JP5298408B2 - 結晶性ito薄膜の成膜方法、結晶性ito薄膜及びフィルム、並びに抵抗膜式タッチパネル - Google Patents
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[1]シングルカソードパルススパッタリング法によるITO薄膜の成膜方法において、ターゲット電極に印加する印加電力のデューティ比を60%以下とすると共に、1パルスに対応するピーク電流を、同一印加電力密度におけるデューティ比80%の場合のピーク電流値の1.5倍以上としたことを特徴とする結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[2]ターゲット電極に印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする[1]記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[3]2つのターゲット電極に交互に電力を印加するデュアルカソードパルススパッタリング法によるITO薄膜の成膜方法において、前記2つのターゲット電極にそれぞれ印加する印加電力のデューティ比を40%以下としたことを特徴とする結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[4]1パルスに対応するピーク電流が、同一印加電力密度におけるデューティ比45%の場合のピーク電流値の1.3倍以上であることを特徴とする[3]記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[5]ターゲット電極に印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする[3]又は[4]記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[6]ターゲットとしてSnO2の質量割合が0.5〜13%であるITOセラミックスターゲットを用いた[1]乃至[5]のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[7]ターゲットとしてSnの質量割合が0.5〜13%であるInSnの合金ターゲットを使用すると共に、酸素ガスを導入して反応性スパッタリングにて成膜する[1]乃至[5]のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[8]基板上にITO薄膜を成膜するに際し、基板を200℃以下の低温で加熱するか又は無加熱でスパッタリングを行う[1]乃至[7]のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[9]高分子基板上にITO薄膜を成膜するに際し、高分子基板を150℃以下の低温で加熱するか又は無加熱でスパッタリングを行う[1]乃至[7]のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
[10][1]乃至[9]のいずれか1項記載の方法によって成膜された結晶性ITO薄膜。
[11]基板上に[10]記載の結晶性ITO薄膜が成膜されてなる結晶性ITOフィルム。
[12]タッチパネル用である[11]記載の結晶性ITOフィルム。
[13][11]記載の結晶性ITOフィルムを備えた抵抗膜式タッチパネル。
デューティ比=[オン時間/(オン時間+オフ時間)]×100(%)
と表され、このデューティ比を60%以下にすることで、結晶性ITO薄膜を形成し得るものである。
デューティ比(A)=[Xa/(Xa+Ya)]×100(%)
デューティ比(B)=[Xb/(Xb+Yb)]×100(%)
(Xa:カソードAのオン時間、Ya:カソードAのオフ時間)
(Xb:カソードBのオン時間、Yb:カソードBのオフ時間)
において、それぞれのカソードでのデューティ比を40%以下とすることにより、結晶性ITO薄膜が形成されるものである。
図5において、11は基板であり、その上に結晶性ITO薄膜層12が設けられている。
なお、上記基板11としては、ガラス基板、高分子フィルム等の高分子基板などが使用される。
この場合、下地層の形成材料としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの樹脂層や、有機珪素化合物の加水分解物等、あるいはスパッタリングや蒸着、イオンプレーティング等により形成されるSiO2に代表される無機透明薄膜等が挙げられる。SiO2等の下地層の形成は、透明導電性フィルムの光学特性(透過率)の向上にも寄与し、様々な用途において好適である。
更に、透明導電性フィルムの光学特性の向上を目的として、ITO膜の下地層を低屈折率膜と高屈折率膜の2層膜、あるいはこれらの交互積層膜としたり、ハードコート層の表面をアンチグレア加工したり、AR(反射防止)処理したりしてもよい。
これらのスパッタリング法は、不活性ガスの存在下で行うか、又は不活性ガス及び酸素ガス等の反応性ガスの存在下で行うことができる。
その際、1周期中のオンの時間の比率であるデューティ比を低下させることにより、瞬間的に大きな放電電流が流れ、それに伴いプラズマ中の活性粒子密度が向上し、結晶性の高いITO薄膜層が得られる。
かかる点から、本発明におけるターゲットとしては、SnO2の質量割合が0.5〜13%、特に1〜6%のITOセラミックスターゲットを使用することができる。また、Snの質量割合が0.5〜13%、特に1〜6%のInSnの合金ターゲットを使用することもできる。InSn合金ターゲットを用いる場合は、酸素ガスを用いて反応性スパッタリングを行い、ITO膜を形成する。
デュアルカソードパルススパッタリング装置の2つのカソードにそれぞれITOセラミックスターゲット(SnO2:5質量%、放電面積270cm2/1個)を設置し、基板としてITO成膜とは逆面に5μmのUV硬化型アクリル樹脂系ハードコート、ITO成膜面に30nmの蒸着SiO2が成膜された188μm厚みのPETフィルムをセットした。一旦5×10-4Paまで真空引きした後に、真空槽内に100sccmのArガスと1sccmの酸素ガスを導入し、0.5Paとし、電力3kW、デューティ比45%のパルス電力を50kHzの周波数でそれぞれ交互に各ターゲット電極に印加し、基板加熱なしでパルススパッタリングを行い、約20nmのITO薄膜を成膜した。表面抵抗は350Ω/Sqであった。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、基材であるPET由来のピークのみであり、ITO結晶由来のピークは得られず、ITO薄膜はアモルファスであった。
比較例1と同様に準備を行い、電力3kW、デューティ比20%のパルス電力を50kHzの周波数でそれぞれ交互に各ターゲット電極に印加し、基板加熱なしでパルススパッタリングを行い、約20nmのITO薄膜を成膜した。表面抵抗は330Ω/Sqであった。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、基材であるPET由来のピーク以外に、回折角(2θ)で約31度付近にITO(222)面のピークが観察され、アズデポジッション状態において(結晶化のための加熱処理を施すことなく)結晶化していることがわかった。
シングルカソードパルススパッタリング装置のカソードにITOセラミックスターゲット(SnO2:5質量%、放電面積270cm2)を設置し、基板としてITO成膜とは逆面に5μmのUV硬化型アクリル樹脂系ハードコート、ITO成膜面に30nmの蒸着SiO2が成膜された188μm厚みのPETフィルムをセットした。一旦5×10-4Paまで真空引きした後に、真空槽内に100sccmのArガスと1sccmの酸素ガスを導入し、0.5Paとし、電力1.5kW、デューティ比80%のパルス電力を80kHzの周波数でターゲット電極に印加し、基板加熱なしでパルススパッタリングを行い、約20nmのITO薄膜を成膜した。表面抵抗は320Ω/Sqであった。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、基材であるPET由来のピークのみであり、ITO結晶由来のピークは得られず、ITO薄膜はアモルファスであった。
比較例2と同様に準備を行い、電力1.5kW、デューティ比40%のパルス電力を80kHzの周波数でターゲット電極に印加し、基板加熱なしでパルススパッタリングを行い、約20nmのITO薄膜を成膜した。表面抵抗は360Ω/Sqであった。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、基材であるPET由来のピーク以外に、回折角(2θ)で約31度付近にITO(222)面のピークが観察され、アズデポジッション状態において(結晶化のための加熱処理を施すことなく)結晶化していることがわかった。
リニアリティ(%)=|l/L−v/V|×100
で算出され、小さいほど抵抗値の均一性が良好であり、0%であれば抵抗値は完全に均一である。一般に、抵抗膜式のアナログタッチパネルでは、このリニアリティが1.5%以下であることが好ましい。
以上のことから、本発明により基板無加熱にて結晶性ITO薄膜の形成が可能となり、これにより作製したITOフィルムはタッチパネル用ITOフィルムとして優れた耐久性を有することが確認された。
12 結晶性ITO薄膜層
Claims (13)
- シングルカソードパルススパッタリング法によるITO薄膜の成膜方法において、ターゲット電極に印加する印加電力のデューティ比を60%以下とすると共に、1パルスに対応するピーク電流を、同一印加電力密度におけるデューティ比80%の場合のピーク電流値の1.5倍以上としたことを特徴とする結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- ターゲット電極に印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする請求項1記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- 2つのターゲット電極に交互に電力を印加するデュアルカソードパルススパッタリング法によるITO薄膜の成膜方法において、前記2つのターゲット電極にそれぞれ印加する印加電力のデューティ比を40%以下としたことを特徴とする結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- 1パルスに対応するピーク電流が、同一印加電力密度におけるデューティ比45%の場合のピーク電流値の1.3倍以上であることを特徴とする請求項3記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- ターゲットに印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする請求項3又は4記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- ターゲットとしてSnO2の質量割合が0.5〜13%であるITOセラミックターゲットを用いた請求項1乃至5のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- ターゲットとしてSnの質量割合が0.5〜13%であるInSnの合金ターゲットを使用すると共に、酸素ガスを導入して反応性スパッタリングにて成膜する請求項1乃至5のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- 基板上にITO薄膜を成膜するに際し、基板を200℃以下の低温で加熱するか又は無加熱でスパッタリングを行う請求項1乃至7のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- 高分子基板上にITO薄膜を成膜するに際し、高分子基板を150℃以下の低温で加熱するか又は無加熱でスパッタリングを行う請求項1乃至7のいずれか1項記載の結晶性ITO薄膜の成膜方法。
- 請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法によって成膜された結晶性ITO薄膜。
- 基板上に請求項10記載の結晶性ITO薄膜が成膜されてなる結晶性ITOフィルム。
- タッチパネル用である請求項11記載の結晶性ITOフィルム。
- 請求項11記載の結晶性ITOフィルムを備えた抵抗膜式タッチパネル。
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