JP5286808B2 - 環状脂肪族ジアミンの製造方法 - Google Patents

環状脂肪族ジアミンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は環状脂肪族ジアミンの新規な製造方法に関する。本発明の環状脂肪族ジアミンはポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂のモノマー原料及び医農薬原料の中間体として有用なものである。
近年、脂肪族ジアミンを原料としたポリアミド樹脂は高耐熱及び低吸水性を有し、鉛フリーハンダ対応の材料として注目されている。また、特に環状構造の脂肪族炭化水素を骨格に持つ環状脂肪族ジアミンを原料として得られる環状脂肪族ジイソシアネートは無黄変性、耐候性及び剛直性を有し、この環状脂肪族ジイソシアネートから製造されるポリウレタン樹脂は塗料や接着剤用途の材料として注目されている。
このような環状脂肪族ジアミンは、例えば、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンと無水マレイン酸を用いてDiels−Alder反応を行い、次いで、水素化、イミノ化、そして再度水素化を行う全6工程からなるルートで製造する方法(例えば、非特許文献1参照)、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとフマロニトリル又はマレオニトリルを反応させ、次いで水素化して製造する方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかし、非特許文献1のルートは全6工程と煩雑であり、特許文献1のルートではフマロニトリル又はマレオニトリルが高価で入手困難である等の問題があった。
Tetrahedron:Asymmetry 2003年14巻1167頁 特許3185807号
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は原料を容易に入手でき、煩雑な工程を経ることなく、ポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂用モノマーの中間原料及び医農薬原料の中間体として有用な環状脂肪族ジアミンの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、環状脂肪族ジアミンの新規な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記一般式(4)で表される環状脂肪族ジアミンの新規な製造方法に関するものである。
Figure 0005286808
(式中、nは0又は1を表す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一般式(4)で表される環状脂肪族ジアミンの新規な製造方法は、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンを下記一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンと反応させて下記一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する工程、次いで環状脂肪族ジハライドを水素化して下記一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する工程、さらに環状脂肪族ジハライドをアミノ化する工程からなる。
Figure 0005286808
(式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
Figure 0005286808
(式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは0又は1を表す。)
Figure 0005286808
(式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは0又は1を表す。)
本発明の製造方法で製造される上記一般式(4)で表される環状脂肪族ジアミンとしては、例えば、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ジメタンアミン、1α,2,3,4α,4aα,5β,6,7,8β,8aα−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタンアミン等があげられる。
本発明の製造方法に用いられる上記一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンとしては、例えば、1,4−ジクロロ−2−ブテン、1,4−ジブロモ−2−ブテン、1,4−ジヨード−2−ブテン、1−クロロ−4−ブロモ−2−ブテン、1−クロロ−4−ヨード−2−ブテン、1−ブロモ−4−ヨード−2−ブテン等があげられる。これらのうち、簡便に効率よく製造できることから、上記一般式(1)におけるXが両方とも塩素原子である1,4−ジクロロ−2−ブテン、上記一般式(1)におけるXが両方とも臭素原子である1,4−ジブロモ−2−ブテン、上記一般式(1)におけるXが両方ともヨウ素原子である1,4−ジヨード−2−ブテンが好ましく、特に安定性が高いこと及び安価で入手が容易であること等から、上記一般式(1)におけるXが両方とも塩素原子である1,4−ジクロロ−2−ブテンがさらに好ましい。
シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンを一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンと反応させる方法としては、例えば、Diels−Alder反応等があげられる。Diels−Alder反応の方法に特に制限はなく、原料である1,4−ジハロゲノ−2−ブテン、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエン等及び必要であれば溶媒を一度に反応装置に仕込む回分式、原料である1,4−ジハロゲノ−2−ブテン、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエン等及び必要であれば溶媒等を連続的に供給すると共に未反応原料及び反応液を連続的に抜出す連続式のいずれでも実施できる。また、反応状態は特に制限されず、液相又は気相状態、さらに気液混合状態で行うことができるが、好ましくは液相状態である。反応装置に仕込まれたシクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンは、熱分解により、シクロペンタジエンとジシクロペンタジエンの混合状態となり、一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンと反応する。
エン又はジシクロペンタジエンと1,4−ジハロゲノ−2−ブテンの仕込み比率は、特に制限されないが、効率的に反応が行えることから1,4−ジハロゲノ−2−ブテン1モルに対してシクロペンタジエン換算で100〜0.01モル、好ましくは50〜0.05モル、より好ましくは10〜0.1モルである。
Diels−Alder反応は溶媒中又は無溶媒で行うことができる。そのような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等があげられる。さらに、原料の一方である1,4−ジハロゲノ−2−ブテン、又はシクロペンタジエン若しくはジシクロペンタジエンを溶媒に用いることも可能である。これらの溶媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
Diels−Alder反応における温度は特に制限はなく、例えば、50〜300℃、好ましくは100〜250℃である。反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.1〜100kg/cmであり、好ましくは1〜50kg/cmである。また、反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、一概に決めることはできないが、通常、1分〜100時間である。反応中の雰囲気は特に制限はないが、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して用いることができる。
反応終了後、公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを得ることができる。また、原料である1,4−ジハロゲノ−2−ブテン、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンは公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により回収し、原料として再利用することが可能である。
上記のようにシクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンと一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンとの反応によって得られた一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを水素化して一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する。一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを水素化して一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する工程における水素化反応は、水素化反応が効率的に進行することが可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば、水素化反応触媒の存在下で水素を用いて反応を行う。ここで水素化反応触媒とは周期表第6〜11族の遷移金属からなる触媒であって、具体的にはクロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属触媒が使用できる。
水素化反応触媒は水素化反応が進行する触媒であればどのような形態のものでもよく、例えば、固体触媒、および金属錯体触媒のいずれも使用することができる。固体触媒には(i)遷移金属化合物から調製した固体触媒、および(ii)担体に遷移金属化合物を担持した固体触媒があり、いずれの固体触媒も使用することができる。固体触媒、金属錯体触媒については、例えば、「接触水素化反応」(株式会社東京化学同人)第15頁〜第54頁に記載されている。
前記(i)の遷移金属化合物から調製した固体触媒としては、高い触媒活性と安定性を保持するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ラネーニッケル触媒、漆原ニッケル触媒、ホウ化ニッケル触媒、ギ酸ニッケル触媒、ニッケル−リン触媒、硫化ニッケル触媒、ラネーコバルト触媒、ラネー銅触媒、ラネー鉄触媒、酸化モリブデン触媒、酸化タングステン触媒、三硫化モリブデン触媒、水酸化ルテニウム触媒、ルテニウム黒触媒、二酸化ルテニウム触媒、水酸化ロジウム触媒、ロジウム黒触媒、酸化ロジウム触媒、ロジウム−白金酸化物触媒、酸化パラジウム触媒、水酸化パラジウム触媒、パラジウム黒触媒、酸化白金触媒、白金黒触媒、オスミウム黒触媒、イリジウム黒触媒、レニウム黒触媒等があげられる。
前記(ii)の担体に遷移金属化合物を担持した固体触媒としては、高い触媒活性と安定性を保持するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばモリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金の金属、酸化物、水酸化物、硫化物等があげられる。担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ−アルミナ等があげられる。
前記の金属錯体触媒としては、高い触媒活性と安定性を保持するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジカルボニルジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ジ−μ−クロロビス(シクロオクタジエン)ジロジウム(I)、trans−ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ジ−μ−クロロジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジロジウム(III)、ヘキサデカカルボニルヘキサロジウム、trans−クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、ヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ジクロロイリジウム(III)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ドデカカルボニルトリオスミウム(0)、cis−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、ヘキサカルボニルクロム、ベンゼン−トリカルボニルクロム(0)、ペンタシアノコバルト(II)、オクタカルボニルジコバルト(0)、η−アリルトリス(トリメトキシホスフィン)コバルト等があげられる。
これらの水素化反応触媒のうち、取り扱いの容易性や安全性の点から、固体触媒を使用することが好ましく、さらに好ましくは前記(i)の遷移金属化合物から調製した固体触媒のラネーニッケル触媒、ラネーコバルト触媒、ラネー銅触媒、ラネー鉄触媒等、または前記(ii)の担体に遷移金属化合物を担持した固体触媒の担持ニッケル活性炭触媒、担持ニッケルアルミナ触媒、担持ニッケルシリカ触媒、担持パラジウム活性炭触媒、担持パラジウムアルミナ触媒、担持パラジウムシリカ触媒、担持ルテニウム活性炭触媒、担持ルテニウムアルミナ触媒、担持ルテニウムシリカ触媒、担持ロジウム活性炭触媒、担持ロジウムアルミナ触媒、担持ロジウムシリカ触媒、担持レニウム活性炭触媒、担持レニウムアルミナ触媒、担持レニウムシリカ触媒、担持白金活性炭触媒、担持白金アルミナ触媒、担持白金シリカ触媒、担持イリジウム活性炭触媒、担持イリジウムアルミナ触媒、担持イリジウムシリカ触媒等が用いられる。
水素化反応は溶媒中又は無溶媒で行うことができる。そのような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル等があげられる。さらに、これらの溶媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
水素化反応における温度は特に制限はなく、例えば、−20〜300℃、好ましくは0〜200℃である。反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.01〜300kg/cmであり、好ましくは1〜150kg/cmである。また、反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、一概に決めることはできないが、通常、1分〜100時間である。水素化反応は、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって希釈して行うことができる。
水素化反応の方法に特に制限はなく、原料である上記一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライド、水素化触媒及び必要であれば溶媒を一度に反応装置に仕込む回分式、一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライド及び必要であれば溶媒等を連続的に供給すると共に未反応原料及び反応液を連続的に抜出す固定床または懸濁床の連続式のいずれでも実施できる。また、反応状態は特に制限されず、液相又は気相状態、さらに気液混合状態で行うことができる。
反応終了後、公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを得ることができる。また、原料である一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドは公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により回収し、原料として再利用することが可能である。
一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドをアミノ化する工程におけるアミノ化反応は、例えば、アンモニアが用いられる。アンモニアとしてはアンモニア水、ガス状のアンモニア、液状のアンモニアのいずれでも差し支えない。
アミノ化反応における一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドとアンモニアの仕込み比率は、特に制限されないが、効率的にアミノ化が行えることから一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライド1モルに対してアンモニアの量は2〜10000モル、好ましくは2〜2000モル、より好ましくは2〜500モルである。
アミノ化反応は溶媒中又は無溶媒で行うことができる。そのような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等があげられる。さらに、原料の一方であるアンモニア、又は一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを溶媒に用いることも可能である。これらの溶媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
アミノ化反応における温度は特に制限はなく、例えば、−50〜300℃、好ましくは0〜200℃である。反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.01〜300kg/cmであり、好ましくは1〜150kg/cmである。また、反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、一概に決めることはできないが、通常、1秒〜100時間である。反応中の雰囲気はアンモニアガスであることが好ましいが、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって希釈して用いることができる。
アミノ化反応の方法に特に制限はなく、原料である一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライド、アンモニア等及び必要であれば溶媒を一度に反応装置に仕込む回分式、原料である一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライド、アンモニア及び必要であれば溶媒等を連続的に供給すると共に未反応原料、及び反応液を連続的に抜出す連続式のいずれでも実施できる。また、反応状態は特に制限されず、液相または気相状態、さらに気液混合状態で行うことができる。
反応終了後、公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により一般式(4)で表される環状脂肪族ジアミンを得ることができる。また、原料である一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライド、アンモニアは公知の分離法、例えば、蒸留等の方法により回収し、原料として再利用することが可能である。
本発明の環状脂肪族ジアミンは、ポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂のモノマー原料および医農薬原料の中間体として、好適に使用することができる。
本発明は、ポリアミドやポリウレタン樹脂のモノマー原料および医農薬原料の中間体として有用な環状脂肪族ジアミンの効率的な製造方法を提供するものであり、工業的にも非常に有用である。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例に用いた測定方法を示す。
<ガスクロマトグラフ分析>
反応液に内標としてN−メチルピロリドンを加え、ジーエルサイエンス製TC−1カラム(商品名)が備わったガスクロマトグラフ(島津製作所製GC−1700)に反応液0.4μlを注入し、分析を行った。
<GC−MS測定>
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC部;ヒューレット・パッカード製、商品名HP6890、MS部;日本電子製、商品名JMS−700)を用い、測定を行った。
実施例1
(環状脂肪族ジハライド製造工程)
ジシクロペンタジエン212g(1.6mol)と1,4−ジクロロ−2−ブテン800g(6.4mol)を2リットルのオートクレーブに仕込んだ。内部を窒素置換した後、攪拌しながら170℃まで昇温し、そのまま5時間加熱攪拌した。反応終了後、25℃まで温度を下げ、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液は褐色溶液であった。得られた褐色の溶液を0.4kPaの減圧下で蒸留し、80〜93℃の範囲の留出分を集めることにより、純度94重量%のビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)を364.7g(ジシクロペンタジエン基準の収率:60%)の無色溶液として得た。
(水素化工程)
300mlのオートクレーブに上記で得られたビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)150gおよびエタノール50gとエヌ・イー ケムキャット社製5wt%Pd/C2.0gを入れて、窒素置換した。その後、攪拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃に上げ、水素を供給し1.0MPaに保ち2時間後、反応液を取り出した。得られた反応液をろ過後、0.4kPaの減圧下で蒸留し88〜90℃の範囲の留出分を集めガスクロマトグラフで分析した結果、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)の選択率は91%であった。
(アミノ化工程)
300mlのステンレス製オートクレーブに蒸留水60gとt−ブタノール20gを入れ密閉した。窒素でオートクレーブ内を置換した後、液体アンモニア65gを窒素で圧入した。その後、温度を上げてオートクレーブ内の温度を140℃、オートクレーブ内の圧力を4.0MPaに維持した。
上記で得られたビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)15gを上記オートクレーブ内に窒素で圧入して反応を開始した。5時間後、オートクレーブを氷冷して温度を室温まで下げた。その後、オートクレーブを開放して反応液を回収した。
水酸化ナトリウム8.0gを添加した後、ガスクロマトグラフで分析した結果、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ジメタンアミンの収率は46%であった。
実施例2
(水素化工程)
水素化反応触媒をエヌ・イー ケムキャット社製5wt%Pt/Cに換えた以外は実施例1と同様に水素化反応を行った。ガスクロマトグラフで分析した結果、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)の選択率は90%であった。
(アミノ化工程)
300mlのステンレス製オートクレーブに蒸留水60gとt−ブタノール20gを入れ密閉した。窒素でオートクレーブ内を置換した後、液体アンモニア65gを窒素で圧入した。その後、温度を上げてオートクレーブ内の温度を140℃、オートクレーブ内の圧力を4.0MPaに維持した。
上記で得られたビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)15gを上記オートクレーブ内に窒素で圧入して反応を開始した。5時間後、オートクレーブを氷冷して温度を室温まで下げた。その後、オートクレーブを開放して反応液を回収した。
水酸化ナトリウム8.0gを添加した後、ガスクロマトグラフで分析した結果、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ジメタンアミンの収率は46%であった。
実施例3
(アミノ化工程)
300mlのステンレス製オートクレーブに蒸留水80gを入れ密閉した。窒素でオートクレーブ内を置換した後、液体アンモニア68gを窒素で圧入した。その後、温度を上げてオートクレーブ内の温度を140℃、オートクレーブ内の圧力を4.0MPaに維持した。
実施例1の水素化反応で得られたビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)14gを上記オートクレーブ内に窒素で圧入して反応を開始した。5時間後、オートクレーブを氷冷して温度を室温まで下げた。その後、オートクレーブを開放して反応液を回収した。
水酸化ナトリウム8.0gを添加した後、ガスクロマトグラフで分析した結果、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン−2,3−ジメタンアミンの収率は30%であった。
実施例4
(環状脂肪族ジハライド製造工程)
ジシクロペンタジエン212g(1.6mol)と1,4−ジクロロ−2−ブテン800g(6.4mol)を2リットルのオートクレーブに仕込んだ。内部を窒素置換した後、攪拌しながら170℃まで昇温し、そのまま5時間加熱攪拌した。反応終了後、25℃まで温度を下げ、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液は褐色溶液であった。得られた褐色の溶液を0.4kPaの減圧下で蒸留し、80〜93℃の範囲の留出分を集めることにより、純度94重量%のビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)を364.7g(ジシクロペンタジエン基準の収率:60%)の無色溶液として得た。
さらにジシクロペンタジエン53g(0.4mol)と上記ビシクロ−(2,2,1)−ヘプト−5−エン−2,3−ビス(クロロメチル)308g(1.6mol)を1リットルのオートクレーブを用いて上記と同様の条件で反応を行った。反応終了後、25℃まで温度を下げ、オートクレーブから反応液を取り出した。得られた溶液を0.04kPaの減圧下で蒸留し、90〜103℃の範囲の留出分を集めることにより、純度90重量%の1α,2,3,4α,4aα,5β,8β,8aα−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)を104g(ジシクロペンタジエン基準の収率:50%)の無色溶液として得た。
(水素化工程)
300mlのオートクレーブに上記で得られた1α,2,3,4α,4aα,5β,8β,8aα−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)50gおよびエタノール50gとエヌ・イー ケムキャット社製5wt%Pd/C2.0gを入れて、窒素置換した。その後、攪拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃に上げ、水素を供給し1.0MPaに保ち2時間後、反応液を取り出した。得られた反応液をろ過後、0.04kPaの減圧下で蒸留し88〜105℃の範囲の留出分を集めガスクロマトグラフで分析した結果、1α,2,3,4α,4aα,5β,8β,8aα−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、1α,2,3,4α,4aα,5β,6,7,8β,8aα−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)の選択率は90%であった。
(アミノ化工程)
300mlのステンレス製オートクレーブに蒸留水60gとt−ブタノール20gを入れ密閉した。窒素でオートクレーブ内を置換した後、液体アンモニア65gを窒素で圧入した。その後、温度を上げてオートクレーブ内の温度を140℃、オートクレーブ内の圧力を4.0MPaに維持した。
上記で得られた1α,2,3,4α,4aα,5β,6,7,8β,8aα−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)15gを上記オートクレーブ内に窒素で圧入して反応を開始した。5時間後、オートクレーブを氷冷して温度を室温まで下げた。その後、オートクレーブを開放して反応液を回収した。
水酸化ナトリウム6.0gを添加した後、ガスクロマトグラフで分析した結果、1α,2,3,4α,4aα,5β,6,7,8β,8aα−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ビス(クロロメチル)は完全に転化し、1α,2,3,4α,4aα,5β,6,7,8β,8aα−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタンアミンの収率は35%であった。

Claims (5)

  1. シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンを下記一般式(1)で表される1,4−ジハロゲノ−2−ブテンと反応させて下記一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する工程、次いで環状脂肪族ジハライドを水素化して下記一般式(3)で表される環状脂肪族ジハライドを製造する工程、さらに環状脂肪族ジハライドをアミノ化する工程からなることを特徴とする下記一般式(4)で表される環状脂肪族ジアミンの製造方法。
    Figure 0005286808
    (式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)
    Figure 0005286808
    (式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは0又は1を表す。)
    Figure 0005286808
    (式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは0又は1を表す。)
    Figure 0005286808
    (式中、nは0又は1を表す。)
  2. 一般式(1)におけるXが両方とも塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることを特徴とする請求項1に記載の環状脂肪族ジアミンの製造方法。
  3. アミノ化する工程がアンモニアを用いて反応させることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかの項に記載の環状脂肪族ジアミンの製造方法。
  4. 一般式(2)で表される環状脂肪族ジハライドを水素化する工程が水素化反応触媒の存在下に水素を用いて反応させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の環状状脂肪族ジアミンの製造方法。
  5. 水素化反応触媒が固体触媒であることを特徴とする請求項4に記載の環状脂肪族ジアミンの製造方法。
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