JP5293414B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池に供給される水素には、システム外への漏出の早期発見を目的として付臭剤が混合されている。この付臭剤が燃料電池に流入すると、電極触媒が被毒して該燃料電池の性能が低下する。これに対し、セルスタックよりも上流に、付臭剤が吸着する吸着剤を設けることがある。また、セルスタックよりも上流に、付臭剤を水素化分解するための水素化分解触媒を備える技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このように水素化分解された付臭剤は被毒性が低くなるため、水素と共にセルスタックに供給される。
しかし、水素化分解による生成物の被毒性が低いといっても、セルスタック内に流入すると電圧低下が起こってしまう。
特開2008−262800号公報 特開2007−103335号公報 特開2005−203108号公報
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、付臭剤の水素化分解による生成物がセルスタック内に入ることを抑制する技術の提供を目的とする。
上記課題を達成するために本発明による燃料電池システムは、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による燃料電池システムは、
付臭剤が含まれる水素を反応ガスとして用いる燃料電池システムにおいて、
反応ガスを貯留するタンクと、
前記タンクよりも下流に設けられるセルスタックと、
前記タンクよりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、付臭剤を分解する分解手段と、
前記分解手段よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、前記分解手段により分解された後の分解生成物を反応ガスから分離する分離手段と、
を備えることを特徴とする。
分解手段には、例えば水素化分解触媒を含むことができる。この水素化分解触媒を用いることにより付臭剤の臭質が変わるため、分解生成物を分離手段により分離した後に大気中へ排出しても、反応ガスが漏れていると誤認されることを抑制できる。ここで、分解手段を備えていない場合で、例えば吸着剤のみを設けているシステムでは、吸着剤の温度が高くなると吸着していた付臭剤が脱着し、システム外へ排出される。そうすると、反応ガスが漏れていると誤認される虞がある。
また、付臭剤には硫黄及び窒素を含まない炭化水素化合物を用いることができる。例えば付臭剤に硫黄を用いると、水素化分解触媒に硫黄が強く吸着し、活性が低下してしまう。これに対し炭化水素化合物を用いれば、このようなことがない。
分離手段は、例えば気体と液体とを分離する分離管または吸着剤を備えて構成されていても良い。分離した付臭剤の分解生成物である例えばアルコールは、分離手段の熱によって気化されてシステム外へ排出される。ここで、吸着剤等は温度が低いほうが吸着性能が高いため、気化潜熱により分離手段が冷却されることで、該分離手段の性能を向上させることができる。
このような構成により、反応ガスから分解生成物を除去することができるため、セルスタックに入る反応ガスを純水素に近づけることができる。これにより、電圧の低下を抑制することができる。
本発明においては、前記分解手段よりも下流で且つ前記分離手段よりも上流で前記分解生成物の組成を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される分解生成物の組成に応じて前記分解手段の再生を行なう再生手段と、
を備えることができる。
検知手段は、例えば熱伝導度、発色性、または吸光度等を利用して組成を検知する。このときに特定の化合物のみを検知しても良い。すなわち、分解手段の再生の指標となる化合物が反応ガス中に存在していたり、所定の比率で含まれていたりするときに分解手段の再生を行なうため、この判定に必要となる化合物の存在や濃度を検知できれば良い。ここで、例えば同一の触媒でも、反応が進行するに従い、その反応選択率は変化する。付臭剤の転化率が100%であって反応性が変わらないとしても、触媒の表面構造の変化により分解生成物の種類は変化する。そうすると、分離手段による分解生成物の分離が困難となる虞がある。例えば分離困難な反応性生物が検知されたときに再生処理を行なうことにより、セルスタックへの分解生成物の流入を抑制できる。再生手段は、例えば純水素を用いて分解手段の再生を行なう。
本発明においては、前記分解手段は前記セルスタックの排熱を受けることで温度が上昇されても良い。
そうすると、セルスタックの排熱により分解手段の温度を上昇させることができるため、例えば分解手段に含まれる触媒の活性化を図ることができる。すなわち、加熱装置を別途設ける必要がなく、またシステムを簡素化することができる。
本発明においては、前記分離手段は、吸着剤を備えて構成され、
前記吸着剤の吸着能力は、前記分解手段が前記セルスタックの排熱を受けているときのほうが、前記排熱を受けないときよりも高くても良い。
分解手段がセルスタックの排熱を受けて温度が高くなると、該分離手段から流出する反応ガスの温度が上昇する。この反応ガスが分離手段に到達すると、該分離手段の温度が上昇して、該分離手段の吸着能力が高まる。つまり、セルスタックの排熱により、吸着剤の吸着能力が高くなる。仮に温度が高くなると吸着能力が低下する吸着剤を用いると、分解手段の温度を上昇させたときに該吸着剤の吸着能力が低下してしまう。これに対し、温度が高いときに吸着能力が高ければ、分解手段の能力と分離手段の能力とを共に高めることができる。
本発明においては、前記分離手段よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流において、発電時には前記分離手段と前記セルスタックとを連通し、発電停止時には前記分離手段と大気とを連通する切替装置を備えることができる。
発電時には分解手段から受ける熱により分離手段の温度が高くなっているため、吸着剤に分解生成物が吸着する。すなわち、分解生成物が反応ガスから分離される。これにより、分解生成物を除去した後の水素をセルスタックへ供給することができる。一方、発電停止時には、温度の低下により吸着剤から分解生成物が脱着する。この脱着した分解生成物を大気へ排出ことで、燃料電池システム内に分解生成物が残留することを抑制できる。これにより、次回の発電時において分解生成物を再度分離することができる。
本発明においては、前記分離手段よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、反応ガスへ加湿を行なう加湿手段を更に備えることができる。
例えば分離手段に吸着剤を用いた場合には、付臭剤よりも水のほうが吸着剤に強く吸着する。このため、分離手段よりも上流側から加湿すると吸着剤の吸着能力が低下する虞がある。これに対し、分離手段よりも下流側へ加湿器を設けることにより、分離手段の能力低下を抑制できる。また、加湿手段により加湿された反応ガスが分離手段を通過することがないため、該分離手段により水分が分離されることを抑制できる。これにより、セルスタックで水分が不足することを抑制できる。
本発明によれば、付臭剤の水素化分解による生成物がセルスタック内に入ることを抑制できる。
実施例1に係る燃料電池システムを説明するための図である。 水素化分解触媒における反応時間と分解生成物との関係を示した図である。 実施例1に係る水素化分解触媒の再生制御のフローを示したフローチャートである。 実施例2に係る燃料電池システムを説明するための図である。 チタニアの脱臭能力を示す図である。 実施例2に係る切替弁の制御フローを示したフローチャートである。
以下、本発明に係る燃料電池システムの具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例に係る燃料電池システムを説明するための図である。図1の燃料電池システム10は、タンク1を含んでいる。タンク1には、水素と付臭剤との混合ガスが反応ガスとして貯留されている。本実施例では、付臭剤として、硫黄や窒素を含まない炭化水素化合物(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル)を用いることとする。
タンク1には、通路9の一端が接続している。通路9の途中には、上流側(タンク1側)から順に、水素化分解触媒2、分離装置3、加湿器4が備わり、通路9の他端はセルスタック5に接続している。
水素化分解触媒2は、混合ガス中の付臭剤を水素化分解する。水素化分解触媒2には、Pt,Pd,Ru,またはIr等の金属触媒を用い、該金属を例えばアルミナ,チタニア,マグネシア,またはセリア等の酸化物担体に担持させている。なお、本実施例においては水素化分解触媒2が、本発明における分解手段に相当する。
分離装置3は、例えば気体と液体とを分離する気液分離管、または分解生成物が吸着する吸着剤を備えて構成されている。ここで、アクリル酸エチル、アクリル酸メチルを水素化分解したときの分解生成物はアルコール(エタノール、n−プロパノール)である。つまり、吸着剤は、アルコールを吸着し且つ水素を吸着しない特性を有するものであれば良い。なお、本実施例においては分離装置3が、本発明における分離手段に相当する。
加湿器4は、水素に水分を加える。発電時には、セルスタック5内の例えば固体高分子膜内の水分が燃料極側から空気極側へ移動するため、燃料極側で水分が不足する。これを補うための水分を加湿器4により反応ガスへ加えている。なお、本実施例においては加湿器4が、本発明における加湿手段に相当する。
セルスタック5は、複数の単位セルが積層されて構成される。単位セルは、図示は省略するが、膜電極接合体を一対の集電用板材で挟んだ構成になっている。膜電極接合体は、固体高分子膜の両面に触媒が一体化されたものである。膜電極接合体の各面には、さらに、カーボンシート等で作られたガス拡散層が一体化されている。集電用の板材は、隣接する2枚の膜電極接合体の間を仕切るセパレータとしても機能している。
単位セルは、当該膜電極接合体の一方の面側が燃料極として、他方の面側が空気極として機能する。単位セルは、発電時には、燃料極に水素を、空気極に空気の供給をそれぞれ受け、膜電極接合体を介して生ずる電気化学的反応により発電する。タンク1に貯留されている反応ガスは、セルスタック5の燃料極に供給される。
水素化分解触媒2よりも下流で且つ分離装置3よりも上流の通路9には、ガス取入管61の一端が接続されている。ガス取入管61の他端には、分解生成物の組成を検知するセンサ6が接続されている。このセンサ6は、水素化分解触媒2の機能が低下したときに分解生成物の組成が変化したことを検知できれば良い。センサは、例えば熱伝導度を検知する。なお、本実施例においてはセンサ6が、本発明における検知手段に相当する。
また、本実施例では、水素化分解触媒2へ付臭剤が混合されていない水素を供給する再生装置7が設けられている。再生装置7から水素化分解触媒2へ水素を供給することにより、該水素化分解触媒2の再生を行なう。再生装置7は、分離装置3の能力が低下する以前に、該分離装置3により分解生成物が除去された後の水素を貯留しておき、該水素を水素化分解触媒2へ供給しても良い。なお、本実施例においては再生装置7が、本発明における再生手段に相当する。
以上述べたように構成された燃料電池システム10には、該燃料電池システム10を制御するための電子制御ユニットであるECU8が併設されている。このECU8により、反応ガスの供給や発電状態、発電の終了時期等が制御される。そして、ECU8により水素化分解触媒2の再生制御が行われる。
また、図1に示すように、燃料電池システム10は、セルスタック5の発する熱を水素化分解触媒2に供給できるように構成されている。具体的には、セルスタック5の内部を通って水素化分解触媒2に至るように冷却液流路51を設ける。冷却液流路51内を流れる冷却液が、セルスタック5から熱を奪うとともに、水素化分解触媒2へと熱を供給する。このようにして、セルスタック5の熱が水素化触媒2まで伝達されるようにする。なお、例えば、水素化分解触媒2とセルスタック5の外周部の構成をともに熱伝導性を有する材料で構成し、それらを隣接して配置して接触させることで熱の授受を行っても良い。
以下、実施例1の燃料電池システム10の動作ならびに作用について説明する。上述したように、タンク1には、安全性などの観点から、非硫黄系の付臭剤が混入されている。
燃料電池システム10の発電時には、タンク1から水素と付臭剤の混合ガスが下流へと供給される。
本実施例では、付臭剤に炭化水素化合物を用いているため、硫黄化合物を用いた場合と比較して水素化分解触媒2への吸着力が弱いので、該水素化分解触媒2の活性を高く保つことができる。
付臭剤が直接セルスタック5に供給された場合、セルスタック5内の触媒が付臭剤によって被毒され、セルスタック5の発電を阻害するおそれがある。ここで、付臭剤として用いられるアクリル酸エチルなどの二重結合を持った不飽和炭化水素化合物は、π電子を含んでいる。π電子は触媒表面に吸着し易いという特性があり、この特性が付臭剤の触媒被毒の要因となっている。一方、このような吸着の特性は、付臭剤の水素化によって低下する。具体的には、アクリル酸エチルの水素化体であるプロピオン酸エチルは、アクリル酸エチルに比して被毒性が低くなる。つまり、水素化反応を利用することにより、付臭剤の触媒への吸着性を低下させることができる。
従来では、付臭剤が水素化分解触媒2を通過する過程で生成される分解生成物の被毒性が低いがために、分解生成物を水素と共にそのままセルスタック5へ供給していた。しかし、水素化された付臭剤であっても、燃料電池の発電が阻害されることが分かった。すなわち、燃料電池の発電効率を上げるには、付臭剤を水素化分解するのみでは足りず、分解生成物を除去する必要がある。
そこで本実施例では、分解生成物を分離装置3により除去した後の水素をセルスタック5へ供給している。分離装置3により分離された付臭剤の分解生成物であるアルコールは、例えば熱により気化されて燃料電池システム10外へ排出される。このようにアルコールを排出させるときに開く弁を備えていても良い。この弁を開閉させるアクチュエータはECU8により制御する。
水素化分解触媒2を備えておらず、吸着剤のみで付臭剤を分離させるシステムでは、該吸着剤の温度の上昇と共に付臭剤が脱着してシステム外へ排出されるが、このときには臭質が変化していないため、水素漏れを起こしていると誤認される虞がある。これに対し付臭剤を水素化分解触媒2により分解することで、付臭剤の臭質が変化するため、分解生成物を燃料電池システム10の外部へ排出しても水素漏れを起こしていると誤認されることが抑制される。
なお、図1に示すように、加湿器4を分離装置3よりも下流側に設けている。そのため、水分が分離装置3に流入することが抑制される。ここで、分離装置3に例えば吸着剤を用いた場合には、付臭剤の分解生成物よりも水分のほうが吸着剤に強く吸着する。このため、ガス中に水分が含まれていると分解生成物を吸着する能力が低下する。これに対し加湿器4を分離装置3よりも下流側に設けることで、分離装置3へ水分が流入することを抑制できる。これにより、発電量の低下を抑制できる。
ここで、付臭剤が直接セルスタック5に供給された場合、セルスタック5内の触媒が付臭剤によって被毒され、セルスタック5の発電を阻害するおそれがある。これを防ぐために、付臭剤の吸着処理を行う吸着剤を備えることも考えられる。しかし、この吸着剤は、化合物の種類が多いと水素と該化合物との分離が困難となる。そして、吸着力が異なる複数の化合物が混在するガスでは、吸着力の強い化合物が選択的に吸着し、吸着力が弱い化合物は吸着せずに下流へと流されてしまう。付臭剤を分解するシステムでは、この現象が顕著となり、吸着力が弱い化合物によりセルスタック5内の触媒が被毒され、発電量の低下を招く虞がある。このため、付臭剤またはその分解生成物の数は少ないほうが望ましい
図2は、水素化分解触媒2における反応時間と分解生成物との関係を示した図である。付臭剤としてアクリル酸エチルが30ppm、アクリル酸メチルが20ppm含まれる水素を用いている。また、水素化分解触媒2には、5wt%のPt/Al触媒を用いている。空間速度10000h−1、反応温度80℃の条件下で付臭剤の水素化分解反応を行なった。
図2に示されるように、反応時間が10hの場合には、エタノール及びn−プロパノールのみが生成されるのに対し、反応時間が24hの場合には、さらにプロピオン酸エチル及びプロピオン酸メチルが生成されている。すなわち、同じ触媒であっても、経過時間によって反応活性が変わることが分かる。触媒の反応選択性は、触媒表面の酸素欠陥サイトにより影響を受けるが、付臭剤の水素化分解反応により該酸素欠陥サイトが閉塞される。このため、アクリル酸エチル及びアクリル酸メチルの水素化体であるプロピオン酸エチル及びプロピオン酸メチルが生成される。
エタノール及びn−プロパノールと、プロピオン酸エチル及びプロピオン酸メチルと、では吸着力が異なる。すなわち、水素化分解触媒2では、反応活性は変わらなくても時間と共に反応選択性が変わり、吸着力の異なる化合物が生成される。吸着力の異なる分解生成物が混在していると、分離装置3に吸着され易い分子と、吸着され難い分子とが生じ、吸着され難い分子はセルスタック5内に流入して被毒する。これにより、発電量が低下する虞がある。
水素化分解触媒2における付臭剤の転化率が100%で反応活性が変わらないとしても、該水素化分解触媒2により生成される化合物の種類は変わる。付臭剤の濃度のみを検知しても分解生成物の組成の変化を検知することはできないため、水素化分解触媒2の適切な再生時期を設定することは困難である。また、燃料電池の発電量が低下してから水素化分解触媒2の再生をすることも考えられるが、セルスタック5の耐久性が低下するため好ましくない。
そこで本実施例では、分解生成物中にプロピオン酸エチルまたはプロピオン酸メチルが検知された場合には、水素化分解触媒2へ純水素を供給して該水素化分解触媒2を再生する。このときに併せて分離装置3を再生しても良い。
例えば、プロピオン酸エステルが生成されると、熱伝導度が低くなるため、センサ6で熱伝導度を測定し、該熱伝導度が低くなったことをもって水素化分解触媒2の再生を開始しても良い。熱伝導度に代えて、発色性または吸光度等の変化を利用してプロピオン酸エステル等を検知しても良い。
水素化分解触媒2の再生は、再生装置7から純水素(付臭剤等の混合物を含まない水素)を供給することにより実行される。再生装置7に純水素を貯留するタンクを備えていても良い。また、反応ガスから純水素を生成しても良い。例えば空気等で酸化処理を行なった場合に、反応活性は低下するため、還元処理が必要となる。また、付臭剤の水素化分解反応は、水素化分解触媒2の酸素欠陥サイトで進行するが、この酸素欠陥サイトが付臭剤の分解反応によって閉塞されるため、還元雰囲気下で水素化分解触媒2を再生する。
分離装置3では、分解生成物であるアルコールが該分離装置3の熱により気化される。このときの気化潜熱により分離装置3が冷却される。例えば分離装置3に吸着剤を備えている場合には、吸着剤の温度が低下される。一般に、吸着剤は温度が低いほうが吸着能力が高いため、アルコールの気化による温度低下により分離装置3の能力を向上させること
ができる。
また、本実施例では、セルスタック5の発する熱を水素化分解触媒2に供給できるように構成されている。炭化水素化合物における二重結合の水素化反応は熱を必要とするため、本実施例によれば、セルスタック5の発電反応に伴う熱を水素化に活用することができる。ここで、例えば水素化分解触媒2にCo系またはMo系の触媒を用いた場合には、これらの触媒の活性は250℃以上の反応温度で且つ高圧でなければ得られない。これに対し本実施例では、120℃以下の温度で反応が進行する貴金属触媒を用いている。発電反応に伴うセルスタック5の温度は、これ以上となりうるので、この熱を水素化分解触媒2に供給することで、水素化反応のための熱を十分に供給することができる。これにより、加熱用の専用装置の簡略化、小型化が可能であり、システムの構成をさらに簡略なものとすることができる。
図3は、本実施例に係る水素化分解触媒2の再生制御のフローを示したフローチャートである。本ルーチンはECU8により所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、センサ6により分解生成物の組成が検知される。所定の化合物(プロピオン酸エチルまたはプロピオン酸メチル)を検知しても良い。具体的には、例えば熱伝導度を測定する。
ステップS102では、所定の化合物(プロピオン酸エチルまたはプロピオン酸メチル)が所定の比率以上含まれているか否か判定される。所定の比率は、水素化分解触媒2の再生が必要となる閾値として予め設定しておく。なお、本ステップでは、分解生成物中にプロピオン酸エチルまたはプロピオン酸メチルが含まれているか否か判定しても良い。具体的には、例えば熱伝導度が低下したか否か判定する。予め熱伝導度の基準値を設定しておき該基準値と比較しても良く、前回測定した熱伝導度と比較しても良い。ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、否定判定がなされた場合には水素化分解触媒2の再生は必要がないため本ルーチンを終了させる。
ステップS103では、再生装置7を作動させる。すなわち、再生装置7から水素化分解触媒2へ水素を供給することにより、該水素化分解触媒2の再生を行なう。この場合、例えば所定時間水素を供給する。所定時間は、再生に要する時間として予め実験等により求めておく。
以上説明したように本実施例によれば、水素化分解触媒2よりも下流に分離装置3を備えているため、分解生成物がセルスタック5に流入することを抑制できる。これにより、セルスタック5内で被毒が起こることを抑制できるため、発電量が低下することを抑制できる。
また、分解生成物の組成を実際に検知して水素化分解触媒2の再生を行なっているため、最適な時期に再生を行なうことができる。
図4は、本実施例に係る燃料電池システムを説明するための図である。主に図1と異なる点について説明する。
本実施例では、分離装置3よりも下流で且つ加湿器4よりも上流の通路9に、通路を切り替える切替弁20を備えている。切替弁20には、一端が大気へ開放される大気開放通路21が接続されている。切替弁20はECU8からの信号により作動し、通路9の上流側と下流側とを接続するか、または通路9の上流側と大気開放通路21とを接続する。な
お、本実施例においては切替弁20が、本発明における切替装置に相当する。
また、本実施例では、分離装置3に吸着剤を備えている。本実施例に係る吸着剤は、反応温度が30℃のときよりも80℃のときのほうが吸着能力が高いものを用いる。吸着剤として例えばチタニアを例示できる。図5は、チタニアの脱臭能力を示す図である。アクリル酸エチルを34ppmで混合した水素を用い、空間速度10000h−1、反応温度30℃及び80℃における図である。横軸は経過時間、縦軸は分離装置3よりも下流のアクリル酸エチルの濃度である。
図5を見れば分かるように、反応温度が30℃の場合には、例えば5時間経過後に時間の経過と共に分離装置3よりも下流のアクリル酸エチルの濃度が上昇している。つまり、吸着性能が低下している。これに対し、反応温度が80℃の場合には、アクリル酸エチルの濃度の上昇が抑えられている。つまり、反応温度が30℃のときよりも80℃のときのほうが吸着性能は高い。
なお、水素化分解触媒2には、アルミナに担持されたPtを用いる。この触媒は、80℃で100%の付臭剤分解活性を示す。ここで、発電時にセルスタック5の発する熱を水素化分解触媒2に供給できるように構成されていれば、水素化分解触媒2の温度を80℃以上に保つことができる。このように水素化分解触媒2の温度を高く保つと、反応ガスの温度が上昇するため、下流の分離装置3の温度も上昇する。ここで、一般的な吸着剤は、温度が低いほうが吸着能力が高いため、水素化分解触媒2の温度上昇に伴い吸着能力が低下する。一方、30℃のときよりも80℃のときのほうが吸着性能が高い吸着剤を用いることにより、水素化分解触媒2の温度上昇と共に、吸着能力が高くなる。つまり、分離装置3の吸着能力は、水素化分解触媒2がセルスタック5の排熱を受けているときのほうが、排熱を受けないときよりも高いといえる。よって、分離装置3に冷却装置等を用いることが不要となるため、装置の簡略化が可能となり、また消費電力の低減が可能となる。
燃料電池の発電時には、切替弁20により通路9の上流側と下流側とを接続する。そして、燃料電池の発電停止時には、切替弁20により通路9の上流側と大気開放通路21とを接続する。燃料電池の発電停止時には、分離装置3の温度が低下する。この温度低下と共に吸着剤の吸着性能が低下するため、分解生成物であるアルコールが吸着剤から脱着して大気開放通路21を流れ、燃料電池システム10の外部へ排出される。すなわち、切替弁20を操作するだけで分離装置3が再生される。これにより、セルスタック5へ分解生成物が流入することを抑制することができる。また、分離装置3の再生時の消費電力を低減することができる。
なお、吸着剤は光を照射することによって吸着性能が再生される特性を有していても良い。燃料電池の発電停止時には、大気開放通路21から分離装置3へ空気が導入されるため、吸着剤が空気と接する。チタニア等の光触媒を吸着剤として用いた場合には、光が届く範囲に吸着剤を配置しておけば、光により付臭剤の分解が進み、吸着剤の吸着能力が回復する。
図6は、本実施例に係る切替弁20の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンはECU8により所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS201では、セルスタック5にて発電中であるか否か判定される。ステップS201で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS203へ進む。
ステップS202では、通路9の上流側と下流側とを接続するように切替弁20を作動
させる。
ステップS203では、通路9の上流側と大気開放通路21とを接続するように切替弁20を作動させる。
以上説明したように本実施例によれば、水素化分解触媒2をセルスタック5の排熱で加熱しているため、高い活性を維持することができる。また、分離装置3に温度が高いときに吸着能力が高い吸着剤を用いているため、セルスタック5の排熱で吸着能力を高めることができる。これにより、セルスタック5へ流入する分解生成物の量を低減することができるため、発電量の低下を抑制できる。
1 タンク
2 水素化分解触媒
3 分離装置
4 加湿器
5 セルスタック
6 センサ
7 再生装置
8 ECU
9 通路
10 燃料電池システム
20 切替弁
21 大気開放通路
51 冷却液流路
61 ガス取入管

Claims (5)

  1. 炭化水素化合物である付臭剤が含まれる水素を反応ガスとして用いる燃料電池システムにおいて、
    反応ガスを貯留するタンクと、
    前記タンクよりも下流に設けられるセルスタックと、
    前記タンクよりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、付臭剤を分解する水素化分解触媒と、
    前記水素化分解触媒よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、吸着剤を備えて構成され、前記水素化分解触媒により分解された後の分解生成物を反応ガスから分離する分離手段と、
    前記水素化分解触媒よりも下流で且つ前記分離手段よりも上流で前記分解生成物の組成を検知する検知手段と、
    前記検知手段により検知される分解生成物の組成に応じて前記水素化分解触媒の再生を行なう再生手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記水素化分解触媒は前記セルスタックの排熱を受けることで温度が上昇されることを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
  3. 前記吸着剤の吸着能力は、前記水素化分解触媒が前記セルスタックの排熱を受けているときのほうが、前記排熱を受けないときよりも高いことを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
  4. 前記分離手段よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流において、発電時には前記分離手段と前記セルスタックとを連通し、発電停止時には前記分離手段と大気とを連通する切替装置を備えることを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記分離手段よりも下流で且つ前記セルスタックよりも上流に設けられ、反応ガスへ加湿を行なう加湿手段を更に備えることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の燃料電池システム。
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