JP5290826B2 - 多孔質銅焼結膜の製造方法、及び多孔質銅焼結膜 - Google Patents

多孔質銅焼結膜の製造方法、及び多孔質銅焼結膜 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質銅焼結膜製造法、及び該製造法等により得られる多孔質銅焼結膜に関する。
多孔質銅焼結膜等の低抵抗透明導電膜は、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL(OEL);Organic Electro-Luminescence)等のフラットパネルディスプレイ(FPD;Flat Panel Display)用透明導電膜として利用することができる。
液晶表示素子、EL表示素子等の表示素子類の電極として、光透過性を有する導電性材料が使用されている。このような光透過性の導電性材料として、酸化インジウム−酸化錫系(ITO)、酸化アンチモン−酸化錫系(ATO)等が知られており、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学蒸着;Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法等により、ガラス等の基板に付着させて製造されている。
ディップコーティング法によりITO透明導電膜を製造する際に基板への塗布液として有機溶媒に金属の有機酸塩を溶解させたもの広く使用されている。また、ディップコーティング法による酸化インジウム膜の形成方法として、塩化インジウムに塩化スズを5mol%程度添加して水溶液等に溶解したものを使用する方法も公知であるが、塩化インジウムを使用すると、形成された膜が白濁するおそれがある。この白濁防止のために、スプレー溶液にフッ化水素酸を添加してフッ化インジウム系膜を形成する方法(特許文献1)や、無機塩として硝酸インジウムを用いる方法(特許文献2、特許文献3)が開示されている。
上記の特許文献3では、膜の導電性を向上させるために塩化第二スズ以外の有機スズ化合物を用いている。また、下記特許文献4には、インジウムの無機塩含む溶液に有機アミノシランエステルを添加する方法が開示されているが、該方法では、原料のアミノシランエステルに含まれる珪素が最終的に二酸化珪素として大量に残存して、体積抵抗率は非常に大きい値となる。
特開昭51−75991号公報 特開昭55−51737号公報 特開昭63−9018号公報 特開平6−96687号公報
前記ディップコーティング法、及びスピンコーティング法等の塗布法は、平滑性の高い高品質の透明導電膜を与えて大面積化に対応が可能である。これらの方法で酸化インジウム膜を形成する場合、その形成用原料として主に用いられる硝酸インジウムは、蒸発しにくい利点を有するが、熱分解温度が高いので、優れた導電性が得られない問題点がある。例えば、特許文献2に記載された硝酸インジウムを原料とする方法では、1回の塗布の膜厚が最低で40nmの膜を数回塗布して抵抗を小さくすることが開示されているが、体積抵抗率は4.5×10−2Ω・cm程度と大きい。従って、ITO膜の低抵抗化が求められている。それには焼結温度を上げ、膜厚を厚くする必要がある。しかし、焼成温度を上げると基板の選択が限定され、一方、膜厚を厚くすると透明性が損なわれるという問題がある。また、透明導電膜には資源の少ないインジウムを用いたITO膜が主に用いられており資源枯渇の問題が存在する。
従来の透明導電膜に使用される材料では、低温加熱では焼結後の電気抵抗(シート抵抗)が数kΩ/□と大きく、また、電気抵抗が小さいものを得ようとすると焼結の際に高温加熱(例えば、300℃程度以上)が必要なため、LCD、有機EL等のフラットパネルディスプレイの分野における透明導電膜の形成には使用できないという問題がある。そのため、低温で焼結でき、低抵抗値を有する透明導電膜及びその製造法が求められている。
本発明の目的は、インジウムを原料とするITO膜を使用することなく、焼結温度を低くすることが可能であり、かつ、焼結後の電気抵抗(シート抵抗)が小さい薄膜状透明導電性膜の製造法及び得られた低抵抗透明導電膜を提供することにある。
本発明者らは、上記事情に鑑み、ナノサイズ(1μm以下)の銅微粒子分散溶液を種々の条件下で加熱処理により焼結を行ってきた結果、銅微粒子が分散された分散溶液を基材に塗布後、急速加熱することにより電気抵抗が低く、光透過性の高い多孔質銅薄膜の製造法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(17)に記載する発明を要旨とする。
(1)一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子が2〜70質量%の濃度となるように分散溶媒(S)に分散させた銅微粒子分散溶液(L)を基材に塗布し、次に該銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を、160〜500℃の温度範囲内で、かつ分散溶媒(S)の沸点以上の焼成温度に予め加熱された不活性ガス雰囲気中の炉内に挿入して急速加熱することにより銅微粒子を焼結して、空隙率が40〜70%である焼結膜を基材上に形成することを特徴とする、多孔質銅焼結膜の製造方法(以下、第1の態様ということがある)。
(2)前記銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を不活性ガス雰囲気下にある容器内に収納して、前記加熱された炉内に挿入することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(3)前記不活性ガスが窒素ガス又はアルゴンガスであり、容器がガラス製容器であることを特徴とする、前記(2)に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(4)基材上の塗布液の厚みが、1μm〜3mmの範囲であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(5)多孔質銅焼結膜の波長460nmの光の膜厚方向への光透過率が30%以上であることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(6)多孔質銅焼結膜のシート抵抗値が0.01〜5Ω/□であることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(7)前記銅微粒子分散溶液(L)が銅微粒子の表面の少なくとも一部が炭素、水素、酸素、及び窒素原子からなる化合物から選択された分散剤(高分子化合物を含む)で覆われて、沸点が60℃以上400℃以下の分散溶媒(混合溶媒を含む)(S)に分散されていることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(8)前記分散溶媒(S)が、分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)からなる有機溶媒(S1)、又は分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)20〜40体積%、並びにアミド基を有する有機溶媒(B)60〜80体積%を含む混合溶媒(S2)である、前記(1)ないし(7)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(9)前記有機溶媒(A)がエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、及びヘキシトールの中から選択される1種又は2種以上である、前記(8)に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(10)前記有機溶媒(B)がN−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上である、前記(8)に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
(11)一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子を焼結させて得られた、空隙率が40〜70%、波長460nmの光の膜厚方向への光透過率が30%以上、かつシート抵抗値が0.01〜5Ω/□であることを特徴とする多孔質銅焼結膜(以下、第2の態様ということがある)。
(12)一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子が分散している銅微粒子分散溶液(L)を基材上に塗布後、160〜500℃に加熱された炉内で不活性ガス雰囲気下に焼結して得られる、前記(11)に記載の多孔質銅焼結膜。
(13)波長460nmの光の膜厚方向への透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が0.01〜5Ω/□である前記(11)又は(12)に記載の多孔質銅焼結膜。
(14)焼結膜の密度が、1.5〜5.5g/cmの範囲である前記(11)ないし(13)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜。
(15)焼結膜の厚みが、50nm〜10μmの範囲である前記(11)ないし(14)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜。
(16)フラットパネルディスプレイ(FPD)用透明導電膜に用いられる前記(11)ないし(15)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜。
(17)前記焼結膜が、銅微粒子と透明性粒子との混合物により形成されていることを特徴とする前記(11)ないし〜(16)のいずれか1に記載の多孔質銅焼結膜。
本発明の多孔質銅焼結膜の製造方法によれば、ナノ粒子から空隙率が極めて高い多孔質銅焼結膜を製造することが可能である。本発明の多孔質銅焼結膜は、公知の多孔質銅焼結膜よりは空隙率が極めて高い、光の透過性と導電性に優れた焼結膜であり、LCD、有機EL等のフラットパネルディスプレイの分野における光透過性の導電膜として使用可能である。
また、銅は銀に比べて、可視光領域(波長380〜750nm程度)において、白色光(460nm付近)の反射率が低く、より効率よく光を透過することができる。
本発明の多孔質銅焼結膜の1例である、実施例3で得られた多孔質銅焼結膜の走査電子顕微鏡(SEM)写真を斜視図として図1に示す。 従来技術の多孔質銅焼結膜の1例である比較例1で得られた多孔質銅焼結膜の走査電子顕微鏡(SEM)写真を斜視図として図2に示す。 本発明の多孔質銅焼結膜の1例である、実施例6で得られた多孔質銅焼結膜の走査電子顕微鏡(SEM)写真を斜視図として図3に示す。 本発明の多孔質銅焼結膜の1例である、実施例8で得られた多孔質銅焼結膜の概念図として図4に示す。
〔1〕第1の態様である「多孔質銅焼結膜の製造方法」について
第1の態様である「多孔質銅焼結膜の製造方法」は、一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子が2〜70質量%の濃度となるように分散溶媒(S)に分散させた銅微粒子分散溶液(L)を基材に塗布し、次に該銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を、160〜500℃の温度範囲内で、かつ分散溶媒(S)の沸点以上の焼成温度に予め加熱された不活性ガス雰囲気中の炉内に挿入して急速加熱することにより銅微粒子を焼結して、空隙率が40〜70%である焼結膜を基材上に形成することを特徴とする。
以下、本発明の多孔質銅焼結膜の製造方法について説明する。
(1)銅微粒子分散溶液(L)
(i)銅微粒子の製造
銅微粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの微粒子(P)が形成できれば電解還元と無電解還元のいずれをも採用することができ、
該電解還元と無電解還元方法は、公知の方法を採用することができる。この場合銅イオンは、液相還元されて分散剤(D)で覆われた銅微粒子として水溶液中に分散して存在する。
使用可能な銅イオンとして、一価又は二価の銅イオンを形成する水酸化銅、硝酸銅、亜硝酸塩、酢酸銅、蟻酸銅、アンモニウム塩、クエン酸銅、しゅう酸銅、グルコン酸銅、硝酸銅、蟻酸銅、安息香酸銅、酒石酸銅、酸化銅、オレイン酸銅、アセチルアセトン銅から選択された1種又は2種以上の使用が好ましく、実用上、酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)の使用が特に望ましい。還元反応溶液中の好ましい銅イオン濃度は、0.01〜4.0モル/リットルである。銅イオン濃度が0.01モル/リットル未満では、銅粒子の生成量が低減し反応相からの銅微粒子の収率が低下するという不都合を生じ、4.0モル/リットルを超えると生成される粒子間での粗大な凝集がおこるおそれがある。よリ好ましい銅イオン濃度は、0.05〜0.5モル/リットルである。
電解還元の場合には、例えば、金属イオンを含む水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることによりカソード付近に、後述する分散剤(D)でその表面が覆われた銅微粒子を形成することができる。無電解還元は、例えば、分散剤(D)と金属イオンとを含む水溶液中に還元剤を添加して還元反応を行い、分散剤(D)でその表面が覆われた銅微粒子を形成することができる。
還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン等が挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。尚、液相還元水溶液には、反応溶媒として水以外の親水性溶液を配合してもよい。
(ii)銅微粒子の平均粒径
微粒子(P)の一次粒子の平均粒径の制御は、例えば還元反応により微粒子(P)を形成する場合には、還元反応に使用する金属イオン、分散剤(D)、還元剤の種類と配合濃度の調整、及び金属イオンを還元反応させる際の、かく拌速度、温度、時間、pH等の調整により行うことが可能である。
上記した電解還元により得られる銅微粒子は、粒子径が1〜500nm程度の範囲にあり、その形状は凝集性の少ない微粒子である。
ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する個々の金属等の微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子の直径は、透過電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。
(iii)分散剤(D)
本発明において、還元反応により銅微粒子を形成する際に、分散剤を使用する。
分散剤は、水に対して溶解性を有していると共に、反応系中で析出した銅微粒子の表面を覆うように存在して、銅微粒子の凝集を防止して分散性を良好に維持する作用を有する。
分散剤の添加量は、還元反応水溶液から生成する銅微粒子の濃度にもよるが、該銅原子100重量部に対して、0.1〜500重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましい。分散剤の添加量が前記0.1未満では凝集を抑制する効果が十分に得られない場合があり、一方、前記500重量部を超える場合には、分散上に支障がなくとも、微粒子分散水溶液を塗布後、乾燥・焼成時に、過剰の分散剤が、銅微粒子の焼結を阻害して、膜質の緻密さを低下する場合があると共に、分散剤の焼成残渣が、金属被膜中に残存して、導電性を低下するおそれがある。
本発明の分散剤は上記作用を有し、かつ水溶液中で上記作用を奏するものであれば、特に制限されるものではない。
分散剤としては、その化学構造にもよるが分子量が100〜100,000程度の、水に対して溶解性を有し、かつ水溶液で銅イオンから還元反応で析出した銅微粒子を良好に分散させることが可能なもので、かつ炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から選択された2種以上の原子からなる化合物(高分子化合物も含む)の分散剤が好ましい。
上記分散剤として好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子;ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子;ポリアクリルアミド等のアクリルアミド;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
上記例示した分散剤化合物の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
前記液相還元は、分散剤(D)が溶解している水溶液中で、電解還元又は還元剤を使用した無電解還元による銅イオンの還元であることが好ましい。尚、上記電解還元又は還元剤を使用した無電解還元は公知の技術を採用することが出来る。
ここで、本発明における「分散剤(D)が溶解している水溶液中」とは、分散剤(D)を予め溶解した反応系中に、金属イオンと還元剤とを添加してもよく、分散剤(D)、金属イオン、及び還元剤をそれぞれ別の容器で水溶液に溶解させ、更に他の反応容器にそれぞれを添加して還元反応を行ってもよい。本発明における分散剤(D)は銅微粒子の分散安定性を向上させ、銅微粒子生成の収率を向上する効果があるので、銅微粒子が形成される際、又は直後に反応系に存在していることが好ましい。
(iv)銅微粒子の回収
上記還元反応終了後に、反応水溶液中に凝集促進剤(F)を添加して分散剤(D)の分散作用を減じ、粗微粒子を該水溶液中で沈殿させると共に必要により水、又はアルコール溶液等で洗浄して回収、又は粗微粒子を該水溶液中で沈殿させて回収後に必要により水、又はアルコール溶液等で洗浄して、その表面が分散剤(D)で覆われた銅微粒子を得ることが出来る。以下に、前記した凝集促進剤(F)について説明する。
このような凝集促進剤(F)として、酸化性物質又はハロゲン化合物を使用することができる。
前記酸化性物質としては、酸素ガス、過酸化水素、硝酸等が例示できる。
前記ハロゲン化合物としては、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1−ジクロルエチレン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、四塩化アセチレン、エチレンクロロヒドリン、1,2−ジクロルプロパン、塩化アリル、クロロプレン、クロルベンゼン、塩化ベンジル、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、α−クロルナフタリン、β−クロルナフタリン、ブロモホルム、及びブロムベンゼンの中から選択される1種又は2種以上が例示できる。このような凝集促進剤(F)を使用することにより、還元反応水溶液から銅微粒子を効率よく分離、回収することができる。
前記回収操作は遠心分離等の操作によりろ過して回収される。液相還元で還元剤を使用した場合等、不純物を除去する必要がある場合には、分散剤(D)が完全に除去されないような条件で、水又はアルコールによる洗浄を行い、不純物を除去して分散剤(D)でその表面が覆われた銅微粒子を得ることができる。
(v)銅微粒子の再分散
銅微粒子分散溶液(L)(以下、「分散溶液(L)」ということがある)は、上記した製造方法等により得られる、一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子を分散溶媒(S)に分散させて、その濃度が2〜70質量%となる分散溶液(L)を得る。
尚、銅微粒子濃度が2質量%未満では、急速加熱による焼結の機械的強度が低くなるという不都合を生じ、一方、70質量%を超えると高い空隙率の多孔質銅薄膜を得ることが困難となるおそれがある。分散溶液(L)に使用可能な分散溶媒(S)は、沸点が60℃以上であることが好ましく、また、該分散溶液を基材上に塗布後、焼結した際に不純物の残存量を低減化できる、(イ)炭素原子と水素原子、(ロ)炭素原子、水素原子及び酸素原子、(ハ)炭素原子、水素原子及び窒素原子、又は(ニ)炭素原子、水素原子、酸素原子及び窒素原子からなる化合物の1種、又は2種以上の溶媒を使用することが好ましい。
従って、分散溶媒(S)は、分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)からなる有機溶媒(S1)、又は分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)20〜40体積%、並びにアミド基を有する有機溶媒(B)60〜80体積%を含む混合溶媒(S2)であることがより好ましい。
前記有機溶媒(A)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、及びヘキシトールの中から選択される1種又は2種以上が例示できる。
前記有機溶媒(B)がN−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上が例示できる。
(vi)銅微粒子分散溶液(L)の撹拌による分散性の向上
かくして得られた分散溶液(L)中には、一次粒子の平均粒径1〜500nmの銅微粒子が少なくともその表面の一部が分散剤で覆われて水溶液中に、二次凝集性が少ない状態で分散されているが、更に撹拌して分散性を向上するのが望ましい。分散溶液(L)の撹拌方法としては、公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズが小さくなる傾向にある。更に超音波照射時間を長くすると分散性は一層向上する。
かくして得られた分散溶液(L)は、銅微粒子が分散剤に覆われた状態で水溶液中に分散している。このような分散剤が銅微粒子を分散させるメカニズムは完全に解明されているものではないが、例えば分散剤に存在する官能基の非共有電子対を有する原子部分が銅微粒子の表面に吸着して、分子層を形成し、互いに銅微粒子同士の接近をさせない、斥力が発生していることが予想される。
(2)基材上への銅微粒子分散溶液(L)の塗布
(i)基材
銅微粒子分散溶液(L)を塗布する被処理基板である基材には、通常用いられるガラス基材や耐熱性合成樹脂からなる基材を挙げることができ、その形状としては平板、立体物、フィルム等が挙げられる。耐熱性合成樹脂としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂等を用いることができる。この被処理基材は、分散溶液(L)を塗布する前に、純水や超音波等を用いて塗布面を洗浄することが好ましい。
(ii)銅微粒子分散溶液(L)の基材上への塗布
本発明の分散溶液(L)は、例えば、スピン塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、浸漬塗布、ロールコート法、スクリーン印刷法、滴下法等の公知の方法を用いて塗布することができる。
基材上への塗布膜の厚みは、銅微粒子分散溶液(L)中の銅微粒子の濃度、空隙率、多孔質銅焼結膜の厚み等により変わるものであり、一概に決定することはできないが、本発明の急速加熱で焼結膜を形成する際には、焼結性、空隙率、機械的強度等を考慮すると基材上の塗布液の厚みが、1μm〜3mmの範囲であることが望ましい。また、光透過性の観点から、1μm〜1mmの範囲であることが更に望ましい。さらに、1μm〜300μmの範囲であることがより好ましい。
なお、ここで急速加熱とは予め焼成温度に加熱された炉に分散溶液(L)を塗布した基材を挿入し、分散溶液(L)中の分散溶媒(S)を短時間で蒸発させると同時に銅微粒子同士の焼結を行う加熱過程をいう。すなわち、分散溶媒(S)を短時間で蒸発させる加熱処理を指す。
(3)基材上の銅微粒子分散溶液(L)の焼結
第1の態様において、該銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を160〜500℃の温度範囲内で、かつ分散溶媒(S)の沸点以上の焼成温度に予め加熱された不活性ガス雰囲気中の炉内に挿入して急速加熱することにより銅微粒子を焼結して、空隙率が40〜70%である焼結膜を基材上に形成することを特徴とする。
一般に、銅微粒子分散溶液(L)を焼結して導電性の焼結膜を形成する場合には、基材上に塗布された金属微粒子の分散溶液を先ず乾燥工程において加熱下に溶媒を除去し、その後、焼結工程において高温下に金属微粒子を焼結するが、本発明においては、特に乾燥工程は設けずに加熱された炉に、基材上に銅微粒子分散溶液(L)が塗布されたものを挿入して、急速加熱することを特徴とする。
このように、乾燥工程を設けずに、分散溶媒(S)の沸点以上の温度に予め加熱された炉内に基材上に塗布された銅微粒子分散溶液(L)を挿入することにより、分散溶媒(S)が沸騰現象を起こす一方、銅微粒子の焼結も進行し、その結果空隙率の高い多孔質の銅焼結膜が得られる。
(i)焼結温度と焼結時間
本発明において、焼結温度は160〜500℃の範囲であるが、好ましい炉の加熱温度は、使用する分散溶媒(S)の沸点により異なる。厳密には、分散溶媒(S)の熱容量と炉内のガス等も含めた熱容量の影響も受けるが、相対的には分散溶媒(S)の量が少ないのでその熱容量も少なく、焼結条件としては炉の加熱温度条件が重要である。
炉の加熱温度は、160〜500℃の範囲であるが、更に分散溶媒(S)の蒸気圧が2×(1.01325×10−1)〜8×(1.01325×10−1)(MPa)(尚、1.01325×10−1(MPa)は1atmである。)となる温度で、かつ分散溶媒(S)が沸騰現象を生じる温度が好ましい。加熱温度が150℃以上であると銅微粒子の焼結が進行し、また分散溶媒(S)の蒸気圧が2×(1.01325×10−1)〜8×(1.01325×10−1)(MPa)となる温度範囲であると分散溶媒(S)が急速加熱されて、沸騰現象を起こすので、銅微粒子はより空隙率が高くなる形状での部分的焼結が進行すると推定される。焼結温度が高いほど光の透過率を向上できるが、一方、機械的強度は低下するので使用目的に応じた分散溶媒(S)と焼結温度を選択する必要がある。
尚、炉の加熱温度は、基材上への銅微粒子分散溶液(L)の塗布厚みが厚いほど溶媒の蒸発時間が長くなるので、蒸発時間が長くなることを避けるために、炉の加熱は高めに設定することが望ましいが、電子機器用の基板上に銅微粒子分散溶液(L)を塗布して銅微粒子を焼結させる場合、又はフラットパネルディスプレイ(FPD)用透明導電膜に用いられる場合には250℃以下で焼結が可能となる、分散溶媒(S)を選択することが好ましい。上記加熱条件下での焼結後、焼結帯を炉から取り出して冷却されるが炉内での加熱時間は、3〜30分間程度である。3分間未満では銅微粒子の焼結が十分間に進行せず、一方、30分間以上加熱しても焼結が更に進行する可能性は低い。
(ii)不活性ガス雰囲気下での焼結
本発明において、銅微粒子分散溶液(L)からの銅微粒子の焼結は必ずしも水素ガス等の還元性ガス雰囲気下で行う必要はなく、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが可能である。また、本発明において、銅微粒子の焼結は炉内で急速加熱により行われるので、銅微粒子の高温雰囲気下で大気中の酸素により酸化反応を受けるのを防止するために、加熱された炉内に銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を挿入する前にあらかじめ不活性雰囲気内に置かれることが望ましい。このように雰囲気を不活性ガス雰囲気とする手段は特に限定されるものではないが、具体例としては、片側に蓋の付いた外形形状が円筒状の耐熱性ガラス容器で、該蓋に窒素ガス供給口を設けておき、蓋の相対する面に窒素ガスの排出口が設けられた容器を使用することができる。該容器内に銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を挿入し、蓋を装着して、窒素ガス流通下に所定の温度に加熱された炉内に挿入し、焼結終了後に炉から該耐熱性ガラス容器を取り出し、大気中で冷却し、基材上の焼結膜が室温まで冷却されたら、窒素ガスの流通を停止して、耐熱性ガラス容器内から多孔質銅焼結膜が形成された基材を取り出すことが出来る。
(iii)多孔質銅焼結膜
上記焼結操作により得られる多孔質銅焼結膜は、空隙率が40〜70%であり、可視光の透過性が高く、かつシート抵抗値が低く、機械的強度及び基材への密着性にも優れるものである。
本発明の第1の態様である「多孔質銅焼結膜の製造方法」により得られた「多孔質銅焼結膜」の走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)写真による斜視図の例を図1に、表面に垂直な断面の写真を図2に示す。これらの図から、多孔質銅焼結膜は、三次元的に連続して焼結していて、焼結膜の外部に開放されているので高い光の透過性が得られることが理解できる。尚、高い光の透過性を得るには空隙率は高い方が望ましいが、一方、多孔質銅焼結膜の機械的強度、及び基材への密着性を高める等のためには、空隙率を必要以上に高めることは好ましくない。
(iii-1)空隙率
上記製造方法により、空隙率が40〜70%の多孔質銅焼結膜を得ることが出来る。
尚、第1の態様において、多孔質銅焼結膜の空隙率は、焼結体の重量をその外容積で除した値をかさ密度とし、該密度から算出した値である。
空隙率が40〜70%の多孔質銅焼結膜は、銅微粒子分散溶液(L)中の銅微粒子の濃度、基材上への塗布膜の厚み、急速加熱条件の選択により制御することが可能である。
(iii-2)光透過率
上記製造方法により、波長460nmの光の膜厚方向への光透過率が30%、好ましくは50%以上である多孔質銅焼結膜を得ることが出来る。透過率は、高ければ高いほうがより好ましい。
尚、第1の態様において、多孔質銅焼結膜の光の透過率は、(イ)液晶ディスプレイのバックライトである白色LEDの輝度が最も高い波長である460nmの光を用いて、ガラス基材上に形成した多孔質銅薄膜の膜厚方向に通った光の強度(Ls)と該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)をそれぞれ測定し、(ロ)ガラス基材上に形成した多孔質銅薄膜の厚さ方向に通った光の強度(Ls)を該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)で除した値(Ls/Lr)である。尚、このような透過光の強度は、分光光度計を用いて測定することが出来る。
(iii-3)シート抵抗値
上記製造方法により、多孔質銅焼結膜のシート抵抗値が好ましくは0.01〜5(Ω/□)、より好ましくは0.01〜1(Ω/□)である多孔質銅焼結膜を得ることが出来る。更に好ましいのは0.01〜0.1(Ω/□)である。尚、第1の態様において、多孔質銅焼結膜のシート抵抗値は、JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠した4端子式シート抵抗測定により測定した値である。
〔2〕第2の態様である「多孔質銅焼結膜」について
第2の態様である「多孔質銅焼結膜」は、一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子を焼結させて得られた、空隙率が40〜70%、波長460nmの光の厚さ方向への光透過率が30%以上、かつシート抵抗が0.01〜5(Ω/□)であることを特徴とする。
以下、本発明の多孔質銅焼結膜について説明する。
(1)一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子
第2の態様における多孔質銅焼結膜は、一次粒子の平均粒径1〜500nmの銅微粒子が焼結されて形成されたものであれば製造方法が特に限定されるものではないが、例えば後述するように、銅微粒子分散溶液を基材に塗布後、不活性ガス雰囲気で焼結することにより製造することができる。このように銅微粒子分散溶液の焼結により多孔質銅焼結膜を形成する場合には、その空隙率、膜の厚みを任意に制御して製造することが可能である。
銅微粒子は、一次粒子の平均粒径1〜500nmの微粒子である。
ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する銅微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子の直径は、透過電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜500nmであるが、製造と取り扱い等の実用的な面からは、1〜100nmの微粒子が好ましい。
また、上記銅微粒子に透明性粒子として、シリカ粒子単体並びにZr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb及びZnの金属酸化物群から選択される、1種または2種以上を添加させることができる。また、その好ましい平均粒子径は、0.5〜10μmであり、その添加量は、銅微粒子を含む全粒子中で0.1〜30wt%とすることが好ましい。
(2)空隙率
「多孔質銅焼結膜」の空隙率は、40〜70%である。
第2の態様における多孔質銅焼結膜の空隙率は、焼結体の重量をその外容積で除した値をかさ密度とし、該密度から算出した値である。
多孔質銅焼結膜における空隙は、光の透過性を高めるためには、三次元的に連続して焼結膜の外部に開放されていることが必要である。一方、空隙率は、多孔質銅焼結膜の機械的強度、及び基材への密着性を高めるためには高い方が望まれる。
空隙率が40〜70%の多孔質銅焼結膜は、銅微粒子分散溶液(L)中の銅微粒子の濃度、基材上への塗布膜の厚み、急速加熱条件の選択により制御することが可能であるが、LCD、有機EL等のフラットパネルディスプレイの分野における透明導電膜として使用するには空隙率が60〜70%の多孔質銅焼結膜が好ましい。
(3)光の透過率
第2の態様における多孔質銅焼結膜の波長460nmの光の膜厚方向への光透過率は、30%以上、好ましくは50%以上である。透過率は、高ければ高いほうがより好ましい。
第2の態様における多孔質銅焼結膜の光の透過率は、(イ)液晶ディスプレイのバックライトである白色LEDの輝度が最も高い波長である460nmの光を用いて、ガラス基材上に形成した多孔質銅薄膜の厚さ方向に通った光の強度(Ls)と該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)をそれぞれ測定し、(ロ)光の透過率は、ガラス基材上に形成した多孔質銅薄膜の厚さ方向に通った光の強度(Ls)を該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)で除した値(Ls/Lr)である。尚、透過光の強度の測定には、公知の分光光度計を使用することができる。
(4)シート抵抗値
第2の態様における多孔質銅焼結膜のシート抵抗値が0.01〜5(Ω/□)、好ましくは0.01〜1(Ω/□)である。より好ましいのは0.01〜0.1(Ω/□)である。
尚、第2の態様における多孔質銅焼結膜のシート抵抗値は、JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠した4端子式シート抵抗測定を用いて測定された値である。
(5)多孔質銅焼結膜の厚み
第2の態様における多孔質銅焼結膜の厚みは、50nm〜10μmの範囲が好ましい。また、光透過性の観点から、より好ましくは、50nm〜5μmであり、更に好ましくは、50nm〜500nmである。尚、第2の態様における多孔質銅焼結膜の厚みは、走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いて測定された値であり、任意の5点について測定し、その平均値を平均厚みとする。
(6)密度
第2の態様における多孔質銅焼結膜の密度は、1.5〜5.5g/cmの範囲であることが好ましい。さらに、1.5〜3.5g/cmの範囲がより好ましい。尚、多孔質銅焼結膜の密度は、見掛け密度測定法(JIS C2141)に基づき測定した値である。
(7)用途
本発明の多孔質銅焼結膜は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用透明導電膜として広く利用することができる。
次に、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、評価方法、及び評価基準は下記の方法による。
(1)多孔質銅焼結膜の平均厚み
走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いて測定した。任意の5点について測定し、その平均値を平均厚みとした。
(2)空隙率
多孔質銅焼結膜の空隙率は、焼結体の重量をその外容積で除した値をかさ密度とし、該密度からを算出した値である。
(3)光の透過率
液晶ディスプレイのバックライトである白色LEDの輝度が最も高い波長である460nmの光を用いて、ガラス基材上に形成した多孔質銅焼結膜の厚さ方向に通った光の強度(Ls)と該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)をそれぞれ測定した。光の透過率は、ガラス基材上に形成した多孔質銅焼結膜の厚さ方向に通った光の強度(Ls)を該ガラス基材のみを通った光の強度(Lr)で除した値(Ls/Lr)として算出した。使用した分光光度計は、日立ハイテクノロジーズ(株)製、型式:U−4100型 固体試料測定システムである。
評価基準は以下の方法による。
◎:光の透過率が50%以上
○:光の透過率が30%以上、50%未満
×:光の透過率が30%未満
(4)シート抵抗
JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に「準拠した4端子式シート抵抗測定( 三菱化学(株)製、型式:ロレスタG P )を用いて測定した。
評価基準は以下の方法による。
◎:1(Ω/□)未満
○:1(Ω/□)以上、5(Ω/□)以下
×:5(Ω/□)超
[実施例1]
(1)銅粒子分散溶液の調製
還元剤である水素化ホウ素ナトリウムが0.017モル/リットルの濃度で溶解している還元剤水溶液180ミリリットル(ml)に、分散剤であるポリビニルピロリドン(数平均分子量3500)を1.0g添加して撹拌し、次に窒素ガス雰囲気中で該還元剤水溶液に、酢酸銅((CHCOO)Cu・H0)0.6gを蒸留水20mlに溶解して得られた水溶液を滴下後、40℃で約5分間撹拌を行い、一次粒子の粒径が80〜180nmである銅微粒子の少なくとも表面の一部が分散剤で覆われた銅微粒子分散水溶液を得た。
銅微粒子濃度が1mg/mlである水溶液100mlを、酸素でバブリングして銅微粒子を凝集させた。凝集した銅微粒子を遠心分離により回収した。回収した銅微粒子80mgを2.5mlの再分散溶媒であるエチレングリコール溶液中に分散後、室温で超音波照射による撹拌を20分間行い、銅微粒子がエチレングリコール溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L1)を得た。尚、撹拌方法は、汎用のマグネチックスターラを用いて行った。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
銅微粒子分散溶液(L1)0.22mlを、超音波を用いて十分に表面洗浄したガラス基材(面積:26mm×19mm)に滴下して、銅微粒子分散溶液(L1)が塗布されたガラス基材を得た。銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、ガラス製管状容器(外径:120mm、長さ:1200mm)内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を250℃に加熱された電気管状炉(ニクロム線加熱ヒータ内臓、内径150mm)に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルA)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルAについて、膜厚、空隙率、波長460nmの光の厚さ方向への光透過率、及びシート抵抗についての評価を行った。結果をまとめて表1に示す。
多孔質銅焼結膜における空隙は、光の透過性を高めるためには、三次元的に連続して焼結膜の外部に開放されていることが必要である。一方、空隙率は、多孔質銅焼結膜の機械的強度、及び基材への密着性を高めるためには高い方が望まれる。
[実施例2、3]
(1)銅粒子分散溶液の調製
実施例2、3において、実施例1に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L1)を用いた。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
実施例2、3において、銅微粒子分散溶液(L1)0.20ml、0.14mlをそれぞれガラス基材(面積:26mm×19mm)に滴下した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で、銅微粒子分散溶液(L1)が塗布されたガラス基材をそれぞれ得た。各々の銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1に記載した方法と同様にガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に実施例2、3において、窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を280℃、330℃にそれぞれ加熱された電気管状炉に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルB)、(サンプルC)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルB、Cについて、実施例1に記載した方法と同様の評価を行った。結果をまとめて表1に示す。又、実施例3で得られた多孔質銅焼結膜の走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)写真を斜視図として図1に示す。
[比較例1]
(1)銅粒子分散溶液の調製
実施例1に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L1)を用いた。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
銅微粒子分散溶液(L1)0.36mlをガラス基材(面積:26mm×19mm)に滴下した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で、銅微粒子分散溶液(L1)が塗布されたガラス基材を得た。銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1に記載した方法と同様にガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。室温の電気管状炉に挿入後、45分間かけて170℃まで昇温し、その温度で1時間維持する乾燥操作により、使用したエチレングリコール溶媒を蒸発除去した。その後、45分間かけて250℃まで昇温し、その温度に1時間保持して銅微粒子の焼結を行った。次に、電気管状炉からガラス製管状容器を引き抜き、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルD)を得た。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルDについて、実施例1に記載した方法と同様の評価を行った。結果をまとめて表1に示す。又、比較例1で得られた多孔質銅焼結膜の電子顕微鏡(SEM)写真を斜視図として図2に示す。
表1から、比較例1のように、基材上に塗布された金属微粒子の分散溶液を先ず乾燥工程において加熱下に溶媒を除去し、その後、焼結工程において高温下に金属微粒子を焼結した場合には、シート抵抗値が良好であり導電性に優れているが、空隙率は低く、光の透過性がほとんどないことが判る。一方、実施例1〜3のように、乾燥工程を設けずに、加熱された炉内に基材上に塗布された銅微粒子分散溶液を挿入することにより、導電性を保ちつつ、空隙率が40%以上であり、光の透過性を有することが判る。
また、実施例3のように、焼結温度を高くすることにより、空隙率を高くすることができ、より透過性に優れた多孔質銅焼結膜を形成することができる。
[実施例4、5]
(1)銅粒子分散溶液の調製
再分散溶媒としてエチレングリコール溶液の代わりに、エチレングリコール30体積%とN−メチルホルムアミド70体積%からなる混合溶媒を使用した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール−N−メチルホルムアミド混合溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L2)を得た。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
実施例4において、銅微粒子分散溶液(L2)0.004mlをガラス基材(面積:26mm×19mm)に滴下して、スピンコートし、実施例5において、銅微粒子分散溶液(L2)0.03mlをガラス基材(面積:26mm×19mm)に滴下して、スピンコートし、銅微粒子分散溶液(L2)が塗布されたガラス基材を得た。各々の銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1で使用した方法と同様のガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を280℃に加熱された電気管状炉に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルE)、(サンプルF)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルE、Fについて、膜厚、空隙率、波長460nmの光の厚さ方向への光透過率、及びシート抵抗についての評価を行った。結果をまとめて表2に示す。
[実施例6、7]
(1)銅粒子分散溶液の調製
実施例6、7において、実施例4に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール−N−メチルホルムアミド混合溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L2)をそれぞれ用いた。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
実施例6において、銅微粒子分散溶液(L2)0.26mlをガラス基材(塗布面積:26mm×19mm)に滴下して、実施例7において、銅微粒子分散溶液(L2)0.39mlをガラス基材(塗布面積:26mm×19mm)に滴下した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で、銅微粒子分散溶液(L2)が塗布されたガラス基材をそれぞれ得た。各々の銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1に記載した方法と同様にガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に実施例6、7において、窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を300℃、350℃にそれぞれ加熱された電気管状炉に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルG)、(サンプルH)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルG、Hについて、実施例1に記載した方法と同様の評価を行った。結果をまとめて表2に示す。また、実施例6で得られた多孔質銅焼結膜の電子顕微鏡(SEM)写真を斜視図として図3に示す。
[実施例8]
(1)銅粒子分散溶液の調製
実施例8において、実施例4に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール−N−メチルホルムアミド混合溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L2)に透明性粒子として平均粒子径が3μmの透明性シリカ粒子を銅微粒子重量の5分の1相当を混入し超音波洗浄機で30分間撹拌したものを用いた。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
実施例8おいて、銅微粒子分散溶液(L2)0.3mlをガラス基材(塗布面積:26mm×19mm)に滴下した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で、銅微粒子分散溶液(L2)が塗布されたガラス基材をそれぞれ得た。各々の銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1に記載した方法と同様にガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に実施例8において、窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を300℃加熱された電気管状炉に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルI)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルIについて、実施例1に記載した方法と同様の評価を行った。結果をまとめて表2に示す。また、実施例8で得られた多孔質銅焼結膜のイメージ図として図4に示す。



[比較例2]
(1)銅粒子分散溶液の調製
実施例4に記載した方法と同様の方法で銅微粒子がエチレングリコール−N−メチルホルムアミド混合溶媒に3質量%の濃度で分散している銅粒子分散溶液(L2)を得た。
(2)多孔質銅焼結膜の作製
銅微粒子分散溶液(L2)2.0mlをガラス基材に塗布面積が26mm×19mmとなるように塗布した以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で、銅微粒子分散溶液(L2)が塗布されたガラス基材を得た。銅微粒子分散溶液が塗布されたガラス基材を、実施例1で使用した方法と同様のガラス製管状容器内に固定後、ガラス管内に窒素ガスを流通させてガラス管内を窒素ガス雰囲気にした。次に窒素ガスを流通させながら該ガラス製管状容器を350℃に加熱された電気管状炉に挿入して15分間保持し、ガラス基材上の銅微粒子を焼結した。ガラス製管状容器を電気管状炉から取り出し、室温まで冷却後、ガラス製管状容器内への窒素ガスの流通を止め、ガラス製管状容器内から、表面に多孔質銅焼結膜が形成されたガラス基材(サンプルJ)を引き抜いた。
(3)多孔質銅焼結膜の評価
得られたサンプルJについて、膜厚、空隙率、波長460nmの光の厚さ方向への光透過率、及びシート抵抗についての評価を行った。結果をまとめて表2に示す。
表2から、比較例2では、塗布膜の厚みが3mmよりも厚い場合には、焼結温度を450℃と高くしても、空隙率が40%未満となり、光透過性を確保することができなかった。また、実施例7のように、塗布膜の厚みを厚くした場合には、焼結温度を高くしていくことで空隙率は高くすることができるが、光の透過性の更なる向上には繋がらなかった。一方、実施例4、5のように、塗布膜の厚みを薄くして焼結膜の厚みを薄くすることで、空隙率が50%程度であっても光透過性が良好であることが判明した。また、実施例8において、透明性微粒子との混合焼結により、表面抵抗が低く光の透過性が良い膜が作製できることが確認された。

Claims (17)

  1. 一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子が2〜70質量%の濃度となるように分散溶媒(S)に分散させた銅微粒子分散溶液(L)を基材に塗布し、次に該銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を、160〜500℃の温度範囲内で、かつ分散溶媒(S)の沸点以上の焼成温度に予め加熱された不活性ガス雰囲気中の炉内に挿入して急速加熱することにより銅微粒子を焼結して、空隙率が40〜70%である焼結膜を基材上に形成することを特徴とする、多孔質銅焼結膜の製造方法。
  2. 前記銅微粒子分散溶液(L)が塗布された基材を不活性ガス雰囲気下にある容器内に収納して、前記加熱された炉内に挿入することを特徴とする、請求項1に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  3. 前記不活性ガスが窒素ガス又はアルゴンガスであり、前記容器がガラス製容器であることを特徴とする、請求項2に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  4. 基材上の塗布液の厚みが、1μm〜3mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  5. 多孔質銅焼結膜の波長460nmの光の膜厚方向への光透過率が30%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  6. 多孔質銅焼結膜のシート抵抗値が0.01〜5Ω/□であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  7. 前記銅微粒子分散溶液(L)が銅微粒子の表面の少なくとも一部が炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる化合物から選択された分散剤(高分子化合物を含む)で覆われて、沸点が60℃以上400℃以下の分散溶媒(混合溶媒を含む)(S)に分散されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  8. 前記分散溶媒(S)が、分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)からなる有機溶媒(S1)、又は分子中に1及び/もしくは2以上の水酸基を有するアルコール(A)20〜40体積%、並びにアミド基を有する有機溶媒(B)60〜80体積%を含む混合溶媒(S2)である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  9. 前記アルコール(A)がエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、及びヘキシトールの中から選択される1種又は2種以上である、請求項8に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  10. 前記アミド基を有する有機溶媒(B)がN−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上である、請求項8に記載の多孔質銅焼結膜の製造方法。
  11. 一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子を焼結させて得られた、空隙率が40〜70%、波長460nmの光の膜厚方向への光透過率が30%以上、かつシート抵抗値が0.01〜5Ω/□であることを特徴とする多孔質銅焼結膜。
  12. 一次粒子の平均粒径が1〜500nmである銅微粒子が分散している銅微粒子分散溶液(L)を基材上に塗布後、160〜500℃に加熱された炉内で不活性ガス雰囲気下に焼結して得られる、請求項11に記載の多孔質銅焼結膜。
  13. 波長460nmの光の膜厚方向への透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が0.01〜5Ω/□である請求項11又は12に記載の多孔質銅焼結膜。
  14. 焼結膜の密度が、1.5〜5.5g/cmである請求項11ないし13のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜。
  15. 焼結膜の厚みが、50nm〜10μmである請求項11ないし14のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜。
  16. フラットパネルディスプレイ(FPD)用透明導電膜に用いられる請求項11ないし15のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜。
  17. 前記焼結膜は、銅微粒子と透明性粒子との混合物により形成されていることを特徴とする請求項11ないし〜16のいずれか1項に記載の多孔質銅焼結膜。
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