JP5287372B2 - 蓋材、該蓋材の製造方法、及び該蓋材の易剥離方法 - Google Patents

蓋材、該蓋材の製造方法、及び該蓋材の易剥離方法 Download PDF

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Description

本発明は、物品を収容した容器等の開口部に貼付することにより、収容物を固定、封止等することができる蓋材に関し、特に、キャリアテープ用カバーテープとして好適に使用することができる蓋材に関する。
蓋材とは、物品を収容した容器等の開口部に貼付することにより、収容物を固定、封止等するものであり、中でもコンデンサ、抵抗器等の電子部品や半導体部品を収納、搬送等するエンボス型キャリアテープに使用する蓋材は、カバーテープと称されている。
カバーテープとしては、基材と基材上にコーティングされたヒートシール剤とからなる、いわゆるヒートシールタイプが多く使用されている。しかしながら、ヒートシールタイプは、接着に加熱工程を必要とするため、電子部品等の収容速度の高速化には不利である。また、ヒートシール剤の接着性は、熱、圧力、時間等の条件に左右されるため、各条件を厳密に管理しなければ、接着力が不均一となり、剥離時に電子部品等の飛び出し等が生じるといった支障をきたす場合がある。
これに対し、基材上に粘着剤がコーティングされた粘着タイプのカバーテープは、接着の際の条件管理が不要であり、安定した接着性を有する。例えば、特許文献1では、必要な部分にのみ粘着性を付与するためにテープの両側にのみ粘着剤層を設けたものが、特許文献2では、粘着剤をテープの全面にコーティングして粘着剤層を形成した後、中心部の粘着性の不要な部分に非粘着性材料をパターンコーティングしたものが、特許文献3では、粘着性の必要な部分に光重合開始剤を含まない光増感重合性物質を混合した粘着剤を、粘着性の不要な部分に光重合開始剤を含む光増感重合性材料をコーティングして、光を照射することにより、粘着部と非粘着部を設けたものが報告されている。
しかしながら、これらのカバーテープは、非粘着部を設けるために特別な材料や煩雑な製造工程を必要とし、作業性が良好とはいえない。
特許第3993924号公報 特開昭64−37364号公報 特許第3004476号公報
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、粘着性の必要な部分と不要な部分とのパターニングを作業の煩雑化等を招くことなく自在に行うことができ、しかも、底材に対して安定した接着性と易剥離性とを示す蓋材、該蓋材の製造方法、及び該蓋材の易剥離方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、粘着剤層の主剤としてエネルギー線硬化型粘着剤を用い、粘着性が必要な部分に対応する位置にのみエネルギー線遮断層を設けることにより、安定した接着性を示す粘着部と、非粘着部とを備えた蓋材を製造することができた。更に、上記エネルギー線遮断層を印刷により設けることで、煩雑な作業を要することなく、粘着部と非粘着部とを自在にパターニングできることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明では以下のようなものを提供する。
(1)基材と、粘着部及び非粘着部を有するエネルギー線硬化型粘着剤層と、該基材と該エネルギー線硬化型粘着剤層との間の該粘着部に対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層と、を有し、該粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層は未硬化であり、該非粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層はエネルギー線の照射により硬化している蓋材。
(2)基材と、該基材の一方の面に形成された粘着部及び非粘着部を有するエネルギー線硬化型粘着剤層と、該基材の他方の面、かつ該粘着部に対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層と、を有し、該粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層は未硬化であり、該非粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層はエネルギー線の照射により硬化している蓋材。
(3)蓋材の一方の最外層に、該エネルギー線硬化型粘着剤層が形成され、他方の最外層に、離型層が形成された(1)又は(2)に記載の蓋材。
(4)該エネルギー線遮断印刷層がカーボンブラックを含有する(1)から(3)いずれかに記載の蓋材。
(5)キャリアテープ用カバーテープとして用いられる(1)から(4)のいずれかに記載の蓋材。
(6)基材と、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層と、エネルギー線硬化型粘着剤層と、が順次形成された積層体に、該基材側からエネルギー線を照射し、該エネルギー線硬化型粘着剤層のうち、該エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部とし、非照射部分を粘着部とする工程を含む蓋材の製造方法。
(7)基材の一方の面に、エネルギー線硬化型粘着剤層が形成され、該基材の他方の面に、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層が形成された積層体に、該基材側からエネルギー線を照射し、該エネルギー線硬化型粘着剤層のうち、該エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部とし、非照射部分を粘着部とする工程を含む蓋材の製造方法。
(8)(1)から(5)いずれかに記載の蓋材を貼着した底材から、該蓋材を易剥離する易剥離方法であって、剥離前に、該底材側から該エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射して、該粘着部を硬化させることにより、剥離時の強度を低下させる易剥離方法。
本発明の蓋材によれば、粘着剤層の材料として、エネルギー線硬化型粘着剤を選択したので、ヒートシールタイプのように厳密な条件管理を行わなくても、底材に対して均一かつ安定した粘着性を示す。また、本発明の蓋材では、印刷により形成したエネルギー線遮断層を設けることで、粘着部と非粘着部とをパターニングしている。そのため、製造に際して、従来の粘着タイプのように特別な材料や煩雑な作業を必要としない。したがって、全ての工程をインラインで行うことができるので、生産性に優れる。更に、エネルギー線遮断層を印刷により設けているので、粘着部と非粘着部とのパターニングの微調整が可能である。
本発明の蓋材の製造方法によれば、エネルギー線硬化型粘着剤層に、印刷により設けたエネルギー線遮断層を介してエネルギー線を照射することにより、粘着部と非粘着部とをパターニングする。そのため、印刷パターンを変更することにより、粘着部と非粘着部とを自在にパターニングすることができる。したがって、特別な材料や煩雑な作業を要することなく、底材の大きさや形状に合わせた蓋材を簡単に製造することができる。
本発明の蓋材の易剥離方法によれば、底材から剥離する前に、エネルギー線遮断印刷層を介さない底材側からエネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射するので、粘着剤の硬化により剥離強度が低下し、容易に剥離することができる。したがって、剥離時に収容物が飛び出す等の支障をきたさない。
本発明の一実施例に係る蓋材の製造方法の説明図である。 本発明の他の一実施例に係る蓋材の製造方法の説明図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[蓋材]
本発明において、蓋材とは、コンデンサや抵抗器等の電子部品、半導体部品、医薬品や注射器等の医療関連物品、自動車用部品、食品等を収容する合成樹脂容器、袋体の開口部に貼付することにより、収容物を固定、封止等するものをいう。収容物は、固形、液状を問わない。これらの中でも、特に、電子部品や半導体部品を収納、搬送等するエンボス型キャリアテープの蓋材であるカバーテープとして好ましく使用することができる。
<基本構成>
本発明の蓋材の基本構成を図面により説明する。
本発明の蓋材1Bは、図1(b)に示すように、基材13と、粘着部11a及び非粘着部11bを有するエネルギー線硬化型粘着剤層11と、該基材13と該エネルギー線硬化型粘着剤層11との間の該粘着部11aに対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層12と、を有し、該粘着部11aのエネルギー線硬化型粘着剤層11は未硬化であり、該非粘着部11bのエネルギー線硬化型粘着剤層11はエネルギー線照射器21からのエネルギー線の照射により硬化していることを特徴とする。
本発明の蓋材2Bは、また、図2(b)に示すように、基材13と、該基材13の一方の面に形成された粘着部11a及び非粘着部11bを有するエネルギー線硬化型粘着剤層11と、該基材13の他方の面、かつ該粘着部11aに対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層12と、を有し、該粘着部11aのエネルギー線硬化型粘着剤層11は未硬化であり、該非粘着部11bのエネルギー線硬化型粘着剤層11はエネルギー線照射器21からのエネルギー線の照射により硬化していることを特徴とする。
すなわち、本発明の蓋材では、図1(b)と図2(b)とに示すように、エネルギー線照射器21からエネルギー線硬化型粘着剤層11にエネルギー線を照射する際には、必ずエネルギー線遮断印刷層12を介する構造を有し、エネルギー線遮断印刷層12に対応する位置のエネルギー線硬化型粘着剤層11は未硬化であり、対応していない位置のエネルギー線硬化型粘着剤層11は硬化している点に特徴がある。
本発明の蓋材では、ヒートシールタイプのように厳密な条件管理を行わなくても、底材に対して均一かつ安定した粘着性を示すように、粘着剤層に使用する粘着剤としてエネルギー線硬化型粘着剤を選択した。また、本発明の蓋材では、該粘着剤を全面塗工してエネルギー線硬化型粘着剤層11を形成した後、印刷により形成したエネルギー線遮断印刷層12を介して粘着剤層にエネルギー線を照射することで、粘着部11aと非粘着部11bとを設けている。そのため、製造に際して、従来の粘着タイプのように特別な材料や煩雑な作業を必要とせず、全ての工程をインラインで行うことも可能であり、生産性に優れる。更に、エネルギー線遮断層が印刷により設けられているので、粘着剤を全面塗工した後に粘着性が不要な部分に非粘着性材料をコーティングしたり、粘着性が必要な部分にのみ粘着剤層を設けたりする従来の粘着タイプに比して、粘着部と非粘着部とのパターニングの微調整ができるので、様々な大きさや形状の底材に適合する。
本発明の蓋材では、蓋材の一方の最外層に、エネルギー線硬化型粘着剤層11が形成され、他方の最外層に、離型層が形成されていることが好ましい。蓋材をリール状に巻き取って使用する場合には、蓋材の一方の最外層に形成されているエネルギー線硬化型粘着剤層11と他方の最外層とが接することになるので、他方の最外層に離型層が形成されていると、使用の際の該粘着剤層11の剥離性が良好となる。
[離型層]
離型層を構成する離型剤としては、低エネルギー界面形成能を有し、エネルギー線硬化型粘着剤層11の剥離性を良好にすることができる離型剤、例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、ポリエチレンワックス、カルバナワックス等のワックスが挙げられる。シリコーン系樹脂はポリジメチルシロキサン樹脂を主成分とするものであり、離型性を付与するために、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン等のストレートシリコーンオイル、アルキル変性、フッ素変性、アミノ変性、エポキシ変性された変性シリコーンオイル等を適宜、配合して使用する。
離型層は、上記離型剤を適当な溶剤や水で希釈し、公知の塗工方法、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、ダイコート、ロールコート等により形成することができる。
離型層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。離型層の厚みが0.1μmより小さいと、離型性を発現することができない、或いは均一に離型層を設けることが困難となり、離型性能が安定しないおそれがある。離型層の厚みが10μmより大きいと、テープを巻き出す際に、離型層が凝集破壊するため、エネルギー線硬化型粘着剤層表面に離型性成分が移行し、粘着力が低下するおそれがあり、また、後述の帯電防止層を、基材13と離型層の間に設けた場合に、帯電防止性が低下するおそれがある。
上記離型層には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、後述する帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
[基材]
蓋材の基材13としては、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、用途に応じて種々の材料を使用することができるが、一般的には、合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、パラ系アラミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。2種以上の場合には、これらの樹脂を主成分とする共重合樹脂であっても、混合体であってもよく、また、複数層からなる積層体であってもよい。なお、本発明では、この中でも、機械的強度、伸長性、寸法安定性、柔軟性、積層適性、耐薬品性、低価格等の観点から、特に、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材13の厚みは、特に限定されないが、好ましくは6〜125μm、より好ましくは25〜75μmである。上記範囲が、機械的強度、低コスト性、蓋材の貼付や剥離等の作業性の観点から好ましい。
上記基材13には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、後述する帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
[エネルギー線硬化型粘着剤層]
本発明の蓋材におけるエネルギー線硬化型粘着剤層11は、エネルギー線を照射することで粘着力が低下する粘着剤とエネルギー線硬化型化合物とを主成分とする。
(a)粘着剤
エネルギー線硬化型粘着剤層11を構成する粘着剤としては、所望の粘着性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系、アクリル系等の粘着剤が挙げられる。なかでも、アクリル系粘着剤が、耐熱性等の耐久性や透明性に優れ、低コストであるので好ましい。本発明に用いられるアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。本発明では、これらの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが、光学部材に対して良好な粘着性を示すので好ましい。
上記他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸nエチルヘキシル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。本発明では、これらの中でも、メタクリル酸nエチルヘキシルが好ましい。
本発明においてアクリル系粘着剤として用いられるアクリル酸エステル共重合体に含まれるアクリル酸エステルと、他の単量体とのユニット比(アクリル酸エステル/他の単量体)は、アクリル酸エステル共重合体が所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されず、適宜設定することができる。また、アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)は、アクリル系粘着剤が所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されないが、200,000〜2,500,000の範囲内であることが好ましく、600,000〜2,200,000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な粘着力を発揮することができ、また、十分な強度の粘着剤層とすることができる。なお、上記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
(b)エネルギー線硬化型化合物
エネルギー線照射により硬化する化合物としては、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物、光二量化性化合物等が挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性化合物が好ましい。硬化速度が速く、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるからである。光ラジカル重合性化合物としては、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート等のモノマー、オリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレートが好ましく、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、それらのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の一分子中にアクリロイル基を3個以上含む不飽和化合物が更に好ましい。これらは、エネルギー線を照射した際に、粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させるとともに、粘着剤の凝集力を高めて被接着面に転着させないようにする機能を有する。
エネルギー線硬化型化合物の含有量は、粘着剤組成物100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましく、10〜200質量部であることが更に好ましい。エネルギー線硬化型化合物が少なすぎると、紫外線等の光照射後の架橋密度が十分ではなく、適正な剥離性を実現することができない。また、エネルギー線硬化型化合物が多すぎると、エネルギー線照射時の発熱量が過剰になり、テープに変形が生じたり、また、エネルギー線照射前の凝集力が低すぎるので、粘着剤のはみ出しが生じたりする。
エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が好ましい。
また、本発明では、エネルギー線硬化型粘着剤の粘着力や凝集力を調整するために、必要に応じて架橋剤が用いられる。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、多官能エポキシ系化合物を用いることができる。多官能エポキシ系化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このようなウレタンプレポリマーの3量体等を用いることができる。ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、架橋剤の種類によっても異なるが、粘着剤組成物100質量部に対して、2.0〜10.0質量部であることが好ましく、3.5〜6.0質量部であることがより好ましい。架橋剤の含有量が、上記範囲より少ない場合には、粘着剤層が十分な強度を有することが困難となり、キャリアテープ等の被着体から剥離する際に、粘着剤層が凝集破壊を起こす場合がある。また、上記範囲より多い場合には、粘着剤層の粘着強度が低すぎるおそれがある。
紫外線照射により硬化させる方法としては、例えば、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、積算光量が10〜2,000mJ/cm程度、好ましくは20〜500mJ/cm程度になるように照射すればよい。
エネルギー線が光線の場合、エネルギー線硬化型粘着剤層11には、光重合開始剤を配合する。エネルギー線硬化型粘着剤層11に配合されているエネルギー線硬化型化合物が光ラジカル重合性化合物である場合には、光重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられ、これらの光重合開始剤に光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフイン等を混合して使用してもよい。
上記光重合開始剤の配合量は、粘着剤組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤層11の形成方法としては、特に限定されないが、エネルギー線硬化型粘着剤層を形成する上記材料組成物を、適当な溶剤、水で希釈し、例えば、印刷、コーティング等により塗布形成する方法が挙げられる。印刷による形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。コーティングによる方法としては、例えば、ロールコート、リバースコート、スプレーコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート等が挙げられる。また、エネルギー線硬化型粘着剤層11の厚みは、底材の貼付面の状態、形状等を勘案し、該貼付面に対する粘着性を損なわない範囲で適宜選択することができ、通常、2〜50μm、好ましくは5〜20μmである。上記範囲が、低コスト性、接着性の観点から好ましい。
上記エネルギー線硬化型粘着剤層11には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、後述する帯電防止剤や、老化防止剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合することができる。
[エネルギー線遮断印刷層]
本発明の蓋材において、エネルギー線遮断印刷層12は、エネルギー線照射器21から照射されるエネルギー線がエネルギー線硬化型粘着剤層11に当たることを遮断するために印刷により形成されている。したがって、エネルギー線遮断印刷層12を構成する材料は、印刷により層形成可能であり、かつエネルギー線を遮断する効果を備えていれば、特に限定されない。エネルギー線の遮断の原理は、エネルギー線の吸収によるものであっても、エネルギー線の反射によるものであってもよく、例えば、エネルギー線が光線の場合には、硬化に使用する光線波長域におけるエネルギー線遮断印刷層12の光線透過率が、15%以下であることが好ましい。なお、光線透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のMPC2200を用いて測定することができる。
エネルギー線遮断印刷層12は、エネルギー線が光線の場合には、遮光性を有する各種顔料、染料をバインダ樹脂に配合したものを用いることができる。バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、感光性樹脂等を用いることができる。熱可塑製樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。エネルギー線が紫外線の場合に好適に用いることができる顔料としては、例えば、カーボンブラック、アルミニウム粉、アルミニウムフレークや、銅鉄マンガン化合物、アニリンブラック、酸化チタン、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化アルミニウム等の各種金属酸化物等が挙げられる。また、染料としては、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラック等の黒色染料が挙げられる。これらの顔料や染料は、単独又は混合して用いることができる。バインダ樹脂100質量部に対し、5〜30質量部の上記顔料及び/又は染料を、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に分散又は溶解させた分散液又は溶解液を好適に使用することができる。また、顔料の分散性を向上させるために、必要に応じて顔料分散液を適宜配合してもよい。
カーボンブラックには、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等があるが、いずれのタイプも用いることができる。また、導電性を有するカーボンブラックも用いることができる。導電性を有するカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC,ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、アセチレンブラック(商品名:デンカブラック,電気化学工業社製)等が挙げられる。カーボン粒子の大きさは、形成するエネルギー線遮断印刷層12の厚みに応じて、適宜設定されるものであり、特に限定されないが、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることが、遮断性、バインダ樹脂への分散性等の観点からより好ましい。具体的には、XEL FG 墨(カーボンブラック顔料分散液,ザ・インクテック社製)、ラミックFIT 墨(カーボンブラック分散インキ,大日精化工業社製)、UV
161 墨 S−MP(UV硬化型インキ,ティーアンドケイ東華社製)バイオテックカラーTE(ポリ乳酸系バインダ樹脂,大日精化工業社製)、Qセット200シリーズインキ(十条ケミカル社製)、ライオンペーストWシリーズ(導電性カーボン水分散液,ライオン社製)、JELCON CH−10(導電性カーボン溶液,十条ケミカル社製)等の商品名にて市販されているものを好適に用いることができる。
エネルギー線遮断印刷層12の印刷方法としては、特に限定されず、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等が挙げられる。これらの中でも、フレキソ印刷が層に厚みを出すことができるので、所望のエネルギー線遮断効果を得るために、繰り返し印刷する必要がない点において好ましい。
なお、エネルギー線遮断印刷層12の厚みは、エネルギー遮断性を損なわない範囲で適宜選択することができ、通常、0.01〜30μm、好ましくは1〜15μmである。上記範囲が、エネルギー線の遮断性、低コスト性、印刷適性の観点から好ましい。
[剥離層]
本発明の蓋材では、剥離層を備えていてもよい。剥離層は、エネルギー線硬化型粘着剤層11の上に積層された剥離性を有する剥離部材からなり、エネルギー線硬化型粘着剤層11の粘着部の表面を保護する機能を有する。剥離部材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的には、シリコーン離型処理した合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、剥離部材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは16〜75μmである。
<帯電防止処理>
本発明の蓋材をリール状に巻き取って使用する場合、蓋材の一方の最外層に形成されているエネルギー線硬化型粘着剤層11と蓋材のもう一方の最外層とが接するため、これらを剥離する際に静電気が発生したり、帯電したりする。これを防止するために、本発明の蓋材では、帯電防止処理を行うことが好ましい。帯電防止処理の方法としては、蓋材がリール状に巻き取られる際に、蓋材の一方の最外層に形成されているエネルギー線硬化型粘着剤層11と接する、蓋材のもう一方の最外層に帯電防止性を付与する、或いは該最外層に帯電防止剤層を設ける方法が挙げられる。本発明の蓋材をキャリアテープのカバーテープとして使用する場合には、カバーテープの巻き出し時に発生する静電気により、部品等にゴミが付着したり、カバーテープにこれらの部品等が吸い付いて、正常な取り出しに支障をきたしたりするおそれがあるため、帯電防止処理を行うことが特に好ましい。
基材13が最外層である場合には、基材13自体に帯電防止性を付与する、或いは基材13のエネルギー線硬化型粘着剤層11側の面上に、帯電防止剤層を設けることによって、基材13に帯電防止性を付与してもよい。基材13自体に帯電防止性を付与する方法としては、後述する帯電防止剤を基材13に練り込む方法が挙げられる。基材13のエネルギー線硬化型粘着剤層11側の面上に、帯電防止剤層を設ける方法としては、例えば、基材13に、帯電防止剤とバインダ樹脂とを含む帯電防止剤層形成材料を、公知の方法により塗布する方法が挙げられる。
離型層が最外層である場合には、離型層自体に帯電防止性を付与する、或いは離型層のエネルギー線硬化型粘着剤層11側の面上に、例えば、基材13と離型層との間に、帯電防止剤層を設けることによって、離型層に帯電防止性を付与してもよい。離型層とエネルギー線硬化型粘着剤層11とを剥離する際に静電気が発生したり、帯電したりすることを防止することができるからである。離型層自体に帯電防止性を付与する方法としては、離型層を形成する材料と帯電防止剤とをあらかじめ混合し、離型及び帯電防止の機能を有する層を一括して形成する方法が挙げられる。基材13と離型層との間に帯電防止剤層を設ける方法としては、基材13及び/又は離型層に、帯電防止剤とバインダ樹脂とを含む帯電防止剤層形成材料を、公知の方法により塗布する方法が挙げられる。
なお、帯電防止性の付与は、エネルギー線硬化型粘着剤層11に対して行ってもよい。エネルギー線硬化型粘着剤層11自体に帯電防止性を付与する、或いはエネルギー線硬化型粘着剤層11の基材13側に、例えば、基材13とエネルギー線硬化型粘着剤層11との間に、帯電防止剤層を設けてもよい。部品を収納したキャリアテープにカバーテープで蓋をした後に、静電気が発生することで、部品がカバーテープに付着したり、更には、カバーテープを剥離する際に、静電気が発生することで、収容物である電子部品や半導体部品が破損したり、飛び出したりするおそれがあるからである。エネルギー線硬化型粘着剤層11に帯電防止性を付与する方法としては、エネルギー線硬化型粘着剤層11を形成する材料と帯電防止剤とをあらかじめ混合し、帯電防止の機能を有するエネルギー線硬化型粘着剤層11を形成する方法が挙げられる。基材13とエネルギー線硬化型粘着剤層11との間に帯電防止剤層を設ける方法としては、基材13及び/又はエネルギー線硬化型粘着剤層11に、帯電防止剤とバインダ樹脂とを含む帯電防止剤層形成材料を、公知の方法により塗布する方法が挙げられる。
本発明に用いられる帯電防止剤としては、帯電防止性を有し、かつ透明性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジウム塩、第1級〜第3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性帯電防止剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤;アミノ酸系、アミノ酸硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性帯電防止剤等の界面活性剤型帯電防止剤、更には、上記界面活性剤型帯電防止剤を含むモノマー成分を高分子量化したポリマー系界面活性剤型帯電防止剤等が挙げられる。また、アンチモンドープのインジウム・ティンオキサンド(ATO)やインジウム・ティンオキサンド(ITO)、金及び/又はニッケルで表面処理した有機化合物微粒子等を用いることができる。更に、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、又はその各誘導体等の導電性ポリマーも用いることができる。なお、上記帯電防止剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる帯電防止剤層形成材料を構成するバインダ樹脂としては、上記帯電防止剤を安定的に保持することができる透明樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、感光性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる帯電防止剤層形成材料には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、上記バインダ樹脂が感光性樹脂である場合には、光重合を開始させるための光重合開始剤等が挙げられる。
帯電防止剤層は、上記帯電防止剤、帯電防止剤とバインダ樹脂、帯電防止剤と離型剤を適当な溶剤や水で希釈し、公知の塗工方法、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、ダイコート、ロールコート等により形成することができる。
<蓋材の製造方法>
本発明の蓋材の製造方法を図面により説明する。
本発明の蓋材1Bの製造方法は、図1に示すように、基材13と、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層12と、エネルギー線硬化型粘着剤層11と、が順次形成された積層体1Aに、該基材13側からエネルギー線を照射し、該エネルギー線硬化型粘着剤層11のうち、該エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部11bとし、非照射部分を粘着部11aとする工程を含むことを特徴とする。
本発明の蓋材2Bの製造方法は、また、図2に示すように、基材13の一方の面に、エネルギー線硬化型粘着剤層11が形成され、該基材13の他方の面に、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層12が形成された積層体2Aに、該基材13側からエネルギー線を照射し、該エネルギー線硬化型粘着剤層11のうち、該エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部11bとし、非照射部分を粘着部11aとする工程を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の蓋材の製造方法では、図1と図2とに示すように、積層体1A、2Aに対して、エネルギー線遮断印刷層12を介してエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化型粘着剤層11のうち、エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部11bとし、非照射部分を粘着部11aとする工程を含む点に特徴がある。
なお、積層体1A、2Aは、後述する実施例に記載の方法により製造することができる。例えば、基材13の一方の面に、遮光インキを使用してエネルギー線遮断印刷層12を印刷により形成し、次いで、エネルギー線遮断印刷層12と同じ面に、エネルギー線硬化型粘着剤を全面塗工又は印刷し、乾燥させて、エネルギー線硬化型粘着剤層11を形成することにより製造することができる。
上記方法によれば、粘着剤層にエネルギー線硬化型粘着剤を使用しているので、ヒートシールタイプのように厳密な条件管理を行わなくても、底材に対して均一かつ安定した粘着性を示す蓋材を製造することができる。また、上記方法によれば、印刷により形成したエネルギー線遮断印刷層12を介して粘着剤層に11エネルギー線を照射するだけで、簡単に粘着部11aと非粘着部11bとを形成することができるので、特にヒートシールタイプや従来の粘着タイプでは困難であった、幅の狭い粘着部11aの形成に好適な方法である。更に、粘着部11aと非粘着部11bとの形成に、従来の粘着タイプのように特別な材料や煩雑な作業を必要とせず、また、全ての製造工程をインラインで行うこともできるので生産性に優れる。そして、上記方法によれば、エネルギー線遮断層を印刷により形成するので、粘着部11aと非粘着部11bとのパターニングの微調整が可能であり、印刷パターンを変えることにより、様々な大きさや形状の底材に合わせた蓋材を製造することもできる。
<蓋材の易剥離方法>
本発明の易剥離方法は、本発明の蓋材を貼着した底材から、該蓋材を易剥離する易剥離方法であって、剥離前に、該底材側から該エネルギー線硬化型粘着剤層11にエネルギー線を照射して、該粘着部11aを硬化させることにより、剥離時の強度を低下させることを特徴とする。
蓋材には、保管や搬送の際に蓋材が剥離して収容物が脱落することがないように、所定の接着強度が求められる。しかしながら、剥離強度が大きすぎると、蓋材を剥離する際に、底材側が振動して収容物が飛び出すおそれがあり好ましくない。特に、キャリアテープのカバーテープとして使用する場合には、特に好ましくない。
本発明の易剥離方法によれば、蓋材を貼着した底材側からエネルギー線硬化型粘着剤層11にエネルギー線を照射して、粘着部11aを硬化させることにより、剥離時の強度を低下させるので、底材に貼着する際のエネルギー線硬化型粘着剤層11の粘着力をコントロールする必要がない。また、底材から容易に剥離できるので、収容物の飛び出しを抑制することができる。エネルギー線照射後の粘着部11aの剥離強度(試験方法:JIS Z0237準拠)は、0.2N/25mm以下であることが好ましい。
なお、本発明の易剥離方法では、エネルギー線の照射により、エネルギー線硬化型粘着剤層11の粘着部11aを硬化させる必要があるため、底材はエネルギー線を遮断しない材料により構成されていることを要する。例えば、エネルギー線が光線の場合には、底材の400nm以下の光線透過率は80%以上であることが好ましい。なお、光線透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のMPC2200を用いて測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
片面が帯電防止処理された厚さ38μmの基材(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,商品名:E−7155,東洋紡績社製)の帯電防止処理面とは反対側の面に、乾燥後の膜厚が3μmとなるように、エネルギー線遮断印刷層形成用溶液(カーボンブラック顔料分散液,商品名:XEL FG 墨,ザ・インクテック社製)をグラビア印刷によりストライプ状に印刷し、乾燥させてストライプ状のエネルギー線遮断印刷層(以下、遮断印刷層とする。)を形成した。次いで、遮断印刷層と同じ面に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように、表1に示すエネルギー線硬化型粘着剤層形成用溶液をコンマコーターにより全面塗工し、乾燥させて、エネルギー線硬化型粘着剤層(以下、硬化型粘着剤層とする。)を形成し、積層体を形成した。この積層体に、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:150mJ/cm)し、実施例1の蓋材を製造した。
Figure 0005287372
<実施例2>
以下に示す(1)〜(3)工程を全てインラインにて行った。
(1)片面が帯電防止処理された厚さ38μmの基材(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,商品名:Eー7155,東洋紡績社製)の帯電防止処理面とは反対側の面に、乾燥後の膜厚が5μmとなるように、エネルギー線遮断印刷層形成用溶液(商品名:UV161 墨 S−MP(UV硬化型インキ),ティーアンドケイ東華社製)をフレキソ印刷により格子状に印刷し、乾燥させて格子状の遮断印刷層を形成した。
(2)次いで、遮断印刷層と同じ面に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように、表1に示すエネルギー線硬化型粘着剤層形成用溶液をフレキソ印刷により全面印刷し、乾燥させて、硬化型粘着剤層を形成し、積層体を形成した。
(3)この積層体に、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:150mJ/cm)し、実施例2の蓋材を製造した。
[粘着性評価:指触]
上記実施例1、2で得られた蓋材を用いて、硬化型粘着剤層塗工面の粘着性の指触評価を行った。その結果、実施例1、2の蓋材ともに、遮断印刷層に対応する位置に形成されている硬化型粘着剤層は、粘着性が保持されていたが、遮断印刷層により紫外線が遮断されない位置に形成されている硬化型粘着剤層は、粘着性が消失していた。
[粘着性評価:剥離強度]
上記実施例1、2で得られた蓋材を用いて、硬化型粘着剤層における紫外線照射部分及び紫外線非照射部分の粘着力の測定(JIS Z0237準拠)を行った。蓋材を25mm幅に切断し、試験片を作成した。この試験片をステンレス板(SUS304)に2kgのローラーを用いて貼着し、常温常湿下にて30分間放置した。その後、引張り試験機(RTF−1150−H)を用いて、常温常湿下での剥離強度を測定(速度:300mm/min,剥離距離:150mm,剥離角:180°)した。その結果、実施例1、2の蓋材ともに、紫外線照射部分の剥離強度は0.2N/25mmであり、紫外線非照射部分の剥離強度は6N/25mmであった。このことから、十分な粘着力の差を有するパターニングができることが確認できた。
[遮光性試験]
上記実施例1、2で得られた蓋材を用いて、エネルギー線遮断印刷層部分の紫外−可視光線透過率を分光光度計(商品名:MPC2200,島津製作所社製)により測定したところ、紫外線領域である波長400nm以下の透過率は0%であった。また、次式により、遮光率を算出したところ、遮光率は100%であった。
遮光率(%)=100−透過率(%)
1A 積層体
11 エネルギー線硬化型粘着剤層
12 エネルギー線遮断印刷層
13 基材
21 エネルギー線照射装置
1B 蓋材(第一実施形態)
11a 粘着部
11b 非粘着部
2A 積層体
2B 蓋材(第二実施形態)

Claims (8)

  1. 基材と、粘着部及び非粘着部を有するエネルギー線硬化型粘着剤層と、前記基材と前記エネルギー線硬化型粘着剤層との間の前記粘着部に対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層と、を有し、
    前記粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層は未硬化であり、前記非粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層はエネルギー線の照射により硬化している蓋材。
  2. 基材と、前記基材の一方の面に形成された粘着部及び非粘着部を有するエネルギー線硬化型粘着剤層と、前記基材の他方の面、かつ前記粘着部に対応する位置に形成されたエネルギー線遮断印刷層と、を有し、
    前記粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層は未硬化であり、前記非粘着部のエネルギー線硬化型粘着剤層はエネルギー線の照射により硬化している蓋材。
  3. 蓋材の一方の最外層に、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が形成され、他方の最外層に、離型層が形成された請求項1又は2に記載の蓋材。
  4. 前記エネルギー線遮断印刷層がカーボンブラックを含有する請求項1から3いずれかに記載の蓋材。
  5. キャリアテープ用カバーテープとして用いられる請求項1から4のいずれかに記載の蓋材。
  6. 基材と、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層と、エネルギー線硬化型粘着剤層と、が順次形成された積層体に、前記基材側からエネルギー線を照射し、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のうち、前記エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部とし、非照射部分を粘着部とする工程を含む蓋材の製造方法。
  7. 基材の一方の面に、エネルギー線硬化型粘着剤層が形成され、前記基材の他方の面に、パターン化されたエネルギー線遮断印刷層が形成された積層体に、前記基材側からエネルギー線を照射し、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のうち、前記エネルギー線の照射部分を硬化させて非粘着部とし、非照射部分を粘着部とする工程を含む蓋材の製造方法。
  8. 請求項1から5いずれかに記載の蓋材を貼着した底材から、前記蓋材を易剥離する易剥離方法であって、
    剥離前に、前記底材側から前記エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射して、前記粘着部を硬化させることにより、剥離時の強度を低下させる易剥離方法。
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