JP5287363B2 - 掘削システム - Google Patents

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本発明は、場所打ち杭を構築するための掘削システムに関する。
従来より、掘削孔内を安定液により満たして孔壁を保護しながら、掘削機により地盤を削孔し、掘削孔内に鉄筋かごを建て込んだ後、掘削孔内にコンクリートを打設することにより場所打ち杭を構築する方法が用いられている。この際、安定液に掘削土砂が混じった泥水を掘削孔内から回収するとともに、その回収分に相当する量の安定液を掘削孔内に供給し、安定液を循環させる必要がある。
このように安定液を循環させる方式としては、図5(A)に示すように、安定液を掘削機240のロッド241内の配管242を通して掘削孔11の底部に排出するととともに、掘削孔11からピット12に溢れ出した泥水をポンプ236により回収し、泥水から土砂を除去したものを再度安定液として掘削孔11内に供給する正循環方式と、図5(B)に示すように、掘削機240のビット243の先端から泥水を回収し、回収した泥水から土砂を除去したものを安定液として地表部から掘削孔11内に供給する逆循環方式とが知られている。
また、例えば、特許文献1には、このような正循環方式と逆循環方式を切換え可能な循環式掘削機が記載されている。かかる循環式掘削機によれば、逆循環方式により掘削孔内の土砂をロッドを通して排出している際に、ロッド内に土砂が詰まった場合に、正循環方式に切り替えることで、ロッド内を安定液が逆流するため、ロッドを引き上げることなく詰まった土砂を取り除くことができる。
特開2008―75287号公報
ここで、正循環方式及び逆循環方式の何れの方式においても、サンドポンプにより掘削孔から安定液とともに土砂を排出しているが、サンドポンプと掘削孔との距離が長くなると、掘削孔からサンドポンプまでの配管内に空隙が生じやすくなる傾向がある。このように、サンドポンプに接続された配管内に空気が入り込んでしまうと、吸引力が低下してしまうため、従来は、サンドポンプを掘削孔の近傍に設置する必要があった。
しかしながら、例えば、鉄道軌道上での施工など、狭隘な敷地での施工の際には、サンドポンプを掘削孔の近傍に設置することが困難なことがあった。また、複数の杭を施工する場合には、サンドポンプの設置及び撤去に多くの時間を要し、施工性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、場所打ち杭を構築する際にサンドポンプを掘削孔から離間した位置に設置できるようにすることである。
発明の掘削システムは、地盤を削孔して掘削孔を形成する掘削機と、回収された泥水を処理して安定液を精製する安定液処理プラントと、前記安定液処理プラントから安定液を前記掘削孔内に送る送泥配管と、中間部に吸引ポンプが設けられ、前記掘削孔内の安定液を前記安定液処理プラントへ送る排泥配管と、を備えた、場所打ち杭を構築する際に掘削孔を削孔するための掘削システムであって、前記送泥配管が前記掘削機に接続されると共に前記排泥配管が前記掘削孔に接続される状態と、前記送泥配管が前記掘削孔に接続されると共に前記排泥配管が前記掘削機に接続される状態とを切り替えることが可能な循環切替装置を備え、前記排泥配管の前記循環切替装置と前記吸引ポンプとの間の上部に、分岐配管が接続されており、当該分岐配管にはコンプレッサーから圧縮空気が供給され、当該圧縮空気を一方向に向かって吹出すことにより、吸引口から排出口に向かって気流を生じさせることができるジェットポンプの前記吸引口が接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、ジェットポンプによりサンドポンプに接続された配管内の空気を除去することができる。これにより、サンドポンプの吸引力の低下を防ぎ、サンドポンプを掘削孔から離間した位置に設置することができる。
本実施形態の掘削システムの構成を示す図である。 ジェットポンプの構成を示す断面図である。 安定液を正循環させる場合の掘削システムを示す図である。 安定液を逆循環させる場合の掘削システムを示す図である。 (A)は正循環方式による掘削方法を示し、(B)は逆循環方式による掘削方法を示す図である。
以下、本発明の掘削システムの一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の掘削システム10は、掘削機40と、安定液処理プラント20と、掘削機40と安定液処理プラント20との間を結ぶ配管系統100と、により構成される。
掘削機40は、地表に設置された掘削機本体41と、先端に掘削ビット43が接続され、内部を配管44が挿通するロッド42と、ロッド42を回転させる回転機構45と、を備えてなる。掘削機40は、掘削機本体41を地上に配置し、回転機構45によってロッド42を回転させることにより、ロッド42の先端に取り付けられた掘削ビット43で地盤を掘削する。なお、本実施形態では、回転機構45を掘削機本体41の上部に有する掘削機40を用いたが、回転機構45を掘削機本体41の下部に有する掘削機40を用いてもよい。
安定液処理プラント20は、掘削孔11内から回収された泥水が配管系統100を通じて供給され、泥水から土砂を除去したものを安定液として、再度、配管系統100を通じて掘削孔11へ供給する。
配管系統100は、循環切換装置30と、安定液処理プラント20と循環切換装置30の間を結ぶ第1の配管系統110と、循環切換装置30と掘削機40の間を結ぶ第2の配管系統120とにより構成される。
第1の配管系統110は、安定液処理プラント20において土砂が除去された安定液を循環切換装置30へ送るプラント側送泥配管111と、土砂が含まれた安定液を循環切換装置30から安定液処理プラント20へ送るプラント側排泥配管112とにより構成される。プラント側送泥配管111の安定液処理プラント20側の端部には安定液を圧送するためのポンプ114が取り付けられている。また、プラント側排泥配管112の安定液処理プラント20側の端部近傍には、泥水を吸引するためのサンドポンプ113が取り付けられている。
また、プラント側排泥配管112の循環切換装置30とサンドポンプ113との間には、分岐配管150が設けられており、この分岐配管150にはジェットポンプ151が接続されている。ジェットポンプ151にはコンプレッサー152が接続されており、圧縮空気が供給される。
図2は、ジェットポンプ151の構成を示す断面図である。同図に示すように、ジェットポンプ151は、吸引口161側から排出口160側に向かって徐々に径が小さくなるような円錐状に形成された胴体部170を備えている。分岐配管150は吸引口161に接続されている。胴体部170の吸引口161側には円環状の噴射室172が形成されており、この噴射室172にはコンプレッサー152から空気供給口171を通して圧縮空気が供給される。噴射室172と胴体部170の内部空間174との間には、内部空間174に向かって狭くなるような通風口173が形成されている。噴射室172に供給された圧縮空気は、通風口173を通ることで勢いが増した状態で、内部空間174に噴射される。これにより、ジェットポンプ151の内部には吸引口161側から排出口160側へと向かう気流が生じる。
かかる構成により、ジェットポンプ151は、吸引口161側から流体を吸引し、排出口160側へと噴射することができる。
第2の配管系統120は、循環切換装置30と掘削機40とを結ぶように設けられた第1の装置側配管130と、掘削孔11と循環切換装置30とを結ぶように設けられた第2の装置側配管140とにより構成される。第1の装置側配管130はスイベルジョイント(不図示)を介して掘削機40に接続されている。
以下、上記の掘削システム10を用いた地盤の掘削方法を説明する。
まず、安定液を正循環させながら、地盤を掘削して掘削孔を形成する。安定液を正循環させる場合には、図3に示すように、循環切換装置30の切換配管33、34に取り付けられた閉止弁36,37を閉鎖するとともに、配管31、32に取り付けられた閉止弁35、38を開放し、ポンプ114及びサンドポンプ113を起動させる。また、これと同時にコンプレッサー152を起動させ、ジェットポンプ151に圧縮空気を供給する。
ジェットポンプ151に圧縮空気を供給すると、ジェットポンプ151は分岐配管150を通じて、プラント側排泥配管112内の空気を吸引し、外部へと放出する。これにより、プラント側排泥配管112内を真空状態へと近づけることができ、サンドポンプ113の吸引力が向上するため、サンドポンプ113と掘削孔11との距離が大きく離れていても、サンドポンプ113により掘削孔11内の泥水を安定液処理プラント20まで送ることができる。
なお、コンプレッサー152によるジェットポンプ151への圧縮空気の供給はプラント側排泥配管112内の空気が十分排出されたことを確認した後、停止する。なお、空気が十分に排出されたことは、例えば、(1)ジェットポンプ151の排出口160から安定液が排出されるのを目視確認する方法、(2)プラント側排泥配管112内の圧力を測定し、所定の圧力まで達したことを確認する方法、(3)コンプレッサー152の起動からの時間を管理し、起動からの時間が所定時間に到達するまでコンプレッサー152を起動させる方法などにより確認することができる。
このように安定液を正循環させながら、場所打ち杭の下端に相当する深さまで掘削孔11の掘削を行う。
場所打ち杭の下端に相当する深さまで掘削孔11を削孔が完了したら、掘削機40のビット43の回転を停止するとともに、ポンプ114及びサンドポンプ113を一端停止する。そして、循環切換装置30を切り替えた後、再度、ポンプ114及びサンドポンプ113を起動させて安定液を逆循環させる。
図3に示すように、安定液を逆循環させる際には、循環切換装置30の切換配管33、34に取り付けられた閉止弁36、37を開放するとともに、配管31、32に取り付けられた閉止弁35、38を閉鎖し、ポンプ114及びサンドポンプ113を起動させる。また、これと同時にコンプレッサー152を起動させ、ジェットポンプ151に圧縮空気を供給する。
これにより、正循環の場合と同様に、サンドポンプ113と掘削孔11との距離が大きく離れていても、サンドポンプ113により、掘削孔11内の泥水を安定液処理プラント20まで送ることができる。
このようにして、安定液を逆循環させることにより、掘削孔11の底部に溜まったスライムを排出することができる。
上記のように、所定の期間、逆循環を行った後、掘削機40を撤去し、掘削孔11内へ鉄筋かごを挿入する。そして、掘削孔11内にトレミー管を通してコンクリートを打設する。打設したコンクリートが硬化することで場所打ち杭の構築が完了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、ジェットポンプ151によりプラント側排泥配管112内の空気を外部へ放出することで、プラント側排泥配管112内を真空状態に近づけることができる。これにより、プラント側排泥配管112内に空気が残存することによりサンドポンプ113の吸引力が低下することを防止できるため、サンドポンプ113を掘削孔11から離間した位置に設けることが可能となる。これにより、サンドポンプ113の設置位置の制約がなくなり、狭隘な敷地などでもスムーズに施工することが可能となる。
また、複数の場所打ち杭を構築する場合には、従来は、サンドポンプ113を掘削孔11の近傍に設置しなければならなかったため、各杭の構築位置の近傍にサンドポンプ113を移動して設置する必要があったが、本実施形態によれば、上記のようにサンドポンプ113を掘削孔11から離間した位置に設けることが可能となることで、サンドポンプ113を一箇所に設置した状態での施工が可能となる。
なお、本実施形態では、サンドポンプ113と掘削孔11とを結ぶプラント側排泥配管112内の空気を除去する場合について説明したが、これと同様に、例えば、サクションポンプが取り付けられた水などの液体が流れる配管において、配管内の空気を除去する場合などにも本発明を適用できる。さらに、液体が流れる配管内の空気を除去する場合に限らず、液体を収容する容器内の気体を除去する場合にも本発明を適用することができる。
10 掘削システム 11 掘削孔
20 安定液処理プラント 30 循環切換装置
31、32 配管 33、34 切換配管
35、36、37、38 閉止弁 40 掘削機
41 掘削機本体 42 ロッド
43 ビット 44 配管
45 回転機構 100 配管系統
110 第1の配管系統 111 プラント側排泥配管
112 プラント側送泥配管 113 サンドポンプ
114 ポンプ 120 第2の配管系統
150 分岐配管 151 ジェットポンプ
152 コンプレッサー 160 排出口
161 吸引口 170 胴体部
171 空気供給口 172 噴射室
173 通風口 174 内部空間

Claims (1)

  1. 地盤を削孔して掘削孔を形成する掘削機と、回収された泥水を処理して安定液を精製する安定液処理プラントと、前記安定液処理プラントから安定液を前記掘削孔内に送る送泥配管と、中間部に吸引ポンプが設けられ、前記掘削孔内の安定液を前記安定液処理プラントへ送る排泥配管と、を備えた、場所打ち杭を構築する際に掘削孔を削孔するための掘削システムであって、
    前記送泥配管が前記掘削機に接続されると共に前記排泥配管が前記掘削孔に接続される状態と、前記送泥配管が前記掘削孔に接続されると共に前記排泥配管が前記掘削機に接続される状態とを切り替えることが可能な循環切替装置を備え、
    前記排泥配管の前記循環切替装置と前記吸引ポンプとの間の上部に、分岐配管が接続されており、
    当該分岐配管にはコンプレッサーから圧縮空気が供給され、当該圧縮空気を一方向に向かって吹出すことにより、吸引口から排出口に向かって気流を生じさせることができるジェットポンプの前記吸引口が接続されていることを特徴とする掘削システム。
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