JP5295920B2 - 空孔を有する複合繊維及びその製造方法 - Google Patents
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さらには保温性、吸水性、ソフト感に優れた特徴をもつエチレン−ビニルアルコール系共重合体の複合繊維内に空孔を有することで、軽量性、ふくらみ感に優れた繊維を製造することが検討されたが、他の繊維形成重合体に比べてエチレン−ビニルアルコール系重合体は紡糸性が劣ることから、上記のふくらみのある良好な風合いを有する繊維の製造には至っていなかった。
さらに本発明の目的は、前記複合繊維から湿熱接着(高温のスチームに接触させることにより、繊維表面を溶融固定する)することにより、不織布構造体を容易に得ることができる製造方法を提供することにある。
更に本発明の複合繊維を含む繊維構造体は、保温性、吸水性、ソフト感、軽量性、ふくらみ感等の特徴を発現することができる。
そのような本発明の複合繊維としては、熱可塑性樹脂(X)からなる芯成分と、湿熱接着性は有するが熱水溶解性ではない樹脂(Y)からなる鞘成分とで構成されており、(X)と(Y)との重量比(X)/(Y)は80/20〜20/80であることが必要である。
重量比(X)/(Y)が上記範囲外では鞘部の破れや、芯部内の空孔つぶれ等繊維断面の形状不良が発生しやすく、得られる複合繊維に所望の性能を発現させることが困難な場合がある。繊維断面の形状不良を防止するためには、(X)/(Y)比は、70/30〜30/70が好ましく、60/40〜40/60がより好ましい。
さらに、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトインデックス値(MI値)は、3〜30の範囲であることが好ましい。なお、MI値は後述する方法により測定される。
また本発明の複合繊維の繊度は、用途によって0.4〜50dtexの範囲で任意に決めることができる。好ましくは、0.7〜40dtexである。
なお、本発明でいう空孔率は、下記の式により算出される。
<(空孔部の面積)÷(複合繊維面積)>×100
ここでいう複合繊維面積とは、空孔部分の面積も含んだ繊維面積である。
さらには鞘部に対する、空孔の位置も同心または偏芯のどちらでもよいが、樹脂(X)と樹脂(Y)との界面と、樹脂(X)と空孔との界面とが接触しないことが望ましい。
また複合繊維自体の繊維断面の形状としては、円形であってもよいし、それ以外の各種異型断面であってもよい。
また、該複合繊維の紡糸時の温度は260〜310℃が好適であり、紡糸時の溶融粘度は2000〜24000[Pa・s]であることが望ましい。
溶融粘度計を用い、290℃の温度で10分間予熱後、溶融した熱可塑性樹脂をノズルから押し出し、測定を行った。
ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の合成樹脂(2160g)を、定められた温度(190℃)で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。
30mmにカットした単糸30本のサンプルを5セット準備し、各サンプルの重量をそれぞれ2回ずつ測定した。
繊度(dtex)=重量(g)/(本数30本×繊維長30mm)×10000m
マイクロスコープを用いて断面写真を撮影し、その断面写真から図3に示すように複合繊維の中空部分の直径=φA、複合繊維の直径=φBを測定し、下記の式から中空率を求めた。
中空率(%)=(φA2/φB2)×100
マイクロスコープを用いて断面写真を撮影し、写真により断面形状を観察し、以下のとおり判定した。
○:鞘破れ、空孔部の消失又はつぶれが無く、また芯部と中空部の界面が接触していない。
△:鞘破れ、空孔部のつぶれがある。または、芯部と中空部の界面が接触している。
×:鞘部または芯部が消失している。または空孔が消失している。
下記の基準に基づいて、紡糸性の評価を実施した。なお、断糸・捲付の評価は、紡糸を4時間実施した時の結果として評価した。
○:ノズルからの紡糸後捲き取ることができ、断糸・捲付等のトラブルが発生しない。
△:ノズルからの紡糸後捲き取ることができるが、断糸・捲付等のトラブルが多発する。
×:ノズルから紡糸できない、または紡糸できても巻き取ることができず、サンプル採取を行うことができない。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分、芯成分に290℃における溶融粘度が12000[Pa・s]のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度=0.61)を用い、ポリマー比率が芯鞘比=75/25(実施例1)、50/50(実施例2)、25/75(実施例3)の割合で供給して溶融押出し、中空率50%のノズルより紡糸した。紡糸結果は断糸が発生し紡糸性が劣るものの、断面形状が良好な空孔率19%(実施例1)、15%(実施例2)、10%(実施例3)、湿熱延伸処理後の繊度が3.3dtexの複合中空繊維が採取できた。結果を表1に示す。
鞘成分は実施例1〜3と同じエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用い、芯成分に290℃における溶融粘度が8000[Pa・s](実施例4〜6)、あるいは6000[Pa・s](実施例7〜9)のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.51〜0.57)を用い、ポリマー比率を芯鞘比=75/25(実施例4、7)、50/50(実施例5、8)、25/75(実施例6、9)の割合で変更して溶融押出し、中空率50%のノズルより紡糸した結果、紡糸性は良好(短時間のテスト中に断糸等のトラブルは発生せず)で、空孔率がそれぞれ16%(実施例4)、13%(実施例5)、8%(実施例6、7)、6%(実施例8)、および5%(実施例9)の複合中空繊維が採取できた。この原糸を用い、湿熱延伸処理を行った結果、繊度が3.2dtexの繊維を採取することができた。結果を表1に示す。
鞘成分のポリマーは実施例1〜3と同一とし、中空率40%のノズルを用い、芯成分に290℃における溶融粘度が10000[Pa・s](実施例10)、8000[Pa・s](実施例11)、6000[Pa・s](実施例12)のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.55〜0.59)、ポリマー比率を芯鞘比=50/50の条件で紡糸した。その結果空孔率は低下したが、湿熱延伸処理後の繊度が3.3dtex、空孔率がそれぞれ8%(実施例10)、6%(実施例11)、5%(実施例12)の複合中空繊維を採取することができた。結果を表1に示す。
中空率50%のノズルを用い、鞘成分としてエチレン含有量32モル%、MI値5のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用い、芯成分に290℃における溶融粘度が12000[Pa・s](実施例13)、8000[Pa・s](実施例14)、6000[Pa・s](実施例15)のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.55〜0.61)を用い、ポリマー比率を芯鞘比=50/50の割合で紡糸した。その結果、断面形状において鞘破れが一部発生した(図4)が、紡糸性は良好であり、空孔率がそれぞれ20%(実施例13)、12%(実施例14)、6%(実施例15)の複合中空繊維を採取することができた。この原糸を用い、湿熱延伸処理を行った結果、繊度が3.2dtexの繊維を採取することができた。結果を表1に示す。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分とし、芯成分に290℃における溶融粘度が11000[Pa・s](実施例16)、6000[Pa・s](実施例17)のポリプロピレンチップ(プライムポリマー社製「Y−2005GP」(実施例16)、プライムポリマー社製「Y−3002G」(実施例17))を用い、ポリマー比率を芯鞘比=50/50の割合で供給して溶融押出し、中空率50%のノズルより紡糸した。その結果、溶融粘度11000のものは良好(空孔率12%)であった。一方、6000のものについては断面形状において一部鞘破れが発生したが、空孔率5%の複合中空繊維を採取することができた。この原糸を用い、湿熱延伸処理を行った結果、繊度が3.2dtexの繊維を採取することができた。結果を表1に示す。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分とし、芯成分に290℃におけるが溶融粘度8000[Pa・s]のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.57)を用い、芯/鞘のポリマー比率を芯鞘比=85/15(比較例1)、15/85(比較例2)の割合で供給して溶融押出し、中空率15%のノズルより紡糸した。その結果、紡糸性は良好であったものの、空孔がつぶれたり鞘が破れる等、断面形状が不良となり、目標とする原糸を採取できなかった。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘とし、芯成分に290℃における溶融粘度が16000[Pa・s]のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.65)を用い、芯/鞘のポリマー比率を芯鞘比=85/15(比較例3)、15/85(比較例4)の割合で供給して溶融押出し、中空率50%のノズルにて紡糸した。結果は溶融粘度が高すぎるためか紡糸性不良(ノズルからでた糸内に未溶融が多数有り)となり、目標とする原糸を採取することができなかった。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分とし、芯成分に290℃における溶融粘度が10000[Pa・s]のポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.59)を用い、芯/鞘のポリマー比率を芯鞘比=85/15(比較例5)、15/85(比較例6)の割合で供給して溶融押出し、中空率50%のノズルにて紡糸した。結果は紡糸性が悪く(断糸等のトラブル発生)、断面形状も鞘破れ及び空孔つぶれが発生し、目標とする原糸を採取することができなかった。
エチレン含有量44モル%、MI値12のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を鞘成分とし、芯成分に290℃における溶融粘度を8000まで低下させたポリエステルチップ(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度:0.57)を用い、芯/鞘のポリマー比率を芯鞘比=85/15(比較例7)、15/85(比較例8)の割合で供給して溶融押出し、中空率50%のノズルにて紡糸した結果、紡糸性は改善されたものの、鞘破れ及び空孔つぶれは改善されず、断面形状も不良となり、目標とする原糸を採取することができなかった。
2 芯成分
3 鞘成分
Claims (4)
- 繊維軸方向に芯鞘構造を形成しており、且つ芯成分の内部の繊維軸方向に連続した空孔を有する複合繊維であって、芯成分は熱可塑性樹脂(X)、鞘成分は湿熱接着性は有するが熱水溶解性ではないエチレン単位の含有量が15モル%以上であって、かつメルトインデックス(MI)が3〜30であるエチレン−ビニルアルコール系重合体樹脂(Y)であり、その両樹脂の重量比(X)/(Y)は80/20〜20/80、繊維断面積あたりの空孔率が5〜30%を有する複合繊維。
- 熱可塑性樹脂(X)の290℃における溶融粘度が2000〜12000[Pa・s]である請求項1記載の複合繊維。
- 請求項1また2に記載の複合繊維を含む繊維構造体。
- 芯成分に熱可塑性樹脂(X)、鞘成分に湿熱接着性は有するが熱水溶解性ではないエチレン単位の含有量が15モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール系重合体樹脂(Y)を用い、前記樹脂の重量比(X)/(Y)=80/20〜20/80の条件にて溶融押出し、次いで中空紡糸ノズルにて紡糸することで、芯成分の内部の繊維軸方向に連続した空孔を生成させることを特徴とする複合繊維の製造方法。
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