JP5292518B2 - MgB2超電導線材の製造方法およびMgB2超電導線材 - Google Patents

MgB2超電導線材の製造方法およびMgB2超電導線材 Download PDF

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Description

本発明は、二ホウ化マグネシウム超電導材料、特にキロメートル級長尺線材およびその製造方法に関する。
核磁気共鳴分析(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)を用いた化学分析や、核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging;MRI)を用いた医療診断においては、検出感度や精度,画像解像度を改善するために、より強力な静磁場を形成することが望まれてきた。
現在、上述のような強磁場を形成するための超電導磁石は、ニオブ−チタン合金(NbTi),ニオブ−スズ合金(Nb3Sn),ニオブ−アルミニウム合金(Nb3Al)などのニオブをベースとした金属間合金線材によって構成されるのが一般的である。
しかし、これらの金属間合金の超電導材料は、超電導―常電導間の転移温度(以下、臨界温度)が低く、液体ヘリウムを使用した極低温域においてのみ実用可能であり、かつその臨界温度と液体ヘリウム温度が近接しているため、超電導磁石を安定に運転することが困難であった。
これに対して、2001年に超電導材料として改めて着目された二ホウ化マグネシウム(MgB2)は、固有の臨界温度が39Kと上述の従来材料に比べて20K以上高く、液体ヘリウム環境下において超電導磁石の運転を安定化し、ひいては液体ヘリウムを使用せず冷凍機のみによる伝導冷却環境下において超電導磁石の運転を可能にすることが期待されている。
超電導磁石を構築するためには、超電導材料を用いてコイルを形成することが不可欠であり、二ホウ化マグネシウムもその線材化技術が開発されている。従来、二ホウ化マグネシウム超電導線材は、パウダーインチューブ法(Powder-In-Tube;以下、PIT法)によって作製されることが一般的であり、ほぼ唯一の工業的生産方法として目されてきた。
特許文献1(特開2006−216443号公報)にはPIT法による二ホウ化マグネシウムの線材化技術について示されており、シースと呼ばれる金属管の内部に原料を充填した後に機械加工による減面処理を施す、超電導線材の製造方法が開示されている。
非特許文献1(P. C. Canfield et al.)にはPIT法とは異なる手法による二ホウ化マグネシウムの線材化技術が示されており、塩化ホウ素(BCl3)と水素の混合気体の分解を用いてタングステン製の芯材表面に非晶質のホウ素を化学蒸着させ、このホウ素をマグネシウム蒸気と反応させることによって、タングステン芯を二ホウ化マグネシウムで被覆した線材を作製する技術について開示されている。
特許文献2(US7018954B2)には塩化ホウ素と塩化マグネシウムとを水素で分解・還元してニオブメッキしたステンレス芯材の表面に二ホウ化マグネシウムを合成する技術が開示されている。
特開2006−216443号公報 US7018954B2
P. C. Canfield, D. K. Finnemore, S. L. Bud'ko, J. E. Ostenson, G. Lapertot, C. E. Cunningham, and C. Petrovic, Phys. Rev. Lett. 86 (2001) 2423.
特許文献1に開示されているようなPIT法では線材化のために、シースと呼ばれる金属管の内部に原料を充填し、機械加工による減面処理を施す。このような機械的外力の強い減面処理は断線のリスクが大きく、10kmを超えるような長い線材の製造には不向きである。また、シースを用いるため、線材の断面積における超電導物質の割合はシースの分減り、超電導特性はこの分下がるという問題点がある。
PIT法とは異なる手法による二ホウ化マグネシウムの線材化技術が開示された非特許文献1,特許文献2では、機械加工を用いることなく二ホウ化マグネシウム線材を長尺化する技術が開示されている。しかし、タングステン製およびステンレス製の芯材が含まれるため、線材の断面積における超電導物質の割合は芯材の分減り、超電導特性はこの分下がるという問題点がある。
本発明の目的は、二ホウ化マグネシウム超電導線材において、10km超級の線材の作製に適し、且つ、実用的な超電導線材の形態を構築した場合に、二ホウ化マグネシウムの断面占有率を低下させない製造方法を提供することである。
本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため、次のような特徴を有する。
二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法であって、B23を含むB23線の一部または全体をホウ素化し、前記B23線をB線とする還元熱処理工程と、
前記B線のホウ素をマグネシウムと反応させ、前記ホウ素の一部または全体をMgB2化し、前記B線をMgB2線とするMgB2化工程とを有することを特徴とする。
また、上記二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法により製造される二ホウ化マグネシウム超電導線材は次のような特徴を有する。
MgB2とB23を有する二ホウ化マグネシウム超電導線材であって、前記二ホウ化マグネシウム超電導線材は、長手方向に伸びるB23芯を有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
本発明によれば超電導特性の高性能化と、線材長尺化を兼ね合わせた二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法およびそれによる二ホウ化マグネシウム超電導線材を提供することができる。
MgB2超電導線材製造の概略工程。 MgB2超電導線材製造工程フロー図の一例。 MgB2超電導線材の断面構成。 23ガラス層を芯部に有するMgB2超電導線材の断面構成。 23の芯とMgB2超電導層の間に第一の界面を有する超電導線材の断面構成。 23の芯とMgB2超電導層の間に第一の界面を有し、MgB2超電導層の外に第二の界面を有する超電導線材の断面構成。 23ガラス層とSiO2コアを芯部に有するMgB2超電導線材の断面構成。 多芯化MgB2超電導線材の断面構成。 23層,Bを主成分とする第一の界面,MgB2超電導層,Mgを主成分とする第二の界面,金属被覆層,樹脂被覆層を有するMgB2超電導線材の断面構成。 撚線化工程の概略図。
本発明はPIT法のような断線のリスクが高い減面加工を用いず、また、線材断面積における超電導物質の割合を下げるシースや芯材を用いない二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法である。
超電導線材の製造方法では、長尺化した酸化ホウ素(B23)から還元反応によりホウ素(B)の連続体を作製し、ホウ素とマグネシウム(Mg)とを反応させることによって、長手方向に連続的な二ホウ化マグネシウム(MgB2)を合成する。この製造方法によれば、MgB2超電導体の10km超級の長尺線材を断線することなく作製することができる。また、本製造方法によって作製される線材のMgB2の断面占有率はPIT法のような従来の製造方法によってできる線材よりも高く、超電導性能が向上したものとなる。
従来、二ホウ化マグネシウム超電導線材は、PIT法によって作製されることが一般的であり、ほぼ唯一の工業的生産方法として目されてきた。
PIT法によるMgB2超電導線材の製造は、Mg粉末とB粉末との混合粉末またはMgB2粉末、更にはそれらに第三元素を添加した混合粉末を金属シース管に充填し、伸線加工する工程から成る。
PIT法では、線材化のための機械加工とは別に二ホウ化マグネシウムの合成のため、あるいは二ホウ化マグネシウムの焼結のために熱処理が施される。しかし、二ホウ化マグネシウムの合成に伴う体積減少や、二ホウ化マグネシウムの硬さなどを原因として、原料粉末を充填した金属管の加工性と最終的な超電導線材の特性とにトレードオフが生じている。
また、原料とシース材が反応してしまうことや、インライン分析が困難であること、機械加工により断線の恐れがある等の問題も挙げられており、実用化に至っていないのが実際である。
上述の方法は、二ホウ化マグネシウム超電導線材製造方法では断線の原因となるダイス引きなどの機械加工を使わない方式であり、二ホウ化マグネシウムの原料となるホウ素を長尺化した連続体として作製する。
ホウ素(B)の融点は2076℃と高く、ホウ素の溶融,焼結などによりB線を作製することは、加熱方法に別途の工夫が必要となる。融点が低く、加工性に優れるB23を原料としてB23線を作製し、還元熱処理によりホウ素化することで、B線の長尺化を実現することができる。
このような超電導線材の製造方法で作製した二ホウ化マグネシウム超電導線材は実用的な多芯線を構成した場合、長尺化において芯材またはシース管を要求しないため二ホウ化マグネシウム超電導体の断面占有率を向上させることが可能となる。また、ホウ素の連続体を形成する段階において、適切なドーパントを添加することにより、合成された二ホウ化マグネシウム超電導体にピンニングセンターを容易に導入することが可能となる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組合せや改良が可能である。
MgB2超電導線材製造の概略工程を図1に、フロー図を図2に示した。
二ホウ化マグネシウム超電導線材は、原料であるB23粉末からプリフォームガラスを作製するプリフォーム作製工程と、プリフォームガラスを延伸することでB23線とする伸線加工工程と、B23線を熱還元によりB線とする熱還元処理工程と、ホウ素化線にマグネシウムを反応させMgB2線とするMgB2化工程と、MgB2線を金属により被覆する金属被覆化工程、により製造される。それぞれの工程には、目的物を製造できる範囲において変形型が存在する。また、複数の超電導線材を重ね、多芯二ホウ化マグネシウム超電導線材とする撚線化工程や、樹脂を被覆する樹脂被覆工程を組み込むこともできる。伸線加工工程以降の工程は図1のように連続的に行うことが好ましい。
以下、それぞれの工程について説明する。
プリフォームガラス作製工程は、原料であるB23粉末から、プリフォームガラスを作製する工程である。原料であるB23粉末を溶融し、鋳型に流し込んで冷却することにより、プリフォームガラスを製造する。プリフォームガラスとは、伸線加工工程によりフィラメント状に成形する前段階のガラス塊であり、伸線加工時の全体が均一に加熱されるように円柱状であることが望ましく、直径100μmおよび長さ10km程度のフィラメントを作成するためには、直径10mmおよび長さ1m程度以上の大きさを有していることが望ましい。B23は無色透明のガラス質の固体である。ガラスは、光ファイバに代表されるように、加熱によって一時的に粘度を調整することにより、可塑性を付与してフィラメント形状に加工することが可能である。B23ガラスは理化学用ガラス機器に多用されるホウ珪酸ガラスにもガラス化成分として含有されており、軟化したガラスの粘度を調整することにより、単体でもフィラメント形状に加工可能である。
23プリフォームガラスの原料には、B23粉末の他、H3BO3つまりホウ酸粉末を使用することも可能である。H3BO3はB23よりも安価であるという利点がある。しかし、H3BO3を原料とする際には、後の伸線加工に悪影響を及ぼす発泡を抑制するため、溶融の段階で脱水あるいは脱気を十分に行う必要がある。
二ホウ化マグネシウム超電導線材には、添加剤を添加することも可能である。添加剤としては、例えばSi,C,SiCが挙げられる。Si,C,SiCがMgB2の結晶中に存在する場合、MgB2のB原子をSi原子あるいはC原子が置換することにより磁束ピンニング力の改善効果が得られる。
これら添加剤を加える添加剤添加工程は、プリフォームガラス作製工程中に行うことが好ましい。添加方法としては、B23原料粉末に添加剤粉末を加える方法と、溶融したB23に添加剤粉末を混ぜる方法,溶融したB23に溶融した添加剤を混ぜる方法が考えられる。B23原料粉末に添加剤粉末を加える場合、粉末の混合物をるつぼで溶融,攪拌して均質な添加剤添加プリフォームガラスを作成する。溶融したB23に添加剤粉末を混ぜる場合、溶融したB23ガラスを攪拌しながら、徐々に粉末状の添加剤を添加する。融したB23に溶融した添加剤を混ぜる場合はB23の溶融とは別にSiO2のような添加剤を1300℃以上の温度で予め溶融し、融したB23に攪拌しながら添加する。
このように添加物を添加する場合、母相となるB23ガラスが、紡糸可能な粘度を維持するように十分留意する必要がある。
また、F,Cl,Br,Iなどのハロゲン元素を添加することもできる。ハロゲン元素を添加することにより、B23ガラスの網目構造を切断し、後の還元熱処理工程においてB23ガラスの還元を容易にすることが可能である。これらハロゲン元素は粉末として、あるいはガスのバブリングにより添加することができる。
伸線加工工程は、プリフォームガラスを延伸し、B23線とする工程である。この伸線加工工程には光ファイバ製造に係わる公知の技術を利用することが可能である。プリフォームガラスの先端近傍をガラスの種取点(logη=3)以上の温度に加熱し、先端から一定の速度でガラスを引き出すことによりフィラメント状に延伸する。延伸、紡糸後のフィラメントは、直径50μmから直径300μm程度になる。
この方法に対し、PIT法における減面加工では、大口径のビレットを例えば押出し加工や引抜き加工を繰り返すことにより最終線径まで減面するため、機械的な加工による線材への損傷を回避できない。シースとして使用する金属管の加工硬化,原料粉体の凝集による流動性低下,不均一な原料充填密度など線材への損傷原因は多岐に渡り、すべてを回避するのは極めて困難である。また、減面加工の進展に伴いシースが薄肉化した場合、必然的に線材の機械的強度が低下する。
還元熱処理工程では、B23線を還元,ホウ素化し、B線とする。還元時に用いる還元剤としては、水素や一酸化炭素,炭化水素等の気体、あるいはマグネシウム,カルシウムを用いることができる。水素は最も還元力が強く、また、反応副生成物である水は除去しやすい。
炭素を還元剤として用いた場合、副生成物は一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO2)である。COはさらに自らをCO2とすることでB23ガラスを還元する能力を有する。還元剤がマグネシウムおよびカルシウムである場合、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)が生成される。これらの金属酸化物は極めて安定な固体であるため、塩酸等により化学的に除去する。
いずれの場合においても酸素が脱離する過程において、フィラメントが多孔質化すると考えられる。表面積が増えることによりホウ素フィラメントとマグネシウムを反応させる段階で反応時間の短縮化を図ることができる。
還元熱処理工程における加熱方法としては例えば抵抗発熱体による方法と、電磁波による方法がある。抵抗発熱体による方法ではフィラメントの周囲に抵抗発熱体を配置して加熱を行う。電磁波による方法はフィラメントにマイクロ波を当てて、加熱する。抵抗発熱体による方法では還元処理を終えたフィラメント部位を冷却する機構も必要となる。ホウ素はマイクロ波に対する感受性が高いため、電磁波による方法では、フィラメントの急峻な加熱および冷却が可能である。このため冷却機構は別途必要ない。しかし、還元剤としMgなどの金属を用いる場合には、電磁波を用いてフィラメントを直接加熱する方法は使用できない。
23のような前駆物質を介することなく、直接B線を得ることもできる。しかし、この場合、ホウ素の融点は約2000℃以上と極めて高温であるため、ホウ素の原料粉末や、加熱方法に工夫が必要である。
ホウ素の原料粉末の溶融および焼結の効率を改善するためには、ホウ素粒子は微細であることが望ましい。また、高純度なMgB2を得るために純度の高いホウ素を使用することが望ましい。また、原料ホウ素粉末に炭化ホウ素(B4C)を適量添加することにより、超電導線材におけるピンニング効果を誘起することも可能である。
ホウ素の融点は約2000℃以上と極めて高温であるため、加熱方法に工夫が必要である。抵抗発熱体を用いた電気炉において雰囲気ごと加熱する手段も考えられるが、ホウ素の高い電磁波吸収特性を利用して加熱する方法が望ましい。具体的には、マイクロ波およびミリ波帯域の電磁波を加熱源として照射することにより、効率的にホウ素を1000℃以上の温度に急熱および急冷することが可能である。
ホウ素の高い融点と硬度を鑑みて、溶融および焼結に際して加熱時間を短縮するために、事前に鋳型を用いてホウ素をフィラメント形状に成形することが望ましい。鋳型の材質としては、加熱源として使用する電磁波の波長帯域において電磁波吸収特性の低い材質を使用することが望ましい。例えば、マイクロ波帯域の電磁波を使用する場合、石英やアルミナなどが適している。また、最終的な線長と同等の大きさの鋳型を用いるのは現実的ではなく、鋳型の形状としては原料の流し込みと、成形および溶融・焼結後されたホウ素フィラメントの取り出しを連続的に実施できるものが望ましい。具体的な例としては、片端から原料を導入し他端からフィラメントの取り出しが可能な中空の筒管部分を有し、単純な直管であるか、あるいは原料の形態に応じて原料導入部が円錐形状を有する漏斗状であることにより、連続的にホウ素フィラメントを形成する鋳型とすることができる。原料は乾式と湿式のいずれの形態でもよい。乾式においては鋳型に流し込む際の原料の流動性を確保するために最適な粒度分布を有しており、かつよく乾燥していることが望ましい。湿式においては、よりホウ素粒子が微細であるほど好ましく、一例としてブチルカルビトールアセタートなど非水系の溶媒を用いて粘度を調整したスラリーとするのが望ましい。湿式原料を用いる場合は、ホウ素の溶融・焼結において溶媒脱離のための熱処理を工程に含むことが望ましい。
MgB2化工程は、B線のホウ素部分をMgB2とし、B線をMgB2線とする工程である。Mgとホウ素の反応は反応式(1)に従って進行する。MgB2の合成速度を向上させるためには、B線を加熱しながらマグネシウムと接触させることにより、接触と同時に拡散反応を進行させることが望ましいが、予めホウ素フィラメントの表面にマグネシウムを被覆するマグネシウム被覆工程と、熱処理を施すことにより拡散反応を誘起するマグネシウム反応工程を別々に設けることでMgB2の量を精密に制御することも可能である。
Mg+2B→MgB2 …(1)
マグネシウムはB線の表面から内部に向けて拡散反応が進行するため、マグネシウムに曝露する時間や熱処理の時間を操作することにより、MgB2の生成量やMgの濃度分布を制御することができる。MgB2超電導体の断面占有率を向上させるためには拡散反応時間は長いことが望ましいが、反応時間を制御して断面構成の外周から中心に向けてMgの濃度分布を形成し、B23ガラス層とMgB2層の界面に酸化マグネシウム(MgO)層およびホウ素とマグネシウムの複合酸化物層を生成させることもできる。この複合酸化物層により、B23ガラス層からMgB2層への酸素の拡散を抑制する効果が期待できる。また、MgB2層の形成後において、断面構成のMgB2の外周に未反応のマグネシウムを残すことにより、該マグネシウム層が抵抗率の低い安定化層となる効果が期待できる。
B線を加熱しながらマグネシウムと接触させる形態としては、加熱したB線を気体のマグネシウムと接触させる、あるいはB線を加熱しながら気体のマグネシウムと接触させる方法がある。この方法は酸化マグネシウムの生成を抑制する観点から望ましい。他の方法としては、マグネシウムの溶湯中にB線を通すことによりマグネシウムと接触させることも可能である。
マグネシウム被覆工程には例えば、スパッタ法,マグネシウム物理蒸着法等が挙げられる。スパッタ法は高電圧によりイオン化させた希ガスや窒素をマグネシウム金属に衝突させ、弾き飛ばされたマグネシウムによりB線を被膜する方法である。マグネシウム物理蒸着法はマグネシウム蒸気をB線に接触させる方法である。また、箔状のMgをB線に絞りながら巻き付け、Mgの融点以上に加熱することでもMg被覆を達成することができる。
マグネシウム反応工程は、マグネシウム被覆工程によりB線に被覆されたマグネシウムとホウ素を反応させる工程である。反応はマグネシウム被覆されたB線を熱することにより行われる。加熱方法としては、抵抗発熱体による方法や、電磁波による方法がある。抵抗発熱体による方法ではフィラメントの周囲に抵抗発熱体を配置して加熱を行う。電磁波による方法はフィラメントにマイクロ波を当てて、加熱する。
B線とマグネシウムとの反応は、高純度なMgB2を得るために、高度に精製されて酸素,水,窒素などの不純物が除去された非酸化性の雰囲気で実施されることが望ましいが、これらの不純物を希薄に管理することにより、合成されるMgB2の粒子界面に酸化物や窒化物などの極薄な界面層を導入して、超電導線材におけるピンニング効果を誘起することも可能である。
金属被覆化工程はMgB2線の表面に金属の被覆を施す工程である。MgB2線は、実使用においてクエンチ時にフィラメントの焼損を回避するため、その表面には抵抗率の低い金属を安定化材として被覆することが望ましい。具体的には銅(Cu),スズ(Sn),アルミニウム(Al)であれば抵抗率と融点と共に低いため、機能と加工性に優れる安定化材として適している。他には鉛(Pb)が機能を示すが、環境配慮上あまり好ましくない。
また、断面構成の最外周を樹脂で被覆することにより、常温における可撓性を付与することが可能である。樹脂の選択としては、超電導体としての実使用温度域においてMgB2および安定化材と熱膨張係数の近い材質であることが望ましい。
撚線化工程はMgB2線を多芯線とする工程である。二ホウ化マグネシウム超電導線材は実用する場合、複数の超電導線材を重ねた多芯線であることが好ましい。超電導線材を多芯とすることで、磁場の安定化や、断線のリスク分散の効果が期待できる。
撚線化工程は、伸線加工工程と還元熱処理工程の間、またはMgB2化工程と金属被覆工程の間、または、金属被覆化工程の後に入れることができるが、MgB2化工程の以降に入れるのが好ましい。還元熱処理工程や、MgB2化工程は、フィラメントの外部から化学反応を行う工程であるため、これら工程の際には単芯である方が反応の効率が高い。金属被覆化工程の前に撚線化工程を入れる場合はMgB2線の外層にMgを主成分をする層を残しておくことが好ましい。
樹脂被覆化工程はフィラメントの表面に樹脂を被覆する工程である。MgB2はガラス体であるため、比較的脆い。MgB2線を樹脂により被覆することで、脆性を補うことができ、曲げやすい線材とすることができる。樹脂としては、例えば四フッ化エチレン樹脂や、ポリイミド樹脂,四官能の芳香族系エポキシ樹脂などを使用することができる。樹脂を被覆する方法としては、溶融させた樹脂を吹き付ける、溶融させた樹脂にフィラメントを通す等が挙げられる。樹脂被覆化工程は金属被覆化工程と撚線化工程の間、あるいは撚線化工程の後に入れることが可能である。
さらに、実用性の観点から以下のような実施形態も可能である。
形成されるMgB2線の断面占有率を向上させるためには前駆体はB23単相で構成されることが望ましいが、MgB2線の形成時や還元反応に際して、MgB2線の一部に珪酸(SiO2)ガラスやSiO2を主相とするガラスを用いることにより強度を増補することが可能である。また、温度調節により、挿入したSiO2芯をB23ガラス層に拡散させることもでき、フィラメントの耐熱衝撃性を改善する効果が期待できる。
芯材を線材に挿入する芯材導入工程は、プリフォームガラス作製工程中に行うことが好ましい。芯材の導入方法としては、プリフォームガラス作製工程における鋳型にあらかじめSiO2のような芯材を入れた状態で溶融したB23を流し込む方法や、芯材をB23により被覆する方法等が挙げられる。B23の被覆方法としては、例えばSiO2線を軟化点以下の温度で加熱しながら三塩化ホウ素(BCl3)を酸素中で吹き付ける方法が挙げられる。
このような製造方法により製造された二ホウ化マグネシウム超電導線材は各工程の反応を適宜調節することで、以下に示す構成を有する。ただし、各工程の反応時間等の調節により、これら各構成の大小,有無,組合せは調節可能である。また、このような製造方法により作製された二ホウ化マグネシウム超電導線材はここで取り上げた形態に限定されることはない。
MgB2超電導線材の断面の概略図を図3〜図8に示す。図3〜図8では図を簡略化するために、金属被覆膜,樹脂被覆膜等は省略した。図9では各反応の調節によって生じる各層をすべて残した場合の断面図を示す。
また、各図において、線材断面は円型であるが、二ホウ化マグネシウム超電導線材は特に円型に限らない。
(完全に反応させた場合)
還元熱処理工程および、MgB2化工程における反応を十分に行った場合における二ホウ化マグネシウム超電導線材を図3に示す。この条件ではB23線のホウ素はほぼ完全にホウ素となり、B線のホウ素はほぼ完全にMgB2となる。この条件で作製された二ホウ化マグネシウム超電導線材の断面における超電導物質の割合は、この後示す他の条件化で作製した二ホウ化マグネシウム超電導線材よりも高く、超電導特性が高い。
また、特許文献1に示したPIT法により作製した場合と比較してもシースの分二ホウ化マグネシウムの割合が高く、超電導特性が高い。また、非特許文献1,特許文献2のように、芯材を用いた製造方法により作製される線材と比較しても、芯材の分二ホウ化マグネシウムの割合が高く、超電導特性が高い。
還元熱処理工程における反応時間を制御することで、図4のように線材断面の中心付近にB23を主成分とした芯を残すことができる。強度保持のためには断面中心近傍にB23の芯を残すことが望ましい。B23を芯としたMgB2線は、タングステンやステンレス等の金属を芯とした場合よりも軽量であるという特徴がある。
還元熱処理工程において、B23が残るような条件で反応させた場合、フィラメントの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察すると、ホウ素フィラメントがB23ガラスの芯を有しており、その外周に還元されたホウ素の層が存在する様子が観察できる。
MgB2化工程における反応時間を適宜制御することで、図5のようにB23芯と、B23芯の外周を覆うMgB2との界面に第一の中間層を残すことができる。この第一の中間層はBを主成分としている。このBは、還元熱処理工程で生じたBのうち、Mgと反応しなかったBである。他の成分としてはMgO等が含まれている。MgB2超電導体の断面占有率を向上させるためには拡散反応時間は長いことが望ましいが、反応時間を制御して断面構成の外周から中心に向けてMgの濃度分布を形成し、B23ガラス層とMgB2層の界面に酸化マグネシウム(MgO)層およびホウ素とマグネシウムの複合酸化物層を生成することにより、B23ガラス層からMgB2層への酸素の拡散を抑制する効果が期待できる。
また、MgB2化工程における反応時間を適宜制御することで、図6のようにMgB2と、被覆層との界面にMgを主成分とする第二の中間層を残すことができる。MgB2層の形成後において、断面構成のMgB2の外周に未反応のマグネシウムを残すことにより、該マグネシウム層が抵抗率の低い安定化層となる効果が期待できる。
プリフォームガラス作製工程において、SiO2のような芯材を導入することで、例えば図7のように、中心付近に芯材の入った線材を作製することが可能である。
また、撚線化工程により、例えば図8のように線材を多芯化することが可能である。
図9には上記した、B23層,Bを主成分とする第一の界面,MgB2超電導層,Mgを主成分とする第二の界面,金属被覆層,樹脂被覆層をすべて含んだ場合の単芯の断面図を示した。反応の条件を調節することで、各層の大小,有無は調節可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれにより限定されるものではない。
(プリフォームガラス作製工程)
純度99.9%以上のB23粉末を白金ルツボに秤量し、HeおよびArなど不活性ガスの置換雰囲気において500℃において表面吸着水を脱離し、その後1000℃に加熱した。1000℃で溶融したB23ガラスは、カーボン製の円筒鋳型に流し込んで冷却することにより、プリフォームガラス1を製造した。
(伸線加工工程)
次にプリフォームガラス1を800℃に加熱したガラス加熱軟化炉2にセットし、プリフォームガラス1を下部から下方に向けて延伸し、線径が約300ミクロンのB23線を製造した。伸線加工工程以降の工程は図1のように連続的に置かれたそれぞれの装置8,9,12,14,16,18等により連続的に行われた。
(還元熱処理工程)
ガラス加熱軟化炉2を通ったB23線は次に、還元炉3で熱還元処理され、B線となる。この際、還元ガス供給源5の水素がガス精製器4により高純度水素となり、還元炉3に供給される。B23線の表面から式(2)に従って、B23からホウ素への還元反応を行った。還元熱処理の条件は、酸化物の標準生成ギブズエネルギーをプロットしたエリンガムダイアグラムを参照して、使用する高純度水素ガスの露点と熱処理温度を決定した。
23+3H2→2B+3H2O …(2)
この際、B23ガラスが形状を維持できる温度が600℃程度であるため、高純度水素ガスは−110℃以上の露点に精製する。また、式(2)の還元反応により生成する水によりホウ素が再酸化されるのを防ぐため、還元炉3を満たす高純度水素は常に新鮮なガスを供給する。還元されて得られるホウ素の厚みは還元炉3を通過する時間によって制御が可能である。還元剤として水素以外では一酸化炭素,炭化水素を用いることができる。この場合、B23と、還元剤との反応により生じた二酸化炭素は、石灰などにより取り除くことができる。
熱処理における熱源には抵抗発熱体を用いた。還元ガスで満たされた電気炉内に抵抗発熱体を設置して通電することにより炉内全体を還元温度に熱することができる。熱処理における熱源として抵抗発熱体以外に、電磁波を用いることもできる。電磁波としては特にマイクロ波が好ましく、マイクロ波の指向性を利用することにより、雰囲気全体よりもB23ガラスフィラメント近傍のみを急峻に加熱することが可能であり、還元反応をすばやく完了し、かつ高効率に実施することが可能である。
(MgB2化工程)
還元炉3を通ったB線は次に、Mg拡散反応炉6においてMgB2線とした。B線の外表面からMgを拡散反応させることによって二ホウ化マグネシウムを合成する。Mg拡散反応炉6内部は500℃から600℃の温度に加熱され、その内部は50〜100Pa程度のマグネシウム蒸気で満たされる。拡散反応炉の内部をホウ素フィラメントが30〜60分かけて通過する間に、B線のホウ素とマグネシウムが反応し、二ホウ化マグネシウムが合成される。
B線はマグネシウム溶湯を通すことによってもMgB2線とすることが可能である。この場合、マグネシウム溶湯の外気は六フッ化イオウ雰囲気中等の酸化が起きない条件に置く必要がある。
(金属被覆工程)
MgB2線は安定化材溶融るつぼ9の溶融安定化材8により、その表面に安定化材を被覆する。安定化材としてアルミニウムを用いた。安定化材として、アルミニウム以外には、銅(Cu),スズ(Sn),アルミニウム(Al),鉛(Pb)を用いることができる。
(樹脂被覆工程)
金属被覆されたMgB2超電導線材を、327℃から390℃の温度で溶融した溶融樹脂被覆材10に通し、樹脂硬化炉11で硬化させることにより被覆した。樹脂としては四フッ化エチレン樹脂を用いた。樹脂としては他に、ポリイミド樹脂を用いることができる。ポリイミド樹脂を使用する場合には室温において市販の感光性ポリイミドコーティング剤中に通して紫外線等を照射し300℃程度の温度でキュアすることにより被覆することが可能である。
以上の製造方法により、単芯のMgB2超電導線材の製造が可能である。最後に巻取機14によりMgB2超電導線材を巻きとった。
実施例1の金属被覆工程と樹脂被覆工程の間に撚線化工程を組み込むことで、多芯のMgB2超電導線材を製造した。
(撚線化工程)
金属皮膜した14本のMgB2線を撚りあわせて多芯線化した。図1のMgB2超電導線材製造の工程を複数本同時並行で製造し、金属皮膜工程後にドラム23により複数本集め、MgB2線を同一方向へひねることによって撚り合わせた。この概略図を図10に示した。樹脂被覆工程は多芯化したMgB2を用いること以外は実施例1の樹脂被覆工程と同様に行った。
実施例1の樹脂被覆工程後に撚線化工程を組み込むことで、多芯のMgB2超電導線材を製造した。
実施例1のプリフォームガラス作製工程の際、芯材を導入する芯材導入工程を加えることで、芯材を別途組み込んだ線材を製造した。
(芯材導入工程)
プリフォームガラス作製工程における鋳型にあらかじめSiO2芯材を入れた状態で溶融したB23を流し込んだ。他の工程は実施例1と同様に製造した。
実施例1のプリフォームガラス作製工程の際、添加物を線材中に添加する添加物添加工程を組み込んだ。
(添加物添加工程)
Siの粉末をB23粉末に混合した。この混合粉末をつぼで溶融,攪拌して均質な添加剤添加プリフォームガラスを作成した。添加物としては他にC,SiCを用いることができる。他の工程は実施例1と同様に行った。
実施例1のMgB2化工程をマグネシウム被覆工程とマグネシウム反応工程に分けることで、MgB2の量を精密に制御した。MgB2化工程以外の工程は実施例1と同様に行った。
(マグネシウム被覆工程)
実施例1において、還元炉3を通ったB線にスパッタ法によりマグネシウムを被覆した。窒素ガスあるいは、アルゴンガスで充填し、マグネシウム金属入れた反応機にB線を通し、高電圧をかけた。高電圧によりイオン化させた窒素ガスやアルゴンガスはマグネシウム金属に衝突し、弾き飛ばされたマグネシウムによりB線は被膜された。他の方法として、マグネシウム物理蒸着法によってもマグネシウム被覆は可能である。マグネシウム物理蒸着法はマグネシウム蒸気をB線に接触させる方法である。
(マグネシウム反応工程)
被覆したマグネシウムとホウ素の反応は、線材を熱することにより行われる。加熱方法としては、抵抗発熱体による方法や、電磁波による方法がある。抵抗発熱体は反応炉に設置し、通電することにより炉内全体を熱することができる。電磁波としては特にマイクロ波が好ましく、マイクロ波の指向性を利用することにより、雰囲気全体よりもフィラメント近傍のみを急峻に加熱することが可能であり、反応をすばやく完了し、かつ高効率に実施することが可能である。
1 プリフォームガラス
2 ガラス加熱軟化炉
3 還元炉
4 ガス精製器
5 還元ガス供給源
6 Mg拡散反応炉
7 線径測定器
8 溶融安定化材
9 安定化材溶融るつぼ
10 溶融樹脂被覆材
11 樹脂硬化炉
12 キャプスタン
13 線径制御回路
14 巻取機
15 MgB2を主成分とした超電導層
16 B23を主成分とした芯
17 Bを主成分とした第一の中間層
18 Mgを主成分とした第二の中間層
19 SiO芯材
20 金属被覆層
21 樹脂被覆層
22 MgB2
23 ドラム

Claims (23)

  1. 二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法であって、
    23を含むB23線をホウ素化し、前記B23線をB線とする還元熱処理工程と、
    前記B線のホウ素をマグネシウムと反応させ、前記ホウ素をMgB2化し、前記B線をMgB2線とするMgB2化工程とを有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記還元熱処理工程は、水素,一酸化炭素,炭化水素のいずれかを還元剤として用いることを特徴とした二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  3. 請求項1ないし請求項2のいずれかにおいて、
    前記還元熱処理工程は、電磁波により前記B23線を過熱すること、または、抵抗発熱体を熱源により前記B23線を過熱することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
    前記MgB2化工程は、マグネシウムを含む気体または溶湯と、前記B23線とを接触させる工程であることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
    前記MgB2化工程は、前記B23線にマグネシウムを被覆させるマグネシウム被覆工程と、
    前記B23線を前記マグネシウムと反応させるマグネシウム反応工程と、を含むことを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記マグネシウム被覆工程は、スパッタ法,マグネシウム物理蒸着法のいずれかであることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
    前記還元熱処理工程の前に、伸線工程を有し、
    前記伸線工程は、B23を含むプリフォームガラスを延伸しB23線とする工程であることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記伸線工程の前に、プリフォームガラス作製工程を有し、
    前記プリフォームガラス作製工程は、B23の粉末を溶融し、前記プリフォームガラスを作製する工程であることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記プリフォームガラス作製工程は溶融させたB23と円筒鋳型に流し込み、冷却させることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  10. 請求項8において、
    前記プリフォームガラス作製工程は、芯材導入工程を有し、
    前記芯材導入工程は、SiO芯材を導入することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  11. 請求項8において、
    前記プリフォームガラス化工程は、添加物添加工程を有し、
    前記添加物添加工程は前記プリフォームガラスの中に添加物を添加する工程であることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記添加物は、Si,C,SiCのいずれかであることを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  13. 請求項1ないし請求項12いずれかにおいて、
    前記MgB2化工程の後、MgB2線の表面に安定化剤を蒸着する金属被覆工程を有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  14. 請求項13において、
    前記安定化剤は、スズ,アルミニウム,銅のいずれかを含むことを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  15. 請求項1ないし請求項14いずれかに記載の二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法は、撚線化工程を有し、
    前記撚線化工程は、複数の線材をより合わせ、多芯線とする工程であることを特徴とする多芯二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  16. 請求項15において、
    前記撚線化工程は、MgB2化工程以降で行うことを特徴とする多芯二ホウ化マグネシウム超電導線材の製造方法。
  17. MgB2とB23を有する二ホウ化マグネシウム超電導線材であって、
    前記二ホウ化マグネシウム超電導線材は、長手方向に伸びるB23芯を有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  18. 請求項1において、
    前記二ホウ化マグネシウム超電導線材は、外層に被覆層を有し、
    前記被覆層は銅,スズ,アルミニウムのいずれかを含むことを特徴
    とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  19. 請求項1または請求項1において、
    前記二ホウ化マグネシウム超電導線材は、前記B23芯と、前記B23芯の外周を覆うMgB2との界面に第一の中間層を有し、
    前記第一の中間層はMgO,Bのいずれかを含むことを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  20. 請求項1または請求項19において、
    前記二ホウ化マグネシウム超電導線材は、前記MgB2と、前記被覆層との界面に第二の中間層を有し、
    前記第二の中間層は、Mgを有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  21. 請求項2において、
    前記第二の中間層は、前記MgB2と前記Mgの濃度勾配を有し、
    前記Mgの濃度は前記二ホウ化マグネシウム超電導線材の外側ほど高いことを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  22. 請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の二ホウ化マグネシウム超電導線材は、長手方向に伸びるSiO2芯を有することを特徴とする二ホウ化マグネシウム超電導線材。
  23. 請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の二ホウ化マグネシウム超電導線材を複数束ね、多芯線としたことを特徴とする多芯二ホウ化マグネシウム超電導線材。
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