以下、発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態(Pチャネルの駆動トランジスタ)
1−1.システム構成
1−2.回路動作
2.第2実施形態(走査線の共通化)
2−1.システム構成
2−2.回路動作
3.変形例
3−1.変形例1
3−2.変形例2
4.適用例(電子機器)
<1.第1実施形態>
[1−1.システム構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。ここでは、一例として、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子を画素(画素回路)の発光素子として用いたアクティブマトリクス型有機EL表示装置の場合を例に挙げて説明するものとする。
図1に示すように、本実施形態に係る有機EL表示装置10Aは、発光素子を含む複数の画素20と、当該画素20が行列状に2次元配置された画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置された駆動部とを有する構成となっている。駆動部は、画素アレイ部30の各画素20を発光駆動する。
画素20の駆動部としては、例えば、書込み走査回路40、発光駆動走査回路50および補正制御走査回路60からなる走査駆動系と、信号出力回路70からなる信号供給系とが設けられている。本実施形態に係る有機EL表示装置10Aの場合には、画素アレイ部30が形成された表示パネル80(基板)上に信号出力回路70が設けられている。
これに対して、走査駆動系である書込み走査回路40、発光駆動走査回路50および補正制御走査回路60は、表示パネル80の外部に設けられている。ここでは、表示パネル80の右側に書込み走査回路40および補正制御走査回路60を配置し、表示パネル80の左側に発光駆動走査回路50を配置するレイアウト構成を採っているが、このレイアウト構成に限られるものではない。
すなわち、書込み走査回路40および補正制御走査回路60と発光駆動走査回路50との左右の配置関係が逆であっても良いし、書込み走査回路40、発光駆動走査回路50および補正制御走査回路60の全てを表示パネル80の一方側に配置してもよい。また、書込み走査回路40、発光駆動走査回路50および補正制御走査回路60をそれぞれ左右両側に一対ずつ配置するレイアウト構成を採ることも可能である。
ここで、有機EL表示装置10Aが白黒表示対応の場合は、白黒画像を形成する単位となる1つの画素が画素20に相当する。一方、有機EL表示装置10Aがカラー表示対応の場合は、カラー画像を形成する単位となる1つの画素は複数の副画素(サブピクセル)から構成され、この副画素が画素20に相当する。より具体的には、カラー表示用の表示装置では、1つの画素は、例えば、赤色(R)光を発光する副画素、緑色(G)光を発光する副画素、青色(B)光を発光する副画素の3つの副画素から構成される。
ただし、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではない。すなわち、3原色の副画素にさらに1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成するようにすることも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色(W)光を発光する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
画素アレイ部30には、m行n列の画素20の配列に対して、行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って第1走査線(書込み走査線)31−1〜31−m、第2走査線32−1〜32−m、第3走査線33−1〜33−mが画素行ごとに配線されている。また、列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って信号線34−1〜34−nが画素列ごとに配線されている。
第1走査線31−1〜31−mは、書込み走査回路40の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。第2走査線32−1〜32−mのは、発光制御走査回路50の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。第3走査線33−1〜33−mは、補正制御走査回路60の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。信号線34−1〜34−nは、信号出力回路70の対応する列の出力端にそれぞれ接続されている。
画素アレイ部30は、通常、ガラス基板などの透明絶縁基板上に形成されている。これにより、有機EL表示装置10Aは、平面型(フラット型)のパネル構造となっている。画素アレイ部30の各画素20の駆動回路は、例えば低温ポリシリコンプロセスを用いて形成することができる。低温ポリシリコンプロセスを用いると、書込み走査回路40、発光駆動走査回路50および補正制御走査回路60についても、表示パネル80上に実装することができる。
書込み走査回路40は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフト(転送)するシフトレジスタ等によって構成されている。この書込み走査回路40は、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の書込みに際して、第1走査線31−1〜31−mに順次書込み走査信号WS(WS1〜WSm)を供給することによって画素アレイ部30の各画素20を行単位で順番に走査する(線順次走査)。
発光駆動走査回路50は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ等によって構成されている。この発光駆動走査回路50は、書込み走査回路40による線順次走査に同期して、画素20の発光駆動を行なう発光駆動信号DS(DS1〜DSm)を第2走査線32−1〜32−mに供給する。この発光駆動信号DSは、画素20の発光/非発光の制御を行なう。
補正制御走査回路60は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ等によって構成されている。この補正制御走査回路60は、書込み走査回路40による線順次走査に同期して、後述する補正処理を行う補正制御信号AZ(AZ1〜AZm)を第3走査線33−1〜33−mに供給する。この補正制御信号AZによる補正処理については、後で詳細に説明する。
信号出力回路70は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧(以下、単に「信号電圧」と記述する場合もある)Vsigと基準電位Vofsのいずれか一方を適宜選択して出力する。ここで、信号出力回路70から選択的に出力される基準電位Vofsは、映像信号の信号電圧Vsigの基準となる電位(例えば、映像信号の黒レベルに相当する電位)である。
信号出力回路70としては、例えば、周知の時分割駆動方式の回路構成を用いることができる。時分割駆動方式は、セレクタ方式とも呼ばれ、信号供給源であるドライバ(図示せず)の1つの出力端に対して複数の信号線を単位(組)として割り当る。そして、この複数の信号線を時分割にて順次選択する一方、その選択した信号線に対してドライバの各出力端ごとに時系列で出力される映像信号を時分割で振り分けて供給することによって各信号線を駆動する方式である。
一例として、カラー表示対応の場合を例に挙げると、隣り合うR,G,Bの3つの画素列を単位とし、ドライバからは1水平期間内にR,G,Bの各映像信号が時系列で信号出力回路70に入力するようにする。信号出力回路70は、R,G,Bの3つの画素列に対応して設けられたセレクタ(選択スイッチ)によって構成され、当該セレクタが時分割にて順次オン動作を行うことで、R,G,Bの各映像信号を対応する信号線に対して時分割で書き込む。
ここでは、R,G,Bの3つの画素列(信号線)を単位としたが、これに限られるものではない。そして、この時分割駆動方式(セレクタ方式)を採用することで、時分割数をx(xは2以上の整数)とすると、ドライバの出力数および当該ドライバと信号出力回路70、ひいては表示パネル80との間の配線数を、信号線の本数の1/xに削減できる利点がある。
信号出力回路70から選択的に出力される信号電圧Vsig/基準電位Vofsは、信号線34−1〜34−nを介して画素アレイ部30の各画素20に対して行単位で書き込まれる(線順次書込み)。これにより、信号線34(34−1〜34−n)は、1水平走査期間内に信号電圧Vsigと基準電位Vofsとの2値をとる。
(画素回路)
図2は、本実施形態に係る有機EL表示装置10Aに用いられる画素(画素回路)20の具体的な構成例を示す回路図である。
図2に示すように、画素20は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子21と、当該有機EL素子21を駆動する駆動回路とによって構成されている。有機EL素子21は、全ての画素20に対して共通に配線(いわゆる、ベタ配線)された共通電源供給線35にカソード電極が接続されている。
有機EL素子21を駆動する駆動回路は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ(サンプリングトランジスタ)23、スイッチングトランジスタ24,25および第1,第2容量素子26,27を有する構成となっている。駆動トランジスタ22としては、Pチャネル型のTFTが用いられている。
ここでは、Pチャネル型の駆動トランジスタ22に対して、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25としてNチャネル型のTFTを用いている。ただし、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
駆動トランジスタ22は、有機EL素子21に直列に接続されることで、当該有機EL素子21に対して駆動電流を供給する。具体的には、駆動トランジスタ22のドレイン電極が有機EL素子21のアノード電極に接続されている。
書込みトランジスタ23は、ゲート電極が第1走査線31(31−1〜31−m)に接続され、ソース電極が信号線34(34−1〜34−n)に接続され、ドレイン電極が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続されている。書込みトランジスタ23のゲート電極には、書込み走査回路40から第1走査線31(31−1〜31−m)を通して書き込み走査信号WSが印加される。
一方のスイッチングトランジスタ24は、ゲート電極が第2走査線32(32−1〜32−m)に接続され、ドレイン電極が第1電源である正側の電源電位Vccに接続され、ソース電極が駆動トランジスタ22のソース電極に接続されている。スイッチングトランジスタ24のゲート電極には、発光駆動走査回路50から第2走査線32(32−1〜32−m)を通してHighアクティブの発光駆動信号DSが印加される。
他方のスイッチングトランジスタ25は、ゲート電極が第3走査線33(33−1〜33−m)に接続され、ドレイン電極が有機EL素子21のアノード電極に接続され、ソース電極が第2電源である負側の電源電位Vssに接続されている。スイッチングトランジスタ25のゲート電極には、補正制御走査回路60から第3走査線33(33−1〜33−m)を通してHighアクティブの補正制御信号AZが印加される。
第1容量素子26は、駆動トランジスタ22のゲート電極とソース電極(スイッチングトランジスタ24のソース電極)との間に接続されている。第2容量素子27は、駆動トランジスタ22のソース電極(スイッチングトランジスタ24のソース電極)と正側の電源電位Vccとの間に接続されている。
なお、駆動回路としては、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25の4つのトランジスタと容量素子27,26の2つの容量素子とからなる4Tr/2C回路構成のものに限られるものではない。
例えば、一方の電極が有機EL素子21のアノード電極に、他方の電極が固定電位にそれぞれ接続されることで、有機EL素子21の容量不足分を補う補助容量を必要に応じて設けた回路構成を採ることも可能である。また、例えば、スイッチングトランジスタ25を省略する回路構成を採ることも可能である。
上記構成の画素20において、書込みトランジスタ23は、書込み走査回路40から第1走査線31(31−1〜31−m)を通してゲート電極に印加される書込み走査信号WSに応答して導通状態となる。これにより、書込みトランジスタ23は、信号線34を通して信号出力回路70から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigまたは基準電位Vofsをサンプリングして画素20内に書き込む。この書き込まれた信号電圧Vsigまたは基準電位Vofsは、駆動トランジスタ22のゲート電極に印加されるとともに第1容量素子26に保持される。
駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されている。これにより、駆動トランジスタ22は、電源電位Vccからスイッチングトランジスタ24を介して電流の供給を受けて有機EL素子21を電流駆動にて発光駆動する。より具体的には、駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作することにより、第1容量素子26に保持されている信号電圧Vsigの電圧値に応じた電流値の駆動電流を有機EL素子21に供給し、当該有機EL素子21を電流駆動することによって発光させる。
スイッチングトランジスタ24は、発光駆動走査回路50から第2走査線32(32−1〜32−m)を通してゲート電極に印加される発光駆動信号DSに応答して導通状態になることで、電源電位Vccから駆動トランジスタ22への電流の供給を許容する。これにより、上述したように、駆動トランジスタ22による有機EL素子21の発光駆動が可能になる。すなわち、スイッチングトランジスタ24は、有機EL素子21の発光/非発光を制御するトランジスタとしての機能を持っている。
このようにして、スイッチングトランジスタ24のスイッチング動作により、有機EL素子21が非発光状態となる期間(非発光期間)を設け、有機EL素子21の発光期間と非発光期間との割合を制御することができる(いわゆる、デューティ制御)。このデューティ制御により、1フレーム期間に亘って画素20が発光することに伴う残像ボケを低減できるために、特に動画の画品位をより優れたものとすることができる。
スイッチングトランジスタ25は、補正制御走査回路60から第3走査線33(33−1〜33−m)を通してゲート電極に印加される補正制御駆動信号AZに応答して導通状態になることで、有機EL素子21のアノード電極に負側の電源電位Vssを選択的に供給する。
ここで、有機EL素子21の閾値電圧をVthel、有機EL素子21のカソード電位(共通電源供給線35の電位)をVcathとするとき、電源電位Vssは、Vss<Vthel+Vcathの条件を満足するように設定される。これにより、電源電位Vssは、スイッチングトランジスタ25が導通状態のときに、有機EL素子21に逆バイアスをかけることになる。
ここでは、電源電位Vssを有機EL素子21のカソード電位Vcathと異なる値とする場合を想定しているが、同じ値とすること可能である。因みに、電源電位Vssをカソード電位Vcathと同じ値に設定する構成を採った方が、画素行ごとに設けられる電源電位Vssの電源配線が不要になるために、配線数を削減できる観点から好ましいと言える。
(画素構造)
図3は、画素20の断面構造の一例を示す断面図である。図3に示すように、画素20は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、スイッチングトランジスタ24,25等を含む駆動回路が形成されたガラス基板201上に形成されている。具体的には、ガラス基板201上に絶縁膜202、絶縁平坦化膜203およびウインド絶縁膜204がその順に形成され、当該ウインド絶縁膜204の凹部204Aに有機EL素子21が設けられた構成となっている。ここでは、駆動回路の各構成素子のうち、駆動トランジスタ22のみを図示し、他の構成素子については省略している。
有機EL素子21は、金属等からなるアノード電極205と、当該アノード電極205上に形成された有機層206と、当該有機層206上に全画素共通に形成された透明導電膜等からなるカソード電極207とから構成されている。アノード電極205は、上記ウインド絶縁膜204の凹部204Aの底部に形成されている。
この有機EL素子21において、有機層206は、アノード電極205上にホール輸送層/ホール注入層2061、発光層2062、電子輸送層2063および電子注入層(図示せず)が順次堆積されることによって形成される。そして、図2の駆動トランジスタ22による電流駆動の下に、駆動トランジスタ22からアノード電極205を通して有機層206に電流が流れることで、当該有機層206内の発光層2062において電子と正孔が再結合する際に発光するようになっている。
駆動トランジスタ22は、ゲート電極221と、半導体層222のゲート電極221と対向する部分のチャネル形成領域225と、半導体層222のチャネル形成領域225の両側のドレイン/ソース領域223,224とから構成されている。ドレイン領域223は、コンタクトホールを介して有機EL素子21のアノード電極205と電気的に接続されている。
そして、図3に示すように、駆動トランジスタ22を含む駆動回路が形成されたガラス基板201上に、絶縁膜202、絶縁平坦化膜203およびウインド絶縁膜204を介して有機EL素子21が画素単位で形成される。そして、パッシベーション膜208を介して封止基板209が接着剤210によって接合され、当該封止基板209によって有機EL素子21が封止されることによって表示パネル70が形成される。
[1−2.回路動作]
続いて、上記構成の画素20が行列状に2次元配置されてなる第1実施形態に係る有機EL表示装置10Aの回路動作について、図4のタイミング波形図を基に図5および図6の動作説明図を用いて説明する。
なお、図4のタイミング波形図には、書込み走査信号WS、発光駆動信号DS、補正制御信号ADの各波形、信号線34の電位(Vsig/Vofs)の変化、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsおよびゲート電圧Vgの変化を示している。また、図5および図6の動作説明図では、図面の簡略化のために、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25をスイッチのシンボルで図示している。
〔前フレームの発光期間〕
図4のタイミング波形図において、時刻t1以前は、前のフレーム(フィールド)における有機EL素子21の発光期間となる。この前フレームの発光期間では、発光駆動信号DSがアクティブ状態(高電位状態)にあることで、スイッチングトランジスタ24がオン(導通)状態にある。このとき、書込み走査信号WSが非アクティブ状態(低電位状態)にあることで書込みトランジスタ23がオフ(非導通)状態にあり、補正制御信号AZが非アクティブ状態にあることでスイッチングトランジスタ25がオフ状態にある。
先述したように、駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設計されている。これにより、図5(A)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じて先述した式(1)に与えられる値をとる駆動電流Idsが、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に供給される。よって、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
〔現フレームの非発光期間〕
時刻t1になると、線順次走査の新しいフレーム(現フレーム)に入る。そして、発光駆動信号DSが非アクティブ状態になることで、図5(B)に示すように、スイッチングトランジスタ24がオフ状態になる。すると、電源電位Vccから駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に電流が供給されなくなる。これにより、有機EL素子21が消光し、現フレームの非発光期間に入る。
また、有機EL素子21に電流が供給されなくなることで、有機EL素子21のアノード電圧は、有機EL素子21の閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcathとの和であるVthel+Vcathという電位に収束する。そして、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsも、有機EL素子21のアノード電圧と同一の値となる。このとき、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ25はオフ状態のままである。
時刻t1から一定時間経過後の時刻2で補正制御信号AZがアクティブ状態になることで、スイッチングトランジスタ25がオン状態になる。これにより、有機EL素子21のアノード電極にスイッチングトランジスタ25を通して電源電位Vssが供給される。その後、時刻t3で信号線34に対して信号出力回路70から基準電位Vofsが供給される。この基準電位Vofsが供給される周期が1H期間(Hは水平走査期間)となる。
次に、スイッチングトランジスタ25がオン状態にある時刻t4に発光駆動信号DSがアクティブ状態になることで、図5(C)に示すように、スイッチングトランジスタ24がオン状態になる。スイッチングトランジスタ24がオンすることで、電源電位Vccから駆動トランジスタ22への電流の供給が許容されるために、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じて式(1)で与えられる値の電流Idsが再び駆動トランジスタ22に流れることになる。
ただし、このとき、スイッチングトランジスタ25がオン状態となっているために、有機EL素子21のアノード電位は電源電位Vssになっている。ここで、電源電位Vssは、先述したように、Vss<Vthel+Vcathの条件を満足するように設定されている。したがって、有機EL素子21には逆バイアスがかかり、当該有機EL素子21が非発光状態のままであり、駆動トランジスタ22に流れる電流Idsは、スイッチングトランジスタ25を通して電源電位Vssに流れ込む。
(閾値補正準備)
次に、信号線34の電位が基準電位Vofsの状態にある時刻t5において、書込み走査信号WSがアクティブ状態になることで、書込みトランジスタ23がオン状態になる。これにより、信号線34の基準電位Vofsが書込みトランジスタ23を通して駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる。すなわち、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofsに初期化される。
このとき、図5(D)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofs、ソース電圧Vsが電源電位Vcc、ドレイン電位Vdが電源電位Vssという値となる。ここで、後述する閾値補正処理を正常に行うためには、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧|Vofs−Vcc|は、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧|Vth|よりも大きい必要がある。換言すれば、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧|Vofs−Vcc|が閾値電圧|Vth|よりも大きくなるように、電源電位Vccに対して基準電位Vofsの値を設定しておく必要がある。
このように、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgを基準電位Vofsに固定して初期化する処理が、後述する閾値補正処理を行う前段階の準備(閾値補正準備)の処理である。したがって、基準電位Vofsは、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgを初期化する初期化電位となる。
(閾値補正)
駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgの基準電位Vofsへの初期化後、時刻t6で発光駆動信号DSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ24がオフ状態になる。このとき、図6(A)に示すように、第1容量素子26→駆動トランジスタ22→スイッチングトランジスタ25→電源電位Vssの経路で電流が流れる。
これにより、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgの初期化電位Vofsを基準として、当該初期化電位Vofsから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けてソース電圧Vsを変化させる閾値補正処理が行われる。駆動トランジスタ22のソース電圧Vsおよびゲート電圧Vgの変化は、図4のタイミング波形図に示すような変化となる。この閾値補正処理が進むと、やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに収束する。この閾値電圧Vthに相当する電圧は第1容量素子26に保持される。
この閾値補正処理は、時刻t7で書込み走査信号WSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移し、書込みトランジスタ23がオフ状態になることによって終了する。換言すれば、書込みトランジスタ23による基準電位Vofsの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電位Vofsに固定されている期間に亘って閾値補正処理が実行される。
閾値補正処理の終了後時刻t8で、信号出力回路から信号線24に対して基準電位Vofsに代えて、階調を反映した電圧である映像信号の信号電圧Vsigが供給される。すなわち、信号線24の電位が基準電位Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。
(信号書込み&移動度補正)
その後、スイッチングトランジスタ25がオン状態にある時刻t9で書込み走査信号WSが再び非アクティブ状態からアクティブ状態に遷移する。これにより、書込みトランジスタ23がオン状態となって映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングし、当該信号電圧Vsigを画素20内に書き込む。
この書込みトランジスタ23による信号電圧Vsigの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgは、基準電位Vofsから信号電圧Vsigへと変化する。そして、この書き込まれた信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが、先述した閾値補正処理によって第1容量素子26に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧とキャンセルされる。この閾値キャンセルの原理の詳細については後述する。
駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofsから信号電圧Vsigへ変化することで、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsは、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthよりも大きくなる。したがって、図6(B)に示すように、第1容量素子26→駆動トランジスタ22→スイッチングトランジスタ25→電源電位Vssの経路で電流が流れる。これにより、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsは、図7に示すように、時間の経過とともに下降してゆく。
このとき既に、閾値キャンセル処理が終了し、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素ごとのばらつきがキャンセルされているために、駆動トランジスタ22に流れる電流は当該駆動トランジスタ22の移動度μを反映したものとなる。そして、一定時間経過後に、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsは、移動度μの画素ごとのばらつきを補正したVgs0という値になる。
駆動トランジスタ22の移動度μを反映したものということは、駆動トランジスタ22に流れる電流が移動度μに依存したものとなるということである。具体的には、移動度μが大きい駆動トランジスタ22の方がソース電圧Vsが小さく、逆に、移動度μが小さい駆動トランジスタ22の方がソース電圧Vsが大きくなる。
ここで、映像信号の信号電圧Vsigに対する第1容量素子26の保持電圧Vgsの比率が1(理想値)であると仮定する。この信号電圧Vsigに対する保持電圧Vgsの比率を書込みゲインGと呼ぶ場合もある。この書込みゲインGが1であると仮定すると、駆動トランジスタ22のソース電圧VsがVofs+|Vth|−ΔVの電位まで下降することで、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig+Vofs+|Vth|−ΔVとなる。
すなわち、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsの下降分ΔVは、第1容量素子26に保持されている電圧(Vsig+Vofs+|Vth|)から差し引かれるように作用する。換言すれば、ソース電圧Vsの下降分ΔVは、第1容量素子26の充電電荷を放電するように作用し、負帰還がかけられたことになる。したがって、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsの下降分ΔVは負帰還の帰還量となる。
因みに、書込みゲインGは、第1容量素子26の容量値をC1、第2容量素子27の容量値をC2、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間の寄生容量の容量値をCgsとすると、次式(2)で与えられる。
G=Vgs/Vsig
=1−{(C1+Cgs)/(C1+Cgs+C2) ……(2)
上記式(2)から明らかなように、書込みゲインGは、第1,第2容量素子26,27の各容量値C1,C2によって決まる。
このように、駆動トランジスタ22に流れるドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート‐ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消すことができる。この移動度μに対する依存性を打ち消す処理が、駆動トランジスタ22の移動度μの画素ごとのばらつきを補正する移動度補正処理である。
より具体的には、駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる映像信号の信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)が高いほどドレイン−ソース間電流Idsが大きくなるために、負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなる。したがって、発光輝度レベルに応じた移動度補正処理が行われる。
また、映像信号の信号振幅Vinを一定とした場合、駆動トランジスタ22の移動度μが大きいほど負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなるために、画素ごとの移動度μのばらつきを取り除くことができる。したがって、負帰還の帰還量ΔVは移動度補正の補正量とも言える。移動度補正の原理の詳細については後述する。
映像信号の信号電圧Vsigの書込み処理と並行して行われる移動度補正処理は、時刻t9から書込み走査信号WSが非アクティブ状態に遷移する時刻t10までの期間に亘って実行される。この移動度補正処理を施す移動度補正時間をTとすると、負帰還における帰還量ΔVは、次式(3)で与えられる。
ΔV=Ids・T/(C1+C2+Cgs) ……(3)
上記式(3)から明らかなように、帰還量ΔVは、駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる映像信号の信号振幅Vinに応じて流れるドレイン−ソース間電流Idsに依存しているのに加えて、移動度補正時間Tにも依存している。そして、移動度補正時間Tを長く設定するほど帰還量ΔVが大きくなる。
この移動度補正時間Tについては、必ずしも一定である必要はなく、逆に、ドレイン−ソース間電流Idsを決める映像信号の信号振幅Vinに応じて調整することが好ましい場合がある。例えば、白レベルのように信号振幅Vinが大きい場合には短めに設定し、黒レベルのように信号振幅Vinが小さい場合には長めに設定する、という具合に信号振幅Vinに応じて移動度補正時間Tを調整するようにするとよい。
このように、移動度補正時間Tを調整することにより、負帰還の帰還量ΔVを最適化することができる。ここで、「負帰還量を最適化する」とは、映像信号の信号電圧Vsigの黒レベルから白レベルまでの範囲で、どのレベルにおいても適切に移動度補正を行なうことができるようにすることを意味する。
時刻t10で書込み走査信号WSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移することにより、書込みトランジスタ23がオフ状態になる。この状態では、図6(C)に示すように、スイッチングトランジスタ25がオンしているために、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsは電源電位Vssとなり、ゲート電圧VgはVss+Vgs0という値となる。すなわち、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgおよびソース電圧Vsは変化するが、ゲート−ソース間電圧Vgsは変化しない。
〔現フレームの発光期間〕
時刻t10から一定時間が経過した時刻t11で補正制御信号AZがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ25がオフする。次いで、時刻t12で発光駆動信号DSが再度非アクティブ状態からアクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ24がオンする。スイッチングトランジスタ24がオン状態になることで、電源電位Vccから駆動トランジスタ22の電流の供給が許容される。
電源電位Vccからの電流の供給が許容されることで、駆動トランジスタ22は、図6(D)に示すように、そのゲート−ソース間電圧Vgs0に応じた電流Ids′を有機EL素子21に供給する。これにより、有機EL素子21は発光し、現フレームの発光期間に入る。
上述した一連の回路動作において、閾値補正準備、閾値補正、信号電圧Vsigの書込み(信号書込み)および移動度補正の各処理動作は、1水平走査期間(1H)において実行される。また、信号書込みおよび移動度補正の各処理動作は、時刻t9−t10の期間において並行して実行される。
なお、ここでは、閾値補正処理を1回だけ実行する駆動法を採る場合を例に挙げて説明したが、この駆動法は一例に過ぎず、この駆動法に限られるものではない。例えば、閾値補正処理を移動度補正および信号書込み処理と共に行う1H期間に加えて、当該1H期間に先行する複数の水平走査期間に亘って分割して複数回実行する、いわゆる分割Vth補正を行う駆動法を採ることも可能である。
この分割Vth補正の駆動法を採用することにより、高精細化に伴う多画素化によって1水平走査期間に割り当てられる時間が短くなったとしても、閾値補正期間として複数の水平走査期間に亘って十分な時間を確保することができるために、閾値補正処理を確実に行うことができる。
(閾値キャンセルの原理)
ここで、駆動トランジスタ22の閾値補正(即ち、閾値キャンセル)の原理について説明する。閾値補正処理は、先述したように、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgの初期化電位Vofsを基準として当該電位Vofsから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsを変化させる処理である。
駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されているために定電流源として動作する。定電流源として動作することで、有機EL素子21に対して駆動トランジスタ22から、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じて先述した式(1)で与えられる一定のドレイン−ソース間電流(駆動電流)Idsが供給される。
図7に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Ids対ゲート−ソース間電圧Vgsの特性を示す。
この特性図に示すように、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素ごとのばらつきに対する補正を行わないと、閾値電圧VthがVth1のとき、ゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds1になる。
これに対して、閾値電圧VthがVth2(Vth2>Vth1)のとき、同じゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds2(Ids2<Ids)になる。すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが変動すると、当該駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン−ソース間電流Idsが変動する。
一方、上記構成の画素(画素回路)20では、先述したように、発光時の駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsがVsig−Vofs+Vth−ΔVであるために、これを式(1)に代入すると、ドレイン−ソース間電流Idsは、次式(4)で表される。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vsig−Vofs−ΔV)2
……(4)
すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、駆動トランジスタ22から有機EL素子21に供給されるドレイン−ソース間電流Idsは、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに依存しない。その結果、駆動トランジスタ22の製造プロセスのばらつきや経時変化により、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが画素ごとに変動したとしても、ドレイン−ソース間電流Idsが変動しないために、有機EL素子21の発光輝度を一定に保つことができる。
(移動度補正の原理)
続いて、駆動トランジスタ22の移動度補正の原理について説明する。移動度補正処理は、先述したように、駆動トランジスタ22に流れるドレイン−ソース間電流Idsに応じた補正量ΔVで駆動トランジスタ22のゲート−ソース間の電位差に負帰還をかける処理である。この移動度補正処理により、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消すことができる。すなわち、駆動トランジスタ22の移動度μの画素ごとのばらつきを補正することができる。
図8に、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に大きい画素Aと、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に小さい画素Bとを比較した状態で特性カーブを示す。駆動トランジスタ22をポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素Aや画素Bのように、画素間で移動度μがばらつくことは避けられない。
画素Aと画素Bで移動度μにばらつきがある状態で、駆動トランジスタ22のゲート電極に例えば両画素A,Bに対して同レベルの信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)を書き込んだ場合を考える。この場合、移動度μの補正を何ら行わないと、移動度μの大きい画素Aに流れるドレイン−ソース間電流Ids1′と移動度μの小さい画素Bに流れるドレイン−ソース間電流Ids2′との間には大きな差が生じてしまう。このように、移動度μの画素ごとのばらつきに起因してドレイン−ソース間電流Idsに画素間で大きな差が生じると、画面のユニフォーミティが損なわれる。
ここで、先述した式(1)のトランジスタ特性式から明らかなように、移動度μが大きいとドレイン−ソース間電流Idsが大きくなる。したがって、負帰還における帰還量ΔVは移動度μが大きくなるほど大きくなる。図8に示すように、移動度μの大きな画素Aの帰還量ΔV1は、移動度の小さな画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きい。
そこで、移動度補正処理によって駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることにより、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかることになる。その結果、移動度μの画素ごとのばらつきを抑制することができる。
具体的には、移動度μの大きな画素Aで帰還量ΔV1の補正をかけると、ドレイン−ソース間電流IdsはIds1′からIds1まで大きく下降する。一方、移動度μの小さな画素Bの帰還量ΔV2は小さいために、ドレイン−ソース間電流IdsはIds2′からIds2までの下降となり、それ程大きく下降しない。結果的に、画素Aのドレイン−ソース間電流Ids1と画素Bのドレイン−ソース間電流Ids2とはほぼ等しくなるために、移動度μの画素ごとのばらつきが補正される。
以上をまとめると、移動度μの異なる画素Aと画素Bがあった場合、移動度μの大きい画素Aの帰還量ΔV1は移動度μの小さい画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きくなる。つまり、移動度μが大きい画素ほど帰還量ΔVが大きく、ドレイン−ソース間電流Idsの減少量が大きくなる。
したがって、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVで、ゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、移動度μの異なる画素のドレイン−ソース間電流Idsの電流値が均一化される。その結果、移動度μの画素ごとのばらつきを補正することができる。すなわち、駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)に応じた帰還量ΔVで、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかける処理が移動度補正処理となる。
ここで、図2に示した画素(画素回路)20において、閾値補正、移動度補正の有無による映像信号の信号電位(サンプリング電位)Vsigと駆動トランジスタ22のドレイン・ソース間電流Idsとの関係について図9を用いて説明する。
図9において、(A)は閾値補正処理および移動度補正処理を共に行わない場合、(B)は移動度補正処理を行わず、閾値補正処理のみを行った場合、(C)は閾値補正処理および移動度補正処理を共に行った場合をそれぞれ示している。図9(A)に示すように、閾値補正処理および移動度補正処理を共に行わない場合には、閾値電圧Vthおよび移動度μの画素A,Bごとのばらつきに起因してドレイン−ソース間電流Idsに画素A,B間で大きな差が生じることになる。
これに対して、閾値補正処理のみを行った場合は、図9(B)に示すように、ドレイン−ソース間電流Idsのばらつきをある程度低減できるものの、移動度μの画素A,Bごとのばらつきに起因する画素A,B間でのドレイン−ソース間電流Idsの差は残る。そして、閾値補正処理および移動度補正処理を共に行うことで、図9(C)に示すように、閾値電圧Vthおよび移動度μの画素A,Bごとのばらつきに起因する画素A,B間でのドレイン−ソース間電流Idsの差をほぼ無くすことができる。したがって、どの階調においても有機EL素子21の輝度ばらつきは発生せず、良好な画質の表示画像を得ることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る有機EL表示装置10Aによれば、駆動トランジスタ22がPチャネルトランジスタからなる画素構成において、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthおよび移動度μの画素ごとのばらつきを補正することができる。よって、閾値電圧Vthおよび移動度μのばらつきに起因するムラやスジといった輝度ばらつきのない均一な画質を得ることができる。
また、補正制御走査信号AZによって制御されるスイッチングトランジスタ25の作用により、閾値補正処理時および移動度補正処理時に有機EL素子21が発光しないようにすることができるために、コントラストの高い表示パネル80を得ることができる。
<2.第2実施形態>
[2−1.システム構成]
図10は、本発明の第2実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すシステム構成図であり、図中、図1および図2と同等部分には同一符号を付して示している。
ここでも、一例として、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子を画素(画素回路)の発光素子として用いたアクティブマトリクス型有機EL表示装置の場合を例に挙げて説明するものとする。
本実施形態では、書込み走査信号WSを書込みトランジスタ23に伝送する走査線と、補正制御走査信号AZをスイッチングトランジスタ25に伝送する走査線とを共通化したことを特徴としている。すなわち、書込み走査信号WSを補正制御走査信号AZとして兼用している。
したがって、第1実施形態で用いていた補正制御走査信号AZを発生する補正制御走査回路60が不要となる。故に、図10から明らかなように、画素20の駆動部、特に走査駆動系として、書込み走査回路40および発光駆動走査回路50が設けられている。信号供給系の信号出力回路70が表示パネル80上に設けられているのに対して、書込み走査回路40および発光駆動走査回路50は表示パネル80の外部に設けられている。
ここでは、表示パネル80の右側に書込み走査回路40を配置し、表示パネル80の左側に発光駆動走査回路50を配置するレイアウト構成を採っているが、このレイアウト構成に限られるものではない。
すなわち、書込み走査回路40と発光駆動走査回路50との左右の配置関係が逆であっても良いし、書込み走査回路40および発光駆動走査回路50を表示パネル80の一方側に配置してもよい。また、書込み走査回路40および発光駆動走査回路50をそれぞれ左右両側に一対ずつ配置するレイアウト構成を採ることも可能である。
書込み走査回路40は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフト(転送)するシフトレジスタ等によって構成されている。この書込み走査回路40は、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の書込みに際して、第1走査線31−1〜31−mに順次書込み走査信号WS(WS1〜WSm)を供給することによって線順次走査を行う。この書込み走査信号WS(WS1〜WSm)は、先述した補正制御走査信号AZ(AZ1〜AZm)としても用いられる。
発光駆動走査回路50は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ等によって構成されている。この発光駆動走査回路50は、書込み走査回路40による線順次走査に同期して、画素20の発光駆動を行なう発光駆動信号DS(DS1〜DSm)を第2走査線32−1〜32−mに供給する。この発光駆動信号DSは、画素20の発光/非発光の制御を行なう。
信号出力回路70は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigと、当該映像信号の信号電圧Vsigの基準となる基準電位Vofsのいずれか一方を適宜選択して出力する。信号出力回路70としては、例えば、先述したセレクタ方式とも呼称される時分割駆動方式の回路構成を用いることができる。
書込み走査信号WSを伝送する走査線と、補正制御走査信号AZを伝送する走査線とを共通化していることで、画素アレイ部30には、行方向に沿って第1走査線31−1〜31−m、第2走査線32−1〜32−mが画素行ごとに配線されている。また、列方向に沿って信号線34−1〜34−nが画素列ごとに配線されている。すなわち、第1実施形態では画素行ごとに3本の走査線31,32,33が配線されているのに対して、本実施形態では画素行ごとに2本の走査線31,32が配線されている。
画素20の回路構成および構造については、第1実施形態の場合と何ら異なるところはない。すなわち、有機EL素子21を駆動する駆動回路は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、スイッチングトランジスタ24,25および第1,第2容量素子26,27を有する構成となっている。Pチャネル型の駆動トランジスタ22に対して、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25がNチャネルトランジスタである点でも同じである。
ただし、書込み走査信号WSを伝送する走査線と、補正制御走査信号AZを伝送する走査線とを共通化していることで、図10から明らかなように、スイッチングトランジスタ25のゲート電極は第1走査線31に接続されている点で、第1実施形態の場合と相違している。すなわち、書込みトランジスタ23のゲート電極とスイッチングトランジスタ25のゲート電極とが第1走査線31に共通に接続されている。
[2−2.回路動作]
続いて、上記システム構成の第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bの回路動作について、図11のタイミング波形図を基に図12および図13の動作説明図を用いて説明する。
なお、図11のタイミング波形図には、書込み走査信号WS、発光駆動信号DSの各波形、信号線34の電位(Vsig/Vofs)の変化、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsおよびゲート電圧Vgの変化を示している。また、図12および図13の動作説明図では、図面の簡略化のために、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25をスイッチのシンボルで図示している。
〔前フレームの発光期間〕
図11のタイミング波形図において、時刻t11以前は、前のフレームにおける有機EL素子21の発光期間となる。この前フレームの発光期間では、発光駆動信号DSがアクティブ状態にあることで、スイッチングトランジスタ24がオン状態にある。このとき、書込み走査信号WSが非アクティブ状態にあることで、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ25が共にオフ状態にある。
駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設計されている。したがって、図12(A)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じて先述した式(1)に与えられる値をとる駆動電流Idsが、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に供給される。よって、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
〔現フレームの非発光期間〕
時刻t11になると、線順次走査の新しいフレーム(現フレーム)に入る。そして、発光駆動信号DSが非アクティブ状態になることで、図12(B)に示すように、スイッチングトランジスタ24がオフ状態になる。すると、電源電位Vccから駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に電流が供給されなくなる。これにより、有機EL素子21が消光し、現フレームの非発光期間に入る。
また、有機EL素子21に電流が供給されなくなることで、有機EL素子21のアノード電圧は、有機EL素子21の閾値電圧Vthelとカソード電圧Vcathとの和であるVthel+Vcathという電位に収束する。そして、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsも、有機EL素子21のアノード電圧と同一の値となる。このとき、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ25はオフ状態のままである。
時刻t11から一定時間経過後の時刻t12で信号線34に対して信号出力回路70から基準電位Vofsが供給される。この基準電位Vofsが供給される周期が1H期間となる。次いで、時刻t13で発光駆動信号DSがアクティブ状態になることで、図12(C)に示すように、スイッチングトランジスタ24がオン状態になる。スイッチングトランジスタ24がオンすることで、電源電位Vccから駆動トランジスタ22への電流の供給が許容されるために、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じて式(1)で与えられる値の電流Idsが再び駆動トランジスタ22に流れることになる。
(閾値補正準備)
次に、信号線34の電位が基準電位Vofsの状態にある時刻t14において、書込み走査信号WSがアクティブ状態になることで、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ25が共にオン状態になる。スイッチングトランジスタ25がオンすることで、有機EL素子21のアノード電位が電源電位Vssになる。
ここで、電源電位Vssは、先述したように、Vss<Vthel+Vcathの条件を満足するように設定されている。したがって、有機EL素子21には逆バイアスがかかり、当該有機EL素子21が非発光状態となる。また、駆動トランジスタ22に流れる電流Idsは、スイッチングトランジスタ25を通して電源電位Vssに流れ込む。
また、書込みトランジスタ23がオンすることで、信号線34の基準電位Vofsが書込みトランジスタ23を通して駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる。すなわち、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofsに初期化される。このとき、図12(D)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofs、ソース電圧Vsが電源電位Vcc、ドレイン電位Vdが電源電位Vssという値となる。
ここで、閾値補正処理を正常に行うためには、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧|Vofs−Vcc|は、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧|Vth|よりも大きい必要がある。換言すれば、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧|Vofs−Vcc|が閾値電圧|Vth|よりも大きくなるように、電源電位Vccに対して基準電位Vofsの値を設定しておく必要がある。
(閾値補正)
駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgの基準電位Vofsへの初期化後、時刻t15で発光駆動信号DSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ24がオフ状態になる。このとき、図13(A)に示すように、第1容量素子26→駆動トランジスタ22→スイッチングトランジスタ25→電源電位Vssの経路で電流が流れる。
これにより、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgの初期化電位Vofsを基準として、当該初期化電位Vofsから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けてソース電圧Vsを変化させる閾値補正処理が行われる。この閾値補正処理が進むと、やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに収束する。この閾値電圧Vthに相当する電圧は第1容量素子26に保持される。
この閾値補正処理は、時刻t16で書込み走査信号WSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移し、書込みトランジスタ23がオフ状態になることによって終了する。換言すれば、書込みトランジスタ23による基準電位Vofsの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電位Vofsに固定されている期間に亘って閾値補正処理が実行される。書込み走査信号WSが非アクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ25もオフ状態になる。
閾値補正処理の終了後時刻t17で、信号出力回路から信号線24に対して基準電位Vofsに代えて、階調を反映した電圧である映像信号の信号電圧Vsigが供給される。すなわち、信号線24の電位が基準電位Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。
(信号書込み&移動度補正)
その後、時刻t18で書込み走査信号WSが再び非アクティブ状態からアクティブ状態に遷移する。これにより、スイッチングトランジスタ25がオン状態になるために、有機EL素子21のアノード電位(駆動トランジスタ22のドレイン電位)が電源電位Vssになる。また同時に、書込みトランジスタ23がオン状態となることで、映像信号の信号電圧Vsigが画素20内に書き込まれる。
書込みトランジスタ23による信号電圧Vsigの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgは、基準電位Vofsから信号電圧Vsigへと変化する。そして、この書き込まれた信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが、先述した閾値補正処理によって第1容量素子26に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧とキャンセルされる。
駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが基準電位Vofsから信号電圧Vsigへ変化することで、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsは、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthよりも大きくなる。したがって、図13(B)に示すように、第1容量素子26→駆動トランジスタ22→スイッチングトランジスタ25→電源電位Vssの経路で電流が流れる。これにより、駆動トランジスタ22のソース電圧Vsは、時間の経過とともに下降してゆく(図7参照)。
このとき既に、閾値キャンセル処理が終了し、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素ごとのばらつきがキャンセルされているために、駆動トランジスタ22に流れる電流は当該駆動トランジスタ22の移動度μを反映したものとなる。そして、一定時間経過後に、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsは、移動度μの画素ごとのばらつきを補正したVgs0という値になる。
ここで、映像信号の信号電圧Vsigの書込みゲインが1(理想値)であると仮定すると、駆動トランジスタ22のソース電圧VsがVofs+|Vth|−ΔVの電位まで下降することで、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig+Vofs+|Vth|−ΔVとなる。この駆動トランジスタ22のソース電圧Vsの下降分ΔVは、負帰還の帰還量、換言すれば移動度補正の補正量である。
映像信号の信号電圧Vsigの書込み処理と並行して行われる移動度補正処理は、時刻t18から書込み走査信号WSがアクティブ状態から非アクティブ状態に遷移する時刻t19までの期間に亘って実行される。時刻t19で書込み走査信号WSが非アクティブ状態に遷移することで、図13(C)に示すように、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ25が共にオフ状態になる。
〔現フレームの発光期間〕
時刻t19から一定時間が経過した時刻t20で発光駆動信号DSが再度非アクティブ状態からアクティブ状態に遷移することで、スイッチングトランジスタ24がオンする。スイッチングトランジスタ24がオン状態になることで、電源電位Vccから駆動トランジスタ22の電流の供給が許容される。
電源電位Vccからの電流の供給が許容されることで、駆動トランジスタ22は、図13(D)に示すように、そのゲート−ソース間電圧Vgs0に応じた電流Ids′を有機EL素子21に供給する。これにより、有機EL素子21は発光し、現フレームの発光期間に入る。
上述した一連の回路動作において、閾値補正準備、閾値補正、信号電圧Vsigの書込み(信号書込み)および移動度補正の各処理動作は、1水平走査期間(1H)において実行される。また、信号書込みおよび移動度補正の各処理動作は、時刻t18−t19の期間において並行して実行される。
なお、ここでは、閾値補正処理を1回だけ実行する駆動法を採る場合を例に挙げて説明したが、この駆動法は一例に過ぎず、この駆動法に限られるものではなく、先述した分割Vth補正を行う駆動法を採ることも可能である。
以上説明したように、第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bによれば、閾値補正および移動度補正の各処理機能を持つことで、第1実施形態に係る有機EL表示装置10Aの場合と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、駆動トランジスタ22がPチャネルトランジスタであっても、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthおよび移動度μの画素ごとのばらつきを補正することができるために、ムラやスジといった輝度ばらつきのない均一な画質を得ることができる。
加えて、第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bでは、書込み走査信号WSを伝送する走査線と補正制御走査信号AZを伝送する走査線とを共通化したことで、走査駆動系の走査回路を1つ削減できるために、システム全体の回路構成を簡略化できる。さらに、表示パネル80内において画素行ごとに配線される走査線の数を1本削減できる。走査線の数が減ることで、走査線相互間のショート等の不具合の発生率を低減できるために、表示パネル80の高歩留まり化を図ることができる。
なお、スイッチングトランジスタ25が書込みトランジスタ23と同期してオン/オフ動作を行うことで、スイッチングトランジスタ24がオンする閾値補正期間の前で有機EL素子21に電流が流れ、当該有機EL素子21が発光することになる。しかし、有機EL素子21が発光するのは時刻t13−t14の期間であり、この期間t13−t14は1H期間に比べて極めて短い期間であることから視認上問題になることはない。
閾値補正処理時および移動度補正処理時には、書込み走査信号WSによって制御されるスイッチングトランジスタ25の作用により、有機EL素子21が発光しないようにすることができるために、コントラストの高い表示パネル80を得ることができる。
<3.変形例>
[3−1.変形例1]
第1,第2実施形態では、Pチャネルの駆動トランジスタ22に対して、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25としてNチャネルのトランジスタを用いるとしたが、これらの導電型の組み合わせは任意である。
図14は、変形例1に係る画素の構成例を示す回路図であり、図中、図2および図10と同等部分には同一符号を付して示している。
有機EL素子21を駆動する駆動回路が、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、スイッチングトランジスタ24,25および第1,第2容量素子26,27によって構成されている点では、第1,第2実施形態に係る画素20と同じである。ただし、本変形例1に係る画素20Aは、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25として、駆動トランジスタ22と同じ導電型、即ちPチャネルのトランジスタを用いている。
このように、画素20Aの全てのトランジスタ22〜25をPチャネルトランジスタで構成することで、Pチャネル、Nチャネル混在の場合に比べて、トランジスタを作成するプロセスを削減できるために、表示装置の低コスト化を図ることができる。
[3−2.変形例2]
第1,第2実施形態では、閾値補正処理に先立って駆動トランジスタ22のゲート電位Vgを初期化する基準電位Vofsを、信号線34を経由して書込みトランジスタ23によって書き込む構成を採ったが、これに限られるものではない。
図15は、変形例2に係る画素の構成例を示す回路図であり、図中、図14と同等部分には同一符号を付して示している。
本変形例2に係る画素20Bは、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、スイッチングトランジスタ24,25および第1,第2容量素子26,27に加えて、スイッチングトランジスタ28を有する構成となっている。
スイッチングトランジスタ28は、基準電位Vofsと駆動トランジスタ22のゲート電極(書込みトランジスタ23のドレイン電極)との間に接続されている。このスイッチングトランジスタ28は、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgの初期化時に、第4走査線36を介して供給される制御走査信号に応答してオン状態になることで、基準電位Vofsを駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込む。
上記画素構成の場合にも、トランジスタが1つ増え、それに付随して走査線が1本、走査回路が1個それぞれ増えるものの、第1,第2実施形態の場合と同様に、閾値補正および移動度補正の各処理機能を持つことによる作用効果を得ることができる。
ここで、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25,28としてPチャネルトランジスタを用いるとしたが、全てNチャネルトランジスタによって構成することも可能であり、またそれらの導電型の組み合わせは任意である。
ただし、書込みトランジスタ23およびスイッチングトランジスタ24,25,28の全てを、駆動トランジスタ22と同じ導電型のPチャネルトランジスタで構成した方が、トランジスタを作成するプロセスを削減できるために、表示装置の低コスト化を図る上で有利である。
なお、第1,第2実施形態およびその変形例では、画素の電気光学素子として、有機EL素子を用いた有機EL表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限られるものではない。具体的には、本発明は、無機EL素子、LED素子、半導体レーザ素子等、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子(発光素子)を用いた表示装置全般に対して適用可能である。
<4.適用例>
以上説明した本発明による表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
本発明による表示装置によれば、Pチャネルの駆動トランジスタからなる画素構成であっても、当該駆動トランジスタの閾値補正および移動度補正の各処理を行うことによってムラやスジといった輝度ばらつきのない均一な画素を得ることができる。したがって、あらゆる分野の電子機器の表示装置として本発明による表示装置を用いることで、当該電子機器の表示装置の表示品質の向上を図ることができる。
本発明による表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。このモジュール形状のものとしては、例えば、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。この透明な対向部には、カラーフィルタ、保護膜等、さらには、上記した遮光膜が設けられてもよい。なお、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
以下に、本発明が適用される電子機器の具体例について説明する。一例として、図16〜図20に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの表示装置に本発明を適用することが可能である。
図16は、本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビジョンセットは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含んでいる。そして、映像表示画面部101として本発明による表示装置を用いることにより、本適用例に係るテレビジョンセットが作製される。
図17は、本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含んでいる。そして、表示部112として本発明による表示装置を用いることにより、本適用例に係るデジタルカメラが作製される。
図18は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するときに操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含んでいる。そして、表示部123として本発明による表示装置を用いることにより、本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータが作製される。
図19は、本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含んでいる。そして、表示部134として本発明による表示装置を用いることにより、本適用例に係るビデオカメラが作製される。
図20は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明による表示装置を用いることにより、本適用例に係る携帯電話機が作製される。
10A,10B…有機EL表示装置、20,20A,20B…画素(画素回路)、21…有機EL素子、22…駆動トランジスタ、23…書込みトランジスタ、24,25,28…スイッチングトランジスタ、26…第1容量素子、27…第2容量素子、30…画素アレイ部、31(31−1〜31−m)…第1走査線、32(32−1〜32−m)…第2走査線、33(33−1〜33−m)…第3走査線、34(34−1〜34−n)…信号線、35…共通電源供給線、36…第4走査線、40…書込み走査回路、50…発光駆動走査回路、60…補正制御走査回路、67…信号出力回路、80…表示パネル、WS(WS1〜WSm)…書込み走査信号、DS(DS1〜DSm)…発光駆動信号、AZ(AZ1〜AZm)…補正制御信号