動作によってM、Y画像工程に進み、4色重ねのベルト転写画像を得る。
▲4▼ 4色目のYトナー像のベルト転写工程に引き続き、そのまま往動しながら中間転写ベルト19面上の4色重ねトナー像を、上記のように転写紙24に一括転写する。
【0026】
(2) スキップ往動方式
▲1▼ Bkトナー像のベルト転写が終了したら、感光体ドラム9面から中間転写ベルト19を離間させ、そのままの往動方向に高速スキップさせて所定量を移動したら当初の往動速度に戻す。また、その後再び感光体ドラム9に中間転写ベルト19を接触させる。
▲2▼ そして、中間転写ベルト19面上のBk画像先端位置が再びベルト転写位置に到達したとき、感光体ドラム9側は次のCトナー像の先端部が丁度その位置にくるようにタイミングを取って画像形成されている。その結果、C画像はBk画像に正確に位置合わせして重ねてベルト転写される。
▲3▼ その後も同様の動作によってM、Y画像工程に進み、4色重ねのベルト転写画像を得る。
▲4▼ 4色目のYトナー像ベルト転写工程に引き続き、そのままの往動速度で、中間転写ベルト19面上の4色重ねトナー像を転写紙24に一括転写する。
【0027】
(3) 往復動(クイックリターン)方式
▲1▼ Bkトナー像のベルト転写が終了したら、感光体ドラム9面から中間転写ベルト19を離間させ、そして、往動を停止させると同時に逆方向に高速リターンさせる。このリターンは、中間転写ベルト19面上のBk画像先端位置がベルト転写相当位置を逆方向に通過し、更に予め設定された距離分を移動した後に停止させて待機状態にする。
▲2▼ 次に、感光体ドラム9側のCトナー像の先端部がベルト転写位置より手前の所定位置に到達した時点で、中間転写ベルト19を再び往動方向にスタートさせる。また、中間転写ベルト19を感光体ドラム9面に再び接触させる。この場合も、C画像が中間転写ベルト19面上でBk画像に正確に重なるような条件に制御されてベルト転写される。
▲3▼ その後も同様の動作によってY、M画像工程に進み、4色重ねのベルト転写画像を得る。
▲4▼ 4色目のYトナー像のベルト転写工程に引き続き、リターンせずにそのままの速度で往動して、中間転写ベルト19面上の4色重ねトナー像を転写紙24に一括転写する。
【0028】
さて、中間転写ベルト19面から4色重ねトナー像をー括転写された転写紙24は、紙搬送ユニット27で定着器28に搬送され、所定温度にコントロールされた定着ローラ28aと加圧ローラ28bでトナー像を溶融定着してコピートレイ29に搬出されフルカラーコピーを得る。
【0029】
なお、ベルト転写後の感光体ドラム9は、図2のように、感光体クリーニングユニット10(クリーニング前除電器10a、ブラシローラ10b、ゴムブレード10c)で表面をクリーニングされ、また、除電ランプ11で均一に除電される。また、転写紙にトナー像を転写した後の中間転写ベルト19は、クリーニングユニット22を再び接離機構22cで押圧して表面をクリーニングされる。
【0030】
リピートコピーの時は、カラースキャナ1の動作及び感光体ドラム9への画像形成は、1枚目のY(4色目)画像工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目のBk(1色目)画像工程に進む。また、中間転写ベルト19の方は、1枚目の4色重ね画像の転写紙へのー括転写工程に引き続き、表面をクリーニングユニット22でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像がベルト転写されるようにする。その後は、1枚目と同様の動作になる。
【0031】
なお、図1の給紙カセット30、31、32、33は、各種サイズの転写紙が収納されており、操作パネル(図示せず)で指定されたサイズ紙が収納されたカセットから、タイミングを取ってレジストローラ26方向に給紙、搬送される。34は、OHP用紙や厚紙などの手差し給紙トレイである。
【0032】
以上は、4色フルカラーを得るコピーモードの説明であったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記と同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、その色の現像器のみを現像作動(剤穂立て)状態にして、中間転写ベルト19は、感光体ドラム9面に接触したまま往動方向にー定速駆動し、さらに、ベルトクリーナー22も中間転写ベルト19に接触したままの状態で、コピー動作を行う。
【0033】
ところで、本実施形態に係る複写機の少なくとも、現像器15、16、17で用いられるトナーは、前述したシアン、マゼンタ、イエローの各色のそれぞれのトナーが、互いに特性の異なる複数種類のトナーを混合したトナーで構成されている。
このようなトナーとしては、例えば、図3に示すような粒径分布を有し、且つ、図4に示すような帯電量の分布を持ったトナーが用いられる。
【0034】
すなわち、上記の各現像器15、16、17に充填される各色のトナーは、それぞれの粒径分布が、図3に示すように、体積%において、平均粒径が約7.5μmになっている。また、これらの各トナーは、図4に実線で示すような光透過率の高い淡い色のトナーTaと、図4に破線で示すような光透過率の低い濃い色のトナーTbとの同色の2種類のトナーがそれぞれ混合されたもので構成されている。更に、該2種類のトナーが混合されてなる各色のトナーは、その光透過率が高い淡い色のトナーTaの帯電量(Q/M)aが、光透過率の低い濃い色のトナーTbの帯電量(Q/M)bよりも低くなる特性を有している。ここでは、光透過率が高い淡い色のトナーTaの帯電量(Q/M)aが、(Q/M)a≒―20μC/g、光透過率の低い濃い色のトナーTbの帯電量(Q/M)bが、(Q/M)b≒―30μC/gにそれぞれ設定されている。従って、本実施形態に係る複写機では、トナーとしてマイナス帯電トナーを使用しているので、帯電量の絶対値の大きな光透過率の低い濃い色のトナーTbの方が高い帯電量を有するように設定されている。
【0035】
このように、光透過率及び帯電量の異なる2種類の同色のトナーTa,Tbを混合して得られた各色のトナーは、図5に示すように、その混合によってはっきりとした帯電量のピークは現れないが、その帯電量分布がブロードなものとなる。
【0036】
一方、現像工程において、感光体ドラム9上に付着(現像)されるトナー付着量は、潜像の電荷が飽和しない領域(ハイライトな部分)では、感光体ドラム9と各現像器の現像ローラ15a,16a,17aとのギャップ間での電界に略比例し、トナー帯電量が、以上にずれて逆極性にならない適正な状態であれば、該トナー帯電量に反比例する。また、混合される前の単独の状態における上記の2種類のトナーTa、Tbは、その電界とトナー付着量との関係が、それぞれ図6に実線で示すような特性を示す。
これにより、これらの2種類のトナーTa、Tbが混合されたトナーを用いて上記潜像を可視像化した場合には、上記ギャップ間での電界強度が高くなるに従って、まず、帯電量が低く光透過率が高い淡い色のトナーTaが感光体ドラム9の表面に付着し始め、次いで、帯電量が高く光透過率の低い濃い色のトナーTbが感光体ドラム9の表面に付着して、図6に破線で示すように、ダイナミックレンジの広い合成されたトナー像として、両トナーTa、Tbが感光体ドラム9の表面に付着する。
【0037】
このように、潜像の電界強度の低いハイライト部分においては、帯電量が低く光透過率が高い淡い色のトナーTaが、支配的に感光体ドラム9の表面に付着することになる。このことは、帯電の不足したトナー(つまり帯電量の低いトナー)が、転写紙24の地肌部(ハイライト部分)に付着して、画像の地肌汚れを起こす原因となることからも、この帯電量が低く光透過率が高い淡い色のトナーTaが、他のトナーよりも先に感光体ドラム9上に付着することを推察することができる。
【0038】
図7(a)、(b)、(c)は、上述のように混合された各トナーTa、Tbの現像時の挙動の一例を示す模式図である。
すなわち、例えば、図7(a)に示すように、感光体ドラム9上に、「−7」の電荷があったとすると、図7(b)に示すように、帯電量が「−5」と低く光透過率が高い淡い色のトナーTaのみが、感光体ドラム9上に付着する。ここで、帯電量が「−10」と高く光透過率の低い濃い色のトナーTbは、感光体ドラム9の電荷[−7」よりも高い帯電量を持っているため、該感光体ドラム9の表面に付着しない。従って、このように、感光体ドラム9の電荷が低いハイライト部分の潜像は、帯電量が低く光透過率が高い淡い色のトナーTaのみで現像されるようになるので、階調性の高い画像が得られる。
次いで、図7(c)に示すように、感光体ドラム9上の電荷が「−15」と原稿画像濃度の高い部分では、上記の両方のトナーTa、Tbが感光体ドラム9上に付着して、色の濃いトナー像が再現される。図8に、これらのトナーTa、Tbの、トナー付着量と画像濃度との関係を示す。また、図9に、混合前の各トナーTa、Tbと、混合後の両トナーTa+Tbの、電界強度と画像濃度との関係を示す。
【0039】
図9に示すように、上記の帯電量が低いトナーTaは、電界が1000V/cm付近から、感光体ドラム9の表面に付着し始めるが、このトナーTaは、その光透過率が高い淡い色のトナーであるので、現像された画像濃度の傾きは低く抑えられたものとなり、そのハイライト部分での階調性が向上される。そして、上記の帯電量が高いトナーTbは、電界が2200V/cm付近から、感光体ドラム9の表面に付着し始める。従って、混合されたトナーTa+Tbは、図9に破線で示すように、帯電量が低いトナーTaと、帯電量が高いトナーTbとが合成された形で画像濃度が表現される。従って、本実施形態に係る複写機では、従来の1つの帯電量しか持たないトナーを用いた場合に比較して、画像濃度のダイナミックレンジを広く確保できるとともに、ハイライト部分の階調性を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、上記現像手段で用いられる少なくとも3色のそれぞれのトナーが、異なる光透過率を持った複数の有色トナーが混合されたトナーからなり、且つ、混合された各トナーの光透過率が高い淡い色のトナーほど、該トナーの帯電量が低くなる特性を有している。これにより、上記潜像のハイライト部分は、帯電量が低くく光透過率の高い淡い色のトナーで可視像化され、該潜像の高濃度の部分は、帯電量が高く光透過率の低い濃い色のトナーで可視像化されるようになるので、各色毎に複数回の画像転写を行うことなく、広いダイナミックレンジを有する画像を形成することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る多色画像形成装置である複写機の概略構成図。
【図2】 上記複写機の感光体ドラム・中間ベルト回りの拡大図。
【図3】 上記複写機で用いるトナーの粒径分布を示すグラフ。
【図4】 上記複写機で用いるトナーの帯電量分布を示すグラフ。
【図5】 上記複写機で用いる混合トナーの帯電量分布を示すグラフ。
【図6】 上記トナーの電界強度とトナー付着量との関係を示すグラフ。
【図7】 上記トナーの現像時の挙動を示す模式図。
【図8】 上記トナーのトナー付着量と画像濃度との関係を示すグラフ。
【図9】 上記トナーの電界強度と画像濃度との関係を示すグラフ。
Claims (1)
- 画像情報に基づいて変調された画像光を用いて、像担持体上に潜像を形成するための潜像形成手段と、
該潜像形成手段により形成された該潜像担持体上の潜像を、少なくとも、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナーを用いて、トナー像化するための現像手段と、
該現像手段により該像担持体上に可視像化されたトナー像を、転写体上に転写するための転写手段と、
該転写手段により該転写体上に転写されたトナー像を、該転写体上に定着させるための定着手段とを有する多色画像形成装置において、
上記各色のそれぞれのトナーは、異なる光透過率を持った複数の有色トナーが混合されたトナーからなり、且つ、混合された各トナーの光透過率が高い淡い色のトナーほど、該トナーの帯電量が低くなる特性を有していることを特徴とする多色画像形成装置。
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