JP5292501B2 - 複筒型緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、複筒型緩衝器の改良に関する。
この種、複筒型緩衝器としては、たとえば、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒とを備えて構成されるものが知られている。
そして、複筒型緩衝器にあっては、伸長作動時にシリンダからピストンに連結されるロッドが退出するため、このロッド退出体積分の作動油をリザーバからシリンダ内へ供給する必要があり、このリザーバからの作動油供給時において、リザーバ内の気体を巻き込んだ作動油がシリンダ内に供給されたり、シリンダ内が減圧されて作動油中に気泡が発生したりする場合がある。
このようにしてシリンダ内に混入した気泡は、減衰特性(ピストン速度に対する発生減衰力の性質)の立ち上がり不良や減衰力低下といった複筒型緩衝器にとって好ましくない現象を引起すため、速やかにリザーバへ排出することが好ましいが、特に、水平横置きに設置される複筒型緩衝器では、作動油中の気泡がシリンダの上方に溜まり排出され難くなるので、このような複筒型緩衝器の場合、シリンダの側部にシリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスを設け、このオリフィスを介してシリンダ内に侵入した気泡を速やかにリザーバへ排出するようにしている。(たとえば、特許文献1,2参照)。
特開平11−63073号公報 特開平11−344068号公報
この従来の複筒型緩衝器に設けられるエア抜き用のオリフィスは、複筒型緩衝器の伸縮動作時には、シリンダからリザーバへの作動油排出や、リザーバからシリンダへの作動油供給に際して、作動油の通過を許容するとともに当該作動油の流れに抵抗を与えるため、減衰力発生要素としても機能することになる。
したがって、上記オリフィスの流路面積によって、複筒型緩衝器の発生減衰力をチューニングすることが可能であるが、上述の通り、オリフィスはシリンダの側部に直接に設けられているので、チューニングに際してはシリンダ交換を行う必要があって不経済であり、さらに、流路面積を極小さく設定したい場合にあっても、穴あけ加工では限度があるとともに、ドリル径単位でしか流路面積を設定できないので、オリフィスの流路面積を希望通りに設定できない場合がある。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、オリフィスの流路面積を希望通りに設定でき、減衰力のチューニングも経済的に行うことが可能な複筒型緩衝器を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の一つの手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートは、内径が少なくともシリンダ端外径より小さく設定されるとともに、外径がシリンダ端外径より大きく設定されてなり、切欠は、環状プレートの内周から外周に向けて形成されることを特徴とする。
同じく、他の手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートは、内径が少なくともシリンダ端内径より小さく設定されるとともに、外径がシリンダ端内径より大きく設定されてなり、切欠は、環状プレートの外周から内周に向けて形成されることを特徴とする。
同じく、他の手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートに形成される切欠のうちシリンダ端部によって閉塞されない部分の面積が切欠幅と環状プレートの肉厚との積より大きく設定されることを特徴とする。
本発明の複筒型緩衝器によれば、オリフィスがシリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成されるので、シリンダに直接オリフィスを設ける必要が無く、オリフィスの流路面積の設定も切欠の幅、長さ、環状プレートの肉厚、切欠の設置数によって微細に行うことができ、設計自由度が向上してオリフィスの流路面積を設計者が希望する通りに設定することができる。さらには、発生減衰力のチューニングに際して、環状プレートの交換のみで行うことができ、シリンダ交換を強いられていた従来の複筒型緩衝器に比較して経済的となる。
加えて、シリンダと閉塞部材との間に介装される環状プレートにオリフィスとして機能する切欠を設ける構造であるため、シリンダと閉塞部材との間をシールするシール部材の設置が不要となり、部品点数と加工工数が削減され、複筒型緩衝器の製造コストが低減される。
一実施の形態における複筒型緩衝器の縦断面図である。 一実施の形態の一変形例における複筒型緩衝器の一部の縦断面図である。 一実施の形態における複筒型緩衝器の環状プレートの斜視図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における複筒型緩衝器の縦断面図である。図2は、一実施の形態の一変形例における複筒型緩衝器の一部の縦断面図である。図3は、一実施の形態における複筒型緩衝器の環状プレートの斜視図である。
一実施の形態における複筒型緩衝器Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2と、シリンダ1の外周側に配置されシリンダ1との間にリザーバRを形成する外筒3と、シリンダ1の端部を閉塞する閉塞部材たるロッドガイド4と、シリンダ1とロッドガイド4との間に介装されてシリンダ1内とリザーバRとを連通する切欠5aでオリフィスを形成する環状プレート5と、を備えて構成されている。
そして、ピストン2は、シリンダ1内を作動油等の液体が充填される伸側室R1と圧側室R2とに区画し、同じくシリンダ1内に移動自在に挿入されるロッド6の一端に連結されている。さらに、リザーバR内には、液体が気体Gとともに充填されている。
また、この複筒型緩衝器Dの場合、水平横置きのユニフロー型に設定されており、伸側室R1からリザーバRへ向かう液体の流れのみを許容する排出通路7と、リザーバRから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する供給通路8と、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する圧側通路9とを備えている。
そして、この複筒型緩衝器Dにあっては、伸長行程時においては伸側室R1の圧縮に伴って排出通路7を介して液体を伸側室R1からリザーバRへ排出するとともに、拡大する圧側室R2には供給通路8を介してリザーバRから液体が供給され、反対に、収縮行程時には、排出通路7を介してシリンダ1内で過剰となるロッド侵入体積分の液体をシリンダ1内からリザーバRへ排出するとともに、圧側通路9を通じて拡大される伸側室R1へ圧縮される圧側室R2から液体が供給され、伸縮のどちらの行程においても、液体の流れが常に排出通路7を介してシリンダ1からリザーバRへの一方通行となるようになっており、この一方通行の液体の流れに対して排出通路7の途中に設けた減衰バルブ10で抵抗を与えて伸縮両行程における減衰力を発生するようになっている。
以下、各部について詳細に説明すると、シリンダ1は筒状に形成され、その左端は、排出通路7の一部を形成するロッドガイド4によって閉塞されるとともに、右端は、供給通路8が設けられるバルブディスク11によって閉塞されて、内部には液体が充填される。なお、液体は、作動油のほか、水、水溶液、電気粘性流体、磁気粘性流体等、緩衝器に適用可能なものを採用することが可能である。
そして、シリンダ1内は、摺動自在に挿入されるピストン2によって伸側室R1と圧側室R2とに区画されており、ピストン2はロッド6の右端に連結され、当該ロッド6は、閉塞部材であるロッドガイド4に摺動自在に軸支されている。
また、シリンダ1の外方にはシリンダ1を覆いシリンダ1との間にリザーバRを形成する外筒3が設けられており、外筒3の図1中左端内周に上記ロッドガイド4が嵌合されるとともに右端はロアキャップ12が接合され、外筒3内は密封状態とされている。
ピストン2は、伸側室R1と圧側室R2とを連通するポート9aを備えており、当該ポート9aは、ピストン2の左端に配置されるチェックバルブ9bによって開閉されるようになっている。このチェックバルブ9bは、符示しないバネによって附勢されており、圧側室R2から伸側室R1へ液体が移動する場合には、液体によって押されて上記バネが縮んでピストン2から後退してポート9aを開放するが、逆に、伸側室R1から圧側室R2へ液体が移動しようとする流れに対してはポート9aを閉じたままとして当該流れを阻止する。すなわち、この実施の形態の場合、圧側通路9は、上記ポート9aおよびチェックバルブ9bとで構成されている。なお、圧側通路9はピストン2に設けられているが、ピストン2を迂回して圧側室R2から伸側室R1へ向かう流れを許容するようにしてもよい。
そして、ロッド6を軸支するロッドガイド4は、筒状であって、図1中右端中央に設けた凹部4aと、右端から開口して凹部4aに連通される孔4bと、内周側に設けられてロッド6との間に所定隙間を形成する溝4cと、溝4cの底部から開口するとともに凹部4aに連通される弁孔4dとを備えて構成されている。
また、凹部4aは、シリンダ1が嵌合される開口部13と、シリンダ外径より大きな内径を持つ内方部14とを備え、シリンダ1の図1中左端が挿入されるようになっている。さらに、孔4bおよび弁孔4dは内方部14に連通され、凹部4aは孔4bを介してリザーバRに連通され、溝4c、弁孔4d、内方部14および孔4bで排出通路7を構成している。
なお、この実施の形態の場合、上記孔4bには、リザーバR内に収容されるパイプ15が挿入固定され、パイプ15を通過した液体がリザーバRの右端側に排出されるようになっており、リザーバRの右端を仕切るバルブディスク11およびロアキャップ12に液体の流れを直接あてることによってリザーバR内の気体巻き込みを抑制するようにしている。
さらに、ロッドガイド4の図1中左端内周には、ロッド6の外周に摺接してロッド6の外周をシールするOリング16およびシール部材17が設けられ、シリンダ1内が密封状態とされている。
また、上記弁孔4d内には、上述の減衰バルブ10が設けられており、この減衰バルブ10は、複筒型緩衝器Dの伸縮行程時に、弁孔4dを通過する液体の流れに抵抗を与えて複筒型緩衝器Dに減衰力を発揮させるものである。
そして、この複筒型緩衝器Dの場合、上記したロッドガイド4と凹部4a内に挿入されるシリンダ1の図1中左端との間には、環状プレート5が介装されており、この環状プレート5は、内径が少なくともシリンダ端外径(シリンダ1の端部外径)より小さく設定されるとともに、外径がシリンダ端外径より大きく設定されている。具体的には、環状プレート5の内径はシリンダ端内径(シリンダ1の端部内径)と同径に設定されている。この実施の形態の場合、具体的には、環状プレート5は、その外径が凹部4aの内方部14の内径と略同じに設定され、凹部4aに載置されると径方向への移動が凹部4aによって規制されて位置決めされるようになっており、また、その内径がシリンダ端内径以下に設定されることによってシリンダ1から受ける図1中左右方向となる軸方向の接触面圧力が不必要に大きくなることが無いようになっている。
さらに、この環状プレート5は、図1および図2に示すように、その内周から外周に向けて形成される切欠5aを備えており、この切欠5aは、シリンダ1の端部によって全体が閉塞されてしまわないよう、終端eがシリンダ端の外周より外側に位置するようになっている。
したがって、切欠5aは、シリンダ1内とシリンダ1の外方であってリザーバRに連通される凹部4aの内方部14内とを連通しており、この切欠5aでシリンダ1内とリザーバRとを連通するオリフィスを形成している。
なお、環状プレート5の内径をシリンダ端内径以上シリンダ端外径未満に設定する場合には、オリフィスを形成しつつ図1中上下方向幅を小さくすることができるため、材料費の点で経済的となる。
また、図2に示すように、環状プレート5の内径をシリンダ端内径より小さく設定するとともに、環状プレート5の外径をシリンダ端内径より大きく設定してオリフィスを形成する切欠を環状プレート5の外周から内周に向けて設けられるようにしても良い。この場合は、環状プレート5の外径をシリンダ端内径より大きくシリンダ端外径以下に設定することで、オリフィスを形成しつつ図2中上下方向幅が小さくすることができるため、材料費の点で経済的であり、外径をシリンダ端の外径以上に設定すると、シリンダ1から受ける図2中左右方向となる軸方向の接触面圧力が不必要に大きくなることが無い。なお、この図2に示す場合にはっては、環状プレート5の径方向への位置決めに際しては、ロッドガイド4の図2中右端に環状プレート5の内周に嵌合する嵌合凸部4eを設けておけば良い。
このように、本実施の形態の複筒型緩衝器Dにあっては、オリフィスがシリンダ1とシリンダ1の端部を閉塞する閉塞部材たるロッドガイド4との間に介装される環状プレート5に設けた切欠5aによって形成されるので、シリンダ1に直接オリフィスを設ける必要が無く、図3に示すように、オリフィスの流路面積の設定も切欠5aの幅、終端eの位置、環状プレート5の肉厚、切欠5aの設置数によって微細に行うことができ、設計自由度が向上してオリフィスの流路面積を設計者が希望する通りに設定することができる。
さらに、本実施の形態の複筒型緩衝器Dにあっては、オリフィスがシリンダ1とシリンダ1の端部を閉塞する閉塞部材たるロッドガイド4との間に介装される環状プレート5に設けた切欠5aによって形成されるので、発生減衰力のチューニングに際しては、環状プレート5の交換のみで行うことができ、シリンダ交換を強いられていた従来の複筒型緩衝器に比較して経済的となる。
また、シリンダ1と閉塞部材たるロッドガイド4との間に介装される環状プレート5にオリフィスとして機能する切欠5aを設ける構造であるため、シリンダ1とロッドガイド4との間をシールするシール部材の設置が不要となり、部品点数と加工工数が削減され、複筒型緩衝器Dの製造コストが低減される。
また、この実施の形態の場合、切欠5aのうちシリンダ1の端部によって閉塞されない部分の面積S(図3中斜線部分)が、切欠幅wと環状プレート5の肉厚tとの積w・tより大きく設定されている。つまり、S>w・tが成り立つように設定されている。
すなわち、この切欠5aによって形成されるオリフィスにおける抵抗を決定する流路面積は、オリフィス全体の流路中で面積が最小となる積w・tであり、このように設定することによって切欠5aの長さに誤差があっても、オリフィスにおける抵抗に影響が無いようになっている。したがって、上記S>w・tが成立するように設定しておけば、環状プレート5に切欠5aを形成する際に高い加工精度を求められることがなく、オリフィスにおける流路面積を狙い通りに設定することが可能である。この場合、当該流路面積は、切欠5aの終端eの位置(切欠長さ)には依存せず、切欠5aの切欠幅w、環状プレート5の肉厚tおよび切欠5aの設置数によって設定されることになる。
なお、この実施の形態の複筒型緩衝器Dは、水平横置きに設定されており、切欠5aで形成されるオリフィスはシリンダ1内のエア抜き用途でも使用されるため、複筒型緩衝器Dの適用箇所への設置時に環状プレート5の切欠5aが上方に配置されるようになっている。
また、この実施の形態にあっては、オリフィスとして機能する切欠5aは、環状プレート5に一つのみしか設けられていないが、複筒型緩衝器Dにおける減衰力に応じて切欠5aの設置数は任意である。
つづいて、バルブディスク11は、シリンダ1の内径より大径の本体11aと、シリンダ1の図1中右端に嵌合する筒状凸部11bと、本体11aを左右に貫くポート11cと、本体11aのリザーバRに臨む部位から開口してポート11cに連通される連通路11dとを備えて構成されている。そして、バルブディスク11は、外筒3の下端に固定されるロアキャップ12の凹部12aに本体11aを嵌合するとともに、外筒3の図1中左端内周に螺合されるナット18でロッドガイド4を図1中右方へ締め付けることで、シリンダ1およびロッドガイド4とともに外筒3に固定される。
そして、バルブディスク11における本体11aの図1中左端には、ポート11cを開閉するチェックバルブ19が配置されており、このチェックバルブ19によってポート11cが開閉されるようになっている。このチェックバルブ19は、符示しないバネによって附勢されており、リザーバRから圧側室R2へ液体が移動する場合には、液体によって押されて上記バネが縮んでバルブディスク11の本体11aから後退してポート11cを開放するが、逆に、圧側室R2からリザーバRへ液体が移動しようとする流れに対してはポート11cを閉じたままとして当該流れを阻止する。すなわち、この実施の形態の場合、供給通路8は、上記ポート11cおよびチェックバルブ19とで構成されている。
なお、連通路11dのリザーバR側の開口端には、リザーバRの図1中左右方向の中央付近まで延びる液体吸込用のパイプ20が取付けられており、当該パイプ20がロッドガイド4における孔4bに取付けられたパイプ15と干渉しないよう、連通路11dのリザーバR側の開口端とロッドガイド4における孔4bとは互いに周方向にずれた位置から開口されるようになっている。
このように、管端がリザーバRの中央付近となるように設定された液体吸込用のパイプ20を設けることで、複筒型緩衝器Dに振動が入力された折に、液面Fが図1中左右に傾斜してもリザーバR内の気体Gを吸込む危険を最小限に留めることができるのである。
つづいて、このように構成された複筒型緩衝器Dにあっては、伸長する場合、ピストン2がシリンダ1に対して図1中左方へ移動するので、伸側室R1の容積が減少するので減少容積見合いの液体が押し出され、当該液体は、弁孔4d内の減衰バルブ10を押し開いて当該弁孔4d、凹部4a、孔4bおよびパイプ15を介して伸側室R1からリザーバRへ排出されるとともに、上記した切欠5aを介しても伸側室R1からリザーバRへ排出されることになる。
また、ピストン2がシリンダ1に対して図1中左方へ移動によって容積が拡大される圧側室R2へは、供給通路8を介してリザーバRから拡大容積見合いの液体が供給される。
反対に、複筒型緩衝器Dが収縮する場合、ピストン2がシリンダ1に対して図1中右方へ移動するので、圧側室R2の容積が減少するので減少容積見合いの液体が押し出され、当該液体は、圧側通路9を介して圧側室R2から伸側室R1へ移動するとともに、ロッド6がシリンダ1内に侵入する体積分の液体がシリンダ1内で過剰となるため、この過剰分の液体が弁孔4d内の減衰バルブ10を押し開いて当該弁孔4d、凹部4a、孔4bおよびパイプ15を介して伸側室R1からリザーバRへ排出されるとともに、上記した切欠5aを介しても伸側室R1からリザーバRへ排出されることになる。
そして、上記切欠5aで形成されるオリフィスは、複筒型緩衝器Dの伸縮時において液体の流れに抵抗を与えることになるので減衰力発生要素として機能するとともに、伸縮作動を繰り返すことにより、シリンダ1内の液体中に気泡が出現するような事態が生じても、当該気泡をリザーバRへ排出することができ、エア抜き用の孔としても機能することになる。
すなわち、この複筒型緩衝器Dによれば、従来通り減衰力発生要素およびエア抜きとしての機能するオリフィスをシリンダ1とシリンダ1の端部を閉塞する閉塞部材たるロッドガイド4との間に介装される環状プレート5に設けた切欠5aによって形成することで簡単に設置できるとともに、オリフィスの流路面積を希望通りに設定でき、減衰力のチューニングも経済的に行うことができるのである。
なお、上述した実施の形態においては、ロッドガイド4とシリンダ1との間に環状プレート5を介装しているが、バルブディスク11とシリンダ1との間にオリフィスを形成する切欠を備えた環状プレートを介装することも可能であり、この場合には、バルブディスク11が閉塞部材として機能することになる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
1 シリンダ
2 ピストン
3 外筒
4 閉塞部材たるロッドガイド
4a ロッドガイドにおける凹部
4b ロッドガイドにおける孔
4c ロッドガイドにおける溝
4d ロッドガイドにおける弁孔
4e ロッドガイドにおける嵌合凸部
5 環状プレート
5a 環状プレートにおける切欠
6 ロッド
7 排出通路
8 供給通路
9 圧側通路
9a,11c ポート
9b,19 チェックバルブ
10 減衰バルブ
11 バルブディスク
11a バルブディスクにおける本体
11b バルブディスクにおける筒状凸部
11d バルブディスクにおける連通路
12 ロアキャップ
12a ロアキャップにおける凹部
13 凹部における開口部
14 凹部における内方部
15,20 パイプ
16 Oリング
17 シール部材
18 ナット
D 複筒型緩衝器
e 切欠の終端
F リザーバ内の液体の液面
G 気室
R リザーバ
R1 伸側室
R2 圧側室

Claims (3)

  1. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
    オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートは、内径が少なくともシリンダ端外径より小さく設定されるとともに、外径がシリンダ端外径より大きく設定されてなり、切欠は、環状プレートの内周から外周に向けて形成されることを特徴とする複筒型緩衝器。
  2. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
    オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートは、内径が少なくともシリンダ端内径より小さく設定されるとともに、外径がシリンダ端内径より大きく設定されてなり、切欠は、環状プレートの外周から内周に向けて形成されることを特徴とする複筒型緩衝器。
  3. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの外周側に配置されシリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、シリンダ内とリザーバとを連通するオリフィスとを備えた複筒型緩衝器において、
    オリフィスは、シリンダとシリンダの端部を閉塞する閉塞部材との間に介装される環状プレートに設けた切欠によって形成され、環状プレートに形成される切欠のうちシリンダ端部によって閉塞されない部分の面積が切欠幅と環状プレートの肉厚との積より大きく設定されることを特徴とする複筒型緩衝器。
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