JP5290142B2 - 新規な糖連結クロリン誘導体 - Google Patents
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Description
このO−グリコシル化テトラフェニルバクテリオクロリン誘導体は、まず、アセチル化糖でO−グリコシル化したテトラフェニルポルフィリン誘導体を製造し、次いで炭酸アルカリ金属存在下、還元剤により還元して、テトラフェニルバクテリオクロリン誘導体とし、次いで、アルカリ処理して、アセチル化糖の脱アセチルを行なって、単糖類残基の水酸基を遊離の状態とすることにより製造している。
特許文献2には、所望であれば、Mg、Zn、Snなどで処理して金属複合体としてもよいとの記載はあるが、合成例は示されていない。
【0017】
式中、X1〜X20は、互いに独立して、F−、グルコース−S−、グルコース−Z−S−、及びグルコース―O−Z−S−からなる群から選ばれる1つの基で、且つX1〜X20のうち少なくとも1つはグルコース−S−、グルコース−Z−S−、及びグルコース−O−Z−S−からなる群から選ばれる1つの基であり(ここで、Fはフッ素原子、Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Zは炭素数1〜6の炭化水素基である)、R5及びR6は、互いに独立して水素原子、低級アルキル又はQ−(CH 2 ) k −(ここで、Qは低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ、又はシクロアルキル基であり、kは0〜3の整数である)であり、互いに環を形成していてもよい。
連結される糖としては、下記式で表されるペントース又はヘキソースなどの単糖類;ショ糖、マルトース、ラクトースなどの2糖類;デンプン、アミロース、グリコーゲンなどの多糖類などが挙げられるが、好ましくは単糖類であり、より好ましくはペントース又はヘキソースである。単糖類は、D体であってもよいし、L体であってもよいが、D体が好ましく用いられる。
前記有機基としては、例えば、低級アルキル又はQ−(CH2)k−である。Qは、低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ又はシクロアルキル基である。ここで、低級アルキルとは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキルをいう。kは0〜3の整数である。
R5とR6が互い環を形成していてもよく、例えば、R5とR6で、ポルフィリン環の1〜24番号法でA環の2位、3位に結合するイミノ基、第3級アミンを構成していてもよい。
ポルフィリン誘導体の分離除去後、得られたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)クロリン誘導体に、糖のチオールエステル(糖−SR)を作用させて、糖スルフィドをテトラフルオロフェニル基に連結させて、S−グリコシル化テトラフルオロフェニルクロリン誘導体(H2TFPC−S−糖)を得る。図1に示すH2TFPC−S−糖は、4個のフェニル基全てのp位に糖が連結した場合を示している。H2TFPC−S−糖において、R1、R2、R3、R4は糖−SRに由来する糖残基である。
また、ポルフィリン骨格誘導体とクロリン骨格誘導体の混合物から、クロリン骨格誘導体を分離精製する場合、糖連結ポルフィリン誘導体混合物から糖連結クロリン誘導体を分離精製する場合と比べて、糖が連結していないポルフィリン誘導体から糖が連結されていないクロリン誘導体を分離精製する方が容易であり、分離精製効率が高い。ひいては生産性に優れている。
本発明は、また、新規な光感作性物質として、下記一般式(2)で示されるS−グリコシル化クロリン誘導体を提供する。
(2)式中、X1〜X20、R5及びR6は、(1)式の場合と同様である。
Mは金属であり、具体的には、遷移金属、II族、III族、IV族の金属であり、好ましくは、Pt、Pd、Au、Al、Zn等の遷移金属であり、より好ましくはPt、Pd、Auといった貴金属である。金属の導入により光照射下での細胞毒性が高められ、特に、貴金属の導入の場合に細胞毒性向上効果が大きい。また、Pt、Pd、Au等の貴金属導入反応は高温で行なわなければならず、糖との関係で従来の方法では導入が困難であったが、後述する本発明の製造方法により、高収率で製造することができる。
例えば、H2TFPPと導入しようとする金属塩を適当な有機溶媒中に懸濁して加熱還流し、得られた反応混合物を冷却後、減圧濃縮して、カラムクロマトグラフィにより目的成分を分収すればよい。
上記本発明のS−グリコシル化クロリン誘導体は、暗所下では細胞毒性を示さないが、光照射下で強い細胞毒性を示すことを利用して、標的となる生物材料と、暗所下でインビトロ又はインビボで接触させて、細胞内に取り込ませた後、クロリン誘導体の吸収波長の光を照射することにより、標的を破壊する用途に用いることができる。
ここで、標的としては、ウィルス又はバクテリア又はこれらの感染細胞;腫瘍;腫瘍状組織などが挙げられ、特に腫瘍組織に親和性を有し、腫瘍部に集積できることから、腫瘍の破壊に用いることができる。
本発明の医薬組成物は、上記本発明のS−グリコシル化クロリン誘導体(金属錯体タイプを含む)(以下、特に区別しない場合は、本項目欄において、両者をまとめて「S−グリコシル化クロリン誘導体」という)を有効成分として含有し、製薬学的に許容できる固体又は液体状の担体を含有する。
有効成分であるS−グリコシル化クロリン誘導体及びその金属錯体は、上述のように、いずれも水溶性で細胞透過性に優れ、光毒性が高いので、腫瘍又は固形癌の光線力学的治療用剤として好適に使用できる。
有効成分であるS−グリコシル化クロリン誘導体又はその金属錯体の細胞毒性は高いことから、従来よりも投与量を少なくして、同等以上の効果を得ることを期待できる。このことは、代謝、排泄に要する時間が短くて済むことを意味し、光線力学的療法の活用利便性を高める。
照射源としては、レーザー、ハロゲンランプなどが用いられる。レーザとしては、色素レーザ、半導体レーザ、アルゴンレーザなど、励起に必要な波長の光線が得られるものであればよい。
実施例1:S−グルコシル化クロリン誘導体
(1)H2TFPPの製造(テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン誘導体の合成)
(1)で製造したH2TFPP(892mg)、N−メチルグリシン(171mg)及びパラホルムアルデヒド(134mg)を、トルエン(200mL)に溶解した。得られた溶液を、窒素雰囲気下、N−メチルグリシン(約400mg)とパラホルムアルデヒド(400mg)を2時間毎に加えながら、20時間加熱還流する。反応混合物を冷却後、溶媒を減圧留去する。クロロホルム(50mL)を加え、水洗し過剰量のN−メチルグリシンとパラホルムアルデヒドを除去する。トルエン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去する。得られた粗生成物をシリカゲルカラムに充填し、クロロホルムを用いて溶離することにより、5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリン(H2TFPCと略記)を分収し、さらに減圧濃縮した(収量595mg、収率55%)。
(2)で得られたH2TFPC(102mg)、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオアセチル(AcGlcSAcと略記)(375mg)及びジエチルアミン(2mL)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、室温下16時間攪拌した。反応混合物に、クロロホルム(20mL)を加え、水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムに充填し、クロロホルム及びメタノールの混合溶媒で溶離し、さらにゲル浸透クロマトグラフ分収装置により、5,10,15,20−テトラキス〔4−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリン(H2TFPC−SAcGlcと略記)を得た(収量210mg、収率94%)。
H2TFPC−SAcGlc(185mg)をジクロロメタン(20mL)とメタノールの混合物に溶解した。得られた溶液にナトリウムメトキシドをpH9になるまで加えた後、窒素雰囲気下、15〜20℃で12時間、さらに、45〜50℃の湯浴で3時間加熱還流した。得られた反応混合物を冷却し、次いで酢酸で中和し減圧濃縮した。得られた沈殿をろ別し、水洗後、真空乾燥して、5,10,15,20−テトラキス〔4−(β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリン(H2TFPC−SGlcと略記)を得た(収量81mg、収率47%)。得られた化合物は、19F−NMRスペクトルから、全てのフェニル基のp位がS−グリコシル化されていることが確認できた。
(1)PdTFPPの製造(金属の導入)
実施例1の(1)で製造したH2TFPP(1g)と塩化パラジウム(0.4g)をベンゾニトリル(35mL)に溶解した。得られた溶液を、窒素置換後、窒素雰囲気下、220℃で96時間加熱還流し、得られた反応混合物を、冷却後、減圧濃縮した。得られた粗生成物を、アルミナカラムに充填し、クロロホルムを用いて溶離することにより分収した。さらにシリカゲルクロマトグラフィーにより分収し、得られた生成物を減圧濃縮した後、さらにジクロロメタンとメタノールの混合溶媒から再結晶することにより、〔5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリナト〕パラジウム(II)(PdTFPPと略記)を得た(収量0.76g、収率70%)。
(1)で製造したPdTFPP(0.4g)、N−メチルグリシン(0.2g)及びパラホルムアルデヒド(0.17g)を、トルエン(50mL)に溶解し、実施例1(2)の変換工程に準じてポルフィリン環のA環を環化付加することによりクロリン骨格に変換した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより分収し、減圧濃縮後、さらにゲル浸透クロマトグラフ装置により目的成分を分収し、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒から再結晶して、{5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリナト}パラジウム(PdTFPCと略記)を得た(収量0.075g、収率17%)。
(2)で得られたPdTFPC(0.11g)、AcGlcSAc(0.19g)及びジエチルアミン(3mL)をジメチルホルムアミド(30mL)に溶解し、実施例1(3)に準じて、S−グリコシル化を行なった。得られた粗生成物をゲル浸透クロマトグラフ分収装置により目的成分を分収し、溶媒を減圧留去することにより、{5,10,15,20−テトラキス〔4−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリナト}パラジウム(II)(PdTFPC−SAcGlcと略記)を得た(収量0.15g、収率66%)。
(3)で得られたPdTFPC−SAcGlc(0.15g)をジクロロメタン(20mL)とメタノール(20mL)の混合溶媒に溶解し、実施例1(4)に準じて、グルコースの水酸基の保護基であるアセチル基を除去し、逆相液体クロマトグラフ装置で、目的成分を分収し、溶媒を減圧留去後、その残渣を分子量カットオフが1000の透析膜を用いて脱塩し、溶媒留去後、{5,10,15,20−テトラキス〔4−(β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリナト}パラジウム(II)(PdTFPC−SGlcと略記)を得た(収量0.065g、収率59%)。得られた化合物は、19F−NMRスペクトルから、全てのフェニル基のp位がS−グリコシル化されていることが確認できた。
実施例1の(3)S−グルコシル化工程において、AcGlcSAcに代えて、2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−β−D−ガラクトピラノシルアセチルチオアセチル(AcGalSAcと略記)を用いた以外は、実施例1と同様にして、糖がガラクトースである5,10,15,20−テトラキス〔4−(β−D−ガラクトピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕−2,3−〔メタノ(N−メチル)イミノメタノ〕クロリン(H2TFPC−SGalと略記)を得た(収量86mg、収率84%)。
比較例1;H2TFPP−SGlc
実施例1(1)で合成したH2TFPP(55mg)、AcGlcSAc(207mg)及びジエチルアミン(0.8mL)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、室温下24時間攪拌し、実施例1(3)に準じてS−グリコシル化を行ない、ゲル浸透クロマトグラフ分収装置により分収し、溶媒を減圧留去することにより5,10,15,20−テトラキス(4−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ポルフィリン(H2TFPP−SAcGlcと略記)を得た(収量100mg、収率76%)。
実施例2(1)で合成したPdTFPP(77mg)、AcGlcSAc(224mg)及びジエチルアミン(1.2mL)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、実施例1(3)に準じてS−グリコシル化を行ない、ゲル浸透クロマトグラフ分収装置により分収し、溶媒を減圧留去することにより、{5,10,15,20−テトラキス〔4−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオ)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル〕ポルフィリナト}パラジウム(II)(PdTFPP−SAcGlcと略記)を得た(収量157mg、収率89%)。
比較例3:m−TGlcPC
WO2002−20536に記載の方法に準じて、まず5,10,15,20−テトラキス〔3−(2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)フェニル〕ポルフィリン(以下、TGlcPPと略記)を合成し、次いで、ポルフィリン環のA環を還元して、下記式で表される5,10,15,20−テトラキス〔3−(β−D−グルコピラノシルオキシ)フェニル〕クロリン(m−TGlcPCと略記)を得た。
実施例2(1)において、塩化パラジウムに代えて塩化白金酸ナトリウムを使用してPtTFPPを製造し、さらに実施例の方法と同様にしてポルフィリン環からクロリン環へ変換することにより、PtTFPCを得た。
市販品の5,10,15,20−テトラキス(4−スルホフェニル)ポルフィリン(TPPSと略記)を用いた。
HeLa細胞を96穴プレートに5×103cells/well(培地容積100μL)だけ播き、5%CO2存在下、37℃で24時間培養した。これに2%ジメチルスルホキシドを含む薬剤溶液を100μL加え、所定濃度にした。これをさらに5%CO2、37℃で24時間培養した。その後、培地を排出し、リン酸緩衝溶液100μLで2回洗浄した。各ウェルに10%ウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を100μL加えた。500nmのカットフィルターとウォータージャケットをつけた100Wのハロゲンランプを用いて、所定光量(16J/cm2)の光を照射した。その後、さらに5%CO2、37℃で24時間培養した。これにWST−8アッセイにより、薬剤を添加していない場合に対する相対値としての細胞生存率を算出した。各薬剤について6サンプル試験して得られた結果の平均値を求めた。
尚、所定光量は、パワーメータを用いて、照射時間を調節することにより調整した。
WSTアッセイは、細胞の脱水素酵素の活性を測定する方法の1つで、生細胞の量に依存してテトラゾリウム塩(WST−8)が分解される。この分解量を吸光光度法で測定することにより生細胞の相対量を調べた。
(1)薬剤濃度0.5μM
上記実施例及び比較例で製造、及び製造中間体として得られたクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体、及び参考例について、上記評価方法に基づいて、薬剤濃度0.5μMのときの光毒性を測定した。結果を図3に示す。図3中の化合物No.に対応する化合物は、表1に示す通りである。
表1に示す化合物No.6〜9、14〜16について、上記評価方法に基づいて、薬剤濃度0.09μMのときの光毒性を測定した。結果を図4及び図5に示す。
上記実施例1,2の化合物(No.8、9)を、光照射しない(光量0J/cm2)ときの細胞生存率を光毒性評価方法に準じて調べた。結果を図6に示す。
図6からわかるように、いずれの化合物も、暗所下では、細胞毒性がないことがわかる。
実施例4;H2TFPC−SCH2CH2OAcGlc
実施例1の(3)S−グルコシル化工程において、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルチオアセチル(AcGlcSAc)に代えて、2−(S−アセチル)メルカプトエチル 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(AcGlcOCH2CH2SAc)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記構造を有するS−グリコシド化クロリン誘導体を得た。
実施例5:H2TFPC’−SAcGlc
上記で合成したH2TFPP1gをトルエン20mlに溶かし、60℃で加熱しながら、臭化ベンジル9.76mL、水素化トリブチル錫24mL、アゾイソブチロニトリル1.7gを17日かけて加えた。ヘキサンを分離液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて粗生成物から目的成分を分画し、さらにゲル浸透クロマトグラフ分収装置により目的成分を集めた。さらにクロロホルムとアセトニトリルから再結晶して、下記構造を有する、10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−2−ベンジルクロリン(H2TFPC’と略記)35mgを得た。
H2TFPC’を用いて実施例1と同様にして、S−グルコシル化を行ない、下記構造を有するS−グリコシド化クロリン誘導体(HTFPC’−SAcGlc)を得た。
実施例1において、H2TFPC−SAcGlcを合成した際に得られた副生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=3:2、H2TFPC−SAcGlc(Rf値=0.18)、H2TFPC−SAcGlc5(Rf値=0.11))で分離、精製した。目的のフラクションについて、ESI−MSの測定を行なったところ、H2TFPC−SAcGlcに由来するピークは確認されず、目的化合物(H2TFPC−SAcGlc5)の平均質量である2752.51及び2774.49に該当するピーク(2751.53及び2773.8747)のみが認められ、1分子内にグルコース5分子が連結したS−グルコシル化クロリン誘導体が得られていることが確認できた。
実施例7:
実施例1で製造したH2TFPC−SGlcのメタノール溶液に塩化亜鉛を添加し、30℃で24時間反応させた。反応後、ESI−MSによりスペクトル測定したところ、H2TFPC−SGlcのNa溶液で主として認められる1758m/zのピークが低くなり、1820.4のピークが現われた。このピークは、H2TFPC−SGlcの亜鉛錯体の理論平均質量のピークとほぼ一致していた。
実施例1で製造したH2TFPC−SGlcと塩化マンガンとを、メタノール(10ml)と水(10ml)の混合溶媒中で、80℃で24時間反応させた。反応後、ESI−MSによりスペクトル測定したところ、1788.29のピークが現われた。このピークは、H2TFPC−SGlcのマンガン錯体の理論平均質量のピークとほぼ一致していた。
Claims (13)
- 下記一般式(1)で示されるS−グリコシル化クロリン誘導体。
R5及びR6は、互いに独立して水素原子、低級アルキル又はQ−(CH 2 ) k −(ここで、Qは低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ、又はシクロアルキル基であり、kは0〜3の整数である)であり、互いに環を形成していてもよい。 - 下記一般式(1)’で示される請求項1に記載のS−グリコシル化クロリン誘導体。
R5及びR6は、互いに独立して水素原子、低級アルキル又はQ−(CH 2 ) k −(ここで、Qは低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ、又はシクロアルキル基であり、kは0〜3の整数である)であり、互いに環を形成していてもよい。 - 前記(1)’式中、X1、X2、X3、及びX4は、グルコース−S−である請求項2に記載のクロリン誘導体。
- 下記一般式(2)で示されるS−グリコシル化クロリン誘導体。
R5及びR6は、互いに独立して水素原子、低級アルキル又はQ−(CH 2 ) k −(ここで、Qは低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ、又はシクロアルキル基であり、kは0〜3の整数である)であり、互いに環を形成していてもよく、Mは金属である。 - 下記一般式(2)’で示される請求項4に記載のS−グリコシル化クロリン誘導体。
R5及びR6は、互いに独立して水素原子、低級アルキル又はQ−(CH 2 ) k −(ここで、Qは低級アルキル、アリール、アミノ、低級アルキルアミノ、イミノ、低級アルキルイミノ、又はシクロアルキル基であり、kは0〜3の整数である)であり、互いに環を形成していてもよく、Mは金属である。 - 前記(2)’式中、X1、X2、X3、及びX4は、グルコース−S−である請求項5に記載のクロリン誘導体。
- 前記金属Mが遷移金属である請求項4〜6のいずれかに記載のクロリン誘導体。
- 前記金属Mが、Pt、Pd、及びAuからなる群より選ばれる1種である請求項4〜6のいずれかに記載のクロリン誘導体。
- 前記グルコースは、D体である請求項1〜8のいずれかに記載のクロリン誘導体。
- 請求項1〜9のいずれかの化合物を有効成分として含有する医薬。
- 請求項1〜9のいずれかの化合物を有効成分として含有する、腫瘍又は固形癌の光線力学的治療用剤。
- 請求項1〜9のいずれかの化合物を有効成分として含有する、皮膚病の光線力学的治療用剤。
- 請求項1〜9のいずれかの化合物を有効成分として含有し、製薬学的に許容できる固体又は液体状の担体又は賦形剤を含有する医薬組成物。
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