JP5299051B2 - 導電性ポリアミド樹脂組成物、導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法、射出成形品及び押出成形品 - Google Patents

導電性ポリアミド樹脂組成物、導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法、射出成形品及び押出成形品 Download PDF

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Description

本発明は、導電性ポリアミド樹脂組成物等に関する。
ポリアミド樹脂は、成形性、耐薬品性、引っ張り強さ、曲げ強さ等の機械的性質や、耐摩耗性等に優れ、電気・電子部品、機械部品、自動車部品等広範な分野で使用されている。
さらに、近年、自動車の外板など静電塗装により塗装される用途に好適な導電性を有すると共に、機械的強度、成形加工性に優れた導電性ポリアミド樹脂組成物が報告されている(特許文献1参照)。
特開2004−182866号公報
ところで、電気・電子部品を中心とした静電気防止や電磁波シールドの用途、自動車外装材を中心とした静電塗装用途において、電気絶縁性であるポリアミド樹脂に導電性を付与することが求められている。
一般に、熱可塑性樹脂に添加される導電性物質としては、イオン性界面活性剤、非イオン性の界面活性剤、ポリエチレングリコール単位やイオン性官能基を有する高分子帯電防止剤等の有機化合物の他に、カーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、金属粉未、金属酸化物等の無機物等が挙げられる。特に、比較的少量の導電性物質の添加で高い導電性が発現し、良好な外観が得られることから、導電性カーボンブラックや中空炭素フィブリルが広く使用されている。
しかし、導電性カーボンブラックや中空炭素フィブリルを多量に配合すると、耐衝撃性や成型加工性(流動性)が低下する等の問題点がある。一般に、低下した耐衝撃性を向上するためにはエラストマーが配合されるが、この場合には強度、剛性が低下する等の問題がある。
また、これらの導電性物質はポリアミド樹脂に比べ高価であり、経済性の観点からも、少量の導電性物質の添加で、より高い導電性を有するポリアミド樹脂組成物が望まれている。
本発明の目的は、少量の導電性物質を添加することにより、より高い導電性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明によれば、下記請求項に係る導電性ポリアミド樹脂組成物、導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法、射出成形品及び押出成型品が提供される。
請求項1に係る発明は、ポリアミド樹脂と導電性付与剤とを含む導電性ポリアミド樹脂組成物であって、異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性カーボンブラック及び中空炭素フィブリルから選ばれる少なくとも1種の導電性付与剤と、を少なくとも含有し、脂肪族ポリアミド樹脂aの溶解度パラメータSPaと、脂肪族ポリアミド樹脂bの溶解度パラメータSPbとの差の絶対値が0.2〜3.6の範囲であり、当該脂肪族ポリアミド樹脂aが、ペンタメチレンジアミンを含む脂肪族ジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として用いる重縮合反応により得られるものであることを特徴とする導電性ポリアミド樹脂組成物である。
請求項2に係る発明は、前記導電性付与剤の含有量は、導電性ポリアミド樹脂組成物100重量%に対して0.01重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物である。
請求項に係る発明は、前記脂肪族ポリアミド樹脂aが、ポリアミド56、ポリアミド59、ポリアミド510からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物である。
請求項に係る発明は、脂肪族ポリアミド樹脂aと、脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤と、を溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
請求項に係る発明は、脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物とし、次いで、前記混合物と前記脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は前記脂肪族ポリアミド樹脂bとを溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
請求項に係る発明は、脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物とし、次いで、前記混合物と前記脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は前記脂肪族ポリアミド樹脂bとをドライブレンドすることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
請求項に係る発明は、前記混合物中の前記導電性付与剤の重量は、当該混合物100重量%に対し、0.05重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項又はに記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする射出成形品である。
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出成形品である。
本発明によれば、同量の導電性付与剤を添加した樹脂組成物と比較して、より高い導電性を有するポリアミド樹脂組成物が得られる。この導電性を有するポリアミド樹脂組成物は、例えば、電気・電子部品や、自動車外装材をはじめとする広範囲の分野に利用できるものである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリアミド樹脂>
本発明で使用する、異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bは、主鎖にアミド結合(−CONH−)を有し、以下に示す化合物の少なくとも1つをモノマー成分として用いる重縮合反応により得られるポリマーが挙げられる。これらのポリアミド樹脂を得るためのモノマー成分としては、ラクタム、ジカルボン酸、ジアミンが挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン)、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
これらの中でも、1,5−ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン)を含む脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを単量体成分として用いる重縮合反応により得られる脂肪族ポリアミド樹脂が好ましい。なかでも、γ型結晶を有する傾向のあるポリアミド56、ポリアミド59、ポリアミド510などのポリアミド5X(但し、Xは、2以上の整数である。)が好ましい。一般的に使用されているポリアミド6、ポリアミド66等はα型結晶のみを有する傾向にあるが、α型結晶はγ型結晶に比べて結晶サイズが大きく、導電経路を遮断し易いと考えられる。
本発明で使用する脂肪族ポリアミド樹脂a、脂肪族ポリアミド樹脂bの分子量は特に限定されず、目的に応じて選択される。実用性の観点から、脂肪族ポリアミド樹脂a、脂肪族ポリアミド樹脂bの25℃における98%硫酸に溶解した溶液(ポリアミド樹脂a又はbの濃度:0.01g/ml)の相対粘度(η)は、通常、1.5〜5.5、好ましくは1.6〜3.5、さらに好ましくは1.8〜3.0、特に好ましくは2.0〜2.8の範囲である。相対粘度が過度に低いと実用的強度が得られない傾向がある。また、相対粘度が過度に大きいと流動性が低下して成形加工性が損なわれる傾向がある。
本発明におけるポリアミド樹脂の溶解度パラメータ(以下、「SP値」と記す。)は、2005年(株式会社 情報機構)、山本秀樹著「SP値基礎・応用と計算方法」第66頁〜第67頁の「2.Fedorの推算法」に基づき算出した。Fedorの推算法におけるSP値は、(凝集エネルギー[J/mol])/(分子容[cm/mol])の1/2乗で定義される値であり、主として、ポリマーの各種溶媒への溶解性を予測するのに用いられる有用な物性値である。一般的に使用されているポリアミド、及び実施例、比較例で使用したポリアミドのモノマー構成、凝集エネルギーE(J/mol)、分子容V(cm/mol)、溶解度パラメータSP値を表1に示す。
本発明で使用する異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aのSP値(SPa)と脂肪族ポリアミド樹脂bのSP値(SPb)との差の絶対値は0.2〜3.6の範囲である。また、0.5〜3.2の範囲が好ましく、0.8〜2.7の範囲がさらに好ましく、1.2〜2.2の範囲が特に好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂aのSP値(SPa)と脂肪族ポリアミド樹脂bのSP値(SPb)との差の絶対値が過度に小さいと、導電性が低くなる傾向がある。また、SP値(SPa)とSP値(SPb)との差の絶対値が過度に大きいと、脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bの相溶性が低下する傾向がある。
<導電性付与剤>
<導電性カーボンブラック>
本発明で使用する導電性付与剤の1種である導電性カーボンブラックとしては、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレー卜(DBP)吸油量が、200ml/100g以上であり、より好ましくは400ml/100g以上である導電性カーボンブラックが挙げられる。好ましい導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等が挙げられる。これらの導電性カーボンブラックは、ペイント等に着色目的で加える顔料用カーボンブラックとは違って、通常、微細な粒子が連なった形態を有している。
<中空炭素フィブリル>
本発明で使用する導電性付与剤の1種である中空炭素フィブリルとしては、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレー卜(DBP)吸油量が、200ml/100g以上であり、より好ましくは400ml/100g以上である中空炭素フィブリルが挙げられる。
ここで、本発明で使用する中空炭素フィブリルとしては、規則的に炭素原子が配列した本質的に連続的な多層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心に配置され、本質的に円柱状のフィブリルが挙げられる。
さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2nm〜20nmの範囲のものが好ましい。
このような中空炭素フィブリルは、例えば、特表昭62−500943号公報や、米国特許第4,663,230号明細書等に詳細に記載されている。その製法は、後者の米国特許明細書に詳細に記載されているように、例えば、アルミナを支持体とする鉄、コバルト、ニッケル含有粒子等の遷移金属含有粒子を、一酸化炭素、炭化水素等の炭素含有ガスと、850℃〜1200℃の高温で接触させ、熱分解によって生じた炭素を、遷移金属を起点として、繊維状に成長させる方法が挙げられる。また、この種の中空炭素フィブリルは、ハイペリオン・カタリシス社が、グラファイト・フィブリルという商品名で販売しており、容易に入手することができる。導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリルは導電性付与剤として、導電性と耐衝撃性のバランスが良好であり、好ましく用いられる。また、導電性カーボンブラック、中空炭素フィブリルは、ジェットミルやスーパーミキサー等の高速粉砕機を用いて予め粉砕しておくことが好ましい。
<導電性ポリアミド樹脂組成物>
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性カーボンブラック及び中空炭素フィブリルから選ばれる少なくとも1種の導電性付与剤と、を少なくとも含有し、脂肪族ポリアミド樹脂aの溶解度パラメータSPaと、脂肪族ポリアミド樹脂bの溶解度パラメータSPbとの差の絶対値が0.2〜3.6の範囲であることが好ましい。
ここで、本発明で使用する導電性付与剤である導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリルの導電性ポリアミド樹脂組成物中における含有量は、導電性ポリアミド樹脂組成物100重量%に対し、通常、0.01重量%〜30重量%であり、好ましくは0.1重量%〜25重量%であり、更に好ましくは0.5重量%〜20重量%である。
導電性付与剤の含有量が過度に少ないと、導電性付与剤の含有量が上記の範囲である場合と比べ、予め定めた導電性が得られないことがある。また、含有量が過度に多いと、導電性付与剤の含有量が上記の範囲である場合と比べ、耐衝撃性が低下し、電気・電子部品、自動車部品、フィルムとしての実用強度に耐えられなくなる傾向がある。
<添加剤>
本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物には、各種の添加剤が配合されても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、離型剤、滑剤、顔料、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、強化材、他の重縮合体等が挙げられる。
具体的には、酸化防止剤又は熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ホスファイト系化合物及びこれらの置換体等が挙げられる。
耐候剤としては、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
離型剤又は滑剤としては、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素化合物、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
顔料としては、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等が挙げられる。
染料としては、ニグロシン、アニリンブラック等が挙げられる。
結晶核剤としては、タルク、シリカ、カオリン、クレー等が挙げられる。
可塑剤としては、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
帯電防止剤としては、アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等の非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等が挙げられる。
充填剤としては、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、針状、板状充填材が挙げられる。
強化材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、窒化硼素、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム等が挙げられる。
他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。これらは、ポリアミド樹脂を製造する工程において、添加量、添加工程等を選択して、添加すればよい。
本実施の形態では、脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bの重縮合から成形までの任意の段階で、ポリアミド樹脂組成物に添加剤を配合することができる。
<導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
次に、本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法について説明する。導電性ポリアミド樹脂組成物は、前述した異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性カーボンブラック及び中空炭素フィブリルから選ばれる少なくとも1種の導電性付与剤と、さらに、必要に応じて配合される各種の添加剤とを、公知の混合手段で混合することにより製造することができる。
公知の混合手段としては特に制限はなく、例えば、二軸押出機や単軸押出機を用いる溶融混練方法、タンブラー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーを用いるドライブレンド等が挙げられる。
具体的には、例えば、予め、脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物(導電剤マスターバッチ)とし、次いで、この混合物と脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bとを溶融混練する方法が挙げられる。
また、他の方法としては、予め、脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物(導電剤マスターバッチ)とし、次いで、この混合物と脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bとをドライブレンドする方法が挙げられる。
このとき、導電性付与剤の重量は、脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bとの内の一方の100重量%に対し、0.1重量%〜100重量%の範囲で、好ましくは、2重量%〜45重量%の範囲で配合する。
また、予め脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bとの内の一方と導電性付与剤を溶融混練する際の混練条件(導電剤マスターバッチの調製条件)は、一般的なポリアミド樹脂を溶融混練する場合の条件で良く、例えば、使用するポリアミド樹脂の融点(DSCにて測定した融解ピーク温度)の5℃以上50℃以下の温度設定で溶融混練をすることが好ましい。尚、本実施の形態では、脂肪族ポリアミド樹脂a,bの重縮合から導電性ポリアミド樹脂組成物の製造、成形までの任意の段階で、ポリアミド樹脂組成物に各種の添加剤を配合することができる。
本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、フィルム成形、溶融紡糸、ブロー成形、真空成形等の任意の成形方法により、予め定めた形状に成形することができる。成形品としては、例えば、射出成形品、フィルム、シート、フィラメント、テーパードフィラメント、繊維等が挙げられる。
<射出成形品>
次に、本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物を用いる射出成形品について説明する。本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物は、公知の射出成形方法により射出成形品を製造することができる。
射出成形方品を得るために使用する射出成形機としては、例えば、日精樹脂工業株式会社製:NEX80型、や東芝機械株式会社製:IS80等が挙げられる。射出成形方法における射出成形条件は特に限定されず、例えば、ポリアミド6やポリアミド66等公知のポリアミド樹脂を成形する条件の範囲で選択される。
本実施の形態が適用される射出成形品は、導電性付与剤の含有量が0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%、更に好ましくは0.5重量%〜20重量%において、同量の導電性付与剤を添加した樹脂組成物と比較して、体積固有抵抗値が低減する。これは、従来の導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて得られる射出成形品と比べて、少ない導電性付与剤含有量で低い体積固有抵抗値が得られることが特徴である。
射出成形品の具体例としては、特に限定されず、例えば、フロントエンドモジュール、ラジエーターマウント、ボディー・バンパーリテーナー、ECUケース、インテークマニホールド、ヒンジ付きクリップ(ヒンジ付き成形品)、結束バンド、レゾネータ、エアークリーナ、エンジンカバー、ロッカーカバー、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー、ガソリンタンク、ガソリンサブタンク、ラジエータータンク、インタークーラータンク、オイルリザーバータンク、オイルパン、電動パワステギヤ、オイルストレーナ、キャニスタ、エンジンマウント、ジャンクションブロック、リレーブロック、コネクタ、コルゲートチューブ、プロテクター等の自動車用アンダーフード部品;ドアハンドル、フェンダー、フードバルジ、ルーフレールレグ、ドアミラーステー、バンパ、スポイラ、ホイールカバー等の自動車用外装部品;カップホルダ、コンソールボックス、アクセルペダル、クラッチペダル、シフトレバー台座、シフトレバーノブ等が挙げられる。
これらの中でも、本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて得られるフロントエンドモジュール、ラジエーターマウント、ボディー・バンパーリテーナーは、安定した導電性と耐熱性が必要であることから、好適である。
上述したフロントエンドモジュール、ラジエーターマウント等は、従来、鋼材にて製造されていた部品である。これらは、車両の軽量化を目的として樹脂製へと置き替わりつつある。ところが、これらの部品を樹脂化すると導電性が無くなり、アース用のワイヤーハーネスを別途設置する必要がある。そこで、導電性樹脂でこれらの部品を成型すれば、アースを設ける必要がなくなり、樹脂化による車両軽量化を促進する。
<押出成形品>
次に、本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物を用いる押出成形品について説明する。本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物は、公知の押出成形方法により押出成形品を製造することができる。
公知の押出成形方法としては特に限定されず、例えば、Tダイを用いたフラットフィルム成形、水冷または空冷インフレーションフィルム成形、チューブ成形、モノフィラメント成形、マルチフィラメント成形等が挙げられる。また、押出成形方法において使用する押出成形機としては、公知の単軸および二軸押出機が挙げられる。本実施例では、単軸押出機の先端にTダイを取り付けてフラットフィルムを成形した。
本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて得られた押出成形品は、導電性付与剤の含有量が0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%、更に好ましくは0.5重量%〜20重量%において、同量の導電性付与剤を添加した樹脂組成物と比較して、体積固有抵抗値が低減する。これは、従来の導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて得られる押出成形品と比べて、少ない導電性付与剤含有量で低い体積固有抵抗値が得られることが特徴である。
押出成形品の具体例としては、特に限定されず、例えば、釣り糸、漁網等の漁業関連資材、スイッチ類、超小型スライドスイッチ、ディップスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、電解コンデンサー、コンデンサーケース、モータの内部フィルム状部品、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、工業用養生シート、プリンタリボンガイド等に代表される電気・電子関連部品、家庭・事務電気製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複写機関連部品、機械関連部品等各種用途等が挙げられる。
これらの中でも、本実施の形態が適用される導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて得られる押出成形品は、導電性や帯電防止性が必要な部品部材に好適である。
帯電防止性や導電性を有するフィルムは、例えば、発塵を著しく低減する必要がある半導体製造現場の床、壁、天井を覆う養生シートに好適である。また、静電塗装を行う車両航空機の塗装現場では、帯電防止性はもとより導電性を有する養生シートを用いることで、静電気のスパークによる火災の危険性が低減する。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度(η
ポリアミド樹脂の相対粘度(η)は、ポリアミド樹脂を98%硫酸に溶解した溶液(濃度:0.01g/ml)を調製し、25℃で、オストワルド式粘度計を使用して測定した(単位:dl/g)。
(2)ポリアミド樹脂の融点(Tm)の測定方法
ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業株式会社製ロボットDSC)を使用して、窒素雰囲気下にて測定した。ポリアミド樹脂試料約5mgを完全に融解させ3分間保持した後、降温速度20℃/分で30℃まで降温した。続いて、30℃で3分間保持した後、30℃から昇温速度20℃/分で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点(Tm)として測定した。吸熱ピークが複数ある場合は、最も高い温度を融点(Tm)とした。
(3)射出成形品の体積固有抵抗値の測定
ASTM−D638に準拠した引張試験片の両端を剪定ハサミで切断し、12.7mm×50mm×3mm厚の短冊を切り出し、短冊の両端面(12.7mm×3mm)に銀ペーストを塗布して、23℃で30分間風乾したものを試験片とした。
測定は、銀ペーストを塗布した両端面の間の抵抗を測定し、体積抵抗率を算出し、これを体積固有抵抗値とした。
尚、測定器は、株式会社三菱化学アナリテック製ロレスタEPおよび株式会社三菱化学アナリテック製ハイレスタUPを使用した。体積抵抗値が106Ω・cm以下の場合はロレスタを用い、それを超えるときはハイレスタを用いた。プローブはESP型を使用した。ハイレスタはリング法を用い、500V、チャージ1分、測定開始から1分後の値を採用した。体積固有抵抗値は低いほど導電性が優れている。
(4)フィルムの体積固有抵抗値の測定
成形したフィルムを、カッターを用いて100mm×100mmに切り出し、その両端に銀ペーストを塗布後、射出成形品同様の方法で、体積固有抵抗値を測定した。
(5)重縮合用モノマーの調製
(a)ε−カプロラクタム、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、AH塩(66塩)、12−アミノドデカン酸は、いずれも市販品を使用した。
ε−カプロラクタム:三菱化学株式会社製、アジピン酸:旭化成ケミカルズ株式会社製、アゼライン酸:cognis社製、セバシン酸:小倉合成株式会社製、AH塩:Rhodia社製、12−アミノドデカン酸:宇部興産株式会社製
(b)ペンタメチレンジアミン
ペンタメチレンジアミンは、以下の操作により調製した。
まず初めに、特開2008−189918号公報(段落(0108)〜(0113))に記載されたカダベリン・アジピン酸塩の精製・単離(1)の1番晶を得る方法と同様の操作を行い、含水率が約15重量%のカダベリン・アジピン酸塩(ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩)を得た。
予め窒素置換した1mのステンレス製容器に、脱塩水(100kg)と、含水率が約15重量%のペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩(250kg)とを仕込み、撹拌して溶解させた。
次に、この溶解液中に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液(273.8kg)を仕込み、中和した(即ち、ペンタメチレンジアミンを脱塩して遊離アミンにした)。溶解液中に水酸化ナトリウム水溶液を仕込む際は、溶解液の内温が70℃を超えないように調整した。
次に、中和処理を行った溶解液を、内温50℃、減圧度50Torrの条件で水を留去し、次いで、内温80℃、減圧度20Torrの条件でペンンタメチレンジアミンを蒸留した。得られたペンタメチレンジアミンを内温80℃、減圧度20Torrの条件で再度蒸留を行い、ナトリウム含有率が約2ppmのペンタメチレンジアミンを得た。
(6)導電性ポリアミド樹脂組成物の調製
A:ポリアミド樹脂
(a)ポリアミド6(PA6)
ε−カプロラクタム50kg、脱塩水1.5kg、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解した。この原料水溶液をオートクレーブに移送し、ジャケット温度を280℃に設定して加熱を開始した。内容物を270℃迄昇温した後、オートクレーブの圧力を徐々に放圧し、更に減圧して予め定めた撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後、窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットに対し、得られたペレットの1.5倍量の沸騰水を使用して未反応のモノマー、オリゴマーを抽出除去した。未反応物を除去したペレットは120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥を行い、ポリアミド6(PA6)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は224℃であった。
(b)ポリアミド12(PA12)
12−アミノドデカン酸50kg、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内の窒素置換を行った。その後、ジャケット温度を230℃に設定して加熱を開始した。内容物を220℃迄昇温した後、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧し、更に減圧して予め定めた撹拌動力に到達した時点で反応終了とした。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド12(PA12)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は182℃であった。
(c)ポリアミド56(PA56)
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、アジピン酸、脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。プランジャーポンプにて予め窒素置換したオートクレーブに、上記の原料水溶液を移送した。ジャケット温度を280℃に、オートクレーブの圧力を1.47MPaにそれぞれ調節し、内容物を270℃に昇温した。次に、オートクレーブ内の圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して予め定めた撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。反応終了後に窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入した後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥し、ポリアミド56(PA56)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は255℃であった。
(d)ポリアミド59(PA59)
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・アゼライン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、アゼライン酸、脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。以降は(c)ポリアミド56と同様にして、ポリアミド59(PA59)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は210℃であった。
(e)ポリアミド510(PA510)
濃度50重量%、数量100kgのペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩水溶液となるように、ペンタメチレンジアミン、セバシン酸、脱塩水を容器に入れ、さらに亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gを容器に入れ、窒素雰囲気下で混合物を溶解させ、原料水溶液を得た。以降は(c)ポリアミド56と同様にして、ポリアミド510(PA510)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は218℃であった。
(f)ポリアミド6/66(PA6/66)(6/66仕込み重量比=80/20)
ε−カプロラクタム40kgを容器に入れ、窒素置換した後に100℃にて溶解した。この原料水溶液をオートクレーブ(a)に移送し、ジャケット温度を270℃に設定して加熱を開始した。
濃度50重量%、数量20kgのヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液、及び亜リン酸水素2ナトリウム5水和物3.48gをオートクレーブ(b)に入れ、窒素置換した後に昇温を開始した。内容物の温度と圧力が、150℃、0.15MPaに到達するまでヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液の濃縮を行った。
オートクレーブ(a)の内温が245℃に到達した時点で、オートクレーブ(b)のヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩水溶液をオートクレーブ(a)に移送した。ジャケット温度を250℃に、オートクレーブの圧力を0.20MPaにそれぞれ調節し、内容物を240℃に昇温した。次に、オートクレーブの圧力を徐々に放圧した後、更に減圧して予め定めた撹拌動力に到達した時点で重縮合反応を終了した。
反応終了後、窒素にて復圧し、内容物をストランド状に冷却水槽へ導入後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットに対し、得られたペレットの1.5倍量の沸騰水を使用して未反応のモノマー、オリゴマーを抽出除去した。未反応物を除去したペレットは120℃、1torr(0.13kPa)の条件で、水分量が0.1重量%以下となる迄乾燥を行い、ポリアミド6/66(PA6/66)を得た。相対粘度(η)は2.8、融点(Tm)は191℃であった。
以上の操作により調製したポリアミド樹脂を表1に示した。
B:導電性付与剤
中空炭素フィブリルとして、DBP吸油量256ml/100gの三菱化学製カーボンナノチューブMC−4を用いた。
また、導電性カーボンブラックとしては、DBP吸油量495ml/100gのライオン製ケッチェンブラックEC600JDを用いた。
C:導電剤マスターバッチの調製
ニ軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用い、表2に示す組成の導電性付与剤とポリアミド樹脂とを、シリンダ設定温度265℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量20kg/hで溶融混練し、導電剤マスターバッチを調製した。
(実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3)
表2に示すポリアミド樹脂(ベースPA)と、予め調製した導電剤マスターバッチ(導電剤MB)とを、表2に示す配合で、回転式タンブラーを用いてドライブレンドし、ブレンド物とした後、該ブレンド物をASTM−D638に準拠した引張試験片金型を搭載した射出成形機(日精樹脂工業株式会社製:NEX80型)にてシリンダ温度260℃で、金型温度80℃で射出成形を行った。得られた射出成形品(引張試験片)を用いて体積固有抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(実施例7、実施例8)
表2に示すポリアミド樹脂(ベースPA)と、予め調製した導電剤マスターバッチ(導電剤MB)とを、表2の配合で、回転式タンブラーを用いてドライブレンドし、ブレンド物とした後、該ブレンド物を先端に600mm幅のTダイを装着した直径40mm単軸押出機で、シリンダ温度270℃で押出し、ダイス温度275℃、ロール温度60℃で、厚み50μmのフラットフィルムに成形した。このフラットフィルムの体積固有抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(実施例9)
表2に示す導電剤マスターバッチと、ポリアミド樹脂(ベースPA)と、を表2に示す配合で、ニ軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用いてシリンダ温度265℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間で溶融混練し、混練物とし、該混練物を先端に600mm幅のTダイを装着した直径40mm単軸押出機で、シリンダ温度270℃で押出し、ダイス温度275℃、ロール温度60℃で、厚み50μmのフラットフィルムに成型した。このフラットフィルムの体積固有抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(実施例10)
表2に示す導電剤マスターバッチと、ポリアミド樹脂(ベースPA)と、を表2に示す配合で、ニ軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用いてシリンダ温度265℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間で溶融混練し、混練物とし、該混練物をASTM−D638に準拠した引張試験片金型を搭載した射出成形機(日精樹脂工業株式会社製:NEX80型)にてシリンダ温度260℃、金型温度80℃で射出成形を行った。得られた射出成形品(引張試験片)を用いて体積固有抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例4)
表2に示すポリアミド樹脂(ベースPA)と、PA12およびPA6をべースとした導電剤マスターバッチ(導電剤MB)とを、表2の配合で、回転式タンブラーを用いてドライブレンドし、ブレンド物とした後、該ブレンド物をASTM−D638に準拠した引張試験片金型を搭載した射出成形機(日精樹脂工業株式会社製:NEX80型)にてシリンダ温度260℃で、金型温度80℃で射出成形を行った。しかし、ポリアミド樹脂(ベースPA)と導電剤マスターバッチの相溶性が悪く、得られた成形品の表面が剥離状に荒れてしまい、体積固有抵抗値を測定することが出来なかった。結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリアミド樹脂(ベースPA)をPA6に変え、実施例7と同様な操作で厚み50μmのフラットフィルムを成形した。このフラットフィルムの体積固有抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005299051
Figure 0005299051
表2に示す結果から、異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性カーボンブラック及び中空炭素フィブリルから選ばれる少なくとも1種の導電性付与剤と、を少なくとも含有し、脂肪族ポリアミド樹脂aの溶解度パラメータSPaと、脂肪族ポリアミド樹脂bの溶解度パラメータSPbとの差の絶対値が0.2〜3.6の範囲である導電性ポリアミド樹脂組成物(実施例1〜実施例10)は、射出成形品、押出成形品のいずれの場合においても、溶解度パラメータSPの差の絶対値がこの範囲以外の組み合わせ(比較例1〜比較例5)と比べ、体積固有抵抗値が低く、導電性が高いことが分かる。

Claims (9)

  1. ポリアミド樹脂と導電性付与剤とを含む導電性ポリアミド樹脂組成物であって、
    異なる溶解度パラメータを有する脂肪族ポリアミド樹脂aと脂肪族ポリアミド樹脂bと、
    導電性カーボンブラック及び中空炭素フィブリルから選ばれる少なくとも1種の導電性付与剤と、を少なくとも含有し、
    脂肪族ポリアミド樹脂aの溶解度パラメータSPaと、脂肪族ポリアミド樹脂bの溶解度パラメータSPbとの差の絶対値が0.2〜3.6の範囲であり、当該脂肪族ポリアミド樹脂aが、ペンタメチレンジアミンを含む脂肪族ジアミンとジカルボン酸とを単量体成分として用いる重縮合反応により得られるものであることを特徴とする導電性ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記導電性付与剤の含有量は、導電性ポリアミド樹脂組成物100重量%に対して0.01重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族ポリアミド樹脂aが、ポリアミド56、ポリアミド59、ポリアミド510からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリアミド樹脂aと、脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤と、を溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  5. 脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物とし、
    次いで、前記混合物と前記脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は前記脂肪族ポリアミド樹脂bとを溶融混練する
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  6. 脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は脂肪族ポリアミド樹脂bと、導電性付与剤とを溶融混練することにより混合物とし、
    次いで、前記混合物と前記脂肪族ポリアミド樹脂a及び/又は前記脂肪族ポリアミド樹脂bとをドライブレンドする
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記混合物中の前記導電性付与剤の重量は、当該混合物100重量%に対し、0.05重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項又はに記載の導電性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形して得られることを特徴とする射出成形品。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする押出成形品。
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