しかしながら、特許文献1に記載の車両用発電機の制御装置では、燃費を更に向上する余地がある。すなわち、特許文献1に記載の車両用発電機の制御装置では、例えば、エンジンの停止時間が所定の時間内であり且つエンジンが始動完了したとき、発電電圧の第1の電圧への設定が禁止されるが、その結果、減速回生電力を有効に活用できない場合がある。
また、特許文献1に記載の車両用発電機の制御装置では、車両の走行状態に応じて、発電電圧が変化するため、バッテリの補充電が頻繁に行われると、バッテリ寿命が短くなる虞がある。また、良好な始動性を確保できない虞もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発電機に対して適正な発電電圧を設定することの可能な車両用発電制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、エンジンによって駆動され、バッテリに電力を供給する発電機を制御する車両用発電制御装置であって、前記バッテリのバッテリ液の温度であるバッテリ液温を検出する液温検出手段と、前記エンジンを始動後の経過時間を求める経過時間算出手段と、前記液温検出手段によって検出されたバッテリ液温が、予め設定された閾値液温以下であるか否かを判定する液温判定手段と、前記経過時間算出手段によって求められた経過時間が、予め設定された閾値時間以下であるか否かを判定する時間判定手段と、前記液温判定手段によって閾値液温以下であると判定され、且つ、前記時間判定手段によって閾値時間以下であると判定された場合に、前記発電機に対して、基準となる補充電電圧である基準補充電電圧に、予め設定された付加電圧を加算した和の電圧を、発電電圧として指示する基本電圧指示手段と、を備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記基本電圧指示手段が、前記液温判定手段によって閾値液温より高いと判定されるか、又は、前記時間判定手段によって閾値時間より長いと判定された場合には、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧を発電電圧として指示する。
第3の発明は、上記第1の発明において、前記バッテリが満充電状態であるか否かを判定する満充電判定手段を備え、前記基本電圧指示手段が、前記満充電判定手段によって満充電状態であると判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧を発電電圧として指示する。
第4の発明は、上記第3の発明において、前記発電機から前記バッテリへの充電電流値を検出する電流検出手段を備え、前記満充電判定手段が、前記電流検出手段によって検出された充電電流値に基づいて、満充電状態であるか否かを判定する。
第5の発明は、上記第4の発明において、前記満充電判定手段が、前記電流検出手段によって検出された充電電流値が、予め設定された電流閾値以下である状態が、予め設定された期間閾値以上継続した場合に、満充電状態であると判定する。
第6の発明は、上記第3の発明において、該車両が減速中であるか否かを判定する減速判定手段を備え、前記基本電圧指示手段が、前記満充電判定手段によって満充電状態であると判定された後に、前記減速判定手段によって減速中であると判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された減速回生電圧を発電電圧として指示する。
第7の発明は、上記第6の発明において、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値に設定されている。
第8の発明は、上記第1の発明において、前記バッテリが満充電状態であるか否かを判定する満充電判定手段と、前記バッテリの充電電流値及び放電電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段によって検出された充電電流値及び放電電流値に基づいて、前記バッテリの充電状態を示すSOC(State of Charge)を求める充電状態算出手段と、前記満充電判定手段によって満充電状態であると判定された時点において、予め設定された満充電状態のSOCを、基準SOCとして設定する基準設定手段と、前記基準設定手段によって基準SOCが設定された場合に、前記充電状態算出手段によって求められたSOCに基づいて、前記発電機に対して発電電圧を指示する補充電指示手段と、を備える。
第9の発明は、上記第8の発明において、前記満充電判定手段が、前記電流検出手段によって検出された充電電流値に基づいて、満充電状態であるか否かを判定する。
第10の発明は、上記第8の発明において、前記基準設定手段によって基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCの予め設定された第1比率だけ、前記充電状態算出手段によって求められたSOCが連続して減少したか否かを判定する第1判定手段を備え、前記補充電指示手段が、前記第1判定手段によってSOCが連続して前記第1比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された第1補充電電圧を、発電電圧として指示する。
第11の発明は、上記第10の発明において、前記第1補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されている。
第12の発明は、上記第10の発明において、該車両が減速中であるか否かを判定する減速判定手段を備え、前記補充電指示手段が、前記満充電判定手段によって満充電状態であると判定された後に、前記減速判定手段によって減速中であると判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された減速回生電圧を発電電圧として指示する。
第13の発明は、上記第12の発明において、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値に設定されている。
第14の発明は、上記第12の発明において、前記基本電圧指示手段が、前記補充電指示手段によって減速回生電圧が発電電圧として指示された後、前記減速判定手段によって減速中ではないと判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧を発電電圧として指示する。
第15の発明は、上記第8の発明において、前記基準設定手段によって基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCから予め設定された第2比率だけSOCが減少したか否かを判定する第2判定手段と、前記補充電指示手段が、前記第2判定手段によってSOCが前記第2比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された第2補充電電圧を、発電電圧として指示する。
第16の発明は、上記第15の発明において、前記第2補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されている。
第17の発明は、上記第15の発明において、前記基本電圧指示手段が、前記満充電判定手段によって満充電状態であると判定された場合に、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧を発電電圧として指示する。
上記第1の発明によれば、バッテリのバッテリ液の温度であるバッテリ液温が検出される。また、エンジンを始動後の経過時間が求められる。そして、検出されたバッテリ液温が、予め設定された閾値液温以下であるか否かが判定される。また、求められた経過時間が、予め設定された閾値時間以下であるか否かが判定される。更に、検出されたバッテリ液温が閾値液温以下であると判定され、且つ、求められた経過時間が閾値時間以下であると判定された場合に、発電機に対して、基準となる補充電電圧である基準補充電電圧に、予め設定された付加電圧を加算した和の電圧が、発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、エンジンの始動時にバッテリ液温が低い場合には、エンジンの始動から前記閾値時間が経過するまでの期間において、基準となる補充電電圧である基準補充電電圧に、予め設定された付加電圧を加算した和の電圧が、発電電圧として指示されるため、前記付加電圧を適正な値に設定することによって、速やかに補充電を完了することができる。また、バッテリ液温が高い場合には、前記付加電圧の加算は行われないため、バッテリ液の減少、バッテリ寿命の低下等を防止することができる。このように、エンジンの始動時において、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができるのである。
上記第2の発明によれば、検出されたバッテリ液温が前記閾値液温より高いと判定されるか、又は、求められた経過時間が前記閾値時間より長いと判定された場合には、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧が発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、バッテリ液温が前記閾値液温より高い場合には、前記付加電圧の加算は行われないため、前記閾値液温を適正な値(例えば、30℃)に設定することによって、バッテリ液の減少、バッテリ寿命の低下等を防止することができる。また、バッテリ液温が前記閾値液温より高い場合には、前記基準補充電電圧が発電電圧として指示されるため、前記基準補充電電圧を適正な値(例えば、14.0V)に設定することによって、速やかに補充電を完了することができる。
上記第3の発明によれば、前記バッテリが満充電状態であるか否かが判定される。そして、満充電状態であると判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧が発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記バッテリが満充電状態であると判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧が発電電圧として指示されるため、前記維持電圧を適正な値(例えば、12.5V)に設定することによって、燃費を向上することができるのである。
上記第4の発明によれば、前記発電機から前記バッテリへの充電電流値が検出される。そして、検出された充電電流値に基づいて、満充電状態であるか否かが判定される。従って、満充電状態であるか否かを適正に判定することができる。なお、本発明に係る車両用発電制御装置において、「満充電状態」とは、前記バッテリを充電する必要の無い状態、換言すれば、前記バッテリが充分に充電された状態をいう。
すなわち、満充電状態に近付くほど、充電電流値は減少するため、満充電状態であるか否かを適正に判定することができるのである。
上記第5の発明によれば、検出された充電電流値が、予め設定された電流閾値以下である状態が、予め設定された期間閾値以上継続した場合に、満充電状態であると判定される。従って、満充電状態であるか否かを更に適正に判定することができる。
すなわち、検出された充電電流値が、予め設定された電流閾値以下である状態が、予め設定された期間閾値以上継続した場合に、満充電状態であると判定されるため、前記電流閾値を適正な値(例えば、5A)に設定すると共に、前記期間閾値を適正な値(例えば、2分)に設定することによって、満充電状態であるか否かを更に適正に判定することができるのである。
上記第6の発明によれば、満充電状態であると判定された後に、該車両が減速中であると判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された減速回生電圧が発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、満充電状態であると判定された後であっても、前記減速回生電圧を適正な値(例えば、14.8V)に設定することによって、減速回生電力を有効に活用することができるので、燃費を向上することができるのである。
上記第7の発明によれば、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値に設定されている。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値(例えば、14.8V)に設定されているため、満充電状態であると判定された後であっても、減速回生電力を有効に活用することができるので、燃費を向上することができるのである。
上記第8の発明によれば、前記バッテリが満充電状態であると判定された時点において、予め設定された満充電状態のSOC(State of Charge)が、基準SOCとして設定される。そして、検出された充電電流値及び放電電流値に基づいて、前記バッテリの充電状態を示すSOCが求められる。更に、基準SOCが設定された場合に、求められたSOCに基づいて、前記発電機に対して発電電圧が指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記バッテリが満充電状態であると判定された時点において、予め設定された満充電状態のSOCが、基準SOCとして設定され、検出された充電電流値及び放電電流値に基づいて、前記バッテリの充電状態を示すSOCが求められるため、満充電状態のSOCを適正な値に設定することによって、SOCを正確に求めることができる。また、正確に求められたSOCに基づいて、前記発電機に対して発電電圧が指示されるため、適正な発電電圧を設定することができるのである。
上記第9の発明によれば、検出された充電電流値に基づいて、満充電状態であるか否かが判定される。従って、満充電状態であるか否かを適正に判定することができる。
すなわち、満充電状態に近付くほど、充電電流値は減少するため、満充電状態であるか否かを適正に判定することができるのである。
上記第10の発明によれば、前記基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCの予め設定された第1比率だけ、求められたSOCが連続して減少したか否かが判定される。そして、SOCが連続して前記第1比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された第1補充電電圧が、発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、SOCが連続して前記第1比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、前記第1補充電電圧が、発電電圧として指示されるため、前記第1比率及び前記第1補充電電圧を適正な値(例えば、前記第1比率を1.0%、前記第1補充電電圧を14.0V)に設定することによって、適正な発電電圧を設定することができるのである。なお、前記第1比率を小さく設定する程、前記バッテリが頻繁に補充電される。また、前記第1補充電電圧を高く設定する程、前記バッテリを充分に充電することができる。
上記第11の発明によれば、前記第1補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されている。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、SOCが連続して前記第1比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して発電電圧として指示される前記第1補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されているため、補充電完了時のSOCを略一定値とすることができるので、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができるのである。
上記第12の発明によれば、該車両が減速中であるか否かが判定される。そして、満充電状態であると判定された後に、減速中であると判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された減速回生電圧が発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、満充電状態であると判定された後であっても、前記減速回生電圧を適正な値(例えば、14.8V)に設定することによって、減速回生電力を有効に活用することができるので、燃費を向上することができる。
上記第13の発明によれば、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値に設定されている。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記減速回生電圧が、前記基準補充電電圧より高い電圧値(例えば、14.8V)に設定されているため、満充電状態であると判定された後であっても、減速回生電力を有効に活用することができるので、燃費を向上することができるのである。
上記第14の発明によれば、前記減速回生電圧が発電電圧として指示された後、減速中ではないと判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧が発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記バッテリが満充電状態であると判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧が発電電圧として指示されるため、前記維持電圧を適正な値(例えば、12.5V)に設定することによって、燃費を向上することができるのである。
上記第15の発明によれば、前記基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCから予め設定された第2比率だけSOCが減少したか否かが判定される。そして、SOCが前記第2比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、予め設定された第2補充電電圧が、発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、SOCが前記第2比率だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して、前記第2補充電電圧が、発電電圧として指示されるため、前記第2比率及び前記第2補充電電圧を適正な値(例えば、前記第2比率を5.0%に設定し、前記第2補充電電圧を14.5V)に設定することによって、適正な発電電圧を設定することができるのである。
上記第16の発明によれば、前記第2補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されている。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、SOCが前記第2比率(例えば、5.0%)だけ減少したと判定された場合に、前記発電機に対して発電電圧として指示される前記第2補充電電圧が、前記基準補充電電圧と略同一の値に設定されているため、前記基準補充電電圧を適正な値(例えば、14.0V)に設定することによって、適正な発電電圧を設定することができるのである。
上記第17の発明によれば、満充電状態であると判定された場合に、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧を発電電圧として指示される。従って、発電機に対して、適正な発電電圧を設定することができる。
すなわち、前記バッテリが満充電状態であると判定された場合に、前記発電機に対して、前記基準補充電電圧より低く、予め設定された維持電圧が発電電圧として指示されるため、前記維持電圧を適正な値(例えば、12.5V)に設定することによって、燃費を向上することができるのである。
以下、図面を参照して本発明に係る車両用発電制御装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る車両用発電制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る発電制御ECU(Electronic Control Unit)1(=車両用発電制御装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2及びオルタネータ31と接続されている。発電制御ECU1は、入力機器2と通信可能に接続されると共に、オルタネータ31に対して発電電圧Vを指示可能に接続されている。なお、図1に示す、発電制御ECU1、入力機器2、オルタネータ31、バッテリ32及び負荷33は、自動車等の車両に搭載されている。また、以下の説明において、「満充電状態」とは、バッテリ32を充電する必要の無い状態、換言すれば、バッテリ32が充分に充電された状態をいう。
入力機器2は、バッテリ液温センサ21、電流センサ22、速度センサ23、及び、IGスイッチ24を備えている。バッテリ液温センサ21(液温検出手段の一部に相当する)は、バッテリ32のバッテリ液の温度であるバッテリ液温Tを検出するセンサである。バッテリ液温センサ21は、検出したバッテリ液温Tを示す情報を発電制御ECU1(図2に示す液温検出部101)へ出力する。
電流センサ22(電流検出手段の一部に相当する)は、オルタネータ31からバッテリ32への充電電流値IA、及び、バッテリ32から負荷33への放電電流値IBを検出するセンサである。電流センサ22は、検出した充電電流値IA及び放電電流値IBを示す情報を発電制御ECU1(図2に示す電流検出部107)へ出力する。
速度センサ23(減速判定手段の一部に相当する)は、発電制御ECU1等が搭載されている車両の走行速度VVを検出するセンサである。速度センサ23は、検出した走行速度VVを示す情報を発電制御ECU1(図2に示す減速判定部106)へ出力する。
IGスイッチ24(期間算出手段の一部に相当する)は、イグニッション電源状態(ON、OFF等)を示すスイッチである。IGスイッチ24は、イグニッション電源状態を示す情報を発電制御ECU1(図2に示す経過時間算出部103)へ出力する。
オルタネータ(alternator)31(発電機に相当する)は、車両に搭載されたエンジンによって駆動され、交流電力を発生すると共に、発生した交流電力を、整流器等を介して直流電力に変換して、バッテリ32等に直流電力を供給するものである。また、オルタネータ31によって生成された電力は、発電制御ECU1へも供給可能に構成されている。ここでは、発電機がオルタネータ31である場合について説明するが、発電機が直流電力を発生するダイナモ(dynamo)である形態でも良い。
バッテリ32は、オルタネータ31によって発生された電力を蓄えるものである。負荷33は、電力を消費する機器である。また、オルタネータ31によって発電された電力は、バッテリ32に供給されて蓄積される。更に、バッテリ32に蓄積された電力は、発電制御ECU1等のECU、各種モータ等の負荷33に供給される。
図2は、図1に示す発電制御ECU1の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、また、発電制御ECU1は、機能的に、液温検出部101、液温判定部102、経過時間算出部103、時間判定部104、基本電圧指示部105、減速判定部106、電流検出部107、満充電判定部108、充電状態算出部109、基準設定部110、第1判定部111、第2判定部112、及び、補充電指示部113を備えている。
なお、発電制御ECU1は、発電制御ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータに、発電制御ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、液温検出部101、液温判定部102、経過時間算出部103、時間判定部104、基本電圧指示部105、減速判定部106、電流検出部107、満充電判定部108、充電状態算出部109、基準設定部110、第1判定部111、第2判定部112、補充電指示部113等の機能部として機能させる。
液温検出部101(液温検出手段の一部に相当する)は、バッテリ液温センサ21を介して、バッテリ32のバッテリ液の温度であるバッテリ液温Tを検出する機能部である。
液温判定部102(液温判定手段に相当する)は、液温検出部101によって検出されたバッテリ液温Tが、予め設定された閾値液温Tsh以下であるか否かを判定する機能部である。ここでは、閾値液温Tshが、例えば、30℃に設定されている場合について説明する。
経過時間算出部103(経過時間算出手段の一部に相当する)は、IGスイッチ24を介して、エンジンを始動後の経過時間Pを求める機能部である。具体的には、経過時間算出部103は、イグニッション電源がON状態とされた後、エンジンが始動した時点からの経過時間Pを求める。
時間判定部104(時間判定手段に相当する)は、経過時間算出部103によって求められた経過時間Pが、予め設定された閾値時間Psh以下であるか否かを判定する機能部である。ここでは、閾値時間Pshが、例えば、2分間に設定されている場合について説明する。
基本電圧指示部105(基本電圧指示手段に相当する)は、液温判定部102によって閾値液温Tsh以下であると判定され、且つ、時間判定部104によって閾値時間Psh以下であると判定された場合に、オルタネータ31に対して、基準となる補充電電圧である基準補充電電圧VAに、予め設定された付加電圧ΔVを加算した和の電圧VA’(=VA+ΔV)を、発電電圧Vとして指示する機能部である。ここでは、基準補充電電圧VAが、例えば、14.0Vに設定されている場合について説明する。また、付加電圧ΔVが、例えば、0.3Vに設定されている場合について説明する。
また、基本電圧指示部105は、液温判定部102によって閾値液温Tshより高いと判定されるか、又は、時間判定部104によって閾値時間Pshより長いと判定された場合に、オルタネータ31に対して、基準補充電電圧VA(ここでは、14.0V)を発電電圧Vとして指示する。
更に、基本電圧指示部105は、満充電判定部108によって満充電状態であると判定された場合に、オルタネータ31に対して、基準補充電電圧VAより低く、予め設定された維持電圧VBを発電電圧Vとして指示する。ここでは、維持電圧VBが、例えば、12.5Vに設定されている場合について説明する。
加えて、基本電圧指示部105は、満充電判定部108によって満充電状態であると判定された後に、減速判定部106によって減速中であると判定された場合に、オルタネータ31に対して、予め設定された減速回生電圧VCを発電電圧Vとして指示する。なお、減速回生電圧VCは、基準補充電電圧VAより高い電圧値に設定されている。ここでは、減速回生電圧VCが、例えば、14.8Vに設定されている場合について説明する。
ただし、基本電圧指示部105は、補充電指示部113によってオルタネータ31に対して、第2補充電電圧VC2が発電電圧Vとして指示されている場合には、減速判定部106によって減速中であると判定された場合であっても、オルタネータ31に対して減速回生電圧VCを発電電圧Vとして指示する処理は行わない。なぜなら、第2補充電電圧VC2が発電電圧Vとして指示されて、バッテリ32が補充電されている途中で、減速回生電圧VCが発電電圧Vとして指示されると、満充電判定部108による満充電状態であるか否かの判定動作が不安定となるためである。
また、基本電圧指示部105は、補充電指示部113によって減速回生電圧VC(ここでは、14.8V)が発電電圧Vとして指示された後、減速判定部106によって減速中ではないと判定された場合に、オルタネータ31に対して、維持電圧VB(ここでは、12.5V)を発電電圧Vとして指示する。
このようにして、エンジンの始動時にバッテリ液温Tが低い場合には、エンジンの始動から閾値時間Psh(ここでは、2分間)が経過するまでの期間において、基準補充電電圧VA(ここでは、14.0V)に、付加電圧ΔTを加算した和の電圧(ここでは、14.3V)が、発電電圧Vとして指示されるため、付加電圧ΔVを適正な値(ここでは、0.3V)に設定することによって、速やかに補充電を完了することができる。また、バッテリ液温Tが高い場合には、付加電圧ΔVの加算は行われないため、バッテリ液の減少、バッテリ寿命の低下等を防止することができる。つまり、エンジンの始動時において、適正な発電電圧Vを設定することができる。
本実施形態では、基本電圧指示部105が、エンジンの始動時に、基準補充電電圧VA(又は、電圧VA’:基準補充電電圧VAに付加電圧ΔVを加算した値)をオルタネータ31に対して発電電圧Vとして指示することによって、バッテリ32の補充電を行う場合について説明するが、基本電圧指示部105が、バッテリ32の補充電が不要な場合(すなわち、バッテリ32が満充電状態に近い場合)には、バッテリ32の補充電を行わない形態でも良い。この場合には、燃費を更に向上することができる。
また、バッテリ液温Tが閾値液温Tshより高い場合には、付加電圧ΔVの加算は行われないため、閾値液温Tshを適正な値(例えば、30℃)に設定することによって、バッテリ液の減少、バッテリ寿命の低下等を防止することができる。また、バッテリ液温Tが閾値液温Tshより高い場合には、基準補充電電圧VAが発電電圧として指示されるため、基準補充電電圧VAを適正な値(例えば、14.0V)に設定することによって、速やかに補充電を完了することができる。
本実施形態においては、基本電圧指示部105が、バッテリ液温Tが閾値液温Tsh以下である場合に、付加電圧ΔVを加算する場合について説明するが、基本電圧指示部105が、バッテリ液温Tに基づいて付加電圧ΔVを設定する形態であれば良い。例えば、バッテリ液温Tに対応付けて、付加電圧ΔVを予めメモリ等に格納しておき、基本電圧指示部105が、検出されたバッテリ液温Tに対応する付加電圧ΔVを読み出して、加算する形態でも良い。この場合には、更に速やかにバッテリ32の補充電を行うことが可能となる。
更に、バッテリ32が満充電状態であると判定された場合に、オルタネータ31に対して、基準補充電電圧VAより低く、予め設定された維持電圧VBが発電電圧Vとして指示されるため、維持電圧VBを適正な値(例えば、12.5V)に設定することによって、燃費を向上することができる。
本実施形態においては、基本電圧指示部105が、バッテリ32が満充電状態であると判定されたときに、維持電圧VBを発電電圧Vとして指示する場合について説明するが、基本電圧指示部105が、バッテリ液温T等に基づいて設定された維持電圧VBを発電電圧Vとして指示する形態でも良い。この場合には、更に適正な維持電圧VBを発電電圧Vとして指示することが可能となる。
加えて、満充電状態であると判定された後であっても、減速回生電圧VCを適正な値(例えば、14.8V)に設定することによって、減速回生電力(=減速時の回生によって得られる電力)を有効に活用することができるので、燃費を向上することができる。
本実施形態においては、基本電圧指示部105が、車両が減速中であると判定されたときに、減速回生電圧VCを発電電圧Vとして指示する場合について説明するが、基本電圧指示部105が、減速中であって且つ燃料カット状態であるときに限って、減速回生電圧VCを発電電圧Vとして指示する形態でも良い。ここで、「燃料カット状態」とは、エンジンに対して供給される燃料が略「0」の状態である。この場合には、更に適正に発電電圧Vを指示することができる。
減速判定部106(減速判定手段の一部に相当する)は、速度センサ23を介して、車両が減速中であるか否かを判定する機能部である。
電流検出部107(電流検出手段の一部に相当する)は、電流センサ22を介して、バッテリ32の充電電流値IA及び放電電流値IBを検出する機能部である。
満充電判定部108(満充電判定手段に相当する)は、電流検出部107によって検出された充電電流値IAに基づいて、満充電状態であるか否かを判定する機能部である。具体的には、満充電判定部108は、電流検出部107によって検出された充電電流値IAが、予め設定された電流閾値Ish以下である状態が、予め設定された期間閾値PDsh以上継続した場合に、満充電状態であると判定する。ここでは、電流閾値Ishが、例えば、5.0Aに設定されており、期間閾値PDshが、例えば、5分間に設定されている場合について説明する。
このようにして、検出された充電電流値IAが、電流閾値Ish以下である状態が、期間閾値PDsh以上継続した場合に、満充電状態であると判定されるため、電流閾値Ishを適正な値(例えば、5A)に設定すると共に、期間閾値PDshを適正な値(例えば、5分)に設定することによって、満充電状態であるか否かを更に適正に判定することができる。
本実施形態においては、満充電判定部108が、充電電流値IAが電流閾値Ish以下である状態が、期間閾値PDsh以上継続したときに、満充電状態であると判定する場合について説明するが、満充電判定部108が、充電電流値IAに基づいて、満充電状態であるか否かを判定する形態であれば良い。例えば、満充電判定部108が、充電電流値IAが予め設定された閾値以下となったときに、満充電状態であると判定する形態でも良い。この場合には、処理が簡略化される。
充電状態算出部109(充電状態算出手段に相当する)は、電流検出部107によって検出された充電電流値IA及び放電電流値IBに基づいて、バッテリ32の充電状態を示すSOC(State of Charge)を求める機能部である。具体的には、基準設定部110によって、満充電判定部108により満充電状態であると判定された時点において、予め設定された満充電状態のSOCが、基準SOCとして設定されるため、充電状態算出部109は、設定された基準SOCを基準として、電流検出部107によって充電電流値IAが検出された場合には、次の(1)式に基づいて、SOCを増加させ、電流検出部107によって放電電流値IBが検出された場合には、次の(2)式に基づいて、SOCを減少させる。
SOC←SOC+IA×ΔT (1)
SOC←SOC−IB×ΔT (2)
ここで、ΔTは、サンプリング時間である。なお、基準設定部110によって、満充電判定部108により満充電状態であると判定された時点において、SOCの値が、基準SOCに設定される。
基準設定部110(基準設定手段に相当する)は、満充電判定部108によって満充電状態であると判定された時点において、予め設定された満充電状態のSOCを、基準SOCとして設定する機能部である。
第1判定部111(第1判定手段に相当する)は、基準設定部110によって基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCの予め設定された第1比率ΔSsh1だけ、充電状態算出部109によって求められたSOCが連続して減少したか否かを判定する機能部である。ここでは、第1比率ΔSsh1が、例えば、1.0%に設定されている場合について説明するが、搭載される車両の種類に応じて、第1比率ΔSsh1は、0.8%〜2.0%の範囲内の値を設定することが好ましい。なお、第1比率ΔSsh1が大きい程、補充電指示部113によってバッテリ32が補充電される頻度が減少する。
第2判定部112(第2判定手段に相当する)は、基準設定部110によって基準SOCが設定された場合に、設定された基準SOCから予め設定された第2比率ΔSsh2だけ、充電状態算出部109によって求められたSOCが減少したか否かを判定する機能部である。ここでは、第2比率ΔSsh2が、例えば、5.0%に設定されている場合について説明するが、搭載される車両の種類に応じて、第2比率ΔSsh2は、4.0%〜7.0%の範囲内の値を設定することが好ましい。なお、第2比率ΔSsh2が大きい程、補充電指示部113によってバッテリ32が補充電される頻度が減少する。
補充電指示部113(補充電指示手段に相当する)は、基準設定部110によって基準SOCが設定された場合に、充電状態算出部109によって求められたSOCに基づいて、オルタネータ31に対して発電電圧Vを指示する機能部である。具体的には、補充電指示部113は、第1判定部111によってSOCが連続して第1比率ΔSsh1(ここでは、1.0%)だけ減少したと判定された場合に、オルタネータ31に対して、予め設定された第1補充電電圧VC1を、発電電圧Vとして指示する。ここでは、第1補充電電圧VC1が、例えば、基準補充電電圧VAと同一値(ここでは、14.0V)に設定されている場合について説明する。
また、補充電指示部113によって第1補充電電圧VC1が発電電圧Vとして指示された後においても、上述のように、基本電圧指示部105は、補充電指示部113によって減速回生電圧VC(ここでは、14.8V)が発電電圧Vとして指示された後、減速判定部106によって減速中ではないと判定された場合に、オルタネータ31に対して、維持電圧VB(ここでは、12.5V)を発電電圧Vとして指示する。
更に、補充電指示部113は、第2判定部112によってSOCが第2比率ΔSsh2(ここでは、5.0%)だけ減少したと判定された場合に、オルタネータ31に対して、予め設定された第2補充電電圧VC2を、発電電圧Vとして指示する。ここでは、第2補充電電圧VC2が、例えば、基準補充電電圧VAと同一値(ここでは、14.0V)に設定されている場合について説明する。
また、補充電指示部113によって第2補充電電圧VC2が発電電圧Vとして指示された後においても、上述のように、基本電圧指示部105は、満充電判定部108によって満充電状態であると判定された場合に、維持電圧VB(ここでは、12.5V)を発電電圧Vとして指示する。
このようにして、SOCが連続して第1比率ΔSsh1だけ減少したと判定された場合に、オルタネータ31に対して、第1補充電電圧VC1が、発電電圧Vとして指示されるため、第1比率ΔSsh1及び第1補充電電圧VC1を適正な値(例えば、第1比率ΔSsh1を1.0%、第1補充電電圧VC1を14.0V)に設定することによって、適正な発電電圧Vを設定することができるのである。なお、第1比率ΔSsh1を小さく設定する程、バッテリ32が頻繁に補充電される。また、第1補充電電圧VC1を高く設定する程、バッテリ32を充分に充電することができる。
また、第1補充電電圧VC1が、基準補充電電圧VAと同一の値(ここでは、14.0V)に設定されているため、補充電完了時のSOCを略一定値とすることができるので、更に適正な発電電圧Vを設定することができる。
本実施形態においては、第1補充電電圧VC1が、基準補充電電圧VAと同一の値(ここでは、14.0V)に設定されている場合について説明するが、第1補充電電圧VC1が、基準補充電電圧VAと略同一の値に設定されている形態であれば良い。例えば、第1補充電電圧VC1を、SOC、バッテリ液温T等に基づいて設定する形態でも良い。
更に、SOCが第2比率ΔSsh2だけ減少したと判定された場合に、オルタネータ31に対して、第2補充電電圧VC2が、発電電圧Vとして指示されるため、第2比率ΔSsh2及び第2補充電電圧VC2を適正な値(例えば、第2比率ΔSsh2を5.0%に設定し、第2補充電電圧VC2を14.5V)に設定することによって、適正な発電電圧Vを設定することができる。
加えて、第2補充電電圧VC2が、基準補充電電圧VAと同一の値(ここでは、14.0V)に設定されているため、補充電完了時のSOCを略一定値とすることができるので、更に適正な発電電圧Vを設定することができる。
本実施形態においては、第2補充電電圧VC2が、基準補充電電圧VAと同一の値(ここでは、14.0V)に設定されている場合について説明するが、第2補充電電圧VC2が、基準補充電電圧VAと略同一の値に設定されている形態であれば良い。例えば、第2補充電電圧VC2を、バッテリ液温T等に基づいて設定する形態でも良い。
図3は、図1に示す発電制御ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、経過時間算出部103によって、エンジンが始動されたか否かの判定が行われる(S101)。そして、基本電圧指示部105等によって、エンジン始動後の補充電処理である初期補充電処理が行われる(S103)。次いで、基本電圧指示部105等によって、初期補充電処理が終了した後の、基本的な充電制御の処理である基本制御実行処理が行われる(S105)。次に、充電状態算出部109によって、SOCを検出する処理である充電状態検出処理が行われる(S107)。
そして、第1判定部111、補充電指示部113等によって、SOCに基づく第1の補充電処理である第1ガード処理が行われる(S109)。次いで、第2判定部112、補充電指示部113等によって、SOCに基づく第2の補充電処理である第2ガード処理が行われる(S111)。次に、基本電圧指示部105によって、エンジンが停止したか否かが判定される(S113)。エンジンが停止したと判定された場合(S113でYES)には、処理が終了される。エンジンが停止していないと判定された場合(S113でNO)には、処理がステップS105に戻され、ステップS105以降の処理が繰り返し実行される。
図4は、図3に示すフローチャートのステップS103において実行される初期補充電処理の一例を示す詳細フローチャートである。まず、経過時間算出部103によって、エンジンを始動後の経過時間Pが求められる(S201)。そして、液温検出部101によって、バッテリ液の液温Tが検出される(S203)。次いで、液温判定部102によって、ステップS203において検出された液温Tが、閾値液温Tsh(ここでは、30℃)以下であるか否かの判定が行われる(S205)。液温Tが閾値液温Tshより高いと判定された場合(S205でNO)には、処理がステップS209に進められる。
液温Tが液温閾値Tsh以下であると判定された場合(S205でYES)には、時間判定部104によって、ステップS201において求められた経過時間Pが、閾値時間Psh(ここでは、2分間)以下であるか否かの判定が行われる(S207)。経過時間Pが閾値時間Pshより長いと判定された場合(S207でNO)には、処理がステップS209に進められる。経過時間Pが閾値時間Psh以下であると判定された場合(S207でYES)には、基本電圧指示部105によって、発電電圧Vとして、基準補充電電圧VA(ここでは、14.0V)に、付加電圧ΔV(ここでは、0.3V)を加算した和の電圧VA’(=VA+ΔV=14.3V)が指示される(S211)。
ステップS205でNOの場合、又は、ステップS207でNOの場合には、基本電圧指示部105によって、発電電圧Vとして、基準補充電電圧VAが指示される(S209)。ステップS209の処理が終了した場合、又は、ステップS211の処理が終了した場合には、満充電判定部108等によって、バッテリ32が満充電状態であるか否かを判定する処理である満充電判定処理が実行される(S213)。そして、基準設定部110によって、ステップS213において満充電状態であると判定されたか否かの判定が行われる(S215)。満充電状態であると判定された場合(S215でYES)には、基準設定部110によって、予め設定された満充電状態のSOCが、基準SOCとして設定されて(S217)、処理が、図3に示すステップS105へリターンされる。満充電状態ではないと判定された場合(S215でNO)には、処理がステップS201に戻され、ステップS201以降の処理が繰り返し実行される。
図5は、図3に示すフローチャートのステップS105において実行される基本制御実行処理の一例を説明する詳細フローチャートである。まず、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(ここでは、12.5V)が発電電圧Vとして指示される(S301)。そして、減速判定部106によって、減速中であるか否かの判定が行われる(S303)。減速中ではないと判定された場合(S303でNO)には、処理が図3に示すステップS107へリターンされる。
減速中であると判定された場合(S303でYES)には、基本電圧指示部105によって、減速回生電圧VC(ここでは、14.8V)が発電電圧Vとして指示される(S305)。そして、減速判定部106によって、減速が終了したか否かの判定が行われる(S307)。減速が終了していない(=減速中である)と判定された場合(S307でNO)には、処理が待機状態とされる。減速が終了した(=減速中ではない)と判定された場合(S307でYES)には、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(ここでは、12.5V)が発電電圧Vとして指示されて(S309)、処理が図3に示すステップS107へリターンされる。
図6は、図3に示すフローチャートのステップS107において実行される充電状態検出処理の一例を説明する詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、特に明記する場合を除いて、充電状態算出部109によって行われる。まず、電流検出部107によって、充電電流IA及び放電電流IBが検出される(S401)。そして、充電中であるか否かの判定が行われる(S403)。充電中ではない(=放電中である)と判定された場合(S403でNO)には、SOCが放電電流IBに比例して減算されて(S405)、処理が図3に示すステップS109へリターンされる。充電中であると判定された場合(S403でYES)には、SOCが充電電流IAに比例して加算されて(S407)、処理が図3に示すステップS109へリターンされる。
図7は、図3に示すフローチャートのステップS109において実行される第1ガード処理の一例を説明する詳細フローチャートである。まず、電流検出部107によって、充電電流IA及び放電電流IBが検出される(S501)。そして、第1判定部111によって、放電中であるか否かの判定が行われる(S503)。放電中ではない(=充電中である)と判定された場合(S503でNO)には、第1判定部111によって、SOCが連続して減少した量である連続減少量ΔS1が「0」にリセットされ(S505)、処理がステップS509へ進められる。放電中であると判定された場合(S503でYES)には、第1判定部111によって、連続減少量ΔS1が放電電流IBに比例して加算されて(S507)、処理がステップS509へ進められる。
ステップS505の処理が終了した場合、又は、ステップS507の処理が終了した場合には、第1判定部111によって、連続減少量ΔS1が、第1比率ΔSsh1以上であるか否かの判定が行われる(S509)。第1比率ΔSsh1未満であると判定された場合(S509でNO)には、処理が図3のステップS111へリターンされる。第1比率ΔSsh1以上であると判定された場合(S509でYES)には、補充電指示部113によって、第1補充電電圧VC1(ここでは、14.0V)が、発電電圧Vとして指示される(S511)。そして、減速判定部106によって、減速中であるか否かの判定が行われる(S513)。減速中ではないと判定された場合(S513でNO)には、処理が待機状態とされる。
減速中であると判定された場合(S513でYES)には、基本電圧指示部105によって、減速回生電圧VC(ここでは、14.8V)が発電電圧Vとして指示される(S515)。そして、減速判定部106によって、減速が終了したか否かの判定が行われる(S517)。減速が終了していない(=減速中である)と判定された場合(S517でNO)には、処理が待機状態とされる。減速が終了した(=減速中ではない)と判定された場合(S517でYES)には、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(ここでは、12.5V)が発電電圧Vとして指示されて(S519)、処理が図3に示すステップS111へリターンされる。
図8は、図3に示すフローチャートのステップS111において実行される第2ガード処理の一例を説明する詳細フローチャートである。まず、第2判定部112によって、基準SOCからのSOCの減少量ΔS2が求められる(S601)。次いで、第2判定部112によって、減少量ΔS2が第2比率ΔSsh2(ここでは、5.0%)以上であるか否かの判定が行われる(S603)。減少量ΔS2が第2比率ΔSsh2未満であると判定された場合(S603でNO)には、処理が図3のステップS113へリターンされる。減少量ΔS2が第2比率ΔSsh2以上であると判定された場合(S603でYES)には、補充電指示部113よって、第2補充電電圧VC2(ここでは、14.0V)が発電電圧Vとして指示される(S605)。
そして、満充電判定部108によって満充電判定処理が実行される(S607)。次に、基本電圧指示部105によって、ステップS607において満充電状態であると判定されたか否かの判定が行われる(S609)。満充電状態ではないと判定された場合(S609でNO)には、処理がステップS607に戻され、ステップS607以降の処理が繰り返し実行される。満充電状態であると判定された場合(S609でYES)には、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(ここでは、12.5V)が発電電圧Vとして指示されて(S611)、処理が、図3のステップS113へリターンされる。
図9は、図4に示すフローチャートのステップS213、及び、図8に示すフローチャートのステップS607において実行される満充電判定処理の一例を説明する詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、特に明記する場合を除いて、満充電判定部108によって実行される。まず、電流検出部107によって、充電電流値IAが検出される(S701)。そして、ステップS701において検出された充電電流値IAが、電流閾値Ish(ここでは、5.0A)以下であるか否かの判定が行われる(S703)。充電電流値IAが電流閾値Ishより大きいと判定された場合(S703でNO)には、充電電流値IAが電流閾値Ish以下である期間を示す判定期間PDが「0」にリセットされて(S705)、処理がステップS711へ進められる。
充電電流値IAが電流閾値Ish以下であると判定された場合(S703でYES)には、判定期間PDにサンプリング期間ΔTが加算されて更新される(S707)。そして、ステップS707において更新された判定期間PDが、期間閾値PDsh(ここでは、5分間)以上であるか否かの判定が行われる(S709)。判定期間PDが期間閾値PDsh以上であると判定された場合(S709でYES)には、満充電状態であると判定されて(S713)、処理が、図4のステップS215(又は図8のステップS609)へリターンされる。ステップS705の処理が終了した場合、又は、ステップS709でNOの場合には、満充電状態ではないと判定されて(S711)、処理が、図4のステップS215(又は図8のステップS609)へリターンされる。
図10、図11は、図1に示す発電制御ECUの動作の一例を示すタイミングチャートである。図10、図11において、横軸は全て時間であって、縦軸は、上側の図において、速度センサ23によって検出された速度VVであり、中央部の図において、充電状態算出部109によって求められたSOCで、下側の図において、オルタネータ31に対して指示される発電電圧Vである。まず、図10に示すように、時点T0においてエンジンが始動され、基本電圧指示部105によって、電圧VA’(=14.3V)が指示される。そして、時点T1において、エンジンの始動から閾値時間Psh(ここでは、2分間)が経過し、基本電圧指示部105によって、基準補充電電圧VA(=14.0V)が指示される。
次に、時点T2において、満充電判定部108によって満充電状態であると判定され、基準設定部110によって、基準SOC(図中はS0と表記する)が設定されて、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(=12.5V)が指示される。次いで、時点T3において、減速判定部106によって減速中であると判定され、基本電圧指示部105によって、減速回生電圧VC(=14.8V)が指示される。次に、時点T4において、減速判定部106によって減速が終了したと判定され、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(=12.5V)が指示される。同様に、時点T5において、減速回生電圧VCが指示され、時点T6において、維持電圧VBが指示される。
そして、時点T7において、第1判定部111によって、SOCの連続減少量ΔS1が第1比率ΔSsh1に到達したと判定され、補充電指示部113によって、第1補充電電圧VC1(=14.0V)が指示される。次いで、時点T8において、減速判定部106によって減速中であると判定され、基本電圧指示部105によって、減速回生電圧VCが指示される。次に、時点T9において、減速判定部106によって減速が終了したと判定され、基本電圧指示部105によって、維持電圧VBが指示される。
そして、時点T10において、減速回生電圧VCが指示され、時点T11において、維持電圧VBが指示される。次いで、時点T12において、減速回生電圧VCが指示され、時点T13において、維持電圧VBが指示される。その後、相当の時間が経過した後、図11に示すように、時点T20において、第2判定部112によって、SOCの減少量ΔS2が第2比率ΔSsh2に到達したと判定され、補充電指示部113によって、第2補充電電圧VC2(=14.0V)が指示される。
そして、時点T21において、満充電判定部108によって満充電状態であると判定され、基準設定部110によって、基準SOC(図中はS0と表記する)が設定されて、基本電圧指示部105によって、維持電圧VB(=12.5V)が指示される。次いで、時点T22において、減速判定部106によって減速中であると判定され、基本電圧指示部105によって、減速回生電圧VCが指示される。次に、時点T23において、減速判定部106によって減速が終了したと判定され、基本電圧指示部105によって、維持電圧VBが指示される。同様にして、時点T24において、減速回生電圧VCが指示され、時点T25において、維持電圧VBが指示される。また、時点T26において、減速回生電圧VCが指示され、時点T27において、維持電圧VBが指示される。更に、時点T28において、減速回生電圧VCが指示され、時点T29において、維持電圧VBが指示される。
このようにして、発電制御ECU1によって、オルタネータ31に対して、適正な発電電圧Vを指示することができる。
なお、本発明に係る車両用発電制御装置は、上記実施形態に係る発電制御ECU1に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、発電制御ECU1が、機能的に、液温検出部101、液温判定部102、経過時間算出部103、時間判定部104、基本電圧指示部105、減速判定部106、電流検出部107、満充電判定部108、充電状態算出部109、基準設定部110、第1判定部111、第2判定部112、補充電指示部113等を備える場合について説明したが、液温検出部101、液温判定部102、経過時間算出部103、時間判定部104、基本電圧指示部105、減速判定部106、電流検出部107、満充電判定部108、充電状態算出部109、基準設定部110、第1判定部111、第2判定部112、及び、補充電指示部113の内、少なくとも1つの機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
(B)本実施形態においては、基本電圧指示部105が、減速回生電圧VCが発電電圧Vとして指示された後、減速中ではないと判定されたときに、第1ガード処理を終了する(=維持電圧VBを発電電圧Vとして指示する)場合について説明したが、基本電圧指示部105が、その他の条件で、第1ガード処理を終了する形態でも良い。例えば、基本電圧指示部105が、減速回生電圧VCの指示が予め設定された所定期間(例えば、5秒間)以上継続した場合に限って、第1ガード処理を終了する形態でも良い。この場合には、確実に減速回生電力による補充電が行われた後に、第1ガード処理を終了することができる。