以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラー画像形成装置を示すものである。なお、このタンデム方式のフルカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラーの複写機としても機能するように構成されているが、画像読取装置を備えていなくとも勿論良い。また、この発明は、タンデム方式の画像形成装置に限定されるものではないことは勿論であり、感光体ドラムを1つのみ備えた4サイクル方式のフルカラー画像形成装置であっても適用可能である。
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部の一端(図示例では、左端)には、原稿2の画像を読み取る画像読取装置3が配置されている。この画像読取装置3は、原稿押え部材4によって押さえられた状態でプラテンガラス5上に置かれた原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像をフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光することにより、画像読取素子11によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(例えば、各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対し、必要に応じてシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集、イメージ/テキスト分離等の予め定められた画像処理が施される。また、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によってシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに変換される。なお、画像処理装置12によって変換される画像データの色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに限らず、高彩度シアン(HC)や高彩度マゼンタ(HM)を含む6色等に変換しても良く、その色数や色の種類は任意である。また、上記画像処理装置12に入力される画像データとしては、図示しない通信回線を介してパーソナルコンピュータ等から送られてくるものであっても勿論良い。
ところで、この実施の形態では、互いに色が異なるか又は同一色であって彩度や濃度が異なるトナーを用いて画像を形成する複数の画像形成手段を備えるように構成されている。
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、複数の画像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に沿って一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。
これらの4つの画像形成部13Y、13M、13C、13Kは、図2に示すように、使用するトナーの種類を除いて、基本的にすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って予め定められた回転速度で駆動される像保持体としての感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の表面を一様に帯電する一次帯電手段としてのスコロトロン15と、当該感光体ドラム14の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段としての画像露光装置16と、感光体ドラム14上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像手段としての現像装置17と、感光体ドラム14の表面に残った転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置18とから構成されている。
上記画像露光装置16では、図2に示すように、半導体レーザ19が画像データに応じて変調され、この半導体レーザ19からは、レーザ光LBが画像データに応じて出射される。この半導体レーザ19から出射されたレーザ光LBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー23、24等を介して像保持体としての感光体ドラム14上に走査露光される。なお、上記画像露光装置16としては、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う装置に限らず、例えば、LED発光素子を感光体ドラム14の軸方向に沿って多数配列したLEDアレイを用いた装置を使用しても良く、LEDアレイを用いた画像露光装置16の場合には、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う画像露光装置16と比較して、画像露光装置16の大幅な小型化が可能となり、画像形成装置全体を小型化することができ望ましい。
上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14表面は、スコロトロン15によって予め定められた電位に一様に帯電される。その後、上記画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成部13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置16Y、16M、16C、16Kに各色に対応した画像データが順次出力される。そして、これらの画像露光装置16Y、16M、16C、16Kから画像データに応じて出射されるレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面に主走査方向(感光体ドラム14の軸方向)に沿って走査露光され、感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの表面には静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成された静電潜像は、対応する現像装置17Y、17M、17C、17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、一次転写手段としての一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって互いに重ね合わせた状態で一次転写される。
上記中間転写ベルト25は、駆動ロール27と、従動ロール28と、張力付与ロール29と、二次転写部の背面支持ロール30と、従動ロール31からなる複数のロール間に予め定められた張力で架け渡されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動される駆動ロール27により、矢印B方向に沿って感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの回転速度(周速)と略等しい予め定められた速度で循環移動するように駆動される。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール30に中間転写ベルト25を介して圧接する二次転写手段としての二次転写ロール32によって記録媒体としての記録用紙33上に一括して二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙33は、二連の搬送ベルト34、35によって定着装置36へと搬送される。そして、上記各色の未定着トナー像が転写された記録用紙33は、定着装置36の加熱ベルト37(又は加熱ロール)及び加圧ロール38によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ39上に排出される。
上記記録用紙33は、図2に示すように、例えば、複数の給紙トレイ40、41のいずれかからユーザーが指定した材質やサイズのものが、給紙ロール42及び用紙搬送ロール43を備えた用紙搬送経路44を介して1枚ずつ分離された状態で、レジストロール45まで一旦搬送される。上記給紙トレイ40、41のいずれかから供給された記録用紙33は、中間転写ベルト25上のトナー像と同期をとって回転駆動されるレジストロール45によって中間転写ベルト25の二次転写位置へと送り出される。
また、上記画像形成装置によって記録用紙33の片面(同一面)に多重に画像を形成する場合には、定着装置36によって片面に画像が定着された記録用紙33を、そのまま機外に排出せずに、切り替えゲート47によって記録用紙33の搬送経路を下方に切り替え、搬送手段としての再搬送ロール48を備えた再搬送用の用紙搬送経路49及び通常の用紙搬送経路44を介して、表裏がそのままの状態で、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置まで搬送され、記録用紙33の片面(同一面)に第2のトナー像が転写された後、定着装置36の加熱ベルト37及び加圧ロール38によって熱及び圧力で定着処理を受けて、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ39上に排出される。なお、上記転写・定着工程は、2回に限らず、記録用紙33上に最終的に転写される色数よりも少ない複数回であれば、3回等であっても良い。また、この実施の形態において、2回目以降の転写工程は、それ以前のトナー像の転写・定着工程の後に行われるが、2回目以降の転写工程を未定着状態のトナー像に対して行うように構成し、最終的に1回の定着処理を行うように構成しても良い。
なお、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kは、その表面がクリーニング装置18Y、18M、18C、18Kによって清掃される。また、トナー像の二次転写が終了した後の中間転写ベルト25は、その表面が駆動ロール27の近傍に配置されたベルトクリーニング装置46によって清掃される。
図2中、符号50Y、50M、50C、50Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像装置17Y、17M、17C、17Kに少なくともトナーを含む現像剤を供給するトナーカートリッジをそれぞれ示している。
上記画像形成装置において使用される記録媒体33の種類としては、近年のユーザーのニーズの多様化に対応して、普通紙以外に、薄紙、厚紙、コート紙や和紙、エンボス紙等の様々な坪量や表面粗さを有した記録媒体が挙げられる。
エンボス紙33は、文字や絵柄などを浮き彫りにするエンボス加工が施された用紙であり、その表面33a又は表裏両面には、図3(a)に示すように、エンボス加工に伴って凹凸51が形成される。そのため、上記エンボス紙33は、表面33aが平坦な普通紙や厚紙、あるいは薄紙等と異なり、表面33aに凹凸51を有している。したがって、中間転写ベルト25上に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像を、二次転写バイアス電圧が印加される二次転写ロール32と背面支持ロール30の間に形成される二次転写電界と、中間転写ベルト25とエンボス紙33との圧接力によって二次転写する際に、図3(b)に示すように、中間転写ベルト25とエンボス紙33との間に間隙Gが形成される箇所があり、当該間隙Gで二次転写電界が弱くなるため、中間転写ベルト25上に一次転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の複数色のトナー像が、図4に示すように、エンボス紙33上に良好に二次転写されない場合がある。
この場合には、図3(c)に示すように、エンボス紙33上にトナー像を二次転写する際に、二次転写ロール32に印加される二次転写バイアス電圧V2ndを、図5に示すように、通常の二次転写バイアス電圧V2ndに対して高い値であるV2nd’に変更することで、中間転写ベルト25上からエンボス紙33にトナー像を二次転写する二次転写電界を増大させることが考えられる。
しかしながら、このように二次転写バイアス電圧V2ndを高い値V2nd’に変更した場合には、図3(C)に示すように、中間転写ベルト25とエンボス紙33の凹部51との間の間隙Gにおいて放電が発生することがあり、エンボス紙33上に二次転写されるトナー像が放電現象によって飛散し、トナー像に画像乱れが発生する場合がある。その結果、二次転写バイアス電圧V2ndを高い値V2nd’に変更することによりエンボス紙33へのトナー像の転写性を改善する上でも限界がある。
そこで、この実施の形態では、中間転写ベルト25に転写されたトナー像を二次転写ロール32によってエンボス紙等からなる記録媒体33に転写する転写工程のうち、少なくとも1回は、中間転写ベルト25上に転写された複数色のトナー像を記録媒体33に一括して転写する転写工程を含み、記録媒体33上に最終的に転写される色数よりも少ない複数回だけ転写工程を繰り返すように、制御手段としてのCPU100によって制御することで、1回の転写工程で記録媒体33上に転写されるトナー量を減少させつつ、しかも転写工程の回数を少なくすることで、表面に凹凸を有する記録媒体33へのトナー像の転写性を改善するとともに、記録媒体33への単色画像の転写を繰り返すことにより画像の位置合わせが悪化するのを抑制し、併せて生産性の低下をも回避するものである。
図6は上記の如く構成される画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
図6において、符号100は画像形成装置の動作を制御する制御手段としてのCPUを示すものであり、このCPU100は、ROM101に記憶された制御プログラムやRAM102に記憶された制御パラメータ等に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成部13Y、13M、13C、13K等における画像形成動作を制御するとともに、二次転写ロール32に印加する二次転写バイアス電圧V2ndを高圧電源回路103を介して制御するように構成されている。
また、符号12は画像処理装置を示すものであり、符号104は、ユーザが操作するユーザーインターフェイスを示すものである。このユーザーインターフェイス104は、ユーザーが画像を形成する普通紙やエンボス紙等の記録媒体33の種類やサイズ、あるいはプリント枚数等を指定するものである。なお、ユーザーインターフェイス104の代わりに、画像形成装置が接続されたパーソナルコンピュータ等にインストールされたプリンタドライバとしてのソフトウエアを用いても良いことは勿論である。
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、表面に凹凸を有する記録媒体に画像を形成する際に、記録媒体へ単色画像の転写を繰り返すことにより画像の位置合わせが悪化するのを抑制することが可能となっている。
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2に示すように、通常の画像形成工程においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kにおいて、対応する色のトナー像が形成され、これらのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成された各色のトナー像Y、M、C、Kは、図7に示すように、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kに印加される一次転写バイアス電圧によって中間転写ベルト25上に多重に一次転写された後、二次転写バイアス電圧が印加される二次転写ロール32によって中間転写ベルト25上から記録用紙33上に一括して二次転写され、記録用紙33上に転写された各色の未定着トナー像が定着装置36によって加熱・加圧されて定着されることにより、フルカラー画像などが形成される。なお、図7において、Y、M、C、Kはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を、Rはイエロー(Y)とマゼンタ(M)色のトナー像を重ね合わせた赤(R)のトナー像を、Gはイエロー(Y)とシアン(C)色のトナー像を重ね合わせた緑(G)のトナー像を、Bはシアン(C)とマゼンタ(M)色のトナー像を重ね合わせた青(B)のトナー像を、K(Y+M+C)はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)色のトナー像を重ね合わせた黒色のトナー像を、Y低、M低、C低、K低等・・・はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等・・・の各色の濃度の低いトナー像を、それぞれ示している(以下、同様)。
ところで、上記画像形成装置では、図8に示すように、ユーザーがユーザーインターフェイス104によって記録媒体33の種類としてエンボス紙を指定すると(ステップ101)、CPU100は、ユーザーインターフェイス104からの信号に基づいて記録媒体33の種類が表面に凹凸を有するエンボス紙であると判別し(ステップ102)、次のような制御を行う。なお、エンボス紙か否かの判別は、ユーザーインターフェイス104からの信号によらずに、給紙トレイ40、41に配置された記録媒体33を識別する図示しないセンサや、用紙搬送路44に配置された記録媒体33を識別する図示しないセンサー等によって行うように構成しても良い。また、記録媒体33がエンボス紙でない場合には、図7に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が一括して記録媒体33に二次転写される。
CPU100は、中間転写ベルト25上に転写されたトナー像を二次転写ロール32によって記録媒体33に転写する転写工程のうち、少なくとも1回は、中間転写ベルト25上に転写された複数色のトナー像を記録媒体33に一括して転写する転写工程を含み、記録媒体33上に最終的に転写される色数よりも少ない複数回だけ転写工程を繰り返すように制御する。
この実施の形態では、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー像の転写工程を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kのうち、上流側に位置する画像形成部13Y、13Mにおけるイエロー(Y)とマゼンタ(M)色のトナー像Y、Mを一括して記録媒体33に二次転写する第1の転写工程と、下流側に位置する画像形成部13C、13Kにおけるシアン(C)と黒(K)色のトナー像C、Kを一括して記録媒体33に二次転写する第2の転写工程の2回の転写工程に分割するように構成されている。
CPU100では、図7に示すように、ユーザーインターフェイス103によって記録媒体33がエンボス紙であると判別されると(ステップ102)、1回目の作像工程としてイエロー(Y)とマゼンタ(M)の画像形成部13Y、13Mのみによって作像工程が実行される(ステップ103)。これらのイエロー(Y)とマゼンタ(M)の画像形成部13Y、13Mの感光体ドラム14Y、14M上に形成されたイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の各色のトナー像Y、Mは、図1及び図9に示すように、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26Y、26Mによって多重に一次転写された後、中間転写ベルト25上からエンボス紙33上に二次転写ロール32によって一括して二次転写され(ステップ104)、エンボス紙33に転写された各色の未定着トナー像が定着装置36によって加熱・加圧されて定着される。
その際、上記二次転写ロール32に印加される二次転写バイアス電圧V2ndは、図6に示すように、高圧電源回路103を介してCPU100によって制御される。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー像を中間転写ベルト25上からエンボス紙33に良好に転写するためには、図5に示すように、二次転写バイアス電圧V2ndをエンボス紙33の厚さや坪量から予測される必要な二次転写バイアス電圧V2ndに対して、凹部51での電界不足を補うために高い二次転写バイアス電圧V2nd’に変更する必要がある。しかし、二次転写バイアス電圧V2ndを高い値V2nd’に変更した場合には、図3(c)に示すように、中間転写ベルト25とエンボス紙33の凹部51との間の間隙Gにおいて放電が発生し、エンボス紙33上に二次転写されるトナー像が放電現象によって飛散し、トナー像に画像乱れが発生する虞れがある。
これに対して、この実施の形態では、1回の転写工程においてイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の2色のトナー像Y、Mを中間転写ベルト25上からエンボス紙33に転写すれば良いため、4色のトナー像を一括して二次転写する場合に比較して、二次転写バイアス電圧V2ndをエンボス紙33に良好に転写することができ、しかも中間転写ベルト25とエンボス紙33の凹部51との間の間隙Gにおける放電を抑制し、トナー像に画像乱れが発生するのを抑制することができる値に制御される。
そして、片面にイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の各色のトナー像が形成されたエンボス紙33は、図2に示すように、定着装置36によって片面に画像が定着された後、そのまま機外に排出されずに、切り替えゲート47によってエンボス紙33の搬送経路が下方に切り替えられ、再搬送ロール48を備えた再搬送用の用紙搬送経路49及び通常の用紙搬送経路44を介して、表裏がそのままの状態で、イエロー(Y)及びマゼンタ(M)の各色のトナー像が形成された記録用紙33の片面(同一面)が、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置まで搬送される。
その際、CPU100では、図8に示すように、2回目の作像工程としてシアン(C)と黒(K)の画像形成部13C、13Kのみによって作像工程が実行される(ステップ105)。これらのシアン(C)と黒(K)の画像形成部13C、13Kの感光体ドラム14C、14K上に形成されたシアン(C)及び黒(K)の各色のトナー像C、Kは、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26C、26Kによって多重に一次転写された後、図9(d)に示すように、中間転写ベルト25上から記録用紙33上に二次転写ロール32によって一括して二次転写され(ステップ106)、エンボス紙33に転写されたシアン(C)及び黒(K)の各色の未定着トナー像C、Kが、エンボス紙33上に既に定着されたイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の各色のトナー像Y、Mとともに、定着装置36によって加熱・加圧されて定着され、フルカラーのプリント画像が得られる(ステップ107)。
なお、上記エンボス紙33上にシアン(C)及び黒(K)の各色のトナー像C、Kを二次転写する際、二次転写ロール32に印加する二次転写バイアス電圧V2ndは、1回目の転写工程と同じ値であっても良いが、2回目の転写工程を施す際、エンボス紙33は、定着装置36を一度通過しており、エンボス紙33の含水率が低下して抵抗値が上昇している場合が多いため、2回目の二次転写バイアス電圧V2ndを1回目の値よりも高く設定するのが望ましい。
このように、上記実施の形態では、1回の転写工程でイエロー(Y)及びマゼンタ(M)の2色のトナー像、或いはシアン(C)と黒(K)の2色のトナー像をエンボス紙33に一括して二次転写すれば良く、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像からなるフルカラーの画像をエンボス紙33に一括して転写・定着する場合に比較してエンボス紙33上に一括して転写すべきトナー量が少ない。
そのため、この実施の形態では、1回の転写工程において2色のトナー像を中間転写ベルト25上からエンボス紙33に転写すれば良いため、4色のトナー像を一括して二次転写する場合に比較して、二次転写バイアス電圧V2ndをエンボス紙33に良好に転写することができ、しかも中間転写ベルト25とエンボス紙33の凹部51との間の間隙Gにおける放電を抑制し、トナー像に画像乱れが発生するのを抑制することが可能な値とすることができる。
しかも、上記実施の形態では、1回の転写工程において、イエロー(Y)とマゼンタ(M)、又はシアン(C)と黒(K)の2色のトナー像を同時に二次転写すれば良く、エンボス紙33に転写するトナー像の転写性を向上させるにあたり、4色のトナー像を一括して転写する場合に比較して二次転写バイアス電圧を過剰に高く設定する必要がなく、トナー像の飛散が発生するのを抑制することができる。
また、上記実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を1色ずつ4回に分けてエンボス紙33に転写する場合に比較して、転写工程が半分の2回で済むため、トナー像をエンボス紙33上に二次転写する際に、トナー像の転写位置が僅かにずれる虞れがあるが、転写工程の回数が4回にわたる場合のように二次転写時におけるトナー像の転写位置が累積的にずれてしまうことにより、各色の画像の位置合わせが悪化するのを抑制することができるとともに、生産性を向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー像の転写工程を、イエロー(Y)とマゼンタ(M)色のトナー像を一括して記録媒体33に二次転写する工程と、シアン(C)と黒(K)色のトナー像を一括して記録媒体33に二次転写する工程の2回の転写工程に分割するように構成したが、これに限定されるものではなく、イエロー(Y)とシアン(C)、マゼンタ(M)と黒(K)などその組み合わせは任意である。
実施の形態2
図10及び図11はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記制御手段は、前記中間転写体上に転写されたカラーのトナー像を前記記録媒体に転写する前記転写工程と、前記中間転写体上に転写された白黒のトナー像を前記記録媒体に転写する前記転写工程とに分割して繰り返すように構成されている。
すなわち、この実施の形態2では、図10に示すように、CPU100によって画像処理装置12から送られてくる画像データに基づいて、例えば、写真画像やイラスト画像、あるいは図版のようなイメージ画像か、或いは黒色の文字からなるテキスト画像かを判別し、イメージ画像とテキスト画像とが分離される(ステップ201)。
CPU100は、ユーザーインターフェイス104によって記録媒体33の種類が表面に凹凸を有するエンボス紙であると判別されると(ステップ202)、次のような制御を行うようになっている。
CPU100では、図10に示すように、ユーザーインターフェイス104によって記録媒体33としてエンボス紙であると判別されると(ステップ202)、1回目の作像工程として画像処理装置12から送られてくるイメージ画像の画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のカラートナーを用いた画像形成部13Y、13M、13Cによって作像工程が実行される(ステップ203)。これらのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の画像形成部13Y、13M、13Cの感光体ドラム14Y、14M、14C上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像は、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26Y、26Mによって多重に一次転写された後、中間転写ベルト25上から記録用紙33上に二次転写ロール32によって一括して二次転写され(ステップ204)、記録用紙33に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の未定着トナー像が定着装置36によって加熱・加圧されて定着される。
そして、片面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成されたエンボス紙33は、図2に示すように、定着装置36によって片面に画像が定着された後、そのまま機外に排出されずに、切り替えゲート47によってエンボス紙33の搬送経路が下方に切り替えられ、再搬送ロール48を備えた再搬送用の用紙搬送経路49及び通常の用紙搬送経路44を介して、表裏がそのままの状態で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成された記録用紙33の片面(同一面)が、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置まで搬送される。
その際、CPU100では、図10に示すように、2回目の作像工程として画像処理装置12から送られてくるテキスト画像の画像データに基づいて、黒(K)の画像形成部13C、13Kのみによって作像工程が実行される(ステップ205)。なお、テキスト画像として黒以外の色が指定されている場合には、指定された色の画像が1回目の作成工程で作成される。この黒(K)の画像形成部13Kの感光体ドラム14K上に形成された黒(K)のトナー像は、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26Kによって一次転写された後、中間転写ベルト25上から記録用紙33上に二次転写ロール32によって二次転写され(ステップ206)、エンボス紙33に転写された黒(K)の各色の未定着トナー像が、図11に示すように、エンボス紙33上に既に定着されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像とともに、定着装置36によって加熱・加圧されて定着され、フルカラーのプリント画像が得られる(ステップ207)。
このように、上記実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像からなるフルカラーの画像をエンボス紙33に転写・定着する際に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を中間転写ベルト25上からエンボス紙33に一括して二次転写する場合に比較して、二次転写ロール32に印加する二次転写バイアス電圧を、黒(K)色のトナー像の転写に適した値に設定して、黒(K)色のトナー像の転写性を向上させることができ、黒(K)色単独で最適な画質を形成することができる。
しかも、上記実施の形態では、1回目の転写工程において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のフルカラーのトナー像を一括して同時に二次転写することができ、これらのフルカラーのトナー像間に画像の位置ずれが発生するのを抑制乃至回避することができる。また、2回目の転写工程において二次転写される黒色(K)の画像は、テキストとしての文字画像を形成するものであるため、フルカラーのトナー像との間に生じる画像の位置ずれが殆ど目立つことがなく、高画質の画像を形成することができる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態3
図12及び図13はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、前記制御手段は、前記中間転写体上に転写された全色数のトナー像を前記記録媒体に一括して転写する転写工程を複数回繰り返すように構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図12に示すように、ユーザーがユーザーインターフェイス103によって記録媒体33の種類としてエンボス紙を指定すると(ステップ301)、CPU100は、ユーザーインターフェイス103からの信号に基づいて記録媒体33の種類が表面に凹凸を有するエンボス紙であると判別し(ステップ302)、次のような制御を行うようになっている。
CPU100は、中間転写ベルト25上に転写された全色数のトナー像を二次転写ロール32によって記録媒体33上に一括して二次転写する転写工程を2回繰り返すように構成されている。その際、CPU100は、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度を1/2つまり50%ずつ2回に分割して記録媒体33上に一括して二次転写するようになっている。
つまり、1回目の転写工程では、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度のうち、その1/2である50%の濃度で画像を形成し、記録媒体33上に一括して二次転写し、続く、2回目の転写工程では、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度のうち、残りの1/2である50%の濃度で画像を形成し、記録媒体33上に一括して二次転写することにより、本来、記録媒体33上に転写すべき濃度の画像を形成する。
なお、ここで、50%の濃度とは、最高濃度を100%とした場合の1/2である50%の濃度を意味するものではなく、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度が、例えば、Cin=60%である場合には、その50%のCin=30%の濃度の画像を2回に分割して形成し、記録媒体33上に2回に分割して二次転写することを意味している。
また、2回に分割する画像の濃度としては、1/2ずつである50%の濃度に限定されるものではなく、1回目の転写工程では、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度の60%に設定し、2回目の転写工程では、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度の残りの40%に設定するなど、分割する濃度の値は、任意である。さらに、転写工程を分割する回数も2回に限定されるものではなく、3回であっても良い。このように、トナー像の複数工程を複数回繰り返して最終的な画像濃度を得る手段として、画像の分割比率は任意であるとともに、ベタ画像やハーフトーン画像のように画像構造毎に適宜異なる比率に設定しても良い。
CPU100では、図12に示すように、ユーザーインターフェイス103によって記録媒体33としてエンボス紙が指定されたと判別すると(ステップ302)、1回目の作像工程としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のすべての画像形成部13Y、13M、13C、13Kによって作像工程が実行される(ステップ303)。ただし、この場合の1回目の作像工程は、本来、記録媒体33上に転写すべき画像の濃度の50%で実行される。
これらのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の50%濃度の各色のトナー像は、図13に示すように、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26Y、26Mによって多重に一次転写された後、中間転写ベルト25上からエンボス紙33上に二次転写ロール32によって一括して二次転写され(ステップ304)、エンボス紙33に転写された各色の未定着トナー像が定着装置36によって加熱・加圧されて定着される。
そして、片面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の50%濃度の各色のトナー像が形成されたエンボス紙33は、図2に示すように、定着装置36によって片面に画像が定着された後、そのまま機外に排出されずに、切り替えゲート47によってエンボス紙33の搬送経路が下方に切り替えられ、再搬送ロール48を備えた再搬送用の用紙搬送経路49及び通常の用紙搬送経路44を介して、表裏がそのままの状態で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の50%濃度の各色のトナー像が形成された記録用紙33の片面(同一面)が、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置まで搬送される。
その際、CPU100では、図12に示すように、2回目の作像工程としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像形成部13Y、13M、13C、13Kによって残りの濃度50%の画像の作像工程が実行される(ステップ305)。これらのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム14Y、14M、14C、14K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の濃度50%の各色のトナー像は、中間転写ベルト25上に一次転写ロール26C、26Kによって多重に一次転写された後、図13に示すように、中間転写ベルト25上から記録用紙33上に二次転写ロール32によって一括して二次転写され(ステップ306)、エンボス紙33に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の濃度50%の未定着トナー像が、エンボス紙33上に既に定着されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の濃度50%のトナー像とともに、定着装置36によって加熱・加圧されて定着され、フルカラーのプリント画像が得られる(ステップ307)。
このように、上記実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像からなるフルカラーの画像をエンボス紙33に転写・定着する際に、図7に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の濃度100%のトナー像を中間転写ベルト25上からエンボス紙33に一括して二次転写する場合に比較して、1回の転写工程でエンボス紙33上に二次転写すべきトナー量を1/2にすることができ、転写性を向上させることができ、表面33aに凹凸51を有するエンボス紙33に良好にフルカラーの画像を形成することができる。
しかも、上記実施の形態では、1回の転写工程において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の全色のトナー像を同時に二次転写することができ、転写工程を合計4回繰り返した場合と比較して累積的なズレを抑制することができる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。