JP5286179B2 - 現像剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
使用される分散剤は、界面活性剤であり、界面活性剤の濃度は、トナー材料分散液の臨界ミセル濃度以下の濃度であり、凝集は、水溶性無機金属塩や有機系高分子凝集剤を用いず、分散液のpH調整のみで行う。
ミセルとは、界面活性剤が水中で安定するように層状に並んだものである。臨界ミセル濃度(CMC:critical micell concentration)とは界面活性剤を徐々に加えた場合、ミセルを形成するようになる最小限の界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度と呼ぶ。
本発明で、トナーバインダーとして用いる樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応を経て、重縮合して得られるポリエステル系樹脂が望ましい。酸成分としてテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
本発明において、バインダー樹脂に離型剤成分を配合することができる。離型剤として、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスおよびそれらの変性物、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックスなどの植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラックや有機もしくは無機の顔料や染料などを用いることができる。特別な制約は無いが、カーボンブラックではアセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。また、顔染料としては、例えば、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、インドファストオレンジ、イルガジンレッド、ナフトールアゾ、カーミンFB、パーマネントボルドーFRR、ピグメントオレンジR、リソールレッド2G、レーキレッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーンB、フタロシアニングリーン、キナクリドンなどが挙げられる。これらを単独で、あるいは混合して使用することもできる。
本発明においては、摩擦帯電電荷量を制御するために帯電制御剤を配合することができる。
本発明においては、トナー粒子に対して流動性や帯電性を調整するために、トナー粒子表面に、トナー粒子全重量の0.01〜20重量%の無機微粒子を添加することができる。このような無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化錫等を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。無機微粒子は疎水化剤で表面処理されたものを使用することが環境安定性向上の観点から好ましい。また、このような無機酸化物以外に1μm以下の樹脂微粒子例えばポリシロキサン樹脂等の樹脂をクリーニング性向上のために外添してもよい。
本発明において、樹脂、着色剤、ワックスを微粒化する際に界面活性剤を使用する。
本発明では、凝集時に、トナー材料の微粒子を含む分散液に、凝集剤として、PH調整を行うための酸を添加する。このような酸として、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、無水酢酸、クエン酸等を用いることができる。このような酸のうち、無水酢酸は水と反応して徐々に酢酸に分解して、pH変化がおだやかであるので、特に好ましい。また、無水酢酸は水温が高いほど分解速度が増すので水温によってもpHをコントロールできる。無水酢酸を水中で分散させるときに、一般にホモジナイザーを用いるが、その回転速度によっても分解速度を変えられpHをコントロールできる。
本発明においてポリエステル樹脂を含むトナー成分は機械的剪断によって製造される。機械的せん断を与えるための装置として、例えば、ウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKオートホモミクサー(プライミックス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミックス社製)、TKフィルミックス(プライミックス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなメディアレス攪拌機、マントン・ゴーリン式高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、ジーナスPY(白水化学株式会社製)、NANO3000(美粒社製)等の高圧ホモジナイザータイプ等が挙げられる。特にトナー固形分に対して界面活性剤量を少なくするという目的からは高圧ホモジナイザータイプが好ましい。
上記の製造装置を使用して分散液を製造する。機械的せん断を行う際、中和剤を使用することができる。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びモルホリン等のアミン類などが挙げられる。これらの中で中和効果と入手のし易さで1価のアルカリ金属水酸化物やアミン類を好ましい使用することが出来る。
本発明において、バインダー樹脂、着色剤、ワックス、及び帯電制御剤等の混合は、上述ように、機械的せん断を与える装置を用いて各々、別々に、微粒子分散液を製造した後、混合、凝集しても良い。または、溶融混練機を用いてバインダー樹脂、着色剤、ワックス、及び帯電制御剤等を溶融混練した後、その粉砕物を機械的せん断を与える装置に供して微粒子分散液を製造した後、凝集を行っても良い。
本発明において凝集を行なうために使用できる凝集釜には、攪拌翼が設けられる。この撹拌翼としては、特に制限されるものではないが、一般的なものとして、例えばパドル翼、タービン翼、アンカー翼、ファウドラー翼、ブルマージン翼、及びプロペラ翼等があげられる。また、高粘度溶液タイプとして、例えば、マックスブレンド翼(住友重機械)、ダブルヘリカル翼、フルゾーン翼(神鋼環境ソリューション)、ログボーン翼(神鋼環境ソリューション)、Hi−Fミキサー翼(綜研化学)等が挙げられる。
本発明において、分散液中の微粒子を凝集するために、トナー分散液を攪拌翼で攪拌しているところに、凝集剤を供給する。凝集剤は酸の希釈溶液を水中でホモジナイザー等を使用して分散したものが好ましい。凝集剤の供給温度はトナー樹脂のガラス転移点温度以下、20℃〜50℃が好ましい。樹脂のガラス転移点温度を超える温度で凝集剤を供給すると、凝集剤の滴下と同時に粗粒が発生する恐れがある。20℃より低いと冷却が必要になり効率が悪い。凝集剤液の供給はポンプ等で連続式に添加するのが好ましい。凝集剤液の供給が終わった後、温度を上昇させる。最終的にトナー凝集体が十分に融着する温度まで上昇させる。最終温度は70℃〜90℃が好ましい。
図4に、本発明の実施例に係る現像剤の製造方法を表すフロー図を示す。
テレフタル酸39部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド化合物61部、ジブチルスズ0.2部をエステル化反応槽に投入し、窒素雰囲気下で260℃、50KPaで5時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。ガラス転移温度Tgは60℃、軟化点は110℃、重量平均分子量は12000であった。
上記の非晶性ポリエステル樹脂を固形分で90重量部、離型剤としてライスワックスを5重量部、シアン顔料を5重量部、2軸混練機で混練し(Act11)、得られた混練物のを粉砕して、トナーの粗粉砕物を得た(Act12)。このトナー粗粉砕物100部、界面活性剤としてアニオン性界面活性剤ネオゲンR(第一工業製薬社製)1.0部、ジメチルアミノエタノール(DMAE)2.1部、脱イオン水330部を添加し、トナー材料分散液を調製した(Act13)。
分散液1を100部(固形分濃度40%)、脱イオン水100部を攪拌機付のガラス製セパラブルフラスコに仕込んだ。パドル式攪拌翼を700rpmで回転しながら、凝集剤として、塩酸水溶液を、フラスコ内温度30℃でポンプで連続滴下した(Act15)。塩酸はトナー固形分に対して0.30重量部入れた。そして85℃まで3時間で昇温し、85℃で1時間保持しトナー粒子を融着した(Act16)。得られたトナー粒子の体積平均粒径は5.2μm、分布を表すCV値は20%であった。
分散液1を使用して、凝集の際にホモジナイザーで30℃の水中に分散した無水酢酸をトナー固形分に対して0.35重量部をフラスコ内温度30℃で一括供給した。それ以外は実施例1と同様にして、凝集・融着を実施した。融着後の得られたトナーの体積平均粒径は6.5μm、CV値は18%であった。冷却後、得られた着色粒子を濾過機にて洗浄水の導電率が0.5μS/cmとなるまで洗浄した。そのときの洗浄水量はトナー固形分に対して25倍であった。そして真空乾燥機にて含水率が0.3wt%になるまで乾燥させた。得られたトナー粒子の体積平均粒径は6.5μm、体積平均で12μm以上の粗粒が全体の0.2%であった。実施例1と同様に帯電量を測定したところ−27μC/gであった。
トナー材料微粒子分散液2の製造
分散液1の製法と同様の方法で、中和剤をジメチルアミノエタノールから水酸化ナトリウム0.9部に変えてトナー分散液を作成した。分散液の体積平均粒径は0.65μmであった。
トナー材料微粒子分散液3の製造
微粒化分散液1の製法と同様の方法で、ネオゲンRをトナー粗粉砕物100部に対して3.5部加えてトナー分散液を作成した。分散液の体積平均粒径は0.37μmであった。
トナー材料微粒子分散液4の製造
微粒化分散液1の製法と同様の方法で、ネオゲンRをトナー粗粉砕物100部に対して4.5部加えてトナー分散液を作成した。分散液の体積平均粒径は0.26μmであった。
分散液1を用いて、凝集剤として硫酸アルミニウム水溶液をトナー固形分に対して2.5重量部、30℃で連続滴下して供給した。60℃に到達した時点で、粒子の合一防止のため、アニオン性界面活性剤ペレックスSS−Lをトナー固形分に対して5.0部添加した。そして90℃まで昇温し、90℃で1時間保持した。融着後の得られたトナーの体積平均粒径は5.8μm、CV値は28%であった。冷却後得られた着色粒子を濾過機にて洗浄水の導電率が0.5μS/cmとなるまで洗浄した。そのときの洗浄水量はトナー固形分に対して300倍であった。そして真空乾燥機にて含水率が0.3wt%になるまで乾燥させた。得られたトナー粒子の体積平均粒径は5.8μm、体積平均で12μm以上の粗粒が全体の1.2%であった。実施例1と同様に帯電量を測定したところ−12μC/gであった。
Claims (4)
- バインダー樹脂、着色剤、及び界面活性剤を水系媒体中に分散させた分散液中で、界面活性剤の濃度を、水系媒体の臨界ミセル濃度以上かつ前記分散液中の臨界ミセル濃度以下で調整し、水溶性無機金属塩や有機系高分子凝集剤を添加せず、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、無水酢酸、及びクエン酸からなる群から選択される酸を加えることによりpH調整を行うだけでトナー粒子を凝集させる工程を含む現像剤の製造方法。
- 前記分散液は、前記バインダー樹脂、及び前記着色剤を含有する粒状のトナー材料混合物、前記水系媒体、及び前記界面活性剤を含むトナー材料分散液を機械的せん断に供する工程、該粒状の混合物を微粒化して、該粒状の混合物の粒径よりも小さい粒径を有する微粒子を含む分散液を調製する工程により形成する請求項1に記載の方法。
- バインダー樹脂、着色剤、及び界面活性剤を水系媒体中に分散させた分散液中で、界面活性剤の濃度を、水系媒体の臨界ミセル濃度以上かつ前記分散液中の臨界ミセル濃度以下で調整し、水溶性無機金属塩や有機系高分子凝集剤を用いず、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、無水酢酸、及びクエン酸からなる群から選択される酸を加えることにより分散液のpH調整のみで凝集させたトナー粒子を含む現像剤。
- 前記分散液は、前記バインダー樹脂、及び前記着色剤を含有する粒状のトナー材料混合物、前記水系媒体、及び前記界面活性剤を含むトナー材料分散液を機械的せん断に供する工程、該粒状の混合物を微粒化して、該粒状の混合物の粒径よりも小さい粒径を有する微粒子を含む分散液を調製する工程により形成する請求項3に記載の現像剤。
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