JP5287669B2 - 真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法 - Google Patents

真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法 Download PDF

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本発明は、太陽電池や液晶表面素子等に用いられる低抵抗の酸化物透明導電膜を、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の真空蒸着法で製造する際に原料として使用される酸化物ペレットに係り、特に、高さ寸法が比較的高くかつ相対密度が抑制された真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを歩留まりよく量産できる製造方法に関するものである。
この種の酸化物透明導電膜は高い導電性と可視光領域での高い透過率を有するため、近年、太陽電池、発光ダイオード等の光半導体装置、液晶表示装置(LCD)、有機電界発光(EL)表示装置等に幅広く用いられており、特に、透明電極としては、インジウム−錫酸化物(ITO)が主に用いられてきた。しかし、インジウム資源の枯渇が懸念される昨今、高価なインジウムを必須成分として含むITO膜に代わる次世代導電膜の期待が高まっている。そして、上記酸化物透明導電膜として、インジウム−錫酸化物(ITO)の他に、酸化錫(SnO)系や酸化亜鉛(ZnO)系が広く用いられている。中でも酸化亜鉛系導電膜の性能改善は著しく進んでおり、ガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛膜、すなわちZnO−GaはGZO膜と称され、ITO膜に近い低抵抗の酸化亜鉛系導電膜が得られるようになってきている。
ところで、上記酸化物透明導電膜を製造するにはスパッタリング法や真空蒸着法が利用される。そして、スパッタリング法により酸化物透明導電膜を製造する場合には、板状の蒸発材(ターゲットとも称される)が用いられ、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の真空蒸着法でGZOのような酸化物透明導電膜を製造する場合には、蒸着源としてGZOの蒸発材(GZOタブレット若しくはGZOペレットとも称される)が用いられる。
そして、高密度を必要とするスパッタリング用ターゲット材と異なり、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の真空蒸着法では、電子ビームやプラズマビームをペレットに照射してペレットを局所的に加熱する方法のため、高密度では熱衝撃に伴うペレットの割れが発生する。このため、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の真空蒸着法で用いる場合にはペレットの相対密度を下げる必要がある。
ここで、「相対密度」とは、原料粉の真密度から求めた理論密度に対する酸化物ペレットの密度の比率のことで、相対密度=(酸化物ペレットの密度/原料真密度)×100という式から求められる。
このようなペレットの製造方法として、例えば、特許文献1(特開2006−117462号公報)や特許文献2(特開2007−56351号公報)には、仮焼した原料粉末と未仮焼の原料粉末とを混合して混合粉末を調製し、得られた混合粉末を加圧成形した後、焼結することにより、相対密度が抑制された酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する方法が開示されている。
特開2006−117462号公報(請求項8、段落0040) 特開2007−56351号公報(請求項5、段落0037)
ところで、イオンプレーティング法等で用いられるGZOペレットの高さ(厚さ)は、特許文献2に記載されているように20mm程度である。そして、ペレットの高さが高いほど長時間蒸着に使用できるため高さの高いペレットが望まれているが、特許文献1〜2に開示されている仮焼粉末と未仮焼粉末を混合して酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する公知の方法ではせいぜい40mmが限界であった。
そして、特許文献1〜2に開示された方法で、例えば高さ60mm以上で相対密度が抑制されたGZOペレットを製造しようとすると、仮焼粉末と未仮焼粉末の混合粉末を機械プレス等で加圧成形したときに成形体にクラックやカケが生じ易く、目視でクラック等が確認できない場合も、焼結後においてクラックやカケが確認される問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、高さ寸法が40mmを超えかつ相対密度が抑制(具体的には相対密度が50%以上70%以下)された真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを歩留まりよく量産可能な製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を行なった結果、特許文献1〜2に記載された方法とは異なる酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法を見出すと共に、その製造条件を調整することにより、例えば高さ60mm以上で相対密度が抑制されかつクラックやカケの無い真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造できる方法を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
原料粉を液体媒体に分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第一造粒粉を製造する第一工程と、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造する第二工程と、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(未仮焼原料粉)を液体媒体に混合分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する第三工程と、得られた第二造粒粉を加圧して圧粉体を製造する第四工程と、得られた圧粉体を破砕して成形体用粉末を製造する第五工程と、得られた成形体用粉末を金型内で加圧成形して所定形状の成形体を製造する第六工程と、得られた成形体を焼成して高さ寸法が40mmを超えかつ相対密度が50%以上70%以下の真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する方法において、
第四工程において第二造粒粉に対する単位面積当りの加圧条件を50MPa以上150MPa以下に設定して圧粉体を製造し、かつ、第五工程において上記圧粉体を破砕して製造される成形体用粉末の嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下となるようにすると共に、第六工程において金型内での上記成形体用粉末に対する単位面積当りの加圧条件が100MPa以上200MPa以下となるようにして所定形状の成形体を製造することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法において、
上記成形体用粉末が充填される筒形状のキャビティを具備するダイと、筒形状を有するキャビティ内に上下方向からそれぞれ嵌入されると共にキャビティ内に充填された成形体用粉末を上下方向から加圧圧縮する上パンチ並びに下パンチとで第六工程における上記金型の主要部が構成され、かつ、加圧成形により製造されたキャビティ内の成形体を上パンチ並びに下パンチとで挟持した状態で上記ダイを下降させ、その後上パンチを上昇させてから上記成形体を取り出すことを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法において、
上記酸化亜鉛系酸化物ペレットの高さが60mm以上であることを特徴とする。
本発明に係る真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法によれば、
原料粉を液体媒体に分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第一造粒粉を製造する第一工程と、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造する第二工程と、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(未仮焼原料粉)を液体媒体に混合分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する第三工程と、得られた第二造粒粉を加圧して圧粉体を製造する第四工程と、得られた圧粉体を破砕して成形体用粉末を製造する第五工程と、得られた成形体用粉末を金型内で加圧成形して所定形状の成形体を製造する第六工程と、得られた成形体を焼成して酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する各工程を具備し、かつ、上記第四工程において第二造粒粉に対する単位面積当りの加圧条件を50MPa以上150MPa以下に設定して圧粉体を製造し、第五工程において上記圧粉体を破砕して製造される成形体用粉末の嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下となるようにすると共に、第六工程において金型内での上記成形体用粉末に対する単位面積当りの加圧条件が100MPa以上200MPa以下となるようにして所定形状の成形体を製造してため、得られる成形体に不具合(クラックやカケの発生等)が起こり難く、高さ寸法が40mmを超えかつ相対密度が50%以上70%以下の真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを歩留まりよく安定して量産することが可能となる。
酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造工程を示す説明図。 金型内での成形体用粉末の成形方法と得られた成形体を金型から取り出す方法を示す第六工程の説明図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図1は、本発明に係る酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造工程を示し、原料粉を液体媒体に分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第一造粒粉を製造する第一工程と、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造する第二工程と、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(未仮焼原料粉)を液体媒体に混合分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する第三工程と、得られた第二造粒粉を加圧して圧粉体を製造する第四工程と、得られた圧粉体を破砕して成形体用粉末を製造する第五工程と、得られた成形体用粉末を金型内で加圧成形して所定形状の成形体を製造する第六工程と、得られた成形体を焼成(焼結)して酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する工程を示している。
そして、図1に示された工程により製造され、かつ、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の各種真空蒸着法に用いられる上記酸化亜鉛系酸化物ペレットについては、酸化物ペレットの密度が原料真密度に対し相対密度で50%以上70%以下であることを要する。ここで、上記酸化物ペレットの密度とは、製造された酸化亜鉛系酸化物ペレットの質量、高さ、直径といった外形寸法の計測から計算された密度をいう。
そして、電子ビーム蒸着法やイオンプレーティング法等の各種真空蒸着法においては、酸化亜鉛系酸化物ペレット表面の一部分に電子ビームが照射され、局所的に加熱されて蒸発物が発生し成膜が行われる。このとき、酸化亜鉛系酸化物ペレットの相対密度が50%未満であると、異常放電や強度不足のためクラックや割れが起こり易くなる。反対に、酸化亜鉛系酸化物ペレットの相対密度が70%を越えると、電子ビームの投入時に、上記酸化亜鉛系酸化物ペレットの局部に発生した応力や歪みを吸収することができず、クラックが生じ易くなる。従って、酸化亜鉛系酸化物ペレットの相対密度は、50%以上70%以下であることを要する
そして、例えばペレットの高さ60mm以上でかつ相対密度が50%以上70%以下の酸化亜鉛系酸化物ペレットを本発明に係る製造方法により製造する場合、上述した焼結前における成形体の不具合(クラックやカケの発生等)を減少させるためには、本発明者等の実験から、適用する成形体用粉末の嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下とし、金型中での上記成形体用粉末に対する単位面積当りの加圧条件が100MPa以上200MPa以下となるようにして成形体を製造することが効果的であることを見出した。より具体的に説明すると、この種の酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する場合、相対密度が所望の範囲(50%以上70%以下)に収まっていることに加えて、酸化亜鉛系酸化物ペレットの寸法が規格に収まっている必要がある。このため、金型中での成形体用粉末に対する成形圧が一定となるような制御ではなく、プレス機のストローク制御により成形体を作っている(規格により同一寸法の成形体とするため)。そして、プレス機のストローク制御で成形体を得、この成形体を焼結して酸化亜鉛系酸化物ペレットとする製法において、上記ストローク制御に伴う成形圧が100MPa以上200MPa以下にならないと後述する理由から歩留まりの向上が図れないため、金型中での成形体用粉末に対する成形圧が200MPaを超えてしまうような嵩密度が1.4g/cm3未満の成形体用粉末の適用は好ましくなく(嵩密度が1.4g/cm3未満の成形体用粉末を所定量金型内に充填すると、金型内における成形体用粉末の容積が嵩張るため、ストローク制御で成形体を得る場合に成形圧が200MPaを超えてしまう)、また、金型中での成形体用粉末に対する成形圧が100MPa未満となるような嵩密度が2.0g/cm3を越える成形体用粉末の適用も好ましくない(嵩密度が2.0g/cm3を越える成形体用粉末を所定量金型内に充填すると、金型内における成形体用粉末の容積が小さいため、ストローク制御で成形体を得る場合に成形圧が100MPa未満となる)ことを見出すに至った。ここで、成形体用粉末の嵩密度とは、150mlのメスシリンダーに成形体用粉末を100g入れ、タッピングせずに容積を読み取りかつ成形体用粉末の重量を割った値である。すなわち、嵩密度=(成形体用粉末の重量/メスシリンダーにおける容積)からなる値である。
そして、図1に示す本発明に係る酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法では、原料粉の主成分である酸化亜鉛粉末に酸化ガリウム粉末を湿式混合した(すなわち、これ等原料粉を液体媒体に混合分散させてスラリーとした)後、噴霧乾燥して第一造粒粉を製造し、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造すると共に、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末)を液体媒体に一定の割合で混合分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する。次に、得られた第二造粒粉に対し、単位面積当り50MPa以上150MPa以下の圧力を掛けて圧粉体とし、更にこの圧粉体を粉砕し、篩で粒径を調整して成形体用粉末を得る。
このとき、50MPa未満の圧力で圧粉体とすると、粉砕を行い成形体用粉末としたとき、嵩密度が1.4g/cm3未満となり、金型内における成形体用粉末の容積が嵩張るため、任意の寸法に加圧成形し、成形体を得る際の圧力が200MPaを越える必要となる。そして、200MPaを越える成形圧で成形し、圧力を解除した場合、スプリングバックにより成形体にクラックやカケが発生し易くなるため、歩留まりの向上が図れない。
他方、150MPaを超える圧力で圧粉体とすると、粉砕を行い成形体用粉末としたとき、嵩密度が2.0g/cm3を越えてしまう結果、金型内における成形体用粉末の容積が小さくなるため、任意の寸法に加圧成形し、成形体を得る際の圧力が100MPa未満となる。そして、100MPa未満の成形圧で成形した場合、成形した成形体の強度が低く、ハンドリング中の成形体の破損や焼結中のクラックやカケが発生し易くなるため、歩留まりの向上が図れない。
次に、本発明に係る製造方法をより具体的に説明すると、上述した原料粉(酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末)に、純水、有機バインダーとしてポリビニルアルコール、分散剤としてアクリル酸系アミン塩を混合してスラリーを得、このスラリーを、例えば、スプレードライヤー等により、噴霧し、乾燥させることにより第一造粒粉を製造し、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造すると共に、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末)を液体媒体に一定の割合で混合分散させてスラリーとし、同様の方法によりスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する。
そして、得られた第二造粒粉に対し、単位面積当り50MPa〜150MPaの圧力を掛けて圧粉体とし、この圧粉体を粉砕し、篩で粒径を調整して嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下の成形体用粉末を得る。更に、嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下の成形体用粉末を金型内に充填し、機械プレス法等により金型中の上記成形体用粉末に対し単位面積当り100MPa以上200MPa以下の圧力で加圧成形して所定形状の成形体を得、得られた成形体を焼成することにより酸化亜鉛系酸化物ペレットを得ることができる。尚、本発明に係る真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットにおいて、その焼結体密度(酸化亜鉛系酸化物ペレットの密度)が原料真密度に対し相対密度で50%以上70%以下であることを要する。かかる相対密度を達成するためには、上記成形体を焼成する工程において、焼成温度を1100℃以上とし、焼結保持時間を10〜20時間とすることが好ましい。
尚、第六工程における上記金型の主要部が、図2(A)〜(D)に示すように成形体用粉末4が充填される筒形状のキャビティ6を具備するダイ3と、筒形状を有するキャビティ6内に上下方向からそれぞれ嵌入されると共にキャビティ6内に充填された成形体用粉末4を上下方向から加圧圧縮する上パンチ1並びに下パンチ2とで構成される場合、加圧成形により製造されたキャビティ6内の成形体5を上パンチ1並びに下パンチ2とで挟持した状態で上記ダイ3を下降させ、その後上パンチ1を上昇させてから上記成形体5を取り出すこともクラックやカケの減少に大きく影響する。例えば、上パンチ1を上昇させた後にダイ3を下降させて成形体5の取り出すと、スプリングバックの影響でクラックやカケが発生し易くなる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
酸化ガリウムが1質量分含まれるように、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末99質量分と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末1質量分を秤量した。
次いで、上記酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末に、純水、ポリビニルアルコール、アクリル酸系アミン塩を、原料粉(酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末)濃度が60質量%になるよう調合し、ボールミル攪拌機で攪拌混合してスラリーを得た。
そして、得られたスラリーを、スプレードライヤー装置を用いて噴霧および乾燥し、平均粒径が約50μmである仮焼用GZO第一造粒粉を得た。
次に、得られたGZO第一造粒粉を、焼結炉において焼結温度1200℃、焼結保持時間を20時間として焼結を行い、GZO仮焼粉を得た。更に、GZO仮焼粉60質量%および未仮焼の上記原料粉(酸化亜鉛粉末99質量分と酸化ガリウム粉末1質量分から成る)40質量%となるよう湿式混合し、上述した方法と同様にして、スプレードライヤー装置を用いてスラリーを噴霧および乾燥し、平均粒径が約50μmである圧粉体用GZO第二造粒粉を得た。
次に、得られたGZO第二造粒粉を、CIP(冷間静水圧プレス)装置を用いて、常温にて147.1MPaの圧力で圧粉体を作製し、手粉砕にて粉砕を行い、かつ、目開き300μmの篩いを用いて成形体用粉末を得た。得られた成形体用粉末の嵩密度は1.52g/cm3であった。
そして、得られた成形体用粉末を、図2(A)〜 (D)に示す金型成型機を用いて加圧成形し、直径20mm、高さ60mmの円柱形状の成形体を10個得た。尚、成形体5の取り出しは、ダイ3のキャビティ6に充填された成形体用粉末4を上パンチ1と下パンチ2で加圧圧縮し、加圧が完了した成形体5を上パンチ1と下パンチ2によって挟んだ状態でダイ3を下降させ、その後上パンチ1を上昇させてから行った。また、このときの成形圧力は132〜155MPaでありクラック、カケは見られなかった。
次いで、得られた成形体を、1100℃、20時間で焼結してGZOペレットを得た。焼結したペレットの密度は3.39g/cm3で、相対密度は58.60%であった。また、得られたGZOペレットにクラック、カケは見られなかった。
尚、各実施例と比較例1に係る「酸化ガリウム含有量(wt%)」「仮焼粉含有量(wt%)」「仮焼温度(℃)」「圧粉体作製時圧力(MPa)」「成形体用粉末の嵩密度(g/cm3)「成形時圧力(MPa)」「焼結温度(℃)」「成形の可否」「成形時割れ不良」および「焼結後割れ不良」については、以下の表1にまとめて示す。
[実施例2]
酸化ガリウムが2質量分含まれるように、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末98質量分と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末2質量分を秤量した以外は実施例1と同様に行なって成形体用GZO粉末を得た。尚、得られた成形体用粉末の嵩密度は1.55g/cm3であった。
次いで、得られた成形体用GZO粉末を、図2(A)〜(D)に示す金型成型機を用いて実施例1と同様に加圧成形し、直径20mm、高さ60mmの円柱形状の成形体を10個得た。尚、このときの成形圧力は130〜160MPaであり、成形体にクラック、カケは見られなかった。
そして、得られた成形体を、1100℃、20時間で焼結してGZOペレットを得た。焼結したペレットの密度は3.40g/cm3で、相対密度は58.75%であった。また、得られたGZOペレットにクラック、カケは見られなかった。
[実施例3]
酸化ガリウムが3質量分含まれるように、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末97質量分と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末3質量分を秤量した以外は実施例1と同様に行なって成形体用GZO粉末を得た。尚、得られた成形体用粉末の嵩密度は1.66g/cm3であった。
次いで、得られた成形体用GZO粉末を、図2(A)〜(D)に示す金型成型機を用いて実施例1と同様に加圧成形し、直径20mm、高さ60mmの円柱形状の成形体を10個得た。尚、このときの成形圧力は127〜159MPaであり、成形体にクラック、カケは見られなかった。
そして、得られた成形体を、1100℃、20時間で焼結してGZOペレットを得た。焼結したペレットの密度は3.40g/cm3で、相対密度は58.70%であった。また、得られたGZOペレットにクラック、カケは見られなかった。
[実施例4]
酸化ガリウムが3質量分含まれるように、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末97質量分と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末3質量分を秤量した以外は実施例1と同様に行なって成形体用GZO粉末を得た。尚、得られた成形体用粉末の嵩密度は1.50g/cm3であった。
次いで、得られた成形体用GZO粉末を、図2(A)〜(D)に示す金型成型機を用いて実施例1と同様に加圧成形し、直径20mm、高さ60mmの円柱形状の成形体を10個得た。尚、成形体5の取り出しは、実施例1〜3で実施した方法と相違し、ダイ3のキャビティ6に充填された成形体用粉末4を上パンチ1と下パンチ2で加圧圧縮し、加圧が完了した後、上パンチ1と下パンチ2によって成形体5を挟持することなく上パンチ1を最初に上昇させ、次いでダイ3を下降させてから行った。また、このときの成形圧力は185〜191MPaであり、成形体5にクラック、カケは見られなかった。
そして、得られた成形体を、1100℃、20時間で焼結してGZOペレットを得た。焼結したペレットの密度は3.41g/cm3で、相対密度は58.81%であった。また、得られたGZOペレットのクラックやカケに関しては、10個中1個で発生していた。この原因は、加圧が完了した後の成形体5の取り出し方法について、実施例1〜3で実施した方法と異なり、上パンチ1を最初に上昇させ、次いでダイ3を下降させてから行ったためと思われる。
[比較例1]
酸化ガリウムが3質量分含まれるように、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末97質量分と平均粒径が1μm以下の酸化ガリウム粉末3質量分を秤量した以外は実施例1と同様に行なって、仮焼用GZO造粒粉を得た。
次いで、得られた仮焼用GZO造粒粉を焼結炉において、焼結温度1200℃、焼結保持時間を20時間として焼結を行い、GZO仮焼粉を得た。更に、GZO仮焼粉60質量%および未仮焼の上記原料粉(酸化亜鉛粉末97質量分と酸化ガリウム粉末3質量分から成る)40質量%となるよう湿式混合し、実施例1と同様に、スプレードライヤー装置を用いてスラリーを噴霧および乾燥し、仮焼粉と未仮焼粉とで構成されるGZO造粒粉を得た。尚、得られたGZO造粒粉の嵩密度は1.36g/cm3であった。
次に、得られたGZO造粒粉を用いて、一旦圧粉することなしに、実施例1と同様に金型成型機で加圧成形し、直径20mm、高さ60mmの円柱形状の成形体を10個得た。このときの成形圧力は541〜605MPaであり、10個の成形体中10個にクラック、カケが発生していた。
Figure 0005287669
本発明の製造方法によれば、高さ寸法が比較的高くかつ相対密度が抑制された酸化亜鉛系酸化物ペレットを歩留まりよく安定して量産できるため、太陽電池や液晶表示素子等に用いられる酸化亜鉛系酸化物透明導電膜を真空蒸着法により製造する際の酸化亜鉛系酸化物ペレットとして利用される産業上の利用可能性を有している。
1 上パンチ
2 下パンチ
3 ダイ
4 成形体用粉末
5 成形体
6 キャビティ

Claims (3)

  1. 原料粉を液体媒体に分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第一造粒粉を製造する第一工程と、得られた第一造粒粉を仮焼して仮焼粉を製造する第二工程と、得られた仮焼粉と未仮焼の上記原料粉(未仮焼原料粉)を液体媒体に混合分散させてスラリーとしかつこのスラリーを噴霧乾燥して第二造粒粉を製造する第三工程と、得られた第二造粒粉を加圧して圧粉体を製造する第四工程と、得られた圧粉体を破砕して成形体用粉末を製造する第五工程と、得られた成形体用粉末を金型内で加圧成形して所定形状の成形体を製造する第六工程と、得られた成形体を焼成して高さ寸法が40mmを超えかつ相対密度が50%以上70%以下の真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットを製造する方法において、
    第四工程において第二造粒粉に対する単位面積当りの加圧条件を50MPa以上150MPa以下に設定して圧粉体を製造し、かつ、第五工程において上記圧粉体を破砕して製造される成形体用粉末の嵩密度が1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下となるようにすると共に、第六工程において金型内での上記成形体用粉末に対する単位面積当りの加圧条件が100MPa以上200MPa以下となるようにして所定形状の成形体を製造することを特徴とする真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法。
  2. 上記成形体用粉末が充填される筒形状のキャビティを具備するダイと、筒形状を有するキャビティ内に上下方向からそれぞれ嵌入されると共にキャビティ内に充填された成形体用粉末を上下方向から加圧圧縮する上パンチ並びに下パンチとで第六工程における上記金型の主要部が構成され、かつ、加圧成形により製造されたキャビティ内の成形体を上パンチ並びに下パンチとで挟持した状態で上記ダイを下降させ、その後上パンチを上昇させてから上記成形体を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法。
  3. 上記酸化亜鉛系酸化物ペレットの高さが60mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の真空蒸着法用酸化亜鉛系酸化物ペレットの製造方法。
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