JP5401487B2 - MgB2超電導線材 - Google Patents

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Description

本発明は、ニホウ化マグネシウム超電導線材に関する。
ニホウ化マグネシウム(MgB2)線材の作製に適用される一般的な手法としては、主に工業化に適するパウダー・イン・チューブ(PIT)法が用いられる。このPIT法は、(i)MgB2粉末を金属管に充填して伸線加工するex-situ法、(ii)MgとBの混合粉末を金属管に充填して伸線加工した後、熱処理によって超電導化するin-situ法の2方式に大別される。
ex-situ法の場合、MgB2粒同士の反応となるため、高温長時間の熱処理は実質的に避けられない。熱処理工程において、温度の高温化,時間の長時間化はコスト増大につながるため、応用上好ましくない。また、充填するMgB2超電導粉末の特性に左右されるところが大きい。具体的には、MgB2粉末の表面に酸化膜が形成されると、最終的な熱処理の際に粉末粒子の界面で異相が生成し、電流パスを遮断する。さらには、熱処理中に蒸気圧の高いMgが蒸発し、組成ずれ(Mg-poor)を引き起こす。このため、現段階では、in-situ法に比べて高Jc化に課題がある。
一方、in-situ法の場合、Mg粉末とB粉末との拡散反応でMgB2を生成する方法が一般的である。この反応形態(Mg+2B→MgB2)を考えると、モル体積としてMg:14×10-33/mol,2B:9×10-33/molの各粉末を熱処理によってMgB2:17×10-33/molにすることになるため、焼結密度は約26%減少することになる。これより、線材コア中の高密度化が困難な問題がある。
特許文献1では、焼結密度の低下を少しでも抑制するような手法として、粒径の大きなMg粒子の表面に、粒径の細かいMg粒子とB粒子からなる生成物を付着させ、熱処理によってMgB2を生成させるMgB2線材化手法を検討している。
特開2008−140556号公報
しかしながら、特許文献1では、熱処理工程では粒径の大きなMgが、粒径の細かいMg粒子とB粒子からなる生成物側に拡散する反応形態になる。その結果、元々存在していた粒径の大きなMg粒子の領域が空隙になってしまう。線材内部の広い領域が空隙となるため、機械的強度が低下し、磁場中でのJcが大きく低下する。このため、MgB2が本来持つ性能を引き出せていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、実用線材とするために必要な、長尺線材化,高Jc化を同時に達成することができるMgB2超電導線材を提供することを課題とする。
本発明は、マグネシウムまたはマグネシウム合金と、MgBX(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムとを、熱処理を行うことにより反応させることを特徴とする超電導線の製造方法にある。特に、MgBXを、マグネシウム或いはマグネシウム合金よりなるチューブに充填し、熱処理を行うことが好ましい。
本発明の超電導線材は、MgBX(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムが一部に含まれることを特徴とする。特に、MgBX(X=4,7,12)が中央部に芯状に残存し、かつその周囲にMgB2が生成している形状であることが好ましい。
上記構成によれば、MgB2超電導線材の長尺線材化,高Jc化を同時に達成することができる。
MgB2超電導線材の作製プロセスを示すフロー図。 MgB2超電導線材の熱処理前後の断面変化を示す模式図。 MgB2超電導線材の臨界電流密度の磁場依存性を示す図。
21世紀に入って、ニホウ化マグネシウム(MgB2)が39Kで超電導を示すことが発見された(Nature 410,63−64(2001年))。ニホウ化マグネシウム(MgB2)は、主に以下の特徴が知られている。
(1)臨界温度(以下、Tc)が39Kと、従来の金属系超電導体と比べて20K以上高い。
(2)上部臨界磁界(以下、Hc2)が20T程度あるいはそれ以上と、従来の金属系超電導体より優れる。
(3)輸送臨界電流密度(以下、Jc)は、印加磁場中で1000A/mm2オーダーである。
(4)磁気異方性が小さく、結晶のa軸,b軸およびc軸のどの方向にも同様の電流を流すことができる。
このように、従来の金属系超電導体に比して、MgB2超電導体はTc及びHc2ともに高い超電導性を発現するため、臨界温度以下の環境においてMgB2系超電導線材では高い超電導臨界電流密度が得られる。
超電導マグネットに適用すれば、クエンチ事故のない極めて安定したシステムを構築できる。具体的には、電流リード,送電ケーブル,大型マグネット,核磁気共鳴分析装置,医療用磁気共鳴診断装置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離装置,磁場中単結晶引き上げ装置,冷凍機冷却超電導マグネット装置,超電導エネルギー貯蔵,超電導発電機,核融合炉用マグネット等の機器に適用される。
高性能な超電導線材を作製するために必要不可欠な項目として、特に以下の4項目が重要である。すなわち、
(1)超電導体と冶金的に反応しない金属シース材の選定
(2)最終形状に加工したときの超電導体充填密度の向上
(3)結晶粒同士の接合性の向上
(4)量子化された磁束線をトラップして、侵入した磁束線を動かないようにするピンニングセンタの導入
である。以上の項目を同時に実現することで、高い特性を有する超電導線材が得られる。
しかし、Jcは、物質固有の値ではなく、線材コア部の構成や線材の製造方法にも大きく依存する。このため、従来の金属系超電導線材および酸化物系超電導線材に適用してきた製造方法だけでは、MgB2超電導線材のJcはあまり向上しないことが分かった。したがって、超電導材料によってそれぞれ最適化を行う必要があり、MgB2超電導体についても独自の検討が必要になった。
そこで、本発明者らは、課題を解決するMgB2超電導線材の製造方法を鋭意検討した結果、課題を解決する手段を見出した。この手段を適用することにより、線材形状がどのような場合でも高いJcを持つ長尺線材が容易に製造可能となる。
すなわち、MgとMgBX(X=4,7,12)を出発原料にし、熱処理を行うことによって、MgB2を生成させたMgB2超電導線材である。MgBX(X=4,7,12)を含む出発原料を、MgあるいはMg合金チューブに充填し、超電導化の熱処理後にMgBX(X=4,7,12)を残存させる。超電導化の熱処理後の断面微細組織において、未反応のBが存在しないことが好ましい。出発原料に少なくとも1重量%以上で、かつ50重量%以下のMgB2粉を混合してもよい。超電導化するための熱処理温度は、Mgの融点である650℃よりも高く、MgB2の分解温度よりも低いことが好ましく、上限は1300℃である。
このような方法で得られる超電導線材では、超電導化の熱処理後の断面微細組織において、MgBX(X=4,7,12)が中央部に芯状に残存し、かつその周囲にMgB2が生成していることを特徴とする。そして、それらが線材の長手方向で連続的につながっていることを特徴とする。芯状に残存するMgBX(X=4,7,12)は、ピンニングセンタとして寄与する。
このような構成によれば、実用線材とするために必要な高い超電導特性を有するMgB2超電導線材が得られるようになる。液体ヘリウムによる冷却はもちろんのこと、液体水素,冷凍機伝導冷却等による冷却によっても機器の運転が可能となり、かつ高磁場領域においても高い超電導特性が得られる。
詳細に説述するために、図面により、作用及び各種態様について説明する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
図1に超電導線材の作製方法の例をフロー図で示す。まず、原料となるMgBXを作製する。Mg粉とB粉を用いて、所定の原子モル比が1:4になるように秤量した後、両者を混合し、得られた混合粉を800〜1200℃の温度で熱処理する。この熱処理でMgとBから構成されるMgB4化合物が得られる。次に、得られたMgB4化合物を用いて超電導線材を作製する。MgB4化合物を粉砕し、外周部に純Fe、内周部に純Mgが配置されたFe/Mg複合シース管に充填し、線材の直径で0.5〜2.0mmまで伸線加工を行った後、19本に切り分ける。これを再度、Cu管に組み込んで、線材の直径で0.5〜1.2mmまで伸線加工した後、650〜900℃で熱処理することにより超電導線材を得る。
上記の説明では、パイプ状の金属シース材に、粉末を充填して塑性加工を施すPIT法を用いて線材を作製した例としたが、粉末を成形した圧粉成形体をパイプ状の金属シース材に充填し、塑性加工を施すロッド・イン・チューブ法等を採用しても構わない。超電導体と金属シース材が熱的に反応し、Jcが低下するおそれがあるので、超電導体と直接接する金属シース材には、超電導体と反応しない材料を選択するのが好ましい。
線材を縮径するために行う伸線加工には、ドローベンチ,静水圧押出,スエージャー,カセットローラーダイスあるいは溝ロールを用いることができ、1パス当たりの断面減少率が8〜12%程度の伸線加工を繰り返し行う。また、曲げ特性の改善や超電導コア部の高密度化を行うために、上述のように必要に応じて多芯化を行う。多芯化に際しては、一般に、丸断面形状あるいは六角断面形状に伸線加工した線材を多芯用の金属パイプの中に組み込む。
このように作製した線材は、線材長手方向に連続的にMgB2が形成される。その中心部にMgB4が0.1〜3.0μm以下の平均径で残るようにさせてもよい。
図2は、熱処理前後の多芯のMgB2線材の断面変化を表す模式図である。原料粉末として、MgとBを熱処理して合成したMgB4化合物1を用いる。これをボールミル等により粉砕して平均粒径を10μm以下にすると、反応性の点で有効である。MgB4粉末の充填時に生じるFe/Mg管内(外周:Fe管2,内周:Mg管3)の空隙は、これを伸線加工していくにつれ次第に埋められ、粉末同士が密着し、空隙は低下していく。複数の伸線加工した線材をCu管4に再度充填し、超電導フィラメント6を複数有する多芯線を形成する。この多芯線を最終径が直径0.5mmになるまで伸線加工すると、空隙率はおおむね15%前後になる。
伸線加工後、所定の温度で熱処理すると、MgがMgB4側に拡散していき、MgB2超電導体5が形成される。シースのMgが拡散するため、熱処理によりシースの厚みは減少する。したがって、厚み減少分を考慮した断面設計が必要になる。
作製した線材は、目的に応じて2本以上複合させてスパイラル状に巻いたり、リード線状やケーブル線状に成形して利用することができる。上記の方法以外にも、MgBXとマグネシウムを原料として使用し、たとえば、溶射法,ドクターブレード法,ディップコート法,スプレーパイロシス法あるいはジェリーロール法等により超電導体を作製しても、高い超電導特性を得ることができる。
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
平均粒径が45μmのマグネシウム粉末(Mg純度:98%以上)と平均粒径が1μm以下のアモルファス状ホウ素粉末(B純度:95%以上)を用い、MgとBが原子比で1:4となるように秤量し、遊星ボールミルを用いて、アルゴン雰囲気中で3時間混合した。本実施例及び以下の実施例において、混合時に使用した容器とボールの材質は全てZrO2製である。得られた混合粉末を、ニオブ(Nb)シートで作製した容器内につめた後、Nb板で蓋をし、アルゴン雰囲気中において970℃で熱処理することにより、MgB4粉末を作製した。本実施例において、熱処理は0.1〜1Torrの減圧下で行った。X線回折強度からMgB4生成率を算出したところ、約98%であった。熱処理して得られたMgB4粉末を遊星ボールミルにより、アルゴン雰囲気中で30分粉砕した。
これと並行して、外径15mm,内径13mm,長さ600mmの鉄(Fe)パイプと、外径12mm,内径8mm,長さ600mmのマグネシウム(Mg)パイプを組み合わせたFe/Mg複合管を作製した。複合管の片端を封止した後、上述のMgB4粉末を充填した。充填後、片端を封止したFe/Mg複合管を1パス当たりの断面積減少率が8〜12%の範囲内となるように伸線加工を繰り返し、線材の直径で2.0mmまで伸線加工した。加工中に焼鈍などは一切行わなくても全ての線材は無断線で加工することができた。加工した線材を19本に切り分け、それらを、外径14mm,内径11mm,長さ300mmの銅(Cu)パイプに組み込むことにより、多芯(19芯)構造の線材とした。
さらにこれを1パス当たりの断面積減少率が8〜12%の範囲内となるように伸線加工を繰り返し、線材の直径で1.2mmまで伸線加工した。加工した線材は、アルゴン雰囲気中において670℃で熱処理することにより、MgB2超電導線材とした。超電導化熱処理前後の線材をランダムに切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面観察を行ったところ、シース材のMgがMgB4粉末側に拡散し、MgB2が生成されていることがわかった。得られた線材のTcを測定した結果、37〜38Kであった。
断面内の未反応のMgB4の芯部の径を調整し、線材の性能を確認した。670℃の熱処理温度で、時間を増減することにより、MgB4の径を制御した。作製した線材は、MgB4の芯部の径が0(芯なし)、0.2,0.5,1.0,3.0μmの5種類である。径を0にするには50時間,3.0μmにするには5時間が必要であった。
その結果、図3のように断面内に残存する未反応のMgB4の芯部の径(割合)により臨界電流(Ic)が変化することがわかった。すなわち、高磁場領域でのIcを向上させるには、断面内の中心に未反応のMgB4を残存させることが望ましく、これを3.0μm以下にすることがさらに望ましい。さらに好ましくは、1μm以下のnmレベルまで細かくすると一層効果的である。径が3.0μm以上だと、線材断面コアに占めるMgB4の割合が多くなり、結果的に超電導MgB2の割合が少なくなるため超電導性能が低下する。
また、図3のように、MgBXを芯として残すほうがIcの磁場依存性が小さい。残存するMgB4は線材の長手方向に連続的に形成されており、ピンニングセンタとして寄与していた。MgB4の径は3.0μm以下なら有効であるが、MgB4の粒径が細かい場合は、相対的にMgB2の生成量が増加するので、図3のように、MgB2生成量分はIcが高くなる。なお、線材長手方向で連続的につながっていない場合(どこかで芯がゼロの箇所がある場合)には、Icの磁場依存性は芯の径がゼロの場合と同じになり、磁場中でのIcが低くなる。
一方で、MgB4をまったく残存させない場合には、低磁場領域でのIcは高くなるが、高磁場領域ではピンニングセンタがないため、Icの低下が大きいことがわかった。
後述のMgB7あるいはMgB12を用いた場合も同様であって、MgとMgBX(X=4,7,12)を出発原料にし、熱処理を行うことによって、超電導化の熱処理後にMgBX(X=4,7,12)が中央部に芯状に残存し、その周囲にMgB2が生成する断面微細組織にすることで、高いIcが得られるようになる。MgBX(X=4,7,12)は、ピンニングセンタとして寄与し、高磁場領域でのIc特性の向上に寄与していることを明らかにした。さらに、残存するMgBX(X=4,7,12)はnmサイズの粒径が長手方向に連続的につながっている断面にすると、Ic特性の観点で一層効果的である。
本実施例の線材の微細組織を詳細に調査した。その結果、線材の熱処理後の超電導コア部には、未反応のBが一切存在しないことがわかった。従来のマグネシウムとホウ素の混合粉末からMgB2を生成させるin-situ法では、未反応のホウ素が残存していた。MgとBとの距離が離れていて両者が拡散反応できない、あるいはMgの一部がMgOになってしまい、ホウ素と反応してMgB2を生成するだけのMgの供給量が不足する等の理由と推察される。このMgB2超電導線材に残存するBは、電流パスを遮断し、Icの低下を招く要因になるため好ましくない。本実施例では、MgBX(X=4,7,12)を生成する際に未反応Bが残存しない条件で熱処理を実施したため、未反応Bをなくすことが可能であったと思われる。未反応のホウ素が含まれないことは、本実施例の線材のIcが向上した理由のひとつと考えられる。
実施例1に記載した充填粉末をMgB4でなく、MgB7あるいはMgB12を用いた以外は、実施例1と全く同様にして線材を作製した。MgB7あるいはMgB12を中央部に芯状に残存させ、その周囲にMgB2が生成した線材となった。その結果、MgB7あるいはMgB12を原料粉末として使用した場合であっても、超電導線の特性では、ほぼ同様の結果が得られた。
実施例1に記載したMgパイプをマグネシウム−リチウム(Mg−Li)合金パイプに変えた以外は、実施例1と全く同様にして線材を作製した。Icは、Mgパイプを用いた場合に比べて、約20%低下した。具体的には、4.2K,10T中でのIcは、Mgパイプを用いた場合には39Aであったものが、Mg−Li合金パイプを用いた場合には31Aに低下した。理由は、LiとBの化合物が形成されるためである。
しかしながら、多芯線材の加工性は著しく向上した。すなわち、Mgパイプを用いた場合には、線材の直径が0.4mm以下になると断線が頻発しそれ以上の加工ができなくなったが、Mg−Li合金パイプを用いた場合には、それが0.3mmまで加工しても断線が生じることはなかった。
したがって、マグネシウム合金よりなる合金パイプを適用することにより、超電導線材の製造時の加工性が大きく改善可能であった。
Li以外にも、Mgに重量で15%以下のAl,Ag,Au,Sn,Znを含む合金パイプを適用することにより、同様に加工性が改善できる。
本実施例は、マグネシウム,MgB4の他、MgB2を原料粉末に加えて線材を作製した例を説明する。実施例1に記載した充填粉末にMgB2を0〜90%加えた以外は、実施例1と全く同様にして9種類の線材を作製した。表1にそれぞれの線材の4.2K,10T中におけるIc及び断面内の空隙率を示す。空隙率は、線材の横断面を撮像し、超電導体が存在するフィラメント部分を画像解析することで求めた。
Figure 0005401487
Icは、MgB2の添加量が1重量%を超えると増加した。また、空隙率は、MgB2の添加量に伴って減少した。Mg+MgB4→MgB2の反応を考えると、MgB2になるときに比重が増大するため、理論上15%の空隙が生じる計算となる。ここに、MgB2を添加していれば、MgB2は熱処理前後に比重の変化がないことから、相対的に空隙率は小さくなる。しかしながら、表1に示すように、MgB2を初めから多量に添加しておくと、Icはむしろ低下することがわかった。Ic低下は、MgB2の添加量が50重量%を超える領域から生じた。
したがって、Mg+MgB4からMgB2を生成させるほうが良質なMgB2ができていることを示唆している。本実施例より、充填粉末のMgB4に、1重量%以上50重量%以下のMgB2粉を含むことで、空隙率が小さく、かつIcが高いMgB2超電導線材ができるようになることがわかった。
本実施例は、超電導線材の熱処理条件について検討した例である。実施例1と同様にして、19芯を有する多芯化した線材を作製した。その後、超電導化するための熱処理温度を、Mgの融点(650℃)に対して直下あるいは直上にして、かつその温度での保持時間を調整した。なお、熱処理はアルゴン雰囲気で行った。表2に熱処理条件(温度,時間)と、得られた超電導線材の4.2K,10T中でのIcの関係を示す。
Figure 0005401487
Mgの融点である650℃よりも高くすることがMgB2超電導線材のIcを高めるのに有効であり、850℃以下とすることが好ましい。
1 MgBX化合物
2 Feシース
3 マグネシウム
4 Cuシース
5 MgB2超電導体
6 超電導フィラメント

Claims (15)

  1. マグネシウムと、MgBX(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムとを出発原料として用い、前記ホウ化マグネシウムをMgあるいはMg合金よりなるチューブに充填する工程と、熱処理によりMgB2を生成させる工程を有するMgB2超電導線材の製造方法。
  2. 請求項に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記熱処理の工程は、前記MgBX(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムの少なくとも一部を残留させることを特徴とする超電導線材の製造方法。
  3. 請求項1に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記出発原料としてMgB2を含むことを特徴とする超電導線材の製造方法。
  4. 請求項に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記出発原料に含まれるMgB2は、1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする超電導線材の製造方法。
  5. 請求項1に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記熱処理の工程は、650℃以上の温度で行われることを特徴とする超電導線材の製造方法。
  6. 請求項に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記充填する工程の後であって、熱処理の工程の前に、線材を伸線加工する工程を有することを特徴とする超電導線材の製造方法。
  7. 請求項に記載のMgB2超電導線材の製造方法であって、
    前記充填する工程の後であって、熱処理の工程の前に、線材をシース材に組み込んで多芯化する工程を有することを特徴とする超電導線材の製造方法。
  8. MgB2超電導線材であって、
    線材の断面の少なくとも一部にMgBX(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムを有し、前記MgBXで表されるホウ化マグネシウム部分の周囲にMgB2を有することを特徴とするMgB2超電導線材。
  9. 請求項に記載されたMgB2超電導線材であって、
    前記MgBXで表されるホウ化マグネシウム部分及び前記MgB2部分が線材の長手方向に連続的につながっていることを特徴とするMgB2超電導線材。
  10. 請求項に記載されたMgB2超電導線材であって、
    ホウ素単体を含まないことを特徴とするMgB2超電導線材。
  11. 請求項に記載されたMgB2超電導線材であって、
    前記MgB2部分の周囲にシース材を有することを特徴とするMgB2超電導線材。
  12. 請求項11に記載されたMgB2超電導線材であって、
    一のシース材中に、複数の超電導フィラメントを有することを特徴とするMgB2超電導線材。
  13. MgBx(X=4,7,12)で表されるホウ化マグネシウムと、
    前記ホウ化マグネシウムの外側に設けられたMgB 2 と、
    前記MgB 2 の外側に設けられたMgと、
    前記Mgの外側に設けられた金属シースと、を有する積層構造で構成するMgB 2 超電導線材。
  14. 請求項13に記載されたMgB 2 超電導線材であって、
    前記金属シースは、Mgと異なる金属からなるシースであるMgB 2 超電導線材。
  15. 請求項13に記載されたMgB 2 超電導線材であって、
    前記金属シースは、FeシースであるMgB 2 超電導線材。
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