JPH11100660A - 蒸着用itoペレットおよびその製造方法 - Google Patents

蒸着用itoペレットおよびその製造方法

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JPH11100660A
JPH11100660A JP25978497A JP25978497A JPH11100660A JP H11100660 A JPH11100660 A JP H11100660A JP 25978497 A JP25978497 A JP 25978497A JP 25978497 A JP25978497 A JP 25978497A JP H11100660 A JPH11100660 A JP H11100660A
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JP
Japan
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sintering
ito
sintered
density
vapor deposition
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JP25978497A
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Kentaro Uchiumi
健太郎 内海
Tsutomu Takahata
努 高畑
Ryoji Yoshimura
了治 吉村
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いパワーの電子ビームを照射してもペレッ
トの割れが生じることのない蒸着用ITOペレットを提
供する。 【解決手段】 相対密度が90%以上のITO焼結体を
粉砕して得た、粒径0.5mm以下の顆粒を再度焼結さ
せて得られる、相対密度が60%以上80%以下のIT
O焼結体からなる蒸着用ITOペレット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空蒸着法によっ
てITO薄膜を作製する際に使用されるITO蒸着材料
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ITO(Indium Tin Oxi
de)薄膜は高導電性、高透過率といった特徴を有し、
更に微細加工も容易に行えることから、フラットパネル
ディスプレイ用表示電極、太陽電池用窓材、帯電防止膜
等の広範囲な分野に渡って用いられている。特に液晶表
示装置を始めとしたフラットパネルディスプレイ分野で
は近年大型化および高精細化が進んでおり、その表示用
電極であるITO薄膜に対する需要もまた急速に高まっ
ている。このようなITO薄膜の製造方法はスプレー熱
分解法、CVD法等の化学的成膜法と電子ビーム蒸着
法、スパッタリング法等の物理的成膜法に大別すること
ができる。真空蒸着法は、スプレー熱分解法などと比べ
て高い透過性および導電性を有すること、フィルム上へ
の成膜に有利なことからよく利用されている。
【0003】ITO薄膜を真空蒸着法によって、成膜す
る場合に用いられる蒸着材料は大きく2種類に分類され
る。1つは、1粒子の大きさが直径で5mm程度の粒か
らなる蒸着材料であり、もう1つは例えば直径30mm
高さ10mm程度のペレット状のものである。粒状のも
のは、例えばロート状の貯蔵用容器を有する給粉機に蒸
着材を充填し、蒸着材を適量ずつ蒸発源に供給して電子
ビーム加熱することにより所望の基板上にITO薄膜を
形成することができる。また、ペレット状のものでは、
坩堝にペレットを設置した状態で、電子ビーム加熱する
ことにより所望の基板上にITO薄膜を形成することが
できる。
【0004】蒸着材料としてペレット状のものを利用し
た場合、ペレットの密度が低いときには、電子ビームを
照射した際に、材料が表面から蒸発していくのと同時に
ペレットの焼結が急激に起こり、部分的なペレットの収
縮により、ペレットが破損するという問題点があった。
【0005】逆に、ペレット状の蒸着材料の焼結密度が
高い場合には、電子ビームを照射した際に、ペレットの
部分的な加熱による熱衝撃によりペレットが破損すると
いう問題点があった。
【0006】近年、ITO薄膜の生産性を向上すること
を目的として、短時間に所望の膜厚を有する薄膜を得る
ために、ペレットに照射される電子ビームのパワーが増
加する傾向にあり、上記問題点が顕著となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
パワーの電子ビームを照射しても、破損の起こらない真
空蒸着用ITOペレットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、蒸着用I
TOペレットの密度とペレットの破損の有無およびその
原因について検討を行い、1)蒸着用のITOペレット
の密度が90%以下の場合、電子ビーム照射時に、電子
ビームが照射された部分で部分的な焼結が発生し、焼結
時の収縮によるペレットの破損が発生しやすい、2)蒸
着用のITOペレットの密度が90%以上の場合、電子
ビーム照射時に、電子ビームが照射された部分のみが加
熱され、熱衝撃によるペレットの破損が発生しやすい、
との知見を得た。
【0009】そこで以上の知見を基に、ペレットの原料
粉末および焼結密度とペレットの破損の有無の関係に着
目してさらに実験を行った結果、ITO粉末を一度90
%以上の高密度に焼結させた後、前記焼結体を砕いて直
径0.5mm以下の顆粒とした後、えられた顆粒を再度
焼結して60%以上、80%以下の焼結体とすることに
より、高いパワーの電子ビームを照射しても破損しない
ことを見いだし、本発明を完成した。
【0010】即ち本発明は、実質的にインジウム、スズ
および酸素からなる相対密度60%以上、80%以下の
蒸着用ITOペレットであって、該ペレットは、直径
0.5mm以下の顆粒より構成され、該顆粒の1つ1つ
が90%以上の相対密度を有することを特徴とするIT
O成膜用の蒸着用ITOペレットおよびその製造方法に
関する。
【0011】本発明の蒸着用ITOペレットは、相対密
度が90%以上のITO焼結体を粉砕して得た、粒径
0.5mm以下の顆粒を再度焼結させて得られる、相対
密度が60%以上80%以下のITO焼結体からなる蒸
着用ITOペレットである。なお、本発明におけるIT
O焼結体の相対密度(「密度」とも略称する)とは、I
TOの理論密度(7.156g/cm3)に対するIT
O焼結体の実測密度を百分率で表記したものである。
【0012】また、本発明の蒸着用ITOペレットは、
これを構成するITO焼結体の焼結体全体としての相対
密度が60%以上80%以下であり、前記ITO焼結体
は粒径が0.5mm以下の粒子の焼結体であり、前記粒
径が0.5mm以下の粒子は相対密度が90%以上のI
TO焼結体の粒子であることを特徴とする蒸着用ITO
ペレットである。
【0013】なお、本発明におけるITO焼結体は、実
質的にインジウム、スズおよび酸素からなるものであ
り、微量の添加物または不純物等を含むものであっても
良い。
【0014】さらに、本発明の蒸着用ITOペレットの
製造方法は、実質的にインジウム、スズおよび酸素から
なる粉末を、相対密度が90%以上の焼結体に焼結させ
る工程と、得られた相対密度が90%以上の焼結体を粒
径が0.5mm以下の顆粒に粉砕する工程と、粉砕され
た粒径が0.5mm以下の顆粒を相対密度60%以上8
0%以下の焼結体に焼結する工程とを有する蒸着用IT
Oペレットの製造方法である。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明におけるITOペレットは、2段階
の焼結工程によって得ることができる。
【0017】1段階目の焼結工程では、90%以上の相
対密度を有する焼結体を作製する。作製方法としては、
得られる密度が90%以上であれば、特に限定されるも
のではないが、例えば、以下のような方法で製造するこ
とができる。
【0018】始めに酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末
との混合粉末或いはITO粉末等にバインダー等を加
え、プレス法或いは鋳込法等の成形方法により成形して
ITO成形体を作製する。この際、使用する粉末の平均
粒径が大きいと焼結後の密度が充分に上がらず本発明に
関わる密度90%以上の焼結体を得難くなることがある
ので、使用する粉末の平均粒径は1.5μm以下である
ことが望ましく、更に好ましくは0.1〜1.5μmで
ある。
【0019】また、混合粉末またはITO粉末中の酸化
スズ含有量は、真空蒸着法により薄膜を作製した際に比
抵抗が低下する2〜15wt.%とすることが望まし
い。
【0020】次に得られた成形体に必要に応じて、CI
P等の圧密化処理を行う。この際CIP圧力は充分な圧
密効果を得るため2ton/cm2以上、好ましくは2
〜5ton/cm2であることが望ましい。ここで始め
の成形を鋳込法により行った場合には、CIP後の成形
体中に残存する水分およびバインダー等の有機物を除去
する目的で脱バインダー処理を施してもよい。また、始
めの成形をプレス法により行った場合でも、成型時にバ
インダーを使用したときには、同様の脱バインダー処理
を行うことが望ましい。
【0021】このようにして得られた成形体を焼結炉内
に投入して焼結を行う。焼結方法としては、焼結体の密
度が90%以上となる焼結方法であればいかなる方法で
も良いが、生産設備のコスト等を考慮すると大気中焼結
が望ましい。しかしこの他HP法、HIP法および酸素
加圧焼結法等の従来知られている他の焼結法を用いるこ
とができることは言うまでもない。また焼結条件につい
ても焼結体の密度が90%以上となる焼結条件を適宜選
択することができるが、充分な密度上昇効果を得るた
め、また酸化スズの蒸発を抑制するため、焼結温度が1
450〜1650℃であることが望ましい。また焼結時
の雰囲気としては大気或いは純酸素雰囲気であることが
好ましい。また焼結時間についても充分な密度上昇効果
を得るために5時間以上、好ましくは5〜30時間であ
ることが望ましい。
【0022】次に、得られた焼結体を乳鉢、ロールクラ
ッシャーまたはジョークラッシャー等により、その粒径
が1mm以下となるように粗粉砕する。
【0023】このようにして得られた粉末をボールミル
等により微粉砕する。得られた粉末は、直径0.5mm
以下好ましくは0.2mm以下、且つBET値は0.1
2/g以上である。
【0024】またボールミルで微粉砕する場合には、ナ
イロンコーティングしたボールもしくはジルコニアボー
ルが好ましい。このようなボールを使用することによ
り、得られる粉末に混入する不純物が少なくなる。アル
ミナボールを使用した場合には、得られる粉末にアルミ
ナが多量に混入し好ましくない。
【0025】次に、得られた顆粒に必要に応じてバイン
ダーを加えプレス法により成形してITO成形体を作製
する。次に得られた成形体に必要に応じてCIP等の圧
密化処理を行う。この際CIP圧力は充分な圧密効果を
得るため2ton/cm2以上、好ましくは2〜5to
n/cm2であることが望ましい。ここで成型時にバイ
ンダーを使用したときには、脱バインダー処理を行う。
脱脂温度は400〜500℃とするのが好ましい。40
0℃未満では、充分な脱脂効果が得られずバインダーの
残留が起こり、500℃を越えると不必要にエネルギー
と時間を浪費するからである。
【0026】このようにして得られた成形体を焼結炉内
に投入して焼結を行う。焼結方法としては、焼結密度が
60%以上80%以下となれば、いかなる方法でも良い
が、生産設備のコスト等を考慮すると大気中焼結が望ま
しい。また、焼結条件についても特に限定されないが、
酸化スズの蒸発を抑制するため、焼結温度は1400〜
1600℃であることが望ましい。また焼結時の雰囲気
としては大気或いは純酸素雰囲気であることが好まし
い。
【0027】このようにして焼結された焼結体の密度
は、60〜80%となる。
【0028】このようにして得られた焼結体は、所望の
形状に研削加工し、蒸着用ITOペレットとすることが
できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】実施例1 平均粒径1.3μmの酸化インジウム粉末と平均粒径
0.7μmの酸化スズ粉末をボールミル用ポットに入
れ、これに直径10mmのナイロンボールを加え、5時
間乾式ボールミル混合して混合粉末を作製した。次に得
られた混合粉末を水、分散材およびバインダーとともに
混合してスラリー化し、これを鋳込用の樹脂型の中へ注
入して240mmφ×10mmの成形体を作製した。次
に、この成形体を乾燥炉内に設置し乾燥処理を施した。
その後この成形体を3ton/cm2の圧力でCIP処
理した。次にこの成形体を脱脂炉に設置し、大気雰囲気
中で450℃で10時間加熱して成形体に残存する有機
物を除去した。次に、この成形体を大気焼結炉内に設置
して焼結を行った。焼結条件は、昇温速度25℃/時
間、焼結温度1450℃、保持時間3時間、降温速度2
5℃/時間とした。得られた焼結体の密度をアルキメデ
ス法により測定したところ90.6%であった。
【0031】このようにして得られたITO焼結体をロ
ールクラッシャーにより粗粉砕し、粒度1.0mm以下
の粒にした。次に、1.0mm以下の粒度を有する粒2
kgとジルコニアボール(15mmφ)を容量2リット
ルのポットに入れ16時間ボールミルにより微粉砕し、
粒度0.5mm以下の顆粒とした。
【0032】得られた顆粒に2.0wt.%のポリビニ
ルアルコールを添加、混合した後、40mmφの金型に
入れ、300kg/cm2の圧力でプレスして成形体を
作製した。
【0033】次に、得られた成形体に3ton/cm2
の圧力でCIP処理を施した後、酸素雰囲気焼結炉内に
設置して脱脂を行った。脱脂条件は、昇温速度5℃/時
間、脱脂温度450℃、保持時間2時間、降温速度5℃
/時間とした。
【0034】このようにして得られた成形体を電気炉に
いれて純酸素雰囲気中で焼結を行った。焼結条件は、昇
温速度50℃/時間、焼結温度1400℃、保持時間3
時間、降温速度25℃/時間とした。得られた焼結体の
密度をアルキメデス法により測定したところ74%であ
った。
【0035】得られた焼結体を30mmφ×8mmに加
工して、蒸着用ITOペレットを得た。このペレットを
蒸着装置の坩堝にモリブデン製のハースライナーを介し
て設置し、電子ビーム蒸着を行った。成膜条件は、加速
電圧10kV、成膜速度40A/sec.とした。
【0036】蒸着用ペレットの破損は発生しなかった。
【0037】比較例1 平均粒径1.3μmの酸化インジウム粉末と平均粒径
0.7μmの酸化スズ粉末をボールミル用ポットに入
れ、これに直径10mmのナイロンボールを加え、5時
間乾式ボールミル混合して混合粉末を作製した。
【0038】得られた粉末に2.0wt.%のポリビニ
ルアルコールを添加、混合した後、40mmφの金型に
入れ、300kg/cm2の圧力でプレスして成形体を
作製した。
【0039】次に得られた成形体に、3ton/cm2
の圧力でCIP処理を行った。次にこれら成形体を脱脂
炉に設置し、大気雰囲気中で450℃で10時間加熱し
て成形体に残存する有機物を除去した。次に、これら成
形体を大気焼結炉内に設置して焼結を行った。焼結条件
は、昇温速度25℃/時間、焼結温度1450℃、保持
時間3時間、降温速度25℃/時間とした。得られた焼
結体の密度をアルキメデス法により測定したところ9
0.6%であった。
【0040】得られた焼結体を30mmφ×8mmに加
工して、蒸着用ITOペレットを得た。このペレットを
蒸着装置の坩堝にモリブデン製のハースライナーを介し
て設置し、電子ビーム蒸着を行った。成膜条件は、加速
電圧10kV、成膜速度40A/sec.とした。
【0041】蒸着用ペレットに破損が生じた。
【0042】比較例2 平均粒径2.6μmの酸化インジウム粉末と平均粒径
1.2μmの酸化スズ粉末をボールミル用ポットに入
れ、これに直径10mmのナイロンボールを加え、5時
間乾式ボールミル混合して混合粉末を作製した。
【0043】得られた粉末に2.0wt.%のポリビニ
ルアルコールを添加、混合した後、40mmφの金型に
入れ、300kg/cm2の圧力でプレスして成形体を
作製した。
【0044】次に得られた成形体に、3ton/cm2
の圧力でCIP処理を行った。次にこれら成形体を脱脂
炉に設置し、大気雰囲気中で450℃で10時間加熱し
て成形体に残存する有機物を除去した。次に、これら成
形体を大気焼結炉内に設置して焼結を行った。焼結条件
は、昇温速度25℃/時間、焼結温度1400℃、保持
時間1時間、降温速度25℃/時間とした。得られた焼
結体の密度をアルキメデス法により測定したところ7
0.5%であった。
【0045】得られた焼結体を30mmφ×8mmに加
工して、蒸着用ITOペレットを得た。このペレットを
蒸着装置の坩堝にモリブデン製のハースライナーを介し
て設置し、電子ビーム蒸着を行った。成膜条件は、加速
電圧10kV、成膜速度40A/sec.とした。
【0046】蒸着用ペレットに破損が生じた。
【0047】
【発明の効果】本発明の蒸着用ITOペレットを用いる
ことにより、高いパワーの電子ビームを照射してもペレ
ットの割れが生じることがなく、薄膜を形成することが
可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にインジウム、スズおよび酸素か
    らなる相対密度60%以上80%以下の蒸着用ITOペ
    レットであって、該ペレットは、直径0.5mm以下の
    顆粒より構成され、該顆粒の1つ1つが90%以上の相
    対密度を有することを特徴とする蒸着用ITOペレッ
    ト。
  2. 【請求項2】 実質的にインジウム、スズおよび酸素か
    らなる粉末を、90%以上の密度に焼結させる工程と、
    90%以上の密度に焼結された焼結体を直径0.5mm
    以下の顆粒に粉砕する工程と、粉砕された0.5mm以
    下の顆粒を相対密度60%以上80%以下に焼結する工
    程とからなる蒸着用ITOペレットの製造方法。
JP25978497A 1997-09-25 1997-09-25 蒸着用itoペレットおよびその製造方法 Pending JPH11100660A (ja)

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