JP2014091635A - 酸化物焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 IGZO系の未焼成成形体の焼成時に割れの発生がなく、特に大型サイズのターゲットにおいて割れのない高い歩留まり率を実現するスパッタリングターゲットの焼成条件を低コストにて提供することにある。
【解決手段】 酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含んでなる大型成形体を焼成する複合酸化物の製造方法において、前記成形体の特定温度領域における体積膨張率が制御されており、前記特定温度領域における昇温速度を200℃/h以下として焼成することを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主にインジウム、ガリウム、亜鉛、酸素から構成される酸化物半導体膜用スパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
いくつかの金属複合酸化物からなる酸化物半導体膜は、高移動度性と可視光透過性を有し、液晶表示装置、薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置などのスイッチング素子や駆動回路素子などの用途に使用されている。特に、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛を含む酸化物又はこれらを主成分とする酸化物半導体膜は、アモルファスシリコン膜よりも移動度が大きいという利点があり、高移動度が求められる有機EL用TFT素子用途として応用が進んでいる。
このような酸化物半導体膜の形成には、例えば、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛の各原料粉末を混合、成形、焼成することによって得られる焼結体を所望の形状に加工することにより得られるスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により形成される(例えば、特許文献1参照)。スパッタリング法は大面積の均一成膜性能に優れ、量産に最適な成膜プロセスである。
しかし、このような酸化物半導体膜形成に使用する酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛を主成分とする複合酸化物薄膜(以下、IGZO系薄膜と表記)の実用化が進んだことにより、粉末を成形した後に行う焼成工程における割れの問題が深刻化してきている。ターゲットの形状も利用効率の高さから平板形状から円筒形状のターゲットへと移り変わってきているが、量産サイズの円筒形状の成形体は、平板形状のもの以上に、焼成時における割れの問題が深刻である。IGZO系焼結体は、InGaZnOで表される層状の構造を持つホモロガス結晶構造を含むことが多く、層状構造に起因する異方性のために異常な粒成長が発生しやすい為、焼結体強度が極端に低い傾向にある。
また、一般に焼結体強度は焼結体の密度と相関があり、焼結体密度が高いほうが焼結体強度も高い傾向がある。しかし、InGaZnO単一結晶相は焼結体密度を上昇させにくい結晶相であり(例えば、特許文献2参照)、IGZO系焼結体の焼成時の割れ、特に大型サイズの焼成割れを解決するための根本対策とはなっておらず、焼成過程における割れ発生メカニズムに関する詳細な解析はこれまで全くなされていないのが現状である。
特開2007−73312号公報 国際公開11/061939号パンフレット
本発明の目的は、IGZO系の未焼成成形体の焼成時に割れの発生がなく、特に大型サイズのターゲットにおいて割れのない高い歩留まり率を実現するスパッタリングターゲットの焼成条件を低コストにて提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛の各酸化物を混合させて得られた複合酸化物成形体の焼結挙動と、昇温途中の段階で新たに形成される結晶相について詳細な解析を行い、割れの発生原因について解析を行った。その結果、昇温過程において酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛よりなる複合酸化物から形成される結晶相の一部は、激しい体積膨張を伴うことを突き止め、この体積膨張時に、割れが多発していることを見出した。また、成形体の体積膨張は、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛の各酸化物粉末の粉砕状態および混合状態等の処理状態によって変化することを見出した。本発明は、粉砕および混合状態等の処理条件および体積膨張を伴う温度域の焼成条件を最適化することにより、焼結体の割れ発生率を大幅に低減することを目的とする。
本発明の態様は、以下の通りである。
(1)ターゲット面の面積が1500cm以上かつ厚さ6mm以上である平板形状、または、外径が140mm以上かつ長さが250mm以上であり、厚さが6mm以上の円筒形状である、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含んでなる成形体を焼成する複合酸化物焼結体の製造方法において、前記成形体の300〜750℃の温度領域における体積膨張率の最大値が0.2%以上2.1%以下、かつ1000〜1200℃の温度領域における体積膨張率の最大値が−2.0%以上%以上4.2%以下であり、300〜750℃および1000〜1200℃の温度領域における昇温速度を200℃/h以下として焼成することを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法。
(2)300〜750℃の温度領域における昇温速度を150℃/以下、かつ、1200℃から保持温度までの昇温速度を170℃/h以上とし、保持温度を1300〜1450℃とすることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
本発明はターゲット面の面積が1500cm以上かつ厚さ6mm以上である平板形状、または、外径が140mm以上かつ長さが250mm以上であり、厚さが6mm以上の円筒形状である、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含んでなる成形体を焼成する複合酸化物焼結体の製造方法に関するものである。本発明におけるターゲット面の面積とは、スパッタリングされる側の焼結体表面の面積を言う。
本発明者らは、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛粉末の混合粉末を用い、成形体を様々な温度域で焼成温度途中での相状態について解析を行った。その結果、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛混合粉末からなる成形体は、本格的な焼結収縮が進む前段階で複数の温度領域で様々な結晶相を形成し、その一部は成形体の一時的な体積膨張を伴うことを突き止めた。酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛混合粉末をそれぞれインジウム、ガリウム、亜鉛の元素比で1:1:1となるように混合した原料粉末においても、昇温によりInGaZnO相が直接形成されるのではなく、途中複数の温度域にて中間的結晶相が形成され、この中間的結晶相を経て、InGaZnO相となることを突き止めた。この温度域のうち、主要なものは以下の3つの温度域である。
(I) 300℃〜750℃、(II) 1000℃〜1150℃、(III) 1150℃〜1200℃
(I)の300℃〜750℃の温度域では、X線解析より酸化ガリウムと酸化亜鉛の反応物(主にZnGa)と思われる結晶相の形成が認められることから、主にこの結晶相の形成に伴う体積膨張と推察される。(II)の1000℃〜1150℃の温度域では、前記化合物の一部が酸化インジウムと反応し、InGaZnやInGaZnO等のインジウムーガリウムー亜鉛複合酸化物を形成することによる体積膨張であると推察される。さらに、(III)の1150℃〜1200℃の温度域においては、前記インジウムーガリウムー亜鉛複合酸化物が更に別の結晶相、主にInGaZnO等の化合物に相変化する結果として体積膨張が発生するものと推察される。
焼結収縮前の体積膨張による割れの発生メカニズムは、体積膨張によって、成形体全体の密度低下が発生する為、成形体強度が極端に低くなることによって起こると推察される。例えば、ターゲット面の面積が数百cm程度の成形体サイズが小さいものあれば体積膨張が原因で割れが発生する確率はきわめて低いが、ターゲット面の面積が1500cm以上で厚さが6mである平板形状、または、外径が140mm以上かつ長さが250mm以上であり、厚さが6mm以上の円筒形状である場合、焼成工程における割れのリスクが急激に上昇する。ターゲット焼成に一般的に用いられる電気炉は、炉内外周に設置されたヒータが発生する熱の電熱により、成形体を加熱する機構である。この為、成形体サイズが大きくなると、焼成時に発生する成形体の内外の温度差が生じ易くなり、焼成割れによる歩留まり悪化が顕著となる。さらに円筒形状の成形体の焼成では、平板形状が自由なそりや変形によって応力緩和が比較的容易であるのに対し、円筒形状は変形による応力の緩和が困難であり、割れやすくなる。
本発明では昇温時に発生する成形体の体積膨張を体積膨張率として表現する。本発明における体積膨張率とは、以下の手順にて算出される値である。サンプルは、直径28〜30mm、厚さ6〜8mmの形状、大きさの成形体を使用し、箱型電気炉や管状炉等を用い、任意の焼成温度Tにて焼成を行う。体積膨張率は焼成前の直径をL、焼成温度Tにおける当該直径Lよりα=(L−L)/L×100(%)として算出される。本願では、サンプルは2000kg/cmにて冷間静水圧成形(CIP)を行ったものを使用したが、1000〜3500kg/cmの範囲内であれば、特に体積膨張率の値に大きな変化はなく、任意に設定可能である。焼成温度Tにおける体積膨張率計算には、昇温速度および降温速度を共に100℃/h、温度Tでの保持時間を1時間とし、雰囲気は大気雰囲気にて焼成を行い、焼成後のサンプル寸法Lを計測することにより算出する。焼成温度Tを100℃から20℃刻みで1400℃まで作成し、各温度Tにおける体積膨張率をプロットし、スムージングすることにより、体積膨張率プロファイルを得る。
本発明者らは、体積膨張率と焼成時の割れの関係について鋭意検討を重ねた結果、前記(I)の温度域における体積膨張率の最大値が0.2%以上2.1%以下、かつ前記(II)および(III)の温度域における体積膨張率の最大値が−2.0%以上%以上4.2%以下である成形体においては、大型サイズの成形体の焼成時の割れが、大幅に低減することを突き止めた。
以下、本発明に係るターゲットの製法についてさらに詳述する。
原料粉末は、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛粉末等を用いる。原料組成については特に制限は無く、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛粉末以外に他の元素が追添加されていても構わないが、インジウム:ガリウム:亜鉛の元素比で1:1:1となるように原料を秤量する(In、Ga、ZnOの酸化物比でそれぞれ44wt%、30wt%、26wt%)ことが好ましい。これらの粉末の比表面積および平均粒径は、次工程である粉砕混合処理によって調整可能である為特には限定されないが、粉砕混合処理の負担低減と取扱性を考慮し、各原料の比表面積および平均粒径は、2.0〜13m/gおよび0.7〜1.5μmであることが好ましい。
次に、これらの原料粉末を粉砕・混合する。原料混合方法は、乾式法であっても湿式法であっても構わないが、混合・粉砕能力において優れる湿式方法がより好ましい。湿式法は、一般的に乾式法に比べ、粉砕および混合能力に優れた手法である。湿式法の具体例としては、その粉砕能力および混合能力の高さから、ビーズミル湿式粉砕・混合が一般的である。
粉砕処理によって、処理後の粉末より作成した成形体の体積膨張率が、300〜750℃の温度領域における体積膨張率の最大値が0.2%以上2.1%以下、かつ1000〜1200℃の温度領域における体積膨張率の最大値が−2.0%以上%以上4.2%以下となるまで処理を行う。ここで1000〜1200℃の温度領域における体積膨張率が負の値となり得るのは、900℃〜1000℃の温度域にて、成形体が若干の焼成収縮を示すことによるものである。その後の1000〜1200℃の温度域では体積膨張するものの、先の焼成収縮がより大きい場合には、体積膨張率は負の値となることもある。
300〜750℃の温度領域における体積膨張率の最大値が0.2%以上2.1%以下、かつ1000〜1200℃の温度領域における体積膨張率の最大値が−2.0%以上%以上4.2%以下となるような粉末を得るためには、例えば、ミル容積2Lのビーズミル装置にて、粉末25kgを処理する場合、下記の条件で行うことが好ましい。
スラリー中の固形分濃度は70%以下、好ましくは60%以下が好ましい。一方、スラリー中の固形分濃度が低くなりすぎると、処理量自体が減ってしまう為、好ましくない。
粉砕メディアは、ジルコニアビーズを用いるが、ビーズ径はφ0.2mm〜φ0.8mmの範囲のものを使用し、ミルに投入するビーズの総量は5.0〜6.5kgが好ましい。
スラリー温度については厳密に管理する必要があり、ミル入口スラリー温度を15℃以下、好ましくは12℃以下に管理するとともに、さらにミル出口のスラリー温度を21℃以下となるように管理する必要がある。ミル処理によって、スラリー温度は急激に上昇することから、スラリータンクには適切な冷却機構を備えておくことが好ましい。
分散剤の種類は特に問わないが、特にZnO粉末のスラリー中の粘度変化を一定範囲内に抑えるため、スラリーPHは5〜9の中性域付近となるように調整を行なう。分散剤添加量は通常の添加量よりも少なくする必要があり、0.9wt%以下が好ましく、0.7wt%とすることがより好ましい。添加量が多いと、スプレー乾燥後の粉末顆粒の強度が高くなりすぎるため、成形体の強度低下につながり、成形体の焼成割れの原因となる。
ミル内へのスラリー供給量はミルへの負担の大きい1〜2パスまでは0.6L/min〜1.5L/minとし、その後は1.5L/min〜3.1L/minとすると効率的に処理が進み、全体のパス回数の低減が図れる為好ましい。
ミルの周速は5.5m/sec〜9.5m/secが好ましく、6.0m/sec〜8.0m/secがより好ましい。処理のバッチによっては同一条件であってもスラリー粘度が何らかの要因によって上昇することがあるが、この場合は分散剤量を上記範囲内の内で適宜追添加し、スラリー粘度を常に3000mPa・sとしておくことが重要であり、これによって安定した処理が可能となる。
上記の条件を踏まえて、5〜15パス循環させて粉砕処理を行なうことが好ましい。
湿式混合処理を行った場合の、最終的な粉末の状態は特に限定されない。鋳込み成形等の湿式成形方法では、スラリーをそのまま用いることが可能であるが、乾式で成形する場合には、粉末の流動性が高く成形体密度が均一となる造粒粉末を用いるのが望ましい。造粒方法についても特に限定しないが、噴霧造粒、流動層造粒、転動造粒、撹拌造粒などが使用できる。特に、操作が容易で、多量に処理できる噴霧造粒を用いることが望ましい。
次に、この粉末を成形する。ここでは一例として乾式粉末を用いた乾式成形について説明する。プレス圧力は用いる粉末の物性によって適宜変更可能であるが、一般的には100〜500kg/cmである。成形圧力はクラック等の発生がなく、取り扱いが可能な成形体であれば特に限定されるものではない。また、プレス成形後の成形密度をより高める為に冷間静水圧成形(CIP)を行うことが好ましい。CIP圧力も用いる粉末物性によって適宜変更可能であるが、1000〜3500kg/cmの範囲が一般的である。
続いて焼成工程を行なう。焼成方法は、常圧焼結、加圧焼結など様々な方法が用いる事が可能であるが、前記(I)〜(III)の温度域に相当する温度域、つまり300〜750℃、および1000℃〜1200℃の温度領域において発生する体積膨張に対し、適切な昇温速度下で焼成を行うことが重要となる。本発明における鋭意検討の結果、300〜750℃の温度領域における昇温速度を200℃/h以下、かつ1000〜1200℃の温度領域における昇温速度を200℃/h以下とすることにより、昇温時に発生する体積膨張の影響による割れを大幅に低減することが可能となることを突き止めた。更に、300〜750℃の温度領域における昇温速度を150℃/h以下とすることにより、大型サイズ成形体の焼成割れのリスクが更に低下することが判明した。
体積膨張が終了し、本格的な収縮が始まる1200℃以降の高温域では、体積収縮が開始される。この温度域では、昇温速度があまり遅い場合、高温域での滞在時間が長くなることにより結晶粒成長が進行し易くなる。結晶粒径が大きくなると焼結体強度が低下し、僅かな熱衝撃でも割れ易くなり、焼成歩留まりが低下する恐れがあることから、特に大型サイズの成形体の焼成においては、1200℃より保持温度までの昇温速度を170℃/h以上とすることがより好ましい。
保持温度は1350℃〜1450℃が好ましい。あまり温度が高いとInGaZnO相の結晶粒成長が急激に進行し、異常粒成長による強度低下によって焼成割れが発生し、歩留まりが低下する為好ましくない。逆に保持温度が低すぎると、緻密化が進まない為に、高密度焼結体が得られず、スパッタリング中のアーキング増加につながることから好ましくない。保持時間についても、粒成長抑制の観点から5分以上100分以下が好ましい。
冷却条件は特に限定されるものではないが、降温速度は、熱衝撃による割れのない程度の速度で適宜選択される。一般的な抵抗加熱式電気炉においては300℃/h以下の温度で冷却される。
従来よりも簡便な手法にて調整した原料粉末を用いても、混合原料粉末が有する体積膨張率を最適化し、焼成条件の最適化を図ることにより、大型ターゲットの焼成において焼成割れ発生率を劇的に低減させることが可能となる。
以下、本発明の実施例をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
純度99.99%以上の酸化インジウム粉末(BET=12.2m/g)、酸化ガリウム粉末(BET=11.8m/g)及び酸化亜鉛粉末(BET=3.8m/g)を、金属元素の原子比換算でIn:Ga:Zn=1:1:1となるように15.0kg秤量し、水を10.0kg、ポリアクリレート系分散剤(DisPex−A40)を90g(0.6wt%)入れ、固形分濃度60%のスラリーを作成した。内容積2.5Lのビーズミル装置(アシザワ・ファインテック(株)社製)にφ0.3mmジルコニアビーズを7.5kg入れ、ミル周速8.2m/sec、スラリー供給量を1パス〜2パスまでを1.5L/min、3パス以降を2.5L/minとしてスラリーをミル内に循環させ、粉砕、混合処理を行った。さらにスラリー供給タンクの温度を10℃〜12℃、スラリー出口温度を18℃〜20℃の範囲内で温度管理を行った。処理はミル内への循環回数(パス回数)で計10パス行った。
続いて、得られたスラリーを噴霧乾燥した。スプレドライー乾燥機(大河原化工機(株)社製)を用い、スラリー入口温度180℃、アトマイザー回転数12000rpm、スラリー供給量6L/minにて乾燥処理を行った。スプレー乾燥後の粉末を目開き150μmの篩に通し、原料粉末とした。本作業を複数回行い、成形体作成に必要な量の原料粉末を得た。
この粉末をサンプリングし、体積膨張率測定用のサンプルを作成し、前述記載の方法にて体積膨張率の測定を行った結果、300℃〜750℃の温度域での体積膨張率の最大値は1.2%、1000℃〜1200℃の温度域での体積膨張率の最大値は1.1%であった。
金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼成し、概寸:縦500mm×横300mm×厚さ6mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
(焼成条件)
焼成温度:1400℃
保持時間:1時間
昇温速度:300℃〜750℃ 200℃/h
1000℃〜1200℃ 200℃/h
その他の昇温領域 200℃/h
雰囲気 :大気
降温速度:300℃/h(1400℃から400℃の間)
得られた焼結体の相対密度を測定した。本発明の酸化物の相対密度は、原料粉の密度から計算した理論密度とアルキメデス法で測定した焼結体の密度から下記で計算した。
相対密度=(アルキメデス法で測定した密度)÷(理論密度)×100 (%)
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は97.5%であり、焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10枚とも発生していなかった。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は97.1%であった。焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10個とも発生していなかった。
(実施例2)
ミル内への循環回数(パス回数)を計15パス行う以外は実施例1と同様の方法でスラリーを作製した。得られたスラリーは実施例1と同様の方法で噴霧乾燥を行い、原料粉末とした。
この粉末をサンプリングし、体積膨張率測定用のサンプルを作成し、前述記載の方法にて体積膨張率の測定を行った結果、300℃〜750℃の温度域での体積膨張率の最大値は0.2%、1000℃〜1200℃の温度域での体積膨張率の最大値は−2.0%であった。
金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、実施例1と同様の条件で焼成し、概寸:縦340mm×横780mm×厚さ6.5mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は98.5%であり、焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10枚とも発生していなかった。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は98.1%であった。焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10個とも発生していなかった。
(実施例3)
ミル内への循環回数(パス回数)を計5パス行う以外は実施例1と同様の方法でスラリーを作製した。得られたスラリーは実施例1と同様の方法で噴霧乾燥を行い、原料粉末とした。
この粉末をサンプリングし、体積膨張率測定用のサンプルを作成し、前述記載の方法にて体積膨張率の測定を行った結果、300℃〜750℃の温度域での体積膨張率の最大値は2.1%、1000℃〜1200℃の温度域での体積膨張率の最大値は4.2%であった。
金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、実施例1と同様の条件で焼成し、概寸:縦340mm×横780mm×厚さ6.5mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は96.9%であり、焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10枚とも発生していなかった。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は96.5%であった。焼成割れを目視で観察した結果、10個中1個に僅かなクラックが認められたが、他の9個には割れは発生していなかった。
(実施例4)
実施例3と同様の手法にて作成した原料粉末を用い、金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼成し、概寸:縦340mm×横780mm×厚さ6.5mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
(焼成条件)
焼成温度:1400℃
保持時間:1時間
昇温速度:300℃〜750℃ 200℃/h
1000℃〜1200℃ 200℃/h
1200℃〜1400℃ 160℃/h
その他の昇温領域 200℃/h
雰囲気 :大気
降温速度:300℃/h(1400℃から400℃の間)
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は96.9%であり、焼成割れを目視で観察した結果、10枚中1枚にクラックが認められたが、他の9枚には割れは発生していなかった。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は96.6%であった。焼成割れを目視で観察した結果、10個中1個にクラックが認められたが、他の9個には割れは発生していなかった。
(実施例5)
実施例3と同様の手法にて作成した原料粉末を用い、金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼成し、概寸:縦340mm×横780mm×厚さ6.5mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
(焼成条件)
焼成温度:1400℃
保持時間:1時間
昇温速度:300℃〜750℃ 150℃/h
1000℃〜1200℃ 200℃/h
1200℃〜1400℃ 170℃/h
その他の昇温領域 200℃/h
雰囲気 :大気
降温速度:300℃/h(1400℃から400℃の間)
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は97.1%であり、焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10枚とも発生していなかった。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は96.6%であった。焼成割れを目視で観察した結果、焼成割れは10個とも発生していなかった。
(比較例1)
ミル内への循環回数(パス回数)で計3パス行う以外は実施例1と同様の方法でスラリーを作製した。得られたスラリーを実施例1と同様の方法で噴霧乾燥を行い、原料粉末とした。
この粉末をサンプリングし、体積膨張率測定用のサンプルを作成し、前述記載の方法にて体積膨張率の測定を行った結果、300℃〜750℃の温度域での体積膨張率の最大値は2.9%、1000℃〜1200℃の温度域での体積膨張率の最大値は5.1%であった。
金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、実施例1と同様の条件で焼成し、概寸:縦500mm×横300mm×厚さ6mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は96.8%であり、焼成割れを目視で観察した結果、10枚中5枚にクラックが認められた。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は96.5%であった。焼成割れを目視で観察した結果、10個中6個にクラックが認められた。
(比較例2)
実施例1と同様の手法にて作成した原料粉末を用い、金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼成し、概寸:縦500mm×横300mm×厚さ6mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
(焼成条件)
焼成温度:1400℃
保持時間:1時間
昇温速度:300℃〜750℃ 250℃/h
1000℃〜1200℃ 250℃/h
その他の昇温領域 250℃/h
雰囲気 :大気
降温速度:300℃/h(1400℃から400℃の間)
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は97.6%であり、焼成割れを目視で観察した結果、10枚中4枚にクラックが認められた。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は97.2%であった。焼成割れを目視で観察した結果、10個中5個に焼成割れが発生していた。
(比較例3)
実施例2と同様の手法にて作成した原料粉末を用い、金型プレス成形型にこの混合粉末をタッピングしながら充填し、成形型を密閉後、2ton/cmの圧力でCIP処理して平板型成形体を10枚得た。次にこの成形体を抵抗加熱型の電気炉にセットし、アルミナ製のセッターの上に設置して、以下の条件で焼成し、概寸:縦500mm×横300mm×厚さ6mmの平板形状の焼結体10枚と、外径140mm×高さ250mm×厚さ6mmの円筒形状の焼結体を10個得た。
(焼成条件)
焼成温度:1400℃
保持時間:1時間
昇温速度:300℃〜750℃ 250℃/h
1000℃〜1200℃ 250℃/h
その他の昇温領域 250℃/h
雰囲気 :大気
降温速度:300℃/h(1400℃から400℃の間)
測定の結果、平板形状の焼結体の相対密度の平均は97.9%であり、焼成割れを目視で観察した結果、10枚中4枚にクラックが認められた。一方、円筒形状の焼結体の相対密度の平均は97.8%であった。焼成割れを目視で観察した結果、10個中4個に焼成割れが発生していた。
実施例1〜5及び比較例1〜3の体積膨張率、昇温速度、焼成歩留りを表1に示す。
Figure 2014091635

Claims (2)

  1. ターゲット面の面積が1500cm以上かつ厚さ6mm以上である平板形状、または、外径が140mm以上かつ長さが250mm以上であり、厚さが6mm以上の円筒形状である、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含んでなる成形体を焼成する複合酸化物焼結体の製造方法において、前記成形体の300〜750℃の温度領域における体積膨張率の最大値が0.2%以上2.1%以下、かつ1000〜1200℃の温度領域における体積膨張率の最大値が−2.0%以上%以上4.2%以下であり、300〜750℃および1000〜1200℃の温度領域における昇温速度を200℃/h以下として焼成することを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法。
  2. 300〜750℃の温度領域における昇温速度を150℃/以下、かつ、1200℃から保持温度までの昇温速度を170℃/h以上とし、保持温度を1300〜1450℃とすることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016088831A (ja) * 2014-10-29 2016-05-23 住友金属鉱山株式会社 円筒形セラミックス焼結体およびその製造方法
CN115894010A (zh) * 2022-11-28 2023-04-04 郑州大学 一种管状氧化铟镓锌(In2Ga2ZnO7)细晶高致密无开裂靶材的制备方法

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