JP2015007164A - エネルギー線硬化型自発巻回性粘着テープ - Google Patents

エネルギー線硬化型自発巻回性粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】自発的に巻回する自発巻回性粘着テープであって、被着体に貼り付けた後に自発巻回して得られる巻回体を、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、さらに、体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことなく、容易に被着体表面から回収できる、自発巻回性粘着テープを提供する。【解決手段】エネルギー線を照射して加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、該粘着テープは基材層と粘着剤層とを含み、該粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層の表面抵抗率が5.0?1012Ω/□以下である、自発巻回性粘着テープ10。【選択図】図1

Description

本発明はエネルギー線硬化型自発巻回性粘着テープに関する。詳細には、エネルギー線を照射して加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、電子部品、半導体部品、光学部品などの表面保護に好適に用いられる粘着テープに関する。
半導体やイメージセンサーの表面保護テープとして、最近、自発的に巻回する自発巻回性粘着テープが報告されており、また、自発巻回後の巻回体の回収方法についても報告されている(例えば、特許文献1、2参照)。
従来、自発巻回性粘着テープは、例えば、ウエハなどの被着体に貼り付けた後、該被着体の研磨や研削や切断などの加工を行い、その加工の終了後に加熱処理することによって、脆弱なあるいは小さな被着体から剥離することが可能となる。しかしながら、自発巻回性粘着テープは、自発巻回後は被着体上で巻回体となる。このため、被着体と巻回体との間には、局所的な密着部が存在する。特に、被着体が、その表面が平滑なガラスやサファイヤ基板などの場合は、被着体と巻回体との間の密着性が高く、巻回体を回収するためには、特別な回収方法が必要となる。
従来、このような回収方法として、ピンセットによるピックアップやエアガンによる吹き飛ばしやピックアップテープによる転写や吸引機による吸い上げなどが行われている。しかし、ピンセットによるピックアップの際には、ピンセット先端で被着体表面を傷つけること、エアガンによる吹き飛ばしの際には、風により舞い上がった研磨屑等が被着体表面に付着してしまうこと、ピックアップテープによる転写を行う際には、被着体の表面にも貼り付いてしまうこと、吸引機による吸い上げの際には、巻回体と共に被着体も吸引してしまって被着体を破損してしまうこと、などの不具合が起こるため、細心の注意を払って作業する必要があり、非常に煩雑な作業となる。また、別途用意すべき道具や装置が必要となる。
また、被着体上で自発巻回して形成された巻回体は、体や衣服などに吸い寄せられて非常に引っ付きやすく、巻回体を回収する際の大きな障害となっている。
特開2010−129607号公報 特開2011−54641号公報
本発明の課題は、自発的に巻回する自発巻回性粘着テープであって、被着体に貼り付けた後に自発巻回して得られる巻回体を、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、さらに、体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことなく、容易に被着体表面から回収できる、自発巻回性粘着テープを提供することにある。
本発明の自発巻回性粘着テープは、
エネルギー線を照射して加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、
該粘着テープは基材層と粘着剤層とを含み、
該粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層の表面抵抗率が5.0×1012Ω/□以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、自発巻回後に形成される巻回体を、速度600mm/分、距離20mmで転動させた後の、該巻回体の帯電圧が500V以下である。
好ましい実施形態においては、上記基材層が帯電防止剤を含む。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、エネルギー線を照射した後にミラーウエハに貼着した状態からの、温度23℃、湿度50%RH、剥離角度30度、引張速度300mm/分における剥離力が、0.25N/10mm以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、上記粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層のプローブタックが50kN/mm以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、ヘイズが35%以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999である。
好ましい実施形態においては、上記基材層が帯電防止剤を含む。
好ましい実施形態においては、上記基材層中の帯電防止剤の含有割合が0.25重量%〜75重量%である。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層が帯電防止剤を含む。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層中の帯電防止剤の含有割合が0.25重量%〜40重量%である。
好ましい実施形態においては、上記帯電防止剤が有機物である。
好ましい実施形態においては、上記帯電防止剤がイオン性液体である。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、帯電防止層をさらに含む。
好ましい実施形態においては、上記帯電防止層の厚みが0.01μm〜5μmである。
好ましい実施形態においては、上記帯電防止層が、上記基材層と上記粘着剤層との間に設けられている。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープの粘着剤層は、厚みが1μm〜75μmである。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、剥離シート上に打ち抜き加工されたものである。
好ましい実施形態においては、本発明の自発巻回性粘着テープは、電子部品、半導体部品、または光学部品の表面保護に用いられる。
本発明によれば、自発的に巻回する自発巻回性粘着テープであって、被着体に貼り付けた後に自発巻回して得られる巻回体を、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、さらに、体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことなく、容易に被着体表面から回収できる、自発巻回性粘着テープを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープが自発巻回する状態を示す斜視図である。 本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープが被着体に貼り付けられ、該被着体と一括してダイシングされた後に自発巻回する状態を示す斜視図である。 本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープの概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープが被着体に貼り付けられた後に自発巻回したときの該自発巻回性粘着テープと該被着体との間の粘着状態を示す概略断面図である。 粘着剤層中にフィラーを含有させたときの、本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープが被着体に貼り付けられた後に自発巻回したときの該自発巻回性粘着テープと該被着体との間の粘着状態を示す概略断面図である。 巻回体の帯電圧測定装置の概略断面図である。 落下試験の装置の概略断面図である。
≪自発巻回性粘着テープ≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、基材層と粘着剤層とを含み、エネルギー線を照射して加熱することにより自発的に巻回する粘着テープである。
本発明の自発巻回性粘着テープは、任意の適切な形状を採用し得る。本発明の自発巻回性粘着テープの形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状などが挙げられる。本発明の自発巻回性粘着テープの形状としては、好ましくは、四角形である。
本発明の自発巻回性粘着テープの大きさは、使用目的等に応じて適宜設定し得る。自発巻回性を考慮すると、本発明の自発巻回性粘着テープの巻回方向の長さLは、好ましくは1mm〜3000mmであり、より好ましくは2mm〜2000mmであり、さらに好ましくは3mm〜1500mmであり、特に好ましくは3mm〜1000mmである。また、本発明の自発巻回性粘着テープの巻回方向の長さLに直行する方向の長さは、好ましくは1mm〜3000mmであり、より好ましくは2mm〜2000mmであり、さらに好ましくは3mm〜1500mmであり、特に好ましくは3mm〜1000mmである。
図1に、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回する様子を示す。図1における(A)は、収縮性フィルム層に収縮原因となる刺激を加える前の自発巻回性粘着テープ10を示す図である。図1における(B)は、収縮性フィルム層に収縮原因となる刺激が付与された自発巻回性粘着テープ10がテープ外縁部(1端部)から一方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)に巻回し始めた時の状態を示す図である。図1における(C)は、自発巻回性粘着テープ10の巻回が終了して1個の筒状巻回体が形成された時の状態(一方向巻回)を示す図である。図1における(D)は、自発巻回性粘着テープ10の対向する2端部から中心に向かって(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向へ)自発的に巻回して2個の筒状巻回体が形成されたときの状態(二方向巻回)を示す図である。
本発明の自発巻回性粘着テープが一方向巻回を起こすのか二方向巻回を起こすのかは、後述する剛性フィルムのヤング率と厚みの積や収縮性フィルムとの引き剥がし力等によって変化する。
図1において、Lは自発巻回性粘着テープ10の巻回方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)の長さ(シートが円形状の場合は直径)を示し(図1(A))、rは形成された筒状巻回体の直径(シートが円形状等の場合のように筒状巻回体の直径が巻回体の長さ方向において一定でない場合は、最大直径)を示す(図1(C)、(D))。
本発明の自発巻回性粘着テープにおいては、巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999であり、好ましくは0.0005〜0.666であり、より好ましくは0.001〜0.333である。なお、r/Lの値は後述の実施例によって定義される値である。
r/Lの値は、収縮性フィルム層、剛性フィルム層、粘着剤層などの、本発明の自発巻回性粘着テープを構成する各層の材料の種類、組成、厚みなどを適切に調整することにより上記の範囲にすることができる。
なお、本発明の自発巻回性粘着テープは、巻回方向の長さLが長くなっても同様に巻回し得る。したがって、本発明の自発巻回性粘着テープに収縮原因となる刺激を付与して収縮させたときに自発的に巻回して形成される筒状巻回体の直径rと該自発巻回性粘着テープの巻回方向の長さLとの比(r/L)の下限値は、シートの巻回方向の長さLが大きくなるほど小さくなる。
図2に、本発明の自発巻回性粘着テープ10が、被着体50に貼付され、該被着体50と一括してダイシングされた後に自発巻回する状態を示す斜視図を示す。図2に示すように、収縮原因となる刺激の付与により、本発明の自発巻回性粘着テープ10は、一定の直径を有する筒状巻回体10´となる。
本発明の自発巻回性粘着テープは、自発巻回後に形成される巻回体を、速度600mm/分、距離20mmで転動させた後の、該巻回体の帯電圧が、好ましくは500V以下であり、より好ましくは1V〜400Vであり、さらに好ましくは3V〜250Vであり、特に好ましくは5V〜100Vである。上記帯電圧が上記範囲内に収まることにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
本発明の自発巻回性粘着テープは、ヘイズが、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは25%以下であり、特に好ましくは20%以下である。本発明の自発巻回性粘着テープのヘイズが上記範囲内に収まることにより、良好な粘着テープ越しの被着体の視認性が得られる。
本発明の自発巻回性粘着テープの厚みは、好ましくは1μm〜300μmであり、より好ましくは3μm〜200μmであり、さらに好ましくは5μm〜100μmであり、特に好ましくは10μm〜80μmである。本発明の自発巻回性粘着テープの厚みを上記範囲内に調整することにより、自発的に巻回する自発巻回性粘着テープであって、被着体に貼り付けた後に自発巻回して得られる巻回体を、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、さらに、体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことなく、きわめて容易に被着体表面から回収できる、自発巻回性粘着テープを提供することができる。
<基材層>
基材層は、好ましくは、少なくとも1軸方向に収縮性を有する収縮性フィルム層と剛性フィルム層とが積層されてなる。
図3は、本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープの概略断面図である。図3において、本発明の自発巻回性粘着テープ10は、基材層1と粘着剤層2との積層構造を有し、基材層1は、収縮性フィルム層3と剛性フィルム層4との積層構造を有する。すなわち、図2に示すように、本発明の好ましい実施形態による自発巻回性粘着テープは、収縮性フィルム層3、剛性フィルム層4、粘着剤層2がこの順に積層されてなり、収縮性フィルム層3と剛性フィルム層4との積層構造が基材層1となる。
収縮性フィルム層は、刺激によって収縮して収縮応力を生成し、かつ、剛性フィルムに反作用力を生み出させることで、本発明の自発巻回性粘着テープ中に反並行の力を生成してトルクとするための役割を果たす層である。
収縮性フィルム層は、少なくとも1軸方向に収縮性を有するフィルム層である。このような収縮性フィルム層としては、例えば、熱収縮性フィルム、光により収縮性を示すフィルム、電気的刺激により収縮するフィルムなどが挙げられる。これらの収縮性フィルム層の中でも、作業効率等の観点から、熱収縮性フィルムが好ましい。
収縮性フィルム層は、所定の1軸方向に主収縮性を有していれば、その方向とは異なる方向(例えば、その方向に対して直交する方向)に副次的に収縮性を有していても良い。
収縮性フィルム層は、1層のみからなっていても良いし、2層以上からなっていても良い。
収縮性フィルム層の主収縮方向の収縮率は、好ましくは30%〜90%である。例えば、収縮性フィルム層が、熱収縮性フィルムで構成されている場合、熱収縮性フィルムの主収縮方向の熱収縮率は、70℃〜180℃の範囲の所定温度(例えば、95℃、140℃等)において、好ましくは30%〜90%である。ここで、収縮率とは、[(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法]×100の式から算出される値をいう。
収縮性フィルム層は、任意の適切な樹脂からなる1軸延伸フィルムによって形成することができる。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリノルボルネン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;などが挙げられる。このような樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような樹脂としては、粘着剤の塗工作業性等に優れる点で、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリウレタン系樹脂である。したがって、収縮性フィルム層は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる1軸延伸フィルムによって形成することが好ましい。
収縮性フィルムとしては、東洋紡社製の「スペースクリーン(登録商標)」、グンゼ社製の「ファンシーラップ」、東レ社製の「トレファン(登録商標)」、東レ社製の「ルミラー(登録商標)」、JSR社製の「アートン(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」、旭化成社製の「サンテック(登録商標)」、三菱樹脂社製の「ヒシペット(登録商標)」などの市販品が利用可能である。
収縮性フィルム層の厚みは、好ましくは5μm〜300μm、より好ましくは10μm〜150μmである。収縮性フィルム層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの剛性が高くなりすぎることを防止して、自発巻回を促進し、後述する接着剤層と相まって、収縮性フィルム層と後述する剛性フィルム層との間での分離を抑制して、積層シートの破壊を効果的に防止することができる。また、本発明の自発巻回性粘着テープを被着体に貼り付ける時の応力が残存して起こる弾性変形力を抑制して、極薄いウエハに対する反りを防止することができる。
収縮性フィルム層は、隣接する層との密着性や保持性等を高めるため、その表面に、任意の適切な表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理;下塗り剤(例えば、粘着物質等)によるコーティング処理;などが挙げられる。
剛性フィルム層は、収縮性フィルム層が熱収縮する際に、その収縮を拘束し、反作用力を生み出すことができ、トルクを生み出し、巻回を引き起こすための駆動力とすることができる。また、収縮性フィルム層の主収縮方向とは異なる方向の副次的収縮が抑制され、1軸収縮性とは言っても必ずしも一様とは言えない収縮性フィルム層の収縮方向が一方向に収斂する働きがある。このため、収縮性フィルム層の収縮を促す熱を加えると、剛性フィルム層が拘束層としての作用を発揮し、収縮性フィルム層の収縮力に対する反発力が駆動力となって、本発明の自発巻回性粘着テープの外縁部(1端部又は対向する2端部)が浮き上がり、収縮性フィルム層側を内にして、端部から1方向又は中心方向(通常、収縮性フィルム層の主収縮軸方向)へ自発的に巻回して筒状巻回体が形成される。
剛性フィルム層と収縮性フィルム層とを積層することにより、収縮性フィルム層に熱等の収縮原因となる刺激が付与された際、本発明の自発巻回性粘着テープが、途中で停止したり、方向がずれたりすることなく、円滑に自発巻回し、形の整った筒状巻回体を、瞬時に形成することができる。
剛性フィルム層は、任意の適切な樹脂からなるフィルムによって形成することができる。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;などが挙げられる。このような樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような樹脂としては、接着剤および/または粘着剤の塗工作業性等に優れる点で、好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂である。
剛性フィルム層は、1層のみからなっていても良いし、2層以上からなっていても良い。
剛性フィルム層は非収縮性であるものが適しており、収縮率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。ここで、収縮率とは、[(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法]×100の式から算出される値をいう。
剛性フィルム層のヤング率と厚みとの積(ヤング率×厚み)は、剥離時温度(例えば、80℃)において、好ましくは3.0×10N/m以下(例えば、1.0×10N/m〜3.0×10N/m)であり、より好ましくは2.8×10N/m以下(例えば、1.0×10N/m〜2.8×10N/m)である。剛性フィルム層のヤング率と厚みとの積をこの範囲内に調整することにより、収縮性フィルム層の収縮応力を巻回応力へと変換する作用および方向性収斂作用を確保することができる。また、過度の剛性を防止して、後述する接着剤層の厚み等と相まって、迅速な巻回を促進することができる。
剛性フィルム層のヤング率は、剥離時温度(例えば、80℃)において、好ましくは3×10N/m〜2×1010N/mであり、より好ましくは1×10N/m〜1×1010N/mである。剛性フィルム層のヤング率をこの範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの自発巻回を促進し、整った形で巻回した筒状巻回体を得ることができる。なお、剛性フィルム層のヤング率の測定方法は後述する。
剛性フィルム層の厚みは、好ましくは5μm〜200μmであり、より好ましくは8μm〜125μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは10μm〜75μmである。剛性フィルム層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの自己巻回性を確保して、整った形で巻回した筒状巻回体を得ることができるとともに、取扱性および経済性を向上させることができる。
剛性フィルム層と後述する粘着剤層の間には有機コーティング層を設置することも本発明について好ましい態様の一つである。
有機コーティング層は、剛性フィルム層に良好に密着してフィルム変形に追従することが必要である。また、本発明の自発巻回性粘着テープ、特に、剛性フィルム層は、後述する粘着剤層と良好に密着することが必要である。特に、粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤によって形成される場合には、エネルギー線硬化後、さらに剥離後に粘着剤層が投錨破壊していないことが必要である。
有機コーティング層は、これらの特性を有する限り、どのような材料を用いても良い。
例えば、文献(プラスチックハードコート材料II、CMC出版、(2004))に示されるような、各種のコーティング材料を用いることが可能である。
コーティング材料としては、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーが好ましい。剛性フィルム層に対して優れた密着性及びフィルム変形時の追従性を示し、かつ、粘着剤層(特に、エネルギー線硬化後のエネルギー線硬化型粘着剤層)に対して優れた投錨性を示すからである。
コーティング材料としては、特に、ポリアクリルウレタン、ポリエステルポリウレタン、または、これらの前駆体がより好ましい。これらの材料は、剛性フィルム層への塗工・塗布が簡便であるなど、実用的であり、工業的に多種のものが選択でき、安価に入手できるからである。
ポリアクリルウレタンとしては、文献(プラスチックハードコート材料II、P17−21、CMC出版、(2004))および文献(最新ポリウレタン材料と応用技術、CMC出版、(2005))に示されるいずれをも用いることができる。これらは、イソシアネートモノマーとアルコール性水酸基含有モノマー(例えば、水酸基含有アクリル化合物または水酸基含有エステル化合物)との反応混合物からなるポリマーである。さらなる成分として、ポリアミンなどの鎖延長剤、老化防止剤、酸化安定剤などを含んでいてもよい。
ポリアクリルウレタンは、上述したモノマーを反応させることにより調製したものを用いても良いし、コーティング材料、インキ、塗料のバインダー樹脂として市販または使用されているものを用いてもよい(文献:最新ポリウレタン材料と応用技術、P190、CMC出版、(2005)参照)。このようなポリウレタンとしては、大日精化製の「NB300」、ADEKA製の「アデカボンタイター(登録商標)」、三井化学製の「タケラック(登録商標)A/タケネート(登録商標)A」、DICグラフィックス製の「UCシーラー」、荒川化学工業社製アラコートシリーズ(例えばAP2500Eと硬化剤であるCL2500の組み合わせなど)等の市販品が挙げられる。
このようなポリマーは、色素を添加するなどして、インキとして剛性フィルム層に印刷して用いてもよい。このように印刷することにより、本発明の自発巻回性粘着テープの意匠性を高めることも可能となる。
ウレタン系ポリマーまたはオリゴマー、特に、ポリアクリルウレタン、ポリエステルポリウレタン、または、これらの前駆体が剛性フィルム層ならび粘着剤層に対して良好な密着性及び追従性を示す理由としては、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーに原料として含まれるイソシアネート成分が、剛性フィルム層表面ならびに粘着剤層に存在する水酸基またはカルボキシル基などの極性官能基と反応して強固な結合を形成するからと考えられる。
特に、ウレタン系ポリマーまたはオリゴマーが、エネルギー線照射後において、エネルギー線硬化型粘着剤との投錨性が高まる理由としては、エネルギー線照射時においてウレタン結合近傍に生成するラジカル種とエネルギー線硬化型粘着剤に生成するラジカル種とが反応して強固な結合を形成するためと推測される(文献:ポリウレタンの構造・物性と高機能化および応用展開、p191−194、技術情報協会(1999))。
上述したウレタン系ポリマーまたはオリゴマーは、ポリオール化合物と、このポリオール化合物の水酸基に対して等当量(または等モル数)またはそれよりも多い当量(またはモル数)のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを原料に用いて反応させることによって得られたものが好ましく、さらに、ポリオール化合物と、このポリオール化合物の水酸基に対して等当量(または等モル数)よりも多い当量(またはモル数)のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを反応させることによって得られたものがより好ましい。このように、ポリオール化合物の水酸基の等当量以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を用いることにより、投錨破壊を抑止する効果を高めることができ、特に、有機コーティング層を形成する材料として好ましい。
具体的には、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の混合比(NCO/OH)は、1以上であればよく、1より大きいことが好ましく、生成する有機コーティング層の形成材料の粘度、弾性率、軟化温度等、塗工や貼り合わせ工程などを含む積層シート製造条件を鑑みて適宜選択することができる。特に、このような混合比は、好ましくは1.005〜1000であり、より好ましくは1.01〜100であり、さらに好ましくは1.05〜10である。
これは、等当量または過剰量のイソシアネート基が、剛性フィルム層又は粘着剤層に含有される成分中の官能基とも化学結合することが期待されるからである。例えば、剛性フィルム層として、PET基材を用いる場合、PET基材には水酸基またはカルボキシル基などの活性水素を有する官能基が含まれており、これらが有機コーティング層中のイソシアネート基(または過剰量のイソシアネート基)と反応することによって、ウレタン結合またはアミド結合を形成すると考えられるからである。また、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を含むような粘着剤を用いた粘着剤層でも、これと同様に、活性水素により対応する結合が形成されると考えられる。つまり、これら結合によっても、より密着性を向上させることができ、投錨破壊抑止に有効となると期待される。
このようなことから、剛性フィルム層および/または後述する粘着剤層に、活性水素を含有する官能基が含まれる材料またはこのような官能基を有する化合物が添加された材料が用いられている場合において、特に、投錨破壊を抑止する効果を高めることが可能となる。なお、活性水素を含有する官能基としては、上述したものの他に、ウレタン基、ウレア基、チオール基などが挙げられ、それぞれシソシアネート基と反応することにより、アロハネート結合、ビュウレット結合、チオウレタン結合などの化学結合を形成することができる。
ここで、ポリオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水酸基含有アクリル酸、およびその類縁体(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなど)から重合されたポリマー;等、1分子中に平均して1つ以上(好ましくは1を超え、より好ましくは2以上)の水酸基を含有する化合物が好ましい。これらポリオール化合物は、沸点(融点)、粘度等が様々であるため、塗工など製造条件を鑑みて適宜選択することができる。
ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)等のジイソシアネート化合物;ポリフェニレンポリイソシアネート(ポリMDI);重合末端がトリレンジイソシアネートであるポリプロピレングリコール;等、1分子中に平均して1つ以上のイソシアネート基を含有する化合物であればよい。これらポリイソシアネートは沸点(融点)、粘度等が様々であるため、塗工など製造条件を鑑みて適宜選択することができる。
有機コーティング層の厚みは、任意の適切な厚みを採用し得る。例えば、好ましくは0.1μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.5μm〜5μmである。
収縮性フィルム層と剛性フィルム層とは、好ましくは接着剤層を介して積層され、基材層をなす。
接着剤層は、収縮性フィルム層と剛性フィルム層とを接合する役割を果たすものであり、好ましくは、両者を接合するために十分な接着力を有する。接着剤層は、特に、収縮性フィルム層を収縮させるために加温等の処理を行っても、接着力の低下を起こさないものが好ましい。また、収縮応力から剛性フィルム層へ反作用力を生むためには、接着剤層は薄く且つ硬い層であることが好ましい。接着剤層が厚すぎたり柔らすぎたりする場合には、収縮応力によって接着剤層自体が収縮してしまい、剛性フィルム層の反作用力を低下させ、巻回に必要なトルクを低下させるおそれがある。このように、接着剤層は、薄く且つ硬く且つ高接着力であるという、互いに相反する物性を両立していることが好ましい。
接着剤層のせん断貯蔵弾性率G’は、室温から剥離時温度(例えば80℃)において、1×10Pa〜5×10Paが好ましく、0.05×10Pa〜3×10Paがより好ましい。せん断貯蔵弾性率が高いほど収縮力がトルクへ変換されやすくなるが、あまりに弾性率が高いとトルクによって筒状に変形しにくくなるためである。なお、せん断貯蔵弾性率の測定方法は後述する。
接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm〜15μmであり、より好ましくは0.1μm〜10μmである。接着剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、通常必要とされる接着力を確保することができる。また、必要以上の剛性の増加を防止して、生成するトルクのうち、巻回のために使われる力を低減し、接着力を被着体より剥離するための力として消費させることができる。さらに、貼り付け応力によって被着体が反るのを抑制するための応力緩和機能をもたらすことができる。加えて、本発明の自発巻回性粘着テープにおける切断性が良好となり、接着剤層のはみだし等を防止することができる。なお、応力緩和機能は、厚みの他、接着剤層の材料、種々の特性によって制御することができる。
接着剤層を形成する接着剤は、高い接着力を有するものが好ましく、特に、加熱状態でも接着力を高く維持できるものが好ましい。具体的には、50℃における収縮性フィルム層と剛性フィルム層との2種のフィルムを引き剥がすに必要な剥離力は、50℃における180°ピール剥離試験(引張り速度300mm/min)において、4.0N/10mm以上であるものが適している。この範囲の剥離力とすることにより、実際の剥離での使用においても、収縮性フィルム層の収縮応力によって接合が破壊されず、接着剤層上で収縮性フィルムを収縮させる不具合を防止することができる。
接着剤層を形成する接着剤は、上述した特性を有する材料であれば、任意の適切な接着剤を採用し得る。このような接着剤としては、ウレタン系接着剤が好ましい。
ウレタン系接着剤は、官能基としてイソシアナート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とを混合し、化学反応によってウレタン結合を生成させる接着剤である。ウレタン結合は強い水素結合性を有するため、弱い分子間力であるファンデルワールス力のみに依る接着剤よりも強力に被着体を接着させることができる。また、接着剤分子同士の分子間力も強いため、接着剤を加熱しても軟化が起こりにくく、温度依存性が小さい。さらに、イソシアナート基は接着剤中の水酸基だけでなく、基材中に含まれる水酸基とも反応して、ウレタン結合を生じるため、共有結合による強い接着力も期待できることから好ましい。
なお、接着剤中のウレタン結合の密度が大きくなりすぎると、高弾性体となり、被着体界面への濡れ性が低下するため、イソシアナート基および水酸基間には、エーテル結合、エステル結合等の分子鎖を屈曲させる作用の強い分子が介在し、適切な柔軟性および/または濡れ性を有するものが好ましい。このようなウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン等が挙げられる。このようなウレタン系接着剤としては、特に好ましくは、ポリエステルウレタンである。
ウレタン系接着剤としては、任意の適切なウレタン系接着剤を採用し得る。ウレタン系接着剤としては、例えば、上述したような水酸基を含む成分とイソシアナートを含む成分の2種を混合して使用する2液型接着剤、イソシアナート基を保護基で修飾して、保存時には非反応性にし、使用時に加熱などして保護基を脱離させて使用する1液型接着剤などが挙げられる。また、ウレタン系接着剤としては、例えば、接着剤分子を溶剤に混合した溶媒混合系ウレタン接着剤、接着剤分子を低分子量化(低粘性化)した無溶媒型ウレタン接着剤、エマルションによる水溶性ウレタン接着剤なども挙げられる。また、ウレタン化反応を促進させるために、任意の適切なウレタン化触媒(例えば、有機錫化合物や三級アミン類など)を適宜混合しても良い。
ウレタン系接着剤としては、具体的には、例えば、三井化学社製のタケラック(登録商標)類、三井化学社製のタケネート(登録商標)類、大日精化社製のセイカボンド類、ロックタイト社製のHysol類、日本ポリウレタン社製のニッポラン類、日本ポリウレタン社製のコロネート類、株式会社イーテック社製のマイティシリーズ類、などが挙げられる。
接着剤層を形成する場合は、好ましくは、収縮性フィルム層または剛性フィルム層に塗布する。この場合の塗布方法としては、例えば、マイヤーバー、アプリケータ等を用いた方法;ファンテンダイ、グラビアコーター等を用いた工業的に量産する方法;などが挙げられる。また、適当な剥離シート(セパレーター)上に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、これを収縮性フィルム層または剛性フィルム層上に転写(移着)してもよい。
基材層は、帯電防止剤を含んでいても良い。基材層が帯電防止剤を含むことにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
基材層が帯電防止剤を含む場合、基材層中の帯電防止剤の含有割合は、好ましくは0.25重量%〜75重量%であり、より好ましくは3重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜40重量%であり、特に好ましくは10重量%〜30重量%である。基材層中の帯電防止剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことをより効果的に抑制できる。
帯電防止剤としては、任意の適切な帯電防止剤を採用し得る。このような帯電防止剤としては、例えば、有機物、イオン性液体、導電性ポリマー、塩含有オリゴマー、炭素化合物、界面活性剤、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーなどが挙げられる。具体的には、例えば、日本カーリット製の「CILシリーズ」などのピリジニウム系イオン性液体、関東化学製の「1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート」などのイミダゾリウム系イオン性液体、大成ファインケミカル製の「アクアット 1SXシリーズ」などのアンモニウム系イオン性液体等の、イオン性液体;日本カーリット製の「CDPシリーズ」などのポリピロール、信越ポリマー製の「セプルシーダ」などのポリチオフェン、Panipol製の「Panipol」などのポリアニリン等の、導電性ポリマー;新中村化学工業製の「NKオリゴU601シリーズ」や日本カーリット製の「PELシリーズ」などの塩含有オリゴマー;カーボンブラックや黒鉛などの炭素化合物;コルコート製の「コルコート1000」などの界面活性剤;三井金属製の「パストラン」や大日精化製の「ネオコンコート」などの、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラー;などが挙げられる。
基材層が帯電防止剤を含む場合は、帯電防止剤としては、上記の中でも、有機物、イオン性液体、導電性ポリマー、塩含有オリゴマー、界面活性剤が好ましい。これらの帯電防止剤は、基材層に均一に分散されやすいため効果が出やすく、また、取扱いも容易であるからである。
基材層が帯電防止剤を含む場合は、該帯電防止剤は、基材層を構成するいずれの層に含まれていても良い。例えば、収縮性フィルム層に含まれていても良いし、剛性フィルム層に含まれていても良いし、接着剤層に含まれていても良いし、これらの層の2種以上に含まれていても良い。
<粘着剤層>
粘着剤層は、好ましくは、エネルギー線を照射することにより硬化するエネルギー線硬化型粘着剤層である。
本発明においては、粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層の表面抵抗率が5.0×1012Ω/□以下であり、好ましくは1.0×10Ω/□〜1.0×1012Ω/□であり、より好ましくは1.0×10Ω/□〜1.0×1010Ω/□であり、特に好ましくは1.0×10Ω/□〜5.0×10Ω/□である。上記表面抵抗率が上記範囲内に収まることにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
粘着剤層は、帯電防止剤を含んでいても良い。粘着剤層が帯電防止剤を含むことにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
粘着剤層が帯電防止剤を含む場合、粘着剤層中の帯電防止剤の含有割合は、好ましくは0.25重量%〜40重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜20重量%であり、さらに好ましくは0.75重量%〜15重量%であり、特に好ましくは1重量%〜10重量%である。粘着剤層中の帯電防止剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことをより効果的に抑制できる。
帯電防止剤としては、任意の適切な帯電防止剤を採用し得る。このような帯電防止剤としては、例えば、有機物、イオン性液体、導電性ポリマー、塩含有オリゴマー、炭素化合物、界面活性剤、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーなどが挙げられる。具体的には、例えば、日本カーリット製の「CILシリーズ」などのピリジニウム系イオン性液体、関東化学製の「1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート」などのイミダゾリウム系イオン性液体、大成ファインケミカル製の「アクアット 1SXシリーズ」などのアンモニウム系イオン性液体等の、イオン性液体;日本カーリット製の「CDPシリーズ」などのポリピロール、信越ポリマー製の「セプルシーダ」などのポリチオフェン、Panipol製の「Panipol」などのポリアニリン等の、導電性ポリマー;新中村化学工業製の「NKオリゴU601シリーズ」や日本カーリット製の「PELシリーズ」などの塩含有オリゴマー;カーボンブラックや黒鉛などの炭素化合物;コルコート製の「コルコート1000」などの界面活性剤;三井金属製の「パストラン」や大日精化製の「ネオコンコート」などの、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラー;などが挙げられる。
粘着剤層が帯電防止剤を含む場合は、帯電防止剤としては、上記の中でも、有機物、イオン性液体、導電性ポリマー、塩含有オリゴマー、界面活性剤が好ましい。これらの帯電防止剤は、粘着剤層に均一に分散されやすいため効果が出やすく、また、取扱いも容易であるからである。
粘着剤層が帯電防止剤を含む場合は、該帯電防止剤は、粘着剤層を構成するいずれの層に含まれていても良い。
本発明の自発巻回性粘着テープは、粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の粘着剤層の糊面の算術平均表面粗さRaが、好ましくは31.5nm以上であり、より好ましくは32.0nm〜2000nmであり、さらに好ましくは34.0nm〜1000nmであり、特に好ましくは35.5nm〜500nmであり、最も好ましくは40nm〜80nmである。本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整することにより、被着体に貼り付けた後に自発巻回させて得られる巻回体を、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、容易に被着体表面から回収できる、自発巻回性粘着テープを提供し得る。なお、糊面の算術平均表面粗さRaの測定方法は後述する。
図4は、本発明の自発巻回性粘着テープ10が被着体50に貼り付けられた後に自発巻回したときの該自発巻回性粘着テープ10と該被着体50との間の粘着状態を示す概略断面図である。本発明の自発巻回性粘着テープ10における粘着剤層2の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整すると、本発明の自発巻回性粘着テープ10を被着体50に貼り付けた後にエネルギー線を照射した場合、本発明の自発巻回性粘着テープ10の粘着剤層2の糊面は算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整しようとして凹凸を形成する応力が発生する。このとき、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50とは粘着力によって密着しているため、凹凸が形成されることは起こり難い。もし密着状態の層間において凹凸が形成するということが起これば、それは、真空部分が自然に発生するということになり、そのようなことは起こり難いからである。したがって、この段階では、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50との間には凹凸は生じず、糊面の算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整しようとして凹凸を形成する応力が潜在的に発生しているものと推察される(図4(A))。実際、本発明の自発巻回性粘着テープをシリコンミラーウエハに貼り付け、紫外線照射を行い、その後に、ダイシングブレードによる切断や切削水圧といった外力を与えても、本発明の自発巻回性粘着テープはシリコンミラーウエハから剥がれることはなく、また、本発明の自発巻回性粘着テープの粘着剤層とシリコンミラーウエハとの界面への水の浸入も確認されない。このような状態で加熱を行うと、本発明の自発巻回性粘着テープ10は自発巻回し、被着体50から離れていった糊面部分には凹凸が生じる(図4(B))。この凹凸は、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50との間の密着状態が解放され、算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整しようとして凹凸を形成する応力により形成されたものである。本発明の自発巻回性粘着テープ10が一旦自発巻回しはじめると、糊面が次第に被着体から離れていく。このとき、被着体50から今にも離れようとしている糊面部分には、少しずつ外気が流入するので、凹凸を形成する応力と相まって、該糊面部分の算術平均表面粗さRaが上記範囲内に調整されて凹凸が順次形成されることになると推察される(図4(C))。そして、糊面が有する凹凸を形成する応力がドライビングフォースとなって順次これが繰り返され、最終的に、本発明の自発巻回性粘着テープ10は、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50との間の接点がほとんどない巻回体10´となる(図4(D))ものと推察され、別途用意すべき道具や装置を必要とすることなく、例えば、重力のみで巻回体10´を落下させるなど、容易に被着体50の表面から巻回体10´を回収できることとなる。
本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整する手段としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、好ましくは、後述するように、粘着剤層中にフィラーを含有させる方法が挙げられる。
粘着剤層中にフィラーを含有させたときの、本発明の自発巻回性粘着テープ10が被着体50に貼り付けられた後に自発巻回したときの該自発巻回性粘着テープ10と該被着体50との間の粘着状態を示す概略断面図を図5に示す。本発明の自発巻回性粘着テープ10を被着体50に貼り付けた後にエネルギー線を照射した場合、本発明の自発巻回性粘着テープ10の粘着剤層2の糊面は算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整しようとして凹凸を形成する応力が発生する。特に、粘着剤層2の糊面付近にフィラー20が存在することにより、フィラー20の存在しない領域において収縮応力Pが発生する。このとき、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50とは粘着力によって密着しているため、収縮応力Pによって凹凸が形成されることは起こり難い。もし密着状態の層間において凹凸が形成するということが起これば、それは、真空部分が自然に発生するということになり、そのようなことは起こり難いからである。したがって、この段階では、本発明の自発巻回性粘着テープ10と被着体50との間には凹凸は生じず、糊面の算術平均表面粗さRaを上記範囲内に調整しようとして凹凸を形成する収縮応力Pが、フィラー20の存在しない領域において潜在的に発生しているものと推察される(図5(A))。このような状態で加熱を行うと、本発明の自発巻回性粘着テープ10は自発巻回し、被着体50から離れていった糊面部分には、フィラー20の存在しない領域において発生する収縮応力Pによって凹凸が生じる(図5(B))。このとき、被着体50から遠く離れていった部分の凸部(例えば、図5(B)の凸部(X))に比べて、被着体50から離れた直後の部分の凸部(例えば、図5(B)の凸部(Y))は、まだ微小な凸部の状態である。しかし、この微小な凸部が、フィラー20の存在しない領域において発生する収縮応力Pによって剥離起点となり、順次剥離されていき、未剥離部分が次第になくなっていき、最終的に巻回体となるものと推察される。
粘着剤層は、エネルギー線照射前は、被着体に貼着して、被着体に「割れ」や「欠け」が発生することから保護するために十分な粘着力を有し、加工後は、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線などのエネルギー線を照射することにより3次元網目構造を形成させて硬化させ、被着体に対する粘着力を低下させると共に、収縮性フィルム層が熱によって収縮する際に、その収縮に反発する拘束層としての作用を発揮することができるため、収縮に対する反発力が駆動力となって本発明の自発巻回性粘着テープの外縁部(端部)が浮き上がり、収縮性フィルム層側を内にして、端部から1方向へまたは対向する2端部から中心(2端部の中心)に向かって自発的に巻回して1または2個の筒状巻回体を形成することができる。
粘着剤層を形成する粘着剤(エネルギー線硬化型粘着剤)としては、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線反応性官能基を化学修飾した化合物、または、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を少なくとも含有することが好ましい。従って、エネルギー線硬化型粘着剤としては、エネルギー線反応性官能基で化学的に修飾された母剤、および/または、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を母剤中に配合した組成物により構成されるものが好ましく用いられる。
母剤としては、任意の適切な粘着剤を使用することができる。このような粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、NBRなどのゴム系ポリマーをベースポリマーに用いたゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;アクリル系粘着剤;などが挙げられる。これらの粘着剤の中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。なお、母剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸C1−C20アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独または共重合体;該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モルホリルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;等)との共重合体などのアクリル系重合体をベースポリマーに用いたアクリル系粘着剤;などが挙げられる。アクリル系粘着剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリルロイル」とはアクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
エネルギー線硬化させるための化学修飾に用いるエネルギー線反応性官能基およびエネルギー線硬化性化合物としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線などのエネルギー線により硬化可能なものであれば、任意の適切な化合物を採用し得る。このような化合物としては、エネルギー線照射により3次元網状化(網目化)が効率よくなされるものが好ましい。このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
化学修飾に用いられるエネルギー線反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基などの炭素−炭素多重結合を有する官能基などが挙げられる。これらの官能基は、エネルギー線の照射により炭素−炭素多重結合が開裂してラジカルを生成し、このラジカルが架橋点となって3次元網目構造を形成することができる。このような化学修飾に用いられるエネルギー線反応性官能基の中でも、アクリロイル基またはメタクリロイル基は、エネルギー線に対して比較的高反応性を示すことができ、また豊富な種類のアクリル系粘着剤から選択して組み合わせて使用できるなど、反応性、作業性の観点で好ましい。
エネルギー線反応性官能基で化学的に修飾された母剤の代表的な例としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基等の反応性官能基を含む単量体(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸など)を(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させた反応性官能基含有アクリル系重合体に、分子内に該反応性官能基と反応する基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基など)およびエネルギー線反応性官能基(アクリロイル基、メタクリロイル基等)を有する化合物(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチレンイソシアネートなど)を反応させて得られる重合体が挙げられる。
反応性官能基含有アクリル系重合体における反応性官能基を含む単量体の割合は、全単量体に対して、好ましくは0.01重量%〜100重量%であり、より好ましくは1重量%〜50重量%である。
反応性官能基含有アクリル系重合体と反応させる際の分子内に反応性官能基と反応する基およびエネルギー線反応性官能基を有する化合物の使用量は、反応性官能基含有アクリル系重合体中の反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)に対して、好ましくは1モル%〜100モル%であり、より好ましくは20モル%〜95モル%である。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の、分子内にアクリロイル基やメタクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を含む基を2つ以上有する化合物などが挙げられる。このような化合物の中でも、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を2個以上有する化合物が好ましく、例えば、特開2003−292916号公報に例示されている化合物が挙げられる。なお、このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、オニウム塩等の有機塩類と分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物などを用いることもできる。このような混合物は、エネルギー線の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成することができる。上記有機塩類としては、例えば、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩などが挙げられる。上記分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、例えば、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジンなどが挙げられる。このようなエネルギー線硬化性化合物としては、具体的には、例えば、「光硬化技術」(技術情報協会編、2000)に記載の化合物などが挙げられる。なお、このような化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート等の分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するポリマーまたはオリゴマー;分子内にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂や光カチオン重合型樹脂;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化したアミノノボラック樹脂やアクリルアミド型ポリマーなどの感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマー;エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサン等の高活性エネルギー線で反応するポリマー;などが挙げられる。なお、このようなエネルギー線硬化性樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。また、エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合には、上記母剤は必ずしも必要でない。
エネルギー線硬化性樹脂の分子量としては、好ましくは5000未満、より好ましくは100〜3000である。エネルギー線硬化性樹脂の分子量が5000を上回ると、例えば(母剤である)アクリル系重合体との相溶性が低下するおそれがある。
エネルギー線硬化性樹脂としては、エネルギー線に対して比較的高い反応性を示すことができる点で、エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート等の分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーを使用することが好ましい。
粘着剤としては、選択肢が多く、エネルギー線照射前後での弾性率調整が行いやすい点で、エネルギー線硬化性を付与するためのエネルギー線反応性官能基を化学修飾した化合物、および、エネルギー線硬化性化合物(またはエネルギー線硬化性樹脂)を組み合わせて使用することが好ましく、特に、側鎖に(メタ)アクリロイル基が導入されたアクリル系重合体と、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーとの組み合わせが、エネルギー線に対して比較的高い反応性を示す(メタ)アクリロイル基を含み、しかも多様なアクリル系粘着剤から選択できるため、反応性や作業性の観点から好ましい。このような組み合わせとしては、特開2003−292916号公報等に開示のものを利用できる。
エネルギー線硬化性樹脂(例えば、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマー)の配合量は、例えば、母剤(例えば、上記側鎖に(メタ)アクリロイル基が導入されたアクリル系重合体)100重量部に対して、好ましくは0.001重量部〜500重量部、より好ましくは0.01重量部〜200重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜150重量部である。
粘着剤には、3次元網目構造を形成する反応速度の向上を目的として、エネルギー線硬化性を付与する化合物を硬化させるためのエネルギー線重合開始剤が配合されていても良い。
エネルギー線重合開始剤は、用いるエネルギー線の種類(例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線など)に応じて、任意の適切なエネルギー線重合開始剤を採用し得る。このようなエネルギー線重合開始剤としては、作業効率の面から、紫外線で光重合開始可能な化合物が好ましい。代表的なエネルギー線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キノン、ナフトキノン、アンスラキノン、フルオレノン等のケトン系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド、過安息香酸等の過酸化物系開始剤;などが挙げられる。市販品のエネルギー線重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン社製の商品名「イルガキュア184」、「イルガキュア651」、「イルガキュア127」、「イルガキュア2959」などが挙げられる。
エネルギー線重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
エネルギー線重合開始剤の配合量としては、上記母剤100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部であり、より好ましくは1重量部〜8重量部である。なお、必要に応じて、活性エネルギー線重合開始剤とともに活性エネルギー線重合促進剤を併用しても良い。
粘着剤層には、好ましくはフィラーが含まれる。粘着剤層にフィラーが含まれることにより、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを前述の範囲に容易に調整することが可能となる。
フィラーとしては、本発明の効果を損なわない限り、任意の適切なフィラーを採用し得る。このようなフィラーとしては、例えば、熱膨脹性微小球;架橋アクリル単分散粒子;樹脂ビーズなど有機材、または、ガラス(シリカ)ビーズ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタンなど無機材などの粒子状フィラー;などが挙げられ、粒径の制御や透明性、粘着剤への分散性などの観点から、好ましくは、熱膨脹性微小球、架橋アクリル単分散粒子、およびガラス(シリカ)ビーズから選ばれる少なくとも1種である。
熱膨脹性微小球としては、例えば、松本油脂製薬(株)製の「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーFNシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーMFLシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーMシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーSシリーズ」などが挙げられる。
架橋アクリル単分散粒子としては、例えば、綜研化学(株)製の「ケミスノーMXシリーズ」、「ケミスノーMRシリーズ」などが挙げられる。
ガラス(シリカ)ビーズとしては、例えば、(株)龍森製の「ファインシリーズ」などが挙げられる。
粒子状フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜500μmであり、より好ましくは1μm〜100μmであり、さらに好ましくは2μm〜70μmであり、特に好ましくは3μm〜50μmであり、最も好ましくは3μm〜10μmである。粒子状フィラーの平均粒子径を上記範囲内に調整することによって、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを前述の範囲により容易に調整することが可能となる。
粒子状フィラーの添加量は、粘着剤層の全体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜200重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜75重量部であり、特に好ましくは3重量部〜50重量部である。粒子状フィラーの添加量を上記範囲内に調整することによって、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを前述の範囲により容易に調整することが可能となる。
粘着剤には、エネルギー線硬化前後に適切な粘着性を得るために、架橋剤、硬化(架橋)促進剤、粘着付与剤、加硫剤、増粘剤などの添加剤が含まれていても良い。粘着剤には、耐久性向上のために、老化防止剤、酸化防止剤などの添加剤が含まれていても良い。このような添加剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤の好ましい態様としては、側鎖(メタ)アクリロイル基含有アクリル粘着剤、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマー、(メタ)アクリレート系架橋剤(ポリ(メタ)アクリロイル基含有化合物;多官能(メタ)アクリレート)、紫外線光開始剤を含む紫外線硬化型粘着剤などが挙げられる。
粘着剤層の形成方法としては、例えば、(1)粘着剤、エネルギー線硬化性化合物、必要に応じて溶媒を添加して調製したコーティング液を、収縮性フィルム層の表面に塗布する方法、(2)剥離シート(セパレーター)上に、粘着剤、エネルギー線硬化性化合物、必要に応じて溶媒を添加して調製したコーティング液を塗布して粘着剤層を形成し、これを収縮性フィルム層上に転写(移着)する方法、などが挙げられる。(2)の方法の場合、収縮性フィルム層との界面にボイド(空隙)が残る場合がある。この場合は、オートクレーブ処理等により加温加圧処理を施し、ボイドを拡散させて消滅させることができる。
粘着剤層は、1層のみからなる単層であっても良いし、2層以上からなる複層であっても良い。
本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜75μmであり、より好ましくは1.5μm〜60μmであり、さらに好ましくは3μm〜50μmであり、特に好ましくは5μm〜40μmである。本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の厚みを上記範囲内に調整することによって、本発明の自発巻回性粘着テープにおける粘着剤層の糊面のエネルギー線硬化後の算術平均表面粗さRaを前述の範囲により容易に調整することが可能となる。粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着力が不足するために、被着体を保持、仮固定することが困難となるおそれがあり、粘着剤層の厚みが厚すぎると不経済であるとともに取扱性に劣るおそれがある。
粘着剤層は、エネルギー線照射前は、23℃におけるヤング率と厚みの積が、好ましくは0.0001N/m〜1500N/mであり、より好ましくは0.001N/m〜750N/mである。上記ヤング率と厚みの積が上記範囲を外れると、粘着力が不足するために、被着体を保持、仮固定することが困難となるおそれがある。なお、エネルギー線照射前の粘着剤層のヤング率(23℃)の測定方法は後述する。
粘着剤層の有する粘着力(条件:180°ピール剥離、対シリコンミラーウエハ、引張速度300mm/分)としては、23℃で、好ましくは0.01N/10mm〜25N/10mmである。上記粘着力が上記範囲を外れると、粘着力が不足するために、被着体を保持、仮固定することが困難となるおそれがある。
粘着剤層は、エネルギー線を照射することにより硬化して、80℃におけるヤング率と厚みの積が、好ましくは1×10−2N/m以上3×10N/m未満であり、より好ましくは3×10−2N/m以上2×10N/m未満である。エネルギー線照射後の80℃におけるヤング率と厚みの積が1×10−2N/mを下回ると、十分な反作用力が生じず、熱収縮性フィルムの収縮応力により、本発明の自発巻回性粘着テープ全体が折れ曲がる、波打つ(皺くちゃになる)などの不定形に変形して自発巻回を起こすことができないおそれがある。なお、エネルギー線照射後の粘着剤層のヤング率(80℃)の測定方法は後述する。
エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、放射線、電子線などを挙げることができ、粘着剤層の種類に応じて、適宜選択できる。例えば、本発明の自発巻回性粘着テープが紫外線硬化型粘着剤層を有する場合は、エネルギー線として紫外線を使用する。
紫外線の発生方式としては、例えば、放電ランプ方式(アークランプ)、フラッシュ方式、レーザー方式などを挙げることができる。本発明においては、工業的な生産性に優れる点で、放電ランプ方式(アークランプ)を使用することが好ましく、照射効率に優れる点で、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを使用した照射方法を使用することがより好ましい。
紫外線の波長としては、紫外領域の波長であれば、任意の適切な波長を採用し得る。このような波長としては、例えば、一般的な光重合に使用され、紫外線発生方式で使用される波長として、250nm〜400nm程度の波長を使用することが好ましい。
紫外線の照射条件としては、照射強度として、例えば、好ましくは10mJ/cm〜1000mJ/cm、より好ましくは50mJ/cm〜600mJ/cmである。紫外線の照射強度が10mJ/cmを下回ると、粘着剤層の硬化が不十分となり、拘束層としての作用を発揮することが困難となるおそれがある。一方、照射強度が1000mJ/cmを上回ると、粘着剤層の硬化が進行し過ぎて、ひび割れるおそれがある。
本発明の自発巻回性粘着テープは、エネルギー線を照射した後にミラーウエハに貼着した状態からの、温度23℃、湿度50%RH、剥離角度30度、引張速度300mm/分における剥離力が、好ましくは0.25N/10mm以下であり、より好ましくは0.01N/10mm〜0.20N/10mmであり、さらに好ましくは0.02N/10mm〜0.15N/10mmであり、特に好ましくは0.03N/10mm〜0.13N/10mmであり、最も好ましくは0.05N/10mm〜0.129N/10mmである。上記剥離力を上記範囲内に調整することにより、巻回剥離後の再粘着を効果的に防ぐことが可能になる。なお、照射後貼付け30°ピール剥離力の測定方法は後述する。
本発明の自発巻回性粘着テープは、粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層のプローブタックが、好ましくは50kN/mm以下であり、より好ましくは1kN/mm〜40kN/mmであり、さらに好ましくは3kN/mm〜35kN/mmであり、特に好ましくは5kN/mm〜30kN/mmであり、最も好ましくは7kN/mm〜23kN/mmである。上記剥離力を上記範囲内に調整することにより、巻回剥離後の再粘着を効果的に防ぐことが可能になる。なお、プローブタックの測定方法は後述する。
<帯電防止層>
本発明の自発巻回性粘着テープは、帯電防止層をさらに含んでいても良い。帯電防止層の配置場所は、任意の適切な場所に配置し得る。例えば、基材層の粘着剤層と反対側の表面側、基材層と粘着剤層の間などが挙げられる。
本発明の自発巻回性粘着テープが帯電防止層を含むことにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
帯電防止層の厚みは、好ましくは0.01μm〜5μmであり、より好ましくは0.03μm〜4μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜3μmであり、特に好ましくは0.1μm〜1μmである。帯電防止層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の自発巻回性粘着テープが自発巻回した後に形成される巻回体が体や衣服などに吸い寄せられて引っ付くことを効果的に抑制できる。
帯電防止層としては、任意の適切な帯電防止層を採用し得る。このような帯電防止層としては、例えば、有機物、イオン性液体、導電性ポリマー、塩含有オリゴマー、炭素化合物、界面活性剤、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーなどの帯電防止剤を含む層が挙げられる。このような帯電防止剤としては、具体的には、例えば、日本カーリット製の「CILシリーズ」などのピリジニウム系イオン性液体、関東化学製の「1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート」などのイミダゾリウム系イオン性液体、大成ファインケミカル製の「アクアット 1SXシリーズ」などのアンモニウム系イオン性液体等の、イオン性液体;日本カーリット製の「CDPシリーズ」などのポリピロール、信越ポリマー製の「セプルシーダ」などのポリチオフェン、Panipol製の「Panipol」などのポリアニリン等の、導電性ポリマー;新中村化学工業製の「NKオリゴU601シリーズ」や日本カーリット製の「PELシリーズ」などの塩含有オリゴマー;カーボンブラックや黒鉛などの炭素化合物;コルコート製の「コルコート1000」などの界面活性剤;三井金属製の「パストラン」や大日精化製の「ネオコンコート」などの、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラー;などが挙げられる。
本発明の自発巻回性粘着テープが帯電防止層を含む場合は、帯電防止剤としては、上記の中でも、導電性ポリマー、炭素化合物、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーが好ましい。これらの帯電防止剤は、帯電防止層とした場合に効果が出やすく、また、取扱いも容易であるからである。
帯電防止層は、例えば、上記の導電性ポリマー、炭素化合物、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーなどを、任意の適切なバインダー樹脂に配合してコーティングすることによって形成し得る。
帯電防止層は、また、例えば、上記の導電性ポリマー、炭素化合物、金属粉末や金属酸化物などの金属フィラーなどを、蒸着することによって形成し得る。
<剥離シート>
本発明の自発巻回性粘着テープは、粘着剤層の平滑化および保護、ラベル加工、ブロッキング防止の観点などから、粘着剤層の表面に剥離シート(セパレーター)が設けられていてもよい。剥離シートは被着体に貼り合わせる際に剥がされるものであり、必ずしも設けなくてもよい。用いられる剥離シートとしては、例えば、任意の適切な剥離紙などが挙げられる。
剥離シートとしては、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、硫化モリブデン系剥離処理剤などの剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。
フッ素系ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。
無極性ポリマーからなる低接着性基材における無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
剥離シートは、任意の適切な方法により形成することができる。
剥離シートの厚さとしては、例えば、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは25μm〜100μmである。また、必要に応じて、粘着剤層が環境紫外線によって硬化するのを防止するため、剥離シートに紫外線防止処理などが施されていても良い。
≪自発巻回性粘着テープの製造≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、任意の適切な方法によって製造することができる。
本発明の自発巻回性粘着テープにおける基材層は、例えば、収縮性フィルム層と剛性フィルム層とを重ね、ハンドローラー、ラミネーター等の積層手段、オートクレーブ等の大気圧圧縮手段を、目的に応じて適宜選択的に用いて積層させることにより製造できる。この際、収縮性フィルム層と剛性フィルム層との積層に、必要に応じて接着剤等を用いても良い。また、必要に応じて、帯電防止層を、任意の適切な場所に設けても良い。
本発明の自発巻回性粘着テープは、上記のようにして得られた基材層の剛性フィルム層側の表面に粘着剤層を設けることにより製造することができる。
≪自発巻回性粘着テープの用途≫
本発明の自発巻回性粘着テープは、例えば、半導体等の保護用粘着テープ、半導体ウエハ等の固定用粘着テープとして利用でき、より具体的には、例えば、シリコン半導体バックグラインド用粘着テープ、化合物半導体バックグラインド用粘着テープ、シリコン半導体ダイシング用粘着テープ、化合物半導体ダイシング用粘着テープ、半導体パッケージダイシング用粘着テープ、ガラスダイシング用粘着テープ、セラミックスダイシング用粘着テープなど、電子部品、半導体部品、または光学部品の表面保護として使用できる。特に、ダイシング時の切削水による腐食(さび)、切削屑等から被着体を保護するための保護テープとして有用である。
LED用サファイヤ基板は、通常、直径が2インチ〜3インチである。裏面精密研磨に際して本発明の自発巻回性粘着テープを貼り付ける場合、ウエハに本発明の自発巻回性粘着テープを貼り付けてからウエハ外周に沿ってカッターでカットすると、ウエハ径が小さいためカッターに強い負荷がかかり、切れ性の低下が激しい。また、カメラ用光学フィルターの搬送時に本発明の自発巻回性粘着テープを貼り付ける場合、通常5mm□〜40mm□以下の部材に貼り付けてから本発明の自発巻回性粘着テープをカットすると、欠け発生の原因となり、作業性も著しく低下する。この場合、本発明の自発巻回性粘着テープは、剥離シート(セパレーター)上に打ち抜き加工されたものを用いることが好ましい。すなわち、本発明の自発巻回性粘着テープは、剥離シート上に所定形状に打ち抜かれた粘着ラベルの形態で使用することも可能である。
本発明の自発巻回性粘着テープは、このように、特に、サファイヤなどのLED用ウエハの裏面研磨用保護テープ、反射防止フィルターやIRカットフィルターなどの光学フィルターのガラスや石英基板の切断時の表面保護テープ、半導体ウエハの裏面研削用保護テープ、CMOS/CCDのイメージセンサーウエアの切断時の表面保護テープ、これら切断体の搬送時の表面保護テープとして有用である。
本発明の自発巻回性粘着テープは、例えば、本発明の自発巻回性粘着テープを被着体に貼着して仮固定し、被着体に所要の加工を施す。その後、エネルギー線の照射によって本発明の自発巻回性粘着テープの粘着剤層の粘着力を低下させるとともに、収縮性フィルム層の収縮原因となる加熱等の刺激を自発巻回性粘着シートに与える。これによって、本発明の自発巻回性粘着テープは、その1端部から1方向(通常、主収縮軸方向)へ、または、対向する2端部から中心に向かって(通常、主収縮軸方向へ)、自発的に巻回し、1個または2個の筒状巻回体を形成するとともに、被着体から剥離する。つまり、粘着剤層が硬化して粘着力を失い、収縮性フィルム層が収縮変形しようとするため、本発明の自発巻回性粘着テープの外縁部が浮き上がって、その外縁部(または対向する二つの外縁部)より本発明の自発巻回性粘着テープが巻回しつつ、一方向(又は方向が互いに逆の二方向(中心方向))へ自走して1個(又は2個)の筒状巻回体を形成する。この際、収縮性フィルム層によって本発明の自発巻回性粘着テープの収縮方向が調整されるため、一軸方向へ巻回しつつ速やかに筒状巻回体が形成され、本発明の自発巻回性粘着テープを被着体から極めて容易に、かつ綺麗に剥離することができる。
本発明の自発巻回性粘着テープの1端部から1方向へ自発巻回する場合は、1個の筒状巻回体が形成され(一方向巻回剥離)、本発明の自発巻回性粘着テープの対向する2端部から中心に向かって自発的に巻回する場合は、平行に並んだ2個の筒状巻回体が形成される(二方向巻回剥離)。このように、本発明の自発巻回性粘着テープは、常に筒状に丸まるために、剥離後のテープ回収作業の簡便化にもつながる。
被着体の代表的な例としては、例えば、半導体ウエハ、ガラスウエハ、セラミックなどが挙げられる。
加工は、本発明の自発巻回性粘着テープを用いて施しうる加工であれば、任意の適切な加工を採用し得る。このような加工としては、例えば、研削、切断、研磨、エッチング、ダイシング、旋盤加工、加熱などが挙げられる。
エネルギー線照射と加熱処理は同時に行っても良いし、段階的に行っても良い。本発明の効果を十分に発現するためには、好ましくは、エネルギー線照射の後に加熱処理を行う。
加熱は、熱収縮性フィルム層の収縮性に応じてその温度を適宜選択でき、例えば、好ましくは70℃〜200℃であり、より好ましくは70℃〜160℃である。また、加熱は、被着体全面を均一に加温しても良いし、被着体全面を段階的に加温しても良いし、剥離きっかけを作るためだけに被着体を部分的に加熱しても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
<せん断貯蔵弾性率G’の測定>
測定サンプル(粘着剤または接着剤)を1.5mm〜2mmの厚みで作製した後、これを直径7.9mmのポンチで打ち抜き、測定用の試料とした。粘弾性スペクトロメーター(商品名「ARES」、Rheometric Scientific 社製)を用いて、チャック圧100g重、せん断を周波数1Hzに設定して、昇温速度5℃/分で測定を行った。装置は、ステンレススチール製8mmパラレルプレート(ティエーインスツルメンツ社製、型式708.0157)を使用した。
<剛性フィルム層のヤング率(80℃)の測定>
剛性フィルム層のヤング率は、JIS K7127(1999年)に準じ、以下の方法で測定した。引張り試験機として加温フード付きオートグラフ(商品名「AG−1kNG」、島津製作所製)を用いた。長さ200mm×幅10mmに切り取った剛性フィルム層をチャック間距離100mmで取り付けた。加温フードにより80℃の雰囲気にした後、引張り速度5mm/分で試料を引張り、応力−歪み相関の測定値を得た。歪みが0.2%と0.45%の2点について荷重を求めヤング率を得た。この測定を同一試料について5回繰り返し、その平均値を採用した。
<エネルギー線照射前の粘着剤層のヤング率(23℃)の測定>
引張り試験機としてオートグラフ(商品名「RTC−1150A」、オリエンテック(株)製)を用いた。長さ50mm×幅50mmに切り取った両側PET剥離シート付き粘着剤層(厚さ30μm)をPET剥離シートを除去してから筒状に丸め、直径1.4mm×長さ50mmの棒状試験片を得た。次いで、試験片長手方向をチャック間距離10mmで取り付けた。引張り速度50mm/分で試料を引張り、応力−歪み相関の測定値を得た。歪みが0.2%と0.45%の2点について荷重を求めヤング率を得た。この測定を同一試料について5回繰り返し、その平均値を採用した。
<エネルギー線照射後の粘着剤層のヤング率(80℃)の測定>
引張り試験機として加温フード付きオートグラフ(商品名「AG−1kNG」、島津製作所製)を用いた。長さ50mm×幅50mmに切り取った両側PET剥離シート付き粘着剤層(厚さ30μm)に紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で300mJ/cm(60mW/cm×5秒)を照射した後、10mm幅に切断し、50mm×10mmの試験片を得た。次いで、試験片長手方向をチャック間距離100mmで取り付けた。加温フードにより80℃の雰囲気にした後、引張り速度5mm/分で試料を引張り、応力−歪み相関の測定値を得た。歪みが0.2%と0.45%の2点について荷重を求めヤング率を得た。この測定を同一試料について5回繰り返し、その平均値を採用した。
<r/Lの測定>
実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを100mm×100mmに切断した後、基材層側から、紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で約500mJ/cm(60mW/cm2×8.3秒)となるように照射した。
次に、剥離シートを剥がし、自発巻回性粘着テープの1端部を収縮フィルムの収縮軸方向に沿って80℃の温水に徐々に浸漬し、1個の筒状巻回体へと変形させた。
筒状巻回体となったものについて、直径rをノギスを用いて求め、この値をL(=100mm)で除して、r/Lとした。
<粘着剤層の表面抵抗率>
実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを100mm×100mmに切断した後、基材層側から、紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で約500mJ/cm(60mW/cm×8.3秒)となるように照射した。
次に、剥離シートを剥がし、自発巻回性粘着テープの基材側を厚さ2mmのガラス板の上に載せ、粘着剤層表面の表面抵抗率を測定した。
表面抵抗装置は、三菱ケミカル製、商品名「Hiresta−UP MCP−HT450」を使用し、そのプローブは、三菱ケミカル製、商品名「UTSプローブ MCP−HTP14」を用い、印加電圧100V、測定時間30秒で測定した。この測定を同一試料について3回繰り返し、その平均値を採用した。
<照射後貼付け30°ピール剥離力>
(1)実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを10mm幅に切り出し、基材層側から紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で300mJ/cm(60mW/cm×5秒)を照射し、次いで、ミラーウエハに貼付け、30分間、温度23℃、湿度50%RHで放置した。
(2)自発巻回性粘着テープの背面に、ピール剥離試験機の引っ張り冶具を粘着テープを用いて貼り合せた。
(3)これを、温度23℃、湿度50%RHで、引っ張り冶具を30°方向に、引っ張り速度300mm/分で引っ張り、ウエハと粘着剤層との間で剥離した時の力(N/10mm)を測定した。
(4)測定を3回行い、平均値を照射後貼付け30°ピール剥離力とした。
<プローブタック>
(1)実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを25mm×60mmに切り出し、その基材層側に両面テープ(日東電工製、商品名「LCS3」)を貼り合せた後、両面テープ側を75mm×25mmのスライドガラスと貼り合せた。次いで、自発巻回性粘着テープの剥離シート側から、紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)を用いて紫外線(300mJ/cm(60mW/cm×5秒))を照射し、測定試料を得た。
(2)(1)の剥離シートを除した状態でプローブタック測定装置にセットした。
(3)プローブタック試験を下記の条件で行った。
評価装置:タッキング試験機「TAC−II、レスカ製」
ブローブ:SUS304、直径5mm
プローブ押し込み速度:30mm/分
プローブ引き上げ速度:30mm/分
加圧荷重:100gf
加圧時間:3秒
測定温度:23℃
(4)上記条件で粘着剤層表面に接触したプローブを垂直に引き上げる際の最大荷重を測定し、n=10の平均値をプローブタック値とした。
<巻回体の帯電圧測定>
実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープの落下試験によって得られた7.5mm□の巻回体をミラーウエハに設置し、距離20mm、速度600mm/分で転動させた後の巻回体帯電量を、表面電位測定器で測定した。
転動補助板は、厚さ2mmのABS板に両面テープ(日東電工製、商品名「No.5000NS」)を貼り付け、さらにクリーンペーパーを貼り合わせて作成した。
これをピール試験機の引っ張りジグに固定し、図6のように設定し、巻回体を転動させた。
なお、巻回体を載置後および転動補助板を初期位置にセット後に、それぞれ帯電圧が0Vであることを確認の上、転動操作を行った。
また、転動後の巻回体帯電圧は、転動補助板が巻回体から外れた直後から30秒間の最大値を読み、n=3の平均値を採用した。
表面電位測定器は、春日電気(株)製の商品名「KSD−0202」を用いた。
<ヘイズ>
実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープに紫外線照射機(日東精機製、商品名「UM―810」)で300mJ/cm(60mW/cm2×5秒)の紫外線を照射した後、ヘイズメーターにて粘着剤層側から入射するようにして測定し、n=2の平均値をヘイズ値とした。
ヘイズメーターは、村上色彩技術研究所製の商品名「HM−150」を用いた。
<糊面算術平均表面粗さRa>
(1)実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープ30mm□に、離型シート側から紫外線照射装置(日東精機製、商品名「UM−810」)で300mJ/cm(60mW/cm×5秒)の紫外線を照射した。
(2)自発巻回性粘着テープの熱収縮フィルム側を両面テープ(日東電工製、商品名「LA−25」)で6インチシリコンミラーウエハに固定した。
(3)自発巻回性粘着テープの離型シートを剥離し、干渉型表面粗さ計(Veeco社製、Wyko NT−9100)にて、糊面算術平均表面粗さRaを測定した。
(4)糊面算術平均表面粗さRaは、10点測定値の平均値を採用した。
(5)干渉型表面粗さ計の測定条件は以下の通りである。
・測定面積/回:169μm×226μm(対物レンズ:50倍、FOV:0.55倍)
・測定モード:VSI
・バックスキャン:10μm
・測定距離:15μm
・閾値:0.1%
・スキャンスピード:1倍
<落下試験>
(1)実施例および比較例で得られた自発巻回性粘着テープを6インチシリコンミラーウエハに貼付け、ウエハ外周に沿って該粘着テープを切り取り、30分間放置した。
(2)貼付けたサンプルの粘着テープ側に対して、ウエハ外周5mmをポリイミドフィルムで覆い、その内側に紫外線照射機(日東精機製、商品名「UM−810」)で300mJ/cm(60mW/cm×5秒)を照射した。
(3)マウンター(日東精機製、商品名「MSA−840」)を使用して、貼付けたサンプルのウエハ側とダイシングテープ(日東電工製、商品名「DU−300」、テープ厚さ85μm)とを貼り付け、ダイシングリングにマウントした。
・スピードコントロール目盛り:30
・テープセット軸ブレーキ目盛り:5
・貼り付けテーブル温度:23℃
(4)ダイサー(ディスコ製、DFD6450)でウエハミラー面から75μmの深さまでハーフカットダイシングした。ダイシング条件は表1に示した。
(5)ハーフカットダイシングされたダイシングリング付き貼り付けサンプルの粘着テープ側およびダイシングテープ側に対して、紫外線照射機(日東精機製、商品名「UM−810」)で300mJ/cm(60mW/cm×5秒)を照射した。
(6)ダイシングテープを剥離し、ハーフカットダイシングされた自発巻回性粘着テープ付きハーフカットウエハを回収した。
(7)ハーフカットダイシングされた自発巻回性粘着テープ付きハーフカットウエハを95℃吸着ホットプレートでウエハ非切断面を吸着固定しながら加熱し、巻回剥離させた。
(8)巻回剥離させたハーフカットダイシングされた自発巻回性粘着テープ付きハーフカットウエハの非切断面側に、幅30mmの支持テープを貼り付けた。
(9)図7に示すように、定規(厚さ2mm)付きアルミブロックに対して、その目盛りにおける100mm高さから、巻回体付きハーフカットウエハを定規に沿わせて落下させ、巻回体をハーフカットウエハから脱落させた。落下前の巻回体位置からずれて付着する巻回体の数を数え、以下の式で残存率を求めた。
(10)位置ずれ巻回体残存率=100×(「落下前の巻回体位置からずれて付着する巻回体数」/「落下前の全巻回体数」)
(11)上記の位置ずれ巻回体残存率が5%以上のものを×、5%未満のものを○とした。特に、残存率0%のものは◎とした。
Figure 2015007164
〔製造例1〕:アクリル系重合体(1)の製造
エチルアクリレート:ブチルアクリレート:2−ヒドロキシエチルアクリレート=40:60:22(モル比)の混合物:100重量部に重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部を加えたトルエン溶液を共重合し、アクリル系重合体(重量平均分子量:70万)を得た。
得られたアクリル系重合体に、該アクリル系重合体を構成する2−ヒドロキシエチルアクリレート由来の水酸基に対して80モル%の2−イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:カレンズMOI、昭和電工株式会社製)と、得られたアクリル系重合体100重量部に対して0.03重量部のジブチル錫ジラウリレート0.03重量部とを配合し、空気雰囲気下、50℃で24時間反応させて、側鎖にメタクリレート基を有するアクリル系重合体(1)を製造した。
〔製造例2〕:アクリル系重合体(2)の製造
メチルアクリレート:2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸=70:30:10(重量比)の混合物:100重量部に重合開始剤としてベンジルパーオキサイド:0.2重量部を加えた酢酸エチル溶液を共重合し、アクリル系重合体(2)(重量平均分子量:60万)を製造した。
〔製造例3〕:自発巻回性基材(1)の製造
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、片面コロナ処理済み、ルミラーS105(厚み38μm))を用いた。
この剛性フィルムのコロナ処理面側に、NB300(大日精化社製、薄青色顔料入り)を乾燥後の膜厚が1μm〜2μmとなるようにグラビアコーターで塗布、乾燥させ、有機コーティング層付き剛性フィルム層を得た。
得られた剛性フィルム層の有機コーティング層の反対面と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7200、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性基材(1)を製造した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるように混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
〔製造例4〕:自発巻回性基材(2)の製造
剛性フィルムとして、帯電防止層付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイルヘキスト社製、片面帯電防止処理、商品名「T100G」(厚み38μm))を用いた。
この剛性フィルム層の非帯電防止層側と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7200、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性基材(2)を製造した。
なお、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるように混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
〔製造例5〕:自発巻回性基材(3)の製造
剛性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、片面コロナ処理済み、ルミラーS105(厚み38μm))を用いた。
この剛性フィルムのコロナ処理面側に、帯電防止溶液を乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように塗布、乾燥させ、帯電防止層付き剛性フィルム層を得た。
得られた帯電防止層付き剛性フィルム層の非帯電防止層側と熱収縮ポリエステルフィルム(東洋紡社製、スペースクリーンS7200、膜厚30μm、片面コロナ処理済み)のコロナ処理面とを接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、自発巻回性基材(3)を製造した。
帯電防止溶液は、出光テクノファイン製「ELCORT NT−04UP6、A−PACK」、「ELCOAT NT−04UP6 B−PACK」を、重量比で、77.4:22.3となるように混合し、メチルグリコールで希釈したものを用いた。
また、ドライラミネートに用いた接着剤は、三井化学社製のタケラックA520、三井化学社製のタケネートA10、および酢酸エチルを、重量比で6:1:5.5となるように混合したものを用いた。また、乾燥後の接着剤層の厚みは2μm〜4μmであった。
〔実施例1〕
製造例1で得られたアクリル系重合体(1):100重量部に対して、光開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア184」):3重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.2重量部、ピリジニウム系イオン性液体(日本カーリット製、商品名「CIL−312」、N−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド):0.5重量部を混合して、活性エネルギー線硬化型粘着剤を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み30μmの活性エネルギー線硬化型粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、製造例3で得られた自発巻回性基材(1)の剛性フィルム側に貼り合せて、自発巻回性粘着テープ(1)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例2〕
ピリジニウム系イオン性液体「CIL−312」の配合量を3重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、自発巻回性粘着テープ(2)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例3〕
ピリジニウム系イオン性液体「CIL−312」の配合量を5重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、自発巻回性粘着テープ(3)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例4〕
製造例1で得られたアクリル系重合体(1):100重量部に対して、光開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア184」):3重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.2重量部を混合して、活性エネルギー線硬化型粘着剤を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み15μmの活性エネルギー線硬化型粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、製造例4で得られた自発巻回性基材(2)の剛性フィルム側に貼り合せて、自発巻回性粘着テープ(4)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例5〕
製造例1で得られたアクリル系重合体(1):100重量部に対して、光開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア184」):3重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.2重量部、ピリジニウム系イオン性液体(日本カーリット製、商品名「CIL−312」、N−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド):1重量部を混合して、活性エネルギー線硬化型粘着剤を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み30μmの活性エネルギー線硬化型粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、製造例4で得られた自発巻回性基材(2)の剛性フィルム側に貼り合せて自発巻回性粘着テープ(5)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例6〕
製造例4で得られた自発巻回性基材(2)の代わりに、製造例5で得られた自発巻回性基材(3)を用いた以外は実施例4と同様の操作を行い、自発巻回性粘着テープ(6)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例7〕
製造例1で得られたアクリル系重合体(1):100重量部に対して、光開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア184」):3重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.2重量部、ピリジニウム系イオン性液体(日本カーリット(株)製、商品名「CIL−312」、N−ブチル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド):0.5重量部、架橋アクリル単分散粒子(綜研化学社製、商品名「ケミスノーMX−500」、平均粒径5μm):20重量部を混合して、活性エネルギー線硬化型粘着剤を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み30μmの活性エネルギー線硬化型粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、製造例3で得られた自発巻回性基材(1)の剛性フィルム側に貼り合せて、自発巻回性粘着テープ(7)を得た。
結果を表2に示した。
〔実施例8〕
製造例2で得られたアクリル系重合体(2):100重量部に対して、光開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア184」):3重量部、イソシアナート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」):0.2重量部、多官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業製、商品名「紫光1700B」):70重量部、リチウムイオンドープ型ウレタンアクリレート(新中村化学工業製、商品名「U601−LPA−60」):40重量部を混合して、活性エネルギー線硬化型粘着剤を調製した。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤を、アプリケータを用いて剥離シート(三菱ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」)上に塗工した後、溶媒等の揮発物を乾燥して、厚み30μmの活性エネルギー線硬化型粘着剤層を剥離シート上に設けた後に、製造例3で得られた自発巻回性基材(1)の剛性フィルム側に貼り合せて、自発巻回性粘着テープ(8)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例1〕
ピリジニウム系イオン性液体「CIL−312」を配合しない以外は実施例1と同様の操作を行い、自発巻回性粘着テープ(C1)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例2〕
ピリジニウム系イオン性液体「CIL−312」の配合部数を0.1重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、自発巻回性粘着テープ(C2)を得た。
結果を表2に示した。
Figure 2015007164
実施例1〜8については、落下試験における位置ずれ巻回体残存率がいずれも0%〜2%であり、全て合格判定となった。特に、実施例2、3、5、7、8については、巻回体残存率がいずれも0%であった。一方、比較例1、比較例2については、落下試験における位置ずれ巻回体残存率がいずれも5%以上となり、いずれも不合格判定となった。落下試験における位置ずれ巻回体残存率が大きいほど、一旦ウエハから剥離した巻回体が再付着している割合が高いことを意味する。
本発明の自発巻回性粘着テープは、例えば、半導体等の保護用粘着テープ、半導体ウエハ等の固定用粘着テープして利用でき、より具体的には、例えば、シリコン半導体バックグラインド用粘着テープ、化合物半導体バックグラインド用粘着テープ、シリコン半導体ダイシング用粘着テープ、化合物半導体ダイシング用粘着テープ、半導体パッケージダイシング用粘着テープ、ガラスダイシング用粘着テープ、セラミックスダイシング用粘着テープなど、電子部品、半導体部品、または光学部品の表面保護として使用できる。特に、ダイシング時の切削水による腐食(さび)、切削屑等から被着体を保護するための保護テープとして有用である。
本発明の自発巻回性粘着テープは、また、サファイヤなどのLED用ウエハの裏面研磨用保護テープ、反射防止フィルターやIRカットフィルターなどの光学フィルターのガラスや石英基板の切断時の表面保護テープ、半導体ウエハの裏面研削用保護テープ、CMOS/CCDのイメージセンサーウエアの切断時の表面保護テープ、これら切断体の搬送時の表面保護テープとして有用である。
1 基材層
2 粘着剤層
3 収縮性フィルム層
4 剛性フィルム層
10 自発巻回性粘着テープ
10´ 巻回体
20 フィラー
50 被着体
100 テーブル(ABS板)
110 支持テープ
120 アルミブロック
130 定規
140 ハーフカットウエハ

Claims (18)

  1. エネルギー線を照射して加熱することにより自発的に巻回する粘着テープであって、
    該粘着テープは基材層と粘着剤層とを含み、
    該粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層の表面抵抗率が5.0×1012Ω/□以下である、
    自発巻回性粘着テープ。
  2. 自発巻回後に形成される巻回体を、速度600mm/分、距離20mmで転動させた後の、該巻回体の帯電圧が500V以下である、請求項1に記載の自発巻回性粘着テープ。
  3. エネルギー線を照射した後にミラーウエハに貼着した状態からの、温度23℃、湿度50%RH、剥離角度30度、引張速度300mm/分における剥離力が、0.25N/10mm以下である、請求項1または2に記載の自発巻回性粘着テープ。
  4. 前記粘着剤層の糊面に剥離シートを貼り付けて該剥離シート側からエネルギー線を照射した後に該剥離シートを剥離したときの、エネルギー線硬化後の該粘着剤層のプローブタックが50kN/mm以下である、請求項1から3までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  5. ヘイズが35%以下である、請求項1から4までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  6. 巻回方向の長さをLmm、自発巻回後に形成される巻回体の直径をrmmとしたとき、r/Lが0.0001〜0.999である、請求項1から5までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  7. 前記基材層が帯電防止剤を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  8. 前記基材層中の帯電防止剤の含有割合が0.25重量%〜75重量%である、請求項7に記載の自発巻回性粘着テープ。
  9. 前記粘着剤層が帯電防止剤を含む、請求項1から8までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  10. 前記粘着剤層中の帯電防止剤の含有割合が0.25重量%〜40重量%である、請求項9に記載の自発巻回性粘着テープ。
  11. 前記帯電防止剤が有機物である、請求項7から10までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  12. 前記帯電防止剤がイオン性液体である、請求項7から11までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  13. 帯電防止層をさらに含む、請求項1から12までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  14. 前記帯電防止層の厚みが0.01μm〜5μmである、請求項13に記載の自発巻回性粘着テープ。
  15. 前記帯電防止層が、前記基材層と前記粘着剤層との間に設けられている、請求項13または14に記載の自発巻回性粘着テープ。
  16. 粘着剤層の厚みが1μm〜75μmである、請求項1から15までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  17. 剥離シート上に打ち抜き加工されたものである、請求項1から16までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。
  18. 電子部品、半導体部品、または光学部品の表面保護に用いられる、請求項1から17までのいずれかに記載の自発巻回性粘着テープ。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019065586A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 積水化学工業株式会社 建築用面構造及び該建築用面構造を製造するための両面粘着テープ

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